JP2008256189A - 自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法及びトルク伝達開始点学習装置 - Google Patents
自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法及びトルク伝達開始点学習装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】車両の走行中であってもトルク伝達開始点の学習動作を可能にしながらも、運転者の意思を反映した車両走行状態を得ることができる自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法及びトルク伝達開始点学習装置を提供する。
【解決手段】ダウンシフト時における自動クラッチ2の接続動作の前に、運転者の加速意思及び減速意思を確認し、加速意思がある場合にはブリッピング回転数を高く、減速意思がある場合にはブリッピング回転数を低くそれぞれ設定する。これにより、減速意思がある際に信頼性の高いトルク伝達開始点の学習動作を可能にし、加速意思がある場合には、その加速意思を優先した自動クラッチ2の接続動作が行える。
【選択図】図1
【解決手段】ダウンシフト時における自動クラッチ2の接続動作の前に、運転者の加速意思及び減速意思を確認し、加速意思がある場合にはブリッピング回転数を高く、減速意思がある場合にはブリッピング回転数を低くそれぞれ設定する。これにより、減速意思がある際に信頼性の高いトルク伝達開始点の学習動作を可能にし、加速意思がある場合には、その加速意思を優先した自動クラッチ2の接続動作が行える。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等に搭載されてエンジン(駆動源)と変速機との間を係脱(接続/切断)する自動クラッチにおいて、そのトルク伝達開始点を学習するための方法及びその方法を実行するトルク伝達開始点学習装置に係る。特に、本発明は、学習動作の頻度向上と、良好なドライバビリティの実現とを両立するための対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されているように、車両に搭載される変速機として、一般的なマニュアルトランスミッションと同様の平行歯車式変速機で構成され且つ変速動作(ギヤ段の切り換え動作)をシフトアクチュエータ及びセレクトアクチュエータ等によって自動的に行う自動化マニュアルトランスミッション(AMT)が知られている。この種のトランスミッションにあっては、エンジン等の駆動源との接続に自動クラッチが適用されている。つまり、この自動クラッチによって、駆動源とトランスミッションとの間が係脱可能になっている。
また、上記自動クラッチは、摩擦式のクラッチと、このクラッチを操作するクラッチ操作装置とを備えている。クラッチ操作装置は、例えば、レリーズフォークの操作を行う油圧式のアクチュエータと、このアクチュエータの油圧を制御することにより、クラッチを切断状態と接続状態との間で切り換える油圧回路とを備えているのが一般的である。
そして、この自動クラッチにおいて好ましい動作としては、クラッチタッチ点(クラッチが接続する際にトルク伝達が開始される点であって、以下、トルク伝達開始点と呼ぶ)に達するまではクラッチディスクを比較的高速度で移動させ(実際にはプレッシャプレートを高速度で移動させ)、このトルク伝達開始点付近においては、クラッチディスクの移動速度を低く設定する。これにより、クラッチ係合時のショックを低減しながらも比較的短時間で変速動作(変速動作開始からクラッチ係合までの動作)を完了することが可能になる。
しかし、このトルク伝達開始点は、クラッチディスクの摩耗状態、温度変化に伴う変形(クラッチディスクの膨張)、更にはクラッチストローク位置に応じたダイアフラムスプリングに対する押し付け荷重の変化などによって変動する。例えば、クラッチ接続動作時において、クラッチディスクが熱膨張している場合には、熱膨張していない場合に比べて、トルク伝達開始点は早いタイミングで訪れることになる。このため、クラッチ接続動作を常に適正なタイミングで行うためには、上述の如く変化するトルク伝達開始点を学習していく必要がある。
このトルク伝達開始点の学習動作として一般的には、下記の特許文献2に提案されているものがある。この特許文献2に開示されている学習動作は、先ず、車両停止中(アイドル運転中)で変速機のギヤ段がニュートラルであるといった条件が成立したときに、クラッチを自動切断する。次に、クラッチの出力側の回転(変速機入力側の回転)が停止するまで待機し、その回転が停止した時点から、クラッチをゆっくりと自動接続させていく。そして、クラッチが繋がり始め、クラッチ出力側の回転数が所定の回転数(例えば200〜300rpm)まで達したときに、この時点でのクラッチストローク位置(半クラッチ位置)をトルク伝達開始点として学習している。
しかしながら、上記特許文献2のものでは、車両停止中(アイドル運転中)であって、且つ変速機のギヤ段がニュートラルであるといった条件が成立した場合にしか上記学習動作を実行できず、その実行頻度が低いものであった。つまり、刻々と変化するクラッチディスク温度に応じた膨張量等を反映した適切なトルク伝達開始点に基づくクラッチ接続動作が行えない可能性があった。
この点に鑑みられ、下記の特許文献3では、車両が走行中であっても、上記トルク伝達開始点の学習動作が行えるようにしている。つまり、車両の走行中であってスロットルバルブが閉じている状態でシフトダウンが行われる際に、クラッチの係合が開始されることに伴うエンジン回転数の上昇(エンジンが被駆動状態とされることによる回転数上昇)を認識し、このエンジン回転数が所定値まで上昇した時点でのクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習している。
特開2005−180628号公報
特開2000−130476号公報
特表2001−501289号公報
上記特許文献3のものでは、トルク伝達開始点の学習頻度を高めることが可能であるが、以下に述べる不具合があった。
つまり、このトルク伝達開始点の学習動作によってその学習値(トルク伝達開始点)を正確に検出するためには、クラッチ出力側の回転数とエンジン回転数との差を予め大きくしておいた状態からクラッチを係合させることが好ましい。これにより、トルク伝達開始点に達した時点でエンジン回転数の変動が大きく現れるため、このトルク伝達開始点が正確に認識できることになる。
しかしながら、これでは、シフトダウン時におけるクラッチ接続動作の度にエンジン回転数が大きく変動することになり、乗員に違和感を与える状態が頻発してしまうことになる。また、上述した如く、シフトダウン時におけるクラッチ接続動作の直前ではエンジン回転数を比較的低く(クラッチ出力側の回転数よりも大幅に低く)抑えておく必要がある。このため、運転者(以下、ドライバと呼ぶ場合もある)が加速意思をもって運転している(運転者は高いエンジン回転数を要求している)にも拘わらず、クラッチの係合直前のエンジン回転数は低くなっており、この加速意思を満足させる走行状態が得られない可能性もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両走行中にトルク伝達開始点の学習動作を可能にしながらも、運転者の意思を反映した車両走行状態を得ることができる自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法及びトルク伝達開始点学習装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、上記トルク伝達開始点の学習動作を行う際の運転者の意思を確認し、その意思に応じたトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしている。つまり、運転者に加速意思が無い場合や減速意思が有る場合には、高い精度でトルク伝達開始点の学習値が得られるような制御動作を行うのに対し、運転者に加速意思が有る場合には、トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した制御動作を行うようにしている。尚、この運転者の意思に応じたトルク伝達開始点の学習動作実行の概念には、運転者の意思によっては(例えば上記学習動作を行ってしまうと運転者の意思に応えることができない状況など)上記学習動作を行わないようにするといった技術的思想も含んでいる。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、上記トルク伝達開始点の学習動作を行う際の運転者の意思を確認し、その意思に応じたトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしている。つまり、運転者に加速意思が無い場合や減速意思が有る場合には、高い精度でトルク伝達開始点の学習値が得られるような制御動作を行うのに対し、運転者に加速意思が有る場合には、トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した制御動作を行うようにしている。尚、この運転者の意思に応じたトルク伝達開始点の学習動作実行の概念には、運転者の意思によっては(例えば上記学習動作を行ってしまうと運転者の意思に応えることができない状況など)上記学習動作を行わないようにするといった技術的思想も含んでいる。
−解決手段−
具体的に、本発明は、アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置を学習するトルク伝達開始点学習方法を前提とする。このトルク伝達開始点学習方法に対し、上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させ、その後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようにしている。そして、車両運転者の加速意思を認識し、加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するようにしている。
具体的に、本発明は、アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置を学習するトルク伝達開始点学習方法を前提とする。このトルク伝達開始点学習方法に対し、上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させ、その後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようにしている。そして、車両運転者の加速意思を認識し、加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するようにしている。
この特定事項により、変速機のダウンシフトが行われる際、自動クラッチの上記接続動作が開始される前に、運転者の加速意思を認識する。そして、自動クラッチの接続動作に先立って駆動源の回転数を上昇させる接続待機回転数(ブリッピング回転数)を、上記加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて高く設定する。つまり、上記加速意思が無い場合には、上記接続待機回転数を比較的低く設定し、自動クラッチの出力側(変速機の入力側)の回転数との差を大きく設定した状態で自動クラッチの接続動作を行う。これにより、自動クラッチが接続状態となる際の駆動源の回転数の変動が大きく現れるようにし、クラッチストローク位置とトルク伝達開始点との位置関係が正確に認識可能となることで上記トルク伝達開始点が正確に学習されることになる。一方、上記加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を比較的高く設定し、自動クラッチの出力側の回転数との差を小さく設定した状態で自動クラッチの接続動作を行う。これにより、上記トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した自動クラッチの接続動作が行われることになる。つまり、運転者が要求する高い駆動源の回転数を得ながら自動クラッチの接続動作が行われるため、運転者の意思に応えることができる。
上記目的を達成するための他の解決手段としては以下のものも挙げられる。つまり、アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置を学習するトルク伝達開始点学習方法を前提とする。このトルク伝達開始点学習方法に対し、上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させ、その後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようにしている。そして、車両運転者の加速意思及び減速意思を認識し、加速意思が有る場合には、減速意思が有る場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するようにしている。
この特定事項によれば、運転者に減速意思が有る場合には、クラッチストローク位置とトルク伝達開始点との位置関係が正確に認識可能となるように、上記接続待機回転数を比較的低く設定する。この運転者の減速意思の認識は、例えばアクセルペダルのOFF操作やブレーキのON操作がなされたことの検知により行われる。一方、運転者に加速意思が有る場合には、上記トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した自動クラッチの接続動作が行われるように、上記接続待機回転数を比較的高く設定する。この運転者に加速意思の認識は、例えばアクセルペダルのON操作がなされていることの検知により行われる。
上記接続待機回転数の設定手法として具体的には以下の2タイプが挙げられる。先ず、上記接続待機回転数を、自動クラッチの出力側回転数よりも低い回転数に設定する場合において、車両運転者に加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を自動クラッチの出力側回転数近傍に設定するものである。
また、車両運転者に加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を自動クラッチの出力側回転数よりも高く設定するものである。
前者の構成の場合には、自動クラッチが接続状態となる際に駆動源の回転数がある程度は上昇するので、この上昇が認識可能であれば、トルク伝達開始点の学習が可能である。つまり、運転者が要求する比較的高い駆動源の回転数を得ながらもトルク伝達開始点の学習が可能となる。
一方、後者の構成の場合には、自動クラッチが接続状態となるのに伴い車両は加速されていくことになるので、運転者の加速意思を十分に満足させることが可能である。つまり、運転者に加速意思が無い場合または減速意思が有る場合に限ってトルク伝達開始点の学習動作を実行するものである。
また、上述した各トルク伝達開始点学習方法を実行するトルク伝達開始点学習装置も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、以下の構成を備えたトルク伝達開始点学習装置である。
先ず、アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置をストローク位置検知手段で検知し、この検知されたクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するトルク伝達開始点学習装置を前提とする。このトルク伝達開始点学習装置に対し、接続待機回転数設定手段、学習手段、意思認識手段、接続待機回転数補正手段を備えさせている。接続待機回転数設定手段は、上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させる。学習手段は、上記駆動源の回転数が接続待機回転数まで上昇した後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置情報を上記ストローク位置検知手段から取得して、このクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習する。意思認識手段は、車両運転者の加速意思が認識可能である。接続待機回転数補正手段は、上記意思認識手段の出力を受け、車両運転者に加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するように接続待機回転数設定手段に回転数上昇指令信号を送信する。
また、トルク伝達開始点学習装置の他の構成として以下のものも挙げられる。つまり、アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置をストローク位置検知手段で検知し、この検知されたクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するトルク伝達開始点学習装置を前提とする。このトルク伝達開始点学習装置に対し、接続待機回転数設定手段、学習手段、意思認識手段、接続待機回転数補正手段を備えさせている。接続待機回転数設定手段は、上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させる。学習手段は、上記駆動源の回転数が接続待機回転数まで上昇した後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置情報を上記ストローク位置検知手段から取得して、このクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習する。意思認識手段は、車両運転者の加速意思及び減速意思が認識可能である。接続待機回転数補正手段は、上記意思認識手段の出力を受け、車両運転者に加速意思が有る場合には、減速意思が有る場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するように接続待機回転数設定手段に回転数上昇指令信号を送信する。
これらトルク伝達開始点学習装置においても、上述したトルク伝達開始点学習方法と同様の作用を得ることができる。つまり、運転者に加速意思が無い場合または減速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を比較的低く設定することで、クラッチストローク位置とトルク伝達開始点との位置関係を正確に認識可能とする。一方、運転者に加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を比較的高く設定することで、上記トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した自動クラッチの接続動作が行われるようにする。
本発明では、上記トルク伝達開始点の学習動作を行う際の車両運転者の意思を確認し、その意思に応じたトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしている。つまり、運転者の意思が非加速意思や減速意思である場合には、自動クラッチが接続状態となる際の駆動源の回転数の変動が大きく現れるようにすることでトルク伝達開始点の学習を正確に行うことができる。一方、運転者の意思が加速意思である場合には、上記接続待機回転数を比較的高く設定した状態にして自動クラッチの接続動作を行うことで、上記トルク伝達開始点の正確な学習よりも運転者の加速意思を優先した自動クラッチの接続動作を行い、良好なドライバビリティを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態に係る車両のパワートレーンについて図1を参照して説明する。このパワートレーンの制御は、図1に示すECU100により実行されるプログラムによって実現される。尚、このECU100は、より具体的には、エンジンECU、変速機ECU、自動クラッチECU等から構成され、これらECUが互いに通信可能に接続されている。
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン(駆動源)1と、自動クラッチ2と、変速機3と、上記ECU100とを備えて構成されている。以下、これらエンジン1、自動クラッチ2、変速機3、ECU100について説明する。
−エンジン1−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等で構成され、その出力軸であるクランクシャフト11は自動クラッチ2のフライホイール21(図2)に連結されている。クランクシャフト11の回転数(エンジン回転数Ne)はエンジン回転数センサ401によって検出される。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等で構成され、その出力軸であるクランクシャフト11は自動クラッチ2のフライホイール21(図2)に連結されている。クランクシャフト11の回転数(エンジン回転数Ne)はエンジン回転数センサ401によって検出される。
エンジン1に吸入される空気量は、電子制御式のスロットルバルブ12により調整される。このスロットルバルブ12は、ドライバのアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ402によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度はECU100によって駆動制御される。具体的には、エンジン回転数センサ401によって検出されるエンジン回転数Ne、及び、ドライバのアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるように、スロットルバルブ12のスロットル開度を制御している。より具体的には、スロットル開度センサ402を用いてスロットルバルブ12の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ12のスロットルモータ13をフィードバック制御している。
−自動クラッチ2−
自動クラッチ2の具体的な構成を図2及び図3を参照して説明する。
自動クラッチ2の具体的な構成を図2及び図3を参照して説明する。
自動クラッチ2は、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31との間に介装されていて、必要に応じてクランクシャフト11と入力軸31とを動力伝達可能な接続状態(図2参照)、動力伝達不可能な切断状態あるいは滑りを伴う半接続状態(いわゆる半クラッチ)にするものである。
この自動クラッチ2は、図2に示すように、一般的に公知の単板乾式構造とされ、主として、クラッチディスク22、プレッシャープレート23、ダイアフラムスプリング24を含んで構成されている。
クラッチディスク22は、変速機3の入力軸31の先端に、一体回転かつ軸方向変位可能にスプライン嵌合されることによって、エンジン1のクランクシャフト11の後端に固定されるフライホイール21に対向して配置されている。
プレッシャープレート23は、クラッチディスク22に対向して配置される環状板からなり、ダイアフラムスプリング24の外周部分に取り付けられている。
ダイアフラムスプリング24は、自然状態においてプレッシャープレート23をフライホイール21側に近づけるように押圧して、プレッシャープレート23でクラッチディスク22をフライホイール21に圧接させるクラッチ接続状態にするものである。また、このダイアフラムスプリング24は、後述するレリーズベアリング203によって、その内径側が軸方向に押圧されることによって反転されたときに、プレッシャープレート23をフライホイール21から遠ざける側に引き離してクラッチディスク22をフライホイール21から引き離すクラッチ切断状態とするものである。
上記自動クラッチ2を作動させるためのアクチュエータとしてのクラッチ操作装置200は、必要に応じて、自動クラッチ2のプレッシャープレート23を軸方向に変位させることによって自動クラッチ2を上記接続状態と切断状態と半接続状態とを成立させるように操作するもので、図2に示すように、主として、油圧式クラッチレリーズ装置201と、油圧制御装置202とを備えている。
図3に示すように、油圧式クラッチレリーズ装置201は、自動クラッチ2のダイアフラムスプリング24の内径部分に当接されるレリーズベアリング203を入力軸31の外径側で軸方向に変位させるものである。
この油圧式クラッチレリーズ装置201は、外形が略円筒形状とされており、変速機3の入力軸31の外周側に同心状に配設されるもので、図3に示すように、インナースリーブ204と、アウタースリーブ205と、ピストン206と、予圧スプリング207と、上記レリーズベアリング203とを有している。
上記インナースリーブ204は、変速機3の入力軸31の外周側に非接触状態で包囲配置されるもので、その軸方向基端側には、変速機ケース(図示省略)に対する取付片として径方向外向きに延びる円板部204aが設けられている。
上記アウタースリーブ205は、インナースリーブ204の外周側に環状空間を形成するように包囲配置されるもので、その軸方向基端側には、図示省略の変速機ケースに固定される厚肉大径部205aが、また、軸方向先端側には、径方向内向きの屈曲片205bがそれぞれ設けられている。厚肉大径部205aには、油圧制御装置202のクラッチマスターシリンダ210(図2参照)との間で作動油を送受するための油通路205cが設けられている。
上記ピストン206は、インナースリーブ204とアウタースリーブ205との対向間の環状空間内に軸方向変位可能に嵌入されている。このピストン206の軸方向先端側の外径側薄肉小径部には、レリーズベアリング203の内輪内径側が外嵌されている。このレリーズベアリング203は、板ばね208によって抜け止めされている。
予圧スプリング207は、アウタースリーブ205の厚肉大径部205aの壁面とレリーズベアリング203の内輪の端面との間に圧縮状態で介装されており、その弾性復元力でもってレリーズベアリング203の端面をダイアフラムスプリング24の内径側に常時当接させるよう付勢して「がた」を無くすものである。この予圧スプリング207とレリーズベアリング203の内輪の端面との間には、ばね座207aが介装されている。
そして、インナースリーブ204とアウタースリーブ205とピストン206とで囲まれた環状の油圧室209は、第1シールリング209Aと第2シールリング209Bとで外部から密封されている。なお、第1シールリング209Aはアウタースリーブ205の軸方向先端側に取り付けられ、スリーブ209Cによって軸方向に位置決めされている。第2シールリング209Bはピストン206の軸方向内端側に取り付けられている。
油圧制御装置202は、必要に応じて油圧式クラッチレリーズ装置201の油圧室209に作動油圧を印加して自動クラッチ2を切断状態にさせたり、油圧室209に対する作動油圧の印加を解除して自動クラッチ2を接続状態にさせたり、滑りを伴う半接続状態にさせたりするもので、クラッチマスターシリンダ210と、クラッチアクチュエータ211と、動力伝達機構212とを含んで構成されている。
クラッチマスターシリンダ210は、油圧配管213およびアウタースリーブ205の油通路205cを介して油圧式クラッチレリーズ装置201の油圧室209に接続されている。
クラッチアクチュエータ211は、例えば電動モータとされる。動力伝達機構212は、クラッチアクチュエータ211で発生する回転動力を減速するとともに、クラッチマスターシリンダ210のピストン210aを直線的に往復変位させる駆動力に変換するものである。
この動力伝達機構212の詳細な構成は図示していないが、複数の歯車等を組み合わせた構成であって、上記直線駆動力の出力部分に、クラッチマスターシリンダ210のピストン210aに連結されるプッシュロッド212aが設けられている。
上述した自動クラッチ2による基本的な動作については一般的に公知であるが、以下に簡単に説明する。
なお、この自動クラッチ2は、後述するシフトレバー9aでニュートラルポジションが選択されているときは切断状態となるように予め規定されている。また、走行している車両を停止させて走行用変速段が保持されたままの状態でも、自動クラッチ2は切断状態にするように予め規定されている。
仮に、手動操作モードでシフトレバー9aが、ニュートラルポジションから走行用シフトポジション(例えば第1変速段)に変更されると、この選択された走行用シフトポジションに対応する走行用変速段を成立させるように変速機3の変速処理が行われる。
この変速機3の変速処理は、ECU100により図示しないシフトセレクトアクチュエータを制御することにより行われる。この変速機3の変速処理については後述する。
そして、変速処理の後、車両が発進して走行している際に、シフトレバー9aによりシフトポジションが他の走行用シフトポジション(例えば第2変速段)に変更されると、変速機3の変速処理を行う前に、自動クラッチ2を、一旦、切断状態とする。
この切断状態を成立させるときの処理としては、油圧制御装置202のクラッチアクチュエータ211を所定方向に回転駆動させることにより、クラッチマスターシリンダ210のピストン210aを押圧する。
なお、動力伝達機構212のプッシュロッド212aの移動ストロークをストロークセンサ212bで検出し、この検出出力に基づき、クラッチアクチュエータ211をフィードバック制御することにより、クラッチマスターシリンダ210のピストン210aの押動ストロークを調整するようになっている。
このピストン210aの押圧によってクラッチマスターシリンダ210内の作動油圧が油圧配管213および油通路205cを通じて油圧式クラッチレリーズ装置201の油圧室209へ印加され、油圧式クラッチレリーズ装置201のピストン206がフライホイール21側へ押動されるようになる。
これにより、レリーズベアリング203がダイアフラムスプリング24を反転させるので、プレッシャープレート23がフライホイール21から引き離されることになり、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31とが切り離されて、自動クラッチ2が切断状態となる。
このようなクラッチ切断状態にしてから、上記シフトレバー9aによって変更されたシフトポジションを成立させるように変速機3の変速処理を行う。
この変速処理によって要求のシフトポジションが成立されると、自動クラッチ2を接続状態(図2参照)に戻す。
この接続状態への切り替え処理は、油圧制御装置202のクラッチアクチュエータ211を前記と逆方向に回転駆動させることにより、クラッチマスターシリンダ210のピストン210aに対する押圧を解除させる。
これにより、ダイアフラムスプリング24の弾性復元力によってレリーズベアリング203が押し戻されるとともに、油圧式クラッチレリーズ装置201のピストン206が内側に引き戻されることになるので、油圧室209内の作動油が油通路205cおよび油圧配管213を経てクラッチマスターシリンダ210内に戻される。
それと同時にダイアフラムスプリング24の弾性復元力でもってプレッシャープレート23がフライホイール21側へ押動されるので、エンジン1のクランクシャフト11と変速機3の入力軸31とが接続された接続状態となる。
また、上記レリーズベアリング203の外周側には、このレリーズベアリング203の位置(入力軸31の軸心に沿う方向の位置:クラッチストローク位置)を検出するためのクラッチストロークセンサ(ストローク位置検知手段)410が備えられている。また、上記レリーズベアリング203の外周面には、このクラッチストロークセンサ410に対向して突起203aが突設されており、クラッチストロークセンサ410が、この突起203aの位置を検出することでクラッチストローク位置が検出可能な構成とされている。
−変速機3−
上記変速機3は、例えば前進5段、後進1段の平行歯車式変速機などの一般的なマニュアルトランスミッションと同様の構成を有している。変速機3の入力軸31は、上記した自動クラッチ2のクラッチディスク22に連結されている(図2参照)。また、図1に示すように、変速機3の出力軸32の回転は、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5及びドライブシャフト6などを介して駆動輪7に伝達される。
上記変速機3は、例えば前進5段、後進1段の平行歯車式変速機などの一般的なマニュアルトランスミッションと同様の構成を有している。変速機3の入力軸31は、上記した自動クラッチ2のクラッチディスク22に連結されている(図2参照)。また、図1に示すように、変速機3の出力軸32の回転は、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5及びドライブシャフト6などを介して駆動輪7に伝達される。
変速機3の入力軸31の回転数は、入力軸回転数センサ403によって検出される。また、変速機3の出力軸32の回転数は、出力軸回転数センサ404によって検出される。これら入力軸回転数センサ403及び出力軸回転数センサ404の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)に基づいて、現在のギヤ段を判定することができる。
本実施形態の変速機3には、シフトフォーク及びセレクトアンドシフトシャフト等を有する変速操作装置300が設けられており、全体としてギヤ変速操作を自動的に行う自動化マニュアルトランスミッション(AMT)を構成している。
変速操作装置300には、セレクト方向の操作(セレクト操作)を行う油圧式のセレクトアクチュエータ、シフト方向の操作(シフト操作)を行う油圧式のシフトアクチュエータ、及び、これらアクチュエータに供給する作動油の油圧を制御する油圧回路などを備えている。そして、変速操作装置300の油圧回路にはECU100からのソレノイド制御信号(油圧指令値)が供給され、そのソレノイド制御信号に基づいてセレクトアクチュエータ及びシフトアクチュエータがそれぞれ個別に駆動制御され、変速機3のセレクト操作及びシフト操作が自動的に実行される構成となっている。これら構成は周知であるため、ここでの説明は省略する。
一方、車両の運転席の近傍にはシフト装置9が配置されている。図4に示すように、シフト装置9には、シフトレバー9aが変位可能に設けられている。また、シフト装置9には、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置及び、シーケンシャル(S)位置が設定されており、ドライバが所望の変速位置へシフトレバー9aを変位させることが可能となっている。これらリバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置及び「−」位置も含む)の各変速位置は、シフトポジションセンサ406(図1参照)によって検出される。
以下、それら変速位置が選択される状況と、そのときの変速機3の動作態様について各変速位置(「N位置」、「R位置」、「D位置」、「S位置」)ごとに説明する。
「N位置」は、変速機3の入力軸31と出力軸32との連結を切断する際に選択される位置であり、シフトレバー9aが「N位置」に操作されると、変速機3の入力側ギヤ群と出力側ギヤ群とのギヤ対が噛み合わない状態となり、各変速ギア列での動力伝達が切断される。
「R位置」は、車両を後退させる際に選択される位置であり、シフトレバー9aがこの「R位置」に操作されると、変速機3は後進ギヤ段に切り換えられる。
「D位置」は、車両を前進させる際に選択される位置であり、シフトレバー9aがこの「D位置」に操作されると、車両の運転状態などに応じて、変速機3の複数の前進ギヤ段(前進5速)が自動的に変速制御される。つまり、オートマチックモードでの変速動作が行われる。
「S位置」は、複数の前進ギヤ段(前進5速)の変速動作をドライバが手動によって行う際に選択される位置であって、このS位置の前後に「−」位置及び「+」位置が設けられている。「+」位置は、シフトアップのときにシフトレバー9aが操作される位置であり、「−」位置は、シフトダウンのときにシフトレバー9aが操作される位置である。
そして、シフトレバー9aがS位置にあるときに、シフトレバー9aがS位置を中立位置として「+」位置または「−」位置に操作されると、変速機3の前進ギヤ段がアップまたはダウンされる。具体的には、「+」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→5th)される。一方、「−」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば5th→4th→・・1st)される。
なお、以上のシフトレバー9aに加えて、シフトアップ用パドルスイッチ(「+」位置への操作スイッチ)と、シフトダウン用パドルスイッチ(「−」位置への操作スイッチ)とを、ハンドルまたはステアリングコラム等に設けておき、シフトレバー9aがS位置に操作されているときに、シフトアップ用パドルスイッチを1回操作するごとにギヤ段を1段ずつアップし、シフトダウン用パドルスイッチを1回操作するごとにギヤ段を1段ずつダウンするという構成を付加しておいてもよい。また、上記シフトレバー9aを備えさせず、パドルスイッチのみによって手動変速操作が行われる構成としてもよい。この場合、インストルメントパネル上やコンソールパネル上に「オートマチックモード」を選択するためのオートマチックモードスイッチや、「後退(リバース)」を選択するためのリバーススイッチが設けられる。また、必要に応じて、「ニュートラル」を選択するためのニュートラルスイッチが設けられる場合もある。
−ECU100−
ECU100は、図5に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
ECU100は、図5に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104は、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU101、ROM102、RAM103、及び、バックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
ECU100の入力インターフェース105には、エンジン回転数センサ401、スロットル開度センサ402、入力軸回転数センサ403、出力軸回転数センサ404、アクセルペダル8の開度を検出するアクセル開度センサ405、シフト装置9のシフト位置を検出するシフトポジションセンサ406、ブレーキペダルセンサ407、車両の速度を検出する車速センサ408、車両の加速度を検出する加速度センサ409、上記クラッチストロークセンサ410などが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
ECU100の出力インターフェース106には、スロットルバルブ12を開閉するスロットルモータ13、自動クラッチ2のクラッチ操作装置200、及び、変速機3の変速操作装置300などが接続されている。
ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ12の開度制御を含むエンジン1の各種制御を実行する。また、ECU100は、変速機3の変速時等において自動クラッチ2のクラッチ操作装置200に制御信号を出力して、自動クラッチ2に上記切断動作及び接続動作を行わせる。さらに、ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、変速機3の変速操作装置300に制御信号(油圧指令値)を出力して、変速機3のギヤ段を切り換える変速制御を行う。
−トルク伝達開始点学習−
そして、上記ECU100は、本実施形態において特徴とする制御動作である「トルク伝達開始点学習動作」を実行する。
そして、上記ECU100は、本実施形態において特徴とする制御動作である「トルク伝達開始点学習動作」を実行する。
この「トルク伝達開始点学習動作」は、自動クラッチ2の接続動作が常に適正なタイミングで行うことができるように、自動クラッチ2によってトルク伝達が行われる所謂クラッチタッチ点(トルク伝達開始点)を認識するためのものである。このトルク伝達開始点は、クラッチディスク22の摩耗状態や温度変化に伴う変形(膨張)などによって変動するため、クラッチ接続動作を常に適正なタイミングで行うためには、このトルク伝達開始点を頻繁に学習しておく必要がある。
そこで、本実施形態では、車両停止中(アイドル運転中)ばかりでなく、走行中であってもトルク伝達開始点の学習動作が行えるようにしている。車両停止中でのトルク伝達開始点の学習動作は従来から公知であるため(例えば上述した特許文献2)、ここでの説明は省略する。以下、車両走行中におけるトルク伝達開始点の学習動作について説明する。
この車両走行中におけるトルク伝達開始点の学習動作として、具体的には、車両の走行中においてシフトダウンが行われる際(例えば上記手動操作モードにおいてシフトレバー9aによりシフトダウン操作がされた際)に、変速処理後に自動クラッチ2の接続が開始されることに伴うエンジン回転数の上昇(エンジン1が被駆動状態とされることによる回転数上昇)を認識し、このエンジン回転数が所定量だけ変化した時点でのクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようにしている。つまり、自動クラッチ2の接続動作時に、上記エンジン回転数センサ401によって検出されているエンジン回転数Neが上昇するタイミングを捉え、このタイミングにおいて、上記クラッチストロークセンサ410からの出力に基づいてクラッチストローク位置を認識し、このクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようにしている。
そして、本実施形態では、それに加えて、このトルク伝達開始点の学習動作を行う際のドライバ(車両運転者)の加速意思や減速意思を認識し、その意思に応じた変速動作及びトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしている。具体的には、この種の自動化マニュアルトランスミッション(AMT)では、変速機3の変速処理後に自動クラッチ2の接続が開始される直前にエンジン1の空吹かし(ブリッピングと呼ばれる)を行ってクラッチ接続時のショックを緩和するといった制御が行われるが、ドライバの加速意思や減速意思に応じて、このブリッピング回転数の設定値を変更するようにしている。より具体的には、ドライバに加速意思が有る場合には、ブリッピング回転数を高めに(例えば、通常の(従来の)ブリッピング動作で得られる回転数よりも高く)設定し、減速意思が有る場合には、ブリッピング回転数を低めに(例えば、通常の(従来の)ブリッピング動作で得られる回転数よりも低く)設定するようにしている。
以下、本実施形態における車両走行中のトルク伝達開始点学習の動作手順について図6に示すフローチャートを参照して説明する。尚、この図6のトルク伝達開始点学習ルーチンは、ECU100において所定時間(例えば数sec)毎に繰り返して実行される。また、以下の説明では、上記手動操作モードにおけるトルク伝達開始点学習動作を例に挙げて説明する。
先ず、ドライバによるシフトレバー9aの操作によってシフトダウン操作がなされたか否かを判定する。シフトダウン操作がなされておらずNO判定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、ドライバによってシフトダウン操作が行われてYES判定された場合には、ステップST2に移り、ドライバに減速意思が有るか否かを判定する(意思認識手段による減速意思の認識動作)。この判定では、例えば、上記アクセル開度センサ405によって検出されるアクセル開度が「0」である場合または、上記ブレーキペダルセンサ407によってブレーキがON状態である(ブレーキペダルが踏み込まれている)ことが検知された場合に、ドライバに減速意思が有ると判定する。尚、アクセル開度が「0」であり且つブレーキがONである場合にのみドライバに減速意思が有ると判定するようにしてもよい。
ステップST2の判定でドライバに減速意思が有り、YESに判定されると、ステップST3に移る。このステップST3では、トルク伝達開始点学習のための自動クラッチ2の接続動作に先立ってエンジン回転数を上昇(ブリッピング)させる設定回転数を、現在、入力軸回転数センサ403によって検出されている変速機3の入力軸31の回転数よりも比較的大きな差が得られるように低く設定する(接続待機回転数補正手段による接続待機回転数の設定動作)。例えば、現在の変速機3の入力軸31の回転数よりも300rpm程度低い回転数となるようにブリッピング回転数(接続待機回転数)を設定する。その後、ステップST4において、上記変速機3の変速処理が終了した後に、この設定されたブリッピング回転数までエンジンエンジン回転数を上昇させるブリッピング動作を実行する(接続待機回転数設定手段による回転数上昇動作)。この動作は、上記スロットルバルブ12の開度を調整することにより行われる。
このようにしてブリッピングを実行した後、ステップST5において、自動クラッチ2の接続動作を開始する。そして、このステップST5でエンジン回転数の変動を認識することによるトルク伝達開始点の学習動作を行う。具体的に、このステップST5では、以下の(1)〜(3)の条件が共に成立した時点でのクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習することになる(学習手段によるトルク伝達開始点の学習動作)。
(1)上記ブリッピング動作の完了
(2)エンジン回転数が安定した後に所定時間(例えば500msec)が経過
(3)エンジン回転数の変化量(自動クラッチ2の接続に伴うエンジン回転数の上昇量)が所定回転数(例えば100rpm)以上
上記各数値はこれに限定されるものではなく、実験的または経験的に設定される。また、条件(2)の成立を確実にするために、エンジン回転数の安定化制御を実行するようにしてもよい。つまり、ブリッピング動作を行った際のブリッピング回転数が維持されるように、スロットルバルブ12の開度を調整し、このブリッピング回転数が安定した状態で自動クラッチ2の接続動作を開始させるようにするものである。
(1)上記ブリッピング動作の完了
(2)エンジン回転数が安定した後に所定時間(例えば500msec)が経過
(3)エンジン回転数の変化量(自動クラッチ2の接続に伴うエンジン回転数の上昇量)が所定回転数(例えば100rpm)以上
上記各数値はこれに限定されるものではなく、実験的または経験的に設定される。また、条件(2)の成立を確実にするために、エンジン回転数の安定化制御を実行するようにしてもよい。つまり、ブリッピング動作を行った際のブリッピング回転数が維持されるように、スロットルバルブ12の開度を調整し、このブリッピング回転数が安定した状態で自動クラッチ2の接続動作を開始させるようにするものである。
以上の条件が共に成立した時点でのレリーズベアリング203の位置をクラッチストロークセンサ410によって検知し、その位置を現時点での「トルク伝達開始点」として学習し、次回の変速動作における自動クラッチ2の接続動作に反映させる。この学習した「トルク伝達開始点」を反映させた自動クラッチ2の接続動作については後述する。
一方、上記ステップST2の判定でドライバに減速意思が無く、NOに判定されると、ステップST6に移る。このステップST6では、ドライバに加速意思が有るか否かを判定する(意思認識手段による加速意思の認識動作)。この判定では、例えば、上記アクセル開度センサ405によって検出されるアクセル開度が比較的大きい(例えばアクセル開度30%以上)であることが検知された場合にはドライバに加速意思が有ると判定する。この数値も、これに限定されるものではなく、実験的または経験的に設定される。
ステップST6の判定でドライバに加速意思が無い場合には、ドライバは減速意思も加速意思も無いとして、特別なブリッピング回転数の設定動作を行うことなしにステップST4以降の動作を行う。
一方、ステップST6の判定でドライバに加速意思が有り、YESに判定されると、ステップST7に移る。このステップST7では、トルク伝達開始点学習のための自動クラッチ2の接続動作に先立ってエンジン回転数を上昇(ブリッピング)させる設定回転数を、現在、入力軸回転数センサ403によって検出されている変速機3の入力軸31の回転数近傍まで引き上げる。つまり、上記ドライバに減速意思が有る場合よりもブリッピング回転数を高く設定する(接続待機回転数補正手段による接続待機回転数の設定動作)。例えば、現在の変速機3の入力軸31の回転数よりも僅かに低い回転数(例えば50rpm程度低い回転数)となるようにブリッピング回転数を設定し、ブリッピングを実行する。このブリッピング動作の後、上述したステップST4以降の動作を行う。
次に、上述の如く学習した「トルク伝達開始点」を反映させた自動クラッチ2の接続動作について説明する。実際の自動クラッチ2の接続動作にあっては、学習した「トルク伝達開始点」を用いて、「変速待機ストローク位置」と、「トルク伝達ストローク位置」とが求められ、これら「変速待機ストローク位置」及び「トルク伝達ストローク位置」に基づいて自動クラッチ2の接続動作が行われる。
図7は、クラッチストロークとクラッチ伝達トルクとの関係を示す線図である。この図7の横軸はクラッチストロークであり、図中左側がクラッチ接続側であって、この左側に進むほどクラッチ伝達トルクが大きくなっていく。そして、図中の「X」が上記学習により求められた「トルク伝達開始点」であり、図中の「Y」が「変速待機ストローク位置」であり、図中の「Z」が「トルク伝達ストローク位置」となっている。
上記「変速待機ストローク位置」は、変速機3の変速動作が完了するまでプレッシャープレート23を待機させる位置であって、実際には、上記「トルク伝達開始点」よりも僅かに(例えば0.2mm程度)後退する位置(フライホイール21から離れる側の位置:図7では右側の位置)に設定される。つまり、クラッチディスク22が、フライホイール21とプレッシャープレート23とによって挟持される直前の位置である。
また、「トルク伝達ストローク位置」は、上記「トルク伝達開始点」よりも僅かに(例えば1.0mm程度)前進した位置(フライホイール21に近付く側の位置:図7では左側の位置)に設定される。この「トルク伝達ストローク位置」は、上記「トルク伝達開始点」及びエンジン回転数Neをパラメータとして設定される。つまり、上記「トルク伝達開始点」を基準としてエンジン回転数Neが高いほど前進した位置(フライホイール21に近付く側の位置:図7では左側の位置)に設定されるものとなっている。これは、発進時のエンジンストールや自動クラッチ2の接続時のショックを回避しながらも迅速に自動クラッチ2の接続動作を完了可能とするために設定されるものである。
そして、自動クラッチ2の接続動作にあっては、この「トルク伝達ストローク位置」まではプレッシャープレート23を比較的高速度で移動させ、この「トルク伝達ストローク位置」に達した時点からプレッシャープレート23の移動速度を低速にして伝達トルクの変動を緩やかにし、自動クラッチ2の接続動作時のショックを緩和しながらも迅速に接続状態に移行できるようにしている。
尚、「変速待機ストローク位置」や「トルク伝達ストローク位置」を求めることなく、上記「トルク伝達開始点」のみを使用し、この「トルク伝達開始点」に達するまではプレッシャープレート23を比較的高速度で移動させ、この「トルク伝達開始点」付近においては、プレッシャープレート23の移動速度を低く設定するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、変速機3のダウンシフトが行われる際、自動クラッチ2の接続動作が開始される前に、ドライバの加速意思や減速意思を認識する。そして、自動クラッチ2の接続動作に先立ってエンジン回転数を上昇させるブリッピング回転数(接続待機回転数)を、上記加速意思が有る場合には、減速意思が有る場合に比べて高く設定する。つまり、上記減速意思が有る場合には、上記ブリッピング回転数を比較的低く設定し、自動クラッチ2の出力側の回転数(変速機3の入力軸31の回転数)との差を大きく設定した状態で自動クラッチ2の接続動作を行う。これにより、自動クラッチ2が接続状態となる際のエンジン回転数の変動が大きく現れるようにし、クラッチストローク位置とトルク伝達開始点との位置関係を正確に認識可能とすることで上記トルク伝達開始点が正確に学習されることになる。
図8は、上記ブリッピング回転数を変更した場合におけるエンジン回転数の変動状態を示している。図中の実線Iは、ドライバに減速意思が有りブリッピング回転数を低く設定した場合を、図中の実線IIは、ドライバに加速意思が有りブリッピング回転数を高く設定した場合を、図中の破線IIIは、ドライバに加速意思も減速意思も無くブリッピング回転数を上記実線Iと実線IIとの中間の値(例えば、従来のブリッピング動作で得られる回転数程度の値)をそれぞれ示している。例えば、ドライバに減速意思が有りブリッピング回転数を低く設定した場合(実線I)において、エンジン回転数が図中nだけ上昇したことを認識することでトルク伝達開始点が学習される。
この図からも分かるように、ブリッピング回転数を低く設定した場合には、自動クラッチ2が接続状態となる際のエンジン回転数の変動が大きく現れることになり、クラッチストローク位置とトルク伝達開始点との位置関係を正確に認識可能とすることで上記トルク伝達開始点が正確に学習することができる。
一方、上記加速意思が有る場合には、上記ブリッピング回転数(接続待機回転数)を比較的高く設定し、自動クラッチ2の出力側の回転数との差を小さく設定した状態で自動クラッチ2の接続動作を行う。これにより、上記トルク伝達開始点の正確な学習よりもドライバの加速意思を優先した自動クラッチ2の接続動作が行われることになる。つまり、ドライバが要求する高いエンジン回転数を得ながら自動クラッチ2の接続動作が行われるため、ドライバの意思に応えることができる。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、ドライバに加速意思が有る場合にも上記(1)〜(3)の条件が成立した場合にはトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしていた。本実施形態は、これに代えて、ドライバに加速意思が有る場合にはトルク伝達開始点の学習動作を実行しないものとしている。つまり、上記第1実施形態において図6で示したフローチャートにおいて、ステップST6でYES判定されると、ステップST7でブリッピング回転数を高く設定し、ブリッピングの実行後、トルク伝達開始点の学習動作を行うことなく、直ちに自動クラッチ2の接続動作を行うようにするものである。
上述した第1実施形態では、ドライバに加速意思が有る場合にも上記(1)〜(3)の条件が成立した場合にはトルク伝達開始点の学習動作を行うようにしていた。本実施形態は、これに代えて、ドライバに加速意思が有る場合にはトルク伝達開始点の学習動作を実行しないものとしている。つまり、上記第1実施形態において図6で示したフローチャートにおいて、ステップST6でYES判定されると、ステップST7でブリッピング回転数を高く設定し、ブリッピングの実行後、トルク伝達開始点の学習動作を行うことなく、直ちに自動クラッチ2の接続動作を行うようにするものである。
このように、ドライバに加速意思が有る場合にトルク伝達開始点の学習動作を実行しないようにすれば、ブリッピング回転数を任意に設定することができる。つまり、トルク伝達開始点の学習動作が可能となる範囲内にブリッピング回転数を規制するといった制約が無くなる。このため、ブリッピング回転数を、変速機3の入力軸31の回転数よりも高く設定することも可能になる。このように、ブリッピング回転数を変速機3の入力軸31の回転数よりも高く設定すれば、自動クラッチ2が接続状態となるのに伴い車両は加速されていくことになるので、ドライバの加速意思をよりいっそう満足させることが可能である。
−他の実施形態−
上述した各実施形態では、クラッチ操作装置200のクラッチアクチュエータ211と、変速操作装置300のセレクトアクチュエータ及びシフトアクチュエータとをそれぞれ油圧式アクチュエータとしているが、本発明はこれに限られることなく、電動モータ等によって構成される電動式のアクチュエータであってもよい。
上述した各実施形態では、クラッチ操作装置200のクラッチアクチュエータ211と、変速操作装置300のセレクトアクチュエータ及びシフトアクチュエータとをそれぞれ油圧式アクチュエータとしているが、本発明はこれに限られることなく、電動モータ等によって構成される電動式のアクチュエータであってもよい。
また、ドライバによるシフトレバー9aの操作によらず、車両の走行状態(例えば車速及びアクセル開度)に応じて、変速機3の各ギヤ段を自動的に選択するドライブ位置(D位置)が設定されている場合(オートマチックモードの場合)に同様の学習動作を実行するようにしてもよい。
上述した各実施形態では、変速機3として前進5段変速のものを示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の変速機(自動化マニュアルトランスミッション)にも適用可能である。
上記実施形態では、駆動源として、エンジン1(内燃機関)のみを搭載した車両に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、例えば、駆動源としてエンジン(内燃機関)と電動機(例えば走行用モータまたはジェネレータモータ等)が搭載されたハイブリッド車にも適用することができる。
また、上記各実施形態では、ドライバに加速意思が有るか減速意思が有るかを認識することでブリッピング回転数を変更するようにしていた。本発明は、これに限らず、ドライバに加速意思が有るか否かのみを認識し、加速意思が有る場合には、ブリッピング回転数を高く設定する一方、それ以外(加速意思が無い場合、及び減速意思が有る場合)ではブリッピング回転数を低く設定して、トルク伝達開始点の正確な学習動作が比較的頻繁に行えるようにしてもよい。
1 エンジン(駆動源)
2 自動クラッチ
3 変速機
200 クラッチ操作装置(アクチュエータ)
410 クラッチストロークセンサ(ストローク位置検知手段)
2 自動クラッチ
3 変速機
200 クラッチ操作装置(アクチュエータ)
410 クラッチストロークセンサ(ストローク位置検知手段)
Claims (6)
- アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置を学習するトルク伝達開始点学習方法において、
上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させ、その後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようになっており、
車両運転者の加速意思を認識し、加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定することを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法。 - アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置を学習するトルク伝達開始点学習方法において、
上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させ、その後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するようになっており、
車両運転者の加速意思及び減速意思を認識し、加速意思が有る場合には、減速意思が有る場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定することを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法。 - 上記請求項1または2記載の自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法において、
上記接続待機回転数は、自動クラッチの出力側回転数よりも低い回転数に設定され、
車両運転者に加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を自動クラッチの出力側回転数近傍に設定することを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法。 - 上記請求項1または2記載の自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法において、
車両運転者に加速意思が有る場合には、上記接続待機回転数を自動クラッチの出力側回転数よりも高く設定することを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習方法。 - アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置をストローク位置検知手段で検知し、この検知されたクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するトルク伝達開始点学習装置において、
上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させる接続待機回転数設定手段と、
上記駆動源の回転数が接続待機回転数まで上昇した後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置情報を上記ストローク位置検知手段から取得して、このクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習する学習手段と、
車両運転者の加速意思を認識可能な意思認識手段と、
上記意思認識手段の出力を受け、車両運転者に加速意思が有る場合には、加速意思が無い場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するように接続待機回転数設定手段に回転数上昇指令信号を送信する接続待機回転数補正手段とを備えていることを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習装置。 - アクチュエータにより接続状態と切断状態との間で作動可能とされ、接続状態にあっては駆動源からの駆動トルクを変速機に伝達可能とする自動クラッチに対し、この自動クラッチが切断状態から接続状態に移行する接続動作時においてトルク伝達が開始されるクラッチストローク位置をストローク位置検知手段で検知し、この検知されたクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習するトルク伝達開始点学習装置において、
上記変速機のダウンシフト時における自動クラッチの上記接続動作に先立って駆動源の回転数を接続待機回転数まで上昇させる接続待機回転数設定手段と、
上記駆動源の回転数が接続待機回転数まで上昇した後、自動クラッチの接続動作を行うことに伴って駆動源の回転数が変化したタイミングにおけるクラッチストローク位置情報を上記ストローク位置検知手段から取得して、このクラッチストローク位置をトルク伝達開始点として学習する学習手段と、
車両運転者の加速意思及び減速意思を認識可能な意思認識手段と、
上記意思認識手段の出力を受け、車両運転者に加速意思が有る場合には、減速意思が有る場合に比べて、上記接続待機回転数を高く設定するように接続待機回転数設定手段に回転数上昇指令信号を送信する接続待機回転数補正手段とを備えていることを特徴とする自動クラッチのトルク伝達開始点学習装置。
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