JP2012140256A - ダイヤモンド焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホウ素を含み耐酸化性が優れるとともに、機械的強度も優れ機械的な摩耗が生じにくいダイヤモンド多結晶体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であり、前記ダイヤモンド粒子の60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域であり、マトリックスは、鉄族元素又は鉄族元素の炭化物を主構成成分とするとともに、CBN及びWCoB6及び/又はB4Cを所定量含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体、及びその製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であり、前記ダイヤモンド粒子の60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域であり、マトリックスは、鉄族元素又は鉄族元素の炭化物を主構成成分とするとともに、CBN及びWCoB6及び/又はB4Cを所定量含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体、及びその製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、切削工具、金型、その他の耐摩工具などに用いられるダイヤモンド焼結体に関する。
切削工具、金型、その他の耐摩工具などには、最も硬度の高い材料であるダイヤモンドが用いられている。ダイヤモンドは、単結晶の形で用いる場合もある。しかし、単結晶のダイヤモンドは、サイズが限られる、高価である、劈開による破損が生じやすい等の問題がある。そこで、前記の用途には、多結晶体のダイヤモンドが広く用いられている。ダイヤモンド多結晶体は、一般的には、Co等の遷移金属とダイヤモンド粉(ダイヤモンド微粒子)の混合物を、高圧下で焼結して製造される。
ダイヤモンドは、機械的な摩耗に強い材料であるが、一方酸化に弱く、使用環境にある酸素やダイヤモンドと接触するものに含まれる酸素と容易に化学反応し、化学反応による摩耗(このような摩耗を化学的摩耗と言う。)が生じやすい問題がある。そこで、耐酸化性に優れ化学的摩耗が小さいダイヤモンド多結晶体が望まれている。
耐酸化性に優れたダイヤモンドとして、ホウ素を含んだダイヤモンド焼結体が提案されている。例えば、特許文献1には、ダイヤモンド粒子同士の結合部及びダイヤモンド粒子の外周部に、ホウ素もしくはホウ化物が存在するダイヤモンド焼結体が開示されている。又、特許文献2には、立方晶窒化ホウ素(CBN)を加え耐摩耗性を向上させたダイヤモンド焼結体が、特許文献3には、CBNをダイヤモンドに一部固溶させ、耐摩耗性を向上させたダイヤモンド焼結体が開示されている。さらに特許文献4には、マトリックス中にホウ化コバルトを含むダイヤモンド焼結体が開示されている。又、ホウ素を含んだダイヤモンドの製造方法は、特許文献5、特許文献6等でも開示されている。
しかし、ホウ素を含むダイヤモンドは、耐酸化性には優れるが、機械的強度はホウ素を含まないダイヤモンドと比べて低下する傾向がある。例えば、ホウ素を添加したダイヤモンドは劈開しやすく、そのために機械的な摩耗が生じやすい傾向がある(特許文献1)。
特に、ダイヤモンドの粒子が焼結されてなるダイヤモンド多結晶体においては、ホウ素を含むことによる機械的強度の低下が問題となりやすい。すなわち、ダイヤモンド多結晶体では、ダイヤモンド粒子同士が小さな面積の界面で互いに結合しているが、外力が加わった場合、面積の小さな界面に応力が集中しやすい。そこで、この界面の強度が重要であるが、ダイヤモンドの粒子界面にホウ素が多量に存在する場合、この強度が低下し、
脱落や機械的な摩耗が発生しやすい。
脱落や機械的な摩耗が発生しやすい。
本発明は、ホウ素を含むことによって優れた耐酸化性を示し化学的摩耗が小さいとともに、機械的強度も優れ機械的な摩耗も生じにくいダイヤモンド焼結体(多結晶ダイヤモンド)を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ホウ素を含有するダイヤモンド多結晶体において、多結晶体を構成するダイヤモンド粒子が、ホウ素を含有するとともにホウ素の含有量が小さい領域も有し、かつ、該ダイヤモンド粒子間の空洞部を充填するマトリックス中に、CBN、並びにWCoB6及び/又はB4Cを所定量含ませることにより、化学的耐摩耗性とともに機械的耐摩耗性も優れたダイヤモンド多結晶体が得られることを見出し本発明を完成した。
請求項1の発明は、
平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子が形成するスケルトン組織、及び、該スケルトン組織の空洞部を充填するマトリックスからなるダイヤモンド多結晶体であって、
前記ダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であり
前記ダイヤモンド粒子は、ホウ素を含有するとともに、その60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域であり、
前記マトリックスは、
鉄族元素又は鉄族元素の炭化物を主構成成分とするとともに
平均粒径が、ダイヤモンド粒子の平均粒径より小さくかつ0.05μm以上のCBN粒子を、マトリックス中に、ダイヤモンド多結晶体の全体積に対し0.2〜10体積%含み、かつ
WCoB6及び/又はB4Cを、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対するWCoB6のピーク強度比及びB4Cのピーク強度比の合計が、0.05以上、0.20以下となる量含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体である。
平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子が形成するスケルトン組織、及び、該スケルトン組織の空洞部を充填するマトリックスからなるダイヤモンド多結晶体であって、
前記ダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であり
前記ダイヤモンド粒子は、ホウ素を含有するとともに、その60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域であり、
前記マトリックスは、
鉄族元素又は鉄族元素の炭化物を主構成成分とするとともに
平均粒径が、ダイヤモンド粒子の平均粒径より小さくかつ0.05μm以上のCBN粒子を、マトリックス中に、ダイヤモンド多結晶体の全体積に対し0.2〜10体積%含み、かつ
WCoB6及び/又はB4Cを、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対するWCoB6のピーク強度比及びB4Cのピーク強度比の合計が、0.05以上、0.20以下となる量含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体である。
本請求項のダイヤモンド多結晶体は、ダイヤモンド粒子とマトリックスからなり、各ダイヤモンド粒子は他のダイヤモンド粒子と結合してスケルトン組織を形成している。ダイヤモンド多結晶体の製造の際には、ダイヤモンド粒子と鉄族元素(又はその炭化物)が混合されて加熱、加圧され、ダイヤモンド粒子間が結合(焼結)する。焼結の過程で、ダイヤモンド粒子の表面の炭素が鉄族元素中に溶解した後析出し、この析出した炭素によりダイヤモンド粒子間の接触部に結合部(界面部分)が形成されスケルトン組織となる。従って、Co等の鉄族元素は、ダイヤモンド多結晶体の製造のためには必須の組成であり、スケルトン組織の空洞を埋めるマトリックスを形成する。
スケルトン組織を形成するとは、ダイヤモンド粒子間が結合して3次元方向に連結するとともに、粒子間に形成される空洞が連続している網目状組織を形成することを言う。ダイヤモンド粒子間に形成される前記空洞の一部又は全部は、マトリックスにより充填されている。
本請求項のダイヤモンド多結晶体中のダイヤモンド粒子の含有率は、80〜99体積%である。ダイヤモンド多結晶体が優れた機械的強度(機械的な耐摩耗性)を有するためには、ダイヤモンドの含有率が一定値以上であることが必要であり、80体積%未満では十分な機械的耐摩耗性が得られない。なお、ダイヤモンド粒子の含有率が99体積%を超えるダイヤモンド多結晶体は、製造が困難である。
本請求項のダイヤモンド多結晶体中のダイヤモンド粒子の平均粒径は、0.08〜80μmである。ダイヤモンド粒子の平均粒径が0.08μm未満の場合又は80μmを超える場合は、いずれも、ダイヤモンド多結晶体の機械的強度が低下し、機械的摩耗が生じやすくなる。
本請求項のダイヤモンド多結晶体を構成するダイヤモンド粒子は、ホウ素を含有するとともに、その60〜95体積%が、ホウ素濃度が3ppm以下の領域(低ホウ素領域)であることを特徴とする。すなわち、ダイヤモンド粒子は、ホウ素濃度が3ppmを超える領域と低ホウ素領域からなり、低ホウ素領域が60〜95体積%であること(ホウ素濃度が3ppmを超える領域が5〜40体積%であること)を特徴とする。ダイヤモンド粒子がホウ素を含有することにより、優れた耐酸化性、化学的耐摩耗性が得られる。
一方、低ホウ素領域を有することにより、ダイヤモンド粒子の優れた機械的強度を保つことができ、ダイヤモンド多結晶体の優れた機械的耐摩耗性が得られる。この低ホウ素領域がない場合又はダイヤモンド粒子中の60体積%未満の場合は、ダイヤモンド多結晶体の機械的強度が低下し、機械的な摩耗が生じやすくなる。一方、低ホウ素領域が、ダイヤモンド粒子中の95体積%を超える場合は、他の領域にホウ素が高濃度で含まれている場合であっても、ダイヤモンド多結晶体が酸素と反応しやすくなり、化学的な摩耗が生じやすくなる。
なお、ダイヤモンド粒子の平均粒径が0.08μm未満の場合、ホウ素濃度が3ppm以下の領域を60〜95体積%有するダイヤモンド粒子からなるダイヤモンド多結晶体を製造することは困難であり、製造の容易さの観点からもダイヤモンド粒子の平均粒径は0.08μm以上が好ましい。すなわち、平均粒径が0.08μm未満の場合、焼結前のダイヤモンド粒子中にホウ素濃度が3ppm以下の領域が存在していたとしても、焼結の過程で、原料中のWCoB6、B4C等のホウ化物からダイヤモンド粒子中にホウ素が徐々に侵入するため、ホウ素濃度が3ppm以下の領域がほとんど消失する。
低ホウ素領域は、ダイヤモンド粒子間の結合部(界面部分)の近傍、すなわち互いに結合しているダイヤモンド粒子間の境界を含みこの境界から連続している部分にあることが好ましい。ダイヤモンド粒子間の界面部分は、面積が小さくダイヤモンド多結晶体に外力が加わった場合特に応力が集中しやすい部分であり、この部分でのかけ等が、ダイヤモンド多結晶体の機械的摩耗の大きな原因となる。低ホウ素領域が、ダイヤモンド粒子間の結合部(界面部分)を含み界面部分から連続している部分にある場合は、応力が集中しやすい界面部分で優れた機械的強度を保つことができ、ダイヤモンド多結晶体の機械的耐摩耗をより効果的に抑制することができる。
又、低ホウ素領域のダイヤモンド粒子表面への露出は、可能な限り小さい方が好ましく、この領域が実質的に粒子表面に露出していないことがより好ましい。低ホウ素領域は、酸素と反応しやすいので、低ホウ素領域がダイヤモンド粒子表面の広い部分に露出している場合は、ダイヤモンド多結晶体の化学的耐摩耗性が低下する傾向がある。
ダイヤモンド粒子間に形成される空洞の1部又は全部を充填するマトリックスは、鉄族元素(又はその炭化物)を主構成成分とし、CBN並びにWCoB6及び/又はB4Cを含有する。マトリックスが、鉄族元素又はその炭化物を主構成成分とするとは、マトリックス中の50体積%以上、好ましくは80体積%以上が鉄族元素又はその炭化物により構成されることを言う。鉄族元素には、Co、Fe、Niが含まれるが、中でもCoが好ましくマトリックスの構成材料として広く用いられている。又、マトリックスは2種以上の鉄族元素、例えばCoとFeにより構成されていてもよく、2種以上の鉄族元素の炭化物、例えばCoとFeの炭化物により構成されていてもよい。
本請求項のダイヤモンド多結晶体は、マトリックス中に、平均粒径が0.05μm以上であってダイヤモンド粒子の平均粒径の1.0倍より小さいCBN粒子を、0.2〜10体積%含むことを特徴とする。前記の範囲の平均粒径を有するCBNをダイヤモンド多結晶体の全体積に対し、0.2体積%以上、10体積%以下含むことにより、機械的な強度を高めることができダイヤモンド多結晶体の機械的な摩耗を抑制することができる。CBNの含有量が0.2体積%未満の場合、又は10体積%を超えた場合は、いずれも優れた機械的耐摩耗性は得られない。
又、CBNの含有量が前記の範囲内であっても、CBN粒子の平均粒径が、0.05μmより小さい場合、又はダイヤモンド粒子の平均粒径の1.0倍より大きい場合は、いずれも、優れた機械的耐摩耗性は得られない。
本請求項のダイヤモンド多結晶体は、さらに、WCoB6及び/又はB4Cを、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対するWCoB6のピーク強度比及びB4Cのピーク強度比の合計が、0.05以上、0.20以下となる量含むことを特徴とする。
ダイヤモンド多結晶体の使用時(例えば、ダイヤモンド多結晶体が切削工具として用いられる場合の切削時)に、ダイヤモンド多結晶体の接触物(例えば、ダイヤモンド多結晶体が切削工具として用いられる場合の被削材)を構成する鉄族金属と、マトリックスを構成する金属が化学反応を生じ、ダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性が低下する場合がある。マトリックス中の金属と被削材である金属との化学反応性は、ホウ素の含有により低下させることができるが、特にマトリックス中にWCoB6若しくはB4Cのいずれか、又はWCoB6及びB4Cが含有されていると、金属間の化学反応性の低下が大きく、より効果的に金属間の化学反応を抑制でき耐摩耗性の低下を防ぐことができる。
WCoB6及び/又はB4Cの含有量が、前記の範囲の下限未満となる場合は、金属間の化学反応を抑制する効果が小さく、ダイヤモンド多結晶体の使用時において耐摩耗性が低下しやすくなる。一方、ピーク強度比が前記の範囲の上限を超える場合は、ダイヤモンド多結晶体の機械的強度や機械的な耐摩耗性が低下する。
請求項2に記載の発明は、WCoB6及び/又はB4Cに加えてさらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対する前記ホウ化物のピーク強度比が0.01〜0.10となる量含むことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド多結晶体である。
WCoB6及び/又はB4Cに加えてさらにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を含む場合は、ダイヤモンド多結晶体の使用時(例えば、ダイヤモンド多結晶体が切削工具として用いられる場合の切削時)に、ダイヤモンド多結晶体の接触物を構成する鉄族金属とマトリックスを構成する金属との間に生じる化学反応をさらに効果的に抑制できるので好ましい。ただし、これらのそれぞれのホウ化物の含有量が、前記のピーク強度比が0.01未満となる量である場合は、前記化学反応を抑制する効果が不十分となり、0.10を超える量となる場合は、ダイヤモンド多結晶体の機械的強度や機械的な耐摩耗性が低下するので好ましくない。
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物としては、例えば、TiB2、TaB2、WB2を挙げることができ、これらから選ばれる1種又は2種以上のホウ化物を、ダイヤモンド多結晶体に含有させることができる。なお、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物が2種以上含まれている場合、これらのホウ化物の含有量は、ダイヤモンド(111)のピーク強度に対するそれぞれのホウ化物のピーク強度比が、0.10以下となる範囲である。
ダイヤモンド多結晶体は、一般的に、ダイヤモンド粒子及びCo等の鉄族元素より選ばれる金属を混合した混合物を加熱、加圧して、ダイヤモンド粒子を焼結する方法により得られる。請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体は、前記の一般的なダイヤモンド多結晶体の製造方法において、
・所定範囲の粒径のダイヤモンド粒子を使用する、
・ホウ素を実質的に含まないダイヤモンド粒子を使用する、
・前記混合物中には、ダイヤモンド粒子及び鉄族元素に加えて、CBN粒子を含有するホウ素供給源を混合する、
・混合物中のダイヤモンド粒子の混合量は、混合物中の80〜98体積%、又は、後述の焼結を超硬合金と前記混合物を接触させた状態で行う場合は80〜99体積%の範囲とする、
・混合物中のCBN粒子の混合量は、焼結後のCBN含有量が請求項1で規定された所定の範囲となるような量とする、
・所定範囲の粒径のCBN粒子を用いる、
そして、マトリックス中にCBNを残し、かつ請求項1のダイヤモンド多結晶体が生成するように、
・焼結の温度、圧力、時間等の条件を選択し、かつ、
1)焼結を超硬合金と前記混合物を接触させた状態で行う(以下、「超硬合金積層」と言う。)、
2)焼結前に、前記ダイヤモンド粒子の表面に黒鉛を析出させる工程を設ける(以下、「黒鉛析出」と言う。)、又は前記ダイヤモンド粒子として、その表面に黒鉛を付着させたものを用いる(以下、「黒鉛付着」と言う。)、及び
3)前記混合物を真空中で加熱処理し鉄族金属中に炭素を拡散、固溶させる(以下、「炭素固溶」と言う。)、
から選ばれる少なくとも1つ(以下、「追加工程」と言う。)を実施する、
ことにより製造することができる。
・所定範囲の粒径のダイヤモンド粒子を使用する、
・ホウ素を実質的に含まないダイヤモンド粒子を使用する、
・前記混合物中には、ダイヤモンド粒子及び鉄族元素に加えて、CBN粒子を含有するホウ素供給源を混合する、
・混合物中のダイヤモンド粒子の混合量は、混合物中の80〜98体積%、又は、後述の焼結を超硬合金と前記混合物を接触させた状態で行う場合は80〜99体積%の範囲とする、
・混合物中のCBN粒子の混合量は、焼結後のCBN含有量が請求項1で規定された所定の範囲となるような量とする、
・所定範囲の粒径のCBN粒子を用いる、
そして、マトリックス中にCBNを残し、かつ請求項1のダイヤモンド多結晶体が生成するように、
・焼結の温度、圧力、時間等の条件を選択し、かつ、
1)焼結を超硬合金と前記混合物を接触させた状態で行う(以下、「超硬合金積層」と言う。)、
2)焼結前に、前記ダイヤモンド粒子の表面に黒鉛を析出させる工程を設ける(以下、「黒鉛析出」と言う。)、又は前記ダイヤモンド粒子として、その表面に黒鉛を付着させたものを用いる(以下、「黒鉛付着」と言う。)、及び
3)前記混合物を真空中で加熱処理し鉄族金属中に炭素を拡散、固溶させる(以下、「炭素固溶」と言う。)、
から選ばれる少なくとも1つ(以下、「追加工程」と言う。)を実施する、
ことにより製造することができる。
原料として使用するダイヤモンド粒子の平均粒径は0.08〜80μmの範囲である。この範囲の平均粒径のダイヤモンド粒子を原料として使用することにより、平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子から形成されるダイヤモンド多結晶体が得られる。
原料として使用する実質的にホウ素を含まないダイヤモンド粒子とは、ホウ素の含有量が2.5ppm未満、好ましくは1ppm未満のものを言う。ホウ素の含有量が2.5ppm以上の領域を含むダイヤモンド粒子を用いた場合は、ダイヤモンド粒子中の60〜95体積%を占める領域でのホウ素濃度を3ppm以下とすることは困難である。
焼結後のダイヤモンド多結晶体中のダイヤモンド粒子の含有率は、焼結前の、ダイヤモンド粒子、鉄族元素、CBN粒子を含有するホウ素供給源等からなる混合物中のダイヤモンド粒子の混合量に対応する。そこで、前記混合物中のダイヤモンド粒子の混合量を、前記混合物中の80〜98体積%の範囲とする必要がある。ただし、後述の焼結を超硬合金と前記混合物を接触させた状態で行う場合は、ダイヤモンド層の厚みにもよるが、ダイヤモンド粒子の含有率を80〜99体積%とすることができる。ダイヤモンド粒子の混合量をこの範囲内とすることにより、ダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であるダイヤモンド多結晶体が得られる。又、ダイヤモンド粒子の含有率が98体積%又は99体積%を超える場合は、焼結のために必要な鉄族元素が少ないため、ダイヤモンド粒子の焼結がほとんど進行せず、ダイヤモンド多結晶体が得られない。
焼結後のマトリックス中のCBN含有量は、焼結前の前記混合物中に混合されるCBN粒子の混合量に対応する。そこで、焼結後のマトリックス中のCBN含有量が、請求項1で規定された所定の範囲、すなわちダイヤモンド多結晶体の全体積に対し0.2〜10体積%の範囲となるように、前記混合物中に混合されるCBN粒子の混合量を、混合物中の0.3〜12体積%の範囲に調整する必要がある。
焼結後のCBN粒子の平均粒径は、焼結前の前記混合物中のCBN粒子の平均粒径に概ね対応する。そこで、焼結後のCBN粒子の平均粒径が0.05μm以上でかつダイヤモンド粒子の平均粒径よりも小さくなるように、焼結前の前記混合物中のCBN粒子としては、平均粒径が0.10μm以上であり、かつ前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さい粒子が用いられる。粒径が0.10μm未満のCBN粒子を用いた場合、焼結後のマトリックス中にCBNがほとんど残らない。一方、ダイヤモンド多結晶体におけるマトリックス中のCBNの平均粒径をダイヤモンド粒子の平均粒径より小さくするためには、原料のCBN粒子の平均粒径を、原料のダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍以下とする必要がある。
このダイヤモンド多結晶体の製造方法で用いられる鉄族元素は、焼結後マトリックスの構成元素となるものである。この鉄族元素は、Co、Ni及びFeからなる群より選ばれ中でもCoが好ましい。又、2種以上の鉄族元素、例えばCo及びFeを共に使用してもよい。さらに、鉄族元素の単体の代わりにこれらの元素の炭化物を用い、その炭化物をダイヤモンド粒子等と混合してもよい。
前記混合物は、前記の各成分を、従来の多結晶ダイヤモンドの製造の場合と同様にして混合して得ることができる。混合には例えばボールミルを使用してもよい。また、場合によっては、前記鉄族元素を中心とする各成分からなる板状物質をダイヤモンド粉末の周りの一部に配置し、焼結と共にダイヤモンド粉末に溶解・浸入させる方法を用いてもよい。
このようにして得られた混合物を、加熱、加圧してダイヤモンド粒子間を焼結することにより、ダイヤモンド多結晶体を得ることができる。請求項1のダイヤモンド多結晶体の製造における焼結工程は、通常のダイヤモンド多結晶体の製造での焼結工程と同様に、ダイヤモンドの安定な圧力温度領域で行われる。
さらに、ホウ素濃度3ppm以下の領域の大きさ、マトリックス中のCBN、WCoB6及びB4Cの含有量は、焼結工程の圧力及び温度等の条件により影響される。そこで、焼結工程の圧力及び温度は、多結晶体を構成するダイヤモンド粒子の60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域となり、マトリックス中に、CBNがダイヤモンド多結晶体の全体積に対し0.2〜10体積%含まれ、かつWCoB6及び/又はB4Cが、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対するWCoB6のピーク強度比及びB4Cのピーク強度比の合計が、0.05以上、0.20以下となる量生成するような範囲に調整される。この範囲は、焼結工程にて行われる追加の工程(超硬合金積層等)の種類やその条件により変動するが、具体的な圧力及び温度は、簡易な予備実験により容易に求めることができる。
請求項1のダイヤモンド多結晶体を製造するためには、焼結工程に、超硬合金積層、黒鉛析出、黒鉛付着、炭素固溶等の追加の工程(条件)を含ませることが好ましい。追加の工程(条件)を含ませることにより、ホウ素濃度3ppm以下の領域(低ホウ素領域)が多結晶体を構成するダイヤモンド粒子中に残存しやすくなり、低ホウ素領域が60〜95体積%であるダイヤモンド粒子を形成しやすくなる。
請求項3に記載の発明は、
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜99体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結が、前記混合物を超硬合金と接触させて行うことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜99体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結が、前記混合物を超硬合金と接触させて行うことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
この方法は、請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、前記追加工程が超硬合金積層であることを特徴とする方法である。前記混合物と超硬合金との接触は、前記混合物を超硬合金の板間に挟み、それを積層する方法等により行うことができる。
ここで超硬合金とは、4、5、6族の金属の炭化物を鉄族元素で焼結した複合材料である。具体的には、WC−Co系合金、WC−TiC−Co系合金、WC−TaC−Co系合金、WC−TiC−TaC−Co−Ni系合金を挙げることができる。本発明の製造方法では、中でも、WC−Co系合金が好ましく用いられる。
ダイヤモンド粒子を焼結させるためには鉄族元素の融液が必要であるが、この製造方法では、超硬合金と原料のダイヤモンド粒子を含む混合物が接触している状態で焼結されるので、超硬合金からCo等の鉄族元素の融液が混合物中に溶解侵入して、ダイヤモンド粒子の焼結が行われる。
超硬合金積層を行うと、超硬合金中の鉄族元素は、炭素やWが溶け込んでいるので、単体の鉄族元素よりも融点が低く、焼結工程では先ず、炭素を飽和量含みホウ素をほとんど含まない鉄族元素の融液が生成する。これが結晶化して低ホウ素領域を生成するので、低ホウ素領域が60〜95体積%であるダイヤモンド粒子を形成しやすくなる。
請求項4に記載の発明は、
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記ダイヤモンド粒子が、前記焼結前に、その表面に黒鉛を析出させた又はその表面に黒鉛を付着させたダイヤモンド粒子であることを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記ダイヤモンド粒子が、前記焼結前に、その表面に黒鉛を析出させた又はその表面に黒鉛を付着させたダイヤモンド粒子であることを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
この方法は、請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、前記追加工程が、黒鉛析出、黒鉛付着であることを特徴とする方法である。黒鉛析出は、例えば、前記混合物の作製前(混合前)に、ダイヤモンド粒子を大気中で600〜1000℃で加熱処理して行うことができる。又、黒鉛付着は、例えば、前記混合物の作製前(混合前)に、ダイヤモンド粒子と黒鉛粉末(グラファイト粉末)を混合して、ダイヤモンド粒子表面に黒鉛粉末を付着させて行うことができる。
ダイヤモンド粒子表面に析出した黒鉛や付着した黒鉛は非ダイヤモンド炭素であり溶融した鉄族元素中に急速に溶解する。従って、この方法によれば、焼結の初期の段階で炭素を飽和量含みホウ素をほとんど含まない鉄族元素の融液が生成し、これが結晶化して低ホウ素領域を生成するので、低ホウ素領域が60〜95体積%であるダイヤモンド粒子を形成しやすくなる。又、ホウ素がマトリックス中に残存しやすくなり、炭素とマトリックス中のホウ素が反応してB4Cが生成する。
請求項5に記載の発明は、
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加熱、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結前に、前記金属中に炭素を拡散、固溶させる工程をさらに含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加熱、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結前に、前記金属中に炭素を拡散、固溶させる工程をさらに含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
この方法は、請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、前記追加工程が、炭素固溶であることを特徴とする方法である。炭素固溶は、前記混合物に黒鉛(非ダイヤモンド炭素)を加え、前記焼結前に、真空中で1100〜1400℃程度で加熱処理することにより行うことができる。
この方法によれば、前記混合物中に炭素が固溶されているので、焼結の初期の段階で炭素を飽和量含みホウ素をほとんど含まない鉄族元素の融液が生成し、これが結晶化して低ホウ素領域を生成するので、低ホウ素領域が60〜95体積%であるダイヤモンド粒子を形成しやすくなる。又、ホウ素がマトリックス中に残存しやすくなり、炭素とマトリックス中のホウ素が反応してB4Cが生成する。なお、前記の追加の工程を行わない場合は、焼結の初期の段階では生成した鉄族元素の融液中には炭素が含まれておらず、その後炭素とホウ素がほぼ同時に溶解し、これが析出する際には炭素とホウ素が混ざった結晶になるので、低ホウ素領域を60体積%以上含むダイヤモンド粒子の形成は困難である。
このダイヤモンド多結晶体の製造方法で用いられるCBN粒子を含むホウ素供給源は、前記のCBN粒子を必須の成分とするが、さらに、ホウ素や他のホウ化物を含むことができる。中でも、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を含むことが好ましい。ただし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物の、それぞれの量が、前記混合物中の0.1体積%を超える場合は、この製造方法により得られるダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対する前記ホウ化物のピーク強度比がそれぞれ0.10を超え、ダイヤモンド多結晶体の機械的強度や機械的な耐摩耗性が低下するので好ましくない。
請求項6に記載の発明は、前記の好ましい態様に該当し、前記ホウ素供給源が、さらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を、前記混合物中の0.2体積%以下含むことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物が、TiB2、TaB2及びWB2から選ばれる1種又は2種以上のホウ化物であることを特徴とする請求項6に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法である。前記のように、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物としては、TiB2、TaB2及びWB2が好ましいホウ化物として挙げられる
本発明のダイヤモンド焼結体(多結晶ダイヤモンド)は、ホウ素を含むことによって優れた耐酸化性を示し化学的摩耗が小さいとともに、機械的強度も優れ、負荷の大きな応力を受けた場合でも劈開や機械的な摩耗も生じにくい。このように、優れた特性を有する本発明のダイヤモンド焼結体は、本発明の製造方法により容易に製造することができる。
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
[本発明のダイヤモンド多結晶体の製造条件]
1)焼結工程の温度と圧力
ダイヤモンド粒子を焼結する工程での、焼結温度は、焼結圧力や、使用する鉄族金属の種類によっても異なるが、通常1250℃〜1550℃の範囲である。焼結工程の圧力としては、5GPa以上が必要である。焼結時間としては、概ね1〜120分であるが、120分以上長い場合でも、特にコストの影響や、ダイヤモンド粒子の肥大がない限り、採用できる。
1)焼結工程の温度と圧力
ダイヤモンド粒子を焼結する工程での、焼結温度は、焼結圧力や、使用する鉄族金属の種類によっても異なるが、通常1250℃〜1550℃の範囲である。焼結工程の圧力としては、5GPa以上が必要である。焼結時間としては、概ね1〜120分であるが、120分以上長い場合でも、特にコストの影響や、ダイヤモンド粒子の肥大がない限り、採用できる。
2)焼結時間
焼結時間は、従来の通常のダイヤモンド多結晶体の場合よりも若干長くすることが好ましい。従来の焼結時間は、粒径にも依るが、結合材となる鉄族金属が溶融してダイヤモンド粒子間に侵入した後1〜20分とされている。しかし、本発明では焼結過程でのホウ素の供給は、ホウ素供給源がゆっくりと溶解することによりなされるため、ダイヤモンド粒子表面に充分な量のホウ素を供給するために通常より長い時間焼結することが好ましい。具体的には、2分以上120分以内であり、一定温度で焼結することが好ましい。
焼結時間は、従来の通常のダイヤモンド多結晶体の場合よりも若干長くすることが好ましい。従来の焼結時間は、粒径にも依るが、結合材となる鉄族金属が溶融してダイヤモンド粒子間に侵入した後1〜20分とされている。しかし、本発明では焼結過程でのホウ素の供給は、ホウ素供給源がゆっくりと溶解することによりなされるため、ダイヤモンド粒子表面に充分な量のホウ素を供給するために通常より長い時間焼結することが好ましい。具体的には、2分以上120分以内であり、一定温度で焼結することが好ましい。
なお、通常のダイヤモンドの焼結過程では、焼結時間が長すぎると異常な粒成長(粒肥大)を引き起こしやすく、特に5μm未満の微粒ダイヤモンドを出発物質とした場合はこの傾向が顕著である。しかし、本発明ではホウ素を多く含むため粒成長が抑制されるので、従来よりもダイヤモンド粒子を長時間焼結条件に晒すことが可能である。
実施例1〜24、比較例1〜17
[ダイヤモンド焼結体の製造]
表1〜9に示す種々の粒径のダイヤモンド粒子、種々の粒径のCBN、及びCBN以外のホウ素供給源、マトリックス金属をボールミルで混合して、ダイヤモンド粒子、CBN、ホウ素供給源の含有量が表1〜9に示す値となる混合物を作製した(なお、含有量の残量はマトリックス金属の含有量である)。この混合物を、超硬合金(WC/Coの重量比が92/8のWC−Co合金)の板間に挟みながら(超硬合金積層)、金属ケースにパッケージし、表1〜9に示す温度、圧力5.4GPaで、15分焼結を行い、ダイヤモンド焼結体を得た。なお、マトリックス金属を混合しなかった比較例17では、焼結できずダイヤモンド焼結体は得られなかった。
[ダイヤモンド焼結体の製造]
表1〜9に示す種々の粒径のダイヤモンド粒子、種々の粒径のCBN、及びCBN以外のホウ素供給源、マトリックス金属をボールミルで混合して、ダイヤモンド粒子、CBN、ホウ素供給源の含有量が表1〜9に示す値となる混合物を作製した(なお、含有量の残量はマトリックス金属の含有量である)。この混合物を、超硬合金(WC/Coの重量比が92/8のWC−Co合金)の板間に挟みながら(超硬合金積層)、金属ケースにパッケージし、表1〜9に示す温度、圧力5.4GPaで、15分焼結を行い、ダイヤモンド焼結体を得た。なお、マトリックス金属を混合しなかった比較例17では、焼結できずダイヤモンド焼結体は得られなかった。
なお、実施例21では、前記の超硬合金積層は行わず、ダイヤモンド粒子を大気中で、800℃で15分加熱処理し、ダイヤモンド粒子表面に黒鉛を析出させたものを使用した。表中では「表面に炭素」と表す。
又、実施例22では、前記の超硬合金積層は行わず、前記混合物にさらに平均粒径1μmの天然黒鉛をダイヤモンド粉末の1重量%混合し、焼結の前に、真空中で1200℃で30分加熱処理し、マトリックス金属中に黒鉛を固溶させた後焼結を行った。表中では「炭素固溶」と表す。なお比較例16では、前記の超硬合金積層、ダイヤモンド粒子表面への黒鉛の付着、炭素固溶のいずれも行わなかった。表中では「処理無し」と表す。
なお、実施例、比較例で使用した材料は次の通りである。
ダイヤモンド粒子:人工合成ダイヤモンド粒子。ホウ素濃度1.5ppm以下。
CBN:粒径:0.05〜100μm。(中国製)
ダイヤモンド粒子:人工合成ダイヤモンド粒子。ホウ素濃度1.5ppm以下。
CBN:粒径:0.05〜100μm。(中国製)
前記のようにして得られたダイヤモンド焼結体について、次に示す方法で、種々の分析、測定を行い、その結果を表1〜9に示した。
[ホウ素含量が3ppm以下の低ホウ素領域の体積%(低ホウ素領域体積比率)の分析法]
ホウ素を3ppm以下しか含まない領域(低ホウ素領域)は、
1)色が透明、あるいは不純物窒素に起因する黄色を呈している上、
2)ホウ素を3ppm超含む領域に比べ、導電性がほとんどない、
という特徴を有する。このため、ダイヤモンド粒子の粒径が約10μm以上の場合は、光学顕微鏡あるいはデジタルマイクロスコープで、低ホウ素領域を容易に判断できる。また、光学顕微鏡あるいはデジタルマイクロスコープにて判別しがたい粒径が約10μm未満の微小粒については、走査電子顕微鏡観察時の色のコントラストにより、低ホウ素領域を判別できる。そこで、低ホウ素領域の割合については、任意の焼結体断面を上記方法で観察し、色あるいはコントラストの違いを画像処理することにより求めることができる。
ホウ素を3ppm以下しか含まない領域(低ホウ素領域)は、
1)色が透明、あるいは不純物窒素に起因する黄色を呈している上、
2)ホウ素を3ppm超含む領域に比べ、導電性がほとんどない、
という特徴を有する。このため、ダイヤモンド粒子の粒径が約10μm以上の場合は、光学顕微鏡あるいはデジタルマイクロスコープで、低ホウ素領域を容易に判断できる。また、光学顕微鏡あるいはデジタルマイクロスコープにて判別しがたい粒径が約10μm未満の微小粒については、走査電子顕微鏡観察時の色のコントラストにより、低ホウ素領域を判別できる。そこで、低ホウ素領域の割合については、任意の焼結体断面を上記方法で観察し、色あるいはコントラストの違いを画像処理することにより求めることができる。
[ダイヤモンド粒子の平均粒径の分析法]
ダイヤモンド焼結体中の、ダイヤモンドの平均粒径については、以下の方法で求める。すなわち、任意の断面に対し、走査型電子顕微鏡により観察できる。本発明のダイヤモンド焼結体は、導電性を有するため、走査型電子顕微鏡での観察が可能である。写真撮影像を元にして、以下に示すような方法により画像解析を実施することで平均粒径を得ることができる。
ダイヤモンド焼結体中の、ダイヤモンドの平均粒径については、以下の方法で求める。すなわち、任意の断面に対し、走査型電子顕微鏡により観察できる。本発明のダイヤモンド焼結体は、導電性を有するため、走査型電子顕微鏡での観察が可能である。写真撮影像を元にして、以下に示すような方法により画像解析を実施することで平均粒径を得ることができる。
画像解析の具体的な例を以下に示す。画像解析ソフト(例えば、Scion Corporation社製、ScionImage)を用いて、個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して各粒子の面積(S)を算出する。そして、各粒子の粒径(D)を、同じ面積を有する円の直径(D=2√(S/π))として算出する。次に、上記で得られた粒径分布をデータ解析ソフト(例えば、OriginLab社製Origin、Parametric Technology社製Mathchad等)によって処理し、平均粒径を算出する。
[X線回折のピーク強度比の測定法]
ダイヤモンドの111ピーク強度に対する化合物のピーク強度比は、以下の方法で求める。モノクロメータの付いた、通常のX線回折装置(例えば、島津社製LabX XRD−6100)を用い、θ−2θ法、特性X線はCuKα、ステップθ=0.02−0.04°でダイヤモンド焼結体を測定する。得られた結果は、バックグラウンド除去、Kα2線の影響除去、平滑化(7点)の処理を施したうえで、各化合物の回折線中の最大のピーク強度を求める。さらにその値を、ダイヤモンドの111ピーク強度で割ることにより、算出する。なお、ピーク強度には、ピークの高さを用いる。
ダイヤモンドの111ピーク強度に対する化合物のピーク強度比は、以下の方法で求める。モノクロメータの付いた、通常のX線回折装置(例えば、島津社製LabX XRD−6100)を用い、θ−2θ法、特性X線はCuKα、ステップθ=0.02−0.04°でダイヤモンド焼結体を測定する。得られた結果は、バックグラウンド除去、Kα2線の影響除去、平滑化(7点)の処理を施したうえで、各化合物の回折線中の最大のピーク強度を求める。さらにその値を、ダイヤモンドの111ピーク強度で割ることにより、算出する。なお、ピーク強度には、ピークの高さを用いる。
[CBNの含有量の分析法]
ダイヤモンド焼結体中の、CBNの含有量および平均粒径については、以下の方法で求める。すなわち、任意の断面に対し走査型電子顕微鏡により観察し、前記段落0066に記載の画像処理により求めることができる。CBNとダイヤモンドは、電子顕微鏡観察した際の、コントラストの違いで判別できる。本発明のダイヤモンド焼結体は、導電性を有するため走査型電子顕微鏡での観察が可能である。
ダイヤモンド焼結体中の、CBNの含有量および平均粒径については、以下の方法で求める。すなわち、任意の断面に対し走査型電子顕微鏡により観察し、前記段落0066に記載の画像処理により求めることができる。CBNとダイヤモンドは、電子顕微鏡観察した際の、コントラストの違いで判別できる。本発明のダイヤモンド焼結体は、導電性を有するため走査型電子顕微鏡での観察が可能である。
1.耐摩耗性試験
前記の実施例及び比較例で得られたダイヤモンド多結晶体(焼結体)を、放電加工により、2.5mmの目的の形状に切り出したのち、超硬合金製の台金にろう付けし、刃先を砥石で成形することで、頂角60度の旋削用インサート工具(TPGN160304)を製造した。このインサート工具について、以下の方法による旋削加工を行い、耐摩耗性を評価した。
前記の実施例及び比較例で得られたダイヤモンド多結晶体(焼結体)を、放電加工により、2.5mmの目的の形状に切り出したのち、超硬合金製の台金にろう付けし、刃先を砥石で成形することで、頂角60度の旋削用インサート工具(TPGN160304)を製造した。このインサート工具について、以下の方法による旋削加工を行い、耐摩耗性を評価した。
[旋削加工]
Al−17%Si合金(A390合金)のφ100mmの丸棒の旋削加工を行った。加工条件は、周速800m/min、切り込み量1.0mm、送り量0.12mm/rev.で、5L/minのクーラント(水溶性エマルジョン2%入冷却水)を、刃先と被削材に噴出しながら、10分間連続加工した。加工後、逃げ面の摩耗量(mm)を、デジタルマイクロスコープにて測定した。その結果を、表1〜9の「切削試験:摩耗量(μm)」の欄に示した。
Al−17%Si合金(A390合金)のφ100mmの丸棒の旋削加工を行った。加工条件は、周速800m/min、切り込み量1.0mm、送り量0.12mm/rev.で、5L/minのクーラント(水溶性エマルジョン2%入冷却水)を、刃先と被削材に噴出しながら、10分間連続加工した。加工後、逃げ面の摩耗量(mm)を、デジタルマイクロスコープにて測定した。その結果を、表1〜9の「切削試験:摩耗量(μm)」の欄に示した。
表1〜9の「切削試験」の欄の測定結果より、本発明品(実施例1〜24)では、摩耗量は、150μm以下であり耐摩耗性に優れることが示された。一方、本発明の構成要件を一部満たさない場合(比較例1〜16)では、摩耗量は、170〜220μmであり本発明品より耐摩耗性に劣ることが示された。
2.耐寿命性試験
[伸線ダイスの製造]
前記の実施例及び比較例で得られたダイヤモンド多結晶体(焼結体)を放電加工により穴開けし、さらに粒子径1/2〜1μmのダイヤモンド砥粒により内周加工を行って伸線ダイスを作製し、以下の方法により耐寿命性試験を行った。その結果を、表1〜9の「伸線テスト:距離(km)」の欄に示した。
[伸線ダイスの製造]
前記の実施例及び比較例で得られたダイヤモンド多結晶体(焼結体)を放電加工により穴開けし、さらに粒子径1/2〜1μmのダイヤモンド砥粒により内周加工を行って伸線ダイスを作製し、以下の方法により耐寿命性試験を行った。その結果を、表1〜9の「伸線テスト:距離(km)」の欄に示した。
[耐寿命性試験の内容]
φ920μmのピアノ線を、20枚のダイスにより伸線する際、最終のダイスに、本発明品からなるダイヤモンドダイス(仕上げ径φ140.0μm)を用いることで、実施した。なお、残る19枚のダイスは、最初の10枚が、超硬ダイス、最終以外のダイスは、通常のPCDを用いたダイスである。伸線は、冷却液中、速度1200m/min.で行い、寿命判定として、a)断面形状を円で近似した際の直径がφ140.5mmとなったところ、b)真円度が最大と最小の径の差で5μmに達したところ、c)線肌については光沢の鈍くなった状態、のいずれかに達した時点を寿命と判断し、その距離を比較した。
φ920μmのピアノ線を、20枚のダイスにより伸線する際、最終のダイスに、本発明品からなるダイヤモンドダイス(仕上げ径φ140.0μm)を用いることで、実施した。なお、残る19枚のダイスは、最初の10枚が、超硬ダイス、最終以外のダイスは、通常のPCDを用いたダイスである。伸線は、冷却液中、速度1200m/min.で行い、寿命判定として、a)断面形状を円で近似した際の直径がφ140.5mmとなったところ、b)真円度が最大と最小の径の差で5μmに達したところ、c)線肌については光沢の鈍くなった状態、のいずれかに達した時点を寿命と判断し、その距離を比較した。
なお、上記の「旋削加工」におけるAl−Si合金は比較的硬度が高く、その切削においてはダイヤモンドとの化学反応が非常に少ないために、機械的な耐摩耗性を把握するのに適している。一方、耐寿命性試験で使用したピアノ線は、ダイヤモンドと反応し易い鉄系材料である。したがって、この耐寿命性試験は化学的耐摩耗性を把握するのに適している。
表1〜9の「伸線テスト」の欄の測定結果より、本発明品(実施例1〜24)では、ダイスの寿命に達するまでの距離は280km以上であり、耐寿命性(化学的耐摩耗性)に優れることが示された。一方、本発明の構成要件を一部満たさない場合(比較例1〜16)では、距離は180km以下であり、本発明品より耐寿命性(化学的耐摩耗性)が劣ることが、この測定結果より示されている。
本発明のダイヤモンド焼結体(多結晶ダイヤモンド)は、優れた耐酸化性を示し化学的摩耗が小さいとともに、機械的強度も優れ機械的な摩耗も生じにくいので、ダイヤ焼結体を用いたダイス、切削工具、金型などの耐摩工具に好適に用いられる。
Claims (7)
- 平均粒径が0.08〜80μmのダイヤモンド粒子が形成するスケルトン組織、及び、該スケルトン組織の空洞部を充填するマトリックスからなるダイヤモンド多結晶体であって、
前記ダイヤモンド粒子の含有率がダイヤモンド粒子とマトリックスの合計に対し80〜99体積%であり、
前記ダイヤモンド粒子は、ホウ素を含有するとともに、その60〜95体積%がホウ素濃度3ppm以下の領域であり、
前記マトリックスは、
鉄族元素又は鉄族元素の炭化物を主構成成分とするとともに
平均粒径が、ダイヤモンド粒子の平均粒径より小さくかつ0.05μm以上のCBN粒子を、マトリックス中に、ダイヤモンド多結晶体の全体積に対し0.2〜10体積%含み、かつ
WCoB6及び/又はB4Cを、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対するWCoB6のピーク強度比及びB4Cのピーク強度比の合計が、0.05以上、0.20以下となる量含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体。 - WCoB6及び/又はB4Cに加えてさらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を、ダイヤモンド多結晶体のX線回折におけるダイヤモンド(111)のピーク強度に対する前記ホウ化物のピーク強度比が0.01〜0.10となる量含むことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド多結晶体。
- 平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜99体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結が、前記混合物を超硬合金と接触させて行うことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法。 - 平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記ダイヤモンド粒子が、前記焼結前に、その表面に黒鉛を析出させた又はその表面に黒鉛を付着させたダイヤモンド粒子であることを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法。 - 平均粒径が0.08〜80μmであり、ホウ素の含有量が2.5ppm以下であるダイヤモンド粒子、平均粒径が0.10μm以上であって前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の2倍より小さいCBN粒子を含むホウ素供給源、及び鉄族元素より選ばれる1種又は2種以上の金属を含み、
前記ダイヤモンド粒子の含有率が80〜98体積%であり、かつ
前記CBN粒子の含有率が0.3〜12体積%である混合物を、
加圧、加熱して前記ダイヤモンド粒子を焼結する工程を含む請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法であって、
前記焼結前に、前記金属中に炭素を拡散、固溶させる工程をさらに含むことを特徴とするダイヤモンド多結晶体の製造方法。 - 前記ホウ素供給源が、さらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物を、前記混合物中の0.2体積%以下含むことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法。
- Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWからなる群より選ばれる元素のホウ化物が、TiB2、TaB2及びWB2から選ばれる1種又は2種以上のホウ化物であることを特徴とする請求項6に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法。
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