JP2012155202A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、電荷発生剤と、正孔輸送剤及び電子輸送剤を合わせた電荷輸送剤と、バインダーとを含有する単一の感光層3を設けたものであり、前記電荷発生剤にはブラッグ角27.3°に最大回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニンを含み、前記電荷輸送剤のうち前記正孔輸送剤が特定のトリフェニルアミン/スチリル系化合物であり、前記電子輸送剤のバインダーに対する重量比が35/65のときの、電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つ化合物であることを特徴とする電子写真感光体1。
【選択図】図1
Description
単層感光体は、高解像度化、生産性、溶剤使用量等で、現行の積層感光体と比較するとメリットがあるが、正帯電型単層感光体のみが実用化されている。正帯電型の感光体は帯電時のオゾン発生が少ないなどのメリットも少なからずあるが、現在帯電装置の改良が進んだことからその利点は殆ど考慮する必要がないレベルになってきており、逆に現在主流となっている反転現像に対応するためには正帯電のトナーが必要となり、その正帯電トナーが極性制御剤の少なさから市場に流通しているものが少ないことから普及の障害となっている。また上記の背景から現状では負帯電型に対応したシステム設計の装置が大部分であることから負帯電型の感光体にすることでこれまで蓄積されてきた技術を広く展開することが可能となる。
一般的に負帯電単層感光体においては通常、電荷発生材料は感光層全層にわたって含有されるため、電荷発生領域は基本的に全層である。
しかし、全層で正孔−電子対が形成されると、正孔、電子の移動度の違い、構造欠陥、再結合などにより、正孔及び電子の移動に支障が生じ易い。
また正孔、電子ともに移動する特性を有する特徴がある為、材料の組み合わせによっては、帯電性が悪くなり感光体特性を満足することができない。その結果、露光工程において光が照射された部分にキャリアが滞留し、次の帯電工程において電位差を生じた状態で再び露光されるため、画像上に濃度むらとなってあらわれ、また、帯電が不十分のため地汚れ等の問題を引き起こす。上記のように、これら従来感光体技術によっても未だ十分な画像品質が得られていない。
しかし、このような定電流制御システムは定電圧の制御システムに比べて部品点数が増えることから高価になる傾向があり、より低価格を実現するためには定電圧の制御システムが好ましい。またこのような定電圧制御をおこなうことにより部品点数の削減が可能となり転写機構のサイズを小さくすることが可能となる。しかしながら定電圧制御ではこのような利点がある反面、定電流制御方式に比べて安定した画像形成を長期にわたっておこなうことが難しく組み合わせる感光体や制御方法が課題であった。
従って単層感光体においては十分な電子輸送機能と正孔輸送機能を有していることが必要である。
しかし、一般に電子輸送剤と正孔輸送剤は電荷移動錯体を形成するため、単層感光体とした場合に電子輸送剤及び正孔輸送剤それぞれの単体での性能が、感光体の機能として反映されるとは限らない。
つまり優れた電子輸送機能を有する電子輸送剤と、十分な正孔輸送機能を有する正孔輸送剤を用いた場合でも、感光体として十分な電荷輸送機能が発揮されず、残像や繰り返し使用による特性劣化を生じてしまうのである。
地汚れは、単層感光体の帯電性が影響し、正孔輸送剤と電子輸送剤の相性が重要となる。
従って残像、地汚れ、繰り返し使用による特性劣化を防止するためには、電子輸送剤及び正孔輸送剤単体での特性が優れることは当然であるが、加えて電子輸送剤と正孔輸送剤の組み合わせも重要になる。
これは一般式(1)で表される正孔輸送剤と電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つ電子輸送剤の相性が良いためと考えられる。
本発明においては電荷発生材料として公知の材料を用いることが可能であるが、中でもフタロシアン構造のものが本発明で用いられる電荷輸送材料(電子輸送剤、正孔輸送剤)との組合せ上好ましく、感光体の繰り返し使用による特性の劣化の少ない感光体とすることができる。
その中でも特に中心金属としてチタンを有する下記式(9)に示すようなチタニルフタロシアニンとすることによって、特に繰り返し使用による特性変化が少ない感光体とすることが可能となる。
(1)「支持体上に、電荷発生剤と、正孔輸送剤及び電子輸送剤を合わせた電荷輸送剤と、バインダーとを含有する単一の感光層を設けたものであり、前記電荷発生剤にはブラッグ角27.3°に最大回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニンを含み、前記電荷輸送剤のうち前記正孔輸送剤が下記一般式(1)で表されるものであり、前記電子輸送剤のバインダーに対する重量比が35/65のときの、電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つ化合物であることを特徴とする電子写真感光体。」
(2)「前記正孔輸送剤が一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)項に記載の電子写真感光体。
(3)「前記正孔輸送剤が一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)項に記載の電子写真感光体。
(4)「前記正孔輸送剤が一般式(5)で表される構造を有する正孔輸送剤を含有することを特徴とする前記(1)項に記載の電子写真感光体。
(5)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、かつ他の回折ピーク強度が27.2°の回折ピーク強度に対して30%以下の強度のものであることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体。」
(6)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないものであることを特徴とする前記(5)項に記載の電子写真感光体。」
(7)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークを有することを特徴とする前記(5)項または(6)項に記載の電子写真感光体。」
(8)「前記電子輸送剤が式(6)のものであることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
本発明の感光体は、感光層が単一の層からなる構成であり、図1に示す層構成をなす。
図1の符号(1)は単層感光体を示している。
単層感光体(1)は導電性支持体(2)と、導電性支持体(2)上に配置された単一の感光層(3)とを有しており、その感光層(3)は樹脂中に少なくとも電荷発生材料、電子移動材料および正孔移動材料とが分散されてなる。
更に、前記下引層と前記保護層を同時に設けることもできる。
感光層の膜厚は、薄くすると感光体感度が向上するが膜減り等に対する耐久性が低下し、厚くすると耐久性が向上するが露光電位が上昇する傾向がある。
感光層(3)中の一般式(1)で表される正孔輸送剤と、電子輸送剤のバインダーに対する重量比が35/65のときの、電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つ電子輸送剤のバインダーに対する濃度については、要求する感光体性能により異なるが、正孔輸送剤・電子輸送剤の濃度が低いと正孔・電子移動が不充分になり感光体特性に影響を与えることがあり、濃度が高いと樹脂との相溶性が悪くなり不均一な膜になり、樹脂濃度が低くなるため膜強度が低下する可能性がある。
さらに、基体にガラスを用いる場合、その表面に酸化錫、酸化インジウム、ヨウ化アルミニウムで被覆し、導電性を持たせてもよい。
まず本発明における電荷発生材料について説明する。
その中でも特に中心金属としてチタンを有する前記式(9)に示すようなチタニルフタロシアニンであることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をよりいっそうはかることが可能となる。
さらに各種の結晶形のうち、ブラッグ角2θの27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。
使用されるオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図の例を第2図、第3図に示す。
本発明に用いる電子輸送剤は、バインダーに対する重量比が35/65のときの、電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つものとする。
但し本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
電荷移動度は、単位電界強度当たりの電荷の移動速度と定義され、該電荷移動度はTOF(タイム・オフ・フライト)法で測定できる。この測定方法は感光層の両面を電極で挟むサンドイッチ構造体で行なわれ、まず、電極間に電圧を印加し、そこに電極を通して、パルス光を試料に照射し、発生した電荷が試料の片面から対抗する面へ移動する課程で、電極間に流れる電流の波形を観察し、電流(I)−時間(t)波形を対数変換し、波形のキンク点がトランジットタイムτとなる(電流波形はオシロスコープで計測しパソコンにてデータ変換し、トランジットタイム:τを求める)。
移動度は以下の関係式より求められる。
キャリア移動度(cm2/(V・s))=速度(L/τ)/電界(V/L)・・・数式(1)
[ここで、L:試料膜厚(cm)、τ:トランジットタイム(s)V:電圧(V)]
ポリエチレンフタレートフイルムにアルミ蒸着した導電性支持体上に、前記電荷発生層と、バインダーに対する電子輸送剤の重量比を35/65とした感光膜を10μmになるように成膜し、その後、感光膜上に金電極を500Å蒸着させサンドイッチ構造のサンプルとした。
例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの高分子化合物の中でも特にポリカーボネート樹脂が膜質の面から好ましい。
フェノール系酸化防止剤は、2.6−ジ−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2.4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル−β−(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、n−オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2.2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4.4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1.3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
例えば、アミン系酸化防止剤は、α,α’(テトラベンジル)ジアミノ−P−キシレン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−エチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジオクチル−ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチル−ジフェニルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
硫黄系酸化防止剤は、ジラウリル−3.3−チオジプロピオネート、ジトリデシイル−3.3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3.3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3.3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3.3−チオプロピオネート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオネート)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール等を挙げることができる。酸化防止剤は、1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
紫外線吸収剤は、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3.5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましい。以上の酸化防止剤を1種若しくは2種以上を同時に感光層に含有することができる。
本発明の電子写真感光体に添加されるフェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して1〜20重量%の範囲、アミン系酸化防止剤の添加量は結着樹脂に対し1〜20重量%の範囲、硫黄系酸化防止剤の添加量は結着樹脂対して0.1〜5重量%であることが好ましい。一方、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して1〜20重量%とすることが好ましい。
図4は、本発明の電子写真装置の概略構成図である。符号(11)は感光体であって、それと接触して帯電部材(12)が設けられている。帯電部材には、電源(13)から電圧が供給されるようになっている。感光体の周囲には、露光装置(14)、現像装置(15)がある。1次転写装置(転写ベルト)(16)は導電性ローラー(17)には定電圧電源(18)より電圧が供給され、印加電圧は800(V)以上2000(V)以下の定電圧で制御されている。符号(19)はクリーニングブレードである。符号(20)は転写ベルト(16)上のトナー像を紙上に転写するための2次転写装置であり、符号(21)はその電源である。符号(22)は定着プロセスであり、符号(23)は紙である。
フタロジニトリル64.4gと1−メチルナフタレン150mlの混合物中に窒素気流下で6.5mlの四塩化チタンを5分間滴下した。滴下後、マントルヒーターにより200℃で2時間加熱して反応を完結させた。その後析出物をろ過し、ろ過残渣を1−メチルナフタレンで洗浄した後、アセトンで洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。その後、濃アンモニア水60mlとイオン交換水60mlの混合液により沸点下で10時間の加水分解反応を行ったのち、室温で吸引ろ過し、イオン交換水で洗浄水が中性になるまで洗浄した。その後、メタノールで洗浄した後、90℃の熱風で10時間乾燥したところ、青紫色の結晶型チタニルフタロシアニン粉末64.6gを得た。
次に、結晶型チタニルフタロシアニン粉末10gを約10倍量の2℃の濃硫酸中に、ゆっくりと溶解し、その後氷水2000mlにあけて結晶を析出させた、析出した結晶をろ過した後に、ろ別したウエットケーキ5gを水に150mlに入れ、ナフタレン10gをいれ液温を90℃で1時間加熱攪拌させた。その後室温に戻した後に、ろ別してチタニルフタロシアニン(1)9.5gを得た。
1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。
反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、アセトンで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃下撹拌、溶解し、濾過した。得られた硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを得た。
この水ペーストにテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下で撹拌し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキ98部を得た。
これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン(2)結晶78部を得た。(特開2004−233465号公報記載のチタニルフタロシアニン合成法に従って合成。)
シリコン無反射板にオキシチタニウムフタロシアニンを付着させ、それを風乾しX線回折の検体試料とした。検体試料を測定する場合は、粉末法にて測定しX線源としてCuKα(波長1.54178Å)を用い、測定条件は以下のとおりである。
X線回折装置 フリップス社製 X’Pert
測定条件 X線管球 Cu
走査範囲 4°〜35°
管電圧 45kv
管電流 40mA
ステップ角度 0.01度
計数時間 20秒
受光スリット、発散スリット 可変型
照射幅 20mm
図2によると、感光層から抽出されたオキシチタニウムフタロシアニン(1)は、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークが確認された。図2では、27.2°が最大回折ピークであり、他の回折ピーク強度はいずれも27.2°の回折ピークに対して30%以下の強度であった。
得られた分散体4gをテトラヒドロフラン400mlに入れ、高速ディスパーを用い溶解させ単層感光体用のCGM組成物を作成した。この中に前記バインダー樹脂48gと一般式(1)の具体化合物、下記の式(3−1)で表される化合物17.5gと前記式(6)表される化合物35.0gを入れ、さらに高速ディスパーで溶解させ単層感光体用の塗工液を調製した。
前記塗工液中の電子輸送剤と正孔輸送剤の重量比は、1:0.7、樹脂:電荷移動剤比率は1:1.2である。
直径30mmのアルミニウムからなる円筒ドラムを負帯電単層感光体塗工液中に浸漬塗工し、120℃で60分乾燥し膜厚25.0μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、前記式(3−1)の化合物を、下記の式(A)の化合物に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において、前記(3−1)の化合物を、下記の式(B)の化合物に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において、前記式(3−1)の化合物を、下記の式(C)の化合物に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において、前記式(6)の電子輸送剤の代わりに、下記の式(D)の電子輸送剤であること以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において、前記式(6)の電子輸送剤の代わりに、下記の式(E)の電子輸送剤であること以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において用いた電子輸送剤と正孔輸送剤の重量比を、1:0.4になるように材料を配合した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において用いた電子輸送剤と正孔輸送剤の重量比を、1:1.2になるように材料を配合した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において用いた樹脂:電荷移動剤比率を1:0.6になるように材料を配合した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1において用いた樹脂:電荷移動剤比率を1:1.5になるように材料を配合した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いられた電荷発生剤に代えて、図3で表されるα型オキシチタニウムフタロシアニンを用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
電子写真感光体評価装置(山梨電子工業社製)を用い、実施例、比較例で作製された電子写真感光体を温度23℃、湿度50%の環境下(N/N)で、スコロトロン方式で感光体への放電電流25μAを流した時の感光体の表面電位(V0)を計測する。その後、表面電位が−700Vになるように放電電流を調節し、波長780nmの半導体レーザーで、1.0μJ/cm2の露光エネルギーを照射した時の感光体表面電位を残留電位(VL)としその結果を表1に示す。
これに対し、正孔輸送剤を本願特許請求範囲外の物を用いた比較例1〜3は初期V0が低く、VLが高い、1万サイクル後ではV0、VLともに変化が大きく、感光体特性として満足できるものではなかった。
比較例4、5は本願特許請求範囲外の電子輸送剤を用いた感光体であって、初期V0は良好であるが、電子移動度が小さいために十分な電子の移動ができない。そのために、初期VLが悪くなっている。また1万サイクル後においては、電子トラップの影響でVLが更に高くなり、十分な特性を得ることができていない。
比較例6の感光体は、感光体中の正孔輸送剤と電子輸送剤比率を本願特許請求範囲外で作成した物で、正孔輸送剤の比率が低くなっているため十分な正孔移動ができておらず、初期VLが高く、満足できる感光体特性が得られない。
比較例7の感光体は、感光体中の正孔輸送剤と電子輸送剤の比率を本願特許請求範囲外で作成した物で、正孔輸送剤の比率が高い感光体である、初期V0、VLは満足できる特性を示すが、正孔輸送、電子輸送のバランスが悪くなり、1万サイクル後には、VLが高くなり、十分な耐久性が得られていない。
比較例8の感光体は、感光体中の樹脂と電荷輸送剤の比率を本願特許請求範囲外で作成した物で、電荷輸送剤の比率が低い感光体である、初期V0、VLは満足出来る特性を示すが、正孔輸送、電子輸送が悪くなり、1万サイクル後には、VLが高くなり、十分な耐久性が得られていない。
比較例9の感光体は、感光体中の樹脂と電荷輸送剤の比率を本願特許請求範囲外で作成した物で、電荷輸送剤の比率が高い感光体である、初期V0、VLは満足出来る特性を示すが、電荷輸送剤の比率が高い為、1万サイクル後には、V0が低くなり、十分な耐久性が得られていない。
比較例10の感光体は、異なる電荷発生効率CGMを適用しているためか、初期VLが非常に大きい。
評価指標としては、画像評価において○地汚れ、残像が無い、△地汚れ、残像が軽度に発生、×地汚れ、残像が激しく発生
解像度はSP C220(積層型感光体搭載)の出荷状態に於けるハーフトーン画像パターンのトナー像の再現性、散乱性にたいして、◎:優れている、○:同等である、△:トナー像太りが有る又は散乱している、×:トナー像に再現性又は形成できない。
比較例1〜3の感光体は本発明請求範囲外の正孔輸送剤を用いた物で、正孔輸送剤と電子輸送剤の相性が悪く帯電性が劣るため、地汚れが発生している。
比較例4〜5の感光体は本発明請求範囲外の電子輸送剤を用いているため、電子移動度が小さいので、残留電位が高く画像を形成することができない。
比較例6〜9の感光体は本発明請求範囲外の材料比率であるが、正孔輸送剤、電子輸送剤の相性が良いため、初期感光体特性が優れ、地汚れの発生がなく、転写バイアス800〜2000Vの間で残像発生がない良好な画像が得られている。
解像度評価において、本発明の構成範囲では、積層型感光体と同等以上の解像度が得られていることが分る。
1 単層分散型感光体(電子写真感光体)
2 導電性支持体
3 感光層
(図5について)
11 感光体
12 帯電部材
13 電源
14 露光装置
15 現像装置
16 転写ベルト
17 1次転写ローラー
18 定電圧電源
19 クリーナー
20 2次転写ローラー
22 定着ローラー
23 紙
Claims (11)
- 支持体上に、電荷発生剤と、正孔輸送剤及び電子輸送剤を合わせた電荷輸送剤と、バインダーとを含有する単一の感光層を設けたものであり、前記電荷発生剤にはブラッグ角27.3°に最大回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニンを含み、前記電荷輸送剤のうち前記正孔輸送剤が下記一般式(1)で表されるものであり、前記電子輸送剤のバインダーに対する重量比が35/65のときの、電界強度:2.5×105(V/cm)における電子移動度が5×10−8(cm2/V/S)以上の移動度を持つ化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、かつ他の回折ピーク強度が27.2°の回折ピーク強度に対して30%以下の強度のものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないものであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークを有することを特徴とする請求項5または6に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、レーザービームを用いて該電子写真感光体に静電潜像を形成させ、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーを用いて現像する現像手段と、電子写真感光体上のトナー像を転写体に転写する転写手段として定電圧制御転写システムを備え、そのシステムが、印加電圧800(V)以上2000(V)以下の定電圧で制御されていることを特徴とする電子写真装置電子写真装置。
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