JP2012140280A - 非球状シリカ微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動的光散乱法によって測定される粒子径が10〜300nmである非球状シリカ微粒子の製造方法であって、加水分解することによりアンモニアを生成する化合物(成分A)と、加水分解性シラン化合物(成分B)と、水性溶媒(成分C)とを含む混合液中で、前記加水分解性シラン化合物(成分B)の加水分解反応及び縮合反応を行う工程を含み、前記混合液に含まれる全成分混合直後の前記混合液のpHが5〜8である非球状シリカ微粒子の製造方法。
【選択図】図1
Description
加水分解することによりアンモニアを生成する化合物(成分A)は、加水分解性シラン化合物(成分B)へのアルカリ源として混合液に含まれている。化合物(成分A)は、所定量が混合液に含まれることにより、アンモニアを生成することにより混合液に含まれる全成分混合直後の混合液のpHを5〜8とすることができる化合物であれば特に限定されないが、加水分解性シラン化合物(成分B)の加水分解反応及び縮合反応の速度の制御の容易化の観点から、常温の水に溶けても加水分解は全くしないか又はほとんどしないが、混合液の温度を常温よりも高くすることにより、加水分解速度が上昇し、アンモニアを生成する化合物であると好ましい。同様の観点から、化合物(成分A)は、化合物(成分A)の1質量%水溶液調製直後の25℃におけるpHが5〜8であり、水溶液の温度を25℃に維持しながら水溶液を2時間放置した後のpHの変化率が0〜20%であり、且つ、上記水溶液の温度を85℃に達するまで上げ、85℃で2時間維持した後の上記水溶液(25℃)のpHが、アンモニアの生成により前記1質量%水溶液調製直後の25℃におけるpHよりも高く、8〜12となるような化合物であると好ましい。
加水分解性シラン化合物(成分B)は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成する物質であり、具体的には、下記一般式(1)〜(5)で示される化合物、又はこれらの組合せを挙げることができる。
SiY4 (1)
R1SiY3 (2)
R1 2SiY2 (3)
R1 3SiY (4)
Y3Si−R2−SiY3 (5)
(式中、R1はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R2は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
水性溶媒(成分C)は、水、又は、水と溶媒の混合液であり、非球状シリカ微粒子の製造容易性、コスト低減の観点から、水性溶媒(成分C)中における水の含有量は、40〜100質量%であると好ましく、80〜100質量%であるとより好ましく、100質量%が更に好ましい。
非球状シリカ微粒子を析出及び粒子成長させる工程で調製される混合液には、水溶性ポリマー(成分D)が含まれていてもよい。水溶性ポリマー(成分D)は、混合液中において、粒子間の相互作用に影響を及ぼすことにより粒子成長制御に寄与し、且つ、粒子の分散安定化にも寄与していると推察される。水溶性ポリマー(成分D)の重量平均分子量は、粒子成長制御及び粒子の分散安定化の向上の観点から、1000〜100000が好ましく、10000〜50000がより好ましい。また、水溶性ポリマー(成分D)は、同様の観点から非イオン性ポリマーであると好ましく、含窒素ポリマーであることがより好ましく、ポリビニルピロリドンがさらに好ましい。水溶性ポリマー(成分D)の重量平均分子量は、公知の方法によって求めることができ、具体的にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法等を用いて算出できる。
上記化合物(成分A)、加水分解性シラン化合物(成分B)、水性溶媒(成分C)及び水溶性ポリマー(成分D)を混合する場合の混合順序や混合時間などは、特に制限は無いが、非球状シリカ微粒子の製造容易性及びコスト低減の観点から、水溶性ポリマー(成分D)を水性溶媒(成分C)に溶解させた後、得られた溶液に、加水分解性シラン化合物(成分B)と化合物(成分A)とをこの順で添加するのが好ましい。成分A及び成分Bは、非球状シリカ微粒子の製造容易性及びコスト低減の観点から、各々上記溶液にゆっくり添加するのではなく、各々上記溶液に一気に全量添加するのが好ましい。尚、混合液に、上記成分A、成分B、成分C及び成分Dが含まれる場合、非球状シリカ微粒子の製造容易性及びコスト低減の観点から、混合液は、上記成分A、成分B、成分C及び成分Dからなると好ましい。
本発明の非球状シリカ微粒子は、本発明の製造方法により得られる。非球状シリカ微粒子の粒子形状としては、凹凸状、楕円状、数珠状、マユ型、棒状、紡錘状、針状など様々な形状が挙げられる。非球状シリカ微粒子の形状は、非球状シリカ微粒子の用途にもよるが、汎用性や性能発現の観点から、凹凸状、楕円状、数珠状がより好ましく、凹凸状、楕円状が更に好ましく、凹凸状がより一層好ましい。本発明の非球状シリカ微粒子のDLS粒子径は10〜300nmである。
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2100)を用いてシリカ微粒子の観察を行った。加速電圧は160kVとした。
動的光散乱光度計(DLS)(マルバーン株式会社製、商品名:データサイザーNano−ZS)を用いて、後述する実施例1〜4及び比較例1で得たシリカ微粒子のDLS粒子径を測定した。測定にあたっては、実施例1〜4及び比較例1で得られた反応終了原液をそのまま用いた。パラメーターとして、粒子にはシリカの屈折率1.45、吸収係数0.01を、溶媒には水の屈折率1.333、吸収係数0を用いた。測定温度は25℃、測定時間は10秒、測定回数は5回、平衡時間0分とし、装置付属の解析ソフトを用いてキュムラント法にて解析を行った。表1及び2に記載のDLS粒子径は、測定数5の数平均値である。
自動比表面積測定装置(株式会社島津製作所製、商品名:フローソーブIII2305)を用いて、シリカ微粒子のBET比表面積を測定した。BET比表面積の測定には、シリカ微粒子分散液を120℃で1日乾燥させることにより得られたシリカ微粒子粉末を用いた。測定用ガスには、窒素とヘリウムの混合ガス(N230%、He70%)を用いた。
ポリビニルピロリドン(和光純薬製、PVP−K25、重量平均分子量35000)0.0025gを水140gに溶解させた溶液を300mLナス型フラスコに入れ、この溶液に、テトラエトキシシラン(和光純薬製)10g、尿素(和光純薬製)0.1gをこの順で各々一気に全量添加し、得られた混合液全体が可能な限り均質になるように、磁気攪拌器で混合液を1分間撹拌した。混合液中の、尿素のNH3質量換算濃度、テトラエトキシシランのSiO2質量換算濃度、比(NH3換算モル濃度/SiO2換算モル濃度)は、表1に記載の通りである(実施例2〜4、比較例1についても、同様に表1に記載。)。混合液中のポリビニルピロリドンの濃度は、0.0017質量%である。全成分混合直後(加熱直前)の混合液(25℃)のpHは6.5であった。混合液の撹拌を止め、しばらく放置すると、二相に相分離し、その色は無色透明であった。この混合液を磁気攪拌器で撹拌しながら、85℃で3日間反応させることにより、二相分離の無い均一な微白色混合液(非球状シリカ微粒子分散液)を得た。微白色混合液(反応終了原液)の25℃におけるpHは8.7であった。得られた非球状シリカ微粒子のDLS粒子径およびBET比表面積を表1に示す。
実施例1において、水にポリビニルピロリドンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして非球状シリカ微粒子を製造した。全成分混合直後(加熱直前)の混合液(25℃)のpHは6.5であり、反応終了原液の25℃におけるpHは、8.6であった。得られた非球状シリカ微粒子のDLS粒子径およびBET比表面積を表1に示す。
300mLナス型フラスコ中で、テトラメトキシシラン(東京化成製)13.6gと、水70gと、メタノール70gと、尿素(和光純薬製)10gとを混合して、無色透明で均一な混合液を得た。全成分混合直後(加熱直前)の25℃における混合液のpHは6.5であった。混合液を磁気攪拌器で撹拌しながら、85℃で3日間反応させることにより、微白色混合液(非球状シリカ微粒子分散液)を得た。微白色混合液(反応終了原液)の25℃におけるpHは9.3であった。得られた非球状シリカ微粒子のDLS粒子径およびBET比表面積を表1に示す。
実施例1において、水に、尿素を10g添加し、ポリビニルピロリドンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして非球状シリカ微粒子を製造した。全成分混合直後(加熱直前)の混合液(25℃)のpHは6.5であり、反応終了原液の25℃におけるpHは、9.3であった。得られた非球状シリカ微粒子のDLS粒子径およびBET比表面積を表1に示す。
実施例1において、水に、尿素の代わりに28%アンモニア水溶液(シグマアルドリッチ製)0.1gを添加し、ポリビニルピロリドンを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ微粒子を製造した。得られたシリカ微粒子のDLS粒子径およびBET比表面積を表1に示す。
Claims (6)
- 動的光散乱法によって測定される体積平均粒子径が10〜300nmである非球状シリカ微粒子の製造方法であって、
加水分解することによりアンモニアを生成する化合物(成分A)と、加水分解性シラン化合物(成分B)と、水性溶媒(成分C)とを含む混合液中で、前記加水分解性シラン化合物(成分B)の加水分解反応及び縮合反応を行う工程を含み、
前記混合液に含まれる全成分混合直後の前記混合液のpHが5〜8である非球状シリカ微粒子の製造方法。 - 前記化合物(成分A)が尿素である請求項1に記載の非球状シリカ微粒子の製造方法。
- 前記工程において、
前記混合液に含まれる全成分を、40℃よりも低い温度で混合した後、該混合温度以上、且つ、10〜100℃で縮合反応を行う請求項1又は2に記載の非球状シリカ微粒子の製造方法。 - 前記加水分解性シラン化合物(成分B)がテトラアルコキシシランである請求項1〜3のいずれかの項に記載の非球状シリカ微粒子の製造方法。
- 前記混合液が、水溶性ポリマー(成分D)をさらに含む請求項1〜4のいずれかの項に記載の非球状シリカ微粒子の製造方法。
- 前記水溶性ポリマー(成分D)がポリビニルピロリドンである請求項5に記載の非球状シリカ微粒子の製造方法。
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