JP2012140183A - 段付き容器の減容構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】包装用容器の使用後の容器容積の減少を可能とし、省スペース化を図ることにより廃棄や回収時の効率を高めることができ、必要なときのみ容器の減容積化を可能とする容器とその減容構造を提供する。
【解決手段】上部開口11から底面部14に向かって傾斜状に形成された容器本体側壁面15に容器本体側壁面を周回する段部20が形成され、段部の上下に周壁面部16が連接されてなる段付き容器10において、段部が平坦部21と逆V字状の屈曲部22とを有する易屈曲段部20として形成され、易屈曲段部の一側には容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部17が連接され、他側には容器本体に対して垂直な垂直周壁面部18が形成され、傾斜周壁面部は当該段付き容器の高さ方向に対して20°〜45°の傾斜角度として形成される。
【選択図】図3
【解決手段】上部開口11から底面部14に向かって傾斜状に形成された容器本体側壁面15に容器本体側壁面を周回する段部20が形成され、段部の上下に周壁面部16が連接されてなる段付き容器10において、段部が平坦部21と逆V字状の屈曲部22とを有する易屈曲段部20として形成され、易屈曲段部の一側には容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部17が連接され、他側には容器本体に対して垂直な垂直周壁面部18が形成され、傾斜周壁面部は当該段付き容器の高さ方向に対して20°〜45°の傾斜角度として形成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、段付き容器の減容構造に関し、特に容器を上下に圧迫することにより容積を縮小することができる段付き容器とこれに組み込まれる減容構造に関する。
容器の容積を減少させる手法として、容器の胴体部分の上下方向に連続する断面W字形状の収縮変形可能な蛇腹構造が一般に知られている(図20の断面模式図の容器90参照)。例えば、写真処理用の溶液の酸化変性を抑制するため、使用に伴って容器の容積を減少することができる容器が提案されている(特許文献1参照)。あるいは、容器容積を少なくすることにより、容器の搬送や廃棄、回収時の効率を改善した飲料等の液体用のポリエチレンテレフタレート製容器も提案されている(特許文献2等参照)。通常、特許文献等に開示され図20に示す容器90は、ブロー成形により瓶形状に成形される。ブロー成形の場合、成形用の金型の構造や製法により、容器形状に図示の蛇腹構造91を取り入れることが比較的容易である。そこで、蛇腹構造は専ら液体の包装容器分野において多く提案されている。
これに対して、惣菜や弁当等の食品、その他の加工食品類を収容する包装用容器の場合、容器全高よりも横幅が広がった皿や鉢等の形状が多用されている。そして、容器本体に蓋体を重ね合わせた形態が一般的である。この場合、たいてい合成樹脂製のシート状物から真空成形により容器本体や蓋体の形状に形成される。ところが、真空成形を用いて製造する容器において容器の胴体部分の上下方向に連続する断面W字形状の蛇腹構造を採用すると金型からの脱型が非常に難しい。このため、減容積化が模索されているものの、ほとんど実用化されていなかった。
次に、シリコーン樹脂製の鍋や水切り等の調理器具の場合、使用しないときの減容積化による収納効率の改善から、蛇腹構造が胴部分に採用される場合がある。シリコーン樹脂を用いた製品100の場合、図21の断面模式図から理解されるように、肉厚部分101と肉薄部分102が交互に設けられる。当該構造を採用することにより樹脂弾性を利用した蛇腹構造の可撓変形が可能となり減容積化をなし得る。しかし、合成樹脂製のシート状物から真空成形により容器を形成する場合、もともと均一な厚さの樹脂の薄板を加工するため、選択的に肉厚部分、肉薄部分を造り分けることは困難であった。そのため、図21に開示の蛇腹構造の採用には至らなかった。
このような現状より、惣菜や弁当等の食品や加工食品類を収容する包装用容器における減容積化は模索段階である。しかし、容器の廃棄、回収時の効率化、減容積化は、環境問題への取り組みの上から取り組むべき喫緊の課題である。そこで、惣菜や弁当等を喫食した後の容器の減容積化を可能とする新たな構造の容器が求められるに至った。
ここで、前出の特許文献1、2と別に、容器の胴体部分を効率良く折りたたむことができる容器が別途提案されている(特許文献3参照)。特許文献3の容器によると、図22に示すとおり、容器110の周壁部111の一部に斜面部112を形成し、この斜面部の上方に上側面部113を連続させ、同時に斜面部の下方に下側面部114を連続させている。上側面部及び下側面部は斜面部よりも急傾斜の面部としている。そして、各面部同士の接合部分115で屈曲させることにより、容器の高さを収縮する構造である。
特許文献3の容器の場合、容器の折りたたみを比較的容易に行うことができる。しかし、容器自体の当初の形状が簡単に変形してしまい、容器の形状維持性能が低下する問題がある。例えば、容器に物品を充填した後に蓋を被せる際に、蓋を押しつける圧力により容器が変形することがある。あるいは、商品の輸送や陳列の場面でもわずかな衝撃により変形が生じることがある。この場合、容器の見た目が悪くなることにより不良品扱いとなる他、商品の美観が損なわれて売れ行きの減少の原因となる。
それゆえ、使用後等の必要なときに簡単に容器の減容積化を可能とする性能と、生産や流通時、使用時等においては容器の当初形状を極力維持する性能の相反する要求を調和させる必要性が急務の課題となっていた。加えて、容器の形状はその中に充填する惣菜や弁当等の食品に応じて数多く提案されている。そのことから、折りたたみ変形を可能とする容器においても採用可能な形状を増やしたいとの希望も多い。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、惣菜や弁当等の食品や加工食品類を収容する包装用容器における使用後の容器容積の減少を可能とし、省スペース化を図ることにより廃棄や回収時の効率を高めることができ、しかも、通常は容器形状を維持して必要なときのみ容器の減容積化を可能とする新たな容器並びにその減容構造を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、上部開口と前記上部開口より小さい面積の底面部に向かって全体として傾斜状に形成された容器本体側壁面に、前記容器本体側壁面を周回する段部が形成され前記段部の上下に周壁面部が連接されてなる段付き容器において、前記段部が平坦部と容器内方端に形成された逆V字状の屈曲部とを有する易屈曲段部として形成されており、前記易屈曲段部の一側には容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部が連接されているとともに、他側には容器本体に対して垂直な垂直周壁面部が形成され、前記傾斜周壁面部は当該段付き容器の高さ方向に対して20°〜45°の傾斜角度として形成されており、前記容器本体に対して上下方向の圧力が加えられた際には、その力が前記垂直周壁面部に伝達され前記易屈曲段部の屈曲部を屈曲せしめ該垂直周壁面部と前記傾斜周壁面部とが前記容器本体の内外方向に折りたたまれることによって前記容器本体の上下方向の容積が減少するようにしたことを特徴とした段付き容器の減容構造に係る。
請求項2の発明は、前記易屈曲段部が前記容器本体側壁面に複数形成され、かつ前記傾斜周壁面部と前記垂直周壁面部とが交互に形成されている請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項3の発明は、前記底面部が前記垂直周壁面部の下縁と連接されている請求項2に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項4の発明は、前記下縁の縦断面形状は円弧状である請求項3に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項5の発明は、前記容器本体側壁面の横断面形状が円形もしくは楕円形である請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項6の発明は、前記容器本体側壁面の横断面形状が多角形である請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項7の発明は、前記容器本体が前記上部開口に嵌着される蓋部を有する請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項8の発明は、前記段付き容器が合成樹脂シートを真空成形することにより形成されている請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項9の発明は、前記段付き容器が1回のみの使用に用いられる使い切りの容器である請求項1に記載の段付き容器の減容構造に係る。
請求項1の発明に係る段付き容器の減容構造によると、上部開口と前記上部開口より小さい面積の底面部に向かって全体として傾斜状に形成された容器本体側壁面に、前記容器本体側壁面を周回する段部が形成され前記段部の上下に周壁面部が連接されてなる段付き容器において、前記段部が平坦部と容器内方端に形成された逆V字状の屈曲部とを有する易屈曲段部として形成されており、前記易屈曲段部の一側には容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部が連接されているとともに、他側には容器本体に対して垂直な垂直周壁面部が形成され、前記傾斜周壁面部は当該段付き容器の高さ方向に対して20°〜45°の傾斜角度として形成されており、前記容器本体に対して上下方向の圧力が加えられた際には、その力が前記垂直周壁面部に伝達され前記易屈曲段部の屈曲部を屈曲せしめ該垂直周壁面部と前記傾斜周壁面部とが前記容器本体の内外方向に折りたたまれることによって前記容器本体の上下方向の容積が減少するようにしたため、惣菜や弁当等の食品や加工食品類を収容する包装用容器における使用後の容器容積の減少を可能とし、省スペース化を図ることにより廃棄や回収時の効率を高めることができる。また、通常は容器形状を維持し必要なときのみ容易に容器の減容積化を可能とすることができる。
請求項2の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記易屈曲段部が前記容器本体側壁面に複数形成され、かつ前記傾斜周壁面部と前記垂直周壁面部とが交互に形成されているため、容器容積を多くする場合であっても、段部の設置数を複数にするため屈曲される部位が増して容積の減少効率を高めることができる。
請求項3の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記底面部が前記垂直周壁面部の下縁と連接されているため、最下段の垂直周壁面部と底面部は直交状に連接することになり強度が高まる。そこで、容器自体に不用意な変形を生じさせず容器形状を保持することができる。
請求項4の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記下縁の縦断面形状は円弧状であるため、縦断面円弧状の丸みにより、段付き容器の下部の角部分に加わる力は適切に分散される。
請求項5の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記容器本体側壁面の横断面形状が円形もしくは楕円形であるため、既存の折りたたみ機能のない容器と比べて形状の相違が少なく、作業上の違和感が小さい。
請求項6の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記容器本体側壁面の横断面形状が多角形であるため、多用な形状の折りたたみ機能を有する段付き容器を提示することができ、商品としての訴求効果も高まる。
請求項7の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記容器本体が前記上部開口に嵌着される蓋部を有するため、封止の利便性、取り扱い易さが向上する。
請求項8の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記段付き容器が合成樹脂シートを真空成形することにより形成されているため、合成樹脂シートを用いた真空成形による容器成形においても、容器本体に対し上下方向の圧力が加えられた際の折りたたみ変形を可能とすることができる。
請求項9の発明に係る段付き容器の減容構造によると、前記段付き容器が1回のみの使用に用いられる使い切りの容器であるため、食品包装用の容器とした場合の食品の衛生管理に都合よい。また、容器の廃棄も容易である。
図1の全体斜視図及び図2の全体側面図等に基づいて、本発明に規定する段付き容器10とこれに備えられる減容構造Sdについて説明する。図1、図2から理解されるように、第1実施例の段付き容器10には、上部開口11とこの上部開口11よりも小さな面積とする底面部14が備えられる。段付き容器10の上部開口11側から底面部14側に向かって全体として傾斜状に形成された容器本体側壁面15が備えられる。容器本体側壁面15の構造については、容器本体側壁面15の全周囲にわたって周回する段部(後述する易屈曲段部)20が形成される。そして、段部20を上下に挟むようにして周壁面部16が連接されている。
図示の第1実施例の段付き容器10は、上部開口11並びに底面部14をともに円形である。また、容器本体側壁面15の横断面形状も円形とし、容器本体側壁面15における段部20並びに周壁面部16も横断面を円形としている。よって、段付き容器10は、胴体部分を断面円形とするすり鉢状(椀状)の形状である。そして、段部20の上下に配置され段部20と連接している周壁面部16は、当該容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部17と、当該容器本体に対して垂直となる垂直周壁面部18の2種類である。当該段付き容器10の形状は、既存の折りたたみ機能のない容器と比べて形状の相違が少ないため、作業上の違和感が生じにくい。
第1実施例の段付き容器10は、容積変形を可能とするため合成樹脂材料が用いられ、しかも安価かつ簡便に量産して製造できることから合成樹脂のシートから形成される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂のシート(合成樹脂シート)、さらにはポリ乳酸等の生分解性の熱可塑性樹脂のシートである。合成樹脂シートの厚さは適宜ではあるものの、概ね1mm以下の厚さであり、通常、300μmないし700μmの厚さである。そして、前記の合成樹脂シートは真空成形により図示をはじめとする形状に成形される。上部開口と底面部を有するすり鉢状の容器形状の場合、合成樹脂シートを原料とした際の成形時の量産性、加工精度等を考慮すると真空成形が簡便かつ最適である。
後出の蓋部も合成樹脂シートから真空成形により形成される。容器と蓋部の組み合わせにおいて、合成樹脂シートの原料樹脂を同一種類としても異なる種類としてもよい。樹脂の種類は用途、内容物、包装対象により適宜選択される。なお、蓋部を紙やその他の可撓性素材から製造することもできる。
図1、図2に加えて図3の縦断面図からも把握されるように、段付き容器10では、上部開口11の周囲に開口縁部12が形成され、開口縁部12から容器10外部側に折り返される折り曲げ壁部13が形成される。開口縁部12や折り曲げ壁部13は蓋部40との嵌合に用いられる。符号10iは容器内部、13cは縁溝部、19は垂直周壁部の下縁である。また、図3中、符号41は包着部、42は接縁部、43は突状部、44は蓋面部である。
第1実施例の段付き容器10においては、段部(易屈曲段部)20は容器本体側壁面15に複数形成される。図示の段部20は3段形成される。そして、周壁面部16を構成する傾斜周壁面部17と垂直周壁面部18は、それぞれ交互に配置される。第1実施例の段付き容器10では、上部開口11から底面部14に向けて、傾斜周壁面部17、段部20、垂直周壁面部18、段部20、傾斜周壁面部17、段部20、垂直周壁面部18、そして底面部14となる配置である(図1ないし図3参照)。段部は屈曲部位となるため、容器容積を多くする場合であっても、段部の設置数を複数にするほど屈曲される部位が増し、より容積の減少効率を高めることができる。
また、底面部14は垂直周壁面部18の下縁19と連接している。実施例では、周壁面部16において最下段の垂直周壁面部18は、段部20を設けずに直接下縁19を介して底面部14と接続される。そして、下縁19は面取りされた角状に形成される。すなわち、下縁19の縦断面は円弧状である。段付き容器10の底面部14と周壁面部16が連接する下縁19は、どの部分よりも衝撃を受けやすい。そこで、下縁19を挟んで最下段の垂直周壁面部18と底面部14は直交状に連接することにより、下縁19付近の強度が高まる。さらに、下縁19に縦断面円弧状の丸みが形成されていることにより、段付き容器10の下部の角部分に加わる力は適切に分散される。この構造は、容器下部に不用意な変形を生じさせず容器形状を正常に保持する必要から採用されている。
図4は段部20の構造の詳細を示す拡大模式図である。同図のとおり、段付き容器10に形成される段部20は、平坦部21と、当該平坦部の容器内方端29に形成された逆V字状の屈曲部22とを有し、屈曲に供される易屈曲段部として形成される。以降、当該段部を易屈曲段部20として説明する。符号はともに20で同一である。
図4に示される2箇所の易屈曲段部20のうち、図示の垂直周壁面部18を基準に、その上側の上側易屈曲段部23では、上側易屈曲段部23の一側25(容器内中心から離れる側)は傾斜周壁面部17と接続し、同上側易屈曲段部23の他側26(容器内中心に近づく側)は垂直周壁面部18と接続する。垂直周壁面部18の下側の下側易屈曲部24については、下側易屈曲部24の一側27(容器中心に近づく側)が傾斜周壁面部17と接続し、同下側易屈曲部24の他側28(容器内中心から離れる側)が垂直周壁面部18と接続する。このように、易屈曲段部20の上下で傾斜周壁面部17と垂直周壁面部18は互い違いの連接となる。図4中、符号Vは段付き容器の高さ方向、θは傾斜周壁面部の傾斜角度である。
第1実施例の段付き容器10の上部開口11付近の最大直径(最外周)は146mm、変形前の容器全高は52mmである。当該段付き容器10に形成された易屈曲段部20の水平方向の幅は、平坦部21と屈曲部22を合わせて2mmないし3mmの範囲内である。また、下縁19の面取りされた部分は直径5mmの円弧である。易屈曲段部20の大きさは、段付き容器10を形成する材料、材質(前記する合成樹脂シートの厚み)、容器自体の大きさや形状、段部や周壁面部の数を勘案して最適に設計される。
図5は第1実施例の段付き容器10の圧迫変形後の全体斜視図であり、図6はその部分縦断面図である。段付き容器10を手で押しつぶす等により、段付き容器10に対して上下方向から圧力が加えられる。その際、加えられた押圧力は容器本体側壁面15の垂直周壁面部18に伝達される。垂直周壁面部18の向きからわかるように、垂直周壁面部18は上下方向からの圧力に抵抗し得る。垂直周壁面部18は圧迫により潰れる等の変形することはなく、垂直周壁面部18自体はそのままの状態を維持することができる。そこで、上下方向からの変形圧力が垂直周壁面部18に伝達されることによって、まず易屈曲段部20の屈曲部22が屈曲される。
続いて、垂直周壁面部18と傾斜周壁面部17のそれぞれが容器本体の内外方向に折りたたまれる。図5、図6と図1ないし図3との対比から理解されるように、垂直周壁面部18はほぼそのままの角度を維持したまま容器本体の内方向に折りたたまれる。そして傾斜周壁面部17は、当初の上側が広がる傾斜から下側が広がる傾斜に逆転して、容器内部に折りたたまれる。
段付き容器10は合成樹脂から形成されるため、樹脂弾性により容器圧迫時の押圧力を受けた後に折りたたみ変形は可能である。易屈曲段部の構造を単純化して考えた場合、平坦部あるいは屈曲部のいずれかのみから形成したとしても、樹脂弾性を利用して屈曲変形容易とも考えられる。この場合、易屈曲段部における円滑な屈曲変形を考慮して背景技術の図21に示したように肉厚を異ならせる構造が採用されることが多い。しかし、合成樹脂シートから真空成形により形成する場合、成形後の段付き容器の易屈曲段部の肉厚を周壁面部と所望の厚さに異ならせて成形することはほとんど不可能である。そこで、容器本体側壁面の肉厚を変化させる手法と異なる容易な屈曲を可能とする手法として、本発明の減容構造Sdを提唱することができる。
従来構造の段付き容器における段部は、比較的単純な構造からなり容器本体側壁面の全周囲にわたって周回されている。このため、仮に、屈曲を目的とした段部を平坦部あるいは屈曲部のいずれかのみとして形成した場合、面同士の接合方向の相違から段部構造自体が容器の変形を抑制する構造体(補強部位)として作用してしまう。つまり、段部と連接する周壁面部の接合角度を大きく変化させることは難しい。この結果、容器の減容のためには過大な押圧力を必要とし簡単な容積減少は可能とは言いがたく、単なる容器の破壊となってしまう。
これに対し、本発明の減容構造Sdとして組み入れた易屈曲段部20は、平坦部21と屈曲部22の2部分を備えて構成される。易屈曲段部20を構成する平坦部21及び屈曲部22は、図4、図6等の断面図のとおり、連接する垂直周壁面部18または傾斜周壁面部17に対し、それぞれが接合角度を容易に変化できるヒンジ構造となる。そのため、易屈曲段部20が容器本体側壁面15の全周囲にわたって周回されている構造を有しながらも、平坦部21側、屈曲部22側のそれぞれにおいて各部が連接する周壁面部16側から圧迫時の押圧力を受けた際、いったん易屈曲段部20は圧迫時の押圧力を吸収することができる。つまり、易屈曲段部20は平坦部21と屈曲部22の2部分とすることにより、段部構造に起因する容器の変形を抑制する構造体(補強部位)としての作用を都合良く弱めることができる。
その上で、易屈曲段部20の平坦部21、屈曲部22のそれぞれ各部において、平坦部21及び屈曲部22が連接する周壁面部16との位置関係から、各部は独自に屈曲変形可能となる。このことから、圧迫時の押圧力に柔軟に対応して易屈曲段部20の平坦部21または屈曲部22のいずれかと連接する垂直周壁面部18または傾斜周壁面部17の連接角度は容易に変化する。そして、傾斜周壁面部17の傾斜方向は当初の向きから変化させられ、同時に垂直周壁面部18は内部に引き込まれる。ゆえに、容器本体側壁面15における傾斜周壁面部17と垂直周壁面部18の折りたたみ変形により容器全体としての容積減少が可能となる。
加えて、いったん易屈曲段部20が屈曲変形し垂直周壁面部18と傾斜周壁面部17との折りたたみ変形が生じた後は、強引に容器本体側壁面15を引き延ばさない限り易屈曲段部20は当初の形状に復帰しない。段付き容器10を形成する素材の剛性、つまり段付き容器10を形成する合成樹脂シートの剛性や、易屈曲段部20が容器本体側壁面15の全周囲にわたって周回されている構造特性等が作用するためである。そこで、このような減容構造Sdを具備することによって、必要とするときに、段付き容器10の上下方向の容積減少は可能となり、容積減少状態の維持も可能である。
段付き容器10の容器本体側壁面15の周壁面部16については、単に傾斜周壁面部17とすることも可能である。しかしながら、傾斜周壁面部17のみ連続させる構造では、段付き容器10自体の内容積が減少し過ぎてしまうため、容器容量の点からは好ましくない場合もある。また、上下方向のみならず斜めからの圧迫変形にも脆弱化するおそれもある。そこで、容器の容積確保と不必要な変形の防止を勘案して、段付き容器10の容器本体側壁面15に傾斜周壁面部17と垂直周壁面部18をそれぞれ交互に備えることとしている。
ここで、前出の図4を用い、傾斜周壁面部に必要とされる傾斜角度について述べる。傾斜周壁面部17は垂直周壁面部18と連接して段付き容器10の容器本体側壁面15を構成している。そして、傾斜周壁面部17は、当該段付き容器10の高さ方向V(底面部14と直交する垂直方向(垂線))に対して20°ないし45°の容器内部10i側(内側)に傾斜する傾斜角度θの傾きとして形成される(20°≦θ≦45°)。そして、好ましくは25°ないし45°(25°≦θ≦45°)であり、さらに好ましくは30°ないし40°(30°≦θ≦40°)である。図4の段付き容器10によると、傾斜周壁面部17の傾斜角度θは30°である。後記の実施例における発明者らの検証を踏まえ、傾斜角度θの範囲値は前記のとおり規定される。
傾斜周壁面部17の傾斜角度θが20°よりも少なくなる場合、傾斜周壁面部17自体が垂直に近づくこととなり、垂直周壁面部18との相違がなくなる。このため、段付き容器10に上下方向の押圧力が加わった場合、傾斜周壁面部17は当該押圧力を受け止め、易屈曲段部20の変形を生じにくくしてしまう。従って、段付き容器10の折りたたみに際しては過剰な押圧力を必要とすることになり、簡便な容器の容積減少に逆行する。そこで、傾斜周壁面部の傾斜角度の下限として20°が限界となる。
傾斜周壁面部17の傾斜角度θが45°よりも大きくなる場合、傾斜周壁面部17の傾斜は大きくなる。従って、段付き容器10の上下方向から加わった押圧力により、傾斜周壁面部17の傾斜方向は簡単に当初の向きから変化させられ、同時に垂直周壁面部18は内部に引き込まれる。この作用についてさらに詳しく述べる。傾斜周壁面部17に上下方向から加わる押圧力は、傾斜周壁面部の傾斜角度等により分解される。傾斜周壁面部17の傾斜角度θが45°よりも大きくなる場合、押圧力の分解が生じたとしても、垂直方向の力が相対的に大きくなる。そのため、押圧力が直接傾斜周壁面部をその上下から押しつぶし向きに作用する。
従って、傾斜周壁面部の傾斜角度θが45°よりも大きくなる段付き容器は、折りたたみ変形においては有利であるものの、逆に軽い荷重でも簡単に変形してしまうことから、容器に物品を充填した後に蓋を被せる際に蓋を押しつける圧力により容器が変形することがある。あるいは、商品の輸送や陳列の場面でもわずかな衝撃により変形が生じることがある。これらの点を勘案すると、傾斜周壁面部の傾斜角度の上限として45°が限界となる。
これまで図示し詳述した段付き容器10は、主に、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、デパート等の小売店にて販売される弁当、惣菜、デザート類等の食品の包装に用いられる容器である。むろん、その他の物品の包装にも用いることは可能である。そして、主に、段付き容器10が想定する用途は、ワンウェイ(one−way)やディスポーザブル(disposable)等と称される1回のみの使用に用いられる使い切り容器(使い捨て容器)である。使い切り容器とすることにより、食品の衛生管理に都合よい。そして、喫食後に空になった容器について、図5、図6に開示のとおり容器の容積は簡単に減少する。このことにより、使用済み容器の廃棄、その回収時の効率を高めることができる。
次に、図3及び図6に示し、段付き容器10の容器本体には、その上部開口11に蓋部40が嵌着される。すなわち、蓋付きの容器として利用される。蓋部40自体は段付き容器10に必ずしも必須ではない。しかしながら、容器の封止の利便性、取り扱い易さ等を考慮して嵌着可能な蓋部が備えられる。
実施例にて開示の段付き容器10の場合、上部開口11の周囲に開口縁部12が形成され、蓋部40の接縁部42は開口縁部12に当接する。開口縁部12から容器10外部側に折り返して形成される折り曲げ壁部13に対し包着部41が外嵌し被さる。さらに、段付き容器10と蓋部40との嵌着性能を向上させるため、まず、折り曲げ壁部13に凹状となる縁溝部13cが形成される。そして、包着部41には突状部43が形成される。図示から理解されるように、突状部43が縁溝部13cを目指して嵌る形態となる。そこで、折り曲げ壁部13(縁溝部13c)と包着部41(突状部43)との接触抵抗が増して段付き容器10と蓋部40との嵌着力が高まる。
段付き容器10にあっては、その減用構造Sdの易屈曲段部20が屈曲変形し、傾斜周壁面部17及び垂直周壁面部18のみが折りたたまれる。容器本体側壁面15に形状変形が生じたとしても、上部開口11や底面部14の変形は回避される。段付き容器10が圧迫変形されたとしても、変形の前後を通して上部開口11と蓋部40との嵌合は可能である。従って、段付き容器10内に喫食後の食べ残しや液状物等が残留していたとしても、段付き容器10を押しつぶした後も引き続き折りたたまれた段付き容器10の内部10iに保持される。容器を廃棄する際の内容物の漏出を避けることができ、利用者は不快な思いを感じずに済む。
なお、段つき容器の用途、容器内に収容される物品の種類、特性等により、上部開口にフィルムをヒートシール等により接着することも可能である。あるいは、上部開口へのフィルムのヒートシールに加え、さらに蓋部を被せて嵌着させることもできる。
第2実施例に係る段付き容器10xについて、図7の全体斜視図及び図8の全体側面図を含めて説明する。第2実施例の段付き容器10xは、上部開口11並びに容器本体側壁面15の横断面形状を楕円形とする容器形状である。段付き容器10xは、易屈曲段部20を容器本体側壁面15に2段形成している。そのため、周壁面部16には、傾斜周壁面部17、垂直周壁面部18、傾斜周壁面部17が備えられた形状となる。第2実施例の段付き容器10xは、第1実施例の段付き容器10の椀や鉢であるよりも、浅く形成することができる。この段付き容器10xは、折りたたみ変形により容積減少可能とする適度な深さのある皿形状に仕上げることができる。
第2実施例の段付き容器10xは、全体の形状、易屈曲段部20(傾斜周壁面部17及び垂直周壁面部18)の個数を除く構造において、第1実施例の段付き容器10にて図示し詳述した構造、材質と同様である。また、減用構造Sdにおける容器本体に対して上下方向から圧力を加えて容器を圧迫変形させる際の易屈曲段部20と、傾斜周壁面部17及び垂直周壁面部18との相互の作用は、前述と同様である。押圧力は易屈曲段部20に吸収されるとともに、平坦部21、屈曲部22のそれぞれ各部において独自に屈曲変形して、傾斜周壁面部17は向きを変えて折りたたまれる。こうして、段付き容器10xの上下方向の容積も減少可能となる。
第2実施例の段付き容器10xについても、図示してはいないが、その上部開口11に蓋部が嵌着される。蓋部の作用は前述の第1実施例の段付き容器10と同様である。当該段付き容器10xの傾斜周壁面部17の傾斜角度θも30°である。
第3実施例に係る段付き容器10yについて、図9及び図10を含めて説明する。図9の全体平面図から把握されるように、段付き容器10yは、上部開口11並びに容器本体側壁面15の横断面形状を多角形のひとつである四角形とする容器形状である。なお、段付き容器10yでは、辺部分が容器内部側に湾曲している。段付き容器10yは、易屈曲段部20を容器本体側壁面15に4段形成している。図10は図9のy−y線における部分拡大端面図である。上部開口11の開口縁部12から底面部14に向けて、垂直周壁面部18、易屈曲段部20、傾斜周壁面部17、易屈曲段部20、垂直周壁面部18、易屈曲段部20、傾斜周壁面部17、易屈曲段部20、及び垂直周壁面部18のとおり易屈曲段部20の上下に周壁面部16が連接され、容器本体側壁面15が形成される。
段付き容器10yの最大幅は170mm、全高は54.7mmである。段付き容器10yの場合、易屈曲段部20の数を増やすことにより、容器の容器本体側壁面15を当初の長さからより小さくすることができる。特に、高さのある容器に適用した場合に折りたたみ効果を発揮する。
第4実施例に係る段付き容器10zについて、図11及び図12を含めて説明する。図11の全体平面図から把握されるように、段付き容器10zは、上部開口11並びに容器本体側壁面15の横断面形状を多角形のひとつである八角形とする容器形状である。段付き容器10zは、易屈曲段部20を容器本体側壁面15に3段形成している。図12は図11のz−z線における部分拡大端面図である。上部開口11の開口縁部12から底面部14に向けて、傾斜周壁面部17、易屈曲段部20、垂直周壁面部18、易屈曲段部20、傾斜周壁面部17、易屈曲段部20、及び垂直周壁面部18のとおり易屈曲段部20の上下に周壁面部16が連接され、容器本体側壁面15が形成される。
段付き容器10zの最大幅は180mm、全高は51mmである。段付き容器10zの場合も同様に、容器の容器本体側壁面15を当初の長さからより小さくすることができる。段付き容器10zの開口部の大きな椀形状であっても、折りたたみによる減容積は可能である。
第3実施例の段付き容器10y、第4実施例の段付き容器10zは、全体の形状、易屈曲段部20(傾斜周壁面部17及び垂直周壁面部18)の個数を除く構造において、第1実施例の段付き容器10にて図示し詳述した構造、材質と同様である。また、減用構造Sdにおける容器本体に対して上下方向から圧力を加えて容器を圧迫変形させる際の易屈曲段部20と、傾斜周壁面部17及び垂直周壁面部18との相互の作用は、前述と同様である。押圧力は易屈曲段部20に吸収されるとともに、平坦部21、屈曲部22のそれぞれ各部において独自に屈曲変形して、傾斜周壁面部17は向きを変えて折りたたまれる。こうして、段付き容器10y,10zの上下方向の容積も減少可能となる。
第3実施例の段付き容器10y、第4実施例の段付き容器10zについても、図示してはいないが、その上部開口11に蓋部が嵌着される。蓋部の作用は前述の第1実施例の段付き容器10と同様である。当該段付き容器10x、10z双方の傾斜周壁面部17の傾斜角度θも30°である。
第3,第4実施例の段付き容器10y,10zのとおり、横断面形状を多角形とする容器においても易屈曲段部を備えることにより、容器の折りたたみ変形を可能としている。従って、横断面形状が円形や楕円形以外の形状の容器にも適用対象を拡張することができる。それゆえ、用途、内容物等の容器需要者の要望に柔軟に対応した形状の折りたたみ機能を有する段付き容器を提示することができ、商品としての訴求効果も高まる。
〔段付き容器の試作〕
発明者らは、易屈曲段部の上下に傾斜周壁面部と垂直周壁面部が連接する段付き容器において、容器の垂直方向に対する傾斜周壁面部の傾斜角度の相違が容器の折りたたみ時に必要な押圧力に影響すると予想した。そこで、同一の材料、同一最大直径、及び同一全高とし、傾斜周壁面部の傾斜角度を変更した7種類の段付き容器を試作した(試作例1ないし7)。そして、容器の形状変形(座屈)が生じたときの応力(座屈応力)を測定し、比較した。いずれの容器の試作に際し、厚さ0.33mmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製シートを用い、真空成形により成形した。併せて、同一材料を用い、前出の第3実施例の段付き容器(断面四角形)及び第4実施例の段付き容器(断面八角形)も試作した(試作例8,9)。容器寸法は前出のとおりである。
発明者らは、易屈曲段部の上下に傾斜周壁面部と垂直周壁面部が連接する段付き容器において、容器の垂直方向に対する傾斜周壁面部の傾斜角度の相違が容器の折りたたみ時に必要な押圧力に影響すると予想した。そこで、同一の材料、同一最大直径、及び同一全高とし、傾斜周壁面部の傾斜角度を変更した7種類の段付き容器を試作した(試作例1ないし7)。そして、容器の形状変形(座屈)が生じたときの応力(座屈応力)を測定し、比較した。いずれの容器の試作に際し、厚さ0.33mmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製シートを用い、真空成形により成形した。併せて、同一材料を用い、前出の第3実施例の段付き容器(断面四角形)及び第4実施例の段付き容器(断面八角形)も試作した(試作例8,9)。容器寸法は前出のとおりである。
試作例1ないし7の段付き容器の外観について、図13ないし図19の全体側面図として参照することができる。各図とも変形前の状態であり、前出の図1等と共通する部位に同一の符号を用いた。なお、試作例8,9の傾斜周壁面部の傾斜角度は30°であり、図9ないし図12に開示と同様であるため、試作例としての図示を省略する。
試作例1は図13に示す段付き容器P1であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ1は15°である。
試作例2は図14に示す段付き容器P2であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ2は20°である。
試作例3は図15に示す段付き容器P3であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ3は30°である。図15は図2と同様である。傾斜角度の比較、参照のために再度掲載した。
試作例4は図16に示す段付き容器P4であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ4は40°である。
試作例5は図17に示す段付き容器P5であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ5は45°である。
試作例6は図18に示す段付き容器P6であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ6は50°である。
試作例7は図19に示す段付き容器P7であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ7は60°である。
試作例1は図13に示す段付き容器P1であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ1は15°である。
試作例2は図14に示す段付き容器P2であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ2は20°である。
試作例3は図15に示す段付き容器P3であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ3は30°である。図15は図2と同様である。傾斜角度の比較、参照のために再度掲載した。
試作例4は図16に示す段付き容器P4であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ4は40°である。
試作例5は図17に示す段付き容器P5であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ5は45°である。
試作例6は図18に示す段付き容器P6であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ6は50°である。
試作例7は図19に示す段付き容器P7であり傾斜周壁面部17の傾斜角度θ7は60°である。
〔座屈強度の測定〕
段付き容器における座屈強度の測定に際し、荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製,MODEL−1310F)を用い、次の2とおりの試験を行った。試験の結果は、後出の表1及び表2である。試作例ごとの平均値、標準偏差を示す。
段付き容器における座屈強度の測定に際し、荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製,MODEL−1310F)を用い、次の2とおりの試験を行った。試験の結果は、後出の表1及び表2である。試作例ごとの平均値、標準偏差を示す。
〈一点押さえ試験〉
各試作例の段付き容器の底面部を荷重測定器の固定盤に載置し、その開口縁部12の一点に対して荷重測定器の直径30mmの円筒状の押圧体を30mm/minの測定速度により押下した。そして、試作例の段付き容器が押圧力により座屈した時点の応力(単位:N)を読みとった。なお、一点押さえとなるため、測定中に容器が傾かない程度に軽く手を添え、容器の姿勢を保持した。また、試作例8,9の段つき容器は角部分の開口縁部への押下とした。1種類の傾斜角度の試作例につき新品の段つき容器を5個用意し、いずれも同様に応力を測定した。そして、これら5個の容器の座屈時点の応力を平均して当該試作例における座屈時の応力とした。
各試作例の段付き容器の底面部を荷重測定器の固定盤に載置し、その開口縁部12の一点に対して荷重測定器の直径30mmの円筒状の押圧体を30mm/minの測定速度により押下した。そして、試作例の段付き容器が押圧力により座屈した時点の応力(単位:N)を読みとった。なお、一点押さえとなるため、測定中に容器が傾かない程度に軽く手を添え、容器の姿勢を保持した。また、試作例8,9の段つき容器は角部分の開口縁部への押下とした。1種類の傾斜角度の試作例につき新品の段つき容器を5個用意し、いずれも同様に応力を測定した。そして、これら5個の容器の座屈時点の応力を平均して当該試作例における座屈時の応力とした。
一点押さえ試験とは、例えば、容器に蓋を被せて内容物を封止する際の指標としての意味を持つ。すなわち、応力値が小さければ簡単に容器が変形してしまい、蓋による封止作業に支障を来すおそれがある。そのため、当該試験において適度な応力値を備えることが容器性能として必要である。
〈全面押さえ試験〉
各試作例の段付き容器の底面部を荷重測定器の固定盤に載置し、その開口縁部12の全面に対して容器直径よりも十分に大きな円盤状の荷重測定器の押圧体を30mm/minの測定速度により平行を維持しながら押下した。一点押さえ試験と同様に、1種類の傾斜角度の試作例につき新品の段つき容器を5個用意し、いずれも同様に応力を測定した。そして、これら5個の容器の座屈時点の応力を平均して当該試作例における座屈時の応力とした。
各試作例の段付き容器の底面部を荷重測定器の固定盤に載置し、その開口縁部12の全面に対して容器直径よりも十分に大きな円盤状の荷重測定器の押圧体を30mm/minの測定速度により平行を維持しながら押下した。一点押さえ試験と同様に、1種類の傾斜角度の試作例につき新品の段つき容器を5個用意し、いずれも同様に応力を測定した。そして、これら5個の容器の座屈時点の応力を平均して当該試作例における座屈時の応力とした。
全面押さえ試験とは、本発明が目的とする簡便な折りたたみ変形による減容化の指標としての意味を持つ。すなわち、商品の輸送、陳列等の取り扱い時に容器形状を維持する性能が必要であり、使用後に過大な押圧力を容器に加えなくても簡単に手で押しつぶすことができる性能が必要である。そこで双方性能を併せ持つための評価である。
〔結果と考察〕
一点押さえ試験及び全面押さえ試験の結果より、各試作例の傾斜角度の容器であっても座屈は生じた。その中でも、傾斜周壁面部の傾斜角度の増加に伴い、測定応力値の低下は明らかとなった。一点押さえ試験の応力値のみに着目した場合、試作例5,6,7の応力値の変化を勘案すると、ある程度の座屈耐性を備える必要がある。従って、容器の取り扱い等の作業性を勘案して傾斜周壁面部の傾斜角度の上限を試作例5の容器P5から45°と規定し、より好ましくは試作例4の容器P4から40°と規定した。
一点押さえ試験及び全面押さえ試験の結果より、各試作例の傾斜角度の容器であっても座屈は生じた。その中でも、傾斜周壁面部の傾斜角度の増加に伴い、測定応力値の低下は明らかとなった。一点押さえ試験の応力値のみに着目した場合、試作例5,6,7の応力値の変化を勘案すると、ある程度の座屈耐性を備える必要がある。従って、容器の取り扱い等の作業性を勘案して傾斜周壁面部の傾斜角度の上限を試作例5の容器P5から45°と規定し、より好ましくは試作例4の容器P4から40°と規定した。
ところが、全面押さえ試験の結果、試作例1の容器P1や試作例2の容器P2の座屈時の押圧力は、他の例の容器よりも極端に大きくなった。この結果は、使用後に容器を押しつぶして容器を折りたたむときに過大な力を必要とすることを意味する。従って、試作例1や試作例2の傾斜周壁面部の傾斜角度を踏まえた結果、傾斜角度の下限を試作例2から20°と規定し、好ましくは試作例2と試作例3の中間から25°と規定し、さらに好ましくは試作例3から30°と規定した。
両試験の評価を重ねることにより、本発明に規定する減容構造を有する段付き容器の段付き容器の高さ方向に対する適切な傾斜周壁面部の傾斜角度を導くことができる。すなわち、通常は容器形状を維持し、必要なときのみ容器の減容積化を可能とする特性を発揮する傾斜周壁面部の傾斜角度は、20°ないし40°の範囲であり、好ましくは25°ないし45°の範囲であり、さらに好ましくは30°ないし40°の範囲である。
さらに、段付き容器の断面形状が円形以外の試作例8(四角形)や試作例9(八角形)も同様に座屈を示した。このことは、折りたたみ変形可能な段付き容器を形成する場合の形状は断面円形以外にも可能であることを示唆する。なお、試作例9の八角形容器の全面押さえ試験の応力値が大きかった理由について、容器の深さや形状等により、樹脂製シートを真空成形する際の引き延ばし量が試作例8の四角形容器少なく比較的肉厚に仕上がったためと考える。また、容器の内容積が他の容器よりも多いため、全面押さえの際に押圧に対して空気の抵抗が生じたと推測する。
これまでに図示し詳述した実施例及び試作例の段付き容器並びに段付き容器に組み込まれた減容構造を適用することにより、比較的簡単に使用後の容器の容積を減少することができる。そこで、容器を廃棄、回収する際、省スペース化が進み回収効率を改善することができる。資源として使用済み容器の回収に要する経費軽減に貢献することは、環境問題への取り組みにおいて重要である。それゆえ、使用後の容器容積の減少は、小売店等の容器の使用者、購入者等の容器の利用者等に対して大きな訴求力を発揮し得る。
なお、本発明の容器における段付き容器においては、傾斜周壁部の傾斜角度を規定の範囲に収める限り、大きさ、形状、さらには易屈曲段部(傾斜周壁面部及び垂直周壁面部)の数等は、人の手により押しつぶし可能な範囲内において、容器の使用目的、用途、内容物を勘案して選択される。このため、図示し詳述した実施例のみには限定されない。また、垂直周壁面部は厳密に垂直に限定されるわけではなく、金型からの取り外し等を考慮してわずかながら傾斜が設けられる場合も含まれる。
10,10x,10y,10z 段付き容器
10i 容器内部
11 上部開口
12 開口縁部
13 折り曲げ壁部
13c 縁溝部
14 底面部
15 容器本体側壁面
16 周壁面部
17 傾斜周壁面部
18 垂直周壁面部
19 垂直周壁部の下縁
20 段部(易屈曲段部)
21 平坦部
22 屈曲部
40 蓋部
41 包着部
42 接縁部
43 突状部
44 蓋面部
Sd 減容構造
V 段付き容器の高さ方向
θ 垂直周壁面部の傾斜角度
10i 容器内部
11 上部開口
12 開口縁部
13 折り曲げ壁部
13c 縁溝部
14 底面部
15 容器本体側壁面
16 周壁面部
17 傾斜周壁面部
18 垂直周壁面部
19 垂直周壁部の下縁
20 段部(易屈曲段部)
21 平坦部
22 屈曲部
40 蓋部
41 包着部
42 接縁部
43 突状部
44 蓋面部
Sd 減容構造
V 段付き容器の高さ方向
θ 垂直周壁面部の傾斜角度
Claims (9)
- 上部開口と前記上部開口より小さい面積の底面部に向かって全体として傾斜状に形成された容器本体側壁面に、前記容器本体側壁面を周回する段部が形成され前記段部の上下に周壁面部が連接されてなる段付き容器において、
前記段部が平坦部と容器内方端に形成された逆V字状の屈曲部とを有する易屈曲段部として形成されており、前記易屈曲段部の一側には容器本体に対して上側が広い傾斜周壁面部が連接されているとともに、他側には容器本体に対して垂直な垂直周壁面部が形成され、
前記傾斜周壁面部は当該段付き容器の高さ方向(V)に対して20°〜45°の傾斜角度(θ)として形成されており、
前記容器本体に対して上下方向の圧力が加えられた際には、その力が前記垂直周壁面部に伝達され前記易屈曲段部の屈曲部を屈曲せしめ該垂直周壁面部と前記傾斜周壁面部とが前記容器本体の内外方向に折りたたまれることによって前記容器本体の上下方向の容積が減少するようにしたことを特徴とした段付き容器の減容構造。 - 前記易屈曲段部が前記容器本体側壁面に複数形成され、かつ前記傾斜周壁面部と前記垂直周壁面部とが交互に形成されている請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記底面部が前記垂直周壁面部の下縁と連接されている請求項2に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記下縁の縦断面形状は円弧状である請求項3に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記容器本体側壁面の横断面形状が円形もしくは楕円形である請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記容器本体側壁面の横断面形状が多角形である請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記容器本体が前記上部開口に嵌着される蓋部を有する請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記段付き容器が合成樹脂シートを真空成形することにより形成されている請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
- 前記段付き容器が1回のみの使用に用いられる使い切りの容器である請求項1に記載の段付き容器の減容構造。
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-
2011
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