JP2012141605A - 黒色感光性組成物、ソルダーレジスト及び感光性ドライフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、前記(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、並びにカーボンブラック(E)を含有する黒色感光性組成物であって、前記カーボンブラック(E)は、メチルエチルケトン溶剤にカーボンブラックを濃度10質量%で分散後、静置して72時間後の溶存酸素濃度の低下率が50%未満であることを特徴とする黒色感光性組成物。
【選択図】なし
Description
これらの要求に対しては、ソルダーレジスト層を厚くすることで比較的容易に実現することができるが、この場合薄型化や柔軟性の要求に反することになる。そこで、薄いソルダーレジスト層で、高い黒色隠蔽性等を確保するためには、黒色顔料の含有率を高めたソルダーレジストが必要となる。
黒色ソルダーレジストとしては、特定のエチレン性不飽和化合物を主成分とし、黒色顔料としてカーボンブラックを使用するもの(特許文献1)等、これまでに種々のものが提案されている。
本発明は、十分な隠蔽性を発現し、かつ、保存安定性に優れる黒色感光性組成物を提供することを目的とする。また、当該黒色感光性組成物をソルダーレジストとして用いた場合には、解像性、柔軟性、耐熱性及び絶縁信頼性といったソルダーレジストとしての基本特性を維持しつつ、優れた隠蔽性と保存安定性を有するソルダーレジストを提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る黒色感光性組成物は、次の通りである。
1.カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、前記(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、並びにカーボンブラック(E)を含有する黒色感光性組成物であって、前記カーボンブラック(E)は、メチルエチルケトン溶剤にカーボンブラックを濃度10質量%で分散後、静置して72時間後の溶存酸素濃度の低下率が50%未満であることを特徴とする黒色感光性組成物。
2.上記カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(A)は、エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物であることを特徴とする上記1に記載の黒色感光性組成物。
3.上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、ポリカーボネートポリオール骨格を有する化合物であることを特徴とする上記1又は2に記載の黒色感光性組成物。
4.上記(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物であることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
5.更に、リン原子を含むフィラー(F)を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
6.更に、熱重合開始剤(G)を含有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
7.上記1〜6のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物を含有するソルダーレジスト。
8.上記1〜6のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物を含有する被膜が支持フィルム上に形成された感光性ドライフィルム。
(A)成分は、カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物である。具体的には、以下に示すような化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られる化合物。
(2)エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物。
(3)エポキシ樹脂と、不飽和モノカルボン酸と、一分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物。
(4)エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させた後、多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有樹脂に、更に、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる化合物。
この場合に用いられるエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びポリフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びケイ皮酸等がある。
多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等がある。
(A)成分は、上記した中でも、解像性と硬化物の柔軟性が優れるものとなるため、カルボキシル基を有するビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートとは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸が付加反応されて得られる構造を有する化合物である。
(B)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。(B)成分としては各種市販品も使用できるし、例えばポリオールと多価イソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物等が挙げられる。
(B)成分は、上記した中でも、硬化物の絶縁信頼性に優れるものとなるため、ポリカーボネートポリオール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
ポリカーボネートポリオールの例としては、アルキレン基、アルキル基、芳香族系炭化水素基、シクロパラフィン系炭化水素基等を有する炭酸エステルとアルキレン基、アルキル基、芳香族系炭化水素基、シクロパラフィン系炭化水素基等を有するポリオールを反応させることによって得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
炭酸エステルの好ましい具体例は、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,ジフェニルカーボネート,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート及びジシクロヘキシルカーボネート等である。
また、ポリオールの好ましい具体例は、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシブチレンジオール、ポリカプロラクトンジオール、トリメチルヘキサンジオール、及び1,4−ブタンジオール等である。
これら、炭酸エステルおよびポリオールとして、1種、或いは分子量又は組成の異なる2種以上を併用してもよい。
好ましい多価イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及び水添ジフェニルメタンジイソシアネート等がある。
好ましい水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがある。
好ましい(B)成分、すなわちカルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレートにおいて、質量平均分子量は、好ましくは2,000〜50,000であり、より好ましくは5,000〜20,000である。質量平均分子量が2,000未満であると、硬化物の柔軟性が不十分となる場合があり、一方、50,000を越えると解像度が低下する場合がある。
(C)成分は、(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物である。(C)成分が有するエチレン性不飽和基としてはラジカル重合性の炭素−炭素二重結合が好ましいものであり、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基又はビニル基等が特に好ましいものとして挙げられる。
エチレン性不飽和基を1個有する重合性化合物(C)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;スチレン等のビニル基を有する化合物;並びにアリルフェノール等のアリル基を有する化合物等が挙げられる。
(D)成分は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカル重合を開始させることが出来るものであり、具体的には、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−アルキルチオチオキサントン、2,4−ジアルキルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4−クロルベンゾフェノン、4,4’−ジクロルベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等が挙げられる。これらの中でも、高感度であり黒色感光性組成物の硬化性が良好であることから、オキシムエステル類が好ましい。
増感剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエチルアミン、ジエチルチオキサントン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。増感剤は市販されており、例えば、新日曹化工社製の商品名「ニッソキュアEPA、EMA、IAMA」等、日本化薬社製の商品名「カヤキュアEPA、DETX、DMBI」等、大阪有機社製の商品名「DABA」等がある。
これら増感剤の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計を100質量部として、0.5〜10質量部が好ましい。0.5質量部未満では紫外線等による硬化の反応速度が十分に向上しないことがあり、10質量部を越えると反応が速くなり黒色感光性組成物の保存安定性を悪化させることがある。
(E)成分は、メチルエチルケトン溶剤にカーボンブラックを濃度10質量%で分散後、静置して72時間後の溶存酸素濃度の低下率が50%未満のものであり、感光性組成物を黒色とし、隠蔽性を付与する成分である。前記溶存酸素濃度の低下率は、30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましい。前記溶存酸素濃度の低下率が50%以上では、黒色感光性組成物の保存安定性が悪くなる。溶存酸素濃度の測定方法は後述する。
また、(E)成分の粒径は、一次粒子径が100nm以下のものが好ましい。このような特定のカーボンブラックは市販されており、例えば、三菱化学社製の商品名「三菱カーボンブラック#44、#85」等、デグサ社製の商品名「PRINTEX A、FLAMMRUSS101」等がある。
本発明に係る黒色感光性組成物に難燃性を付与するため、難燃剤を配合することができる。(F)成分は、リン原子を含むフィラーである。本発明においてフィラーとは感光性組成物中で溶解することなく分散される、常温(10〜30℃)で固体のものを意味する。
難燃成分としてリン原子を含むフィラーのように組成物中の樹脂成分、有機溶剤等に相溶しない微粒子を用いる事により、樹脂[成分(A)、(B)、(C)]に由来する組成物又は硬化物の物性、特に感光性や現像液に対する溶解性への悪影響を小さくでき、レジストとして用いたときに高い解像性を発現可能となる。更に、リン原子を含むことで無機水酸化物のようなフィラーと比較して低配合量で高い難燃性が得られる。
リン原子を含むフィラーの具体例としては、ホスフィン酸塩化合物、ジエチルホスフィン酸塩化合物、ジブチルホスフィン酸塩化合物、ジヒドロキシメチル酸塩化合物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン等が挙げられる。
ホスフィン酸類の例としては、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、フェニルクロロホスフィン酸、ジヒドロキシメチルホスフィン酸などが挙げられる。
リンのオキソ酸の例としては、上記ホスフィン酸類のほか、ホスホン酸、ジホスホン酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ペルオキソ一リン酸、ペルオキソ二リン酸、二リン酸、ジチオリン酸、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ヒドロキシメチルホスホン酸等が挙げられる。
また、金属塩を構成する元素としてはナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、周期表13族に属するアルミニウム等の金属元素、及び周期表8族に属する鉄等の遷移金属元素などが挙げられ、金属塩としては特にアルミニウム塩が高い解像性を有する組成物、及び高い難燃性、絶縁信頼性を有する硬化物となりやすいため好ましい。ホスフィン酸アルミニウム塩は最も好ましいものである。
前記のリン化合物も難燃性向上を目的として配合され、難燃性付与を担う成分である(F)成分との相乗作用により、より効果的に組成物の難燃性を高める働きをする。このようなリン化合物は、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、キシリルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル類、レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)フォスフェート、レゾルシノールビス(ジ2,6キシレニル)フォスフェート等の縮合型リン酸エステル類、及びプロポキシフォスファゼン、フェノキシフォスファゼン、アミノフォスファゼン等のフォスファゼン化合物等が挙げられる。特に好ましくは、縮合型リン酸エステル類、フォスファゼン化合物である。
(F)成分以外のリン化合物を添加する場合の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部を基準として、1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、1〜25質量部であることが更に好ましい。配合量が前記の範囲内であれば、難燃性向上の効果が得られ、ソルダーレジストとして使用する場合でも、解像性や硬化塗膜の絶縁信頼性を低下させることはない。
また、上記解像性や絶縁信頼性への悪影響を抑えるため、(F)成分以外のリン化合物の配合量は、(F)成分の配合量と同量以下であることが好ましく、2/3以下であることがより好ましく、1/2以下であることが更に好ましい。
本発明の黒色感光性組成物は、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤(G)が添加されたものであってもよい。
(G)成分としては、例えば、有機過酸化物、アゾビス構造を有する開始剤などが挙げられる。分解開始温度が高いために保存安定性がよい点と、分解した時に低分子量の揮発成分の発生が少ない点から、ジアルキルパーオキサイドが好ましく、具体的にはジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられる。
また、(G)成分を添加する場合の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部を基準として0.5〜10質量部が好ましい。当該配合量がこの範囲内であれば、十分な添加効果が得られ、組成物の保存安定性や硬化物の特性が悪化することもない。
エポキシ化合物の具体例としては、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、イソシアヌール酸骨格を有するエポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ化合物としては、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。エポキシ化合物を使用する場合には、通常のアミン系硬化剤、酸系硬化剤及び酸無水物系硬化剤等を併用することが好ましい。
本発明の黒色感光性組成物は、前記必須成分(A)〜(E)成分、及び必要に応じて(F)、(G)成分、並びにその他の成分を、常法に従い撹拌・混合することにより製造することができる。
前記加熱における、加熱方法及び条件は常法に従えばよい。
以下、本発明の組成物をレジストとして使用する場合について説明する。
好ましい(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアリールアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
その他単量体としては、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン及びビニルイミダゾール等のビニル基含有複素環化合物;クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸等の(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸;これら不飽和カルボン酸アルキルエステル;並びに(メタ)アクリルアミド及びα−クロロアクリルアミド等の不飽和アミド等が挙げられる。
尚、本発明においてはガラス転移温度とは粘弾性スペクトロメーターにより測定した粘弾性の損失正接(tanδ)が最大値を示す温度とする。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量を、ポリスチレン換算した値を意味する。
(E)成分以外の着色成分の具体例としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン等が挙げられる。
基材としては、シリコン、アルミニウム、鉄、ニッケル及び銅等の金属;ガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド及びポリカーボネート等のプラスチックなどの基材;並びにガラスエポキシ基板等の複合基材などが挙げられる。
活性エネルギー線の照射条件としては、常法に従えばよい。照射条件としては、使用する黒色感光性組成物の種類及び目的に応じて適宜設定すればよく、好ましくは10〜5,000mJ/cm2、より好ましくは200〜1,000mJ/cm2である。
現像条件としては、使用する黒色感光性組成物の種類及び目的に応じて適宜設定すればよく、現像温度としては15〜50℃、特に20〜40℃が好ましく、現像時間としては15〜180秒、特に30〜120秒が好ましい。
この場合、使用する支持フィルムの塗工に適した溶剤を添加してもよい。組成物中の溶剤は、フィルム塗工後に該組成物が重合しない程度の加熱の温度と時間で揮発させる必要がある。そのための溶剤例としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール及びエタノール等の比較的低沸点のものが挙げられる。
マット処理したフィルムには表面をブラスト処理したものやマット剤を練りこんだフィルムを用いることができる。特にブラスト処理したフィルムが好ましい。同程度の表面粗さで処理した場合にブラスト処理したフィルムの方がマット剤を練りこんだフィルムと比較して、形成されレジスト表面の光沢が抑えられる場合がある。また、ブラスト処理したフィルムの方がマット剤を練りこんだフィルムと比較して、ソルダーレジストとして用いた場合に良好な解像性を得られる場合がある。用いる支持フィルムの表面粗さ(Ra)は0.2〜3μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。支持フィルムの表面粗さが0.2μm未満であるとレジスト層表面が十分にマット化されず、光沢低減効果が不十分になることがある。また、支持フィルムの表面粗さが3μm以上であると、塗工工程等で支持フィルムが破れやすかったり、露光後に支持フィルムを剥離する際に剥離が重くなり工程に支障をきたす場合がある。
マット処理した支持フィルムの厚さは5〜200μm、特に10〜50μmが好ましい。
また、支持フィルムには塗工面側に各種の離型剤を塗布したものを用いることができる、特にマット処理した支持フィルムを用いた場合は支持フィルムの剥離性が重くなる場合があるので離型剤を塗布したものを用いるのが好ましい。
(1)溶存酸素濃度の低下率
50mlの蓋付ガラス容器に、カーボンブラック3g及びメチルエチルケトン溶剤を入れて全量を30gにして蓋をした後、5分間振とうし、この溶液の溶存酸素濃度(ppm)を測定した。これを溶存酸素濃度の初期値とする。次に、前記溶液を室温下で静置し、72時間後の溶存酸素濃度を測定した。溶存酸素濃度の初期値と、72時間後の値から、低下率を算出した。
上記溶存酸素濃度の測定方法は、次の通りである。
測定には飯島電子工業製隔膜形ガルバニ電池式酸素センサー「DOメーター/B−506」を使用した。センサー部分を測定液の底面付近まで浸けた状態で約1分間保持した後の測定値を読み取った。
厚さ38μmの塗工面をブラストマット処理(Ra=0.40μm)したポリエチレンテレフタレート製フィルム(ベースフィルム)上に、黒色感光性組成物を塗工し、100℃で10分間加熱して揮発性成分を蒸発させ、黒色感光性組成物の被膜(厚さ約30μm)を形成した。その後、該被膜の上に厚さ25μmポリエチレン製フィルム(カバーフィルム)を貼り合わせてドライフィルムを作成した。
ドライフィルムの評価にあたりカバーフィルムを剥がした。カバーフィルムを剥がしたドライフィルムを70℃に加温しながら、黒色感光性組成物の被膜(以下「感光層」ともいう)が後述する基板に付着するように、ラミネーターを用いてラミネートした。このようにして得られた感光層付き基板は、基板の上に感光層が形成され、その上にベースフィルムが被覆されたものである。
この感光層付き基板について、解像度、難燃性、基板反り、耐屈曲性、はんだ耐熱、配線隠蔽性、保存安定性及び絶縁信頼性を、以下の方法に従い評価した。
基板としてFR−4基板〔住友ベークライト社製、銅箔厚さ18μm〕を使用した。作成した感光層つき基板の感光層に、100μm、1500μm及び200μmのライン幅のパターンを持つフォトマスクを用いて500mJ/cm2の光量で露光した。上記フォトマスクはベースフィルム上に置かれ、感光層への露光は、フォトマスク及びベースフィルムを通してなされた。露光後、ベースフィルムを剥がし、液温が30℃で濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液を、1.5kg/cm2の圧力で90秒間スプレーし、感光層の未露光部を除去することによりアルカリ現像を行って試験片を得た。得られた試験片を顕微鏡で観察し、感光層硬化膜の状態について、次の3段階で評価した。
〇・・・異常なかった。
△・・・一部に異常(残渣、剥離、蛇行等)がみられた。
×・・・全面的に異常(残渣、剥離、蛇行等)がみられた。
基板として25μm厚ポリイミドフィルム〔東レ・デュポン社製、商品名「カプトン」〕を使用した。感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし試験片を得た。
上記試験片を用い、UL−94規格の薄手材料垂直燃焼試験方法に準じて難燃性を評価した。
基板として25μm厚ポリイミドフィルム〔東レ・デュポン社製、商品名「カプトン」〕を使用した。感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし、100mm角にカットして試験片を得た。
試験片を水平な床の上において、各試験片の角の床からの高さをmm単位で測定し、その平均値を反りの大きさとして評価した。
×・・・完全にカールするため反りが測定できなかった。
基板として25μm厚ポリイミドフィルム〔東レ・デュポン社製、商品名「カプトン」〕を使用した。感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし、100mm角にカットして試験片を得た。
試験片の感光層が外側になるように90°又は180°に折り曲げ、感光層のクラック等の損傷を目視により観察し、次の3段階で評価した。
〇・・・感光層に異常はなかった。
△・・・感光層表面に異常(クラック等)があった。
×・・・感光層の下面までクラックが達していた。
基板としてFR−4基板〔住友ベークライト社製、銅箔厚さ18μm〕を使用した。感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし試験片を得た。試験片を280℃の溶融はんだ浴に10秒間浸漬させることを1サイクルとして、5サイクル行なった後に硬化膜の状態を目視により観察し、次の3段階で評価した。
〇・・・感光層の剥れはなかった。
△・・・感光層の一部が剥れた。
×・・・感光層の大部分が剥れ又は完全剥離した。
FR−4基板〔住友ベークライト社製、銅箔厚さ18μm〕から作成されたくし型テストパターン(線幅100μm、線間100μm)基板を用い、感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし試験片を得た。得られた試験片に温度85℃、相対湿度85%の雰囲気中で直流50Vを印加した状態で250時間、500時間、1000時間放置後の絶縁抵抗値を測定した。
×・・・配線間が短絡し、抵抗値測定不可。
2層フレキ基板〔ポリイミド層厚さ25μm、銅箔厚さ18μm〕から作成されたくし型テストパターン(線幅100μm、線間100μm)基板を用い、感光層つき基板に2000mJ/cm2の光量で露光した。ついでベースフィルムを剥がし、160℃で30分間ポストキュアし試験片を得た。試験片のポリイミド層側を下にしてライトテーブル上に載せて、レジスト側から目視で配線隠蔽性を評価した。
〇・・・ポリイミド層側から光を照射しても配線を確認できない。
△・・・ポリイミド層側から光を照射すると配線を確認できるが、光を照射しない場合は配線を確認できない。
×・・・光を照射しない場合でも配線を確認できる。
下記に示す(A)成分〜(K)成分をそれぞれ下記表4に示す配合比率(固形分比率)に従い使用し、メチルエチルケトン(溶剤)で希釈後にディスパーで混合することにより、固形分65%の組成物を調製した。
この組成物を水浴40℃で加温し、1週間後、2週間後及び4週間後に観察し樹脂の状態を目視で観察した。
〇・・・樹脂の固化又はゲル化を確認できない。
×・・・樹脂が固化又はゲル化していることを確認できる。
黒色感光性組成物約80gを100ml遮光ガラス瓶に入れて密栓した。これを25℃の環境下に保管して45日後、90日後の粘度変化を測定した。粘度測定はB型粘度計を用いて行い、回転数12rpmで測定した。粘度が2500mPa・s以上の場合は、回転数6rpmで測定した。
上記(2)で作製した感光性ドライフィルムを遮光袋に入れて、25℃環境下に180日保管した。作成直後のドライフィルムと保管後のドライフィルムについて以下の方法に従いブレークポイントを評価した。
ドライフィルムを50mm角にカットした後、カバーフィルムを剥がした。カバーフィルムを剥がしたドライフィルムを70℃に加温しながら、感光層がFR−4基板〔住友ベークライト社製、銅箔厚さ18μm〕に付着するように、ラミネーターを用いてラミネートした(温度70℃、圧力0.3MPa)。この後、ベースフィルムを剥がし、液温が30℃で濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液を、1.5kg/cm2の圧力でスプレーし、感光層が除去されるまでの時間を測定した。
〇合成例1
温度計、攪拌機及び冷却器を具備した4口フラスコに、アジピン酸50部とビスフェノールA型エポキシ化合物(旭化成工業社製の商品名「AER260」)240部、トリフェニルホスフィン1.2部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.6部を仕込み、攪拌下、加熱して温度を110〜120℃に保持しながら5時間反応させた、その後アクリル酸43部を加え、攪拌下、温度を110〜120℃に保持しながら、更に5時間反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸120部を加え、攪拌下、温度を100〜110℃に保持しながら、更に5時間反応させ、酸価98mgKOH/g、重量平均分子量7100のエポキシアクリレート化合物を得た。この酸変性エポキシアクリレート化合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300部に希釈してエポキシアクリレート(a−1)を固形分60%の溶液として得た。
〇合成例2
温度計、攪拌機及び冷却器を具備した4口フラスコに、トリレンジイソシアネート64g及びジラウリル酸ジブチルスズ200ppmを入れ、70℃に維持しながら、ポリカーボネートジオール〔東亞合成社製、エチレンカーボネートと1,6−ヘキサンジオールの反応物であるカーボネートジオール〕390gを攪拌下で徐々に加え、1時間攪拌して反応させた。この溶液にジラウリル酸ジブチルスズ50ppmを加え、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート48gを攪拌下でかつ70℃に維持しながら徐々に加えて反応させた。赤外吸収スペクトルで反応生成物を分析し、−NCO基の特性吸収が消失するのが確認されるまで反応を継続した。
その結果、ポリカーボネートポリオール構造を有する重量平均分子量8000のウレタンアクリレート(b−1)をゴム状固形物として500g得た。
〇合成例3
温度計、攪拌機及び冷却器を具備したフラスコに、溶剤であるトルエン400gを入れ、80℃に加熱した。
この溶液に下記表1に示す組成のモノマー混合物500gとアゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」という)を窒素を吹き込みながら3時間かけて滴下した。その後、さらに2〜4時間加熱した。この後、トルエンで希釈をしてビニル系共重合体(i−1)の固形分40%の溶液を得た。
得られたビニル系共重合体について、ガラス転移温度(以下「Tg」という)、酸価及び重量平均分子量(以下「Mw」という)を測定した。それらの結果を、表1に示す。
〇実施例1〜8、比較例1〜4
下記に示す(A)成分〜(K)成分をそれぞれ下記表2、3、6、7に示す配合比率(固形分比率)に従い使用し、メチルエチルケトン(溶剤)で希釈後にディスパーで混合することにより、固形分65%の黒色感光性組成物を調製した。表2、3、6、7における略号は、次の成分を意味する。また、各組成物の評価結果を、同表2、3、6、7に示す。
・(a−1):合成例1で得たエポキシアクリレート
・(b−1):合成例2で得たポリカーボネートポリオール構造を有するウレタンアクリレート
・(b−2):ポリエステルポリオール構造を有する重量平均分子量11500のウレタンアクリレート〔根上工業社製 商品名「UN−7600」〕
・(c−1):ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる組成物〔東亞合成社製 商品名「アロニックスM−400」〕
・(c−2)ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート〔東亞合成社製 商品名「アロニックスM−233」〕
・(d−1):光重合開始剤1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名「イルガキュアOXE−01」〕
・(e−1):カーボンブラック(三菱化学製 商品名「三菱カーボンブラック#85」 一次粒径40μm)
・(e−2):カーボンブラック(三菱化学製 商品名「三菱カーボンブラック#44」 一次粒径24μm)
・(e−3):カーボンブラック(デグサ社製 商品名「FLAMMRUSS101」 一次粒径95μm)
・(f−1):ジエチルホスフィン酸アルミニウム〔クラリアントジャパン社製 商品名「EXOLIT OP−930 平均粒径約5μm P含有量23%〕
・(g−1):熱重合触媒 ジクミルパーオキサイド〔日本油脂社製 商品名「パークミル
・(h−1):カーボンブラック(三菱化学製 商品名「三菱カーボンブラックMA100」 一次粒径24μm)
・(h−2):カーボンブラック(三菱化学製 商品名「三菱カーボンブラックMA230」 一次粒径30μm)
・(h−3):カーボンブラック(デグサ社製 商品名 「SPEZIALSCHWARZ250」 一次粒径56μm)
・(i−1):合成例3で得たビニル系共重合体
・(j−1):ポリフォスファゼン〔大塚化学社製 商品名「SPB−100」 P含有量13%〕
・(k−1):フタロシアニンブルー〔大日精化社製 商品名「シアニンブルー 519 1」〕
一方、表3によれば、比較例1〜3は本発明の範囲外のカーボンブラックを使用した組成物であるが、この場合でも解像度、基板の反り、はんだ耐熱性、難燃性、耐屈曲性及び配線隠蔽性については良好な結果が得られている。
表5には、使用したカーボンブラックの溶存酸素濃度の低下率を示す。
Claims (8)
- カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、前記(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、並びにカーボンブラック(E)を含有する黒色感光性組成物であって、前記カーボンブラック(E)は、メチルエチルケトン溶剤にカーボンブラックを濃度10質量%で分散後、静置して72時間後の溶存酸素濃度の低下率が50%未満であることを特徴とする黒色感光性組成物。
- 上記カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(A)は、エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の黒色感光性組成物。
- 上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、ポリカーボネートポリオール骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の黒色感光性組成物。
- 上記(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
- 更に、リン原子を含むフィラー(F)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
- 更に、熱重合開始剤(G)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物を含有するソルダーレジスト。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の黒色感光性組成物を含有する被膜が支持フィルム上に形成された感光性ドライフィルム。
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