JP2022153979A - チクソ成形用材料、チクソ成形用材料の製造方法およびチクソ成形体 - Google Patents

チクソ成形用材料、チクソ成形用材料の製造方法およびチクソ成形体 Download PDF

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Ikuya Maeda
保利 秀嶋
Yasutoshi Hideshima
節也 岩下
Setsuya Iwashita
駿介 内薗
Shunsuke Uchizono
公一 尾崎
Koichi Ozaki
忠生 福田
Tadao Fukuda
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Abstract

Figure 2022153979000001
【課題】高い剛性を有するチクソ成形体、ならびに、かかるチクソ成形体を製造可能なチクソ成形用材料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】Mgを主成分とする金属体と、バインダーを介して前記金属体の表面に付着し、Siを主成分とするSi粒子を含む被覆部と、を有し、前記Si粒子の平均粒径が1μm以上100μm以下であり、前記金属体と前記Si粒子との合計質量における前記Si粒子の質量分率が1.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とするチクソ成形用材料。また、前記バインダーは、ワックス類を含むことが好ましい。さらに、前記バインダーの含有率は、0.001質量%以上0.200質量%以下であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、チクソ成形用材料、チクソ成形用材料の製造方法およびチクソ成形体に関するものである。
マグネシウムは、比重が小さく、かつ、電磁波シールド性、振動の減衰能、切削性、生体安全性がそれぞれ良好であるという性質を有する。このような背景から、自動車、航空機、携帯電話、ノートパソコンといった製品にマグネシウム合金製の部品が使用され始めている。
マグネシウム製の部品を製造する方法として、チクソ成形法が知られている。チクソ成形法は、ペレット状またはチップ状の材料をシリンダー内で加熱して液相と固相が共存した固液共存状態にした後、スクリューの回転によってチクソ性を発現させ、得られた半凝固物を金型に注入する成形法である。このようなチクソ成形法によれば、加熱とせん断とによって半凝固物の流動性が高められているため、ダイカスト法と比較して、薄肉な部品や複雑な形状の部品を成形できる。
例えば、特許文献1には、マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む金属基材に、少なくとも2体積%のMgSi相が組み込まれた金属基材複合材料であって、チクソ成形によって鋳造体を製造するための材料が開示されている。具体的には、マグネシウムまたはマグネシウム合金の顆粒と、ケイ素またはケイ素合金の顆粒と、をチクソ成形工程に導き、せん断下において凝固させる。これにより、鋳造体の高温特性を改良することができる。
特表2007-510545号公報
特許文献1に記載の方法では、鋳造体を製造するとき、マグネシウム等の顆粒およびケイ素等の顆粒を、直接、チクソ成形工程に投入する。このため、加熱されたシリンダー内でスクリューによってせん断力を付与する際に、顆粒同士を均一に混合する必要がある。しかしながら、スクリューによる混合のみでは、顆粒の比重差による分離や混合時間が不十分であるために、均一に混ざり合わず、混合物中にはケイ素またはケイ素合金の偏析が生じやすい。このような偏析が生じると、鋳造体の特性を十分に改良することができない。
本発明の適用例に係るチクソ成形用材料は、
Mgを主成分とする金属体と、
バインダーを介して前記金属体の表面に付着し、Siを主成分とするSi粒子を含む被覆部と、
を有し、
前記Si粒子の平均粒径が1μm以上100μm以下であり、
前記金属体と前記Si粒子との合計質量における前記Si粒子の質量分率が1.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とする。
本発明の適用例に係るチクソ成形用材料の製造方法は、
Mgを主成分とする金属体と、Siを主成分とするSi粒子と、バインダーと、溶媒と、を含む混合物を準備する準備工程と、
前記混合物を撹拌する撹拌工程と、
撹拌した前記混合物を加熱して、前記混合物に含まれる前記バインダーの少なくとも一部を除去してチクソ成形用材料を得る脱脂工程と、
を有し、
前記金属体と前記Si粒子との合計質量における前記Si粒子の質量分率が1.0質量%以上30.0質量%以下であり、
前記チクソ成形用材料における前記バインダーの含有率が0.001質量%以上0.200質量%以下であることを特徴とする。
本発明の適用例に係るチクソ成形体は、
Mgを主成分とするマトリックス部と、
前記マトリックス部内に分散し、MgSiを主成分とする粒子部と、
を有し、
前記粒子部の最大粒径が1.0μm以上50.0μm以下であり、
断面を観察し、表面を起点とする500μm角の範囲における前記粒子部の面積分率をAs[%]とし、前記表面からの深さが1mmの点を中心とする500μm角の範囲における前記粒子部の面積分率をAc[%]としたとき、|As-Ac|/Acが30.0%以下であることを特徴とする。
チクソ成形法に用いられる射出成形機の一例を示す断面図である。 実施形態に係るチクソ成形用材料を模式的に示す断面図である。 実施形態に係るチクソ成形用材料の製造方法を説明するための工程図である。 実施形態に係るチクソ成形体を模式的に示す部分断面図である。 実施形態に係るチクソ成形体について取得されたX線回折パターンの一例である。 実施例に相当するチクソ成形体の切断面を光学顕微鏡で観察したときの観察像である。
以下、本発明のチクソ成形用材料、チクソ成形用材料の製造方法およびチクソ成形体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.チクソ成形法
まず、実施形態に係るチクソ成形用材料が用いられるチクソ成形法について説明する。
チクソ成形法は、ペレット状またはチップ状の材料をシリンダー内で加熱して液相と固相が共存した固液共存状態にした後、スクリューの回転によってチクソ性を発現させ、得られた半凝固物を金型に注入する成形法である。このようなチクソ成形法によれば、加熱とせん断とによって半凝固物の流動性が高められているため、例えばダイカスト法と比較して、薄肉な部品や複雑な形状の部品を成形できる。
図1は、チクソ成形法に用いられる射出成形機の一例を示す断面図である。
図1に示したように、射出成形機1は、金型2と、ホッパー5と、加熱シリンダー7と、スクリュー8と、ノズル9と、を備える。金型2は、キャビティーCvを形成する。ホッパー5にチクソ成形用材料10が投入されると、チクソ成形用材料10は加熱シリンダー7へ供給される。加熱シリンダー7に供給されたチクソ成形用材料10は、ヒーター6によって加熱されながらスクリュー8によってせん断されつつ移送される。これにより、チクソ成形用材料10は半溶融し、スラリー化する。得られたスラリーは、ノズル9を介して、大気に触れることなく、金型2内のキャビティーCvへ射出される。そして、キャビティーCvに射出されたスラリーを冷却することにより、チクソ成形体が得られる。
なお、ホッパー5には、チクソ成形用材料10とともに、それ以外の材料が投入されてもよい。
2.チクソ成形用材料
次に、実施形態に係るチクソ成形用材料について説明する。
図2は、実施形態に係るチクソ成形用材料を模式的に示す断面図である。
図2に示すチクソ成形用材料10は、チクソ成形法に用いられる原料であって、チップ状をなす金属体11と、金属体11の表面に付着する被覆部12と、金属体11と被覆部12とを接着するバインダーを含む接着部13と、を有する。
2.1.金属体
金属体11は、例えば、鋳型等で鋳込みされたMg基合金を、切削または切断等することによって得られる切片である。なお、金属体11の製造方法は、これに限定されない。
金属体11は、Mgを主成分とし、種々の添加成分を含んでいる。添加成分としては、例えば、リチウム、ベリリウム、カルシウム、アルミニウム、シリコン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、希土類元素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。希土類元素としては、例えばセリウムが挙げられる。
主成分とは、金属体11において最も含有率が高い元素のことをいう。主成分の含有率は、50質量%超であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがさらに好ましい。
添加成分は、アルミニウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。これにより、金属体11の融点が低下し、スラリーの流動性が向上する。その結果、チクソ成形用材料10の成形性を高めることができる。
また、添加成分は、アルミニウムおよび亜鉛以外に、マンガン、イットリウム、ストロンチウムおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。これにより、チクソ成形体の機械的特性、耐食性、耐摩耗性および熱伝導率を高めることができる。
添加成分は、金属体11において、単体、合金、酸化物、金属間化合物等の状態で存在し得る。また、添加成分は、金属体11中において、MgまたはMg合金等の金属組織の結晶粒界に偏析していてもよいし、均一に分散していてもよい。
チクソ成形用材料10の平均粒径は、特に限定されないが、0.5mm以上であるのが好ましく、1.5mm以上10mm以下であるのがより好ましい。平均粒径を前記範囲内に設定することで、射出成形機1の加熱シリンダー7内におけるブリッジ等の発生を抑制することができる。
チクソ成形用材料10の平均粒径は、チクソ成形用材料10の投影面積と同じ面積を持つ円の直径の平均値である。平均値は、無作為に選択した100個以上のチクソ成形用材料10から算出される。
チクソ成形用材料10の平均アスペクト比は、5.0以下であるのが好ましく、4.0以下であるのがより好ましい。このような平均アスペクト比を有するチクソ成形用材料10は、加熱シリンダー7内における充填性を高めるとともに、加熱時の温度均一性が良好になる。その結果、機械的特性が高く、かつ、寸法精度の高いチクソ成形体が得られる。
なお、チクソ成形用材料10の平均アスペクト比は、チクソ成形用材料10の投影像において、長径/短径により算出されるアスペクト比の平均値である。平均値は、無作為に選択した100個以上のチクソ成形用材料10から算出される。また、長径とは、投影像においてとり得る最大長さであり、短径とは、その最大長さに直交する方向の最大長さである。
2.2.被覆部
被覆部12は、Siを主成分とするSi粒子14を含む。具体的には、例えば、複数のSi粒子14が金属体11の表面に付着することで、被覆部12が構成されている。
被覆部12は、金属体11の表面全体を覆っているのが好ましいが、表面の一部を覆っていてもよい。
Si粒子14は、シリコンを主成分とする粒子であれば、特に限定されず、アモルファスSiを主成分とする粒子であっても、結晶Siを主成分とする粒子であってもよい。
Si粒子14の平均粒径は、1μm以上100μm以下とされ、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、2μm以上15μm以下であるのがより好ましい。Si粒子14の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、被覆部12の被覆率とチクソ成形用材料10におけるSi含有率とのバランスを最適化することができる。また、Si粒子14を金属体11の表面に付着させたとき、Si粒子14が脱落しにくくなる。
なお、Si粒子14の平均粒径が前記下限値を下回ると、Si粒子14が分散しにくくなるため、前述したバランスが悪化するおそれがある。一方、Si粒子14の平均粒径が前記上限値を上回ると、Si粒子14が脱落しやすくなるおそれがある。
チクソ成形用材料10のうち、金属体11とSi粒子14との合計質量におけるSi粒子14の質量分率は、1.0質量%以上30.0質量%以下とされるが、好ましくは1.5質量%以上25.0質量%以下とされ、より好ましくは5.0質量%以上20.0質量%以下とされる。Si粒子14の質量分率を前記範囲内に設定することにより、製造されるチクソ成形体の機械的強度が大きく低下するのを抑制しつつ、チクソ成形用材料10の成形性が低下するのを抑制することができる。
なお、Si粒子14の質量分率が前記下限値を下回ると、チクソ成形体の機械的強度を十分に高めることができないおそれがある。一方、Si粒子14の質量分率が前記上限値を上回ると、チクソ成形用材料10の成形性が低下するおそれがある。
被覆部12は、Si粒子14以外の物質を含んでいてもよい。その場合、Si粒子14以外の物質の含有量は、質量比でSi粒子14の含有量未満であればよい。
また、Si粒子14は、Si以外の元素を含んでいてもよい。その場合、Si以外の元素の含有量は、質量比でSiの含有量未満であればよい。
2.3.接着部
接着部13は、金属体11とSi粒子14との間またはSi粒子14同士の間に介在する。
接着部13は、バインダーを含む。バインダーには、金属体11と被覆部12とを結着させる有機材料が用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、ワックス類、アルコール類、高級脂肪酸、脂肪酸金属、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤、シリコーン系滑剤等が用いられる。また、バインダーは、これらの成分の少なくとも1種と他の成分とを含む混合物であってもよいし、これらの成分を2種以上含む混合物であってもよい。
このうち、バインダーは、ワックス類を含むことが好ましく、パラフィンワックスまたはその誘導体を含むことがより好ましい。ワックス類は良好な結着性を有し、金属体11とSi粒子14との間やSi粒子14同士の間を強く結合させることができ、また、脱脂条件と組み合わせることにより、成形中のガスの発生を少なく抑え得るチクソ成形用材料を実現できる。
ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられる。
以上のように、実施形態に係るチクソ成形用材料10は、金属体11と、被覆部12と、を有する。金属体11は、Mgを主成分とする。被覆部12は、バインダーを介して金属体11の表面に付着し、Siを主成分とするSi粒子14を含む。このSi粒子14の平均粒径は、1μm以上100μm以下である。また、金属体11とSi粒子14との合計質量におけるSi粒子14の質量分率が、1.0質量%以上30.0質量%以下である。
このようなチクソ成形用材料10を用いて、チクソ成形を行うことにより、半溶融状態になったとき、Siを均一に分散させることができる。これにより、チクソ成形では、凝固の過程で初晶MgSiが均一に分散しつつ析出する。その結果、高い剛性を有するチクソ成形体が得られる。
また、チクソ成形用材料10には、上述した金属体11、被覆部12および接着部13以外の添加物を含んでいてもよい。添加物としては、例えば、カップリング剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、防錆剤、防腐剤、防かび剤等が挙げられる。
3.チクソ成形用材料の製造方法
次に、上述したチクソ成形用材料10を製造する方法について説明する。
図3は、実施形態に係るチクソ成形用材料の製造方法を説明するための工程図である。
図3に示すチクソ成形用材料10の製造方法は、準備工程S102と、乾燥工程S104と、撹拌工程S106と、脱脂工程S108と、を有する。
3.1.準備工程
準備工程S102では、金属体11と、Si粒子14と、バインダーと、溶媒と、を含む混合物を準備する。金属体11は、前述した金属体11と同様である。また、Si粒子14は、前述したSi粒子14と同様である。
溶媒は、バインダーを分散させる液体であれば、特に限定されない。溶媒の例としては、水、イソプロパノール、アセトン等が挙げられる。混合には、混合機、混練機等が用いられる。なお、本工程は、あらかじめ作製された混合物を用意する工程であってもよい。
混合物におけるバインダーの含有量は、特に限定されないが、1.0質量%以上30.0質量%以下であるのが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であるのがさらに好ましい。バインダーの含有量を前記範囲内に設定することにより、バインダーによる分散作用に基づいて、Si粒子14を均一に分散させることができる。
なお、バインダーの含有量が前記下限値を下回ると、バインダーの量が不足し、Si粒子14を金属体11に均一に接着させにくくなり、また、Si粒子14を均一に分散させにくくなるおそれがある。一方、バインダーの含有量が前記上限値を上回ると、バインダーの量が過剰になり、金属体11に接着されなかったSi粒子14が凝集しやすくなったり、後述する脱脂工程S108で、バインダー残渣量が増加し、加熱シリンダー内で多量のガスが発生することで、チクソ成形体に内部欠陥が生じやすくなったりするおそれがある。
溶媒の温度は、必要に応じて、バインダーの融点以上に設定するのが好ましい。これにより、バインダーが溶媒に溶解しやすくなる。その結果、バインダーをより均一に分散させることができる。溶媒の温度は、バインダーの融点より10℃以上高く設定されるのが好ましく、20℃以上50℃以下高く設定されるのがより好ましい。
この場合、前述した混合物を容器に入れ、容器全体を外側からホットバス等を用いて加熱するようにすればよい。
用いられるバインダーの融点は、特に限定されないが、40℃以上80℃以下であるのが好ましく、43℃以上65℃以下であるのがより好ましく、45℃以上60℃以下であるのがさらに好ましい。バインダーの融点が前記範囲内であれば、短時間に効率よくバインダーを溶融させることができる。また、バインダーの融点が前記範囲内であれば、製造されるチクソ成形用材料10が、チクソ成形において良好な潤滑性を有し、スラリーの湯流れ性を高め得るものとなる。
3.2.乾燥工程
乾燥工程S104では、混合物を乾燥させる。これにより、金属体11の表面にバインダーを介してSi粒子14を付着させるとともに溶媒を揮発させ、乾燥体を得る。また、本実施形態では、バインダーを用いてSi粒子14を分散させているので、金属体11の表面には、均一な厚さでSi粒子14を付着させることができる。
乾燥には、混合物を加熱する方法、混合物をガスに曝す方法等が用いられる。このうち、混合物を加熱する場合には、例えば、ホットバス等を用いて混合物を入れた容器全体を加熱すればよい。なお、乾燥工程S104では、混合物中の全ての溶媒を除去してもよいが、一部の溶媒が除去されずに残ってもよい。
混合物を加熱する場合の温度は、溶媒が揮発するとともにバインダーが軟化する温度以上であればよいが、具体的には、溶媒の組成に応じて設定され、40℃以上120℃以下であるのが好ましく、50℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、金属体11の表面に付着させたSi粒子14が脱落するのを抑制しつつ、溶媒を揮発させ、除去することができる。
また、混合物を加熱する時間は、加熱する温度に応じて適宜設定されるが、一例として、10分以上300分以下であるのが好ましく、20分以上200分以下であるのがより好ましい。
なお、乾燥工程S104は、必要に応じて行えばよく、省略されていてもよいし、乾燥工程S104および撹拌工程S106を同時に行うようにしてもよい。
3.3.撹拌工程
撹拌工程S106では、混合物を撹拌する。乾燥工程を行った場合には、乾燥させた混合物を撹拌する。撹拌は、撹拌棒や撹拌子等を用いる方法、混合物を収容した容器に蓋をした状態で振とうする方法等が用いられる。このような撹拌により、バインダーを介して金属体11の表面にSi粒子14を付着させることができる。なお、Si粒子14の一部は、バインダーを介することなく、金属体11の表面に直接付着してもよい。また、撹拌により、金属体11同士が凝集して塊になるのを抑制することができる。
なお、撹拌工程S106の後、必要に応じて、乾燥工程S104および撹拌工程S106を繰り返し行うようにしてもよい。これにより、Si粒子14の付着が繰り返されるため、金属体11の表面にSi粒子14を多層的に付着させることができる。その結果、より多くのSi粒子14を金属体11の表面に付着させることができる。繰り返しの回数は、特に限定されないが、例えば2回以上10回以下とされる。この場合も、乾燥工程S104および撹拌工程S106を同時に行うようにしてもよい。
3.4.脱脂工程
脱脂工程S108では、撹拌した混合物に脱脂処理を施す。これにより、チクソ成形用材料10が得られる。脱脂処理としては、例えば、混合物を加熱する方法、バインダーを分解するガスに混合物を曝す方法等が挙げられる。これにより、混合物中に含まれているバインダーの少なくとも一部を除去することができる。その結果、加熱シリンダー7内に多量のバインダーが移送されるのを防止して、加熱シリンダー7内に多量のガスが発生するのを抑制することができる。
脱脂処理における混合物の加熱温度は、バインダーを熱分解する温度であれば特に限定されないが、200℃以上500℃以下であるのが好ましく、250℃以上450℃以下であるのがより好ましい。加熱温度を前記範囲内に設定することにより、脱脂処理に伴う金属体11への悪影響を抑えつつ、バインダーを適度に除去することができる。
なお、加熱温度が前記下限値を下回ると、除去されないバインダーが多量に残り、加熱シリンダー7内で多量のガスが発生するおそれがある。一方、加熱温度が前記上限値を上回ると、金属体11に対して熱による悪影響が発生したり、バインダーが全て除去されてしまい、金属体11からSi粒子14が脱落したりするおそれがある。
脱脂処理における混合物の加熱時間は、特に限定されず、例えば5分以上であればよいが、1時間以上100時間以下であるのが好ましく、10時間以上50時間以下であるのがより好ましい。これにより、脱脂処理に伴う金属体11への悪影響を抑えつつ、バインダーを適度に除去することができる。
脱脂後のバインダーの量、すなわち、チクソ成形用材料10におけるバインダーの含有率は、0.001質量%以上0.200質量%以下であるのが好ましく、0.010質量%以上0.100質量%以下であるのがより好ましく、0.015質量%以上0.040質量%以下であるのがさらに好ましい。チクソ成形用材料10におけるバインダーの含有率を前記範囲内に設定することにより、接着部13による被覆部12の接着性を確保しつつ、加熱シリンダー7内で熱分解するバインダーの量が必要以上に多くなるのを防止することができる。
なお、バインダーの含有率が前記下限値を下回ると、バインダーの量が不足し、被覆部12が脱落しやすくなるおそれがある。一方、バインダーの含有率が前記上限値を上回ると、バインダーの量が過剰になり、加熱シリンダー7内で多量の分解ガスが発生し、チクソ成形体内に空隙が生じやすくなるおそれがある。
以上のように、本実施形態に係るチクソ成形用材料10の製造方法は、準備工程S102と、撹拌工程S106と、脱脂工程S108と、を有する。準備工程S102では、Mgを主成分とする金属体11と、Siを主成分とするSi粒子14と、バインダーと、溶媒と、を含む混合物を準備する。撹拌工程S106では、混合物を撹拌する。脱脂工程S108では、撹拌した混合物を加熱して、混合物に含まれるバインダーの少なくとも一部を除去して、チクソ成形用材料10を得る。そして、金属体11とSi粒子14との合計質量におけるSi粒子14の質量分率は、1.0質量%以上30.0質量%以下である。また、チクソ成形用材料10におけるバインダーの含有率は、0.001質量%以上0.200質量%以下である。
このような構成によれば、Si粒子14の量が多くても、バインダーを介して金属体11の表面にSi粒子14を付着させることができるので、加熱シリンダー7内でSi粒子14を均一に分散させることができる。これにより、MgとSiとの反応機会が均等に確保され、凝固の過程で初晶MgSiが均一に分散しつつ析出したチクソ成形体を製造することができる。その結果、高い剛性を有するチクソ成形体が得られる。
なお、チクソ成形用材料10は、必ずしも、この製造方法で製造されたものでなくてもよい。つまり、チクソ成形用材料10は、例えば脱脂工程S108を経ないで製造されたものであってもよい。
4.チクソ成形体
次に、実施形態に係るチクソ成形体について説明する。
図4は、実施形態に係るチクソ成形体を模式的に示す部分断面図である。
図4に示すチクソ成形体100は、チクソ成形法により得られた成形体であって、マトリックス部200と、粒子部300と、を有する。マトリックス部200は、主にチクソ成形用材料10の金属体11に由来する部位であり、Mgを主成分とする。粒子部300は、主にチクソ成形用材料10の被覆部12とMgとの反応物に由来する部位であり、MgSiを主成分とする。
図4に示すように、チクソ成形体100の断面を見たとき、マトリックス部200が占める面積は、粒子部300が占める面積より大きい。したがって、粒子部300は、マトリックス部200内に分散した状態になっている。また、粒子部300は、その最大粒径が1.0μm以上50.0μm以下である。
また、図4では、チクソ成形体100の表面101を起点とする500μm角の範囲A1と、表面101から深さ1mmの点を中心とする500μm角の範囲A2と、を図示している。範囲A1における粒子部300の面積分率をAs[%]とし、範囲A2における粒子部300の面積分率をAc[%]としたとき、本実施形態に係るチクソ成形体100では、|As-Ac|/Acが30.0%以下である。
このようなチクソ成形体100では、表面101の近傍に位置する範囲A1と、それより深い位置にある範囲A2とで、粒子部300の占有面積の差が小さく抑えられている。すなわち、チクソ成形体100では、粒子部300の偏在が抑えられている。粒子部300は、MgSiを主成分とし、剛性が高い部位である。したがって、このようなチクソ成形体100は、高い剛性を有するものとなる。また、粒子部300の最大粒径は、前記範囲内に収まっている。このため、粒子部300が大きすぎることによる機械的強度の低下も抑えられている。
なお、粒子部300の最大粒径は、1.0μm以上50.0μm以下とされるが、好ましくは3.0μm以上30.0μm以下とされ、より好ましくは5.0μm以上20.0μm以下とされる。
また、|As-Ac|/Acは、30.0%以下とされるが、好ましくは25.0%以下とされ、より好ましくは20.0%以下とされる。
範囲A1における粒子部300の面積分率Asは、次のようにして算出される。まず、範囲A1の観察像において、画像処理により、粒子部300の面積を算出する。画像処理には、例えば画像解析ソフトウエアOLYMPUS Stream等を用いることができる。また、観察像の拡大倍率は、300倍以上であるのが好ましい。次に、範囲A1の全面積に対する、粒子部300の面積の割合を算出する。この割合が、面積分率Asとなる。なお、範囲A1は、1辺が500μmの正方形をなす範囲であり、その少なくとも一部が表面101に接していればよい。
範囲A2における粒子部300の面積分率Acも、面積分率Asと同様に算出される。
なお、範囲A2は、1辺が500μmの正方形をなす範囲であり、その中心点Oが表面101から深さ1mmの点である。また、チクソ成形体100の断面において、深さ方向の長さが2mm未満である場合には、深さ方向の長さの中間点を、前記中心点Oとみなすことができる。
面積分率Asおよび面積分率Acは、それぞれ、チクソ成形体100におけるSiの含有率によって決まるが、5%以上55%以下であるのが好ましく、20%以上50%以下であるのがより好ましく、30%以上45%以下であるのがさらに好ましい。これにより、チクソ成形体100は、特に高い剛性を有するものとなる。
また、粒子部300の最大粒径は、次のようにして算出される。まず、範囲A1および範囲A2において、含まれている粒子部300の粒径を全て計測する。粒子部300の粒径とは、粒子部300の観察像における、長軸の長さと、短軸の長さと、の中間値である。このようにして算出した粒径のうちの最大値が、粒子部300の最大粒径となる。
さらに、粒子部300の平均粒径は、0.5μm以上10.0μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上5.0μm以下であるのがより好ましい。粒子部300の平均粒径が前記範囲内であれば、粒子部300が全体として小径であることから、粒子部300が亀裂等の起点になりにくくなる。これにより、チクソ成形体100の剛性に加え、曲げ強さ、引張強さ等の機械的強度を高めることができる。
粒子部300の平均粒径は、範囲A1および範囲A2において、含まれている粒子部300の粒径を全て測定したとき、粒子部300の粒径の平均値である。
チクソ成形体100におけるSiの含有率は、好ましくは1.0質量%以上30.0質量%以下とされ、より好ましくは1.5質量%25.0質量%以下とされ、さらに好ましくは5.0質量%以上20.0質量%以下とされる。これにより、チクソ成形体100は、特に高い剛性を有するものとなる。
なお、Siの含有率の測定には、例えば、JIS G 1257:2000に規定された鉄及び鋼-原子吸光分析法、JIS G 1258:2007に規定された鉄及び鋼-ICP発光分光分析法、JIS G 1253:2002に規定された鉄及び鋼-スパーク放電発光分光分析法、JIS G 1256:1997に規定された鉄及び鋼-蛍光X線分析法、JIS G 1211~G 1237に規定された重量・滴定・吸光光度法等が挙げられる。
また、粒子部300の平均アスペクト比は、3.0以下であるのが好ましく、2.5以下であるのがより好ましく、2.0以下であるのがさらに好ましい。粒子部300の平均アスペクト比が前記範囲内であれば、粒子部300の構造の異方性が小さくなる。このため、チクソ成形体100の剛性を等方的に高めることができる。
なお、粒子部300の平均アスペクト比は、次のようにして算出される。まず、範囲A1および範囲A2において、含まれている粒子部300の長軸の長さおよび短軸の長さをそれぞれ求める。次に、短軸の長さに対する長軸の長さの比を「アスペクト比」とする。このようにして算出したアスペクト比の平均値が、粒子部300の平均アスペクト比となる。
また、チクソ成形体100の引張強さは、100MPa以上350MPa以下であることが好ましく、150MPa以上300MPa以下であることがより好ましい。さらに、チクソ成形体100のヤング率は、44GPa以上80GPa以下であることが好ましく、50GPa以上80GPa以下であることがより好ましい。
引張強さおよびヤング率が前記範囲内であるチクソ成形体100は、比強度および比剛性が特に高いものとなる。このようなチクソ成形体100は、軽量であり、かつ、高強度であるため、例えば、自動車、航空機等の輸送機器に用いられる部品、携帯端末、ノートパソコン等のモバイル機器に用いられる部品等に、好適である。
チクソ成形体100の引張強さは、次のようにして計測される。まず、チクソ成形体100から試験片を削り出す。試験片としては、例えば、JISに規定されている13号試験片等が挙げられる。次に、試験片を引張試験機に取り付け、25℃において試験片に加わった最大の力に対応する応力を算出する。得られた応力を、チクソ成形体100の引張強さとする。
また、チクソ成形体100のヤング率は、次のようにして計測される。まず、チクソ成形体100から試験片を削り出す。次に、試験片を引張試験機に取り付け、25℃において試験片に引張荷重を加える。次に、引張荷重を変動させたときの引張ひずみの変化量、および、引張荷重を変動させたときの引張応力の変化量、をそれぞれ算出する。そして、前者の変化量に対する後者の変化量の比を算出し、これをチクソ成形体100のヤング率とする。なお、チクソ成形体100のヤング率は、上記の計測方法以外の方法、例えば、共振法、超音波パルス法で測定された値であってもよい。
また、チクソ成形体100の表面101のビッカース硬さは、80以上350以下であるのが好ましく、90以上300以下であるのがより好ましく、100以上250以下であるのがさらに好ましい。
ビッカース硬さが前記範囲内であれば、表面硬度が高く、キズ等が付きにくいチクソ成形体100を実現することができる。
チクソ成形体100の表面101のビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009に規定されたビッカース硬さ試験の方法に準じて測定される。なお、測定荷重は5kgfとする。
図5は、実施形態に係るチクソ成形体について取得されたX線回折パターンの一例である。
図5に示すように、チクソ成形体100についてX線回折法による結晶構造解析を行うと、α-Mgに由来するピークと、β-Mg17Al12に由来するピークと、MgSiに由来するピークと、が含まれたX線回折パターンが得られる。α-Mgは、マトリックス部200の母相であって、Mgを主として含む固溶体である。
X線としてCuKα線を用いた場合、α-Mgに由来する主ピークは、2θ=36.5~37.5°に認められ、MgSiに由来する主ピークは、2θ=39.5~40.5°に認められる。α-Mgに由来する主ピークとは、α-Mgに由来するピークのうち、ピーク強度が最大のものをいう。MgSiに由来する主ピークとは、MgSiに由来するピークのうち、ピーク強度が最大のものをいう。
MgSiに由来する主ピークのピーク強度は、α-Mgに由来する主ピークのピーク強度を100としたとき、20以上250以下であるのが好ましく、50以上200以下であるのがより好ましい。このようなピーク強度比を有するチクソ成形体100では、α-MgとMgSiとがバランスよく存在しているため、高剛性と高強度とが両立している。このため、機械的特性が特に優れたチクソ成形体100を実現することができる。
以上、本発明のチクソ成形用材料、チクソ成形用材料の製造方法およびチクソ成形体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のチクソ成形用材料およびチクソ成形体は、それぞれ前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。また、本発明のチクソ成形用材料の製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
5.チクソ成形用材料の製造
5.1.サンプルNo.1
まず、金属体であるマグネシウム合金チップと、Si粒子と、バインダーと、溶媒と、を混合し、混合物を得た。なお、マグネシウム合金チップには、株式会社STU製のAZ91D合金で構成された4mm×2mm×1mmのチップを用いた。なお、AZ91D合金は、9質量%のAlおよび1質量%のZnを含むMg基合金である。また、バインダーには、日本精鑞株式会社製「パラフィンワックス115」を用いた。パラフィンワックス115の融点は、48℃であった。さらに、溶媒には、バインダー4.5g当たりに35mLのイソプロパノールを用いた。
次に、得られた混合物を加熱して、乾燥体を得た。続いて、得られた乾燥体を撹拌した。その後、撹拌した乾燥体をさらに加熱した後、撹拌する操作を3回繰り返した。なお、撹拌には、乾燥体を収容した容器を振とうする方法を用いた。
次に、撹拌した乾燥体に脱脂処理を施した。これにより、バインダーの少なくとも一部を除去してチクソ成形用材料を得た。得られたチクソ成形用材料では、マグネシウム合金チップの表面のほぼ全面がSi粒子で被覆されていた。なお、以上の製造方法における製造条件を表1に示す。表1中、Si粒子の投入量は、マグネシウム合金チップとSi粒子との合計質量に対する、投入したSi粒子の質量の割合である。また、バインダーの投入量は、チクソ成形用材料全体の質量に対する、投入したバインダーの質量の割合である。
5.2.サンプルNo.2~5
製造条件を表1に示すように変更した以外は、サンプルNo.1と同様にしてチクソ成形用材料を得た。
5.3.サンプルNo.6
Si粒子およびバインダーを省略し、それに応じて製造条件を変更したこと以外は、サンプルNo.1と同様にしてチクソ成形用材料を得た。
5.4.サンプルNo.7~14
製造条件を表1に示すように変更した以外は、サンプルNo.1と同様にしてチクソ成形用材料を得た。
5.5.サンプルNo.15
Si粒子を用いる一方、バインダーを省略し、それに応じて製造条件を変更したこと以外は、サンプルNo.1と同様にしてチクソ成形用材料を得た。
なお、表1では、各サンプルNo.のチクソ成形用材料のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」とした。
6.チクソ成形材料の評価
6.1.脱脂後のSi粒子の量
各サンプルNo.のチクソ成形用材料について、脱脂後のSi粒子の量を以下の方法で算出した。
まず、チクソ成形用材料の質量M1を計測した。なお、チクソ成形用材料は、脱脂処理を経ているので、残存するバインダーはほぼゼロであるとみなし、計算には考慮しない。次に、チクソ成形用材料をアセトンに浸し、超音波洗浄機で10分間洗浄した。これにより、付着していたSi粒子を脱落させ、マグネシウム合金チップのみを取り出すことができる。次に、洗浄後のマグネシウム合金チップをアセトン中から取り出し、乾燥させた後、質量M2を計測した。
そして、(M1-M2)/M1×100により算出した、マグネシウム合金チップに対するSi粒子の質量分率を、脱脂後のSi粒子の量[%]とした。算出結果を表1に示す。
6.2.Si粒子の付着率
脱脂後のSi粒子の量を、Si粒子の投入量で除して、Si粒子の付着率を算出した。算出結果を表1に示す。なお、表1に示す脱脂後のSi粒子の量は、概算後の値である一方、表1に示す付着率は、概算前の値で計算して求めた値である。このため、表1に示す付着率は、表1に示すSi粒子の投入量および脱脂後の量から算出される値に対して、わずかにずれている場合がある。
6.3.脱脂後のバインダーの量
各サンプルNo.のチクソ成形用材料について、脱脂後のバインダーの量を以下の方法で算出した。
まず、1粒のチクソ成形用材料について、メトラー・トレド社製、示差熱熱重量同時測定装置(TGA/DSC 1LF)により、50~450℃の温度範囲における熱重量変化を測定した。なお、昇温は、大気下にて、空気を流速30mL/分で流入させつつ、昇温速度10℃/分で行った。そして、溶媒の影響を排除するため、200℃を基準として、450℃時点の重量変化を、脱脂後のバインダー量として算出した。算出結果を表1に示す。
Figure 2022153979000002
表1に示すように、実施例に相当するチクソ成形用材料では、脱脂によってバインダーの量が最小限に抑えられているものの、十分な付着率でSi粒子が付着していることが認められた。
7.チクソ成形体の製造
7.1.サンプルNo.16
サンプルNo.1のチクソ成形用材料を射出成形機に投入し、サンプルNo.16のチクソ成形体を得た。射出成形機には、株式会社日本製鋼所製、マグネシウム射出成形機JLM75MGを使用した。
7.2.サンプルNo.17~27
製造条件を表2に示すように変更した以外は、サンプルNo.16と同様にしてチクソ成形体を得た。
8.チクソ成形体の分析
8.1.断面観察
各サンプルNo.のチクソ成形体を切断し、切断面を光学顕微鏡で観察した。図6は、実施例に相当するチクソ成形体の切断面を光学顕微鏡で観察したときの観察像である。図6には、濃色を呈する粒子部と、淡色を呈するマトリックス部と、が認められる。そして、多くの粒子部は、アスペクト比が比較的小さく、等方的な形状をなしている。求めた粒子部の平均アスペクト比および最大粒径を表2に示す。
また、図4に示すような範囲A1、A2を特定し、粒子部の面積分率As、Acを算出した。そして、|As-Ac|/Acを百分率で算出した。算出結果を表2に示す。
8.2.Siの含有量
各サンプルNo.のチクソ成形体について、元素分析により、Siの含有量を計測した。計測結果を表2に示す。
9.チクソ成形体の評価
9.1.成形性
各サンプルNo.のチクソ成形体を観察し、湯流れ性、および、鋳巣や空気の巻き込みによる内部欠陥の有無、等に基づいて、チクソ成形体の成形状態を評価した。具体的には、湯流れ性の不良や内部欠陥が多くあるものを「NG」とし、そのような不良が相対的に少ないものを「OK」と評価した。評価結果を表2に示す。
9.2.引張強さ
各サンプルNo.のチクソ成形体について、引張強さを測定した。具体的には、チクソ成形体からJIS規格に準拠した試験片を形成し、引張試験機によって引張強さを測定した。測定結果を表2に示す。
9.3.ヤング率
各サンプルNo.のチクソ成形体について、ヤング率を測定した。測定結果を表2に示す。
9.4.ビッカース硬さ
各サンプルNo.のチクソ成形体について、表面のビッカース硬さを測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2022153979000003
表2から明らかなように、実施例に相当するチクソ成形体では、比較例に相当するチクソ成形体に比べて、高い剛性を有することが認められた。また、Siの含有量が少なすぎる場合には、剛性を十分に高めることができず、一方、Siの含有量が多すぎる場合には、成形性が不良になることが認められた。
さらに、チクソ成形用材料の製造にあたって、バインダーを添加しなかった比較例では、チクソ成形体の剛性を高めることができなかった。この理由としては、マグネシウム合金チップからSi粒子が脱落し、Si粒子を十分に分散させることができなかったことが挙げられる。
1…射出成形機、2…金型、5…ホッパー、6…ヒーター、7…加熱シリンダー、8…スクリュー、9…ノズル、10…チクソ成形用材料、11…金属体、12…被覆部、13…接着部、14…Si粒子、100…チクソ成形体、101…表面、200…マトリックス部、300…粒子部、A1…範囲、A2…範囲、Cv…キャビティー、O…中心点、S102…準備工程、S104…乾燥工程、S106…撹拌工程、S108…脱脂工程

Claims (7)

  1. Mgを主成分とする金属体と、
    バインダーを介して前記金属体の表面に付着し、Siを主成分とするSi粒子を含む被覆部と、
    を有し、
    前記Si粒子の平均粒径が1μm以上100μm以下であり、
    前記金属体と前記Si粒子との合計質量における前記Si粒子の質量分率が1.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とするチクソ成形用材料。
  2. 前記バインダーは、ワックス類を含む請求項1に記載のチクソ成形用材料。
  3. 前記バインダーの含有率は、0.001質量%以上0.200質量%以下である請求項1または2に記載のチクソ成形用材料。
  4. Mgを主成分とする金属体と、Siを主成分とするSi粒子と、バインダーと、溶媒と、を含む混合物を準備する準備工程と、
    前記混合物を撹拌する撹拌工程と、
    撹拌した前記混合物を加熱して、前記混合物に含まれる前記バインダーの少なくとも一部を除去してチクソ成形用材料を得る脱脂工程と、
    を有し、
    前記金属体と前記Si粒子との合計質量における前記Si粒子の質量分率が1.0質量%以上30.0質量%以下であり、
    前記チクソ成形用材料における前記バインダーの含有率が0.001質量%以上0.200質量%以下であることを特徴とするチクソ成形用材料の製造方法。
  5. Mgを主成分とするマトリックス部と、
    前記マトリックス部内に分散し、MgSiを主成分とする粒子部と、
    を有し、
    前記粒子部の最大粒径が1.0μm以上50.0μm以下であり、
    断面を観察し、表面を起点とする500μm角の範囲における前記粒子部の面積分率をAs[%]とし、前記表面からの深さが1mmの点を中心とする500μm角の範囲における前記粒子部の面積分率をAc[%]としたとき、|As-Ac|/Acが30.0%以下であることを特徴とするチクソ成形体。
  6. 前記粒子部の平均アスペクト比は、3.0以下である請求項5に記載のチクソ成形体。
  7. 引張強さが100MPa以上350MPa以下であり、
    ヤング率が44GPa以上80GPa以下である請求項5または6に記載のチクソ成形体。
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