JP2012153926A - フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012153926A JP2012153926A JP2011012790A JP2011012790A JP2012153926A JP 2012153926 A JP2012153926 A JP 2012153926A JP 2011012790 A JP2011012790 A JP 2011012790A JP 2011012790 A JP2011012790 A JP 2011012790A JP 2012153926 A JP2012153926 A JP 2012153926A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- ferritic stainless
- steel sheet
- minute
- heat treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
【解決手段】フェライト系ステンレス鋼板を製造するに際し、熱延板を1000℃以上、1分間以上の熱処理でオーステナイト相に変態させた後、700〜950℃、1分間以上で熱処理した鋼を、冷間圧延工程において仕上げ焼鈍前に50〜76%の冷間圧下率を付与し、700〜950℃、1分間以上の仕上げ焼鈍を施すことにより、成形時の面内異方性が小さく、成形性と耐ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製造する。
【選択図】図1
Description
なお、特許文献4には、C含有量やN含有量を極力低減するとともにTiやNbを添加することによって面内異方性を低減する発明が開示されているものの、この発明では、C含有量やN含有量を低減するために精錬時間が増加し、また高価なTiやNbを添加するため、原材料が高価となって製造コストが嵩む。
上述した特許文献1〜3には、主に熱間圧延工程での改善手法によりフェライト系ステンレス鋼の成形性および耐ローピング性を改善することが開示されている。これに対し、本発明は、熱処理によりフェライト相からオーステナイト相を析出させ、その鋳造過程で生成した粗大な結晶粒からなるコロニーを再結晶させて寸断することによって、フェライト系ステンレス鋼の成形性および耐ローピング性の改善を図るとともに、望ましくは、適正な高温オーステナイト相の割合を把握するために簡便な指標を用いるものである。
工程1:熱延板を1000℃以上に1分間以上保持する熱処理によりオーステナイト相に変態させ、700℃以上950℃以下に1分間以上保持する熱処理を行い、
工程2:工程1を経た鋼を、冷間圧延工程において仕上げ焼鈍前に50%以上76%以下の冷間圧下率で冷間圧延し、
工程3:700℃以上950℃以下に1分間以上保持する仕上げ焼鈍を行う。
を経て、フェライト系ステンレス鋼板を製造する。そこで、これらの工程を順次説明する。
フェライト系ステンレス鋼板の面内異方性は、変形の異方性、特に鋼板表面での変形に影響を及ぼす可能性があり、また、成形加工時に表面に凹凸が発生してローピングや肌荒れの発生につながる。また、円筒深絞り時に耳が発生することは、鋼板の集合組織に何らかの異方性が存在すること、すなわち類似結晶方位粒集団(コロニー)が存在することが示唆される。
フェライト系ステンレス鋼は、高温に加熱保持することにより、組織がオーステナイト相に変態する。オーステナイト相は炭素の固溶量が多いため、鋳造工程で生成したコロニーや炭化物中の炭素はこのオーステナイト相に吸収され、鋳造組織の寸断に寄与する。しかし、これを冷却した相はマルテンサイト相に変態するため、硬い相となり成形性を阻害する要因となる。
C、Nは、いずれも、オーステナイト相を析出させるために重要な元素であり、それぞれ0.01%以上含有する。しかし、多量に含有すると、成形性の阻害要因となるため、それぞれ0.12%以下とする。
Siは、オーステナイト相の形成に寄与するが、多量に含有すると成形性の悪化につながるため、上限を2.5%とすることが好ましい。また、Si含有量の下限は精錬における負荷を考慮し、0.01%とすることが好ましい。
Mnは、Siと同様に多量に含有すると成形性を低下させるため、2.0%以下とする。また、下限、は精錬における負荷を考慮し、0.01%とする。
Crは、耐食性を確保するために必要な元素であり、下限を11%とする。望ましくは14%以上である。しかし、多量に含有すると原料コストの増加を招くばかりでなく、熱間圧延及び冷間圧延時に割れを生じやすくなって製造性を低下させるため、上限を22%とする。
Niは、0.20%以上含有することにより耐食性や靱性の向上を期待できる他、オーステナイト相の形成に有利である。望ましくは0.6%以上である。靱性は、Niの含有量が多くなるにともなって改善の程度が増すものの、3.0%を超えて含有してもその効果は飽和状態となり、また多量に含有するとコスト高となることから、上限を3.0%とする。
Cu:1.0%以下、Mo:3.0%以下、または、Nb、Ti、AlおよびZr:合計0.3%以下を含有することにより、成形性が向上する。
本発明は高温でのオーステナイト相析出を利用するため、化学成分の含有量バランスをコントロールすることが重要である。高温でのオーステナイト相の生成傾向の指標であるA値(Ni+0.5Mn+35C+40N+0.3Cu)−0.31(Cr+1.5Si+0.5Nb+12Ti+6Alなる関係式で定まるA値)が−2.7未満では、高温においてオーステナイト相の析出が減少し鋳造組織を寸断する効果が抑制される。一方、A値が−0.5を越えると、高温においてオーステナイト相の析出が過多となりすぎ、成形性の阻害要因となる。したがって、A値は−2.7以上−0.5以下とする。
[工程2:冷間圧延]
工程2では、工程1を経た鋼を、冷間圧延工程において仕上げ焼鈍前に50%以上76%以下の冷間圧下率で冷間圧延する。
工程3では、700℃以上950℃以下に1分間以上保持する仕上げ焼鈍を行うことにより、フェライト系ステンレス鋼板を製造する。
表1の鋼種番号Iに示す鋼組成(表記以外の残部はFeおよび不純物)のフェライト系ステンレス鋼帯を板厚3.6mmに熱間圧延した熱延板を、真空焼鈍炉において810℃で3時間均質化処理した鋼板を素材として使用した。
JIS 13B号試験片を用い、10%引張歪みを与えた後、r0、r45およびr90を求めた。それぞれ、圧延方向、圧延方向に45°方向および圧延方向に90°方向のr値を示す。上記方法で求めたr値から、
で算出し、1.4以上を合格とした。
上記で測定したr値から、ΔrをΔr=(r0−2r45+r90)/2で算出し、0.8以下を合格とした。
圧延方向から採取したJIS 5号試験片を用い、20%引張歪みを与えて判定した。耐ローピング性の評価としては、表面の凹凸および肌荒れ具合から3段階評価とした。表面の凹凸はRmax10μm以下を○、10μm超20μm以下を△、20μm超を×とし、○を合格とした。
本発明で規定するオーステナイト化熱処理を施し、仕上げ圧下率が50.2%〜75.1%の範囲で圧延した供試材については全ての評価基準を満足しており、成形時の面内異方性が小さく、成形性と耐ローピング性が優れたフェライト系ステンレス鋼板を得られたことがわかった。
鋼種番号II〜VIを用いたものは、鋼種番号Iのオーステナイト化熱処理を施さなかった場合と比較すると、成形性や耐ローピング性は改善するものの、異方性を含めた全ての評価基準を満足するものはなかった。
Claims (1)
- フェライト系ステンレス鋼板を製造するに際し、熱延板を1000℃以上に1分間以上保持する熱処理によりオーステナイト相に変態させた後に、700℃以上950℃以下に1分間以上保持する熱処理を行い、当該鋼を、冷間圧延工程において仕上げ焼鈍前に50%以上76%以下の冷間圧下率で冷間圧延した後、700℃℃以上950℃以下に1分間以上保持する仕上げ焼鈍を行うことを特徴とするフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011012790A JP2012153926A (ja) | 2011-01-25 | 2011-01-25 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011012790A JP2012153926A (ja) | 2011-01-25 | 2011-01-25 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012153926A true JP2012153926A (ja) | 2012-08-16 |
Family
ID=46835969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011012790A Pending JP2012153926A (ja) | 2011-01-25 | 2011-01-25 | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012153926A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101485662B1 (ko) | 2013-04-04 | 2015-01-22 | 주식회사 포스코 | 성형성이 향상된 저크롬 스테인리스강 및 그 제조방법 |
JP6067161B1 (ja) * | 2016-03-24 | 2017-01-25 | 日新製鋼株式会社 | 靭性の良好なTi含有フェライト系ステンレス鋼板 |
WO2019132039A1 (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-04 | 日本製鉄株式会社 | クラッド鋼板 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006328524A (ja) * | 2005-01-24 | 2006-12-07 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-01-25 JP JP2011012790A patent/JP2012153926A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006328524A (ja) * | 2005-01-24 | 2006-12-07 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 成形時の面内異方性が小さく耐リジング性及び耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101485662B1 (ko) | 2013-04-04 | 2015-01-22 | 주식회사 포스코 | 성형성이 향상된 저크롬 스테인리스강 및 그 제조방법 |
JP6067161B1 (ja) * | 2016-03-24 | 2017-01-25 | 日新製鋼株式会社 | 靭性の良好なTi含有フェライト系ステンレス鋼板 |
WO2019132039A1 (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-04 | 日本製鉄株式会社 | クラッド鋼板 |
JPWO2019132039A1 (ja) * | 2017-12-28 | 2020-01-16 | 日本製鉄株式会社 | クラッド鋼板 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6017341B2 (ja) | 曲げ性に優れた高強度冷延鋼板 | |
JP5056985B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP3886933B2 (ja) | プレス成形性,二次加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 | |
WO2014119796A1 (ja) | 加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
TWI548757B (zh) | 時效熱處理後之強度增加小的肥粒鐵系不鏽鋼板及其製造方法 | |
CA3018162C (en) | Nb-containing ferritic stainless steel sheet and manufacturing method therefor | |
JP5126844B2 (ja) | 熱間プレス用鋼板およびその製造方法ならびに熱間プレス鋼板部材の製造方法 | |
JP5034803B2 (ja) | 軟窒化処理用鋼板およびその製造方法 | |
JP2005290547A (ja) | 延性および伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
KR101522077B1 (ko) | 내리징성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 제조 방법 | |
JP5873572B2 (ja) | 表面品質及び成形性に優れた燃料電池分離板用ステンレス鋼及びその製造方法 | |
TWI548755B (zh) | 氮化處理用鋼板及其製造方法 | |
JP5729213B2 (ja) | 熱間プレス部材の製造方法 | |
JP2017179596A (ja) | 高炭素鋼板およびその製造方法 | |
KR20100020692A (ko) | 초고강도 트윕 강판 및 그 제조방법 | |
WO2019131099A1 (ja) | 熱延鋼板およびその製造方法 | |
KR20150038601A (ko) | 성형 가공성이 우수한 페라이트계 스테인리스 강판 | |
JP2012153926A (ja) | フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 | |
JP5950653B2 (ja) | 耐加工肌荒れ性に優れるフェライト系ステンレス鋼板 | |
JP4622609B2 (ja) | 伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
JP5811818B2 (ja) | 鋼板の製造方法 | |
JP4471486B2 (ja) | 深絞り性に優れた中・高炭素鋼板 | |
JP2010150580A (ja) | 鋼板及びその製造方法 | |
JP3886864B2 (ja) | 二次加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍材及びその製造方法 | |
JP5050565B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121011 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20121011 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130812 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20140411 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140623 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140701 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140827 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20150113 |