JP6226447B2 - 磁気センサ及びその磁気検出方法 - Google Patents
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図1に示すGMR構造は、スピンバルブ構造と呼ばれ、フリー層の磁化方向とピンド層の磁化方向が直交するように初期設計され、ピンド層方向に磁場がかかることによりフリー層の磁化が動き抵抗変化を示す。そのため、GMRの感度軸はピンド層方向になる。
地磁気を検出するためにはX、Y、Zの3軸の磁場を検出することが必要になる。例えば、GMRは基板平面上に形成された場合、ピンド層の磁化方向に感度軸を持つため、水平方向の磁場しか検出できない。
また、同一基板上に形成された磁気抵抗素子で、X、Y、Zの磁場を検出することが出来ると製造工程が大きく簡略化できコスト的に有利であり、また、実装や斜め形成の加工精度による誤差に影響を受けることがないため、低コスト、かつ高精度の地磁気センサの実現が可能である。
例えば、特許文献3に記載のものは、ピンド層の磁化の向きが互いに交差する二以上の磁気抵抗効果素子を単一チップ上に有する磁気センサに関するもので、この特許文献3には、感度軸を直交させて同一基板上に形成するためには、ピン層の向きが同一平面上で交差する二以上の磁気抵抗素子を形成するために、各センサチップ内において、N極、S極を組み合わせた永久磁石のアレイを用いて、4つの異なる方向(±x軸、±y軸)にピンド層の磁化を固定する処理する方法が提案されている。
また、特許文献2に記載のものは、垂直方向の磁場を検知するために、素子を立てて基板上に実装することで、Z軸方向の磁場を検出する工夫を施しているものの、いずれの方向ともX、Y、Z磁場検知のために複雑な工程を要するためコストに課題があった。また、特許文献3では、チップ毎の処理が、製造工程を複雑化し、コスト高となるという課題があった。
本発明は、このような状況を鑑みて発明されたものであり、その目的とするところは、簡便なプロセスで製造でき、かつ少ない磁気検出部数で3軸の磁場成分を検出可能な、磁気抵抗効果素子からなる3軸の磁気センサ及びその磁気検出方法を提供することにある。
図4は発明に係る磁気センサの前提となる磁気センサを説明するための構成図で、磁気抵抗素子としてのGMR素子と磁気収束板の基本的な配置パターンを説明するための構成図である。
また、ミアンダ状のGMR素子の短手方向がピンド層の磁化の方向で、長手方向がフリー層の磁化の向きで、ピンド層の磁化の向き、つまりGMR素子の短手方向が感度軸方向と平行になる。
なお、磁気抵抗素子としてGMR素子を用いているが、GMR素子に限定されるものではなく、トンネル磁気抵抗(TMR)素子やその他磁気抵抗変化素子を用いても何ら構わない。また磁気収束板はNiFe、NiFeB乃至NiFeCo、CoFeなどの軟磁気特性を示す磁性材料であれば良い。
また、GMR素子の幅もセンサの感度や動作磁場範囲を決めるため、最適化する必要がある。GMR素子の単手方向であるピンド層方向の幅は0.1〜20μmであることが好ましいが、幅が大きいと素子サイズが大きくなりすぎてしまい、かつ狭すぎると感度が低下するため0.1〜10μmの範囲が好ましい。
また、好ましいGMR素子と櫛歯状の磁気収束板の位置関係を図5(b)に示す。GMR素子21bと磁気収束部23の水平方向の位置関係は、GMR素子21bの右端が磁気収束部22と23の中間点よりも右側に配置され、また、GMR素子21bの左端が、磁気収束部23の左端よりも左側に配置されることが望ましいが、GMR素子21bの右端と磁気収束部23が接することがより好ましい。同様に、GMR素子21aの左端が、磁気収束部22の左端よりも左側に配置されることが望ましいが、GMR素子21aの右端と磁気収束部22が接することがより好ましい。GMR素子21bと磁気収束部23の断面方向の位置関係は、GMR素子21bの底面が磁気収束部23の底面より下にあることが望ましいが、GMR素子21bの上面が磁気収束板23の底面より下に配置されることがより好ましく、具体的には2ミクロン以内の高さ間隔で配置されることがより好ましい。
紙面の右方向を+X軸方向、上方向を+Y方向、紙面に垂直な方向を+Z方向と定義する。このような構成により、GMR素子21にX,Y、Zの磁場が掛かった時の抵抗変化について説明する。
X磁場が印加された時、磁気収束板22にかかる磁場は−Y方向に曲がられ、GMR素子21は極性が逆向きの磁場を受ける。そのときの抵抗変化は、以下の関係式を有している。
次に、図6(a),(b)に基づいて、磁気収束板によるY軸方向の磁場変換の様子を説明する。図6(a)は、GMR素子と磁気収束板の配置パターンを説明するための構成図で、図6(b)は、図5(a)におけるA−A線断面図である。すべてのGMR素子21に外部磁場と同じ向きの磁場がかかる。つまり、以下のような関係式を有している。
GMR31と磁気収束板32、33からなる磁気検出部をR1、GMR41と磁気収束板42、43からなる磁気検出部をR2とし、それぞれ磁場がかからない時の抵抗値をRとする。
このような構成により、磁場によりGMR素子の抵抗が変化した場合の抵抗変変化は、以下の関係式で表される。
R1,R2にZ/Y/Zの磁場が同時に印加されたときのR1とR2の差が、以下の関係式で表される。
R1=R(1+(ΔRx1+ΔRy1+ΔRz1)/R)
R2=R(1+(ΔRx2+ΔRy2+ΔRz2)/R
ΔR=R2−R1
=R(1+(ΔRx2+ΔRx2+ΔRz2)/R)
−R(1+(ΔRx1+ΔRy1+ΔRz1)/R)
=(ΔRx2−ΔRx1)+(ΔRx2−ΔRy1)+(ΔRz2
−ΔRz1)
以下、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。
第1の磁気感知部301は、図9(a)に示すように、四角形状の感磁材301aと、この感磁材301aと長さの異なる四角形状の磁気収束材301bとを有している。また、第2の磁気感知部302は、図9(b)に示すように、基板に対して平行で、かつ感磁材301aの長手方向の中点を通る中線Maと、磁気収束材301bの長手方向の中点を通る中線Mbとが、互いに交わらないように配置され、第1の磁気感知部301と同じの構造構成を有して線対称に配置されている。
また、図9(d)に示すように、第1の磁気感知部301の感磁材301aと、第2の磁気感知部302の感磁材302aとを、電気的に直列接続する接続部311aとからなる第1の配置パターン311を有している。
図10は、本発明に係る磁気センサの実施例1における同じ基板上にX磁場乃至Z磁場を検出するための磁気センサとして、第1の配置パターンと第2の配置パターンに加え、第3の配置パターンのセンサ配置パターンを説明するための構成図である。
図13は、本発明に係る磁気センサの実施例1における磁気センサとして、第4の配置パターンを説明するための構成図で、同一基板上にX磁場乃至Z磁場を検出するための磁気センサとして第4の配置パターンを示している。
なお、第1の配置パターン311と第2の配置パターン312は、櫛歯状磁気収束板の短手方向に対して線対称の位置関係を有している。
なお、第1の配置パターン311と第3の配置パターン313は、櫛歯状磁気収束板の長手方向に対して点対称の位置関係を有している。
図19は、第1の配置パターンを有する第1の磁気センサ部と、第2の配置パターンを有する第2の磁気センサ部と、第3の配置パターンを有する第3の磁気センサ部と、第4の配置パターンを有する第4の磁気センサ部が同一基板上に形成された構造図である。
また、さらに第1乃至第4の磁気センサ部50,60,70,80のそれぞれのGMR素子の感度軸が平行になるように配置されていて、すべて同じGMR素子の長さと幅を有し、同じ抵抗値を有している。
図20は、本発明の磁気センサにX,Y,Z方向の磁場がかかった時に、第1乃至第4の磁気感知部にどのような抵抗変化を示すかを説明するための図である。X軸の磁場は左から右へ、Y方向の磁場は下から上へ、Z方向の磁場は紙面に向かって方向を+方向とする。
X軸方向の磁場を算出するために(2)式から(1)式の差をとると(5)式のようにHx方向の磁場のみを算出出来る。
また、Z軸方向の磁場を算出するために(1)式から(3)式の差をとると、(6)式のようにHZ方向の磁場のみを算出出来る。
Y軸方向の磁場を算出するために(2)式と(3)式の和をとり、(4)式を2倍にして差をとることで、Hy方向の磁場のみを算出出来る。
このように同一平面上に、第1乃至第4の磁気センサ部50,60,70,80を配置し、X,Y,Z方向の磁場がかかったときのそれぞれの抵抗から演算を行うことで、精度よくHx,Hy,Hzの成分の磁場の検出が可能になる。
また、第4の磁気センサ部80の磁気収束板は、GMR全体を覆うものであればよく、形状は長方形に限定されず、三角や丸型など任意の形状でも効果は何ら構わない。
2 ピンド層(固定層)
3 Cu層(スペーサ層)
4 フリー層(自由回転層)
11 絶縁膜
12 フリー層(自由回転層)
13 導電層
14 ピンド層(固定層)
15 反強磁性層
16 絶縁膜
21,31,41,51,61,71,81 GMR素子
22,52,62,72,82 一方の磁気収束板
23,53,63,73 他方の磁気収束板
32,33,42,43 磁気収束板
50 第1の磁気センサ部
51a GMR素子51の第1部分
51b GMR素子51の第2部分
51c GMR素子51の第3部分
51d GMR素子51の第4部分
52a 一方の磁気収束板52の櫛歯の第1部分
52b 一方の磁気収束板52の櫛歯の第2部分
53a 他方の磁気収束板53の櫛歯の第1部分
53b 他方の磁気収束板53の櫛歯の第2部分
60 第2の磁気センサ部
61a GMR素子61の第1部分
61b GMR素子61の第2部分
61c GMR素子61の第3部分
61d GMR素子61の第4部分
62a 一方の磁気収束板62の櫛歯の第1部分
62b 一方の磁気収束板62の櫛歯の第2部分
63a 他方の磁気収束板63の櫛歯の第1部分
63b 他方の磁気収束板63の櫛歯の第2部分
70 第3の磁気センサ部
71a GMR素子71の第1部分
71b GMR素子71の第2部分
71c GMR素子71の第3部分
71d GMR素子71の第4部分
72a 一方の磁気収束板72の櫛歯の第1部分
72b 一方の磁気収束板72の櫛歯の第2部分
73a 他方の磁気収束板73の櫛歯の第1部分
73b 他方の磁気収束板73の櫛歯の第2部分
80 第4の磁気センサ部
81a GMR素子81の第1部分
81b GMR素子81の第2部分
81c GMR素子81の第3部分
81d GMR素子81の第4部分
301 第1の磁気感知部
301a,302a 感磁材
301b,302b 磁気収束材
302 第2の磁気感知部
303 第3の磁気感知部
304 第4の磁気感知部
311 第1の配置パターン
311a,311b,312a 接続部
311c 磁気収束部材
312 第2の配置パターン
313 第3の配置パターン
314 第4の配置パターン
Claims (10)
- 任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、
基板平面上に四角形状の感磁材と、該感磁材と長さの異なる四角形状の磁気収束材とを有し、前記感磁材と前記磁気収束材とが前記基板平面に対して平行で、かつ前記感磁材の長手方向の中線と、前記磁気収束材の長手方向の中線とが互いに交わらないように配置された第1の磁気感知部、
前記第1の磁気感知部と同一の構造を有し、該第1の磁気感知部と平行で、かつ重ならないように配置された第2の磁気感知部、及び
前記第1の磁気感知部の感磁材と前記第2の磁気感知部の感磁材とを電気的に直列接続する接続部を有し、
前記第2の磁気感知部の感磁材が、前記第1の磁気感知部の磁気収束材と前記第2の磁気感知部の磁気収束材とに挟まれるように配置された第1の配置パターンと、
前記第1の配置パターンと同一の構成を有し、前記基板平面に対して平行で、かつ前記第1の配置パターンの磁気収束材の短手方向側に平行な線に対して対称で、かつ互いに重ならないように離間して対向配置されている第2の配置パターンと、を備えることを特徴とする磁気センサ。 - 前記基板上に前記第1の配置パターンと同一の構成を有する第3の配置パターンを有し、
該第3の配置パターンが任意の点に対して前記第1の配置パターンと対称で、かつ前記第1の配置パターンの磁気収束材の長手方向と、前記第3の配置パターンの長手方向が平行で互いに重ならないように離間して配置され、
前記第1の配置パターンと前記第2の配置パターン及び前記第3の配置パターンが互いに平行で、かつ異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記第1の配置パターンから前記第2の配置パターンのそれぞれの磁気収束材において、磁気収束部材が、前記第1及び第2の配置パターンの構造中心点から遠い位置の方の磁気収束材の短手側でT字状に接するように配置され、前記磁気収束部材と隣接する磁気収束材との距離が、前記配置パターン内における2つの磁気収束材間の距離よりも遠い位置関係に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ。
- 前記各配置パターン間における磁気収束材間の距離が、前記各配置パターン内における2つの磁気収束材間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の磁気センサ。
- 同一基板上に、更に、前記第1乃至第3の配置パターンのいずれかの感磁材と同じ配置パターンの感磁材と、該感磁材の全面を覆う磁気収束材を有する第4の配置パターンを有することを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
- 前記第1の配置パターン乃至前記第4の配置パターンのいずれかの配置パターンが複数個で配置パターン群を構成し、該配置パターン群が、互いに平行でかつ重ならないように配置され、かつ前記配置パターン群の各々の感磁部同士が、1つの直列接続となるように接続部で電気的に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサ。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気センサにおける前記第1の配置パターンと前記第2の配置パターンを有する磁気センサの磁気検出方法において、
前記磁気収束材の長手方向に平行な磁場は、前記第1の配置パターンと前記第2の配置パターンに対して各々反対の方向に変換され、前記磁気収束材の長手方向に垂直な磁場は、同一方向に磁場変換され、
さらに、前記磁気収束材の平面方向に垂直な磁場は、前記磁気収束材の平面と平行でありかつ前記第1の配置パターンと前記第2の配置パターンに対して各々同じ方向に変換され、前記第1の配置パターンを有する磁気センサと、前記第2の配置パターンからなる磁気センサとの抵抗の差を演算することで、前記磁気収束材の長手方向に平行な磁場のみを単独で演算することを特徴とする磁気検出方法。 - 請求項5又は6に記載の磁気センサにおける前記第2の配置パターンと前記第3の配置パターン及び前記第4の配置パターンを有する磁気センサの検出方法において、
前記磁気収束材の長手方向に平行な磁場は、前記第2の配置パターンと前記第3の配置パターンに対して各々反対の方向に変換され、前記磁気収束材の長手方向に垂直な磁場は、同一方向に磁場変換され、
さらに、前記磁気収束材の平面方向に垂直な磁場は、前記磁気収束材の平面と平行でありかつ前記第2の配置パターンと前記第3の配置パターンに対して各々反対の方向に変換され、
前記第2の配置パターンを有する磁気センサと、前記第3の配置パターンからなる磁気センサとの抵抗の和を演算し、さらに、その和を前記第4の配置パターンからなる磁気センサの抵抗を2倍した値との差をとることで、前記磁気収束材の長手方向に垂直な磁場のみを単独で演算することを特徴とする磁気検出方法。 - 請求項2,5,6のいずれかに記載の磁気センサにおける前記第1の配置パターンと前記第3の配置パターンを有する磁気センサの検出方法において、
前記磁気収束材の長手方向に平行な磁場は、前記第1の配置パターンと前記第3の配置パターンに対して各々同じ方向に変換され、前記磁気収束材の長手方向に垂直な磁場は、同一方向に磁場変換され、
さらに、前記磁気収束材の平面方向に垂直な磁場は、前記磁気収束材の平面と平行でありかつ前記第1の配置パターンと前記第3の配置パターンに対して各々反対の方向に変換され、
前記第1の配置パターンを有する磁気センサと、前記第3の配置パターンからなる磁気センサとの抵抗の差を演算することで、前記磁気収束材の平面方向に垂直な磁場のみを単独で演算することを特徴とする磁気検出方法。 - 請求項7乃至9のいずれかに記載の磁気検出方法の2つを組み合わせることにより2軸方向の磁場を検出し、請求項7乃至9に記載の磁気検出方法のすべてを組み合わせることにより3軸方向の磁場を検出することを特徴とする磁気検出方法。
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