JP2012150003A - ホール電圧検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁束方向転換要素(磁気収束板)20によって感磁面に鎖交するように入射する磁束と駆動電流とによって対を成すホール素子100,200に生起するホール電圧を夫々に含まれているオフセット電圧を相殺するように処理する場合に、対を成すホール素子の平面投影上の配置が前記対をなすホール素子の間を通る仮想線VLに対して対称の位置となるように鏡像関係で配置されているため、該処理によってオフセット電圧が相殺されるときに本来の検出対象たるホール電圧が相殺されることなく出力される。
【選択図】 図1
Description
ホール素子によるホール電圧は、シリコン基板に印加されている応力や、拡散領域の形状の誤差、また拡散領域の不純物濃度のばらつきによって生じるオフセット電圧を含んでいるため、これが磁気センサにおける磁界の検出精度の劣化要因となる。
例えば、2つのホール素子を用い、両ホール素子に対するそれぞれの駆動電流を直交する方向に供給し、この状態で得られる各ホール電圧に伴うオフセット電圧を差動的に作用させて結果的にオフセット電圧を低減する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、非特許文献1には上述のような方法以外にも、1つのホール素子に供給する駆動電流の方向を直交する方向に順次交互に切り替えて、ホール電圧とオフセット電圧とを周波数分離し、後段の回路で平均化処理を行うことによってオフセット電圧を低減するスピニングカレント法と呼ばれる方法も開示されている。
この回路は、ホール素子600の出力が、制御回路610から供給される2相のクロック信号に基づいて切替え動作を行う切替え回路620によって、駆動電流源630およびホール電圧を増幅する演算増幅器640の接続関係の切り替えを行う構成を有する。そして、演算増幅器640の出力が復調回路650によって復調され、更に、その後段の積分器660を経て検出出力を得るように構成されている。
更に、第2相のクロック信号がHである区間(上記φ1に続く半周期φ2)において、k3-K’1、 k4-K’2、 k1-K’3、 k2-K'4間がそれぞれ接続され、k3-k4間に駆動電流が流れ、k1-k2間でホール電圧が検出される。
上掲の非特許文献1におけるような、駆動電流の方向を2方向に順次交互に切り替えるのみの手法では、上述の各半周期φ1、φ2において完全に同じ大きさのオフセット電圧は発生せず、図7における各半周期φ1、φ2に対応する復調前の各出力電圧V1およびV2の差分が残留オフセット電圧として生じるという問題を残している。
即ち、ホール素子の拡散領域の不均一性に起因するようなオフセット電圧については、ホール素子のバイアス状態により大きさが変化するため、上掲の非特許文献1の方式では十分に低減できないことが知られている。
上述のような、スピニングカレント法においても残留してしまうオフセット電圧を更に低減させるための技術も既に提案されている。
例えば、ホール素子の駆動電流を既定の順方向と逆方向とに切替えて供給し、異なる方向の駆動電流に対応する各ホール電圧(オフセット電圧を伴う)に対する後段の演算処理によってオフセット電圧の影響を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
この回路は、ホール素子800の出力が、制御回路810から供給される4相のクロック信号に基づいて切替え動作を行う切替え回路820によって、駆動電流源830およびホール電圧を増幅する演算増幅器840の接続関係の切り替えを行う構成を有する。そして、演算増幅器840の出力が復調回路850によって復調され、更に、その後段の積分器860を経て検出出力を得るように構成されている。
このようなスイッチアレイ821の各該当するスイッチの切替えにより、第1相のクロック信号がHであるφ1の区間では、k1-K’1、 k2-K’2、 k3-K’3、 k4-K'4がそれぞれ接続され、k1→k2間に駆動電流が流れ、k3-k4間で磁場の大きさに比例するホール電圧の検出が行われる。
更に、上記φ2の区間に次ぐ、第3相のクロック信号がHであるφ3の区間において、k2-K’1、 k1-K’2、 k4-K’3、 k3-K'4間がそれぞれ接続され、k2→k1間に駆動電流が流れ、k4-k3間でホール電圧の検出が行われる。
更にまた、上記φ3の区間に次ぐ、第4相のクロック信号がHであるφ4の区間において、k4-K’1、 k3-K’2、 k2-K’3、 k1-K'4間がそれぞれ接続され、k4→k3間に駆動電流が流れ、k2-k1間でホール電圧の検出が行われる。
ホール電圧、及びオフセット電圧の信号の流れを説明する図である。ホール電圧は上述の区間φ1およびφ3で同じ極性をもち、区間φ2およびφ4で極性が反転するよう切替え回路820におけるスイッチアレイ821の接続が切替えられ、演算増幅器840で増幅された後、復調回路850により区間φ2およびφ4で極性が反転されて直流成分として出力される。そして、復調回路850からの直流成分が積分器860に入力され、ここでノイズ抑制されて検出出力を得る。
上述のよう非特許文献1所載の技術における2方向のスピニングカレント法で残る残留オフセットについては、特許文献1所載の技術におけるように、駆動電流方向を反対方向に流す場合をも含むようにして直交する方向に順次交互に加えて調整することによって、残留オフセットをキャンセルすることが可能である。
更に、切替え回路820にクロックを供給するための配線が複雑になり、ホール素子が電磁ノイズを拾い易くなる結果、このノイズによって検出精度が劣化する。
上述のような特許文献1所載の技術と軌を一にする技術として、駆動電流を供給する方向を連続的に回転させる如くすることによって、結果的に残留オフセット電圧の影響を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
上掲の従来技術(特許文献2および特許文献3)の何れにおいても、スピニングカレント法を採用し、駆動電流を供給する方向を順次切り替えることによって、残留オフセットの低減効果については優れた特性が得られる。
また、検出結果を得るための平均化処理に多くの時間が必要となり応答性が低下する等のデメリットも生じてくる。
この回路は、ホール素子1001および1002の出力が、制御回路1010から供給される2相のクロック信号に基づいて切替え動作を行う切替え回路1020によって、駆動電流源1030およびホール電圧を増幅する演算増幅器1040の接続関係の切り替えを行う構成を有する。そして、演算増幅器1040の出力が復調回路1050によって復調され、更に、その後段の積分器1060を経て検出出力を得るように構成されている。
このようなスイッチアレイ1021の各該当するスイッチの切替えにより、第1相のクロック信号がHである区間(半周期φ1)ではk1‐K’1、 k2-K’2、 k3-K’3、 k4-K'4がそれぞれ接続される。そして、この接続状態では、k1-k2間に駆動電流が流れ、k3-k4間で磁場の大きさに比例するホール電圧が検出される。
更に、第2相のクロック信号がHである区間(上記φ1に続く半周期φ2)において、k3-K’1、 k4-K’2、 k1-K’3、 k2-K'4間がそれぞれ接続され、k3-k4間に駆動電流が流れ、k1-k2間でホール電圧が検出される。
図11(a)は、磁気収束板とホール素子の配置を表す上面図、図11(b)は、磁気収束板とホール素子の配置を表す断面図である。
図11(a)および図11(b)において、CMOSのチップ1100上で数10〜数100μm離れた位置に対となるホール素子1101および1102を形成し、その上に電解メッキや接着剤を用いた貼り付けといった手法で直径数10〜数100μm、厚さ数μm〜数10μmの磁気収束板1110が形成されている。
このため、チップ1100の主面に対し水平方向の磁場が入力された場合、磁気収束板1110の端部付近では周囲の磁場が引き込まれ、チップ1100の主面、従って、両ホール素子1101および1102の感磁面に対し、垂直方向の磁場に変換される。
そして、後の信号処理において対となる両ホール素子1101および1102間のホール電圧の差を取ることによって、結果的に上述における水平方向の磁場の大きさを検出することが可能になる。
図12は、特許文献4所載の相互に接続された対を成すホール素子に対して特許文献5所載の磁気収束板を適用する場合の現象について説明するための図であり、このうち図12(a)は、特許文献4所載の技術における図10を参照して既述の第1相のクロック信号がHである区間(半周期φ1)における状態を表し、図12(b)は、図10を参照して既述の第2相のクロック信号がHである区間(半周期φ2)における状態を表している。
図12(a)および図12(b)を参照して説明したように、特許文献4所載の相互に接続された対を成すホール素子に対して特許文献5所載の磁気収束板を適用する場には、オフセット電圧は低減されるが本来の検出対象たるホール電圧が相殺されて検出できなくなるという不具合を生じる。
(1)2対の電極のうち一の電極対および該一の電極対の対向方向と交差する方向に対向する他の電極対との両電極対を有する第一のホール素子と該第一のホール素子と対を成す第二のホール素子と、前記対を成す第一のホール素子と第二のホール素子の各感磁面に平行な磁束を前記感磁面に鎖交するように方向転換させる磁束方向転換要素と、前記各ホール素子の前記一の電極対および他の電極対を駆動電流供給用電極対およびホール電圧検出用電極対として経時的に交互に切替える切替回路部と、前記対を成す各ホール素子による各ホール電圧を夫々に含まれているオフセット電圧を相殺するように処理して出力する検出回路部と、を備えたホール電圧検出装置であって、
前記対を成す第一のホール素子における前記両電極対の平面投影上の配置に対し第二のホール素子の前記両電極対の平面投影上の配置が、前記対をなす各ホール素子の間を通る仮想線に対して対称の位置となるように鏡像関係で配置されていることを特徴とするホール電圧検出装置。
上記(2)のホール電圧検出装置では、(1)のホール電圧検出装置において特に、前記磁束方向転換要素は、自己の対応する各端部が前記対をなすホール素子の各感磁面に差渡されるようにして配された磁性材料による磁気収束板であるため、前記対を成す第一のホール素子と第二のホール素子の各感磁面に平行な磁束を前記感磁面に鎖交するように方向転換させるための構成が簡単である。
上記(3)のホール電圧検出装置では、(1)または(2)のホール電圧検出装置において特に、前記対を成すホール素子は、複数対のホール素子であるため、各対のホール素子の出力に基づいて信頼性の高い検出出力を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態としてのホール電圧検出装置におけるホール素子部1の構成および作用を説明するための説明図である。
図1(a)は、上記ホール素子部1の、対を成す第1のホール素子100および第2のホール素子200が後述する第1相のクロック信号がHである区間(半周期φ1)における状態を表している。また、図1(b)は、対を成す第1のホール素子100および第2のホール素子200が後述する第2相のクロック信号がHである区間(半周期φ2)における状態を表している。
図1(c)および図1(d)を参照して、ホール素子部1の構造について説明する。
このため、CMOSのチップ10の主面に対し平行な方向、即ち、図1(d)における水平方向の磁場が入力された場合、磁気収束板20の端部付近では周囲の磁場が引き込まれ、チップ10の主面、従って、第1のホール素子100および第2のホール素子200の各感磁面に対し、垂直方向の磁場に変換される。
そして、後の信号処理において対となる第1のホール素子100および第2のホール素子200間のホール電圧の加算(極性を勘案した加算)を行うことによって、結果的に上述における水平方向の磁場の大きさを検出することが可能になる。
第1のホール素子100は4つの電極101、102、103、および、104を備えている。これらの電極のうち一の電極対(対角に位置する電極101および103)と他の電極対(対角に電極102および104)は、後述するように、順次の時間区間において、一対の駆動電流供給端および一対のホール電圧検出端として両者交番で用いられる。
そして、第1のホール素子100および第2のホール素子200の平面投影における相互の配置は、両者の対向縁間の仮想線VLに関して対称の位置となるように鏡像関係(鏡映対称)で配置されている。
即ち、第1相のクロック信号がHである区間(半周期φ1)と第2相のクロック信号がHである区間(上記φ1に続く半周期φ2)とでは、第1のホール素子100および第2のホール素子200には90度回転した方向に駆動電流が供給される。
また、第2のホール素子200におけるホール電圧も、電極204から電極202の方向にローレンツ力が発生し、電極204〜電極202間に発生するホール電圧は正電圧となる。
一方、図1(b)に表された時間区間φ2の状態においても、同様に、第1のホール素子100および第2のホール素子200間でホール電圧は同極性となり、第1のホール素子100および第2のホール素子200の各対応する電極が上述のように接続されても既述の従来例におけるようにホール電圧が打ち消されるといった不具合は生じない。
また、図1の実施の形態に対して適用するスピニングカレント法では、第1のホール素子100および第2のホール素子200のそれぞれについて、駆動電流の供給方向とホール電圧の検出方向とが相互に直交する2方向の間で切替えられる態様を適用している。即ち、図1の実施の形態では、第1のホール素子100および第2のホール素子200に流れる駆動電流の方向は、直交する方向、および、これの反対方向を含めた90度刻みの4方向となっている。
このため、切替えスイッチの構成を複雑化することなく駆動電流の方向を4方向とした場合の特性が得られる。
この実施の形態では、第1のホール素子100および第2のホール素子200の出力が、制御回路210から供給される2相のクロック信号に基づいて切替え動作を行う切替え回路220によって、駆動電流源230およびホール電圧を増幅する演算増幅器240の接続関係の切り替えを行う構成を有する。そして、演算増幅器240の出力が復調回路250によって復調され、更に、その後段の積分器260を経て検出出力を得るように構成されている。
そして、制御回路210からの切替え制御信号によって、切替え回路220におけるスイッチアレイ221の各該当するスイッチが切替えられる。
このようなスイッチアレイ221の各該当するスイッチの切替えにより、第1相のクロック信号がHである区間(半周期φ1)ではk1‐K’1、 k2-K’2、 k3-K’3、 k4-K'4がそれぞれ接続される。そして、この接続状態では、k1-k2間に駆動電流が流れ、k3-k4間で磁場の大きさに比例するホール電圧が検出される。
図3は図2における、第1のホール素子100および第2のホール素子200の、ホール電圧、及びオフセット電圧の経時的変化を表す図である。第1のホール素子100および第2のホール素子200の相互の配置および接続関係については図1(a)および図1(b)を参照して既述のとおりであるため、得られるホール電圧は第1のホール素子100および第2のホール素子200の平均値が出力され、これが演算増幅器240に入力される。
一方、オフセット電圧については、時間区間φ1およびφ2で大凡同極性の成分が出力され、復調回路250を通った後に交流成分となり、積分器260により時間区間φ1からφ2亘って平均化処理することによって交流成分に変調されたオフセット成分が低減される。
第1のホール素子100および第2のホール素子200を個別に見ると、オフセット成分が残留しているが、2つのホール素子100および200の平均で見た場合には、上述のとおり、オフセットはほぼ0に低減される。
また、切替え回路220および復調回路250および積分器260の各該当する機能は、それらの共働によって、対を成す各ホール素子による各ホール電圧を夫々に含まれているオフセット電圧を相殺するように処理して出力する検出回路部を成している。
図4(a)は、図6を参照して既述の従来技術オフセット電圧の検出結果であり、図4(b)は本発明の実施の形態におけるオフセット電圧の検出結果である。
図4(a)および図4(b)におけるオフセット電圧は次のようなホール素子部を適用した場合の例である。即ち、N型で、サイズは30um角のSiホール素子をCMOSのチップ上に200μm離れた位置にそれぞれ形成し、これらのホール素子上には図11および図1(c)に表されたように直径200μmの磁気収束板が電解メッキで形成されている状態での検出結果となっている。
図4(b)は、図1を参照して既述の配置および接続関係におけるホール素子対に対して、直交する2方向に対してスピニングカレント法を用いた場合の結果である。この場合は、10サンプルの平均で−0.9μV、標準偏差で10.7μVのオフセットとなっており、本発明の実施の形態においてオフセット電圧の低減効果が顕著であることが確認できる。
即ち、図1ないし図4の実施の形態では、磁気収束板を既述の如く適用し、且つ、1対のホール素子の平面投影における相互の配置は、両者の対向縁間の仮想線VLに関して対称の位置となるように鏡像関係(鏡映対称)で配置することを一つの要件としている。そして、各ホール素子のそれぞれ対応する電極を接続(短絡)し、各ホール素子に反対方向の磁場が入力された場合に、上述の鏡映対称での配置を採っているという要件をも満たしているために、ホール電圧の検出を可能にしたものである。従って、上述の各要件を等しく充足する限りにおいて、ホール素子を4つ、或いは、8つ等とする構成を採ることも可能である。この場合は、複数対のホール素子の出力に基づいて信頼性の高い検出出力を得ることができる。
図5の実施の形態では、図1ないし図4を参照して既述のようなホール素子の配置に対し、一方のホール素子を45度や90度等の角度回転させた配置をとっている。
この図5において、既述の図2との対応部は同一の符号を附して示してある。
210、610、810、1010………………………………………制御回路
220、620、820、1020………………………………………切替え回路
230、630、830、1030………………………………………駆動電流源
240、640、840、1040………………………………………演算増幅器
250、650、850、1050………………………………………復調回路
260、660、860、1060………………………………………積分器
Claims (3)
- 2対の電極のうち一の電極対および該一の電極対の対向方向と交差する方向に対向する他の電極対との両電極対を有する第一のホール素子と該第一のホール素子と対を成す第二のホール素子と、前記対を成す第一のホール素子と第二のホール素子の各感磁面に平行な磁束を前記感磁面に鎖交するように方向転換させる磁束方向転換要素と、前記各ホール素子の前記一の電極対および他の電極対を駆動電流供給用電極対およびホール電圧検出用電極対として経時的に交互に切替える切替回路部と、前記対を成す各ホール素子による各ホール電圧を夫々に含まれているオフセット電圧を相殺するように処理して出力する検出回路部と、を備えたホール電圧検出装置であって、
前記対を成す第一のホール素子における前記両電極対の平面投影上の配置に対し第二のホール素子の前記両電極対の平面投影上の配置が、前記対をなす各ホール素子の間を通る仮想線に対して対称の位置となるように鏡像関係で配置されていることを特徴とするホール電圧検出装置。 - 前記磁束方向転換要素は、自己の対応する各端部が前記対をなすホール素子の各感磁面に差渡されるようにして配された磁性材料による磁気収束板であることを特徴とする請求項1に記載のホール電圧検出装置。
- 前記対を成すホール素子は、複数対のホール素子であることを特徴とする請求項1または2に記載のホール電圧検出装置。
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