JP2012159657A - 光硬化型樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成された基材の製造方法、並びに該基材を備える電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】タック性が無く、伸度があり、アルカリ現像可能な光パターニング性を有する光硬化型樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)エポキシ基を有する化合物、(b)光塩基発生剤、(c)チオール基を有する硬化剤、及び(d)カルボン酸基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物を含有する光硬化型樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(a)エポキシ基を有する化合物、(b)光塩基発生剤、(c)チオール基を有する硬化剤、及び(d)カルボン酸基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物を含有する光硬化型樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、光硬化型樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成された基材の製造方法、並びに該基材を備える電子部品に関する。
樹脂の光硬化技術は、低温・短時間の硬化が可能であるのみにならず、光パターニングによる微細加工が可能である等、従来の熱硬化技術にはない長所を有しており、特に電子材料分野で多用されている。樹脂の光硬化技術は、ラジカル型、カチオン型、アニオン型の3種類に大別される。
従来、ラジカル型が主流だが、ラジカル型として用いられる(メタ)アクリル酸系ポリマーは、硬化収縮が大きいという問題に加え、耐熱性や接着性に劣る等の問題がある。これらの弱点を改良したエポキシ−アクリレート系の光硬化型樹脂組成物としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているものが挙げられる。しかし、耐熱性及び硬化収縮という観点においても、未だ十分でない。
カチオン型としては、光酸発生剤が用いられ、数々の化合物が開発されている。このような光酸発生剤としては、例えば特許文献3や特許文献4に開示されているものが挙げられる。しかし、いずれも光照射されることにより強いプロトン酸を発生するため、金属類の腐食が問題となり、電子材料分野での実用化は困難であると考えられる。これらの問題を解決することが期待されるアニオン型として、光塩基発生剤が用いられている。このような光塩基発生剤としては、例えば特許文献5や特許文献6に開示されているものが挙げられる。しかし、光感度や硬化温度が高い等の問題があり実用には至っていない。
一方、比較的低温での硬化が可能であり、潜在性光硬化型樹脂組成物となり得るものとして、光塩基発生剤と、チオール基含有硬化剤と、エポキシ樹脂を組み合わせた光硬化型樹脂組成物が挙げられる。かかる潜在性光硬化型樹脂組成物としては、例えば、特許文献7のようなものが知られている。
しかしながら、上記した従来の光硬化型樹脂組成物には未だ改良すべき問題がある。例えば、特許文献7に記載の潜在性光硬化型樹脂組成物は、アルカリ現像型でないので環境に優しくない。さらに、得られる硬化物のタック性が無く(タックフリー)かつ十分な伸度がある、アルカリ現像可能なネガ型光硬化型樹脂組成物の開発が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、タック性が無く、伸度があり、アルカリ現像が可能な光パターニング性を有する光硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物が有用であることを見出し、本発明を完成した。驚いたことに、かかる光硬化型樹脂組成物は、タック性が十分に低減され、硬化物の伸度が良好であり、かつ、硬化性能、特にパターニングの際に有効な硬化速度性において優れた性能を示すことがわかった。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
エポキシ基を有する化合物(a)、
光塩基発生剤(b)、
チオール基を有する硬化剤(c)、及び
カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)
を含有する光硬化型樹脂組成物。
〔2〕
下記式(i)の関係を満たす、〔1〕に記載の光硬化型樹脂組成物。
((c)成分のチオール基のモル数)÷((b)成分のモル数)<20.1 ・・・(i)
〔3〕
下記式(ii)の関係を満たす、〔1〕又は〔2〕に記載の光硬化型樹脂組成物。
0.02≦((a)成分及び(d)成分のカルボキシル基の合計モル数)÷((a)成分及び(d)成分のエポキシ基の合計モル数)≦2 ・・・(ii)
〔4〕
前記チオール基を有する硬化剤(c)が、チオールカルボン酸エステル化物である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔5〕
前記エポキシ基を有する化合物(a)が、ノボラック型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂変性物である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔6〕
前記カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)が、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
(式中、R1乃至R5は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基、又は芳香族基を表し、酸素原子により連結されていてもよく、置換又は無置換であってもよい。n1、n2、及びn3は、整数である。)
〔7〕
前記光塩基発生剤(b)が、下記式(2)又は式(3)で表される、2−アミノトロポン又はその誘導体である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
(式(2)において、R6とR7は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、置換又は無置換であってもよい。R8乃至R12は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アルキル基、チオール基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はアミノ基を表し、置換又は無置換であってもよい。Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
(式(3)において、R6は、水素原子又はアルキル基を表し、置換又は無置換であってもよい。R8乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アルキル基、チオール基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はアミノ基を表し、置換又は無置換であってもよい。)
〔8〕
以下の(1)〜(3)工程を有する、パターン形成された基材の製造方法;
(1)エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物を、基材に塗布して膜を形成する工程、
(2)前記膜に光照射することにより、前記膜中に塩基を発生させ、前記膜を硬化させる工程、
(3)前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により前記基材から除去することにより、前記基材上にパターンを形成する工程。
〔9〕
〔8〕に記載の製造方法により得られる基材を備える電子部品。
〔1〕
エポキシ基を有する化合物(a)、
光塩基発生剤(b)、
チオール基を有する硬化剤(c)、及び
カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)
を含有する光硬化型樹脂組成物。
〔2〕
下記式(i)の関係を満たす、〔1〕に記載の光硬化型樹脂組成物。
((c)成分のチオール基のモル数)÷((b)成分のモル数)<20.1 ・・・(i)
〔3〕
下記式(ii)の関係を満たす、〔1〕又は〔2〕に記載の光硬化型樹脂組成物。
0.02≦((a)成分及び(d)成分のカルボキシル基の合計モル数)÷((a)成分及び(d)成分のエポキシ基の合計モル数)≦2 ・・・(ii)
〔4〕
前記チオール基を有する硬化剤(c)が、チオールカルボン酸エステル化物である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔5〕
前記エポキシ基を有する化合物(a)が、ノボラック型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂変性物である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔6〕
前記カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)が、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔7〕
前記光塩基発生剤(b)が、下記式(2)又は式(3)で表される、2−アミノトロポン又はその誘導体である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
〔8〕
以下の(1)〜(3)工程を有する、パターン形成された基材の製造方法;
(1)エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物を、基材に塗布して膜を形成する工程、
(2)前記膜に光照射することにより、前記膜中に塩基を発生させ、前記膜を硬化させる工程、
(3)前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により前記基材から除去することにより、前記基材上にパターンを形成する工程。
〔9〕
〔8〕に記載の製造方法により得られる基材を備える電子部品。
本発明によれば、タック性が無く、伸度があり、アルカリ現像が可能な光パターニング性を有する光硬化型樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る光硬化型樹脂組成物は、エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する化合物(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物に用いることのできるエポキシ基を有する化合物(a)としては、その種類に特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂変性物が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、公知のものを用いることができ、例えば、2価フェノール類のグリシジルエーテル、3〜6価又はそれ以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール類のポリグリシジルエーテル、脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル、3〜6価又はそれ以上のヒドロキシ基を有する脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂肪族又は脂環式骨格を有するポリカルボン酸のグリシジルエステル、活性水素原子を有する芳香族アミン類のグリシジルアミン、活性水素原子を有する脂環式アミン類のグリシジルアミン、活性水素原子を有する複素環式アミン類のグリシジルアミン、鎖状脂肪族エポキシド、脂環式エポキシド等が挙げられる。
上記の2価フェノール類のグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4'−ジヒドロキシフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルとの反応から得られるジグリシジルエーテルが挙げられる。
上記の3〜6価又はそれ以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール類のポリグリシジルエーテルとしては、例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tert−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4'−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4'−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド又はホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、レゾルシンとアセトンとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。平均エポキシ基数は2〜10であり、かつ軟化点が室温以上であることが、タック性の観点から好ましい。平均エポキシ基数は、GPCにより求めた平均分子量をJIS K7236により求めたエポキシ当量により割ることにより求めることができ、軟化点は、環球法、JIS K7234に準じて求めることができる。
上記の脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテルが挙げられる。
上記の3〜6価又はそれ以上のヒドロキシ基を有する脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
上記のグリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等の芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルが挙げられる。
上記の脂肪族又は脂環式骨格を有するポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、例えば、芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルの芳香核水素添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリカルバリル酸トリグリシジルエステルが挙げられる。
上記の活性水素原子を有する芳香族アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノールが挙げられる。
上記の活性水素原子を有する脂環式アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、N,N,N',N'−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水素添加物が挙げられる。
上記の活性水素原子を有する複素環式アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
上記の鎖状脂肪族エポキシドとしては、例えば、エポキシ化ブタジエン、エポキシ化大豆油が挙げられる。
上記の脂環式エポキシドとしては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンが挙げられる。
エポキシ基を有する化合物(a)としては、1種を単独で用いもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。得られる硬化物の性能や入手容易性の観点から、エポキシ基を有する化合物(a)は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂又はグリシジルエステル型エポキシ樹脂が好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。光硬化型樹脂組成物のタック性を重視する場合には、ノボラック型エポキシ樹脂が更に好ましく、軟化点温度が室温以上であるノボラック型エポキシ樹脂がより更に好ましい。
エポキシ樹脂変性物としては、エポキシ樹脂のエポキシ基の一部を変性したものであればよく、その種類は特に制限されない。エポキシ樹脂変性物は、例えば、第一の反応で、エポキシ樹脂のエポキシ当量の10〜70モル%にあたる量のモノカルボン酸のカルボキシル基とエポキシ基を付加反応させることによりヒドロキシル基を形成させ、第二の反応で、生成又は導入されたヒドロキシ基と酸無水物を半エステル化することにより得ることができる。ここで用いられるモノカルボン酸としては、特に制限されず、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、(メタ)アクリル酸、桂皮酸、シアノ桂皮酸、モノメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、モノメチロールブタン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。これらのモノカルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の第一の反応に用いられる溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば、その種類は特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基を有さない溶媒を用いることができる。具体的には、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレンジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油溶剤等を用いることができる。反応時には反応を促進するために触媒を用いることが好ましく、該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して0.1〜10質量%であることがより好ましい。その際の反応条件は、特に制限されないが、通常、反応温度は60〜150℃であり、反応時間は5〜60時間である。
上記の反応で使用する触媒としては、特に制限されず、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記の第二の反応に用いられる酸無水物としては、特に制限されず、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸等から1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂変性物の中で、好ましいのはグリシジルエーテル型エポキシ樹脂変性物又はグリシジルエステル型エポキシ樹脂変性物であり、より好ましくはグリシジルエーテル型エポキシ樹脂変性物である。光硬化型樹脂組成物の硬化性能、得られる硬化物の物性及びタック性を勘案した場合、ノボラック型エポキシ樹脂変性物が更に好ましく、軟化点温度が室温以上であるノボラック型エポキシ樹脂変性物がより更に好ましい。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物に用いることのできるカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)とは、その分子中にカルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するものであればよく、特に制限されない。ここでいう「無水カルボン酸基」とは、下記式にて表される基をいう。
カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する構造上に含む化合物(d)としては、その種類は特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸等の予めカルボキシ基を含有する不飽和単量体を含む単量体を共重合することによって得られるアイオノマーやモノカルボン酸が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、(メタ)アクリル酸、桂皮酸、シアノ桂皮酸、モノメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、モノメチロールブタン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。これらの中で好ましい具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリグルタミン酸等が挙げられ、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸がより好ましく、ポリメタクリル酸が更に好ましい。
硬化物の物性の観点からは、一つの分子中にカルボキシル基又は無水カルボン酸基と、エポキシ基の両方の構造を有する化合物(すなわち、(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する化合物)が好ましく、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1乃至R5は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基、又は芳香族基を表し、これらは酸素原子により連結されていてもよく、置換又は無置換であってもよい。n1、n2、及びn3は、整数である。)
R1乃至R5は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アラルキル基、又は芳香族基を表す。これらは酸素原子により連結されていてもよく、脂肪族基又は脂環式基等で置換されていてもよく、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、ベンゼン基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基等の官能基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ブテニル基、イソブテニル基、ベンジル基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、メチル基、エチル基、又はプロペニル基が好ましい。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、メタリル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、ビニル基又はアリル基が好ましい。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、シクロヘキシル基が好ましい。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロへキセニル基、シクロペンテニル基、ノルボルネン基、が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、シクロヘキセニル基が好ましい。
上記アラルキル基としては、例えば、フェニルアルキル基、ビフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基が挙げられる。これらの中でも、フェニル−C16アルキル基、ビフェニル−C16アルキル基が好ましく、硬化物の物性の観点から、ベンジル基がより好ましい。
上記芳香族基としては、例えば、ベンゼン基、ナフタレン基、アントラセン基、フェナントレン基、ナフタセン基、ピレン基及びペリレン基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、ベンゼン基又はナフタレン基が好ましい。
上記ハロゲン基としては、例えば、フルオル基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、フルオル基、クロロ基又はブロモ基が好ましい。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、メタリル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、ビニル基又はアリル基が好ましい。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、シクロヘキシル基が好ましい。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロへキセニル基、シクロペンテニル基、ノルボルネン基、が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、シクロヘキセニル基が好ましい。
上記アラルキル基としては、例えば、フェニルアルキル基、ビフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基が挙げられる。これらの中でも、フェニル−C16アルキル基、ビフェニル−C16アルキル基が好ましく、硬化物の物性の観点から、ベンジル基がより好ましい。
上記芳香族基としては、例えば、ベンゼン基、ナフタレン基、アントラセン基、フェナントレン基、ナフタセン基、ピレン基及びペリレン基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、ベンゼン基又はナフタレン基が好ましい。
上記ハロゲン基としては、例えば、フルオル基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。これらの中でも、硬化物の物性の観点から、フルオル基、クロロ基又はブロモ基が好ましい。
n1、n2は整数であり、官能基の繰り返し単位数を表す。n1、n2としては、硬化物の物性の観点から、好ましくは1〜50であり、より好ましくは、2〜20である。n2としては、アルカリ溶解性の観点から、好ましくは1〜20であり、より好ましくは、1〜5である。
n3は整数であり、置換基の価数を表す。n3としては、アルカリ溶解性及び硬化物の物性の観点から、好ましくは1〜3であり、より好ましくは、1〜2である。
n3は整数であり、置換基の価数を表す。n3としては、アルカリ溶解性及び硬化物の物性の観点から、好ましくは1〜3であり、より好ましくは、1〜2である。
本実施形態において(d)成分としては、上記した化合物1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
(a)成分とは別に(d)成分を添加する場合、そのカルボキシル基含有化合物(d)の重量分子量は、特に制限されないが、アルカリ溶解性及び硬化物の物性の観点から、100〜100万が好ましい。また、分子鎖中に含まれるカルボキシル基含有単位の割合は、アルカリ現像液に溶解する範囲内であれば特に制限されるものではないが、分子鎖中の繰り返し単位のうちの10モル%以上に含まれることが好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましい。
光硬化型樹脂組成物におけるカルボキシル基含有化合物の添加量は、アルカリ現像性の観点から、下記式(ii)の関係を満たすことが好ましい。
0.02≦((a)成分及び(d)成分のカルボキシル基の合計モル数)÷((a)成分及び(d)成分のエポキシ基の合計モル数)≦2 ・・・(ii)
0.02≦((a)成分及び(d)成分のカルボキシル基の合計モル数)÷((a)成分及び(d)成分のエポキシ基の合計モル数)≦2 ・・・(ii)
例えば、(a)成分でもあり(d)成分でもある化合物を用いる場合、その化合物中におけるエポキシ基に対するカルボキシル基のモル比が0.02〜2の範囲内であることが好ましい。(a)成分のエポキシ基に対する(d)成分のカルボキシル基のモル比は、アルカリ現像性の観点から、0.02以上が好ましく、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.18以上である。また、硬化物の物性の観点から、2以下が好ましく、より好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.20以下である。なお、本実施形態において、上記した無水カルボン酸基を有する場合、当該無水カルボン酸基1モルは、カルボキシル基を2モル有するものとして計算する。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物は、光塩基発生剤(b)を含有する。光酸発生剤を用いた場合に比較して、光塩基発生剤を用いることにより、腐食性が無く、露光によりガス等の副生なく塩基性を発現し、絶縁信頼性、耐熱性、微細加工性に優れる光硬化型樹脂組成物を得ることができる。
光塩基発生剤(b)の配合量は特に制限されないが、エポキシ基を有する化合物(a)100質量部に対し、通常、0.001〜100質量部、好ましくは0.005〜80質量部、より好ましくは0.01〜50質量部である。十分実用的な硬化速度が得られる観点から、0.001質量部以上が好ましく、硬化物の物性の観点から100質量部以下が好ましい。
光塩基発生剤(b)の種類は公知のものであれば特に制限は無い。例えば、ベンジル型光脱保護基タイプ(例えば、J.Org.Chem.,55(1990)5919に記載)、Norrish Type II(例えば、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I,1975,1069)、Norrish Type I(例えば、J.Am.Chem.Soc.,118(1996)12925)、アミンイミドタイプ(例えば、J.Polym.Sci.Polym.Chem.,40(2002)4045)、ウレタンオキシムタイプ(例えば、J.Photopolym.Sci.Technol.18(2005)141)、アルキルオキシムタイプ(例えば、J.Photochem.Photobiol.A:Chem.151(2002)27)、クマル酸アミドタイプ(例えば、特開2010−106233号)やBASF製、「IRUGACURE907」、2−アミノトロポンタイプ(例えば、国際公開第2008/072651号パンフレット)等が挙げられるが、硬化性能の観点から2−アミノトロポン又はその誘導体を用いることが好ましい。
2−アミノトロポン又はその誘導体としては、下記式(2)又は(3)で表される化合物であることが好ましい。
(式(2)において、R6とR7は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、置換又は無置換であってもよい。R8乃至R12は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アルキル基、チオール基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はアミノ基を表し、置換又は無置換であってもよい。Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボキシル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基等が挙げられ、これらの中でもメトキシカルボニル基が好ましい。
上記アシル基としては、アセチル基が好ましい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ブテニル基、イソブテニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基とイソプロピル基が好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、これらの中でもメトキシ基が好ましい。
上記ハロゲン原子としては、塩素又は臭素が好ましい。
上記アミノ基としては、無置換のアミノ基の他、モノ置換アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基が挙げられ、メチルアミノ基が好ましく、ジ置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、ジメチルアミノ基が好ましい。
上記アシル基としては、アセチル基が好ましい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ブテニル基、イソブテニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基とイソプロピル基が好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、これらの中でもメトキシ基が好ましい。
上記ハロゲン原子としては、塩素又は臭素が好ましい。
上記アミノ基としては、無置換のアミノ基の他、モノ置換アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基が挙げられ、メチルアミノ基が好ましく、ジ置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、ジメチルアミノ基が好ましい。
R6乃至R12は互いに結合し飽和又は不飽和環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等のアゾール環を形成していてもよい。また、R6乃至R12は、脂肪族基又は芳香族基等によって置換されていてもよいし、前記式(1)及び/又は他の式(2)の分子と結合していてもよい。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。保存安定性の観点から、Zとしては酸素原子が好ましい。
(式(3)において、R6は、水素原子又はアルキル基を表し、置換又は無置換であってもよい。R8乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アルキル基、チオール基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はアミノ基を表し、置換又は無置換であってもよい。)
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボキシル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基等が挙げられ、これらの中でもメトキシカルボニル基が好ましい。
アシル基としては、アセチル基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ブテニル基、イソブテニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基とイソプロピル基が好ましい。
アリール基としてはフェニル基が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、これらの中でもメトキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては、塩素又は臭素が好ましい。
アミノ基としては、無置換のアミノ基の他、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基等が挙げられる。モノ置換アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基が挙げられ、これらの中でもメチルアミノ基が好ましい。ジ置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、これらの中でもジメチルアミノ基が好ましい。R6乃至R13互いに結合し飽和又は不飽和環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等のアゾール環を形成していてもよい。また、R6乃至R13は、脂肪族基又は芳香族基等によって置換されていてもよいし、前記式(1)及び/又は前記(2)の分子と結合していてもよい。
アシル基としては、アセチル基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ブテニル基、イソブテニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基とイソプロピル基が好ましい。
アリール基としてはフェニル基が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、これらの中でもメトキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては、塩素又は臭素が好ましい。
アミノ基としては、無置換のアミノ基の他、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基等が挙げられる。モノ置換アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基が挙げられ、これらの中でもメチルアミノ基が好ましい。ジ置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、これらの中でもジメチルアミノ基が好ましい。R6乃至R13互いに結合し飽和又は不飽和環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等のアゾール環を形成していてもよい。また、R6乃至R13は、脂肪族基又は芳香族基等によって置換されていてもよいし、前記式(1)及び/又は前記(2)の分子と結合していてもよい。
なお、式(2)においてR7が水素原子となる場合には、式(2)と式(3)の構造は互変異性の関係となるので(下記式(4)参照)、両者は等価である。本実施形態の光硬化型樹脂組成物は、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物の両方を含有していてもよい。
2−アミノトロポン及びその誘導体は、7員環の特徴である光分子内環化反応により塩基性を発現する。すなわち、下記式(5)や式(6)で表されるように、光分子環化反応により7員環全体に及んでいた共役系を切断し、窒素原子上の電子密度を増大させることにより塩基性を発現させるものである(但し、本実施形態の作用はこれに限定されない)。
7員環がこうした光分子内環化反応を起こすことは既に知られており(O,L,Chapman, Advances in Photochemistry, Vol1, p.323(1963))、置換基の種類を問わず様々な分子おいて同様な反応が観測されている。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物は、チオール基を有する硬化剤(c)を含有するが、チオール基を有する硬化剤(c)を含有することにより、カルボキシル基含有成分と光塩基発生剤(b)が共存する光硬化型樹脂組成物において、高い硬化性能を発現する。また、従来、エポキシ樹脂を主成分とする硬化物は、堅くて脆く、剥離しやすいことが欠点として挙げられるが、チオール基含有硬化物(c)を含む光硬化型樹脂組成物の硬化物の物性は伸度等において望ましいものとなり、電子材料分野においてプリント配線板や半導体の絶縁材として好適となる。チオール基含有硬化剤(c)としては、ポリチオールが硬化性能の面から好ましい。
(チオール基含有硬化剤(c)に含有されるチオール基のモル数)÷(光塩基発生剤(b)のモル数)の範囲は、光硬化型樹脂組成物の硬化速度の観点から、20.1未満であることが好ましく、より好ましくは6.7未満である。同時に、エポキシ基を有する化合物(a)とカルボン酸又はカルボン酸無水物の少なくとも一方を構造上に含む化合物(d)に含まれるエポキシ基の合計に対するチオール基のモル比率は、硬化物の物性の観点から、1.5〜0.5となる範囲が好ましく、より好ましくは1.2〜0.8の範囲である。
ポリチオールは公知のものであれば特に制限されないが、例えば、炭素数1〜20、官能基数2〜6又はそれ以上のアルキルチオール化合物が挙げられる。そのようなアルキルチオール化合物としては、例えば、1,4−ブタンジチオール、1,8−オクタンジチオールが挙げられる。それら以外のチオール基を有する化合物としては、例えば、ポリオキサイドと硫化水素の反応によって得られるチオール、炭素数2〜20で官能基数2〜3又はそれ以上のチオールカルボン酸(例えば、チオール酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオールヘキサン酸、チオールオクタン酸、チオールステアリン酸)と炭素数2〜30で官能基数2〜6のポリオールとのエステル化物(チオールカルボン酸エステル化物)が挙げられる。それらのなかでは、硬化物の性能や入手容易性の観点から、チオールカルボン酸エステル化物が好ましい。具体的にはトリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオール ビスチオグリコレートなどが挙げられる。
また、本実施形態の光硬化型樹脂組成物としては上述した(a)〜(d)成分以外に、無機充填剤、着色剤、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、光ラジカル開始剤等を、必要に応じて、1種単独又は2種類以上を組み合わせて添加することができる。これらを添加する場合の添加量は、エポキシ基を有する化合物(a)100質量部に対して、合計で0.01〜20質量部であることが好ましい。
無機充填剤としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母等の公知のものが挙げられ、硬化体と基材の密着性、硬化体の硬度等の各種物性を向上させる目的で用いられる。
着色剤としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等が挙げられる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェチアジン等が挙げられる。
増粘剤としては、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等が挙げられる。
また、本実施形態には公知のヒドロキシ基を持つ化合物を含有してもかまわない。
本実施形態では、上述した光硬化型樹脂組成物を用いて、パターン形成された基材を製造することができる。即ち、本実施形態のパターン形成された基材の製造方法は、
(1)エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物を、基材に塗布して膜を形成する工程、
(2)前記膜に光照射することにより、前記膜中に塩基を発生させ、前記膜を硬化させる工程、
(3)前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により前記基材から除去することにより、前記基材上にパターンを形成する工程、
を有する。かかる方法は、露光によりガス等の副生なく塩基性を発現できるので、微細なパターンを簡便且つ容易に基材上に形成することができる。
(1)エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物を、基材に塗布して膜を形成する工程、
(2)前記膜に光照射することにより、前記膜中に塩基を発生させ、前記膜を硬化させる工程、
(3)前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により前記基材から除去することにより、前記基材上にパターンを形成する工程、
を有する。かかる方法は、露光によりガス等の副生なく塩基性を発現できるので、微細なパターンを簡便且つ容易に基材上に形成することができる。
光硬化型樹脂組成物を塗布する基材は特に制限されない。その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系基材、縮合型ポリイミド、付加型ポリイミド、高温付加型ポリイミド等のポリイミド系基材、BA型エポキシ樹脂、BF型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等のエポキシ樹脂系基材、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン等のフェノール樹脂系基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリシクロオレフィン等のポリオレフィン系基材、ナイロン6,6、ナイロン6、ナイロン6,T、ナイロン4,6、ナイロン12、ナイロン6,12等のポリアミド系基材等の他、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系、ポリフェニレンエーテ系、ポリ(メタ)アクリレート系、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルイミド系、ポリエーテルサルホン系、ポリベンゾオキサゾール系等の基材、ガラス繊維等で強化した樹脂基材、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Co、Rh、Fe、In、Sn等の金属系基材等が挙げられる。本実施形態の光硬化型樹脂組成物は、基材上に膜を形成するために高温で焼結する工程が必須でないため、基材の耐熱性等について制限を受けない。従って、上記したような種々の樹脂を用いることができる。
基材の形態は特に制限されない。その具体例としては、フィルム状、シート状、テープ状、微粒子状、積層板、立体的成型品、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Co、Rh、Fe、In、Sn等の金属をパターニングしたプリント配線板やフィルム、テープ等が挙げられる。
光硬化型樹脂組成物を基材に塗布する方法は特に制限されない。その具体例としては、例えば、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法が挙げられる。これらの中でも、フレキソ印刷法及びグラビア印刷法が好ましい。これらの印刷法によって光硬化型樹脂組成物を基材に塗布することで、パターニングに好適な膜厚の保護膜を高い位置精度で形成することができる。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物を基材に塗布するに際しては、本実施形態の光硬化型樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて光硬化型樹脂組成物溶液とすることができる。有機溶媒としては特に制限されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等に代表されるエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等に代表されるグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンに代表されるケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル等に代表されるエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンに代表されるアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、クロロベンゼンに代表されるハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等に代表されるアミド類;N−メチルピロリドンに代表されるピロリドン類;γ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類;ジメチルスルホキシドに代表されるスルホキシド類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンに代表される鎖状又は環状飽和炭化水素類;その他の有機極性溶媒類が挙げられる。さらには、有機溶媒としてベンゼン、トルエン、キシレンに代表される芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類が挙げられる。これらの有機溶媒は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
上記有機溶媒の添加量としては、例えば基材上に上記光硬化型樹脂組成物を塗工し、光硬化型樹脂組成物の塗膜を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよいが、好ましくは光硬化型樹脂組成物に対し0.1質量部から200質量部の範囲で、より好ましくは1質量部から150質量部の範囲で、最も好ましくは10質量部から100質量部の範囲である。
本実施形態の光硬化型樹脂組成物は、光照射のみを施されることにより、光照射と加熱を同時に施されることにより、あるいは、光照射の後に加熱を施されることにより、硬化する。本実施形態では、必ずしも加熱する必要はないが、所望する物性やパターン形状等によって、適宜加熱することが好ましい。光照射は150〜750nmの波長域の照射光を用いて行われることが好ましい。より具体的には、光源として低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ及び/又はメタルハイドライドランプを用いて、0.01〜100J/cm2の照射量で光照射を行うことにより、光硬化型樹脂組成物を効率よく硬化させることができる。上記光照射は300〜500nmの波長域の照射光を用いて0.05〜20J/cm2の照射量で行われることが好ましい。光照射を行う雰囲気は空気中あるいは不活性ガス中であってもかまわないが、好ましくは不活性ガス中であり、より好ましくは窒素ガス雰囲気である。
また、加熱を行う場合の加熱温度は、本実施形態の光硬化型樹脂組成物の分解点以下の温度であれば特に制限されず、通常、30〜400℃の温度であると好ましく、50〜300℃の温度であるとより好ましい。加熱を行う場合の加熱時間は、硬化を更に十分に行うために、1秒間〜3時間であると好ましく、30秒間〜1時間であるとより好ましい。加熱を行う雰囲気は、空気中あるいは不活性ガス中であってもかまわない。
そして、前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により基材から除去することにより、基材上にパターンを形成する(パターン形成工程)。本実施形態の光硬化型樹脂組成物により形成される膜をパターニングするためにアルカリ現像液によって、不溶化されていない部分を溶解除去することができる。
本実施形態において用いることができるアルカリ現像液としては、例えば、有機アルカリ化合物や無機アルカリ化合物が挙げられる。これらはアルカリ性水溶液として用いることができるため、環境に優しいという利点を有する。
有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
更に必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、またはエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤及び樹脂の溶解抑制剤等を適量添加することができる。
このようにして得られたパターン形成された基材は、例えばスクリーン印刷によるパターン形成された基材に比較して精細なパターンを形成でき、非感光性絶縁材を使った基材に比較して工数を削減することが出来、簡便であるという利点を有する。かかる基材は、フレキシブル配線基板やICタグアンテナ回路基板等の電子部品として好適に用いることができる。より具体的には、RFID用ICタグのアンテナ回路、フレキシブル、リジッド、リジッドフレックス等のプリント配線板の回路、電磁波シールド用微細配線、半導体の配線、トランジスタの配線、コンデンサーの配線、抵抗器の配線、電池の配線や電極、有機ELディスプレイにおける配線や電極、無機ELディスプレイにおける配線や電極、デジタルサイネージにおける配線や電極、電子ペーパーにおける配線や電極、液晶ディスプレイにおける配線や電極、プラズマディスプレイの配線や電極、有機EL等の面発光照明の配線や電極等の用途に応用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(タック性の評価)
6インチシリコンウエハーに、実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、触診により塗膜の粘着性を評価した。評価は以下の基準にて行った。
○:均一性に変化が無かった場合(「タック性無し」と評価した。)
×:塗膜表面の接触した部分が均一性を乱した場合(「タック性あり」と評価した。)
6インチシリコンウエハーに、実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、触診により塗膜の粘着性を評価した。評価は以下の基準にて行った。
○:均一性に変化が無かった場合(「タック性無し」と評価した。)
×:塗膜表面の接触した部分が均一性を乱した場合(「タック性あり」と評価した。)
(伸度の測定)
6インチシリコンウエハー(フジミファインテクノロジー社製)に、実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、高圧水銀灯を用いて、i線換算にて1000mJ/cm2の全波長露光を行った。次に200℃、1時間加熱して、樹脂硬化膜を得た。得られた樹脂硬化膜をフッ化水素酸によりウエハーから剥がして樹脂硬化膜のテープを作製し、得られた樹脂硬化膜の伸度を、ASTM D−882−88に準拠して測定した。
6インチシリコンウエハー(フジミファインテクノロジー社製)に、実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、高圧水銀灯を用いて、i線換算にて1000mJ/cm2の全波長露光を行った。次に200℃、1時間加熱して、樹脂硬化膜を得た。得られた樹脂硬化膜をフッ化水素酸によりウエハーから剥がして樹脂硬化膜のテープを作製し、得られた樹脂硬化膜の伸度を、ASTM D−882−88に準拠して測定した。
(アルカリ現像光パターニングの評価)
ガラス基板上に実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約20μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、フォトマスク上から高圧水銀灯を用いて、i線換算にて1000mJ/cm2の全波長露光を行った。次に適宜条件の加熱(例えば120℃×3min)を行った後、2.38%TMAH水溶液により現像を行った。その後、200℃、1時間加熱して光パターニングされた硬化膜を得た。得られた硬化膜のパターンの詳細を顕微鏡観察と目視によりアルカリ現像光パターニングを評価した。評価は以下の基準にて行った。
○:顕微鏡観察でパターン埋まりが無く、目視でパターン全体の形が良好であった場合
×:顕微鏡観察のパターン埋まりがあるか、目視でパターン全体の形が崩れていた場合
ガラス基板上に実施例及び比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約20μmとなるように、スピンコーターを用いて回転塗布し、80℃で5分間加熱した後、フォトマスク上から高圧水銀灯を用いて、i線換算にて1000mJ/cm2の全波長露光を行った。次に適宜条件の加熱(例えば120℃×3min)を行った後、2.38%TMAH水溶液により現像を行った。その後、200℃、1時間加熱して光パターニングされた硬化膜を得た。得られた硬化膜のパターンの詳細を顕微鏡観察と目視によりアルカリ現像光パターニングを評価した。評価は以下の基準にて行った。
○:顕微鏡観察でパターン埋まりが無く、目視でパターン全体の形が良好であった場合
×:顕微鏡観察のパターン埋まりがあるか、目視でパターン全体の形が崩れていた場合
(製造例1)
<光塩基発生剤(b)の合成>
4−イソプロピルトロポロンとトリメチルシリルジアゾメタンとから常法に従って合成した、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物(360mg、2.0mmol)と、1,2−プロパンジアミン(37mg、0.50mmol)をエタノール(2mL)に溶解し、還流温度で24時間加熱撹拌した。エタノールを減圧下に留去した後、カラムクロマトグラフ(和光純薬工業(株)製、シリカゲル「ワコーゲルC−300」を用い、酢酸エチルを展開溶媒として使用)により、光塩基発生剤(分子量:366.50)を単離した。その収量は157mg(0.43mmol)であり、1,2−プロパンジアミン基準の収率は85%であった。なお、得られた2−アミノトロポン誘導体の確認は1H−NMR(日本電子(株)製「ECA−500」、重クロロホルム溶液)によって行った。
<光塩基発生剤(b)の合成>
4−イソプロピルトロポロンとトリメチルシリルジアゾメタンとから常法に従って合成した、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物(360mg、2.0mmol)と、1,2−プロパンジアミン(37mg、0.50mmol)をエタノール(2mL)に溶解し、還流温度で24時間加熱撹拌した。エタノールを減圧下に留去した後、カラムクロマトグラフ(和光純薬工業(株)製、シリカゲル「ワコーゲルC−300」を用い、酢酸エチルを展開溶媒として使用)により、光塩基発生剤(分子量:366.50)を単離した。その収量は157mg(0.43mmol)であり、1,2−プロパンジアミン基準の収率は85%であった。なお、得られた2−アミノトロポン誘導体の確認は1H−NMR(日本電子(株)製「ECA−500」、重クロロホルム溶液)によって行った。
(製造例2)
<光塩基発生剤(b)の合成>
4−イソプロピルトロポロン(旭化成ファインケム(株)社製)とトリメチルシリルジアゾメタン(東京化成工業(株)社製)とから常法に従って合成した、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物(498mg、2.8mmol)と、25質量%アンモニア4.0g(アンモニア分1.0g、58.8mmol)を混合し、50℃で24時間加熱撹拌した。25℃に冷却した後、ジクロロメタン10mLで3回抽出した。ジクロロメタンを減圧下で留去した後、カラムクロマトグラフ(和光純薬工業(株)製、シリカゲル「ワコーゲルC−300」を用い、酢酸エチルを展開溶媒として使用)により、光塩基発生剤として、2−アミノトロポン誘導体(2−アミノ−4−イソプロピルトロポンと2−アミノ−6−イソプロピルトロポンの混合物))を単離した。その収量は274mg(1.68mmol)であり、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物基準の収率は60%であった。なお、得られた2−アミノトロポン誘導体の確認は1H−NMR(日本電子(株)製、「ECA−500」)によって行った。以下、特に断りがない限り、得られた各化合物の構造は1H−NMRにより確認した。
<光塩基発生剤(b)の合成>
4−イソプロピルトロポロン(旭化成ファインケム(株)社製)とトリメチルシリルジアゾメタン(東京化成工業(株)社製)とから常法に従って合成した、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物(498mg、2.8mmol)と、25質量%アンモニア4.0g(アンモニア分1.0g、58.8mmol)を混合し、50℃で24時間加熱撹拌した。25℃に冷却した後、ジクロロメタン10mLで3回抽出した。ジクロロメタンを減圧下で留去した後、カラムクロマトグラフ(和光純薬工業(株)製、シリカゲル「ワコーゲルC−300」を用い、酢酸エチルを展開溶媒として使用)により、光塩基発生剤として、2−アミノトロポン誘導体(2−アミノ−4−イソプロピルトロポンと2−アミノ−6−イソプロピルトロポンの混合物))を単離した。その収量は274mg(1.68mmol)であり、2−メトキシ−4−イソプロピルトロポンと2−メトキシ−6−イソプロピルトロポンの混合物基準の収率は60%であった。なお、得られた2−アミノトロポン誘導体の確認は1H−NMR(日本電子(株)製、「ECA−500」)によって行った。以下、特に断りがない限り、得られた各化合物の構造は1H−NMRにより確認した。
(製造例3)
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
フェノール−ノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名「N−775」、エポキシ当量190(g/eq)、平均エポキシ基数5.5、軟化点73℃)47.2質量部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 11質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 41.8質量部、及びトリフェニルフォスフィン 0.26質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 18質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 20質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させて、下記式(7)で表される化合物を得た。
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
フェノール−ノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名「N−775」、エポキシ当量190(g/eq)、平均エポキシ基数5.5、軟化点73℃)47.2質量部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 11質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 41.8質量部、及びトリフェニルフォスフィン 0.26質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 18質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 20質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させて、下記式(7)で表される化合物を得た。
(製造例4)
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
クレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「ECN1299」、エポキシ当量225(g/eq)、平均エポキシ基数5.4、軟化点92℃) 53部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 9.8質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 37.2質量部、及びトリフェニルホスフィン 0.28質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24質量部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 17.6質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 18.9質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させ、下記式(8)で表される化合物を得た。
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
クレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「ECN1299」、エポキシ当量225(g/eq)、平均エポキシ基数5.4、軟化点92℃) 53部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 9.8質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 37.2質量部、及びトリフェニルホスフィン 0.28質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24質量部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 17.6質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 18.9質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させ、下記式(8)で表される化合物を得た。
(製造例5)
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「AER250」、エポキシ当量185(g/eq)、液状) 67質量部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 12質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 21質量部、及びトリフェニルフォスフィン 0.25質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24質量部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 25質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 33質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させ、下記式(9)で表される化合物を得た。なお、丸善出版 新実験化学講座 13巻−I P78に記載の方法でテトラヒドロ無水フタル酸の残存量が0であることを確認した。
<(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質の合成>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「AER250」、エポキシ当量185(g/eq)、液状) 67質量部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 12質量部、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 21質量部、及びトリフェニルフォスフィン 0.25質量部を溶解し、窒素雰囲気で100℃×16時間反応させた。KOH滴定により2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残存量が0であることを確認後、m−クロロ過安息香酸 0.24質量部添加した。
続いて、上記反応物へテトラヒドロ無水フタル酸 25質量部と酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル 33質量部添加し、窒素雰囲気で100℃×6時間反応させ、下記式(9)で表される化合物を得た。なお、丸善出版 新実験化学講座 13巻−I P78に記載の方法でテトラヒドロ無水フタル酸の残存量が0であることを確認した。
(製造例6)
<(d)成分に該当する化合物の合成>
300mLセパラブルフラスコに40質量%のメタクリル酸メチルのアセトニトリル溶液を171.13g、メタクリル酸23.26g、活性炭7.8gを加え、遮光下、室温で1時間攪拌した。次いで、活性炭を濾別した。この溶液90gを300mLセパラブルフラスコに移し、攪拌しながら30℃で30分間窒素パージを行った。ここにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)6.271gを加えた。1時間重合を行った後、100℃で30分間予備乾燥をし、ポリマーを5mm程度に粉砕したのちに、窒素雰囲気のイナートオーブン中で、150℃で1時間乾燥し、下記式(10)で表される、メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体を得た。
<(d)成分に該当する化合物の合成>
300mLセパラブルフラスコに40質量%のメタクリル酸メチルのアセトニトリル溶液を171.13g、メタクリル酸23.26g、活性炭7.8gを加え、遮光下、室温で1時間攪拌した。次いで、活性炭を濾別した。この溶液90gを300mLセパラブルフラスコに移し、攪拌しながら30℃で30分間窒素パージを行った。ここにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)6.271gを加えた。1時間重合を行った後、100℃で30分間予備乾燥をし、ポリマーを5mm程度に粉砕したのちに、窒素雰囲気のイナートオーブン中で、150℃で1時間乾燥し、下記式(10)で表される、メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体を得た。
(実施例1)
<光硬化型樹脂組成物>
製造例3で合成した物質97.7質量部、製造例2の光塩基発生剤(b)1.4質量部、硬化剤(c)としテトラキス(メルカプト酢酸)ペンタエリトリトール(略称PETMA 和光純薬工業(株)製)0.9質量部を混合し光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
<光硬化型樹脂組成物>
製造例3で合成した物質97.7質量部、製造例2の光塩基発生剤(b)1.4質量部、硬化剤(c)としテトラキス(メルカプト酢酸)ペンタエリトリトール(略称PETMA 和光純薬工業(株)製)0.9質量部を混合し光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
(実施例2)
<光硬化型樹脂組成物>
製造例4で合成した物質78.7質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)9.1質量部、硬化剤(c)としてジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート(略称DPMP、SC有機化学(株)製)12.2質量部を混合し光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
<光硬化型樹脂組成物>
製造例4で合成した物質78.7質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)9.1質量部、硬化剤(c)としてジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート(略称DPMP、SC有機化学(株)製)12.2質量部を混合し光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
(実施例3)
<光硬化型樹脂組成物>
エポキシ基を有する化合物(a)としてクレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「ECN1299」)18.9質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)13質量部、硬化剤(c)としてDPMP(SC有機化学(株)製)8.1質量部、及びカルボン酸又はカルボン酸無水物の少なくとも一方を構造上に含む化合物(d)として製造例6の樹脂60質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
<光硬化型樹脂組成物>
エポキシ基を有する化合物(a)としてクレゾール−ノボラック型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「ECN1299」)18.9質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)13質量部、硬化剤(c)としてDPMP(SC有機化学(株)製)8.1質量部、及びカルボン酸又はカルボン酸無水物の少なくとも一方を構造上に含む化合物(d)として製造例6の樹脂60質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
(実施例4)
<光硬化型樹脂組成物>
製造例4で合成した物質69.6質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)15.4質量部、硬化剤(c)としてDPMP(SC有機化学(株)製)15.0質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
<光硬化型樹脂組成物>
製造例4で合成した物質69.6質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)15.4質量部、硬化剤(c)としてDPMP(SC有機化学(株)製)15.0質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
(実施例5)
<光硬化型樹脂組成物>
製造例3で得た(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質97.8質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、「IRGACURE907」)1.1質量部、硬化剤(c)としテトラキス(メルカプト酢酸)ペンタエリトリトール(略称PETMA 和光純薬工業(株)製)1.1質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を10J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
<光硬化型樹脂組成物>
製造例3で得た(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質97.8質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、「IRGACURE907」)1.1質量部、硬化剤(c)としテトラキス(メルカプト酢酸)ペンタエリトリトール(略称PETMA 和光純薬工業(株)製)1.1質量部を混合し、光硬化型樹脂組成物を得た。得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を10J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で3分間加熱した。次に2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経て得られた光パターニングされた塗膜は、良好なパターニング性能を示した。
(比較例1)
<光硬化型樹脂組成物>
製造例5で得た(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質77質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)23質量部を混合して比較光硬化型樹脂組成物1を得た。
得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で5分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経たが、塗膜はパターニングされなかった。
<光硬化型樹脂組成物>
製造例5で得た(a)成分に該当し、かつ(d)成分にも該当する物質77質量部、製造例1の光塩基発生剤(b)23質量部を混合して比較光硬化型樹脂組成物1を得た。
得られた光硬化型樹脂組成物をガラス板上に塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、窒素雰囲気下で30mW/cm2の紫外線(波長:365nm)を2J/cm2照射した。その後、この塗膜を120℃で5分間加熱した。次に、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にて現像し、蒸留水にて洗浄後、180℃で60分間加熱した。以上の工程を経たが、塗膜はパターニングされなかった。
実施例1〜5及び比較例の結果を表1に示す。なお、表中、「−SH/PBG(モル比))とは、(チオール基を有する硬化剤(c)に含有されるチオール基のモル数)÷(光塩基発生剤(b)のモル数)を表し、「カルボキシル基/エポキシ基(モル比)」とは、(カルボン酸基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)に含有されるカルボキシル基のモル数)÷(エポキシ基を有する化合物(a)及び(d)に含有されるエポキシ基のモル数)を表す(理論値)。
表1に示すように、実施例1〜5は、いずれもタック性、伸度が良好であり、かつパターニングも良好であることが確認された。一方、比較例1は、タック性、伸度、及びパターニングのいずれも実施例に劣ることが確認された。
本発明に係る光硬化型樹脂組成物は、電子材料分野においてパターニングが必要な絶縁材料に用いることができる。また、かかる光硬化型樹脂組成物を用いて得られるパターン形成された基材は、フレキシブル配線基板やICタグアンテナ回路基板として用いることができる。
Claims (9)
- エポキシ基を有する化合物(a)、
光塩基発生剤(b)、
チオール基を有する硬化剤(c)、及び
カルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)
を含有する光硬化型樹脂組成物。 - 下記式(i)の関係を満たす、請求項1に記載の光硬化型樹脂組成物。
((c)成分のチオール基のモル数)÷((b)成分のモル数)<20.1 ・・・(i) - 下記式(ii)の関係を満たす、請求項1又は2に記載の光硬化型樹脂組成物。
0.02≦((a)成分及び(d)成分のカルボキシル基の合計モル数)÷((a)成分及び(d)成分のエポキシ基の合計モル数)≦2 ・・・(ii) - 前記チオール基を有する硬化剤(c)が、チオールカルボン酸エステル化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
- 前記エポキシ基を有する化合物(a)が、ノボラック型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂変性物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
- 前記光塩基発生剤(b)が、下記式(2)又は式(3)で表される、2−アミノトロポン又はその誘導体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化型樹脂組成物。
- 以下の(1)〜(3)工程を有する、パターン形成された基材の製造方法;
(1)エポキシ基を有する化合物(a)、光塩基発生剤(b)、チオール基を有する硬化剤(c)、及びカルボキシル基又は無水カルボン酸基の少なくとも一方を有する化合物(d)を含有する光硬化型樹脂組成物を、基材に塗布して膜を形成する工程、
(2)前記膜に光照射することにより、前記膜中に塩基を発生させ、前記膜を硬化させる工程、
(3)前記膜の硬化していない部分を、アルカリ現像液により前記基材から除去することにより、前記基材上にパターンを形成する工程。 - 請求項8に記載の製造方法により得られる基材を備える電子部品。
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