JP2012144908A - ガードレール用の緩衝体、及びそれを取り付けたガードレール - Google Patents
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Abstract
【課題】衝撃吸収効果、及び離脱誘導性を高める。
【解決手段】ガードレール1のビーム3に取り付き、車輌接触時の衝撃を緩和する。ビーム3の前面3Sを覆う基板部7と、この基板部7の上下に形成されかつ前記ビーム3の上端縁2eU及び下端縁2eLにそれぞれ係止されるコ字状のフック部10とを具えるとともに、前記ビーム3に沿って横滑り可能に取り付く緩衝体本体8、及び前記基板部7の背面に突設されかつ前記ビーム3の前面3Sに当接しうる衝撃吸収突部9を一体に具える。
【選択図】図2
【解決手段】ガードレール1のビーム3に取り付き、車輌接触時の衝撃を緩和する。ビーム3の前面3Sを覆う基板部7と、この基板部7の上下に形成されかつ前記ビーム3の上端縁2eU及び下端縁2eLにそれぞれ係止されるコ字状のフック部10とを具えるとともに、前記ビーム3に沿って横滑り可能に取り付く緩衝体本体8、及び前記基板部7の背面に突設されかつ前記ビーム3の前面3Sに当接しうる衝撃吸収突部9を一体に具える。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガードレールのビームに取り付き、車輌衝突時の衝撃を緩和するガードレール用の緩衝体及びそれを取り付けたガードレールに関する。
ガードレールのビームは鋼製であるため、自動車が接触するとその自動車とビームとが大きく損傷する。そこで下記の特許文献1には、車輌接触時の衝撃を緩和し自動車やガードレールの損傷を最小限度に抑えるガードレールが提案されている。このガードレールは、図7に示すように、ビームaの幅方向中央の窪み部a1に、ゴムなどの弾性体bを、例えばボルト・ナットによって固定している。
しかし前記構造のものは、車輌接触時の衝撃吸収が、前記弾性体bの圧縮変形によって行われるため、充分な吸収緩和効果が得られ難い。又取付がボルト・ナットによるため、装着、補修交換などに手間を有するという問題がある。又ガードレールでは、接触車輌の離脱誘導、即ち車輌の衝突角度に対し、衝突後の車輌の離脱角度をできるだけ減少させることが要求されるが、上記弾性体bの場合、離脱角度減少のための考慮がなされていない。
そこで本発明は、取付け取り外し作業を容易とし、かつ車輌接触時の衝撃吸収効果を高めるとともに、衝突後の車輌の離脱角度を減少させうるガードレール用の緩衝体、及びそれを取り付けたガードレールを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、支柱間に架け渡される板状のビームを有するガードレールの前記ビームに取り付き、車輌接触時の衝撃を緩和するガードレール用の緩衝体であって、
前記ビームの前面を覆う基板部と、この基板部の上下に形成されかつ前記ビームの上端縁及び下端縁にそれぞれ係止されるコ字状のフック部とを具えるとともに、前記ビームに沿って横滑り可能に取り付く緩衝体本体、
及び前記基板部の背面に突設されかつ前記ビームの前面に当接しうる衝撃吸収突部を一体に具えることを特徴としている。
前記ビームの前面を覆う基板部と、この基板部の上下に形成されかつ前記ビームの上端縁及び下端縁にそれぞれ係止されるコ字状のフック部とを具えるとともに、前記ビームに沿って横滑り可能に取り付く緩衝体本体、
及び前記基板部の背面に突設されかつ前記ビームの前面に当接しうる衝撃吸収突部を一体に具えることを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記基板部は、その前面を、前記ビームの前面に対し車輌進行方向に向かって車道内側に10〜30°の角度θで傾斜する傾斜面としたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記緩衝体本体と衝撃吸収突部とは加硫ゴム、及び/又は合成樹脂から形成されることを特徴としている。
又請求項4は、ガードレールの発明であって、請求項1〜3の何れかに記載のガードレール用の緩衝体をビームに取り付けたことを特徴としている。
本発明は叙上の如く、ビーム前面を覆う基板部の上下に、ビームの上端縁及び下端縁に係止しうるコ字状のフック部を具える。従って、固定金具を用いることなく、一人作業により緩衝体を迅速かつ容易に取付け取り外ししうる。又緩衝体を、支柱位置の他、それ以外の自在な位置にも取り付けでき、しかもその取り付けピッチ間隔を自在に調整しうる。
又前記緩衝体は、圧縮変形ではなく、基板部の曲げ変形と衝撃吸収突部の曲げ変形とによって接触時の衝撃を吸収するなど衝撃吸収緩和効果を高く発揮しうる。しかも緩衝体は、前記フック部によりビームに沿って横滑り可能に取り付くため、衝突時の衝突エネルギーを、前記横滑りによって生じる摩擦エネルギーとして吸収しうる。そのため、衝撃吸収緩和効果をいっそう高めることができる。
又緩衝体が横滑りすることにより、衝突エネルギーのベクトルが、ビーム前面で反射される以外に、
ビームと平行な向きにも分散されるため、離脱角度を下げることができる。
ビームと平行な向きにも分散されるため、離脱角度を下げることができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のガードレール1は、車道の路側に沿って一定間隔で立設される支柱2と、この支柱2間に架け渡される板状のビーム3と、該ビーム3に取り付き車輌接触時の衝撃を緩和する緩衝体4とを具える。
図1に示すように、本実施形態のガードレール1は、車道の路側に沿って一定間隔で立設される支柱2と、この支柱2間に架け渡される板状のビーム3と、該ビーム3に取り付き車輌接触時の衝撃を緩和する緩衝体4とを具える。
前記ビーム3としては、必要な剛性や強度を確保するため、従来と同様の波板状のものが使用される。本例では、図2に示すように、幅方向の中央に設ける車道外側の谷部3Aと、その上下に配される車道内側の山部3Bとの間を傾斜部3Cで継いだ台形波状のものが使用される。なお上の山部3Bの上縁、及び下の山部3Bの下縁にも、車道外側に向かって傾斜する傾斜部3Cが連設されている。又前記ビーム3は、前記谷部3Aを貫通するボルト5によって、前記支柱2に固定される。なお符号6は、前記ビーム3を支柱2から離して固定するためのスペーサである。
次に、前記緩衝体4は、前記ビーム3の前面3Sを覆う基板部7を有する緩衝体本体8と、前記基板部7の背面に突設されかつ前記ビーム3の前面3Sに当接しうる衝撃吸収突部9とを一体に具える。
前記緩衝体本体8は、前記基板部7と、この基板部7の上下に形成されかつ前記ビーム3の上端縁2eU及び下端縁2eL(上端縁2eU、下端縁2eLを総称して端縁2eと呼ぶ場合がある。)にそれぞれ係止されるコ字状のフック部10とを具える。前記基板部7は、前記ビーム3から車道内側に間隔を隔てて配される矩形板状の主部7Aと、その上下端縁からそれぞれビーム3の前記上端縁2eU、下端縁2eLに向かって折れ曲がる上下の副部7B、7Bとを具える。
そして各副部7Bの先端に、前記フック部10が形成される。なお前記フック部10は、前記ビーム3の端縁2eを囲んでコ字状に折り返される折り返し部10Aを有し、この折り返し部10Aとの間に、前記端縁2eを挟んで着脱自在に係止する係止溝10Bを形成している。
このように緩衝体4は、前記フック部10を具えるため、固定金具を用いることなく、ビーム3の自在な位置に自在なピッチ間隔にて迅速かつ容易に取り付けしうる。又前記係止溝10Bによって前記ビーム3の端縁2eに係止されるだけであるため、緩衝体4は、該係止溝10Bがガイド溝となって前記端縁2eに沿って横滑りしうる。
このように緩衝体4は、前記フック部10を具えるため、固定金具を用いることなく、ビーム3の自在な位置に自在なピッチ間隔にて迅速かつ容易に取り付けしうる。又前記係止溝10Bによって前記ビーム3の端縁2eに係止されるだけであるため、緩衝体4は、該係止溝10Bがガイド溝となって前記端縁2eに沿って横滑りしうる。
又前記衝撃吸収突部9は、前記基板部7の背面から車道外側に突出するとともに、その突出端に前記ビーム3の前面3S(本例ではビーム3の山部3Bの前面)と当接する当接部を有する。本例では、前記衝撃吸収突部9が、図3に破線で示すように、前記基板部7の背面から突出する複数の突出ピン11から構成されている。前記突出ピン11は、前記ビーム3に向かって先細となるコーン状をなし、例えば上下左右に多列多段に配列している。
又本例の緩衝体4は、図1、4に示すように、前記基板部7の前面7Sを、前記ビーム3の前面3Sに対し車輌進行方向に向かって車道内側に10〜30°の角度θで傾斜する傾斜面12としている。本例では、前記基板部7自体が傾斜することにより、前記ビーム3との間隙Dが車輌進行方向に向かって増加するため、前記突出ピン11の突出長さを、車輌進行方向に向かってしている。
このような緩衝体4は、車輌が衝突した際の衝撃を、前記基板部7の曲げ変形と衝撃吸収突部9の曲げ変形とによって吸収できる。しかも、衝突時の衝突エネルギーを、緩衝体4の横滑りによって生じるビーム3との間の摩擦のエネルギーとして吸収しうる。そのため、衝撃吸収緩和効果をいっそう高く発揮することができる。
又緩衝体4が横滑りすることにより、衝突エネルギーのベクトルが、ビーム3の前面3Sで反射される以外にビーム3と平行な向きにも分散される。そのため、図5に示すように、車輌20の衝突角度αに対し、衝突後の車輌20の離脱角度βを減少させることができ、衝突後の車輌20をより安全にガードレール1から離脱させる効果(離脱誘導効果という場合がある)を発揮することができる。特に、基板部7の前面7Sを前記傾斜面12とし、車輌20との接触を強めることで緩衝体4の横滑りを促進させることができるため、前記摩擦エネルギーによる衝撃吸収緩和効果、及び離脱誘導効果をさらに向上させることができる。なお前記角度θが小さすぎると前記向上効果が充分発揮されず、逆に大きすぎるとガードレール1からの突出量が増すため、通常走行の車輌20の妨げとなりうるため、前記角度θは10〜30°の範囲が好ましい。
又前記緩衝体4は、その上下左右を逆向きにビーム3の取り付けることにより、図6に示すように、基板部7の前面7Sを、逆傾斜、即ちビーム3の前面3Sに対し車輌進行後方側に向かって車道内側に傾斜させた逆傾斜の緩衝体4Bとすることができる。なお前面7Sがビーム3の前面3Sに対し車輌進行方向に向かって車道内側に傾斜するものを正傾斜の緩衝体4Aと呼ぶ場合がある。このとき、前記図6の如く、正傾斜の緩衝体4Aと、逆傾斜の緩衝体4Bとを例えば交互に配列させることも好ましい。かかる場合には、前記逆傾斜の緩衝体4Bにより、反対車線から飛び出してきた車輌に対して同様の効果を発揮させることができる。
このような緩衝体4は、弾性体からなり、加硫ゴム及び/又は合成樹脂から形成される。加硫ゴムの場合、プレス成形など加硫金型を用いた周知の加熱加圧成型方法が好適に採用でき、ポリウレタン系エラストマーのような合成樹脂の場合には、周知の注形方法が好適に採用しうる。なおゴム材としては、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレインゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)などの種々なゴムが好適であり、これらを単独で、或いは複数組み合わせて使用しうる。又合成樹脂としては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が好適に採用しうる。なお要求に応じ、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維など用いた繊維コード、或いは織布を、ゴムや合成樹脂内に組み入れて補強するのも好ましい。特に前記フック部10の内面(係止溝10Bの内面)に織布を組み入れることが、耐久性の観点から好ましい。
なお前記衝撃吸収突部9として、上下にのびる縦リブの列、或いは横向きのびる横リブの列で形成することもできる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、図2、3に示す構造をなす緩衝体を、表1の使用に基づき試作するとともに、試供品の衝撃吸収性、及び離脱誘導性についてテストし比較した。表1に記載以外は、実質的に同仕様である。なお表中のゴム硬度は、JIS−K6253に基づきデュロメータータイプAにより、23℃の環境下で測定したデュロメータA硬さである。
(1)衝撃吸収性:
国産の小型乗用車輌(質量1トン)を用い、ガードレールに、速度(60km/h)、衝突角度(20°)で衝突したときの衝撃の大きさを、ドライバーの官能評価により従来例を2とする5段階で評価した。数値が大きい方が衝撃吸収性が高く優れている。
国産の小型乗用車輌(質量1トン)を用い、ガードレールに、速度(60km/h)、衝突角度(20°)で衝突したときの衝撃の大きさを、ドライバーの官能評価により従来例を2とする5段階で評価した。数値が大きい方が衝撃吸収性が高く優れている。
(2)離脱誘導性:
前記衝突時、ガードレールからどれだけ安全に離脱できたかを、ドライバーの官能評価により従来例を2とする5段階で評価した。数値が大きい方が衝撃吸収性が高く優れている。
前記衝突時、ガードレールからどれだけ安全に離脱できたかを、ドライバーの官能評価により従来例を2とする5段階で評価した。数値が大きい方が衝撃吸収性が高く優れている。
表のように、実施例の緩衝体は、衝撃吸収効果に優れ、かつ高い離脱誘導性を発揮しうるのが確認できる。
1 ガードレール
2 支柱
2eU 上端縁
2eL 下端縁
2e 端縁
3 ビーム
4 緩衝体
7 基板部
8 緩衝体本体
9 衝撃吸収突部
10フック部
2 支柱
2eU 上端縁
2eL 下端縁
2e 端縁
3 ビーム
4 緩衝体
7 基板部
8 緩衝体本体
9 衝撃吸収突部
10フック部
Claims (4)
- 支柱間に架け渡される板状のビームを有するガードレールの前記ビームに取り付き、車輌接触時の衝撃を緩和するガードレール用の緩衝体であって、
前記ビームの前面を覆う基板部と、この基板部の上下に形成されかつ前記ビームの上端縁及び下端縁にそれぞれ係止されるコ字状のフック部とを具えるとともに、前記ビームに沿って横滑り可能に取り付く緩衝体本体、
及び前記基板部の背面に突設されかつ前記ビームの前面に当接しうる衝撃吸収突部を一体に具えることを特徴とするガードレール用の緩衝体。 - 前記基板部は、その前面を、前記ビームの前面に対し車輌進行方向に向かって車道内側に10〜30°の角度θで傾斜する傾斜面としたことを特徴とする請求項1記載のガードレール用の緩衝体。
- 前記緩衝体本体と衝撃吸収突部とは加硫ゴム、及び/又は合成樹脂から形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のガードレール用の緩衝体。
- 請求項1〜3の何れかに記載のガードレール用の緩衝体をビームに取り付けたことを特徴とするガードレール。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2011004197A JP2012144908A (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | ガードレール用の緩衝体、及びそれを取り付けたガードレール |
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JP (1) | JP2012144908A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102817334A (zh) * | 2012-09-03 | 2012-12-12 | 宁波三泰轴承有限公司 | 一种公路护栏 |
CN114369999A (zh) * | 2021-12-29 | 2022-04-19 | 宁波市交通规划设计研究院有限公司 | 一种节段预制装配式空心薄壁护栏 |
CN114753284A (zh) * | 2022-05-14 | 2022-07-15 | 北京卡文科技有限公司 | 一种具有自动补偿的高缓冲性高速护栏 |
CN114369999B (zh) * | 2021-12-29 | 2024-05-31 | 宁波市交通规划设计研究院有限公司 | 一种节段预制装配式空心薄壁护栏 |
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- 2011-01-12 JP JP2011004197A patent/JP2012144908A/ja active Pending
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