JP2024094948A - チクソ成形体およびチクソ成形用材料 - Google Patents

チクソ成形体およびチクソ成形用材料 Download PDF

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節也 岩下
郁也 前田
駿介 内薗
公一 尾崎
忠生 福田
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Abstract

Figure 2024094948000001
【課題】高い熱伝導性および高い剛性を有するチクソ成形体、および、かかるチクソ成形体を製造可能なチクソ成形用材料を提供すること。
【解決手段】Mgを主成分とするマトリックス部と、前記マトリックス部に分散する炭素繊維と、を有し、断面における前記炭素繊維の面積分率が、1.0%以上30.0%以下であることを特徴とするチクソ成形体。また、前記炭素繊維の平均繊維長は、15μm以上150μm以下であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、チクソ成形体およびチクソ成形用材料に関するものである。
マグネシウムは、比重が小さく、かつ、電磁波シールド性、振動の減衰能、切削性、生体安全性がそれぞれ良好であるという性質を有する。このような背景から、自動車用部品、航空機用部品、携帯電話、ノートパソコンといった製品にマグネシウム合金製の部品が使用され始めている。
マグネシウム製の部品を製造する方法として、チクソ成形法が知られている。チクソ成形法は、成形用材料をシリンダー内で加熱して液相と固相が共存した固液共存状態にした後、スクリューの回転によってチクソ性を発現させ、得られた半凝固物を金型に注入する成形法である。このようなチクソ成形法によれば、加熱とせん断とによって半凝固物の流動性が高められているため、ダイカスト法と比較して、薄肉な部品や複雑な形状の部品を成形できる。
チクソ成形法では、例えばチップ状をなす成形用材料が用いられる。特許文献1には、マグネシウムチップに対して0.01~3重量%のカーボンブラックを添加し、両者をミキサーで混合することによって、マグネシウムチップの表面を炭素粉末で被覆した成形用チップが開示されている。このような炭素粉末で被覆された成形用チップによれば、射出成形によって製造される成形品の曲げ特性および引張強度を高めることができる。
国際公開第2012/137907号
特許文献1に記載のマグネシウム合金チップを用いて製造された成形品には、熱伝導性が低いという課題がある。熱伝導性が低い成形品は、放熱性を必要とする部品等に適用することが難しい。このため、チクソ成形品においてさらなる熱伝導性の向上を図ることが求められている。
また、特許文献1に記載の成形用チップを用いて製造されたチクソ成形体には、剛性において、改善の余地がある。特に、自動車のような輸送機器、モバイル機器の筐体等にチクソ成形体を用いるためには、チクソ成形体のさらなる高剛性化が必要となる。
本発明の適用例に係るチクソ成形体は、
Mgを主成分とするマトリックス部と、
前記マトリックス部に分散する炭素繊維と、
を有し、
断面における前記炭素繊維の面積分率が、1.0%以上30.0%以下であることを特徴とする。
本発明の適用例に係るチクソ成形用材料は、
Mgを主成分とする金属体と、
前記金属体の表面に付着する炭素繊維片と、
前記金属体と前記炭素繊維片との間に介在する接着部と、
を有し、
前記炭素繊維片の含有率が、1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
第1実施形態に係るチクソ成形体を模式的に示す部分断面図である。 第2実施形態に係るチクソ成形体を模式的に示す部分断面図である。 チクソ成形法に用いられる射出成形機の一例を示す断面図である。 第3実施形態に係るチクソ成形用材料を模式的に示す断面図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 第4実施形態に係るチクソ成形用材料を模式的に示す部分拡大断面図である。 チクソ成形用材料の製造方法を説明するための工程図である。
以下、本発明のチクソ成形体およびチクソ成形用材料を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るチクソ成形体について説明する。
図1は、第1実施形態に係るチクソ成形体100を模式的に示す部分断面図である。
図1に示すチクソ成形体100は、マトリックス部200と、マトリックス部200中に分散する炭素繊維300と、を有する。マトリックス部200は、Mgを主成分とする。炭素繊維300は、炭素を主成分とし、繊維状をなしている。そして、チクソ成形体100は、断面における炭素繊維300の面積分率が、1.0%以上30.0%以下である。
このようなチクソ成形体100は、高い熱伝導性を有する。具体的には、炭素繊維300は、炭素が持つ高い熱伝導率および形状効果により、チクソ成形体100に高い熱伝導性を与える。また、チクソ成形体100は、高い剛性を有する。具体的には、炭素繊維300は、炭素が持つ高い弾性率および形状効果により、チクソ成形体100に高い剛性を与える。したがって、チクソ成形体100は、高い熱伝導性と高い剛性とを併せ持つ成形体となり、例えば、放熱性と高剛性が求められる部材に好適に用いられる。
1.1.マトリックス部
マトリックス部200は、Mgを主成分とする。Mgを主成分とするとは、マトリックス部200の断面に元素分析を行ったとき、原子数比でMgの含有率が最も高いことを指す。元素分析には、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による定性定量分析が用いられる。マトリックス部200におけるMgの含有率は、他の元素より高ければよいが、50原子%超であるのが好ましく、70原子%以上であるのがより好ましく、80原子%以上であるのがさらに好ましい。なお、定性定量分析におけるマトリックス部200の特定にあたっては、例えば、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察像において、炭素繊維300とのコントラストや色調に基づく区別が可能である。
マトリックス部200は、チクソ成形体100の断面において最も高い面積分率を占める。このため、マトリックス部200は、チクソ成形体100の機械的特性および熱的特性に支配的な影響を及ぼす。これにより、チクソ成形体100には、Mgが持つ高い比剛性、高い比強度、高い靭性が反映される。
マトリックス部200は、Mg以外に種々の添加成分を含んでいてもよい。添加成分としては、例えば、リチウム、ベリリウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、銀、錫、金、希土類元素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。希土類元素としては、例えばセリウムが挙げられる。
添加成分は、特に、アルミニウムおよび亜鉛の双方を含むことが好ましい。これにより、チクソ成形体100をチクソ成形法で製造するとき、原材料の融点が低下し、半凝固物の流動性が向上する。その結果、チクソ成形時の成形性が高められるため、製造されるチクソ成形体100の寸法精度を高めることができる。
マトリックス部200におけるアルミニウムの含有率は、例えば、5.0質量%以上13.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以上11.0質量%以下であることがより好ましい。また、亜鉛の含有率は、例えば、0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
また、添加成分は、アルミニウムおよび亜鉛以外に、ケイ素、マンガン、イットリウム、ストロンチウムおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。これにより、チクソ成形体100の機械的特性、耐食性、耐摩耗性および熱伝導率を高めることができる。
マトリックス部200の組成は、様々な規格に定められているマグネシウム合金の組成であってもよい。このようなマグネシウム合金としては、例えば、ASTM(米国試験材料協会)規格のAZ91A、AZ91B、AZ91D、AM60A、AM60B、AS41A、AZ31、AZ31B、AZ61A、AZ63A、AZ80A、AZ91C、AZ91E、AZ92A、AM100A、ZK51A、ZK60A、ZK61A、EZ33A、QE22A、ZE41A、M1A、WE54A、WE43B等が挙げられる。このうち、AZ91A、AZ91BまたはAZ91Dが好ましく用いられる。これらは、成形性、機械的特性等においてバランスがよく、また、耐食性にも優れるため、有用である。
1.2.炭素繊維
炭素繊維300は、前述したように、炭素を主成分とし、繊維状をなしている。炭素を主成分とするとは、炭素繊維300の断面に元素分析を行ったとき、原子数比でCの含有率が最も高いことを指す。元素分析には、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による定性定量分析が用いられる。炭素繊維300におけるCの含有率は、他の元素より高ければよいが、50原子%超であるのが好ましく、70原子%以上であるのがより好ましく、90原子%以上であるのがさらに好ましい。なお、定性定量分析における炭素繊維300の特定にあたっては、例えば、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察像において、マトリックス部200とのコントラストや色調に基づく区別が可能である。また、炭素繊維300には、炭素以外の添加物や不純物が含まれていてもよい。
また、繊維状をなしているとは、チクソ成形体100の断面において炭素繊維300の平均アスペクト比が1.2以上であることをいう。炭素繊維300のアスペクト比とは、チクソ成形体100の断面において、炭素繊維300の幅に対する長さの比である。長さとは、炭素繊維300の断面において取り得る最大長さであり、幅とは、その最大長さの方向に直交する方向における最大長さである。そして、チクソ成形体100の断面の観察像から、無作為に50個の炭素繊維300を抽出し、それらのアスペクト比を平均した値が平均アスペクト比である。観察像の取得には、例えば光学顕微鏡または電子顕微鏡が用いられる。
また、チクソ成形体100の断面における炭素繊維300の平均アスペクト比は、1.5以上20.0以下であることが好ましく、2.0以上15.0以下であることがより好ましく、3.0以上10.0以下であることがさらに好ましい。これにより、炭素繊維300は、形状効果がより大きくなるため、チクソ成形体100に対し、より高い熱伝導性とより高い剛性とを与えることができる。なお、炭素繊維300の平均アスペクト比が前記下限値を下回ると、炭素繊維300の形状効果が薄れるため、チクソ成形体100の熱伝導性や剛性を十分に高めることができないおそれがある。一方、炭素繊維300の平均アスペクト比が前記上限値を上回ると、マトリックス部200中における炭素繊維300の分散性が低下するため、前述した効果を十分に得られなかったり、効果にムラができたりするおそれがある。
図1に示すチクソ成形体100の断面の観察像において、表面101からの深さが1mmの点を中心として、500μm角の範囲Aを設定する。範囲Aの面積に対する、炭素繊維300の面積の割合を、炭素繊維300の面積分率S3とする。
このとき、面積分率S3は、前述したように、1.0%以上30.0%以下である。面積分率S3を前記範囲内に設定することにより、炭素繊維300による上述の効果、具体的には、チクソ成形体100の熱伝導性および剛性を高めるという効果が得られる。したがって、面積分率S3が前記下限値を下回ると、炭素繊維300が不足するため、上記のような効果が得られない。一方、面積分率S3が前記上限値を上回ると、炭素繊維300が過剰になり、結果的にチクソ成形体100の「靭性」が低下する。また、面積分率S3は、好ましくは5.0%以上28.0%以下とされ、より好ましくは8.0%以上26.0%以下とされる。
範囲Aにおける面積分率S3は、次のようにして算出される。まず、範囲Aにおいて、画像処理により、炭素繊維300の範囲を抽出する。画像処理には、例えば画像解析ソフトウエアOLYMPUS Stream等を用いることができる。また、観察像の拡大倍率は、300倍以上であるのが好ましい。次に、範囲Aの全面積に対する、炭素繊維300の面積の割合を算出する。この割合が面積分率S3となる。
また、チクソ成形体100の断面における炭素繊維300の平均繊維長は、15μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上90μm以下であることがより好ましく、50μm以上85μm以下であることがさらに好ましい。これにより、炭素繊維300は、マトリックス部200中において良好な分散性を有するとともに、十分な形状効果を発揮する。その結果、チクソ成形体100の全体において、高い熱伝導性および高い剛性が得られるとともに、それらの特性にムラが生じるのを抑制することができる。
なお、炭素繊維300の繊維長は、チクソ成形体100の断面において、炭素繊維300の前述した長さのことである。そして、チクソ成形体100の断面の観察像から、無作為に50個の炭素繊維300を抽出し、それらの繊維長を平均した値が平均繊維長である。観察像の取得には、例えば光学顕微鏡または電子顕微鏡が用いられる。
また、チクソ成形体100の断面における炭素繊維300の平均繊維幅は、2μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上15μm以下であることがより好ましく、5μm以上12μm以下であることがさらに好ましい。これにより、炭素繊維300は、高弾性および高熱伝導率を有するとともに、マトリックス部200中において良好な分散性を有する。
なお、炭素繊維300の繊維幅は、チクソ成形体100の断面において、炭素繊維300の前述した幅のことである。そして、チクソ成形体100の断面の観察像から、無作為に50個の炭素繊維300を抽出し、それらの繊維幅を平均した値が平均繊維幅である。観察像の取得には、例えば光学顕微鏡または電子顕微鏡が用いられる。
炭素繊維300は、炭素を主成分とし、微細な黒鉛結晶構造を含む繊維であれば、いかなる繊維であってもよい。炭素繊維300の具体例としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、PAN系炭素繊維は、高引張強度等の特徴があり、一方、ピッチ系炭素繊維は、高弾性率等の特徴がある。したがって、チクソ成形体100に付与したい機械的特性に応じて、炭素繊維300の種類を選択するようにしてもよい。
炭素繊維300は、黒鉛結晶構造に由来する優れた機械的特性および熱的特性を有する。
例えば、炭素繊維300の引張弾性率は、150GPa以上であることが好ましく、200GPa以上であることがより好ましい。これにより、炭素繊維300は、チクソ成形体100に対して特に高い剛性を与えることができる。なお、炭素繊維300の引張弾性率の上限値は、特に設定されなくてもよいが、炭素繊維300の製造安定性等を考慮した場合、1200GPa以下であることが好ましい。
炭素繊維300の引張弾性率は、例えば、JIS R 7606:2000に規定されている試験方法に準拠して測定される。
また、炭素繊維300の繊維長方向における熱伝導率は、200W/(m・K)以上であることが好ましく、400W/(m・K)以上であることがより好ましい。これにより、炭素繊維300は、チクソ成形体100に対して特に高い熱伝導性を与えることができる。なお、炭素繊維300の熱伝導率の上限値は、特に設定されなくてもよいが、炭素繊維300の製造安定性等を考慮した場合、1200W/(m・K)以下であることが好ましい。
以上、第1実施形態に係るチクソ成形体100について説明したが、断面には、マトリックス部200および炭素繊維300以外の添加材が含まれていてもよい。添加材としては、例えば、Mg以外の金属粉末、セラミック粉末、炭素粉末、ケイ素粉末等が挙げられる。この場合、チクソ成形体100の断面における添加材の面積分率は、炭素繊維300の面積分率より低いことが好ましく、20.0%以下であることがより好ましく、10.0%以下であることがさらに好ましい。
1.3.チクソ成形体の物性
チクソ成形体100の引張弾性率(ヤング率)は、40GPa以上であることが好ましく、45GPa以上であることがより好ましい。引張弾性率が前記範囲内であるチクソ成形体100は、比剛性が特に高いものとなる。このようなチクソ成形体100は、軽量であり、かつ、高剛性であるため、例えば、自動車、航空機等の輸送機器に用いられる部品、携帯端末、ノートパソコン等のモバイル機器に用いられる部品、ロボットアームのような可動部品等に、好適である。
チクソ成形体100の引張弾性率は、次のようにして計測される。まず、チクソ成形体100から試験片を削り出す。次に、試験片を引張試験機に取り付け、25℃において試験片に引張荷重を加える。次に、引張荷重を変動させたときの引張ひずみの変化量、および、引張荷重を変動させたときの引張応力の変化量、をそれぞれ算出する。そして、前者の変化量に対する後者の変化量の比を算出し、これをチクソ成形体100の引張弾性率とする。なお、チクソ成形体100の引張弾性率は、上記の計測方法以外の方法、例えば、共振法、超音波パルス法で測定された値であってもよい。
また、チクソ成形体100の引張強さは、180MPa以上であることが好ましく、190MPa以上であることがより好ましい。さらに、チクソ成形体100の0.2%耐力は、155MPa以上であるのが好ましく、165MPa以上であるのがより好ましい。
引張強さおよび0.2%耐力が前記範囲内であるチクソ成形体100は、比強度が特に高いものとなる。このようなチクソ成形体100は、軽量であり、かつ、高強度であるため、例えば、自動車、航空機等の輸送機器に用いられる部品、携帯端末、ノートパソコン等のモバイル機器に用いられる部品、ロボットアームのような可動部品等に、好適である。
チクソ成形体100の引張強さおよび0.2%耐力は、次のようにして計測される。まず、チクソ成形体100から試験片を削り出す。試験片としては、例えば、JISに規定されている13号試験片等が挙げられる。次に、試験片を引張試験機に取り付け、25℃において試験片に加わった最大の力に対応する応力を算出する。得られた応力を、チクソ成形体100の引張強さとする。また、計測によって得られる応力ひずみ曲線において、0.2%ひずみの点に対応する応力を、0.2%耐力とする。
チクソ成形体100の表面のビッカース硬さは、65以上であるのが好ましく、70以上であるのがより好ましく、80以上であるのがさらに好ましい。ビッカース硬さが前記範囲内であれば、表面硬度が高く、キズ等が付きにくいチクソ成形体100を実現することができる。チクソ成形体100の表面のビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009に規定されたビッカース硬さ試験の方法に準じて測定される。なお、測定荷重は5kgfとする。
また、チクソ成形体100の熱伝導率は、53W/(m・K)以上であるのが好ましく、58W/(m・K)以上であるのがより好ましく、62W/(m・K)以上であるのがさらに好ましい。このような熱伝導率を有するチクソ成形体100は、例えば放熱性が求められる部位にも適用可能なものとなる。
なお、チクソ成形体100の熱伝導率は、例えばレーザーフラッシュ法等により測定される。
1.4.第1実施形態が奏する効果
以上のように、第1実施形態に係るチクソ成形体100は、マトリックス部200と、炭素繊維300と、を有する。マトリックス部200は、Mgを主成分とする。炭素繊維300は、マトリックス部200に分散している。そして、チクソ成形体100の断面における炭素繊維300の面積分率S3は、1.0%以上30.0%以下である。
このような構成によれば、マトリックス部200が持つ高い比剛性に、炭素繊維300が持つ高い熱伝導率、高い弾性率および形状効果を加えることができる。その結果、熱伝導性および剛性が高いチクソ成形体100を実現することができる。また、面積分率S3を前記範囲内に設定することで、炭素繊維300の不足や過剰に伴う不具合を抑制することができる。
また、炭素繊維300の平均繊維長は、15μm以上150μm以下であることが好ましい。
これにより、炭素繊維300は、マトリックス部200中において良好な分散性を有するとともに、十分な形状効果を発揮する。その結果、チクソ成形体100の全体において、高い熱伝導性および高い剛性が得られるとともに、それらの特性にムラが生じるのを抑制することができる。
また、炭素繊維300の平均アスペクト比は、1.5以上20.0以下であることが好ましい。
これにより、炭素繊維300は、形状効果がより大きくなるため、チクソ成形体100に対し、より高い熱伝導性とより高い剛性とを与えることができる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るチクソ成形体について説明する。
図2は、第2実施形態に係るチクソ成形体100Aを模式的に示す部分断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図2において、図1と同様の構成については、同一の符号を付している。
図2に示すチクソ成形体100Aは、マトリックス部200および炭素繊維300に加え、マトリックス部200中に分散する第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500を有する。
2.1.第1Mg粒子部
第1Mg粒子部400は、MgSiを主成分とし、粒子状をなしている。MgSiは、マトリックス部200に比べて引張弾性率(ヤング率)が高い。このため、第1Mg粒子部400は、チクソ成形体100Aの剛性を高めるための強化材として機能する。これにより、チクソ成形体100Aは、より高い剛性を有するものとなる。
MgSiを主成分とするとは、第1Mg粒子部400の断面に元素分析を行ったとき、原子数比でMgの含有率が最も高く、次いでSiの含有率が高いことを指す。元素分析には、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による定性定量分析が用いられる。第1Mg粒子部400におけるMgおよびSiの合計含有率は、他の元素より高ければよいが、50原子%超であるのが好ましく、60原子%以上であるのがより好ましい。なお、定性定量分析における第1Mg粒子部400の特定にあたっては、例えば、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察像において、マトリックス部200や炭素繊維300とのコントラストや色調に基づく区別が可能である。また、第1Mg粒子部400には、MgSi以外の添加物や不純物が含まれていてもよい。
また、第1Mg粒子部400は、マトリックス部200に含まれるMg結晶の粗大化を抑制する機能も有する。このため、チクソ成形体100Aでは、マトリックス部200においてMg結晶の微細化が図られている。これにより、チクソ成形体100Aは、高い機械的強度を有するものとなる。
なお、第1Mg粒子部400の断面形状は、特に限定されず、いかなる形状であってもよいが、平均アスペクト比は、2.0未満であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。これにより、第1Mg粒子部400は、チクソ成形体100Aに亀裂を生じさせる起点になりにくくなるため、チクソ成形体100Aの機械的強度を高める効果が得られる。また、Mg結晶の粗大化を抑制する効果がより顕著になる。
第1Mg粒子部400のアスペクト比とは、チクソ成形体100Aの断面において、第1Mg粒子部400の幅に対する長さの比である。長さとは、第1Mg粒子部400の断面において取り得る最大長さであり、幅とは、その最大長さの方向に直交する方向における最大長さである。そして、チクソ成形体100Aの断面の観察像から、無作為に10個の第1Mg粒子部400を抽出し、それらのアスペクト比を平均した値が平均アスペクト比である。観察像の取得には、例えば光学顕微鏡または電子顕微鏡が用いられる。
2.2.第2Mg粒子部
第2Mg粒子部500は、MgOを主成分とし、粒子状をなしている。MgOは、マトリックス部200に比べて引張弾性率(ヤング率)が高い。このため、第2Mg粒子部500は、チクソ成形体100Aの剛性を高めるための強化材として機能する。これにより、チクソ成形体100Aは、より高い剛性を有するものとなる。
MgOを主成分とするとは、第2Mg粒子部500の断面に元素分析を行ったとき、原子数比でMgおよびOのいずれか一方の含有率が最も高く、次いで他方の含有率が高いことを指す。元素分析には、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による定性定量分析が用いられる。第2Mg粒子部500におけるMgおよびOの合計含有率は、他の元素より高ければよいが、50原子%超であるのが好ましく、60原子%以上であるのがより好ましい。なお、定性定量分析における第2Mg粒子部500の特定にあたっては、例えば、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察像において、マトリックス部200や炭素繊維300、第1Mg粒子部400とのコントラストや色調に基づく区別が可能である。また、第2Mg粒子部500には、MgO以外の添加物や不純物が含まれていてもよい。
また、第2Mg粒子部500も、マトリックス部200に含まれるMg結晶の粗大化を抑制する機能を有する。このため、チクソ成形体100Aでは、マトリックス部200においてMg結晶の微細化が図られている。これにより、チクソ成形体100Aは、高い機械的強度を有するものとなる。
さらに、第2Mg粒子部500は、第1Mg粒子部400が樹枝状または針状に異常成長するのを阻害する機能も有する。この機能により、第1Mg粒子部400は、等方的な形状になりやすく、平均アスペクト比の上昇が抑制される。
2.3.各粒子部の相互関係
図2に示すチクソ成形体100Aの断面の観察像において、表面101からの深さが1mmの点を中心として、500μm角の範囲Aを設定する。範囲Aの面積に対する、第1Mg粒子部400の面積の割合(面積分率)をS1とし、第2Mg粒子部500の面積の割合(面積分率)をS2とする。
このとき、面積分率S1および面積分率S2の合計は、0.2%以上30.0%以下であるのが好ましく、0.5%以上10.0%以下であるのがより好ましく、1.0%以上5.0%以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述した強化材としての機能を持つ第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500の面積比率が最適化され、チクソ成形体100Aの剛性を特に高めることができる。また、第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500による、Mg結晶の粗大化を抑制する効果も、より大きくなるため、機械的強度が特に高いチクソ成形体100Aが得られる。
また、面積分率S2に対する面積分率S1の比S1/S2は、0.5以上4.0以下であることが好ましく、1.0以上2.5以下であることがより好ましく、1.1以上2.0以下であることがさらに好ましい。これにより、第1Mg粒子部400が異常成長するのを阻害する第2Mg粒子部500の機能がより強化される。
範囲Aにおける面積分率S1および面積分率S2は、それぞれ次のようにして算出される。まず、範囲Aにおいて、画像処理により、第1Mg粒子部400の範囲および第2Mg粒子部500の範囲を抽出するとともに、それらの合計の面積を算出する。画像処理には、例えば画像解析ソフトウエア、OLYMPUS Stream等を用いることができる。また、観察像の拡大倍率は、300倍以上であるのが好ましい。次に、範囲Aの全面積に対する、第1Mg粒子部400の面積の割合および第2Mg粒子部500の面積の割合をそれぞれ算出する。この割合が、面積分率S1および面積分率S2となる。
範囲Aにおいて、面積分率S1および面積分率S2の合計をS1+S2とする。このとき、S3/(S1+S2)の比は、2.0以上50.0以下であるのが好ましく、3.0以上30.0以下であるのがより好ましく、4.0以上20.0以下であるのがさらに好ましい。S3/(S1+S2)の比を前記範囲内に設定することにより、炭素繊維300と、第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500と、の量的バランスが良好になる。これにより、炭素繊維300による効果と、第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500による効果とが、互いに阻害し合うことのないチクソ成形体100Aを実現することができる。このようなチクソ成形体100Aは、熱伝導性および剛性が特に高いものとなる。
また、第1Mg粒子部400の平均粒径をD1とし、第2Mg粒子部500の平均粒径をD2とする。平均粒径D1、D2は、それぞれ、0.1μm以上10.0μm以下であるのが好ましく、0.1μm以上5.0μm以下であるのがより好ましい。平均粒径D1、D2が前記範囲内であれば、第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500は、チクソ成形体100Aに含まれていても、亀裂等の起点になりにくくなる。これにより、チクソ成形体100Aの機械的強度を損なうことなく、剛性を高めることができる。
平均粒径D1、D2は、次のようにして算出される。まず、範囲Aにおいて、含まれている第1Mg粒子部400の粒径および第2Mg粒子部500の粒径を全て計測する。第1Mg粒子部400の粒径とは、第1Mg粒子部400の断面における、長軸の長さと、短軸の長さと、の中間値である。このようにして算出した粒径の平均値が、第1Mg粒子部400の平均粒径D1である。第2Mg粒子部500の粒径とは、第2Mg粒子部500の断面における、長軸の長さと、短軸の長さと、の中間値である。このようにして算出した粒径の平均値が、第2Mg粒子部500の平均粒径D2である。
3.チクソ成形法
次に、チクソ成形体を製造するチクソ成形法の一例について説明する。
チクソ成形法は、ペレット状またはチップ状の原材料をシリンダー内で加熱して液相と固相が共存した固液共存状態にした後、スクリューの回転によってチクソ性を発現させ、得られた半凝固物を金型に注入する成形法である。このようなチクソ成形法によれば、加熱とせん断とによって半凝固物の流動性が高められているため、例えばダイカスト法と比較して、薄肉な部品や複雑な形状の部品を成形できる。
前述したチクソ成形体は、マグネシウムを主成分とする成形体である。したがって、原材料には、マグネシウムを主成分とする材料が用いられる。
図3は、チクソ成形法に用いられる射出成形機の一例を示す断面図である。
図3に示すように、射出成形機1は、金型2と、ホッパー5と、加熱シリンダー7と、スクリュー8と、ノズル9と、を備える。金型2は、キャビティーCvを形成する。ホッパー5にチクソ成形用材料10が投入されると、チクソ成形用材料10は加熱シリンダー7へ供給される。加熱シリンダー7に供給されたチクソ成形用材料10は、ヒーター6によって加熱されるとともに、スクリュー8によってせん断されながら移送される。これにより、チクソ成形用材料10は半溶融し、スラリー化する。得られたスラリーは、ノズル9を介して、大気に触れることなく、金型2内のキャビティーCvへ射出される。そして、キャビティーCvに射出されたスラリーを冷却することにより、チクソ成形体が得られる。
なお、ホッパー5には、チクソ成形用材料10とともに、それ以外の材料が投入されてもよい。
4.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るチクソ成形用材料について説明する。
図4は、第3実施形態に係るチクソ成形用材料10を模式的に示す断面図である。図5は、図4の部分拡大図である。
図4に示すチクソ成形用材料10は、チップ状をなす金属体11と、金属体11の表面に設けられた被覆部12と、金属体11と被覆部12との間に介在する接着部13と、を有する。
被覆部12は、図4に示すように、複数の炭素繊維片14を含む。炭素繊維片14は、金属体11の表面に設けられる。炭素繊維片14は、炭素繊維の短繊維である。炭素繊維片14の具体例としては、チョップドカーボンファイバー、ミルドカーボンファイバー等が挙げられる。前述したチクソ成形体100の炭素繊維300は、主に、この炭素繊維片14に由来する。
接着部13は、図5に示すように、金属体11と炭素繊維片14との間に介在する有機バインダー16である。接着部13は、図5に示すように、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に侵入し、これらを接着するように作用する。
このようなチクソ成形用材料10を用いて、チクソ成形を行うことにより、接着部13の作用により、炭素繊維片14の脱落が抑制される。このため、加熱シリンダー7内で金属体11の半溶融物と炭素繊維片14とが均一に混合されやすくなる。これにより、半溶融物中に炭素繊維片14が均一に分散する。その結果、図1に示すように、マトリックス部200中に分散した炭素繊維300を有するチクソ成形体100を製造することができる。
チクソ成形用材料10における炭素繊維片14の含有率は、前述したチクソ成形体100における炭素繊維300の面積分率S3と同様である。チクソ成形用材料10における炭素繊維片14の含有率は、1質量%以上20質量%以下とできる。また、炭素繊維片14の含有率は、好ましくは5質量%以上18質量%以下とされ、より好ましくは8質量%以上15質量%以下とされる。
4.1.金属体
金属体11は、例えば、鋳型等で鋳込みされたMg基合金を、切削または切断等することによって得られる切片である。なお、金属体11の製造方法は、これに限定されない。
金属体11の構成材料には、Mgを主成分とする材料を用いる。この金属体11は、主に、チクソ成形体100が有するマトリックス部200を生成する。
前述した添加成分は、金属体11において、単体、合金、酸化物、金属間化合物等の状態で存在し得る。また、添加成分は、金属体11中において、MgまたはMg合金等の金属組織の結晶粒界に偏析していてもよいし、均一に分散していてもよい。
金属体11の平均粒径は、特に限定されないが、0.5mm以上であるのが好ましく、1.5mm以上10.0mm以下であるのがより好ましい。平均粒径を前記範囲内に設定することで、射出成形機1の加熱シリンダー7内におけるブリッジ等の発生を抑制することができる。
なお、金属体11の平均粒径は、金属体11の投影面積と同じ面積を持つ円の直径の平均値である。平均値は、無作為に選択した100個以上の金属体11から算出される。
金属体11の平均アスペクト比は、5.0以下であるのが好ましく、4.0以下であるのがより好ましい。このような平均アスペクト比を有する金属体11は、加熱シリンダー7内における充填性を高めるとともに、加熱時の温度均一性が良好になる。その結果、機械的特性が高く、かつ、寸法精度の高いチクソ成形体100が得られる。
なお、金属体11の平均アスペクト比は、金属体11の投影像において、長径/短径により算出されるアスペクト比の平均値である。平均値は、無作為に選択した100個以上の金属体11から算出される。また、長径とは、投影像においてとり得る最大の長さであり、短径とは、長径に直交する方向の最大の長さである。
また、金属体11には、必要に応じて、任意の表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、紫外線照射処理、粗面化処理等が挙げられる。
4.2.被覆部
被覆部12は、複数の炭素繊維片14を含む。本実施形態では、図4に示すように、複数の炭素繊維片14が金属体11の表面を覆うように分布することで、被覆部12を構成している。被覆部12は、金属体11の表面全体を覆っているのが好ましいが、表面の一部のみを覆っていてもよい。
炭素繊維片14は、チクソ成形に供されると、半溶融物中に分散する。また、炭素繊維片14は、チクソ成形時に気化する可能性が低く、成形不良の原因になるのを抑制することができる。
炭素繊維片14の構成材料、平均アスペクト比、平均繊維長および平均繊維径は、前述した炭素繊維300の構成材料、平均アスペクト比、平均繊維長および平均繊維幅と同様である。
例えば、炭素繊維片14の平均繊維長は、15μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上90μm以下であることがより好ましく、50μm以上85μm以下であることがさらに好ましい。これにより、炭素繊維片14は、前述した炭素繊維300の平均繊維長を最適化することができる。また、炭素繊維片14を金属体11の表面に付着させたとき、炭素繊維片14を均一に分布させることができ、かつ、炭素繊維片14が脱落しにくくなる。なお、炭素繊維片14の平均繊維長が前記上限値を上回ると、炭素繊維片14が塊になったり、炭素繊維片14が脱落しやすくなったりするおそれがある。
金属体11に対する炭素繊維片14の添加量は、製造しようとするチクソ成形体100のマトリックス部200と炭素繊維300との存在比に応じて、適宜設定される。
被覆部12は、炭素繊維片14以外の物質を含んでいてもよい。その場合、炭素繊維片14以外の物質の含有量は、質量比で炭素繊維片14の含有量未満であればよく、好ましくは炭素繊維片14の20質量%以下とされ、より好ましくは10質量%以下とされる。
また、炭素繊維片14は、構成材料が異なる2種類以上の炭素繊維片が混合された混合繊維片であってもよい。
さらに、炭素繊維片14には、必要に応じて、任意の表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、紫外線照射処理、粗面化処理、カップリング剤処理等が挙げられる。
4.3.接着部
接着部13は、有機バインダー16を含み、図5に示すように、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に介在する。
有機バインダー16としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、ワックス類、アルコール類、高級脂肪酸、脂肪酸金属、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤、シリコーン系滑剤等が用いられる。また、有機バインダー16は、これらの成分の少なくとも1種と他の成分とを含む混合物であってもよいし、これらの成分を2種以上含む混合物であってもよい。
このうち、有機バインダー16は、ワックス類を含むことが好ましく、パラフィンワックスまたはその誘導体を含むことがより好ましい。ワックス類は良好な結着性を有する。
ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸エステルのようなエステル等の合成ワックスが挙げられる。
4.4.第3実施形態が奏する効果
以上のように、第3実施形態に係るチクソ成形用材料10は、金属体11と、炭素繊維片14と、接着部13と、を有する。金属体11は、Mgを主成分とする。炭素繊維片14は、金属体11の表面に付着する。接着部13は、金属体11と炭素繊維片14との間に介在している。そして、炭素繊維片14の含有率が、1質量%以上20質量%以下である。
このようなチクソ成形用材料10によれば、炭素繊維片14が持つ高い熱伝導率、高い弾性率および形状効果が、金属体11が持つ高い比剛性に付加される。その結果、熱伝導性および剛性が高いチクソ成形体100を製造可能なチクソ成形用材料10が得られる。
また、炭素繊維片14の平均繊維長は、15μm以上150μm以下であることが好ましい。これにより、製造されるチクソ成形体100において炭素繊維300の平均繊維長を最適化することができる。その結果、熱伝導性および剛性が特に高いチクソ成形体100を製造可能なチクソ成形用材料10が得られる。また、炭素繊維片14を金属体11の表面に付着させたとき、炭素繊維片14を均一に分布させることができ、かつ、炭素繊維片14が脱落しにくくなる。
5.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るチクソ成形用材料について説明する。
図6は、第4実施形態に係るチクソ成形用材料10Aを模式的に示す部分拡大断面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図6において第3実施形態と同様の構成については、図4および図5と同一の符号を付している。
図6に示すチクソ成形用材料10Aは、接着部13の構成が異なる以外、図4および図5に示すチクソ成形用材料10と同様である。
図6に示す接着部13は、図4および図5に示す有機バインダー16に代えて、粒子状をなす介在粒子15を含む。介在粒子15は、図6に示すように、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に侵入し、これらを接着するように作用する。
介在粒子15は、平均粒径が炭素繊維片14の平均繊維径より小さく、酸化ケイ素を主成分とする粒子である。本明細書において「酸化ケイ素」とは、SiO(0<x≦2)という組成式で表される物質を指す。このような介在粒子15は、微小であることから、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に、容易に入り込む。また、介在粒子15は、比表面積が非常に広いことから、金属体11および炭素繊維片14の双方と強く相互作用すると考えられる。相互作用の例としては、水素結合、ファンデルワールス力のような分子間力や、介在粒子15の集合体が金属体11の表面に存在する凹凸に入り込むことで生じるアンカー効果等が挙げられる。特に酸化ケイ素を含有する介在粒子15の表面には、高密度の水酸基が存在する。この水酸基が金属体11や炭素繊維片14との間で水素結合を生じ、これが相互作用の駆動力になると考えられる。このような相互作用により、接着部13は、金属体11の表面に炭素繊維片14を固定する機能を有することになる。
このような接着部13を有するチクソ成形用材料10では、介在粒子15を介して金属体11と炭素繊維片14との間がより強固に固定されるため、炭素繊維片14が脱落しにくい。このため、チクソ成形においてチクソ成形用材料10が加熱シリンダー7内に投入されたとき、金属体11の半溶融物と炭素繊維片14とが均一に混合されやすくなる。これにより、チクソ成形体100A中に炭素繊維片14および介在粒子15を均一に分散させることができる。
介在粒子15が含む酸化ケイ素は、気化しにくく、かつ、チクソ成形体100Aに取り込まれると、マグネシウムと化合して、前述した強化材として機能する第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500を生成する。このため、気化に伴う成形不良の発生が抑制されるとともに、機械的特性に優れたチクソ成形体100Aが得られる。
酸化ケイ素を主成分とするとは、介在粒子15に元素分析を行ったとき、原子数比でSiおよびOのいずれか一方の含有率が最も高く、次いで他方の含有率が高いことを指す。元素分析には、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による定性定量分析が用いられる。介在粒子15におけるSiおよびOの合計含有率は、他の元素より高ければよいが、50原子%超であるのが好ましく、60原子%以上であるのがより好ましく、80原子%以上であるのがさらに好ましい。
介在粒子15には、酸化ケイ素以外に不純物が含まれていてもよい。不純物の許容量は、介在粒子15の30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。これにより、不純物による上記効果の阻害が十分に低減される。
なお、介在粒子15は、無機系酸化物を含有する粒子であってもよい。無機系酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、これらの少なくとも1種を含む複合材料であってもよい。
介在粒子15の平均粒径は、前述したように、炭素繊維片14の平均繊維径より小さければよい。具体的には、介在粒子15の平均粒径は、炭素繊維片14の平均繊維径の20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのがさらに好ましい。これにより、介在粒子15は、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に、特に入り込みやすくなる。また、介在粒子15の比表面積も特に大きくなる。
なお、下限値は、必ずしも設定されていなくてもよいが、介在粒子15同士が凝集しやすくなること、介在粒子15の取り扱いが難しくなること等の理由から、炭素繊維片14の0.01%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましく、0.10%以上であるのがさらに好ましい。
また、介在粒子15の平均粒径は、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、10nm以上80nm以下であるのがより好ましく、20nm以上60nm以下であるのがさらに好ましい。平均粒径が前記範囲内であれば、介在粒子15は、金属体11と炭素繊維片14との間や炭素繊維片14同士の間に、特に入り込みやすくなる。また、介在粒子15の比表面積も特に大きくなる。さらに、平均粒径が前記範囲内であれば、介在粒子15同士の凝集が抑制される。
介在粒子15の平均粒径は、顕微鏡で拡大観察した介在粒子15の観察像から、介在粒子15の長軸の長さと短軸の長さとの中間値を粒径として測定し、100個以上の測定データを平均した値である。なお、顕微鏡には、例えば走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡が好ましく用いられる。
金属体11に対する介在粒子15の添加量は、製造しようとするチクソ成形体100Aのマトリックス部200と第1Mg粒子部400および第2Mg粒子部500との存在比に応じて、適宜設定される。金属体11に対する介在粒子15の添加量の比率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
なお、介在粒子15は、構成材料が異なる2種類以上の粒子が混合された混合粒子であってもよい。また、その場合、粒子の種類ごとに粒径が異なっていてもよい。
また、介在粒子15には、必要に応じて、任意の表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、紫外線照射処理、粗面化処理、カップリング剤処理等が挙げられる。
なお、接着部13は、介在粒子15以外の物質を含んでいてもよい。その場合、介在粒子15以外の物質の含有量は、質量比で介在粒子15の含有量未満であればよく、好ましくは介在粒子15の10質量%以下とされ、より好ましくは5質量%以下とされる。
介在粒子15以外の物質としては、例えば前述した有機バインダーが挙げられる。有機バインダーは、介在粒子15による炭素繊維片14の固定を補強し、接着部13の接着力を高める。また、介在粒子15と有機バインダーとを併用することで、有機バインダーの使用量を抑えつつ、上記の効果を享受することができる。
5.1.第4実施形態が奏する効果
以上のように、接着部13は、有機バインダー、および、無機系酸化物を含有する介在粒子15、の少なくとも一方を含むことが好ましい。
これにより、接着部13は、金属体11と炭素繊維片14との間をより強固に接着する。その結果、金属体11から炭素繊維片14が脱落しにくくなり、最終的に、炭素繊維片14が均一に分散したチクソ成形体100、100Aを製造可能なチクソ成形用材料10、10Aが得られる。
また、介在粒子15は、例えば酸化ケイ素を含有する場合、前述したチクソ成形体100Aが含む第1Mg粒子部400や第2Mg粒子部500を析出させる。これらは、チクソ成形体100Aの剛性をさらに高めることに寄与する。
6.チクソ成形用材料の製造方法
次に、上述したチクソ成形用材料10、10Aを製造する方法の一例について説明する。
図7は、チクソ成形用材料10、10Aの製造方法を説明するための工程図である。
図7に示すチクソ成形用材料10、10Aの製造方法は、準備工程S102と、撹拌工程S104と、乾燥工程S106と、を有する。
6.1.準備工程
準備工程S102では、金属体11と、炭素繊維片14と、接着部13の原材料と、分散媒と、を含む混合物を準備する。この混合物は、十分な量の分散媒を用いて、金属体11、炭素繊維片14および接着部13の原材料を分散させた分散液である。接着部13の原材料は、介在粒子15および有機バインダー16の少なくとも一方である。
分散媒は、金属体11、炭素繊維片14および接着部13の原材料を変質させないものであれば、特に限定されない。分散媒の例としては、水、イソプロピルアルコール、アセトン等が挙げられる。なお、本工程では、あらかじめ作製された混合物を用意してもよい。また、分散媒に水を含めることで、金属体11、炭素繊維片14および介在粒子15の表面に、より高密度の水酸基を導入することができる。
6.2.撹拌工程
撹拌工程S104では、混合物を撹拌する。撹拌には、例えば、撹拌棒や撹拌子等を用いる方法、混合物を収容した容器に蓋をした状態で振とうする方法等が用いられる。このような撹拌により、介在粒子15を介して金属体11の表面に炭素繊維片14を付着させることができる。なお、炭素繊維片14の一部は、介在粒子15を介することなく、金属体11の表面に直接付着してもよい。また、炭素繊維片14は、この段階では、弱い付着力で金属体11の表面に付着していてもよい。
また、撹拌により、金属体11同士、炭素繊維片14同士および介在粒子15同士が凝集して塊になるのを抑制することができる。
6.3.乾燥工程
乾燥工程S106では、混合物を乾燥させる。これにより、介在粒子15や有機バインダー16を介して金属体11の表面に付着していた炭素繊維片14は、金属体11に対してより強固に付着する。例えば、介在粒子15の表面に存在する水酸基、および、金属体11や炭素繊維片14との表面に存在する水酸基と、の間が、水素結合等による弱い付着力で結びついているとき、本工程を経ることで、脱水縮合が生じ、より強い付着力で結びつくことになる。例えば、介在粒子15の表面にはシラノール基が存在している。したがって、本工程を経ると、シラノール基に脱水縮合が生じ、介在粒子15同士の間にシロキサン結合が生成され、介在粒子15が接着剤のように作用する。このようにして、炭素繊維片14が金属体11に固定される。また、有機バインダー16は、乾燥工程S106での加熱による溶融、固化を経て、炭素繊維片14を金属体11に固定させる。
乾燥には、混合物を加熱する方法、混合物をガスに曝す方法等が用いられる。このうち、混合物を加熱する場合には、例えば、ホットバス等を用いて混合物を入れた容器全体を加熱すればよい。なお、乾燥工程S106では、混合物中の全ての分散媒を除去してもよいが、一部の分散媒が除去されずに残ってもよい。
以上のようにして、チクソ成形用材料10、10Aが得られる。なお、混合物が有機バインダー16を含む場合には、乾燥工程S106の後、チクソ成形用材料10、10Aに脱脂処理を施すようにしてもよい。
以上、本発明のチクソ成形体およびチクソ成形用材料を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のチクソ成形体およびチクソ成形用材料は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
7.チクソ成形体の製造
7.1.サンプルNo.1
まず、金属体としてのマグネシウム合金チップと、炭素繊維片としてのピッチ系炭素短繊維と、介在粒子としての酸化ケイ素粒子と、分散媒としてのIPA(イソプロピルアルコール)と、を混合し、混合物を得た。なお、マグネシウム合金チップには、株式会社日本マテリアル製のAZ91D合金で構成された4mm×2mm×1mmのチップを用いた。なお、AZ91D合金は、9質量%のAlおよび1質量%のZnを含むMg基合金である。酸化ケイ素粒子には、IPA中にコロイド状に分散してなるコロイダルシリカを用いた。
なお、その他のチクソ成形用材料の製造条件は、表1に示す通りである。
次に、混合物を撹拌した。撹拌には、混合物を収容した容器を振とうする方法を用いた。
次に、撹拌した混合物を加熱し、乾燥させた。これにより、チクソ成形用材料を得た。
次に、得られたチクソ成形用材料を射出成形機に投入してチクソ成形を行い、サンプルNo.1のチクソ成形体を得た。射出成形機には、株式会社日本製鋼所製、マグネシウム射出成形機JLM75MGを使用した。表2にチクソ成形体断面の面積分率を示す。
7.2.サンプルNo.2~11
チクソ成形用材料の製造条件およびチクソ成形体の製造条件を表1および表2に示すように変更した以外は、サンプルNo.1の場合と同様にしてサンプルNo.2~11のチクソ成形体を得た。
7.3.サンプルNo.12
介在粒子としての酸化ケイ素粒子に加え、有機バインダーとしてのパラフィンワックスを添加したい以外は、サンプルNo.5の場合と同様にしてサンプルNo.12のチクソ成形体を得た。なお、金属体に対する有機バインダーの添加比率は、0.3質量%とした。
7.4.サンプルNo.13
チクソ成形用材料の製造条件およびチクソ成形体の製造条件を表1および表2に示すように変更した以外は、サンプルNo.1の場合と同様にしてサンプルNo.13のチクソ成形体を得た。
7.5.サンプルNo.14
介在粒子に代えて、有機バインダーとしてのパラフィンワックスを添加した以外は、サンプルNo.5の場合と同様にしてサンプルNo.14のチクソ成形体を得た。なお、金属体に対する有機バインダーの添加比率は、0.3質量%とした。
7.6.サンプルNo.15、16
チクソ成形用材料の製造条件およびチクソ成形体の製造条件を表1および表2に示すように変更した以外は、サンプルNo.14の場合と同様にしてサンプルNo.15、16のチクソ成形体を得た。
7.7.サンプルNo.17、18
炭素繊維片に代えて表1に示すグラファイト粉末を用いるようにした以外は、サンプルNo.1の場合と同様にしてサンプルNo.17、18のチクソ成形体を得た。
7.8.サンプルNo.19~21
チクソ成形用材料の製造条件およびチクソ成形体の製造条件を表1および表2に示すように変更した以外は、サンプルNo.1の場合と同様にしてサンプルNo.19~21のチクソ成形体を得た。
7.9.サンプルNo.22
マグネシウム合金チップを、そのまま、サンプルNo.22のチクソ成形用材料とみなした。
Figure 2024094948000002
なお、表1および表2では、各サンプルNo.のチクソ成形体のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」とした。
8.チクソ成形体の分析結果
各サンプルNo.のチクソ成形体を切断し、切断面を光学顕微鏡で観察した。そして、観察像から、マトリックス部、炭素繊維、第1Mg粒子部および第2Mg粒子部を特定した。
次に、第1Mg粒子部の面積分率S1、第2Mg粒子部の面積分率S2、および、炭素繊維の面積分率S3を算出した。そして、S1+S2、S1/S2、および、S3/(S1+S2)をそれぞれ算出した。算出結果を表2に示す。なお、サンプルNo.17、18については、記載の便宜上、グラファイト粉末の平均粒径および平均アスペクト比を、表1の平均繊維径および平均繊維長ならびに平均アスペクト比の欄に記載している。同様に、チクソ成形体におけるグラファイト粒子の面積分率を、表2の「炭素繊維の面積分率S3」の欄に記載している。
9.チクソ成形体の評価結果
9.1.熱伝導性
各サンプルNo.のチクソ成形体について、熱伝導率を測定した。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。なお、この評価は、サンプルNo.22の試験片の熱伝導率に対する相対評価とした。
A:熱伝導率が特に高い
B:熱伝導率が高い
C:熱伝導率がやや高い
D:熱伝導率がやや低い
E:熱伝導率が低い
F:熱伝導率が特に低い
評価結果を表2に示す。
9.2.剛性
各サンプルNo.のチクソ成形体について、引張弾性率(ヤング率)を測定した。そして、測定結果を以下の評価基準に照らして評価した。なお、この評価は、サンプルNo.22の試験片の引張弾性率に対する相対評価とした。
A:ヤング率が特に高い
B:ヤング率が高い
C:ヤング率がやや高い
D:ヤング率がやや低い
E:ヤング率が低い
F:ヤング率が特に低い
評価結果を表2に示す。
表2に示すように、各実施例で得られたチクソ成形体では、各比較例で得られたチクソ成形体に比べて、熱伝導性および剛性が高いことが認められた。また、チクソ成形用材料に介在粒子を添加した場合、添加しなかった場合に比べて、剛性の向上が顕著であった。
1…射出成形機、2…金型、5…ホッパー、6…ヒーター、7…加熱シリンダー、8…スクリュー、9…ノズル、10…チクソ成形用材料、10A…チクソ成形用材料、11…金属体、12…被覆部、13…接着部、14…炭素繊維片、15…介在粒子、16…有機バインダー、100…チクソ成形体、100A…チクソ成形体、101…表面、200…マトリックス部、300…炭素繊維、400…第1Mg粒子部、500…第2Mg粒子部、A…範囲、Cv…キャビティー、S102…準備工程、S104…撹拌工程、S106…乾燥工程

Claims (6)

  1. Mgを主成分とするマトリックス部と、
    前記マトリックス部に分散する炭素繊維と、
    を有し、
    断面における前記炭素繊維の面積分率が、1.0%以上30.0%以下であることを特徴とするチクソ成形体。
  2. 前記炭素繊維の平均繊維長は、15μm以上150μm以下である請求項1に記載のチクソ成形体。
  3. 前記炭素繊維の平均アスペクト比は、1.5以上20.0以下である請求項1または2に記載のチクソ成形体。
  4. Mgを主成分とする金属体と、
    前記金属体の表面に付着する炭素繊維片と、
    前記金属体と前記炭素繊維片との間に介在する接着部と、
    を有し、
    前記炭素繊維片の含有率が、1質量%以上20質量%以下であることを特徴とするチクソ成形用材料。
  5. 前記炭素繊維片の平均繊維長は、15μm以上150μm以下である請求項4に記載のチクソ成形用材料。
  6. 前記接着部は、有機バインダー、および、無機系酸化物を含有する介在粒子、の少なくとも一方を含む請求項4または5に記載のチクソ成形用材料。
JP2022211887A 2022-12-28 2022-12-28 チクソ成形体およびチクソ成形用材料 Pending JP2024094948A (ja)

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