本開示の物品及び方法は、望ましい特性を示す、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を対象とする。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、比較的高いレベルのダイヤモンド含有量を示し得るが、これは、コンポジット粒子の特性に寄与し得る。本開示による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するための方法は、複数のダイヤモンド結晶粒及びケイ素粒子を有するダイヤモンド供給原料を生成すること、及び、ダイヤモンド供給原料を、少なくとも1つの圧密化前プロセスに付して、顆粒を生成すること、を含む。顆粒は、圧密化プロセスに付されて、緻密化成形体を生成する。一実施態様において、圧密化プロセスは、高温高圧プロセスを含む。得られる緻密化成形体は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を成す。前記方法は、また、複数のセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子が生成される圧密化後プロセスにおいて、緻密化成形体を機械的に処理すること、を含む。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、複数のダイヤモンド結晶粒、及びダイヤモンド結晶粒に反応により結合した炭化ケイ素を含む。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の組成は、60〜90wt%、好ましくは70〜90wt%、より好ましくは79〜81wt%、より好ましくは80wt%のダイヤモンド、10〜40wt%の炭化ケイ素、≦2wt%のケイ素を含む。
図1Aから1Bは、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子10の例示的実施態様の顕微鏡写真である。図1Cは、EDXを用い、組成分析が行われた、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の例示的実施態様のSEM顕微鏡写真である。図1Aから1Cの顕微鏡写真は、様々な倍率で(図1Aでは100倍、図1Bでは500倍、図1Cでは1000倍)走査電子顕微鏡(SEM)によって得られた。SEM装置は、Hitachi 2600であり、電圧及び作動距離は、それぞれ、25kV及び13mmに設定された。
セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子10は、炭化ケイ素によって互いに結合した複数のダイヤモンド粒子を含む。エネルギー分散型X線分析(EDX)によるコンポジット粒子のマッピングが、図1Cに示されており、図で、Siの領域(SiCの領域を示す)20は、炭素の領域30(ダイヤモンドの領域を示す)から区別される。EDXマッピングでは炭素の領域30が連続的なSiCマトリックス20によって互いに結合されており、ダイヤモンド粒子が炭化ケイ素バインダーによって互いに焼結されていることを示す。
例示的実施態様において、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子10の組成は、80重量%(wt%)のダイヤモンド、19wt%の炭化ケイ素及び1wt%のケイ素である。炭化ケイ素の外側のケイ素は、製造プロセスから存続する残留量で存在する。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子10の構成物質は、次に述べる範囲内の適切な他の量で存在し得る:60〜90Wt%、あるいは、70〜90wt%、あるいは、75〜90wt%、あるいは、79〜81wt%又は80wt%のダイヤモンド;10〜40wt%の炭化ケイ素、あるいは、≧12wt%又は≧15wt%から≦20wt%又は≦25wt%の炭化ケイ素;及び、≦3wt%のケイ素、あるいは、>0wt%又は≧1wt%から≦1wt%又は≦2wt%のケイ素。例示的組成は、85〜90wt%のダイヤモンド、10〜15wt%の炭化ケイ素、及び、≦2wt%のケイ素を有する。セラミック結合ダイヤモンドコンポジットの組成は、適切な何らかの手段によって決定できる。しかし、本開示では、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の組成は、Brucker AXS D8 Focus回折装置を使用して、Cu k−アルファ放射線を用い、Jade v.9.3.2ソフトウェアの「Easy Quantative」分析法を実行して、X線回折技術によって決定した。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子10は、40ミクロンから1000ミクロンの粒子サイズ(D50に基づく)を有する。
ダイヤモンド粒子は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を生成する前に、他の構成原材料と混ざるのに十分に小さいサイズの適切な任意のダイヤモンド粒子とすることができる。ダイヤモンドのサイズは、Microtrac S3500粒子サイズ分析装置を用いてバージョン10.6.2のソフトウェアを実行して測定され、体積平均を用い、報告される。ダイヤモンド粒子の典型的なサイズは、200ミクロン以下から1ミクロン以下(D50に基づく)の範囲にある。別の実施態様では、ダイヤモンド粒子は、双峰サイズ分布を有し得る。例として、ダイヤモンド粒子は、5ミクロンのD50を有する第1フラクション、及び20ミクロンのD50を有する第2フラクションを有する双峰サイズ分布を有し得る。三峰のような他のサイズ分布他もまた、使用され得る。セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子が生成された後、原材料に存在するダイヤモンド粒子のサイズ及び何れのサイズ分布も、生成されたセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子において概ね保存されるが、製造プロセスにおいて起こるダイヤモンドの消耗及び破砕に起因して、サイズの僅かな減少及びより小さいサイズ分布へのシフトがある。
適切なダイヤモンド結晶粒の例は、単結晶、又は多結晶ダイヤモンド、すなわち、100ミクロン以下のD50を有するダイヤモンド結晶粒である。適切なダイヤモンドの別の例は、くぼみのあるダイヤモンド、すなわち、100ミクロン以下のD50を有し、通常の単結晶ミクロン及び多結晶のダイヤモンドより多くの表面切削点を含むダイヤモンド結晶粒である。くぼみのあるダイヤモンドにおける表面処理は、未処理の単結晶又は多結晶ダイヤモンドに比べて、表面積を増加させる。くぼみのあるダイヤモンドは、厳しい切削特性に寄与する、増加した切削点を有する。さらに、くぼみのあるダイヤモンドの、より大きな表面積は、続いて行われる製造、例えばHPHT処理を通して保存されれば、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子におけるダイヤモンドと炭化ケイ素の間の、より強化された結合に寄与し得る。適切なくぼみのあるダイヤモンドの例は、米国特許第8182562号に開示されており、この全内容は、出典明示によって本明細書に援用され、くぼみのあるダイヤモンドは、Diamond Innovationsから、商用名「HYPERION(商標)」で市販されている。
本明細書で開示されている、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、様々な方法によって製造できる。一般に、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、ダイヤモンド供給原料を生成すること、ダイヤモンド供給原料を圧密化プロセスにおいて処理することを含み、1つ又は複数の圧密化前又は後プロセスを任意選択的に含む方法によって生成される。
ダイヤモンド供給原料を生成することは、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の原材料混合物を準備することを含む。一般に、ダイヤモンド供給原料は、ダイヤモンド粒子、ケイ素粒子及び任意選択の不活性材料を含む。
上記のダイヤモンド供給原料は、直接使用され得る、又は、圧密化プロセスに導入される前に、さらに処理され得る。
圧密化プロセスの例は、高圧高温(HPHT)プロセスであり、このプロセスでは、約2000〜7500MPの圧力、及び約800〜1600℃の温度が、通常は30分を超えない時間、維持される。この時間の間に、反応による結合のプロセスが生じ、ケイ素がダイヤモンドと反応して、ダイヤモンド粒子の間に炭化ケイ素を生成する。この炭化ケイ素は、反応性の結合剤としての役目を果たし、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を互いに保持する構造物である。HPHTプロセスは、95%を超え、通常は100%に近い緻密度を有する緻密化成形体を生じる。他の詳細及び適切なHPHTプロセスは、米国特許第3141746号、米国特許第3745623号、米国特許第3609818号、米国特許第3850591号、米国特許第4394170号、米国特許第4403015号、米国特許第4797326号及び米国特許第4954139号に開示されており、各々の全内容は、出典明示によって本明細書に援用される。
圧密化プロセスの別の例は、制御された雰囲気における、1300〜1600℃、あるいは約1500℃での焼結である。これらの圧密化プロセスにおける、焼結のための制御された雰囲気は、通常、不活性又は還元性雰囲気、例えば、アルゴン、水素、窒素、又はアルゴン、水素及び/若しくは窒素の混合物、又は真空である。焼結の間、供給原料からのダイヤモンド粒子とケイ素粒子は、反応による結合を経て、ダイヤモンド粒子の間に炭化ケイ素を生成する。この炭化ケイ素は、反応性の結合剤としての役目を果たし、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を互いに保持する構造物である。焼結は、通常、HPHTプロセスにおける圧力より、ずっと低い圧力で行われるので、焼結は、HPHTプロセスで見られるものと同じ度合いの緻密化を生じることはなく、焼結された材料の通常の緻密化は、50〜75%、あるいは約65%の程度である。
圧密化プロセスは、1つ又は複数の圧密化前又は後プロセスを伴い得る。例えば、圧密化前プロセスは、加圧、例えば冷間等方圧加圧を組み入れて、初期緻密化がなされたグリーン体を生成し、次いでこれを圧密化プロセスに付すことができる。例示的実施態様において、冷間等方圧加圧は、約50〜75%、あるいは少なくとも65%の初期緻密化を達成する。別の例では、脱バインダー処理プロセスが、圧密化プロセスと共に、又は別個の圧密化前プロセスとしてかの何れかで、含められ得る。圧密化前及び後プロセスの非限定的例には、不活性材料、金属の合金又は化合物によるコーティング;グリーン体の予備的な緻密化、及び/又は強度向上のための、2次的加熱プロセス;粒子の凍結;並びに、例えば凍結乾燥プロセス又は噴霧乾燥プロセスにおける、粒子からの水又は揮発性成分の除去;が含まれる。
また、概して、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、圧密化プロセスで起こるダイヤモンド−炭化ケイ素結合の数及び程度を低下させる添加剤又は処理ステップを、任意選択的に含み得る方法によって生成される。例えば、反応性材料を不活性材料に置き換えることによって、圧密化プロセスで起こる反応による結合の程度を低下させるために、圧密化の前に、不活性材料が、原材料に、すなわち、ダイヤモンド粒子とケイ素粒子の混合物に、含められ得る。別の例では、圧密化プロセスの前に、不活性又は活性材料を原材料の顆粒に部分的にコーティングし、そうしなければ圧密化プロセスで起こるであろう反応による結合を、抑制又は阻止し得る。さらなる例において、バインダー、例えばポリエチレングリコール(PEG)が、プロセスに組み入れられ、加圧技術によって生成されるグリーン体の生成を助けることができる。
開示されている方法において、単独で、又は組み合わせて使用できる不活性材料の例には、酸化物、炭化物、窒化物、アルミン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、炭酸塩、シリカ(石英)砂及び立方晶窒化ホウ素(cBN)が含まれる。不活性材料の具体的例には、Al2O3、SiO2、及びSiCが含まれる。不活性材料が使用される時、不活性材料は、約1から50ミクロンの範囲のD50を有し、10重量パーセント(wt%)まで、あるいは5から10wt%の量で存在する。不活性材料は、緻密化成形体における反応による結合の数及び程度を低下させると、今のところ考えられている。反応による結合のネットワークの減少は、不活性材料なしで、又はその閾値量未満で製造された緻密化成形体に比べて、複数のセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと砕けやすく、また、低下した抗折力を有する緻密化成形体を生じると考えられる。
SiCで結合された材料のように、炭化物を生成する他の活性材料が、セラミック結合ダイヤモンドコンポジットにおけるケイ素に加えて、又はその代わりに使用され得る。活性材料の例には、Ti、Zr、及びCrのような炭化物生成金属が含まれる。これらの活性材料の添加は、結果としてSiC以外の活性金属炭化物を生成できる。これらの他の炭化物(TiC、ZrC、Cr2C3)は、いくらかの結合効果をもたらすことができるが、SiCより低い強度の結合であり得るので、その結果、緻密化成形体の強度を低下させ得る。活性材料は、好ましくは、0と25重量%の間の量で添加され得る。1つ又は複数のこれら活性材料が使用され得る。
図2は、第1の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するための方法を示す。示された例示的方法100では、ダイヤモンド供給原料が生成され(110)、HPHT条件下で処理されて、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を含む緻密化成形体が生成され(120)、望みの粒子サイズ(D50に基づいて)へと、機械的に処理される(130)。
ダイヤモンド供給原料のための原材料は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、くぼみのあるダイヤモンド及びこれらの組合せを含めて、本明細書に開示されたダイヤモンド材料の何れか、及びケイ素粒子を含み、任意選択の窒化ケイ素、窒化アルミニウム、六方晶窒化ホウ素(hBN)及び不活性剤を含み得る。原材料の構成比率は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変えることができる。
ステップ120において製造される緻密化成形体は、不活性フィラー材料を含まないので、100%に近い緻密度、及び900MPaを超える抗折力を有し、例えば機械的破壊による、機械的処理は、最初には望ましくない。むしろ、緻密化成形体は、機械的処理の前に、最初に、例えばEDMによって、より小さな断片に切断される。加えて、又は代わりに、緻密化成形体からの製品の製造の間に生成される余分な(くず、excess)材料は、機械的処理プロセスのステップ130において処理される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を含む緻密化成形体に、含められる、又は、その唯一の供給源であり得る。所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。所望の典型的な粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
図3は、第2の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するための別の方法の図示である。示された例示的方法200では、不活性材料を含むダイヤモンド供給原料が生成され(210)、HPHT条件下で処理されて、不活性材料粒子が分散した、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を含む緻密化成形体が生成され(220)、望みの粒子サイズ(D50に基づいて)へと機械的に破壊される(230)。次に、不活性材料が、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子から分離される(240)。
ダイヤモンド供給原料のための原材料は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、くぼみのあるダイヤモンド及びこれらの組合せを含めて、本明細書に開示されたダイヤモンド材料の何れか、ケイ素粒子、並びに任意選択の窒化ケイ素及び不活性材料の粒子、例えば、具体例としての砂、Al2O3、SiO2及びSiCの1種又は複数の5から10wt%を含めて、本明細書に開示されている不活性材料の何れかを含むことができる。原材料の構成比率は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変えることができる。
図2に示された方法100で製造される緻密化成形体とは対照的に、図3に示された方法200で製造される緻密化成形体は、緻密化成形体内に分散している不活性材料の結果、砕けやすい。ここで、不活性材料は、圧密化プロセス、例えばステップ220におけるHPHTプロセスで生成する、ダイヤモンド−炭化ケイ素結合の数及び程度を減少させる。不活性材料は、応力集中箇所としての役目を果たし、また、緻密化成形体の破損荷重を低下させる、いくつかの内部材料欠陥を導入し、緻密化成形体が、より小さい加える力を用いて破壊されるようにする。次いで、この緻密化成形体は、機械的に処理するステップ230において処理され得る。所望の粒子サイズ(D50に基づく)へと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。ダイヤモンド供給原料に不活性材料を含めるために、緻密化成形体を機械的に処理して、複数のセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を生成するのに要するエネルギーは減少する。さらに、十分な量の不活性材料が使用される場合、緻密化成形体は、不安定であり、極端な場合には、圧密化ステップで生成される形状を保てない。というよりは、緻密化成形体は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料の個々の粒子へと、又は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料の粒子の塊へと、割れる。割れること又は別の粒子生成は、機械で促進され得る。典型的な粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
図4Aは、選び得る任意選択のプロセスを含む、第3の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するためのさらなる方法の図示である。示された例示的方法300は、凍結造粒プロセスであり、ダイヤモンド粒子、ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子及びバインダーが、液体、例えば水と混合されてスラリーとされ(310)、一連の造粒ステップ、例えばプロセス320から330を通して処理されて、さらなるプロセスAからEの何れか1つに使用される顆粒を生成する。顆粒の一般的特徴は、多孔質体(約40%の多孔度)、≧0.8の平均真球度、あるいは≧0.85又は≧0.9又は≧0.95と≦1.0の間の平均真球度を有すること、及び25μmから2mm、あるいは50μmから700μmの範囲の直径を含む。
造粒ステップ310から330において、スラリーが生成され、顆粒を生成するように処理される。スラリーの原材料は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、くぼみのあるダイヤモンド及びこれらの組合せを含めて、本明細書に開示されたダイヤモンド材料の何れか、ケイ素粒子、溶媒、及びバインダーを含み得る。バインダーは、さらなる処理ステップに適する流動特性又は噴霧特性を向上させ、同時にまた、焼結及びグリーン体生成を、これらの代わりとなるプロセスが、この方法において適用され得るので、促進するのに有用でもある、適切な何らかのバインダーであり得る。例えば、適切なバインダーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びパラフィンワックスなどからなる群から選択できる。溶媒は、水、エタノール、アセトン、又は様々なバインダー及びスラリー処理システムとの適合性で選択される他の溶媒であり得る。例示的なスラリー組成は、66重量%のダイヤモンド粒子、7.3重量%のケイ素粉末、1.5重量%のPVA 4−88、0.5重量%のPEG400、及び24.7重量%の水を含む;代わりに、バインダーの量及び分子量は変えることができる。スラリーのための原材料の構成比率は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変えることができる。
スラリーは、固化された顆粒を生成するように処理される。図4Aにおいて確認されるように、例としてのプロセス320は、液体窒素の中へのスラリーの噴霧であり、これは、噴霧体の液滴を凍結させて、凍結した顆粒を生成するであろう。このような凍結される液滴は、球状の顆粒を生成する傾向がある。球状の顆粒は、実質的に丸く、≧0.8の平均真球度を有する、あるいは≧0.85又は≧0.9又は≧0.95と≦1.0の間の平均真球度を有すると予想される。
回収された顆粒は、次いで、水又は他の揮発成分を除去するために処理される(330)。第1の例のプロセスにおいて、回収された顆粒から、水が、凍結乾燥プロセスによって除去される。
図4Bは、選び得る任意選択のプロセスを含む、第4の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するための別の方法の図示である。示された例示的方法350は、噴霧乾燥造粒プロセスであり、ダイヤモンド粒子、ケイ素粒子及びバインダーが、液体、例えば水と混合されてスラリーとされ(360)、造粒ステップ、例えばプロセス370を通して処理されて、さらなるプロセスAからEの何れか1つに使用される顆粒を生成する。顆粒の一般的特徴としては、多孔質体(約25%の多孔度)(一般に、これは、凍結造粒プロセスにより処理された同じ組成よりも低い多孔度を有することになる)、≧0.8の平均真球度、あるいは≧0.85又は≧0.9又は≧0.95と≦1.0の間の平均真球度を有すること、及び1μmから2mm、あるいは25μmから250μmの範囲の直径が含まれる。
造粒ステップ360から370において、スラリーが生成され、顆粒を生成するように処理される。スラリーの原材料は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、くぼみのあるダイヤモンド及びこれらの組合せを含めて、本明細書に開示されたダイヤモンド材料の何れか、ケイ素粒子、溶媒、及びバインダーを含み得る。バインダーは、さらなる処理ステップに適する流動特性又は噴霧特性を向上させ、同時にまた、焼結及びグリーン体生成を、これらの代わりとなるプロセスが、この方法において適用され得るので、促進するのに有用でもある、適切な何らかのバインダーであり得る。例えば、適切なバインダーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びワックスからなる群から選択され得る。溶媒は、水、エタノール、アセトン、又は様々なバインダー及びスラリー処理システムとの適合性で選択される他の溶媒であり得る。例示的なスラリー組成は、66重量%のダイヤモンド粒子、7.3重量%のケイ素粉末、1.5重量%のPVA 4−88、0.5重量%のPEG400、及び24.7重量%の水を含む。スラリーのための原材料の構成比率は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変わり得る。
スラリーは、固化された顆粒を生成するように処理される。図4Bにおいて確認されるように、例としてのプロセス360は、噴霧乾燥プロセスであり、スラリーを、加熱環境内に、例えば、約200℃(但し、温度は、蒸発される溶媒、及び、例えば固体担持量を含む他の多くの要因に応じて変わり得る)の入口温度に加熱された加熱チャンバ内に、噴霧することを含み、これは、スラリーの如何なる蒸発性成分及び液体も除去し、次いで、さらなる処理のために回収され得る顆粒を生成するであろう。揮発成分の例には、スラリーからの揮発成分、例えば、上で論じられた溶媒の何れかが含まれる。顆粒は球状の顆粒と成る傾向がある。球状の顆粒は、実質的に丸く、≧0.8の平均真球度を有する、あるいは≧0.85又は≧0.9又は≧0.95と≦1.0の間の平均真球度を有すると予想される。
プロセス330(図4A)及びプロセス370(図4B)による顆粒は、圧密化前プロセスへの投入物(又は供給原料)として使用できる。図4A及び4Bに示された例示的プロセスでは、独立に、又は組み合わせて使用できる、多数の圧密化前プロセス(プロセスAからプロセスE)がある。
プロセスA 400が図5に示されており、これは、第1の圧密化前プロセスを組み入れている。プロセスAでは、回収された顆粒は、不活性材料によりコーティングされ(410)、次いで、グリーン体へと処理される(420)。不活性材料によりコーティングすること(410)は、非反応性材料、金属の合金又は化合物によりコーティングすることを含み、コーティングは、それがなければ後の圧密化プロセスで起こるであろう反応による結合を抑制する又は妨げることができ、こうして生成物の砕けやすさを高めることができる。グリーン体を生成すること(420)は、回収された顆粒(並びに、何らかのコーティング、及び何らかの不活性材料とバインダー材料を含む追加の成分)を、例えば冷間等方圧加圧又は他の適切な成型技術を用い、所望の形状へと加圧することを含む。次いで、グリーン体は、例えば、バインダー材料を取り除くのに十分な時間、水素雰囲気中で450℃に加熱することによって、脱バインダー処理される(430)。脱バインダー処理されたグリーン体は、グリーン体の強度を向上させるために、2次的加熱プロセス440において、例えば1000℃から1500℃で、任意選択的にさらに加熱され得る。
圧密化前処理に続いて、材料は、圧密化処理に入る。例えば、圧密化プロセスは、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料から構成される緻密化成形体を生成するHPHTプロセス450を組み入れることができる。しかし、圧密化プロセスの前に使用される材料、技術及びプロセスが、HPHT後の緻密化成形体の砕けやすさを高める。こうして、緻密化成形体は、所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理すること(460)によって、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと、さらに処理できる。所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。典型的な所望の粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
プロセスB 500が、図6に示されており、これは、第2の圧密化前プロセスを組み入れている。プロセスBでは、回収された顆粒は、不活性材料でコーティングされ(510)、次いで、グリーン体へと処理される(520)。不活性材料によりコーティングすること(510)は、非反応性材料、金属の合金又は化合物でコーティングすることを含み、コーティングは、それがなければ後の圧密化プロセスで起こるであろう反応による結合を抑制する又は妨げることができる。グリーン体を生成すること(520)は、回収された顆粒及び何らかのコーティング(及び何らかの不活性材料とバインダー材料を含む追加の成分)を、例えば冷間等方圧加圧又は他の適切な成型技術を用い、所望の形状へと加圧することを含む。次いで、グリーン体は、例えば、バインダー材料を取り除くのに十分な時間、水素雰囲気中で450℃に加熱することによって、脱バインダー処理される(530)。脱バインダー処理されたグリーン体は、次いで、焼結プロセスに導入されて、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料が生成され(540)、次に、所望の粒子サイズの、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと機械的に処理され(550)、回収される。焼結プロセスの非限定的例の詳細は、0と75kbarの間(0から7.5GPa)の圧力、及び800℃と1600℃の間の温度で、最高温度での1と60分の間の滞留時間で、処理することを含む。1つの例示的プロセスは、30kbar(3GPa)、1500℃で、最高温度での15分の滞留時間で、行われ得る。焼結は、不活性又は還元性雰囲気で行われ得る。所望の粒子サイズ(D50に基づく)へと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。典型的な所望の粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
プロセスC 600が、図7に示されており、これは、第3の圧密化前プロセスを組み入れている。プロセスCでは、回収された顆粒は、グリーン体へと処理される(610)。顆粒は、プロセス330から回収でき、ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子の添加、及び任意選択的に、スラリー及び蒸発プロセスを通して処理されなかった不活性材料の添加を含むように処理できる。元々の混合物におけるように、添加される成分の種類及び量は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変わり得る。グリーン体を生成すること(610)は、回収された顆粒(並びに、何らかのコーティング、及び何らかの不活性材料とバインダー材料を含む追加の成分)を、例えば冷間等方圧加圧又は他の適切な成型技術を用い、所望の形状へと加圧することを含む。次いで、グリーン体は、例えば、バインダー材料を取り除くのに十分な時間、水素雰囲気中で450℃に加熱することによって、脱バインダー処理される(620)。脱バインダー処理されたグリーン体は、グリーン体の強度を向上させるために、2次的加熱プロセス630において、例えば1000℃から1500℃で、任意選択的にさらに加熱され得る。
圧密化前処理に続いて、材料は、圧密化処理に入る。例えば、圧密化プロセスは、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料から構成される緻密化成形体を生成するHPHTプロセス640を組み入れ得る。しかし、圧密化プロセスの前に使用される材料、技術及びプロセスが、HPHT後の緻密化成形体の砕けやすさを高める。こうして、緻密化成形体は、所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理すること(650)によって、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと、さらに処理できる。所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。典型的な所望の粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
プロセスD 700が、図8に示されており、これは、第4の圧密化前プロセスを組み入れている。プロセスDでは、回収された顆粒は、グリーン体へと処理される(710)。顆粒は、プロセス330から回収されたままで直接使用でき、さらには、ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子の添加、及び任意選択的に、スラリー及び蒸発プロセスを通して処理されなかった不活性材料の添加を含むように処理できる。元々の混合物におけるように、添加される成分の種類及び量は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変わり得る。グリーン体を生成すること(710)は、回収された顆粒(並びに、何らかのコーティング、及び何らかの不活性材料とバインダー材料を含む追加の成分)を、例えば冷間等方圧加圧又は他の適切な成型技術を用い、所望の形状へと加圧することを含む。次いで、グリーン体は、例えば、バインダー材料を取り除くのに十分な時間、水素雰囲気中で450℃に加熱することによって、脱バインダー処理される(720)。脱バインダー処理されたグリーン体は、次いで、焼結プロセスで処理されて、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を生成し(730)、次に、所望のD50サイズの、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと機械的に破壊され(740)、回収される。焼結プロセスの非限定的例の詳細は、0と75kbarの間(0から7.5GPa)の圧力、及び800℃と1600℃の間の温度で、最高温度での1と60分の間の滞留時間で、処理することを含む。1つの例示的プロセスは、30kbar(3GPa)、1500℃で、最高温度での15分の滞留時間で、行われ得る。焼結は、不活性又は還元性雰囲気で行われ得る。所望のD50サイズへと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。典型的な所望の粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
プロセスE 800が、図9に示されており、これは、第5の圧密化前プロセスを組み入れている。プロセスEでは、回収された顆粒は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を生成するために、焼結プロセス810において直接使用され、次いで(任意選択的に)、所望の粒子サイズの、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子へと機械的に処理され(820)、回収される。顆粒は、プロセス330から回収されたままで直接使用でき、さらには、ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子の添加、及び任意選択的に、スラリー及び蒸発プロセスを通して処理されなかった不活性材料の添加を含むことができる。元々の混合物におけるように、添加される成分の種類及び量は、製造される、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子の所望の組成を実現するために、本明細書に様々に開示されているように、変わり得る。焼結プロセスの非限定的例の詳細は、真空又は不活性若しくは還元性雰囲気下に、1450℃と1800℃の間の温度で、最高温度での1と120分の間の滞留時間で、処理することを含む。焼結は、不活性又は還元性雰囲気で行うことができる。所望の粒子サイズ(D50に基づく)へと緻密化成形体を機械的に処理する技術の非限定的例には、研削、ローラーミリング、ロール圧粉ミリング、ハンマーミリング、切削、圧粉ミリング、ジェットミリング及びボールミリングが含まれる。典型的な所望の粒子サイズ(D50に基づく)は、20から100ミクロン(μm)、あるいは、≧25μm又は≧30μm又は≧50μmから、≦40μm又は≦50μm又は≦70μm又は≦80μmの範囲にある。
ダイヤモンド粒子の表面を改質するための任意選択のプロセスが、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を生成する前、又はセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を生成した後の何れかに、開示された方法の何れかに組み入れられ得る。図10は、第5の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するためのさらなる方法の図示であり、この方法には、任意選択の表面改質プロセスが、追加の、又はさらなるプロセスとして含められる。
示された方法900において、1つの任意選択の表面改質プロセスは、ダイヤモンド粒子の表面モルホロジーを改質すること(910)である。ダイヤモンド粒子の表面モルホロジーを改質することは、プロセスAからEにおける第1プロセスステップの何れかにおけるように、顆粒を生成する又は処理する前に行うことができる。空気酸化又は黒鉛化方法が、表面改質を達成するために使用できる。例えば、顆粒を製造する方法は、ダイヤモンド粒子にナノスケール又はサブミクロンの表面テクスチャが生成されるように、複数のダイヤモンド粒子を、予め決められた温度、例えば約550℃から約900℃で、予め設定された雰囲気、例えば空気流又は酸素流で、処理するステップを含み得る。別の例では、ダイヤモンドは、無電解コーティング法により、ニッケル又はニッケル合金でコーティングされ得る。Ni又はNi合金の重量パーセントは、5%から60%まで変わり得る。コーティングされたダイヤモンドは、不活性雰囲気、又は2〜5%の水素と95〜98%の窒素を含むフォーミングガス流の下で、550℃から1000℃の温度範囲で、高温処理できる。熱処理の滞留時間は、ダイヤモンド表面が変換されて黒鉛に戻れるように、30分から10時間までであり得る。結果として、ダイヤモンドの表面モルホロジーは、戻し変換により改質でき、黒鉛を洗浄して除いた後、非常に粗い表面テクスチャが露出する。
具体的な例において、21.3ミクロンのD50を有するダイヤモンド粒子の表面酸化が、空気流(湿分含有量1%未満)で加熱環境において行われた。30グラムのダイヤモンド粒子が、10インチ×4インチのサイズの石英ルツボに投入され、ルツボの底面全体を一様に覆うように撒き散らされた。次いで、ルツボは、管状炉の中央に挿入された。炉の2つの端部は、入口及び出口ポートを一部として含むフランジを用い、シールされた。入口ポートは、プラスチック管によってガスボンベに連結され、出口ポートは、プラスチック管を用い、換気フードに連結された。調整装置が、空気の流れを制御するために、ガスボンベに装備された。空気流が、5PSIの圧力に予め調節され、実験全体の間、供給された。ヒーター制御ユニットの電源が入れられ、温度は、15℃/分の昇温速度で700℃に設定された。この実験での滞留時間は、1時間に管理された。ヒーター電源は、滞留時間の後、切られた。ダイヤモンド粒子は、100℃の温度まで、空気流の下で数時間、炉の中で放冷された。空気流が止められ、出口側のシールフランジが開けられ、ルツボが取り出された。ダイヤモンド粒子が、捕集され、秤量された。この実験で、重量損失は、10%ぐらいであった。酸化されたダイヤモンド粒子は、さらに、SEMを用いて特性評価された。表面酸化ダイヤモンド粒子のSEM写真が、図11Aに示され、表面酸化の前のダイヤモンド粒子のSEM写真が、図11Bに示されている。図11Aの表面酸化ダイヤモンド粒子の表面は、図11Bに見られる未処理ダイヤモンド粒子とは異なる表面テクスチャを有する。図11Aにおける表面酸化ダイヤモンド粒子の表面テクスチャは、ナノメートルスケール又はサブミクロンスケールである表面凹凸1000によって特徴付けられる。対照的に、図11Bに見られる未処理ダイヤモンド粒子における表面1010は、表面テクスチャを有さず、実質的に滑らかである。表面改質されたダイヤモンド粒子は、本発明のいくつかの実施態様において、顆粒に組み入れられた。ダイヤモンド粒子のための酸化方法に関連する例、技術及びパラメータは、米国特許出願第14/194086号に開示されており、その全内容は、出典明示によって本明細書に援用される。
例示された方法900において、顆粒は、(任意選択的に改質された)ダイヤモンド粒子及びケイ素を用い、生成される(920)。次いで、これらの顆粒は、HPHT条件下で処理されて、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料から構成される緻密化成形体が生成され(930)、次に、所望の粒子サイズへと機械的に処理される(940)。顆粒への処理、HPHT処理及び機械的処理は、このようなプロセスに対してプロセスAからEとして本明細書に開示された方法の何れかによることができる。
例示された方法900において、粒子がプロセスAからEの何れかにおけるような機械的処理ステップで生成された後、別の任意選択の表面改質プロセス950が、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子に行われ得る。この任意選択のプロセス950では、粒子の表面は、粒子の一部を優先的に溶かすか、さもなければ浸食して粒子の表面積又は多孔度を増加させる1種又は複数の化学品又は化学品溶液への暴露によってテクスチャを付与され得るが、これは、生成される粒子における増加した表面積又は多孔度により、切削点の数が増加し、粒子に攻撃的な切削特性をもたせるという点で有益である。リーチングは、この任意選択の表面改質プロセス950の例である。適切なリーチングプロセスの例は、1種又は複数の酸、例えば硫酸及び硝酸を含む溶液に、あるいは、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリム又はこれらの混合物のような苛性溶液に、粒子の一部又は全体を、接触させること、又は沈めることを含む。40から100ミクロンの平均直径を有する、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子では、粒子は、室温で72時間まで(あるいは、高い温度及び/又は圧力では、より短い時間)、リーチング溶液に沈められ得る。
例えば、未反応ケイ素(又は他の活性材料)及び未反応カーボンは、リーチングプロセスにおいて溶かされ得るので、結果として、表面にミクロ孔を生じる。1:1の混合比を有する、硫酸と硝酸の溶液では、リーチングは、室温で72時間まで行われ得る。同じ溶液で、200℃の高温では、リーチングは、約1〜5時間を要し得る。水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムの何れか、又は1:1の比のこれらの両方(これは、溶融苛性混合物である)では、リーチングは、300℃の温度で、約1時間未満で行われ得る。ダイヤモンドコンポジット粒子の回収は、残留する酸又は苛性化学品を除去するために、脱イオン水で何回も洗うことを含み得る。
任意選択のコーティングステップは、開示された方法の何れにも組み入れることができる。図12は、第6の態様による、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を製造するためのさらに別の方法1100の図示であり、この方法では、プロセスAからEとして本明細書に開示された方法の何れか1つで、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を生成した後(例えば、所望の粒子サイズへと緻密化成形体を機械的に処理する、又は、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット材料を所望の粒子サイズへと機械的に処理し(1100)、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子から不活性材料を分離すること(1120)によってセラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子を回収するステップの後)、任意選択のコーティングプロセス1130が、さらなるプロセスとして含められる。コーティングは、金属の合金又は化合物であり得る。例えば、Ni、Cr、Cu、Ti、Agのような金属、さらには、それらの合金が、メタルボンド又はレジンボンドホイールのためのダイヤモンドコンポジット粒子にコーティングされ得る。TiC、又はSiCのような金属化合物が、メタルボンド又はガラスボンドホイール用途のためのダイヤモンドコンポジット粒子にコーティングされ得る。これらのコーティングは、ボンドマトリックスにおける粒子の保持を向上させ、結果としてホイール寿命が延長される。
本明細書に開示された方法の各々において、緻密化成形体が所望の粒子サイズへと機械的に破壊された後、不活性材料が分離され、結果として得られる、セラミック結合ダイヤモンドコンポジット粒子は、さらなる使用のために、例えば、特に高い熱安定性が望ましい場合の摩耗用途のための製品の製造における、さらなる使用のために、捕集され得る。このような製品の例には、研削ホイール、鋸刃、ダイシングブレード、ラッピングコンパウンド、ポリッシングポンパウンドが含まれる。
原材料、特に、圧密化プロセスに存在する原材料が、HPHT処理条件下でダイヤモンド−ダイヤモンドの結合を促進することが知られているコバルト又は他の耐火金属を含むことは意図されていないことに留意すべきである。さらに、ダイヤモンド−ダイヤモンド結合は、反応により結合した炭化ケイ素より相対的に強固であり、その結果、それとは違って砕けやすい、反応により結合した炭化ケイ素よりも損なわれないままでいる可能性が高いと推定される。
緻密化成形体の砕けやすさへの、不活性材料及び開示された処理の寄与の定量的評価は、緻密化成形体の抗折力(TRS)(力/単位面積に基づいて報告される)の測定に基づいて決定できる。プロセス100、200及びA〜Eの各々による成形体が、本明細書に開示されたように製造された。TRSは、Instron 5800R万能試験機、及び、長さ30mm×高さ3mm×幅4mmある試験バー(緻密化成形体から準備された)について、室温で行われた3点曲げ試験を用い、2.54mm/分のクロスヘッド移動速度、及び20mmの試験取り付け具スパンを用い、測定され、荷重 vs.クロスヘッド変位が記録された。荷重−変位曲線の最高点が、次の関係式によってTRSを計算するために用いられた。
ここで、P=最大荷重であり、Iは試験取り付け具スパンであり、hは、試験バーの高さであり、またbは、試験バーの幅である。本明細書に開示された様々なプロセスに対するTRS値が、表1に報告されている。
表1-指定されたプロセスで製造された緻密化成形体の平均抗折力(TRS)(±1の標準偏差)
ダイヤモンドコンポジット粒子の靭性は、標準的な砕けやすさ試験によって評価された時、研磨性能における1つの因子であり得る。砕けやすさ試験は、ある量の製品を、制御された条件下にボールミリングを行うこと、及び、残留物を篩にかけて、製品の粒子サイズの低下を評価すること、を含む。靭性指数(TI)は、室温で測定され、100のスコアは、結晶の最高の靭性である。多くの場合に、結晶の靭性が大きくなると、研削又は機械加工又はダイシングの道具における結晶の寿命は長くなり、その結果、道具の寿命が長くなる。これは、より少ない道具の摩耗に、そして結局は、より小さい総合的道具コストにつながる。
セラミックダイヤモンドコンポジット粒子は、「Standard Specification for Wire Cloth and Sieves for Testing Purposes」という表題のASTM規定EI 1−09に従って、サイズによって等級化され得る。表2は、メッシュサイズ40/50(400ミクロンのD50)からメッシュサイズ400/500(35ミクロンのD50)のサイズ範囲における、セラミックダイヤモンドコンポジット粒子の靭性指数データを列挙する。セラミックダイヤモンドコンポジット粒子は、各欄のヘッダーに示された、本明細書に開示された様々なプロセスによって製造された。こうして、例えば、プロセス100により製造されたセラミックダイヤモンドコンポジット粒子は、不活性材料を含まない、HPHT焼結コンポジットブランクを破砕及びミリングし、それに続いて、様々なメッシュサイズへと篩い分けることによって、製造された。プロセス100によって製造されたダイヤモンドコンポジット粒子は、95までの靭性指数値を有し、それらが、本明細書に記載された他の方法の間で、最も靭性が高いことを示している。
表2-様々なメッシュサイズの、ミリングされたダイヤモンドコンポジット粒子の靭性指数(TI)
本発明が、その好ましい実施態様に関連付けて説明されたが、明確には記載されていない追加、削除、改変、及び置換が、添付の請求項において定められる本発明の精神及び範囲から逸脱することなく成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。