JP2012139963A - ガスバリア性積層体フィルムとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、及びガスバリア性に優れるロール状ガスバリア性積層体フィルム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】籠型シルセスキオキサン構造を有する硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が2000MPa以上10000MPa以下、線膨張係数が80ppm/K以下、及びガラス転移温度が300℃以上である第一の層と、籠型シルセスキオキサン構造を有した硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が100MPa以上であって、第一の層の引張弾性率の80%以下であり、且つ塑性変形を示し、ガラス転移温度が300℃以上である第二の層とが、厚み比率(第二の層の厚み÷第一の層の厚み)0.01以上5.0以下で積層されてなり、かつ、その一方の面又は両方の面にガスバリア層を設けたガスバリア性積層体フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、及び寸法安定性に優れたガスバリア性積層体フィルムとその製造方法に関するものである。
従来、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパーなどに代表されるフラットパネルディスプレイには、ガラス材料が用いられてきた。しかしながら近年、ディスプレイには、薄型化、軽量化、大画面化、意匠性、耐衝撃性が求められ、屈曲や衝撃に対して割れやすい、比重が大きい、柔軟性および加工性に乏しい等の課題を有するガラス材料に代わって、プラスチックフィルムの適応が検討されている。プラスチックフィルムは、ガラス材料に比べ軽量、屈曲や衝撃に対して割れにくい、ロールtoロール生産方式に適応可能などの特徴を有する。特に、フレキシブルディスプレイの製造を目的とした場合には、好適である。
しかしながら、プラスチックフィルムはガラスに比べて耐熱性が低く、熱膨張や水蒸気の吸収・脱水による寸法安定性に劣るといった問題がある。例えば、プラスチックフィルムをディスプレイ用基板として用いる場合、カラーフィルター形成工程、薄膜トランジスタ形成工程、パネルの張り合わせ工程、配向膜形成工程、透明電極形成工程などの各種製造工程において、高いプロセス温度や水洗浄過程に繰り返し曝されることから、熱酸化劣化による基板へのダメージや熱膨張や水の吸収・脱水による寸法変動挙動が大きく、精度の高いディスプレイを作成することが困難である。
上記のような熱プロセスで受ける基板への影響を防ぐために、プラスチックフィルム上に無機や有機化合物からなる薄膜(ガスバリア層とする)を形成し、ガスバリア性を持たせたガスバリアフィルムの検討が行われている。ガスバリア層を設けることで、基板と酸素との接触を遮断し熱酸化劣化を防ぐ、また基板の吸水率を低下させ、寸法変動挙動を抑えることが可能となる。さらにガスバリア層は、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子と、酸素や水蒸気等の外部から侵入するガスとの接触を遮断し、発光性能の劣化を防止する役割を有する。
上記のような要求に対する材料として、ポリカーボネートフィルムやポリエステルフィルムなどの透明プラスチックフィルム上にガスバリア層を形成した成形物(特許文献1参照)、ロール状成形物(特許文献2参照)が提案されている。また、積層体として、可撓性基材の片面又は両面に、厚さ0.1〜10μmのアクリル系樹脂層及び厚さ20〜100nmの無機ガスバリア層を順次積層した積層構造を設けた材料も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、このような材料は、透明性、柔軟性に優れたフィルムを得られるものの、フィルムのガラス転移温度が200℃以下であるため、150℃〜200℃以上の高温プロセスにおいて、フィルムの熱膨張によるガスバリア層の割れによりガスバリア性が保持できない、また熱によるフィルムの変形といった問題が生じる。
特開2007−268711号公報 特開2000−338901号公報 特開2005−313560号公報
プラスチックフィルム等の基材上にガスバリア層を形成する際、なるべく高温で形成させることで、緻密な膜構造となりガスバリア性能を高めることが可能となる。さらに加熱プロセスを想定し、基材の熱膨張による寸法変化の絶対量を小さくすることにより、ガスバリア層へのストレスを抑えてガスバリア層のクラックを防ぐことに繋がる。そのため耐熱性に優れ、低熱膨張性のプラスチックフィルムにガスバリア層を設けたガスバリアフィルムが求められている。
フィルムを効率良く、高い生産性を確保して得るためには、長尺なフィルムを連続的に製造するロールtoロール方式での生産が重要となる。ロールtoロール生産時に搬送、巻き取りなどのストレスに対しフィルムが破断しない強度が必要とされる。
本発明は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、及びガスバリア性に優れるロール状ガスバリア性積層体フィルム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の問題を鑑みて鋭意検討を重ねた結果、籠型シルセスキオキサン構造を含有した硬化性樹脂からなる層を積層した積層物に高温でガスバリア層をロールtoロール方式で連続的に設けることで、これまでの課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、籠型シルセスキオキサン構造を有する硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が2000MPa以上10000MPa以下、線膨張係数が80ppm/K以下、及びガラス転移温度が300℃以上である第一の層と、籠型シルセスキオキサン構造を有した硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が100MPa以上であって、第一の層の引張弾性率の80%以下であり、且つ塑性変形性を有して、ガラス転移温度が300℃以上である第二の層とが積層された積層体フィルムであって、第二の層と第一の層との厚み比率(第二の層の厚み÷第一の層の厚み)が0.01以上及び5.0以下であり、かつ、この積層体フィルムの一方の面、又は両方の面には、ガスバリア層が設けられることを特徴とするガスバリア性積層体フィルムである。
また、本発明は、上記ガスバリア性積層体フィルムの製造方法であって、第二の層を形成する硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂の官能基消費率が50%以上90%以下になるように光硬化させて第二の層を形成する硬化物を2つ得る工程と、得られた2つの硬化物の間に第一の層を形成する硬化性樹脂組成物を挟み込み、光硬化させて積層体フィルムを得る工程と、更にこの積層体フィルムの片面又は両面にロールtoロール方式によりガスバリア層を設ける工程とを含むことを特徴とするガスバリア性積層体フィルムの製造方法である。
更に、本発明は、上記ガスバリア性積層体フィルムの製造方法であって、第一の層を形成する硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂の官能基消費率が50%以上85%以下になるように光硬化させて第一の層を形成する硬化物を得る工程と、得られた硬化物の両面に第二の層を形成する硬化性樹脂組成物を塗布し、光硬化させて積層体フィルムを得る工程と、更にこの積層体フィルムの片面又は両面にロールtoロール方式によりガスバリア層を設ける工程とを含むことを特徴とするガスバリア性積層体フィルムの製造方法である。
本発明のロール状ガスバリア性積層体フィルムは、透明性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、及びガスバリア性に優れていることから、軽量であると共に、屈曲や衝撃に対して割れにくい、しかも、効率的に大量生産可能なロールtoロール方式を適応できるなど、フレキシブルディスプレイの製造を目的としたディスプレイ基板として特に好適である。そのため、本発明は、その産業上の利用価値が極めて高いものである。
図1は、ロールtoロール方式による塗工フロー概略図である。 図2は、ロールtoロール方式によるガスバリア成膜フロー概略図である。 図3は、製造例3で得られた外層材の引張応力−ひずみ曲線を示す。 図4は、製造例4で得られた外層材の引張応力−ひずみ曲線を示す。 図5は、製造例7で得られた外層材の引張応力−ひずみ曲線を示す。 図6は、製造例8で得られた外層材の引張応力−ひずみ曲線を示す。
以下、本発明のガスバリア性積層体フィルムとその製造方法について、好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(第一の層)
第一の層(内層材)は、もう一方の第二の層の熱膨張を拘束し、ガスバリア性積層体フィルムの面内方向の熱膨張を抑制すると共に、面衝撃に対してガスバリア性積層体フィルムのたわみ量を低減させる、更に、この第一の層が、ロールtoロール方式(ロール間での圧着方式)による連続製造時、安定走行を維持するため搬送の張力や巻き取りの応力により積層体フィルムの変形を防ぐ役割を担う。そのため、寸法安定性に優れて剛性の高い材料からなることが条件となる。
また、第一の層は、ガスバリア層を設ける際の熱処理に対して耐熱性を有するような材料であることが好ましい。具体的には、籠型シルセスキオキサン構造を含有した硬化性樹脂を硬化して得られる成形体であって、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が2000MPa以上10000MPa以下、線膨張係数が80ppm/K以下、及びガラス転移温度が300℃以上を満たすフィルムであることが必要であり、波長550nmでの光透過率が90%以上であることが好ましい。
第一の層の引張弾性率について、2000MPa未満であると面衝撃に対して内層のたわみ量が大きくなり、ガスバリア性積層体フィルムとして十分な耐衝撃性が得られない。また、ロールtoロール方式による連続製造時、安定走行を維持するため搬送の張力や巻き取りの応力により積層体フィルムが変形しやすくなる。一方、10000MPaを越えるとフィルムの靭性が損なわれ、ハンドリングによりクラック発生、フィルムの破損等の不良が発生しやすくなる。また、ロールtoロール方式による連続製造時、搬送や巻取りの際クラックが生じやすく積層体フィルムが破断する原因を招く。
ガスバリア性積層体フィルムの面内方向の熱膨張は、第一の層が第二の層の膨張を拘束することにより、積層フィルムとしての線膨張係数を第一の層の値まで抑えることが可能となる。故に、第一の層の線膨張係数が80ppm/Kを越える値であると、積層体フィルムの線膨張係数が80ppm/Kを超えてしまい、高温でガスバリア層を成膜した場合、形成したガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きく、成膜後常温に戻すと積層体フィルムの収縮にガスバリア層が追随できずに欠陥が生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。また、低温でガスバリア層を成膜することは可能であるが、ガスバリア性積層体フィルムを加熱処理した際、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きいためガスバリア層にクラックが入り、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。
第一の層のガラス転移温度について、300℃未満であると得られるガスバリア性積層体フィルムとして、ディスプレイ製造工程において重要である耐熱性が不足する。
第一の層の波長550nmでの光透過率が90%未満であると、得られるガスバリア性積層体フィルムの用途によっては不都合が生じるおそれがあり、具体的には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの透明フィルム用途において重要である光透過性が不足となり、画像の視認性等に問題が生じることがある。
上記のような第一の層を形成するに際して、硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を用いるようにする。
好ましくは、第一の層の形成に用いられる硬化性樹脂組成物には、下記一般式(1)
[RSiO3/2]n (1)
〔但し、nは8〜14の整数を示し、Rは又は下記一般式(2)、(3)又は(4)
Figure 2012139963
(但し、mは1〜3の整数であり、R1は水素原子又はメチル基を示す)のいずれか一つから選ばれる有機官能基)である〕で表される籠型シルセスキオキサン樹脂を含有させるのが良い。
第一の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン樹脂は、ケイ素原子全てに(メタ)アクリロイル基、グリシジル基又はビニル基を有する有機官能基からなる反応性官能基を有して、分子量分布及び分子構造の制御された籠型シルセスキオキサン樹脂であるのが好ましいが、一部がアルキル基、フェニル基等に置き換わっていても差し支えなく、また、完全に閉じた多面体構造ではなく、一部が開裂したような構造であってもよい。
また、第一の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物は、籠型シルセスキオキサン樹脂のほかに、この籠型シルセスキオキサン樹脂と相溶性及び反応性を有する硬化性樹脂を混合した硬化性樹脂組成物であるのが良い。このような硬化性樹脂組成物としては、加熱処理により硬化可能な樹脂組成物、或いは活性エネルギー線を照射して硬化可能な樹脂組成物あればよく、特に制限されない。
籠型シルセスキオキサン樹脂と相溶性及び反応性を有する硬化性樹脂としては例えば、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性のオリゴマー又は低分子量、低粘度の反応性モノマーが挙げられる。具体的には、反応性のオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等を例示することができる。また、反応性モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等の単官能モノマー又は、ジシクロペンタニルジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーを例示することができる。
籠型シルセスキオキサン樹脂と相溶性及び反応性を有する硬化性樹脂としては、以上に例示したもの以外に、各種反応性オリゴマー、モノマーを用いることができ、これらはそれぞれ単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
第一の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物は、本発明の目的から外れない範囲で各種添加剤を添加することができる。各種添加剤として有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、第一の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物は、籠型シルセスキオキサン樹脂を含有するものであることが必要であるが、このような籠型シルセスキオキサン樹脂の含有量は、3質量%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。前記含有量が3質量%未満では、得られるガスバリア性積層体フィルムを高温プロセスが必要な用途に用いた場合、十分な耐熱性が得られない。
また、第一の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、市販されているものを適宜選択して使用することができ、例えば、アルキンフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系等が挙げられる。
第一の層を形成する硬化性樹脂組成物では、適当な溶媒を希釈剤として用いて、硬化性樹脂組成物の粘度を調整するなどして用いることもできるが、溶媒の揮発除去工程を考慮すると、時間を要して生産効率が低下すること、また、硬化後に得られる樹脂層内部に残留溶媒等が存在して成形フィルムの特性低下につながることなどから、塗布される硬化性樹脂組成物中、溶媒の含有量は5%以下にとどめておくことがよく、より好ましくは、溶媒が含有されていないものを使用するのがよい。また、このような硬化性樹脂組成物は、硬化の際に揮発分を発生しないものであることが好ましい。
(第二の層)
第二の層(外層材)は、ガスバリア性積層体フィルムとして用いる際、面衝撃で生じたガスバリア層のクラック伝播を抑制し、フィルムの破断を防ぐための衝撃吸収層として働き、更には、ロールtoロール方式による連続製造時、フィルムの破断を防ぐ役割を担う。そのため、外部応力に対して弾性限界を超えてすぐに破断するのではなく、降伏挙動によって外部応力を分散させる塑性変形領域を有する材料であることが必要条件となる。
具体的には、籠型シルセスキオキサン構造を含有した硬化性樹脂から得られる成形体であって、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が100MPa以上であって第一の層の引張弾性率の80%以下であり、且つ塑性変形を示す材料から構成されることが必要であり、また波長550nmでの光透過率が90%以上であることが好ましい。
第二の層の引張弾性率が100MPa未満であると、面衝撃に対して第二の層のたわみ量が大きくなるため、ガスバリア性積層フィルムとして十分な耐衝撃性を得られない。また、第一の層の引張弾性率の80%を超える値であると、ガスバリア性積層体フィルムを加熱した際、第一の層が第二の層の熱膨張を抑制することができなくなるため、積層体フィルムの熱膨張が大きくなる。その結果、高温でガスバリア層を成膜した場合、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きく、成膜後常温に戻すと積層体フィルムの収縮にガスバリア層が追随できずに欠陥が生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。また、低温でガスバリア層を成膜することは可能であるが、ガスバリア性積層フィルムを加熱処理した際、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きいためガスバリア層にクラックが入り、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。
また、第二の層が、引張応力−ひずみ曲線において、塑性変形を示さない材料であると、面衝撃によって生じたガスバリア層のクラック伝播を抑制できずフィルムが容易に破断してしまう。また、ロールtoロール方式による連続製造時、クラックが生じた場合クラックの伝播を抑制できず積層体フィルムが容易に破断してしまう。具体的には、引張応力−ひずみ曲線において、引張降伏伸び及び引張破壊伸びを有することが必要であり、引張降伏伸びは特に制限はなく、引張破壊伸びが好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、及び引張降伏強さが好ましくは10MPa以上、より好ましくは30MPa以上、さらに引張破壊強さが好ましくは10MPa以上、より好ましくは30MPa以上である材料がよい。
第二の層の波長550nmでの光透過率が90%未満であると、得られるガスバリア性積層体フィルムの用途によっては不都合が生じるおそれがあり、具体的には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの透明フィルム用途において重要である光透過性が不足となり、画像の視認性等に問題が生じることがある。
上記のような第二の層を形成するに際しては、籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を用いるようにする。
第二の層を形成する硬化性樹脂組成物は、好ましくは、下記一般式(5)
Y−[Z−(O1/2−R2 2SiO1/2)a−(R3SiO3/2)k−(O1/2)b]l−Z−Y (5)
〔但し、R2及びR3は、それぞれ独立にビニル基、アルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基又はオキシラン環を有する基であって、各置換基は互いに同じか異なるものであってもよいが、1分子中に含まれるR3のうち少なくとも1つはビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基又はオキシラン環を有する基のいずれかである。また、a及びbは0〜3の数であって、1≦a+b≦4の関係を満たし、kは8〜14の数を示し、lは1〜2000の数を示す。更に、Zは下記一般式(6)
Figure 2012139963
(但し、R4は水素原子、ビニル基、アルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基又はオキシラン環を有する基であって、R4は互いに同じか異なるものであってもよく、また、pは0〜30の数を示す。)で表される2価の基であり、Yは下記一般式(7)〜(10)から選ばれるいずれかの1価の基である。
[(R5O)R6 2SiO1/2]c−[R7SiO3/2]d−[O1/2]− (7)
[R51/2]e−[R7SiO3/2]d−[O1/2−R6 2SiO1/2]− (8)
(R51/2)− (9)
(R5 3SiO1/2)− (10)
(但し、R6及びR7はビニル基、アルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、又はオキシラン環を有する基であって、R6又はR7において、各置換基は互いに同じか異なるものであってもよく、R5は水素原子、メチル基又はエチル基から選ばれたいずれかである。また、c及びeは0〜3の数であり、dは8〜14の数を示す。)〕で表される構成単位を有する籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有するのが良い。
第二の層の形成に用いる硬化性樹脂組成物は、籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体のほかに、この籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体と相溶性及び反応性を有する他の樹脂を含んだ混合物であるのが好ましい。他の樹脂については特に制限されないが、籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体と相溶性及び反応性を有する硬化性樹脂としては例えば、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性のオリゴマー又は低分子量、低粘度の反応性モノマーが挙げられる。
具体的には、反応性のオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等を例示することができる。また、反応性モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等の単官能モノマー又は、ジシクロペンタニルジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーを例示することができ、これらはそれぞれ単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。また、透明性、耐熱性、光学特性、寸法安定性等のガスバリア性積層体フィルムの特性を損なわない範囲で、各種添加剤を添加することができる。各種添加剤として熱可塑性樹脂及び熱硬化性のエラストマーやゴム、有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
第二の層の形成に用いる硬化性樹脂組成物における籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。前記含有量が3質量%未満では、得られる積層体フィルムを高温プロセスが必要な用途に用いた場合、十分な耐熱性が得られない。
また、第二の層の形成に用いる籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、市販されているものを適宜選択して使用することができ、例えば、アルキンフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系等が挙げられる。
第二の層を形成する硬化性樹脂組成物では、適当な溶媒を希釈剤として用いて粘度調整等して用いることもできるが、溶媒の揮発除去工程を考慮すると時間を要し、生産効率が低下すること、硬化後に得られる樹脂層内部に残留溶媒等が存在して成形フィルムの特性低下につながることなどから、塗布される硬化性樹脂組成物中、溶媒の含有量は5%以下にとどめておくことがよく、より好ましくは、溶媒が含有されていないものを使用するのがよい。また、このような硬化性樹脂組成物は、硬化の際に揮発分を発生しないものであることが好ましい。
(積層体フィルム)
積層体フィルムとは、第一の層と第二の層とを積層させた積層物を指す。
積層体フィルムの厚みは、1〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmであり、さらに好ましくは50〜100μmであるのが良い。
積層体フィルムの第二の層と第一の層との厚み比率(第二の層の厚み÷第一の層の厚み)は0.01以上及び5.0以下となるようにするのが好ましい。より好ましくは、0.01以上及び2.0以下であるのが良い。厚み比率が5.0を超えてしまうと、第二の層が厚くなりすぎて、加熱による第一の層が第二の層の熱膨張を抑制することができなくなり、高温でガスバリア層を成膜した場合、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きく、成膜後常温に戻すとフィルムの収縮にガスバリア層が追随できずに欠陥が生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなるおそれがある。また、ガスバリア性積層体フィルムを加熱処理した際、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きくなることからガスバリア層にクラックが入り、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。一方、厚みの比率が0.01未満であると、第二の層が薄くなりすぎて、衝撃吸収層としての効果が発揮できず十分な耐衝撃性が得られない。また、ロールtoロール方式による連続製造時、クラックが生じた場合クラックの伝播を抑制できず積層体フィルムが容易に破断してしまうおそれがある。なお、下記のように第一の層の両面に第二の層を設ける場合について、この厚みの比率は両面の合計で第二の層を対象にして求めるものとする。
積層体フィルムは、第一の層を内側にして、外側両面に第二の層を設けた三層構造からなる積層体フィルムにすることが好ましい。外層材を片面のみに設けた積層体フィルムに比べて反りや変形等を低減させることができる。
積層体フィルムの面方向の線膨張係数は、好ましくは80ppm/K以下、より好ましくは60ppm/K以下であるのが良い。80ppm/Kを超える値であると高温でガスバリア層を成膜した場合、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きく、成膜後常温に戻すと積層体フィルムの収縮にガスバリア層が追随できずに欠陥が生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。また、ガスバリア性積層体フィルムを加熱処理した際、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きくなることからガスバリア層にクラックが入り、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。
(ガスバリア層)
ガスバリア層は、高いプロセス温度や水洗浄過程に繰り返し曝される製造工程が必要な部材として用いる場合、積層体フィルムと酸素との接触を遮断し熱酸化劣化を防ぐほか、積層体フィルムの吸水率を低下させて寸法変動挙動を抑えたり、さらには液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子と酸素や水蒸気等の外部から侵入するガスとの接触を遮断して、発光性能の劣化を防止するなどの役割を担う。
ガスバリア層は、少なくとも一層以上を積層してなるものが好ましく、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化タンタル、アルミ膜からなるものなどが挙げられ、特に、光学特性、ガスバリア性能、高精細なディスプレイに重要である寸法安定性に優れることから、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素を主体とするものが好ましい。また、ガスバリア層の厚みは1nm〜1000nmが好ましく、特に10nm〜300nmであることが好ましい。
ガスバリア層は、透明であることが好ましく、第一の層と第二の層とを積層させた積層物にガスバリア層を積層したガスバリア性積層体フィルムにおける波長550nmでの光透過率が、90%以上の透明性を有するように構成されることが好ましい。可視光線の透過率は、ガスバリア層の組成や厚さにも影響されるので両者を考慮して構成される。
(ガスバリア性積層体フィルム)
本発明におけるガスバリア性積層体フィルムは、常温から150℃まで昇温した時にガスバリア層にクラックが生じないことが好ましい。クラック発生温度について、150℃未満であると高温プロセスが必要な用途に用いた場合、ガスバリア層にクラックが生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。
ガスバリア性積層体フィルムは、吸水率が1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下であるのが良い。吸水率が1%以上となるとガスバリア性積層体フィルムの寸法変化挙動が大きくなるため、高いプロセス温度や水洗浄過程に繰り返し曝される製造工程が必要な用途に用いた場合、ガスバリア層にクラックが生じ、十分なガスバリア機能を発揮できなくなる。
ガスバリア性積層体フィルムは、160℃まで加熱した後23℃50%RHの条件下で冷却する加熱試験において、寸法変化率が0.1%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.01%以下である。寸法変化率が0.1%以上であると、素子が設計図面通りに基板上に形成できず位置ズレを起こしてしまう。
(積層体フィルム製造方法)
積層体フィルムの製造方法については特に制限されないが、工業生産性等を考慮すると、好適には以下に示すような、長尺なフィルムを連続的に製造するロールtoロール方式であって、二段階の工程で行う方法が挙げられる。図1は、ロールtoロール方式による塗工フロー概略図である。具体的な方法としては、次の2種類が挙げられる。
(I)
先ず、一段階目の工程で巻き出しロール2から繰り出した支持用の透明フィルムに第一の層(内層材)となる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗布し、巻き出しロール1から繰り出した別の支持用透明フィルムで塗工した光硬化性樹脂を上部から補助ロール3,4にて圧着したのち、UV硬化装置5にて光硬化する。その後、上下支持用透明フィルムを剥離除去し、補助ロール6,7を介して巻き取りロール8にて第一の層のフィルム成形体を巻き取る。次いで、二段階目の工程で巻き出しロール2から繰り出した第一の層のフィルム成形体の両面に、第二の層を形成する籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗布し、巻き出しロール1から繰り出した別の支持用透明フィルムで塗工した光硬化性樹脂を上下部から補助ロール3,4にて圧着したのち、UV硬化装置5で光硬化する。その後、支持用透明フィルムを剥離除去し、補助ロール6,7を介して巻き取りロール8にて積層体フィルムを巻き取る。
(II)
先ず、一段階目の工程で巻き出しロール2から繰り出した支持用の透明フィルムに第二の層(外層材)となる籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗布し、巻き出しロール1から繰り出した別の支持用透明フィルムで塗工した光硬化性樹脂を上部から補助ロール3,4にて圧着したのち、UV硬化装置5で光硬化する。その後、上部支持透明フィルムのみを剥離除去し、補助ロール6,7を介して巻き取りロール8にて下部支持透明フィルム付き第二の層のフィルム成形体を巻き取る。次いで、二段階目の工程で巻き出しロール2から繰り出した下部支持透明フィルム付き第二の層のフィルム成形体のフィルム成形体の面に、第一の層(内層材)となる籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗布し、巻き出しロール1から繰り出した別の下部支持透明フィルム付き第二の層のフィルム成形体のフィルム成形体の面で塗工した光硬化性樹脂を上部から補助ロール3,4にて圧着したのち、UV硬化装置5で光硬化する。その後、上下支持用透明フィルムを剥離除去し、補助ロール6,7を介して巻き取りロール8にて積層体フィルムを巻き取る。
製造方法(I)及び(II)において、硬化性樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、塗布装置を使用する方法を採用することができる。塗布装置としては、公知の塗布装置を適宜選択して使用することができる。また、塗布方式は、均一性及び塗工形状に優れた塗布方式であればよく特に限定されない。このような塗布方式としては、例えば、ダイコート、リップコート、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、押出コート等の公知の塗布方式が挙げられる。
製造方法(I)及び(II)において、一段階目に硬化させる硬化性樹脂組成物は、二段階目に硬化させる硬化性樹脂組成物との密着性を十分に担保するため、硬化状態を計る官能基消費率を低く抑える必要がある。第一の層を一段階目に硬化させる(I)の方法の場合、第一の層の硬化性樹脂組成物の官能基消費率を85%以下にしたフィルム成形体とすることが好ましく、より好ましくは70%以下である。第二の層を一段階目に硬化させる(II)方法の場合、第二の層の硬化性樹脂組成物の官能基消費率を90%以下にしたフィルム成形体とすることが好ましく、より好ましくは80%以下である。製造方法(I)、(II)共に一段階目に硬化させたフィルム成形体の官能基消費率が前記を超える値であると第一の層と第二の層との密着性が担保できずに層間剥離が生じる。
また、硬化性樹脂組成物は、紫外線照射法により光硬化を実施し、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。また、光エネルギーの有効利用の観点から、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付けるのが好ましく、さらには、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するようにしてもよい。
照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が10〜10000mj/cm2程度であればよい。一段階目に硬化させるための照射露光量として好ましくは10〜5000mj/cm2であり、より好ましくは、10〜3000mj/cm2である。また、二段階目に硬化させるための照射露光量として好ましくは10〜10000mj/cm2であり、より好ましくは1000〜10000mj/cm2である。一段階目の照射露光量が5000mj/cm2を超える値であると、官能基消費率が高くなり、積層体フィルムとした際に第一の層と第二の層との密着性が担保できずに層間剥離する。また、一、二段階目の照射露光量が10mj/cm2未満であると硬化不十分となり、意図する弾性率を得られず、基板の剛性が低くなり、寸法安定性、耐衝撃性が著しく低下する。
また、紫外線ランプの照射箇所には、冷却装置を有していることが好ましい。この冷却装置により、紫外線ランプからの発生する熱に誘発される支持透明フィルム等の熱変形を抑制することができる。冷却方式としては、空冷方式、水冷方式等の公知の方法がある。
紫外線硬化反応はラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受ける。そのため、硬化性樹脂組成物は、支持透明フィルムへ塗工後、酸素阻害を防止するため、硬化性樹脂組成物上へ別途支持透明フィルムを施すのが良い。流延された原料の液状硬化性樹脂の表面では酸素濃度を1%以下にすることが好ましく、0.1%以下にすることがより好ましい。酸素濃度を小さくするには、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さい支持透明フィルムを採用する必要がある。ここで硬化性樹脂組成物に別途施す支持透明フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂系、等のフィルムを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、硬化性樹脂組成物との剥離が可能でなければならない。この為、これらの透明フィルムは、平滑性に優れていることが好ましい。また、表面にシリコン塗布、フッ素塗布等の易剥離処理が施されているものも使用してよい。
(ガスバリア性積層体フィルム製造方法)
ガスバリア性積層体フィルムの製造方法は、上記方法により製造したロール状積層体フィルムを高温で熱処理した後に蒸着、スパッタ、PECVD、CatCVD、コーティングなど公知の手法によりガスバリア層を形成することができる。なお、ガスバリア層は多層化、又は有機層と無機層を積層化する事も出来る。
まず、熱処理について述べる。熱処理を行う目的は、十分に重合反応を行い、樹脂成形体の物性を向上、かつ安定化させるため、また開始剤、低分子重合物を除去するためである。両面の支持透明フィルムが除去された積層体フィルムを、ロールtoロール方式にて連続的に熱処理する。熱処理の方法は、連続処理が可能であれば、公知の手法を用いることができ、熱風式でもよく、遠赤外線式でもよい。
熱処理に必要な温度は、100〜300℃が好ましく、より好ましくは200〜300℃である。また、熱処理の雰囲気下としては、特に制限はなく、例えば、空気、不活性ガス、真空中が挙げられる。200℃以上での熱処理を行う場合は、積層体フィルムへの酸化によるダメージを考慮し、不活性ガス、真空中で行うことが好ましい。
ガスバリア層形成について述べる。ガスバリア層形成にあたっては、上述したように、例えば蒸着、スパッタ、PECVD、CatCVD、コーティングなど公知の手法を用いることができるが、効率よく大量生産を行うことが可能なロールtoロール方式で形成するのが良く、また、緻密な膜構造としガスバリア性能を高めるため高温で形成させることが重要である。例えば、成膜温度は、50〜250℃で保持することが好ましく、より好ましくは100〜200℃である。
上記条件を満たすガスバリア層の形成法について、その一例を挙げて説明する。図2は、ロールtoロール方式によるガスバリア成膜フロー概略図である。成膜室11に配置された巻き出しロール12から、積層体フィルム16を繰り出し、補助ロールを介して所定のライン速度で、成膜ドラム14周面上に搬送する。原料供給源15は、例えば蒸着法なら蒸着源を供給し、CVD法なら窒素含有ガス、不活性ガス、成膜用モノマーガス等を供給し、スパッタ法なら、ターゲットである。上記の成膜ドラム14周面上に搬送された積層体フィルムの上に、原料供給源15から供給された原料を基に酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素化合物を形成する。次いで、補助ロールを介して巻き取りロール13に巻き取る。
以下、本発明について、実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[合成例1:第一の層(内層材)を形成するのに使用する硬化性樹脂の製造]
内層材を形成するのに使用する籠型シルセスキオキサン樹脂は、特開2004‐143449号公報に記載された方法により以下のようにして合成した。
撹拌機、滴下ロート、及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2-プロパノール(IPA)40mlと、塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)3.1gを装入した。滴下ロートにIPA 15mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12.7gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温で3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのIPA溶液を30分かけて滴下した。3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン滴下終了後、徐々に室温に戻し加熱することなく2時間撹拌した。撹拌後、減圧下でIPAを除去し、トルエン50mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで加水分解生成物(シルセスキオキサン)を8.6g得た。このシルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
次に、撹拌機、ディーンスタック、冷却管を備えた反応溶媒に上記で得られたシルセスキオキサン5.0gとトルエン20.5mlと10%TMAH水溶液0.75gを入れ、130℃で水を留去しながらトルエンを還流加熱して再縮合反応を行った。トルエン還流後3時間撹拌した後、室温に戻し反応を終了とした。反応溶液を10%クエン酸で中和にした後、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで再縮合物を4.5g得た。得られた再縮合物は、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であり、質量分析(LC-MS)、1H−NMRを測定した結果、籠型シルセスキオキサン構造を主とした樹脂であることを確認した。
[合成例2:第一の層(内層材)を形成するのに使用する硬化性樹脂の製造]
内層材を形成するのに使用する籠型シルセスキオキサン樹脂は、特開2004‐143449号公報に記載された方法により以下のようにして合成した。
撹拌機、滴下ロート、及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2-プロパノール(IPA)40mlと、塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)3.1gを装入した。滴下ロートにIPA 15ml、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン7.7gとエチルトリメトキシシラン4.7gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温で3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとエチルメトキシシランのIPA溶液を30分かけて滴下した。反応溶液の滴下終了後、徐々に室温に戻し加熱することなく2時間撹拌した。撹拌後、減圧下でIPAを除去し、トルエン50mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで加水分解生成物(シルセスキオキサン)を7.3g得た。このシルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
次に、撹拌機、ディーンスタック、冷却管を備えた反応溶媒に上記で得られたシルセスキオキサン5.0gとトルエン28mlと%TMAH水溶液1.04gを入れ、130℃で水を留去しながらトルエンを還流加熱して再縮合反応を行った。トルエン還流後3時間撹拌した後、室温に戻し反応を終了とした。反応溶液を10%クエン酸で中和にした後、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで再縮合物を4.7g得た。得られた再縮合物は、種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であり、質量分析(LC-MS)、1H−NMRを測定した結果、籠型シルセスキオキサン構造を主とした樹脂であることを確認した。
[製造例1:内層材1の製造]
合成例1で得た籠型シルセスキオキサン樹脂:20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:25質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:55質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5質量部を混合し、脱泡して液状の硬化性樹脂組成物を得た。次に、ロールコーターを用いて、厚さ100μmになるようにキャスト(流延)し、80W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状の成形体を得た。得られた成形体は、引張弾性率が3000MPa、線膨張係数が45ppm/K、ガラス転移温度が300℃以上であり、内層材としての物性を満たす材料であった。
[製造例2:内層材2の製造]
合成例1で得た籠型シルセスキオキサン樹脂:30質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:70質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5質量部を混合し、脱泡して液状の硬化性樹脂組成物とした以外は、内層材の製造例1と同様の操作によって成形体を得た。得られた成形体は、引張弾性率が2500MPa、線膨張係数が60ppm/K、ガラス転移温度が300℃以上であり、内層材としての物性を満たす材料であった。
[製造例3:内層材3の製造]
合成例2で得た籠型シルセスキオキサン樹脂:20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:25質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:55質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5質量部を混合し、脱泡して液状の硬化性樹脂組成物とした以外は、内層材の製造例1と同様の操作によって成形体を得た。得られた成形体は、引張弾性率が2800MPa、線膨張係数が53ppm/K、ガラス転移温度が300℃以上であり、内層材としての物性を満たす材料であった。
[製造例4:内層材4の製造]
合成例2で得た籠型シルセスキオキサン樹脂:30質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:70質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5質量部を混合し、脱泡して液状の硬化性樹脂組成物とした以外は、内層材の製造例1と同様の操作によって成形体を得た。得られた成形体は、引張弾性率が2350MPa、線膨張係数が65ppm/K、ガラス転移温度が300℃以上であり、内層材としての物性を満たす材料であった。
上記製造例1〜4で得た内層候補材フィルム(成形体)について、以下のようにして評価を行い、その結果を表1にまとめて示す。
[評価方法:引張弾性率]
引張試験機(ORIENTEC社製RTE-1210)を用いて、25℃における各フィルム成形体の引張弾性率を測定した。引張弾性率とは、応力に応じたひずみの変化率のことを指し、引張応力−ひずみ曲線における直線部分の傾きに相当する。この際、チャック間距離50mmおよび引張速度2mm/minの条件で測定した。
[評価方法:熱膨張係数]
熱機械分析装置(ブルカーエイエックス製TMA4030SA)を用いて、熱機械分析(TMA)法に基づき、昇温速度5℃/minの条件で50℃から150℃における熱膨張量の変化を測定した。
[評価方法:ガラス転移温度]
動的粘弾性分析装置(レオロジー社製DVE-V4型)を用いて、昇温速度5℃/min、チャック間距離10mmの条件で測定した。
[評価方法:光線透過率]
紫外可視分光光度計(日本分光社製V660)を用いて、各フィルムの400〜800nmの光での光透過率スペクトルを測定し、代表値として波長550nmの光の透過率を示した。
Figure 2012139963
[合成例3:第二の層(外層材)を形成するのに使用する硬化性樹脂の製造]
外層材を形成するのに使用する籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂は、特開2009-227863号公報に記載された方法により以下のようにして合成した。
反応容器にトルエン250mlとフェニルトリクロロシラン52.5gを装入し、0℃に冷却した。水を適量滴下し、加水分解が完了するまで撹拌した。加水分解生成物を水洗後市販の30%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド溶液8.3mlを加え、この混合物を4時間還流温度に加熱した。次いで全体を冷却し、約96時間放置した。この時間経過後得られたスラリーを再び24時間還流温度に加熱し次いで冷却し濾過を行い、白色の粉末としてオクタフェニルシルセスキオキサン37.5gを得た。
次いで、ディンスターク、及び冷却管を備えた反応容器にトルエン100ml、水酸化テトラメチルアンモニウム0.123g(1.35mmol、25%のメタノール溶液として0.49g)、上記オクタフェニルシルセスキオキサン20.3g(19.7mmol)、及び3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン5.12g(19.7mmol)を入れ、80℃で1時間加熱しメタノールを留去し、さらに100℃に加熱し2時間後、室温に戻し反応を終了とした。反応溶液はオクタフェニルシルセスキオキサンの白色粉末が消え、完全に反応が進行したと判断できた。
反応溶液を10%クエン酸水溶液で中和した後、水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで籠型シルセスキオキサンを無色透明の粘性液体を19.7g、収率78%で得た。得られた籠型シルセスキオキサンはGPC、及びNMR測定により構造が確認された。さらに、窒素雰囲気下、滴下ロート及び冷却管を備えた反応容器に、トルエン15ml、上記で得られた籠型シルセスキオキサン9.0g(7mmol)、及び水酸化テトラメチルアンモニウム4mg(0.044mmol、2.5%のメタノール溶液として153mg)を装入した。反応溶液を70℃で撹拌しながら、滴下ロートよりシラノール末端ポリジメチルシロキサン(DMS-S12:Mn(数平均分子量)=400−700:アズマックス株式会社)4.6gを3時間かけて滴下した。更に3時間撹拌後、室温まで冷却した。
反応溶液を10%クエン酸水溶液で中和した後、水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を無色透明の粘性液体として12.5g得た。得られた籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体のGPCを測定した結果、重量平均分子量(Mw)=14000であった。また1H−NMRを測定した結果、籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を主とした樹脂であることを確認した。
[合成例4:第二の層(外層材)を形成するのに使用する硬化性樹脂の製造]
外層材を形成するのに使用する籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂は、特開2004‐143449号公報、及び特開2009-227863号公報に記載された方法を参考に以下のようにして合成した。
撹拌機、滴下ロート、及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2-プロパノール(IPA)300mlと、塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)16.0gを装入した。滴下ロートにIPA 75ml、ビニルトリメトキシシラン20gとエチルトリメトキシシラン20.1gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温でビニルトリメトキシシランとエチルメトキシシランのIPA溶液を30分かけて滴下した。反応溶液の滴下終了後、徐々に室温に戻し加熱することなく2時間撹拌した。撹拌後、減圧下でIPAを除去し、トルエン250mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで籠型シルセスキオキサンを19.2g得た。この籠型シルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であり、1H−NMRを測定した結果、籠型シルセスキオキサン構造を主とした樹脂であることを確認した。
次いで、ディンスターク、及び冷却管を備えた反応容器にトルエン100ml、水酸化テトラメチルアンモニウム0.123g(1.35mmol、25%のメタノール溶液として0.49g)、上記シルセスキオキサン12.5g(19.7mmol)、及び3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン5.12g(19.7mmol)を入れ、80℃で1時間加熱しメタノールを留去し、さらに100℃に加熱し2時間後、室温に戻し反応を終了とした。
反応溶液を10%クエン酸水溶液で中和した後、水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで籠型シルセスキオキサンを無色透明の粘性液体を14.2g、収率81%で得た。得られた籠型シルセスキオキサンはGPC、及びNMR測定により構造が確認された。さらに、窒素雰囲気下、滴下ロート及び冷却管を備えた反応容器に、トルエン15ml、上記で得られた籠型シルセスキオキサン6.3g(7mmol)、及び水酸化テトラメチルアンモニウム4mg(0.044mmol、2.5%のメタノール溶液として153mg)を装入した。反応溶液を70℃で撹拌しながら、滴下ロートよりシラノール末端ポリジメチルシロキサン(DMS-S14:Mn(数平均分子量)=700−1500:アズマックス株式会社)7.7gを3時間かけて滴下した。更に3時間撹拌後、室温まで冷却した。
反応溶液を10%クエン酸水溶液で中和した後、水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を無色透明の粘性液体として11.0g得た。得られた籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体のGPCを測定した結果、重量平均分子量(Mw)=21000であった。また1H−NMRを測定した結果、籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を主とした樹脂であることを確認した。
[製造例5:外層材1の製造]
合成例3で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂:30質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:70質量部、光重合開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン:1.5質量部を混合し、脱法して得た液状の硬化性樹脂組成物をさ100μmになるようにキャストし、80W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状の成形体を得た。前記成形体は、引張試験を行い、得られる引張応力−ひずみ曲線において、引張弾性率1650MPa、及び塑性変形領域を有した曲線であり、外層材としての物性を満たす材料であった。図3に得られた成形体の引張応力−ひずみ曲線を示す。
[製造例6:外層材2の製造]
合成例3で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂:45質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:55質量部、光重合開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン:1.5質量部を混合し、脱法して得た液状の硬化性樹脂組成物を厚さ100μmになるようにキャストし、80W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状の積層体フィルムを得た。前記成形体は、引張試験を行い、得られる引張応力−ひずみ曲線において、引張弾性率1300MPa、及び塑性変形領域を有した曲線であり、外層材としての物性を満たす材料であった。図4に得られた成形体の引張応力−ひずみ曲線を示す。
[製造例7:外層材3の製造]
合成例4で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂:45質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:55質量部、光重合開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン:1.5質量部を混合し、脱法して得た液状の硬化性樹脂組成物を厚さ100μmになるようにキャストし、80W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状の積層体フィルムを得た。前記成形体は、引張試験を行い、得られる引張応力−ひずみ曲線において、引張弾性率1300MPa、及び塑性変形領域を有した曲線であり、外層材としての物性を満たす材料であった。図5に得られた成形体の引張応力−ひずみ曲線を示す。
[製造例8:外層材4の製造]
合成例4で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体樹脂:45質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:55質量部、光重合開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン:1.5質量部を混合し、脱法して得た液状の硬化性樹脂組成物を厚さ100μmになるようにキャストし、80W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cm2の積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状の積層体フィルムを得た。前記成形体は、引張試験を行い、得られる引張応力−ひずみ曲線において、引張弾性率1300MPa、及び降伏点を有し塑性変形領域を有した曲線であり、外層材としての物性を満たす材料であった。図6に得られた成形体の引張応力−ひずみ曲線を示す。
上記製造例5〜8で得た外層候補材フィルム(成形体)について、以下のようにして評価を行い、その結果を表2にまとめて示す。
[評価方法:引張弾性率、引張降伏強さ、引張破壊強さ、引張破壊伸び]
引張試験機(ORIENTEC社製RTE-1210)を用いて、25℃における各フィルム成形体の引張弾性率を測定した。この際、チャック間距離50mmおよび引張速度2mm/minの条件で測定した。
[評価方法:光線透過率]
紫外可視分光光度計(日本分光社製V660)を用いて、各フィルムの400〜800nmの光での光透過率スペクトルを測定し、代表値として波長550nmの光の透過率を示した。
Figure 2012139963
[実施例1:ロール状ガスバリア性積層体フィルムの製造]
製造例1(内層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを1m/minで巻き出した下部支持用の透明フィルム上へリップコート法にて、硬化後の厚みが50μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部支持用透明フィルムを塗工した硬化性樹脂の上部から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mj/cm2照射し硬化した。その後、上下部支持透明フィルムを剥離除去し、ロールに巻き取った。尚、得られたロールフィルムの反応率(官能基消費率)について、測定した結果は75%であった。尚、反応率は、日本分光株式会社製ラマン分光装置を用いラマン分光法による硬化前の二重結合のピークを基準として硬化後の同ピークの低下率を指す。
次いで、得られたロールフィルムを1m/minで巻き出し、両面に製造例5(外層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物をリップコート法にて塗布し、両面とも硬化後の厚みが15μmとなるようにした。そして、同じ移動速度で支持透明フィルムを、塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を4000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下支持透明フィルムを剥離除去し、『外層15μm-内層50μm-外層15μm』からなる積層体フィルムをロールに巻き取った。
この積層体フィルムに窒素雰囲気下250℃で10minの熱処理を行った後、図2のCVD成膜装置を用い繰り出した表層両面に、SiNO膜(ガスバリア層)を150nmの厚さで形成し、ガスバリア性積層体フィルムをロールに巻き取った。なお、ガスバリア層の成膜条件については、成膜レート30nm/min、成膜温度120℃、成膜ガス導入圧力10Pa、モノシラン流量8sccm、アンモニア流量20sccm、水素流量200sccm、及び酸素流量30sccmとした。ここで、ガス流量は、1気圧0℃での値を指す。
[実施例2〜18]
内層材(製造例1〜4)と外層材(製造例5〜8)との組み合わせ、又は厚み構成を変えた以外は実施例1と同様にして、表3〜表5に示すようにロール状ガスバリア性積層体フィルムを得た。
[実施例19:ロール状ガスバリア性積層体フィルムの製造2]
製造例5(外層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを1m/minで巻き出した下部支持用の透明フィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)上にリップコート法にて、硬化後の厚みが15μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部支持用透明フィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂の上部から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mj/cm2照射し硬化した。その後、上部支持透明フィルムのみを剥離除去し、ロールに巻き取った。得られたフィルム成形体の反応率(官能基消費率)を実施例1と同様に測定したところ、結果は83%であった。尚、前述した上部支持透明フィルムのみを剥離除去したロールは、積層体フィルムの上下外層となるために二本作成した。
次いで、得られたフィルム成形体の支持透明フィルムを剥離したフィルム成形体の面に製造例1(内層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物をリップコート法にて、内層材硬化後の厚みが50μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部から第二層のフィルム成形体の支持透明フィルムを剥離したフィルムを巻き出し、成形体の面で塗工した硬化性樹脂を圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を4000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下支持透明フィルムを剥離除去し、『外層15μm-内層50μm-外層15μm』からなる積層体フィルムをロールに巻き取った。
この積層体フィルムに窒素雰囲気下250℃で10minの熱処理を行った後、図2のCVD成膜装置を用い繰り出した表層両面に、SiNO膜(ガスバリア層)を150nmの厚さで形成し、ガスバリア性積層体フィルムをロールに巻き取った。なお、ガスバリア層の成膜条件については、成膜レート30nm/min、成膜温度120℃、成膜ガス導入圧力10Pa、モノシラン流量8sccm、アンモニア流量20sccm、水素流量200sccm、及び酸素流量30sccmとした。ここで、ガス流量は、1気圧0℃での値を指す。
[比較例1]
製造例1(内層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを1m/minで巻き出した下部支持用の透明フィルム上へリップコート法にて、硬化後の厚みが50μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部支持用透明フィルムを塗工した硬化性樹脂を上部から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を6000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下部支持透明フィルムを剥離除去し、ロールに巻き取った。尚、得られたロールフィルムの反応率(官能基消費率)を実施例1と同様に測定した結果は90%であった。
次いで、得られたロールフィルムを1m/minで巻き出し、両面に製造例5(外層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物をリップコート法にて塗布し、両面とも硬化後の厚みが15μmとなるようにした。そして、同じ移動速度で支持透明フィルムを、塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を4000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下支持透明フィルムを剥離除去し、ロールを巻き取る段階において、不定期間隔で第一の層と第二の層の間で層間剥離が生じ『外層15μm-内層50μm-外層15μm』からなる積層体フィルムをロールとして得られなかった。これは、内層材1を得る際の反応率が高すぎて外層−内層間の化学結合力の効果が十分に発揮されず、外層材との密着性が十分得られなかったためと考えられる。そのため、この積層体フィルムは、SiNO膜(ガスバリア層)成膜が出来ず、ガスバリア性積層体フィルムは得られなかった。
[比較例2]
製造例1(内層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを1m/minで巻き出した下部支持用の透明フィルム上へリップコート法にて、硬化後の厚みが50μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部支持用透明フィルムを塗工した硬化性樹脂を上部から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mj/cm2照射し硬化した。その後、上下部支持透明フィルムを剥離除去し、ロールに巻き取った。尚、得られたロールフィルムの反応率(官能基消費率)を実施例1と同様に測定したところ、結果は73%であった。
次いで、得られたロールフィルムを1m/minで巻き出し、両面に製造例5(外層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物をリップコート法にて塗布し、両面とも硬化後の厚みが130μmとなるようにした。そして、同じ移動速度で支持透明フィルムを、塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を4000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下支持透明フィルムを剥離除去し、『外層130μm-内層50μm-外層130μm』からなる積層体フィルムをロールに巻き取った。
この積層体フィルムに窒素雰囲気下250℃で10minの熱処理を行った後、図2のCVD成膜装置を用い繰り出した表層両面に、SiNO膜(ガスバリア層)を150nmの厚さで形成したが、巻き取ったフィルム表面にクラックが生じガスバリア性積層体フィルムは得られなかった。これは、内層材に対する外層材の厚みが厚過ぎたため、内層材が外層材の熱膨張を抑制することができなくなり、ガスバリア層と積層体フィルムの熱膨張差が大きく、成膜後常温に戻す際、フィルムの収縮にガスバリア層が追随できなかったためである。なお、ガスバリア層の成膜条件については、成膜レート30nm/min、成膜温度120℃、成膜ガス導入圧力10Pa、モノシラン流量8sccm、アンモニア流量20sccm、水素流量200sccm、及び酸素流量30sccmとした。ここで、ガス流量は、1気圧0℃での値を指す。
[比較例3]
製造例1(内層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン樹脂を含有した硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを1m/minで巻き出した下部支持用の透明フィルム上へリップコート法にて、硬化後の厚みが500μmとなるように塗布した。そして、同じ移動速度で上部支持用透明フィルムを塗工した硬化性樹脂を上部から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mj/cm2照射し硬化した。その後、上下部支持透明フィルムを剥離除去し、ロールに巻き取った。尚、得られたロールフィルムの反応率(官能基消費率)を実施例1と同様に測定した結果は65%であった。
次いで、得られたロールフィルムを1m/minで巻き出し、両面に製造例5(外層材1の製造)と同様の配合で得た籠型シルセスキオキサン含有硬化性シリコーン共重合体を含有した硬化性樹脂組成物をリップコート法にて塗布し、両面とも硬化後の厚みが2μmとなるようにした。そして、同じ移動速度で支持透明フィルムを、塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を4000mj/cm2照射し硬化した。その後、上下支持透明フィルムを剥離除去し、『外層2μm-内層500μm-外層2μm』からなる積層体フィルムをロールに巻き取った。
この積層体フィルムに窒素雰囲気下250℃で10minの熱処理を行った後、図2のCVD成膜装置を用い繰り出した表層両面に、SiNO膜(ガスバリア層)を150nmの厚さで形成し、ガスバリア性積層体フィルムをロールに巻き取った。なお、ガスバリア層の成膜条件については、成膜レート30nm/min、成膜温度120℃、成膜ガス導入圧力10Pa、モノシラン流量8sccm、アンモニア流量20sccm、水素流量200sccm、及び酸素流量30sccmとした。ここで、ガス流量は、1気圧0℃での値を指す。
[比較例4]
内層材の形成にトリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートTMP-A)を用いると共に、外層材の形成にジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートDCP-A)を用いた以外は実施例1と同様にして、表3〜表5に示すようにガスバリア性積層体フィルムを得た。
上記実施例及び比較例で得たロール状ガスバリア性積層体フィルムについて、以下のとおり評価を行った。結果を表3〜表5に示す。
[評価方法:飽和吸水率試験]
10mm角に切断したロール状ガスバリア性積層体フィルムを、熱風オーブンを用いて200℃で1時間加熱乾燥した(初期乾燥)。その後、純水に浸漬させ23℃×50%RHの環境下で水中に完全浸漬し、所定時間後のガスバリア性積層体フィルムの質量を測定した。測定は24時間毎に行い、飽和に達した時点の値を吸水率とした。吸水率は次式を用いて算出を行った。
c={(b−a)/a}×100
ここで、c:吸水率(%)、a:初期乾燥後であって浸漬前のサンプル質量(g)、b:浸漬後のサンプル質量(g)、である。
[評価方法:ガスバリア性積層体フィルムの寸法変化率]
150mm角に切断したロール状ガスバリア性積層体フィルムの四隅に隣り合うマーキング間の距離が約100mmになるように微細な十字型のマーキングを施し、正確に(精度±1μm)各マーキング間の距離を測長した。このフィルムを、熱風オーブンを用いて160℃で1時間加熱後、23℃50%RHの条件下で15分放置して冷却した後、加熱前と同様に各マーキング間の距離を測長し、その値から寸法変化率を求めた。寸法変化率は、次式を用いて算出した。
f={(d−e)/d}×100
ここで、f:寸法変化率(%)、d:加熱前のマーキング間の距離(μm)、e:加熱後のマーキング間の距離(μm)、である。
[評価方法:耐熱評価試験]
得られたガスバリア性積層体フィルムを、熱風オーブンを用いて所定の温度で1時間加熱後、室温まで冷却した後、偏光顕微鏡を用いてフィルム表面のクラックの有無を観察した。尚、加熱温度は10℃間隔で区切って測定し、クラックの発生が確認される直前の温度を表3〜表5に記した。
[評価方法:落錘衝撃試験]
任意の高さから10gの錘(R=2.5mm)をガスバリア性積層体フィルムの表面に垂直に自由落下させる試験を5回以上行い、50%以上の確率でこのガスバリア性積層体フィルムが破壊するときの高さを評価した。
[評価方法:光線透過率]
紫外可視分光光度計(日本分光社製V-660)を用いて、ロール状ガスバリア性積層体フィルムの400〜800nmの光での光透過率スペクトルを測定し、代表値として波長550nmの光の透過率を示した。
[評価方法:熱膨張係数]
熱機械分析装置(ブルカーエイエックス社製TMA4030SA)を用いて、熱機械分析(TMA)法に基づき、昇温速度5℃/minの条件で50℃から150℃におけるロール状ガスバリア性積層体フィルム熱膨張量の変化を測定した。
[評価方法:引張弾性率]
引張試験機(ORIENTEC社製RTE-1210)を用いて、25℃におけるロール状ガスバリア性積層体フィルムの引張弾性率を測定した。この際、チャック間距離50mmおよび引張速度2mm/minの条件で測定した。
[評価方法:密着性試験]
ガスバリア性積層体フィルムにおける第一の層と第二の層との接着性を、ガスバリア性積層体フィルムにクロスカットを入れた際のはがれ具合を目視にて、下記の基準に基づき判定した。
A:はがれの程度(面積)が0%である。
B:はがれの程度(面積)が10%未満である。
C:はがれの程度(面積)が10〜50%である。
D:はがれの程度(面積)が50%以上である。
Figure 2012139963
Figure 2012139963
Figure 2012139963
本発明のロール状ガスバリア性積層フィルムは、透明性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、及びガスバリア性に優れていることから、軽量であると共に、屈曲や衝撃に対して割れにくい、しかも、効率的に大量生産可能なロールtoロール方式を適応することができる。そのため、例えば、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、電子ペーパー用基板、太陽電池基板等のディスプレイ基板として好適である。
1:巻出しロール
2:巻出しロール
3:補助ロール
4:補助ロール
5:UV硬化装置
6:補助ロール
7:補助ロール
8:巻取りロール
11:成膜室
12:巻出ロール
13:巻取ロール
14:成膜ドラム
15:原料供給源
16:ロール状積層体フィルム
17:成膜ガス
a:支持用透明フィルム
b:樹脂+支持用透明フィルム
c:ロール状積層体フィルム

Claims (3)

  1. 籠型シルセスキオキサン構造を有する硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が2000MPa以上10000MPa以下、線膨張係数が80ppm/K以下、及びガラス転移温度が300℃以上である第一の層と、籠型シルセスキオキサン構造を有した硬化性樹脂を含んだ硬化性樹脂組成物からなり、引張応力−ひずみ曲線における引張弾性率が100MPa以上であって、第一の層の引張弾性率の80%以下であり、且つ塑性変形性を有して、ガラス転移温度が300℃以上である第二の層とが積層された積層体フィルムであって、第二の層と第一の層との厚み比率(第二の層の厚み÷第一の層の厚み)が0.01以上及び5.0以下であり、かつ、この積層体フィルムの一方の面、又は両方の面には、ガスバリア層が設けられることを特徴とするガスバリア性積層体フィルム。
  2. 請求項1に記載のガスバリア性積層体フィルムの製造方法であって、第二の層を形成する硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂の官能基消費率が50%以上90%以下になるように光硬化させて第二の層を形成する硬化物を2つ得る工程と、得られた2つの硬化物の間に第一の層を形成する硬化性樹脂組成物を挟み込み、光硬化させて積層体フィルムを得る工程と、更にこの積層体フィルムの片面又は両面にロールtoロール方式によりガスバリア層を設ける工程とを含むことを特徴とするガスバリア性積層体フィルムの製造方法。
  3. 請求項1に記載のガスバリア性積層体フィルムの製造方法であって、第一の層を形成する硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂の官能基消費率が50%以上85%以下になるように光硬化させて第一の層を形成する硬化物を得る工程と、得られた硬化物の両面に第二の層を形成する硬化性樹脂組成物を塗布し、光硬化させて積層体フィルムを得る工程と、更にこの積層体フィルムの片面又は両面にロールtoロール方式によりガスバリア層を設ける工程とを含むことを特徴とするガスバリア性積層体フィルムの製造方法。
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