JP2012154376A - クラッチ異常検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動クラッチの切断不良を適正に検出する。
【解決手段】ECU100は、変速機3のギア位置はニュートラル位置にあって、且つ、クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータ200が、自動クラッチ2を切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定部101と、第1条件判定部101によって第1条件を満たすと判定された場合に、変速機3の入力軸31の回転数Niを検出する回転数検出部105と、変速機3の油温Tpを認識する温度認識部107と、回転数検出部105によって検出された変速機3の入力軸31の回転数Ni、及び、温度認識部107によって認識された変速機3の油温Tpに基づいて、自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する異常判定部109と、を備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチの異常を検出するクラッチ異常検出装置に関する。
従来、エンジンと変速機との間に介設され、クラッチストロークを変更することにより、接続状態と切断状態とを切り換えることによって、エンジンと変速機との間のトルクの伝達と遮断とを切り換える自動クラッチが搭載された車両が知られている。また、自動クラッチが搭載された車両において、自動クラッチの切断不良等の異常を検出する種々の装置、方法等が提案されている。
例えば、車両の停止条件が成立していてかつ変速機が走行用変速段とされている状態において、出力軸の回転数と入力軸の回転数との差が、所定時間、所定の閾値を下回ったことを検出したときに、クラッチ機構が切断不良であると判定するクラッチ制御装置が開示されている(特許文献1参照)。また、このクラッチ制御装置によって、切断不良であると判定された場合には、走行用変速段への切り替えが禁止される。
特開2008−202752号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のクラッチ制御装置では、車両の走行が可能な軽微な切断不良であっても、切断不良であると判定される虞がある。
すなわち、エンジンストール、シンクロメッシュ機構の磨耗等が発生しない程度の軽微な切断不良であって、車両の走行を継続することが可能な状態であっても、上記特許文献1に記載のクラッチ制御装置では、切断不良であると判定される虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、切断不良を適正に検出することの可能なクラッチ異常検出装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、以下のように構成されている。
すなわち、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチの異常を検出するクラッチ異常検出装置であって、前記変速機のギア位置はニュートラル位置にあって、且つ、前記クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータが、前記自動クラッチを切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段と、前記第1条件判定手段によって、前記第1条件を満たすと判定された場合に、前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記変速機の油温を認識する温度認識手段と、前記回転数検出手段によって検出された前記変速機の入力軸の回転数、及び、前記温度認識手段によって認識された前記変速機の油温に基づいて、前記自動クラッチが異常であるか否かを判定する異常判定手段と、を備える。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、変速機のギア位置はニュートラル位置にあって、且つ、クラッチアクチュエータが自動クラッチを切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たすと判定された場合に、変速機の入力軸の回転数が検出され、変速機の油温が認識される。そして、変速機の入力軸の回転数、及び、変速機の油温に基づいて、自動クラッチが異常であるか否かが判定されるため、切断不良を適正に検出することができる。
すなわち、変速機のギア位置はニュートラル位置にあって、クラッチアクチュエータが自動クラッチを切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たす場合には、自動クラッチが正常な状態であれば、変速機の入力軸は停止状態となる。しかしながら、自動クラッチにおいて切断不良が発生している場合には、エンジンからのトルク(伝達トルク=「引き摺りトルク」ともいう)が変速機の入力軸に伝達され、変速機の入力軸が回転することになる。また、変速機の入力軸の回転数が大きい程、上記伝達トルクが大きい。更に、変速機の油温が低い程、変速機中の油の粘度が高いため、上記伝達トルクが大きい。したがって、変速機の入力軸の回転数、及び、変速機の油温に基づいて、上記伝達トルクを推定することが可能となるため、自動クラッチが異常であるか否か(切断不良が発生しているか否か)を適正に判定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記回転数検出手段によって検出された前記変速機の入力軸の回転数、及び、前記温度認識手段によって認識された前記変速機の油温に基づいて、前記エンジンから前記自動クラッチを介して前記変速機の入力軸へ伝達されるトルクである伝達トルクを推定するトルク推定手段を更に備え、前記異常判定手段が、前記トルク推定手段によって推定された伝達トルクに基づいて、前記自動クラッチが異常であるか否かを判定することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、変速機の入力軸の回転数、及び、変速機の油温に基づいて、エンジンから自動クラッチを介して変速機の入力軸へ伝達されるトルクである伝達トルクが推定され、推定された伝達トルクに基づいて、自動クラッチが異常であるか否かが判定されるため、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記異常判定手段が、前記トルク推定手段によって推定された伝達トルクが、予め設定されたトルク閾値以上である場合に、前記自動クラッチが異常であると判定することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、推定された伝達トルクが、予め設定されたトルク閾値以上である場合に、自動クラッチが異常であると判定されるため、上記トルク閾値を適正な値に設定することによって、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記トルク推定手段が、前記変速機の入力軸の回転数が一定である場合には、前記変速機の油温が低い程、前記伝達トルクが大きい値であると推定することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、前記変速機の入力軸の回転数が一定である場合には、前記変速機の油温が低い程、前記伝達トルクが大きい値であると推定されるため、前記伝達トルクを適正に推定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記変速機の油温を検出する温度センサを更に備え、前記温度認識手段が、前記温度センサを介して前記変速機の油温を認識することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、温度センサによって変速機の油温が検出されるため、変速機の油温を正確に認識することができる。したがって、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記変速機の油温を推定する温度推定手段を更に備え、前記温度認識手段が、前記温度推定手段によって推定された変速機の油温を、前記変速機の油温として認識することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、変速機の油温が推定されるため、変速機の油温を検出する温度センサ等を配設する必要がないので、簡素な構成で、自動クラッチが異常であるか否かを適正に判定することができる。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記温度推定手段が、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、前記変速機の出力軸の回転数に基づいて温度上昇量を推定し、前記変速機の油温を推定することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、変速機の出力軸の回転数に基づいて温度上昇量が推定され、変速機の油温が推定されるため、変速機の油温を正確に推定することができる。したがって、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、エンジンが停止されて長期間(例えば、10時間以上)が経過すると、変速機の油温は、外気温及びエンジン水温に近い温度となる。そして、エンジンが始動した後は、変速機の出力軸の回転数が大きい程、変速機内の出力軸側のギアによって変速機内の油が攪拌されるため、変速機の油温が上昇することになる。したがって、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、変速機の出力軸の回転数に基づいて温度上昇量を正確に推定することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記温度推定手段が、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、前記エンジン始動時からの走行距離に基づいて温度上昇量を推定し、前記変速機の油温を推定することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、エンジン始動時からの走行距離に基づいて温度上昇量が推定され、変速機の油温が推定されるため、変速機の油温を正確に推定することができる。したがって、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、エンジンが停止されて長期間(例えば、10時間以上)が経過すると、変速機の油温は、外気温及びエンジン水温に近い温度となる。また、走行距離は、変速機の出力軸の回転数を時間的に積算した値と比例関係にある。よって、エンジンが始動した後は、走行距離が長い程、変速機内の出力軸側のギアによって変速機内の油が攪拌されるため、変速機の油温が上昇することになる。したがって、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、エンジン始動時からの走行距離に基づいて温度上昇量を正確に推定することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記自動クラッチが搭載された車両は停車中であり、且つ、前記エンジンはアイドリング状態にあるとの第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段を更に備え、前記回転数検出手段が、前記第1条件判定手段によって前記第1条件を満たすと判定され、且つ、前記第2条件判定手段によって前記第2条件を満たすと判定された場合に限って、前記変速機の入力軸の回転数を検出することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、上記第1条件を満たすと判定され、且つ、自動クラッチが搭載された車両が停車中であり、且つ、エンジンがアイドリング状態にあるとの第2条件を満たすと判定された場合に限って、変速機の入力軸の回転数が検出され、自動クラッチが異常であるか否かの判定が行われるため、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、車両が走行中である場合には、エンジンからの変速機の入力軸に伝達されるトルク(伝達トルク)は、変速機のギア位置がニュートラル位置にあっても、車両の振動等によって変化する。また、上記伝達トルクは、アイドリング状態ではない場合には、エンジン回転数、及び、エンジンの出力トルクによって変化する。したがって、上記第1条件を満たすと判定され、且つ、上記第2条件を満たすと判定された場合に限って、変速機の入力軸の回転数が検出され、自動クラッチが異常であるか否かの判定が行われるため、上記伝達トルクが変動する要因を排除した状態で、自動クラッチが異常であるか否かの判定が行われるので、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記第1条件判定手段によって前記第1条件を満たすと判定され、且つ、前記第2条件判定手段によって前記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間が経過したか否かを判定する時間判定手段と、前記時間判定手段によって前記待機時間が経過したと判定された場合に、前記変速機の入力軸が回転しているか否かを判定する回転判定手段とを更に備え、前記回転数検出手段が、前記回転判定手段によって前記変速機の入力軸が回転していると判定された場合に限って、前記変速機の入力軸の回転数を検出することが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間が経過したか否かが判定され、待機時間が経過したと判定された場合に、変速機の入力軸が回転しているか否かが判定される。そして、変速機の入力軸が回転していると判定された場合に限って、変速機の入力軸の回転数が検出されるため、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された直後では、自動クラッチが正常である場合にも、変速機の入力軸が回転していることがある。例えば、上記第1条件及び上記第2条件のうち、「クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータが、自動クラッチを切断状態とするべく動作している」との条件が最後に満たされた場合には、この条件が満たされるまで、エンジンの出力軸によって自動クラッチを介して変速機の入力軸が回転駆動されている。したがって、この場合には、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された直後では、自動クラッチが正常である場合にも、変速機の入力軸が惰性で回転していることがある。
つまり、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間が経過した場合に、自動クラッチが正常であるときには、変速機の入力軸が回転していることがないように、上記待機時間を、適正な値(例えば、3秒)に設定する。更に、上記待機時間が経過したと判定された場合に、変速機の入力軸が回転しているか否かが判定される。そして、変速機の入力軸が回転していると判定された場合に限って、変速機の入力軸の回転数が検出されるため、自動クラッチが正常であるときには、変速機の入力軸の回転数が検出されることはないので、自動クラッチが異常であるか否かを更に適正に判定することができるのである。
また、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、前記自動クラッチが、前記変速機の入力軸の外径側に同心状に配設され、ダイアフラムスプリングの内径部分に当接されるレリーズベアリングを前記入力軸の軸方向に往復変位させる油圧式クラッチレリーズ機構を備え、前記クラッチアクチュエータが、前記油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧を制御する油圧制御機構を含むことが好ましい。
かかる構成を備えるクラッチ異常検出装置によれば、クラッチアクチュエータの油圧制御機構によって、油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧が制御され、油圧式クラッチレリーズ機構によって、変速機の入力軸の外径側に同心状に配設され、ダイアフラムスプリングの内径部分に当接されるレリーズベアリングが入力軸の軸方向に往復変位されるため、自動クラッチが異常であるか否かを適正に判定することができるとの本発明の効果が更に顕在化する。
すなわち、上記クラッチアクチュエータの油圧制御機構によって、油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧が制御されて、レリーズベアリングが入力軸の軸方向に往復変位される場合には、上記クラッチアクチュエータの油圧制御機構によって、油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧が正常に制御されている場合であっても、例えば、油圧式クラッチレリーズ機構において作動油漏れ等の異常が発生している場合には、自動クラッチが異常となる。また、このような場合には、上記クラッチアクチュエータの油圧制御機構によって、油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧は正常に制御されているため、自動クラッチが異常であることを検出するセンサ等を配設することは困難である。したがって、自動クラッチが異常であるか否かを適正に判定することができるとの本発明の効果が更に顕在化するのである。
本発明に係るクラッチ異常検出装置によれば、変速機の入力軸の回転数、及び、変速機の油温に基づいて、エンジンから変速機の入力軸に伝達されるトルクである伝達トルクを推定することが可能となるので、自動クラッチが異常であるか否かを適正に判定することができる。
本発明が適用される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。 自動クラッチ及び変速機の構成の一例を示す図である。 図2の自動クラッチが接続状態であるときの油圧式クラッチレリーズ機構の状態の一例を示す断面図である。 図2の自動クラッチが切断状態であるときの油圧式クラッチレリーズ機構の状態の一例を示す断面図である。 変速操作装置のゲート機構及びアクチュエータの一例を示す構成図である。 シフト装置のシフトゲートの一例を示す平面図である。 ECUの機能構成の一例を示す機能構成図である。 伝達トルクと入力軸回転数及び変速機油温との関係の一例を示すグラフである。 ECUの動作の一例を示すフローチャートである。 ECUの油温推定処理の一例を示す詳細フローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本実施形態に係る車両のパワートレーンについて図1を参照して説明する。図1は、本発明が適用される車両のパワートレーン及びその制御系の一例を示す構成図である。このパワートレーンの制御は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)100によって実行される。なお、具体的には、ECU100は、例えば、エンジンECU、変速機ECU、自動クラッチECU等から構成され、これらのECUは互いに通信可能に接続されている。
また、図1に示すように、本実施形態に係る車両のパワートレーンは、エンジン1と、自動クラッチ2と、変速機3と、ECU100とを備えている。以下、エンジン1、自動クラッチ2、変速機3、及び、ECU100について順次説明する。
−エンジン1−
エンジン1は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関であって、その出力軸であるクランクシャフト11は、自動クラッチ2のフライホイール21(図2参照)に連結されている。また、クランクシャフト11の回転数(エンジン回転数Ne)は、エンジン回転数センサ401によって検出される。
エンジン1に吸入される空気量は、スロットルバルブ12によって制御される。スロットルバルブ12の開度(スロットル開度)は、ドライバによるアクセルペダルの操作とは独立して、ECU100によって制御することが可能に構成され、スロットル開度はスロットル開度センサ402によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度は、ECU100によって制御される。具体的には、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン回転数Ne、及び、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の運転状態に応じて、適正な吸入空気量(目標吸気量)を吸入するべく、ECU100は、スロットルバルブ12のスロットル開度を制御する。
−自動クラッチ2−
図2、図3及び図4を参照して自動クラッチ2の構成について説明する。図2は、自動クラッチ2及び変速機3の構成の一例を示す図である。図3は、図2の自動クラッチ2が接続状態であるときの油圧式クラッチレリーズ機構210の状態の一例を示す断面図である。図4は、図2の自動クラッチ2が切断状態であるときの油圧式クラッチレリーズ機構210の状態の一例を示す断面図である。
まず、図2を参照して、自動クラッチ2の構成の概略について説明する。自動クラッチ2は、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間に介設されており、必要に応じてクランクシャフト11と入力軸31とを動力伝達可能な状態である継合状態(図3参照)、動力伝達不可能な状態である切断状態(図4参照)あるいは、滑りを伴う状態である半継合状態(いわゆる半クラッチ)にするものである。また、自動クラッチ2は、図2に示すように、公知の単板乾式構造のクラッチ機構20を備えている。更に、クラッチ機構20は、フライホイール21、クラッチディスク22、プレッシャープレート23、及び、ダイアフラムスプリング24を備えている。
フライホイール21は、クランクシャフト11の後端(図2では右端)に連結されている。クラッチディスク22は、変速機3の入力軸31の先端(図2では左端)に、一体して回転可能で、且つ、軸方向に変位可能にスプライン嵌合されることによって、フライホイール21に対向して配置されている。プレッシャープレート23は、クラッチディスク22に対向して配置される環状板からなり、ダイアフラムスプリング24の外周部分に取り付けられている。
ダイアフラムスプリング24は、自然状態(外力が作用していない状態)において、プレッシャープレート23をフライホイール21側に近付ける向き(図2では左向き)に押圧して、プレッシャープレート23でクラッチディスク22をフライホイール21に圧接させ、自動クラッチ2を継合状態とするものである。また、後述するレリーズベアリング220によって、ダイアフラムスプリング24の内径側が軸方向に押圧されることによって反転されたとき(図4参照)には、ダイアフラムスプリング24は、プレッシャープレート23をフライホイール21から離間させる向き(図2では右向き)に引き離して、クラッチディスク22をフライホイール21から引き離し、自動クラッチ2を切断状態とする。
クラッチアクチュエータ200は、クラッチ機構20を作動させるためのアクチュエータであって、必要に応じて、クラッチ機構20のプレッシャープレート23を軸方向(図2の左右方向)に変位させることによって、自動クラッチ2(クラッチ機構20)を、継合状態と切断状態と半継合状態とにするべく動作させるもので、図2に示すように、油圧式クラッチレリーズ機構210と、油圧制御機構230とを備えている。
図2に示すように、油圧式クラッチレリーズ機構210は、クラッチ機構20のダイアフラムスプリング24の内径部分に当接されるレリーズベアリング220を、変速機3の入力軸31の外径側において軸方向に変位させるものである。
油圧式クラッチレリーズ機構210は、外形が略円筒形状とされており、変速機3の入力軸31の外周側に同心状に配設されるもので、図3、図4に示すように、インナースリーブ211と、アウタースリーブ239と、ピストン216と、予圧スプリング217と、レリーズベアリング220とを有している。以下、図3、図4を参照して、油圧式クラッチレリーズ機構210の構成について説明する。
インナースリーブ211は、変速機3の入力軸31の外周側に非接触状態で、変速機3の入力軸31を包囲して配設されるものであって、その軸方向基端側(図3、図4では右端側)には、変速機ケース(図示省略)に対する取付片として、径方向外向きに延びる円板部212が設けられている。
アウタースリーブ239は、インナースリーブ211の外周側に環状空間を形成するべくインナースリーブ211を包囲して配置されるものであって、その軸方向基端側(図3、図4では右端側)には、図示省略の変速機ケースに固定される厚肉大径部213が設けられており、また、その軸方向先端側(図3、図4では左端側)には、径方向内向きの屈曲片214が設けられている。厚肉大径部213には、油圧制御機構230のマスタシリンダ235(図2参照)との間で作動油を送受するための油通路215が設けられている。
ピストン216は、インナースリーブ211とアウタースリーブ239とが対向して形成されている環状空間内に、軸方向に変位可能に嵌入されている。このピストン216の軸方向先端側(図3、図4では左端側)の外径側に形成された薄肉の小径部には、レリーズベアリング220の内輪の内径側が外嵌されている。レリーズベアリング220は、板ばね219によって抜け止めされている。
予圧スプリング217は、アウタースリーブ239の厚肉大径部213の壁面と、レリーズベアリング220の内輪の端面と、の間に圧縮状態で介設されており、予圧スプリング217の弾性復元力によって、レリーズベアリング220の端面(図3、図4では左端側端面)をダイアフラムスプリング24の内径側に当接させるべく常時付勢して「がた」を無くすものである。また、予圧スプリング217とレリーズベアリング220の内輪の端面と、の間には、ばね座218が介設されている。
また、インナースリーブ211、アウタースリーブ239、及び、ピストン216で囲まれた環状の油圧室221は、第1シールリング222と第2シールリング223とで外部から密封されている。なお、第1シールリング222は、アウタースリーブ239の軸方向先端側(図3、図4では左端側)に取り付けられ、スリーブ224によって軸方向に位置決めされている。第2シールリング223は、ピストン216の軸方向後端側(図3、図4では右端側)に取り付けられている。
再び、図2に戻って、油圧制御機構230について説明する。油圧制御機構230は、必要に応じて、油圧式クラッチレリーズ機構210の油圧室221(図3、図4参照)に作動油圧を圧入して自動クラッチ2を切断状態にさせ、油圧室209に対する作動油圧の圧入を解除して自動クラッチ2を継合状態にさせ、又は、自動クラッチ2を半継合状態にさせるものであって、マスタシリンダ235、アクチュエータ231、及び、動力伝達機構232を含んで構成されている。
マスタシリンダ235は、油圧配管238及びアウタースリーブ239の油通路215(図3、図4参照)を介して油圧式クラッチレリーズ機構210の油圧室221(図3、図4参照)に接続されている。具体的に、マスタシリンダ235は、内部にピストン236が往復移動可能に収容されており、アクチュエータ231の作動に伴うピストン236の往復移動に伴って発生する油圧を、油圧配管238及びアウタースリーブ239の油通路215(図3、図4参照)を介して油圧室221(図3、図4参照)に作用させる構成となっている。
また、マスタシリンダ235の軸心方向(図2では左右方向)における中央部にはリザーバタンク237が接続されている。このため、ピストン236がリザーバタンク237の接続位置よりも油圧配管238側に前進している状態では、油圧室221とリザーバタンク237とが遮断されていることで、マスタシリンダ235から油圧室221(図3、図4参照)までの油路が密閉空間(閉回路)となり、ピストン236の前進移動に伴って油通路215(図3、図4参照)から油圧室221への油圧の印加が可能となる。一方、ピストン236がリザーバタンク237の接続位置よりも動力伝達機構232側(図2では右側)に後退している状態では、上記油通路215がリザーバタンク237に開放されていることで、油通路215及び油圧室221への油圧の印加が解除されることになる。
アクチュエータ231は、例えば、電動モータ等からなる。動力伝達機構232は、アクチュエータ231で発生する回転動力を減速するとともに、マスタシリンダ235のピストン236を直線的に往復変位させる駆動力に変換するものである。動力伝達機構232の詳細な構成は図示していないが、複数の歯車等を組み合わせた構成であって、直線駆動力(直線的に往復変位させる駆動力)の出力部分に、マスタシリンダ235のピストン236に連結されるプッシュロッド233が配設されている。
上述した自動クラッチ2による基本的な動作については公知であるが、以下に簡単に説明する。なお、シフトレバー91(図1参照)で、シフトゲート92のニュートラルポジション(図6の「N」)が選択されているときは、自動クラッチ2は、切断状態となるように、ECU100によって制御される。また、走行している車両を停止させて、走行用変速段が保持されたままの状態であっても、自動クラッチ2は切断状態となるように、ECU100によって制御される。
仮に、手動操作モードでシフトレバー91(図1参照)が、ニュートラルポジションから走行用シフトポジション(例えば、1速(1st))に変更されると、この選択された走行用シフトポジションに対応する走行用変速段を成立させるように変速機3の変速動作が行われる。そして、変速動作の後、自動クラッチ2が接続状態とされ、車両が発進して走行している際に、シフトレバー91によりシフトポジションが他の走行用シフトポジション(例えば、2速(2nd))に変更されると、変速機3の変速動作を行う前に、自動クラッチ2が、一旦、切断状態とされる。
接続状態(図3参照)から切断状態への自動クラッチ2の動作について、以下に、図2〜図4を参照して説明する。まず、図2に示すように、油圧制御機構230のアクチュエータ231が所定方向(例えば、時計回り)に回転駆動されることによって、マスタシリンダ235のピストン236が押圧されて、ピストン236がリザーバタンク237の接続位置よりも油圧配管238側に前進されて、油通路215(図3、図4参照)とリザーバタンク237とを遮断した状態にされて、マスタシリンダ235内で油圧が発生される。
なお、動力伝達機構232のプッシュロッド233の移動ストロークは、ストロークセンサ407で検出され、この検出出力に基づき、アクチュエータ231がフィードバック制御されることによって、マスタシリンダ235のピストン236のストロークが制御される。また、本実施形態における自動クラッチ2では、レリーズベアリング220の周囲にはストロークセンサが配設されておらず、クラッチストローク位置は、ストロークセンサ407の検出信号に基づいて推定されるようになっている。
ピストン236の押圧によって、マスタシリンダ235内の作動油圧が油圧配管238及び油通路215(図3、図4参照)を通じて、油圧式クラッチレリーズ機構210の油圧室221へ印加される。そして、図4に示すように、油圧式クラッチレリーズ機構210のピストン216がフライホイール21側(図4の左側)へ駆動されて移動し、レリーズベアリング220がダイアフラムスプリング24を反転させる。そして、図2に示すプレッシャープレート23がフライホイール21から引き離されることになり、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間のトルクの伝達が不可能な状態となって、自動クラッチ2が切断状態(図4参照)となる。
このように、自動クラッチ2を切断状態とした後、シフトレバー91によって変更されたシフトポジションを成立させるように変速機3の変速動作が行われる。この変速動作によって要求のシフトポジションが成立されると、自動クラッチ2は、接続状態(図3参照)に戻される。
切断状態(図4参照)から接続状態(図3参照)への自動クラッチ2の切り換え動作について、以下に、図2〜図4を参照して説明する。まず、図2に示すように、油圧制御機構230のアクチュエータ231が上記所定方向と逆方向(例えば、反時計回り)に回転駆動されることによって、マスタシリンダ235のピストン236に対する押圧が解除され、ピストン236がリザーバタンク237の接続位置よりも動力伝達機構232側に後退されて、油通路215とリザーバタンク237とを連通させた状態にされて、マスタシリンダ235内で発生させていた油圧が解除される。この場合にも、動力伝達機構232のプッシュロッド233の移動ストロークはストロークセンサ407によって検出される。
マスタシリンダ235内で発生させていた油圧が解除されるため、図3に示すように、ダイアフラムスプリング24の弾性復元力によってレリーズベアリング220が押し戻されると共に、油圧式クラッチレリーズ機構210のピストン216がフライホイール21と離間する側(図4の右側)に戻されることになる。そこで、油圧室221内の作動油が油通路215及び油圧配管238を経て、マスタシリンダ235及びリザーバタンク237に戻される。そして、図2に示すダイアフラムスプリング24の弾性復元力によってプレッシャープレート23がフライホイール21側(図2の左側)へ押圧され移動されるので、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間のトルクの伝達が可能な状態となって、自動クラッチ2が接続状態(図3参照)となる。
このようにして、クラッチアクチュエータ200の油圧制御機構230によって、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧が制御され、油圧式クラッチレリーズ機構210によって、変速機3の入力軸31の外径側に同心状に配設され、ダイアフラムスプリング24の内径部分に当接されるレリーズベアリング220が入力軸31の軸方向に往復変位されるため、自動クラッチ2が異常であるか否かを適正に判定することができるとの本発明の効果が更に顕在化する。
すなわち、上記クラッチアクチュエータ200の油圧制御機構230によって、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧が制御されて、レリーズベアリング220が入力軸31の軸方向に往復変位される場合には、上記クラッチアクチュエータ200の油圧制御機構230によって、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧が正常に制御されている場合であっても、例えば、油圧式クラッチレリーズ機構210において作動油漏れ等の異常が発生している場合には、自動クラッチ2が異常となる。また、このような場合には、上記クラッチアクチュエータ200の油圧制御機構230によって、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧は正常に制御されているため、自動クラッチ2が異常であることを検出するセンサ等を配設することは困難である。したがって、自動クラッチ2が異常であるか否かを適正に判定することができるとの本発明の効果が更に顕在化するのである。
−変速機3−
次に、変速機3について図1、図2、及び、図5を参照して説明する。図5は、変速操作装置のゲート機構及びアクチュエータの一例を示す構成図である。変速機3は、例えば、前進5段、後進1段の平行歯車式変速機などの一般的なマニュアルトランスミッションと同様の構成を有している。変速機3の入力軸31は、クラッチ機構20のクラッチディスク22に連結されている(図2参照)。
また、図1に示すように、変速機3は、入力側ギア群33、及び、出力側ギア群34を備えている。入力側ギア群33は、入力軸31に連結され、出力側ギア群34は、出力軸32に連結されている。更に、後述する変速操作装置300によって、入力側ギア群33のいずれか1つのギアと、出力側ギア群34のいずれか1つのギアとが噛合されて、噛合されたギアに対応するギア段が選択される。加えて、変速機3の出力軸32の回転トルクは、ドライブシャフト4、ディファレンシャルギア5及び車軸6等を介して駆動輪7に伝達される。
また、変速機3の内部には、入力側ギア群33と、出力側ギア群34と、の間等での摩擦熱の発生を抑制すると共に、発生した摩擦熱を吸収する潤滑油が充填されている。なお、前記潤滑油は、出力側ギア群34の回転に伴って、入力側ギア群33と、出力側ギア群34との噛合箇所へ供給されるものである。
変速機3の入力軸31の回転数(クラッチ機構20の出力側回転数)は、入力軸回転数センサ403によって検出される。また、変速機3の出力軸32の回転数は、出力軸回転数センサ404によって検出される。これら入力軸回転数センサ403及び出力軸回転数センサ404の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)に基づいて、変速機3のギア段を判定することができる。
本実施形態に係る変速機3には、シフトフォーク及びセレクトアンドシフトシャフト等を有する変速操作装置300が設けられており、全体としてギア変速操作を自動的に行う自動化マニュアルトランスミッション(AMT:Automatic Manual Transmission)を構成している。
変速操作装置300には、図5に示すように、セレクト方向の操作(セレクト操作)を行う油圧式のセレクトアクチュエータ301、シフト方向の操作(シフト操作)を行う油圧式のシフトアクチュエータ302、及び、アクチュエータ301、302に供給する作動油の油圧を制御する油圧回路303を備えている。
変速操作装置300には、ギア段を規定するシフト位置を有する複数のゲートがセレクト方向に沿って配列されている。具体的には、例えば、図5に示すように、1速(1st)と2速(2nd)とを規定する第1ゲート311、3速(3rd)と4速(4th)とを規定する第2ゲート312、及び、5速(5th)と後退(Rev)とを規定する第3ゲート313がセレクト方向に沿って配列されている。
そして、第1ゲート311〜第3ゲート313のうち、いずれか1つのゲート(例えば第1ゲート311)を、セレクトアクチュエータ301の駆動によって選択した状態で、シフトアクチュエータ302を駆動することによって、ギア段の切り換え(例えばニュートラル(N)→1速(1st))を行うことができる。
油圧回路303には、励磁コイルへの通電により弁体を動作させるソレノイドバルブ等が設けられており、このソレノイドバルブに配設された励磁コイルへの通電又は非通電を行うことによって、セレクトアクチュエータ301及びシフトアクチュエータ302への油圧の印加又は油圧の解放を制御する。
また、変速操作装置300の油圧回路303には、ECU100からのソレノイド制御信号(油圧指令値)が入力される。そして、油圧回路303は、ECU100から入力されたソレノイド制御信号に基づいて、セレクトアクチュエータ301及びシフトアクチュエータ302をそれぞれ個別に駆動制御する。その結果として、変速機3のセレクト操作及びシフト操作が実行される。また、これらのセレクト操作量及びシフト操作量は、シフト・セレクトストロークセンサ408(図7参照)によって検出される。
−シフト装置9−
次に、シフト装置9について、図1、図6を参照して説明する。図6は、シフト装置9のシフトゲート92の一例を示す平面図である。一方、図1に示すように、車両の運転席の近傍には、シフト装置9が配設されている。このシフト装置9にはシフトレバー91が変位操作可能に設けられている。
また、このシフト装置9には、図6に示すように、パーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、及び、シーケンシャル(S)位置を有するシフトゲート92が形成されており、ドライバが所望の変速位置へシフトレバー91(図1参照)を変位させることが可能に構成されている。これらのパーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置及び「−」位置も含む)の各変速位置は、シフトポジションセンサ406(図7参照)によって検出される。
例えば、シフトレバー91がシフトゲート92の「ドライブ(D)位置」に操作されている場合には、車両の運転状態などに応じて、変速機3の複数の前進ギア段(前進5速)が自動的に変速制御される。つまり、オートマチックモードでの変速動作が行われる。
一方、シフトレバー91がシフトゲート92の「シーケンシャル(S)位置」に操作されている場合に、シフトレバー91がシフトゲート92のS位置を中立位置として「+」位置又は「−」位置に操作されると、変速機3の前進ギア段がアップ又はダウンされる。具体的には、シフトゲート92における「+」位置へのシフトレバー91の1回操作ごとに、ギア段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→…→5th)される。一方、シフトゲート92における「−」位置へのシフトレバー91の1回操作ごとにギア段が1段ずつダウン(例えば5th→4th→…→1st)される。
−ECU100−
次に、図1、及び、図7を参照して、ECU100の構成について説明する。図7はECU100の機能構成の一例を示す機能構成図である。ここで、ECU100は、スロットルモータ121、クラッチアクチュエータ200、及び、変速操作装置300等を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、バックアップRAMを備えている。
ROMには、各種制御プログラム、及び、各種制御プログラムを実行する際に参照されるテーブルデータ(又は、マップデータ)等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムを読み出して実行することによって種々の処理を行う。また、RAMは、CPUでの処理の結果、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時に、保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU100には、エンジン回転数センサ401、スロットル開度センサ402、入力軸回転数センサ403、出力軸回転数センサ404、アクセルペダル8の開度を検出するアクセル開度センサ405、シフト装置9のシフト位置を検出するシフトポジションセンサ406、自動クラッチ2のクラッチストロークを検出するストロークセンサ407、及び、シフト・セレクトストロークセンサ408、エンジン1の冷却水の水温を検出する冷却水温センサ409、車両の走行速度を検出する車速センサ(図示省略)などが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
また、ECU100には、制御対象として、スロットルバルブ12を開閉するスロットルモータ121、自動クラッチ2のクラッチアクチュエータ200、及び、変速機3の変速操作装置300などが接続されている。
ECU100は、上記各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ12の開度制御を含むエンジン1の各種制御を実行する。また、ECU100は、変速機3の変速時等において自動クラッチ2のクラッチアクチュエータ200に制御信号を出力して、自動クラッチ2に切断動作及び接続動作を行わせる。更に、ECU100は、上記各種センサの出力信号に基づいて、変速機3の変速操作装置300に制御信号(油圧指令値)を出力して、変速機3のギア段を切り換える変速制御を行う。
また、ECU100において、CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、機能的に、第1条件判定部101、第2条件判定部102、時間判定部103、回転判定部104、回転数検出部105、温度推定部106、温度認識部107、トルク推定部108、及び、異常判定部109として機能する。なお、本発明に係るクラッチ異常検出装置は、第1条件判定部101、第2条件判定部102、時間判定部103、回転判定部104、回転数検出部105、温度推定部106、温度認識部107、トルク推定部108、及び、異常判定部109等で構成されている。
第1条件判定部101は、変速機3のギア位置がニュートラル位置にあって、且つ、クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータ200が、自動クラッチ2を切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たすか否かを判定する機能部である。ここで、第1条件判定部101は、特許請求の範囲に記載の第1条件判定手段の一部に相当する。具体的には、第1条件判定部101は、シフトポジションセンサ406の検出信号に基づいて、変速機3のギア位置がニュートラル位置にあるか否かを判定する。また、第1条件判定部101は、ストロークセンサ407の検出信号に基づいて、クラッチアクチュエータ200が、自動クラッチ2を切断状態とするべく動作しているか否かを判定する。
第2条件判定部102は、自動クラッチ2が搭載された車両は停車中であり、且つ、エンジン1がアイドリング状態にあるとの第2条件を満たすか否かを判定する機能部である。ここで、第2条件判定部102は、特許請求の範囲に記載の第2条件判定手段の一部に相当する。具体的には、第2条件判定部102は、図略の車速センサの検出信号に基づいて、自動クラッチ2が搭載された車両が停車中であるか否かを判定する。また、第2条件判定部102は、エンジン回転数センサ401の検出信号に基づいて、エンジン1がアイドリング状態にあるか否かを判定する。
本実施形態においては、第2条件判定部102が、車速センサの検出信号に基づいて、車両が停車中であるか否かを判定する場合について説明するが、第2条件判定部102が、出力軸回転数センサ404の検出信号に基づいて、車両が停車中であるか否かを判定する形態でもよい。
時間判定部103は、第1条件判定部101によって第1条件を満たすと判定され、且つ、第2条件判定部102によって第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間Tw(例えば、3秒)が経過したか否かを判定する機能部である。ここで、時間判定部103は、特許請求の範囲に記載の時間判定手段に相当する。
回転判定部104は、時間判定部103によって待機時間Tw(ここでは、3秒)が経過したと判定された場合に、変速機3の入力軸31が回転しているか否かを判定する機能部である。ここで、回転判定部104は、特許請求の範囲に記載の回転判定手段の一部に相当する。具体的には、回転判定部104は、入力軸回転数センサ403の検出信号に基づいて、変速機3の入力軸31が回転しているか否かを判定する。
回転数検出部105は、回転判定部104によって変速機3の入力軸31が回転していると判定された場合に限って、変速機3の入力軸31の回転数Niを検出する機能部である。ここで、回転数検出部105は、特許請求の範囲に記載の回転検出数手段の一部に相当する。具体的には、回転数検出部105は、入力軸回転数センサ403の検出信号に基づいて、変速機3の入力軸31の回転数Niを検出する。
このようにして、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間Tw(ここでは、3秒)が経過したか否かが判定され、待機時間Twが経過したと判定された場合に、変速機3の入力軸31が回転しているか否かが判定される。そして、変速機3の入力軸31が回転していると判定された場合に限って、変速機3の入力軸31の回転数Niが検出されるため、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、車両が走行中である場合には、エンジン1からの変速機3の入力軸31に伝達されるトルク(伝達トルク=「引き摺りトルク」ともいう)Trは、変速機3のギア位置がニュートラル位置にあっても、車両の振動等によって変化する。また、上記伝達トルクTrは、アイドリング状態ではない場合には、エンジン回転数Ne、及び、エンジン1の出力トルクTeによって変化する。したがって、上記第1条件を満たすと判定され、且つ、上記第2条件を満たすと判定された場合に限って、変速機3の入力軸31の回転数Niが検出され、自動クラッチ2が異常であるか否かの判定が行われるため、上記伝達トルクTrが変動する要因を排除した状態で、自動クラッチ2が異常であるか否かの判定が行われるので、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができるのである。
更に、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された直後では、自動クラッチ2が正常である場合にも、変速機3の入力軸31が回転していることがある。例えば、上記第1条件及び上記第2条件のうち、「クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータ200が、自動クラッチ2を切断状態とするべく動作している」との条件が最後に満たされた場合には、この条件が満たされるまで、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)11によって自動クラッチ2を介して変速機3の入力軸31が回転駆動されている。したがって、この場合には、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された直後では、自動クラッチ2が正常である場合にも、変速機3の入力軸31が惰性で回転していることがある。
つまり、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間Twが経過した場合に、自動クラッチ2が正常であるときには、変速機3の入力軸31が回転していることはないように、上記待機時間Twを、適正な値(例えば、3秒)に設定する。更に、上記待機時間Twが経過したと判定された場合に、変速機3の入力軸31が回転しているか否かが判定される。そして、変速機3の入力軸31が回転していると判定された場合に限って、変速機3の入力軸31の回転数Niが検出されるため、自動クラッチ2が正常であるときには、変速機3の入力軸31の回転数Niが検出されることはないので、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができるのである。
本実施形態では、回転数検出部105が、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定された時点を起点として待機時間Tw(ここでは、3秒)が経過した時点で、変速機3の入力軸31が回転していると判定されたときに限って、変速機3の入力軸31の回転数Niを検出する場合について説明したが、回転数検出部105が、上記第1条件及び上記第2条件を満たすと判定されたときに、変速機3の入力軸31の回転数Niを検出する形態でもよい。この場合には、処理が簡略化される。
温度推定部106は、変速機3の油温Tpを推定する機能部である。ここで、温度推定部106は、特許請求の範囲に記載の温度推定手段の一部に相当する。具体的には、温度推定部106は、エンジン1の始動時の外気温又はエンジン水温を初期値Tp0として、変速機3の出力軸32の回転数Noに基づいて温度上昇量ΔTpを推定し、変速機1の油温Tpを推定する。また、本実施形態においては、温度推定部106は、冷却水温センサ409の検出信号に基づいて、エンジン1の始動時のエンジン水温を、変速機3の油温Tpの初期値Tp0として推定する場合について説明する。
このようにして、エンジン1の始動時のエンジン水温を初期値Tp0とし、変速機3の出力軸32の回転数Noに基づいて温度上昇量ΔTpが推定され、変速機3の油温Tpが推定されるため、変速機3の油温Tpを正確に推定することができる。したがって、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、エンジン1が停止されて長期間(例えば、10時間以上)が経過すると、変速機3の油温Tpは、エンジン水温に近い温度となる。そして、エンジン1が始動した後は、変速機3の出力軸32の回転数が大きい程、変速機3内の出力軸32側のギアによって変速機3内の油が攪拌されるため、変速機3の油温が上昇することになる。したがって、エンジン1の始動時のエンジン水温を初期値Tp0として、変速機3の出力軸32の回転数Noに基づいて温度上昇量ΔTpを正確に推定することができるのである。つまり、温度推定部106は、次の(1)式に基づいて、変速機3の油温Tpを推定する。
(油温Tp)=(初期値Tp0)+(温度上昇量ΔTp) (1)
本実施形態においては、温度推定部106が、冷却水温センサ409の検出信号に基づいて、エンジン1の始動時のエンジン水温を、変速機1の油温Tpの初期値Tp0として推定する場合について説明するが、温度推定部106が、外気温を検出する外気温センサ(図示省略)の検出信号に基づいて、エンジン1の始動時の外気温を、変速機1の油温Tpの初期値Tp0として推定する形態でもよい。
更に、温度推定部106が、冷却水温センサ409の検出信号及び外気温を検出する外気温センサ(図示省略)の検出信号に基づいて、変速機1の油温Tpの初期値Tp0を推定する形態でもよい。この場合には、変速機1の油温Tpの初期値Tp0を更に正確に推定することが可能となる。
すなわち、エンジン1が停止されて長期間(例えば、10時間以上)が経過すると、変速機3の油温Tp及びエンジン水温は、外気温に近い温度となる。一方、エンジン水温は、熱容量が大きいため、変速機3の油温Tpよりも外気温に近付くのに長時間を要すると考えられる。したがって、エンジン1が停止されてからの経過時間が短い(例えば、30分〜2時間程度)場合には、外気温とエンジン水温の低下量とに基づいて、変速機3の油温Tpの低下量を推定することができるのである。
本実施形態においては、温度推定部106が、変速機3の出力軸32の回転数Noに基づいて温度上昇量ΔTpを推定する場合について説明するが、温度推定部106が、エンジン始動時からの走行距離Dtに基づいて温度上昇量ΔTpを推定する形態でもよい。
この場合には、エンジン1の始動時からの走行距離Dtに基づいて温度上昇量ΔTpが推定され、変速機3の油温Tpが推定されるため、変速機3の油温Tpを正確に推定することができる。したがって、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、走行距離Dtは、変速機3の出力軸32の回転数Noを時間的に積算した値と比例関係にある。よって、エンジン1が始動した後は、走行距離Dtが長い程、変速機3内の出力軸32側のギアによって変速機3内の油が攪拌されるため、変速機3の油温Tpが上昇することになる。したがって、エンジン1の始動時からの走行距離Dtに基づいて温度上昇量ΔTpを正確に推定することができるのである。
温度認識部107は、変速機3の油温Tpを認識する機能部である。ここで、温度認識部107は、特許請求の範囲に記載の温度認識手段に相当する。具体的には、温度認識部107は、温度推定部106によって推定された変速機3の油温Tpを、変速機3の油温Tpとして認識する。
このようにして、変速機3の油温Tpが推定されるため、温度センサ等を配設する必要がないので、簡素な構成で、自動クラッチ2が異常であるか否かを適正に判定することができる。
本実施形態では、温度認識部107が、温度推定部106によって推定された変速機3の油温Tpを、変速機3の油温Tpとして認識する場合について説明するが、温度認識部107が、変速機3の油温Tpを検出する温度センサであるトランスミッション油温センサ410を介して、変速機3の油温Tpとして認識する形態でもよい。
この場合には、温度センサ(トランスミッション油温センサ410)によって変速機3の油温Tpが検出されるため、変速機3の油温Tpを正確に認識することができる。したがって、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。なお、この場合には、ECU100に図2に示すトランスミッション油温センサ410が接続されており、トランスミッション油温センサ410からの信号がECU100に入力される必要がある。また、図2に示すように、トランスミッション油温センサ410を、出力側ギア群34の下面近傍に配設することが好ましい。出力側ギア群34によって潤滑油が攪拌されることによって、潤滑油の温度が上昇するからである。
トルク推定部108は、回転数検出部105によって検出された変速機3の入力軸31の回転数Ni、及び、温度認識部107によって認識された変速機3の油温Tpに基づいて、エンジン1から自動クラッチ2を介して変速機3の入力軸31へ伝達されるトルクである伝達トルクTrを推定する機能部である。ここで、トルク推定部108は、特許請求の範囲に記載のトルク推定手段に相当する。
図8は、伝達トルクTrと入力軸回転数Ni及び変速機油温Tpとの関係の一例を示すグラフである。図の横軸は、入力軸回転数Ni(rpm)であって、縦軸は、伝達トルクTr(N・m)である。実線で示すグラフG1は、変速機油温Tpが25℃である場合の、伝達トルクTrである。破線で示すグラフG2は、変速機油温Tpが50℃である場合の、伝達トルクTrである。
図8に示すように、入力軸回転数Niが大きい程、伝達トルクTrは大きくなる。また、変速機油温Tpが低い程、油の粘性が大きくなるので、伝達トルクTrは大きくなる。このような関係を、図8に示すようにグラフ(又は、ルックアップテーブル)として、ROM等に記憶しておき、トルク推定部108は、入力軸回転数Ni及び変速機油温Tpに対応する伝達トルクTrをROM等から読み出すことによって伝達トルクTrを求めるものである。
すなわち、トルク推定部108は、変速機3の入力軸31の回転数Niが一定である場合には、温度認識部107によって認識された変速機3の油温Tpが低い程、伝達トルクTrが大きい値であると推定する。したがって、変速機3の入力軸31の回転数Niが一定である場合には、変速機3の油温Tpが低い程、伝達トルクTrが大きい値であると推定されるため、伝達トルクTrを適正に推定することができる。
再び、図7に戻って、ECU100の機能構成について説明する。異常判定部109は、トルク推定部108によって推定された伝達トルクTrに基づいて、自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する機能部である。ここで、異常判定部109は、特許請求の範囲に記載の異常判定手段に相当する。具体的には、異常判定部109は、トルク推定部108によって推定された伝達トルクTrが、予め設定されたトルク閾値Trth以上である場合に、自動クラッチ2が異常であると判定する。また、異常判定部109は、自動クラッチ2が異常であると判定された場合には、変速機3の変速操作装置300に対して、ギア位置をニュートラルに固定する旨の指示情報を出力する。
このようにして、推定された伝達トルクTrが、予め設定されたトルク閾値Trth以上である場合に、自動クラッチ2が異常であると判定されるため、トルク閾値Trthを適正な値(例えば、0.5N・m)に設定することによって、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
本実施形態では、異常判定部109が、伝達トルクTrがトルク閾値Trth以上であるか否かに応じて、自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する場合について説明するが、異常判定部109が、伝達トルクTrに基づいて自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する形態であればよい。例えば、異常判定部109が、伝達トルクTrの推移を監視しており、伝達トルクTrが急増したときに、自動クラッチ2が異常であると判定する形態でもよい。この場合には、自動クラッチ2が異常であるか否かを更に適正に判定することができる。
本実施形態では、異常判定部109が、伝達トルクTrがトルク閾値Trth以上であるか否かに応じて、自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する場合について説明するが、異常判定部109が、回転数検出部105によって検出された入力軸回転数Ni、及び、温度認識部107によって認識された変速機油温Tpに基づいて、自動クラッチ2が異常であるか否かを判定する形態でもよい。この場合には、伝達トルクTrを求める必要がないため、処理が簡略化される。
本実施形態では、異常判定部109が、自動クラッチ2が異常であると判定したときに、変速操作装置300に対してギア位置をニュートラルに固定する旨の指示情報を出力する場合について説明するが、異常判定部109が、自動クラッチ2が異常であると判定したときに、退避走行が可能な構成とする形態でもよい。例えば、異常判定部109が、自動クラッチ2が異常であると判定したときに、ハザードランプを点滅すると共に、予め設定された車速(例えば、40km/Hr)以下での走行に限って許可する形態でもよい。この場合には、自動クラッチ2が異常であると判明した場合であっても、修理工場等への退避走行が可能となり、利便性を向上することができる。
−ECU100の動作−
図9は、ECU100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、第2条件判定部102によって、車両が停止中であるか否かの判定が行われる。ステップS101でYESの場合には、処理がステップS103へ進められる。ステップS101でNOの場合には、処理が待機状態とされる。ステップS103において、第2条件判定部102によって、エンジン1がアイドリング状態であるか否かの判定が行われる。ステップS103でYESの場合には、処理がステップS105へ進められる。ステップS103でNOの場合には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS105において、第1条件判定部101によって、ギア位置がニュートラルであるか否かの判定が行われる。ステップS105でYESの場合には、処理がステップS107へ進められる。ステップS105でNOの場合には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。ステップS107において、第1条件判定部101によって、クラッチアクチュエータ200が自動クラッチ2を切断状態とするべく動作しているか否かの判定が行われる。ステップS107でYESの場合には、処理がステップS109へ進められる。ステップS107でNOの場合には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS109において、時間判定部103によって、待機時間Twが経過したか否かの判定が行われる。ステップS109でYESの場合には、処理がステップS111へ進められる。ステップS109でNOの場合には、処理が待機状態となる。ステップS111において、回転判定部104によって、変速機3の入力軸31が回転しているか否かの判定が行われる。ステップS111でYESの場合には、処理がステップS113へ進められる。ステップS111でNOの場合には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS113において、回転数検出部105によって、変速機3の入力軸31の回転数Niが検出される。そして、ステップS115において、温度推定部106によって推定された変速機3の油温Tpが、温度認識部107によって取得される。次いで、ステップS117において、ステップS113において検出された回転数Ni及びステップS115において取得された油温Tpに基づいて、トルク推定部108によって、伝達トルクTrが推定される。そして、ステップS119において、異常判定部109によって、ステップS117において推定された伝達トルクTrが、トルク閾値Trth以上であるか否かの判定が行われる。ステップS119でYESの場合には、処理がステップS121へ進められる。ステップS119でNOの場合には、処理がステップS125へ進められる。
ステップS121において、異常判定部109によって、自動クラッチ2が異常であると判定される。そして、異常判定部109によって、ギア位置がニュートラルに固定され、処理が終了される。ステップS125において、異常判定部109によって、自動クラッチ2が異常ではないと判定され、処理がステップS101へリターンされ、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
このようにして、変速機3の入力軸31の回転数Ni、及び、変速機3の油温Tpに基づいて、伝達トルクTrが推定され、伝達トルクTrがトルク閾値Trth以上であるか否かに応じて、自動クラッチ2が異常であるか否かが判定されるため、自動クラッチ2が異常であるか否かを適正に判定することができる。
図10は、ECU100(温度推定部106)によって実行される変速機油温Tpを推定する処理である油温推定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て、温度推定部106によって実行される。また、このフローチャートでは、便宜上、初期状態において、エンジン1が停止している(イグニッションOFFである)場合について説明する。
まず、ステップS201において、エンジン1が始動された(イグニッションONである)か否かの判定が行われる。ステップS201でYESの場合には、処理がステップS203へ進められる。ステップS201でNOの場合には、処理が待機状態とされる。ステップS203において、変速機油温Tpの初期値Tp0として、エンジン水温が取得される。そして、ステップS205において、変速機3の出力軸32の回転数Noが取得される。次いで、ステップS207において、ステップS205で取得された出力軸32の回転数Noに基づいて、温度上昇量ΔTpが求められ、変速機油温Tpが推定される。
次に、ステップS209において、エンジン1が停止している(イグニッションOFFである)か否かの判定が行われる。ステップS209でNOの場合には、処理がステップS205に戻され、ステップS205以降の処理が繰り返し実行される。ステップS209でYESの場合には、処理がステップS201へリターンされ、ステップS201以降の処理が繰り返し実行される。
このようにして、エンジン水温を初期値Tp0として、変速機3の出力軸32の回転数Noに基づいて、温度上昇量ΔTpが求められ、変速機油温Tpが推定されるため、変速機油温Tpを適正に推定することができる。
−他の実施形態−
本実施形態では、クラッチ異常検出装置を構成する第1条件判定部101、第2条件判定部102、時間判定部103、回転判定部104、回転数検出部105、温度推定部106、温度認識部107、トルク推定部108、及び、異常判定部109が全てECU100において機能部として実現されている場合について説明したが、第1条件判定部101、第2条件判定部102、時間判定部103、回転判定部104、回転数検出部105、温度推定部106、温度認識部107、トルク推定部108、及び、異常判定部109の少なくとも1つが電子回路等のハードウェアで構成されている形態でもよい。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ200が、油圧式クラッチレリーズ機構210に印加する作動油圧を制御する油圧制御機構230を含む場合について説明したが、クラッチアクチュエータ200が、油圧制御機構230に換えて、機械式の制御機構である形態でもよい。例えば、クラッチアクチュエータ200が、図2に示すプッシュロッド233の先端(図2では、左端)と、レリーズベアリング220との間に介設され、レリーズベアリング220をフライホイール21に近接、離間する方向に(図2では左右方向に)移動させる部材であるレリーズフォークを備え、レリーズフォークの回動によってレリーズベアリング220が駆動される形態でもよい。
本発明は、クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチの異常を検出するクラッチ異常検出装置に利用することができる。
1 エンジン
2 自動クラッチ
20 クラッチ機構
200 クラッチアクチュエータ
210 油圧式クラッチレリーズ機構
220 レリーズベアリング
230 油圧制御機構
3 変速機
31 入力軸
32 出力軸
100 ECU(クラッチ異常検出装置)
101 第1条件判定部(第1条件判定手段の一部)
102 第2条件判定部(第2条件判定手段の一部)
103 時間判定部(時間判定手段)
104 回転判定部(回転判定手段)
105 回転数検出部(回転数検出手段の一部)
106 温度推定部(温度推定手段)
107 温度認識部(温度認識手段)
108 トルク推定部(トルク推定手段)
109 異常判定部(異常判定手段)
401 エンジン回転数センサ(第2条件判定手段の一部)
403 入力軸回転数センサ(回転数検出手段の一部)
404 出力軸回転数センサ
406 シフトポジションセンサ(第1条件判定手段の一部)
407 ストロークセンサ(第1条件判定手段の一部)
409 冷却水温センサ
410 トランスミッション油温センサ

Claims (11)

  1. クラッチストロークを変更することによって接続状態と切断状態とを切り換え可能に構成され、接続状態のときにエンジンと変速機との間でトルクを伝達する自動クラッチの異常を検出するクラッチ異常検出装置であって、
    前記変速機のギア位置はニュートラル位置にあって、且つ、前記クラッチストロークを変更するクラッチアクチュエータが、前記自動クラッチを切断状態とするべく動作しているとの第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定手段と、
    前記第1条件判定手段によって、前記第1条件を満たすと判定された場合に、前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記変速機の油温を認識する温度認識手段と、
    前記回転数検出手段によって検出された前記変速機の入力軸の回転数、及び、前記温度認識手段によって認識された前記変速機の油温に基づいて、前記自動クラッチが異常であるか否かを判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  2. 請求項1に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記回転数検出手段によって検出された前記変速機の入力軸の回転数、及び、前記温度認識手段によって認識された前記変速機の油温に基づいて、前記エンジンから前記自動クラッチを介して前記変速機の入力軸へ伝達されるトルクである伝達トルクを推定するトルク推定手段を更に備え、
    前記異常判定手段は、前記トルク推定手段によって推定された伝達トルクに基づいて、前記自動クラッチが異常であるか否かを判定することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  3. 請求項2に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記異常判定手段は、前記トルク推定手段によって推定された伝達トルクが、予め設定されたトルク閾値以上である場合に、前記自動クラッチが異常であると判定することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記トルク推定手段は、前記変速機の入力軸の回転数が一定である場合には、前記変速機の油温が低い程、前記伝達トルクが大きい値であると推定することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記変速機の油温を検出する温度センサを更に備え、
    前記温度認識手段は、前記温度センサを介して前記変速機の油温を認識することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記変速機の油温を推定する温度推定手段を更に備え、
    前記温度認識手段は、前記温度推定手段によって推定された変速機の油温を、前記変速機の油温として認識することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  7. 請求項6に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記温度推定手段は、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、前記変速機の出力軸の回転数に基づいて温度上昇量を推定し、前記変速機の油温を推定することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  8. 請求項6に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記温度推定手段は、エンジン始動時の外気温又はエンジン水温を初期値として、前記エンジン始動時からの走行距離に基づいて温度上昇量を推定し、前記変速機の油温を推定することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記自動クラッチが搭載された車両は停車中であり、且つ、前記エンジンはアイドリング状態にあるとの第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定手段を更に備え、
    前記回転数検出手段は、前記第1条件判定手段によって前記第1条件を満たすと判定され、且つ、前記第2条件判定手段によって前記第2条件を満たすと判定された場合に限って、前記変速機の入力軸の回転数を検出することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  10. 請求項9に記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記第1条件判定手段によって前記第1条件を満たすと判定され、且つ、前記第2条件判定手段によって前記第2条件を満たすと判定された時点を起点として、予め設定された待機時間が経過したか否かを判定する時間判定手段と、
    前記時間判定手段によって前記待機時間が経過したと判定された場合に、前記変速機の入力軸が回転しているか否かを判定する回転判定手段とを更に備え、
    前記回転数検出手段は、前記回転判定手段によって前記変速機の入力軸が回転していると判定された場合に限って、前記変速機の入力軸の回転数を検出することを特徴とするクラッチ異常検出装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のクラッチ異常検出装置において、
    前記自動クラッチは、前記変速機の入力軸の外径側に同心状に配設され、ダイアフラムスプリングの内径部分に当接されるレリーズベアリングを前記入力軸の軸方向に往復変位させる油圧式クラッチレリーズ機構を備え、
    前記クラッチアクチュエータは、前記油圧式クラッチレリーズ機構に印加する作動油圧を制御する油圧制御機構を含むことを特徴とするクラッチ異常検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014070715A (ja) * 2012-10-01 2014-04-21 Daimler Ag 車両用摩擦クラッチの過負荷履歴保存装置

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