JP2011201256A - 印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶表示パネルの保護や表示の視認性を向上させるために設けられ、液晶表示パネルとの間の粘着層に気泡を混入することなく容易に液晶表示パネルに貼り合わせることが出来る、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供すること。
【解決手段】 ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された加飾印刷フィルム層と、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層された、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度が250℃以上である透明樹脂層とを備える加飾印刷フィルム積層体であって、
印刷段差が無く、前記透明樹脂層の厚みが20μm以上であり、且つ、前記透明樹脂層が光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層であることを特徴とする加飾印刷フィルム積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された加飾印刷フィルム層と、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層された、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度が250℃以上である透明樹脂層とを備える加飾印刷フィルム積層体であって、
印刷段差が無く、前記透明樹脂層の厚みが20μm以上であり、且つ、前記透明樹脂層が光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層であることを特徴とする加飾印刷フィルム積層体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、液晶表示装置の液晶表示パネルの保護等に用いられる加飾印刷フィルム積層体に関する。特に液晶表示パネルの表示の視認性を向上させるために設けられ、液晶表示パネルとの間の粘着層に気泡を混入することなく容易に液晶表示パネルに貼り合わせることが出来る、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体に関する。
加飾フィルムは、被覆体に意匠性や装飾性を付与するためのフィルムである。このような加飾フィルムにより意匠性や装飾性を付与する方法は、例えば塗装のような方法と比べて工程を少なくすることができ、生産性が高い方法である。そして、このような加飾フィルムは、例えば、ディスプレイ基板、タッチパネル、透明電極付きフィルム、レンズシート、光導波路、太陽電池基板、光ディスク、各種透明基板といった被覆体に意匠性や装飾性を付与するために用いられており、例えば、特開2003−258968号公報(特許文献1)には、メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系樹脂からなり、50μm以上500μm以下の厚みを有する加飾フィルムが開示されている。
しかしながら、近年、加飾フィルムは、豪華な意匠性や装飾性を付与するため、多層のインキ印刷やミラー印刷等の加飾印刷が施されており、印刷層の厚さだけでも数十μmとなっている。このため、このような加飾印刷フィルムにおいて印刷部と非印刷部との間に段差が生じており、さらなる装飾の多様化により、かかる段差はますます大きくなる傾向にある。
また、ディスプレイ基板、タッチパネル等の液晶表示パネルと加飾印刷フィルムとの貼り合せ方法としては、主に以下の3方法が多く用いられている。
1)粘着テープによる貼り合せ法
2)粘着剤による貼り合せ法
3)紫外線硬化樹脂による貼り合せ法。
2)粘着剤による貼り合せ法
3)紫外線硬化樹脂による貼り合せ法。
しかし、いずれの貼り合せ方法においても、加飾印刷フィルムの表面印刷部と非印刷部との段差が原因となり、液晶表示パネルと加飾印刷フィルムとの間に気泡が混入しやすく、歩留を低下させることが問題となっている。
本問題を解決する方法として、例えば、特開平6−337411号公報(特許文献2)には、液晶表示パネルと加飾印刷保護パネルとの間にシリコーンゲル層を形成し、貼り合せを行う方法が開示されている。この場合、シリコーンゲルは液晶表示パネルと加飾印刷保護パネルとの間に液体原料を減圧下で注入し、硬化させる工程が必要となる。
また、例えば、特開平9−133912号公報(特許文献3)には、非ゲル樹脂シートを介して液晶表示セルと加飾印刷保護板との貼り合せをロールラミネーター等による圧着方式にて行う方法が開示されている。
しかしながら、これらの装置や方法は、貼り合せ時の気泡混入を抑制する為に減圧による脱気装置や気泡の混入を防止する為にロールラミネーター等の設備が必要となり、設備コストや生産性の点で十分なものではなかった
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、液晶表示パネルの保護等に用いられる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することを目的とする。特に液晶表示パネルの表示の視認性を向上させるために設けられ、液晶表示パネルとの間の粘着層に気泡を混入することなく容易に液晶表示パネルに貼り合わせることが出来る、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、加飾印刷が施されたプラスチックフィルムの表面に、光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させて透明樹脂層を形成することにより、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の加飾印刷フィルム積層体は、ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された加飾印刷フィルム層と、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層された、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度が250℃以上である透明樹脂層とを備える加飾印刷フィルム積層体であって、印刷段差が無く、前記透明樹脂層の厚みが20μm以上であり、且つ、前記透明樹脂層が光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層であることを特徴とするものである。
また、本発明の加飾印刷フィルム積層体においては、前記透明樹脂層が前記加飾印刷フィルム層の両面に積層されていることが好ましい。
さらに、本発明の加飾印刷フィルム積層体においては、前記籠型シルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(1):
RSiX3 ・・・(1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、Xは加水分解性基を示す。)
で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるものであることが好ましい。
RSiX3 ・・・(1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、Xは加水分解性基を示す。)
で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるものであることが好ましい。
また、本発明の加飾印刷フィルム積層体においては、前記籠型シルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(2):
[RSiO3/2]n ・・・(2)
(式(2)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、nは8、10、12又は14を示す。)
で表される籠型シルセスキオキサン樹脂であることが好ましい。
[RSiO3/2]n ・・・(2)
(式(2)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、nは8、10、12又は14を示す。)
で表される籠型シルセスキオキサン樹脂であることが好ましい。
さらに、本発明の加飾印刷フィルム積層体においては、前記Rが、下記一般式(3)、(4)又は(5):
(式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、式(3)及び(4)中、mは1〜3の整数を示す。)
で表される有機官能基であることが好ましい。
で表される有機官能基であることが好ましい。
さらに、本発明の加飾印刷フィルム積層体は、前記透明樹脂層の表面に積層された表面修飾膜層を更に備えていてもよい。
また、本発明にかかる透明樹脂層としては、粘度が100〜20000cpsである前記光硬化性樹脂組成物を塗工し硬化させてなる層であることが好ましい。
なお、本発明における粘度とは、温度25℃においてE型粘度計(回転数:30rpm)を用いて測定した値のことである。
さらに、本発明にかかる透明樹脂層としては、前記光硬化性樹脂組成物をナイフコート、カーテンコート、コンマコート及びリップコートからなる群から選択される少なくとも一つの方法により前記加飾印刷フィルム層の表面上に塗工し硬化させてなる層であることが好ましい。
また、本発明にかかる加飾印刷フィルム層としては、前記プラスチックフィルムの表面にアンカーコート処理、コロナ放電処理、プラズマ処理及びプライマーコート処理からなる群から選択される少なくとも一つの易接着処理が施された層であることが好ましい。
なお、一般に、シートとは薄くその厚さが長さと幅と比べて小さい平らなものをいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく最大厚さが任意に限定されている薄い平らなものであって、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく明確に区別しにくい。そこで、本明細書においては、シートとフィルムの両方を含めて「フィルム」と定義する。
本発明によれば、液晶表示パネルの保護等に用いられる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することが可能となる。特に液晶表示パネルの表示の視認性を向上させるために設けられ、液晶表示パネルとの間の粘着層に気泡を混入することなく容易に液晶表示パネルに貼り合わせることが出来る、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の加飾印刷フィルム積層体は、ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された加飾印刷フィルム層と、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層された、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度が250℃以上である透明樹脂層とを備える加飾印刷フィルム積層体であって、印刷段差が無く、前記透明樹脂層の厚みが20μm以上であり、且つ、前記透明樹脂層が光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層であることを特徴とするものである。
本発明にかかる加飾印刷フィルム層は、ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された層である。このようにプラスチックフィルムガラス転移温度は70℃以上(好ましくは、70〜220℃の範囲)であることが必要である。ガラス転移温度が70℃未満では車載用等の高温となる使用環境下において熱によるうねりやそりが発生するおそれがある。また、このようにプラスチックフィルムに加飾印刷を施す際に用いるインクとしては、顔料系及び染料系のいずれのインクでもよく、特に限定されないが、プラスチックフィルム表面での精密印刷が可能な馴染みの良いインクを用いることが好ましい。さらに、このようにプラスチックフィルムに加飾印刷を施す際の印刷方法についても特に限定されず、適宜公知の装置による印刷方法を採用することできるが、例えば、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、孔版印刷法を採用することができる。
また、このようなプラスチックフィルムの材質としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、アセテート系樹脂、アクリル系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂等のプラスチックが挙げられる。これらのプラスチックの中でも、特に耐熱性と透明性に優れ、諸特性のバランスのとれているという観点から、PET、PEN、COP、COCが好ましい。これらのプラスチックは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、このようなプラスチックフィルムとしては、後述する透明樹脂層や印刷インクとの密着性を向上させるという観点から、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート処理、アンカーコート等の易接着処理が表面に施されたものであることが好ましい。特に、COP又はCOCを含有するプラスチックフィルムは、密着性不良が生じやすい傾向にあるため、前記易接着処理を表面に施されたものであることが特に望ましい。
このような加飾印刷フィルム層の厚みは、0.03mm以上であることが好ましく、0.03mm〜0.5mmの範囲であることがより好ましい。厚みが0.03mmに満たない場合には、透明樹脂層の硬化時の収縮による変形が発生しやすくなると共に塗工時の張力による変形が発生しやすくなる傾向にある。他方、厚みが前記上限を超えると、フィルムの厚さにより、透明樹脂層の連続塗工が困難となり、生産性が著しく劣る恐れがある。
本発明にかかる透明樹脂層は、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層される層である。そして、このような透明樹脂層においては、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度(耐熱温度)が250℃以上であることが必要である。波長550nmでの光透過率が90%未満では、得られる加飾印刷フィルム積層体において、加飾印刷の視認性が不十分となり、またタッチパネル等の電子機器に透明フィルムとして用いる場合において光透過性が不十分となり、画像の視認性等に問題が生じる。また、ガラス転移温度が250℃未満では、得られる加飾印刷フィルム積層体をタッチパネル等の電子機器に用いる場合において耐熱性が不十分となる。なお、このような透明樹脂層のガラス転移温度は高いほど好ましく、透明樹脂層の他の品質である透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性及び耐久性を阻害しない範囲(例えば、ガラス転移温度が300〜400℃の範囲)であればよい。
このような透明樹脂層は、光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層である。このような光硬化性樹脂組成物における前記籠型シルセスキオキサン樹脂の含有量は、光硬化性樹脂組成物の質量に対して、3質量%以上となる量であることが好ましく、5〜30質量%の範囲内となる量であることがより好ましい。前記含有量が3質量%未満では、得られる加飾印刷フィルム積層体において、透明樹脂層のガラス転移温度が低くなる傾向にあるため表面成膜時の加熱プロセスでの耐熱性が不十分となりやすく、特にタッチパネル等の電子機器に透明フィルムとして用いる場合において耐熱性が不十分となりやすい傾向にある。他方、前記含有量が前記上限を超えると、透明樹脂層の靭性が損なわれ、ハンドリングにより表面にクラック発生等の外観不良となる傾向にある。このように籠型シルセスキオキサン樹脂の含有量を調節することにより、透明樹脂層のガラス転移温度を調節することができ、例えば、前記籠型シルセスキオキサン樹脂の含有量が同じ場合でも、前記籠型シルセスキオキサン樹脂と併用する他の樹脂等のガラス転移温度により変動するため、前記籠型シルセスキオキサン樹脂の含有量を適宜調節することにより、透明樹脂層のガラス転移温度を調節することができる。
本発明にかかる籠型シルセスキオキサン樹脂は、光硬化性を有する籠型のシルセスキオキサン樹脂である。このような籠型シルセスキオキサン樹脂としては、例えば、下記一般式(1):
RSiX3 ・・・(1)
で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるものが挙げられる。なお、前記一般式(1)において、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基等の加水分解性基を示す。
RSiX3 ・・・(1)
で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるものが挙げられる。なお、前記一般式(1)において、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基等の加水分解性基を示す。
また、本発明においては、このような籠型シルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(2):
[RSiO3/2]n ・・・(2)
で表される籠型シルセスキオキサン樹脂であることが好ましい。なお、前記一般式(2)において、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、nは8、10、12又は14を示す。
[RSiO3/2]n ・・・(2)
で表される籠型シルセスキオキサン樹脂であることが好ましい。なお、前記一般式(2)において、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、nは8、10、12又は14を示す。
さらに、本発明においては、前記Rが、下記一般式(3)、(4)又は(5):
で表される有機官能基であることが好ましい。なお、前記一般式(3)において、R1は水素原子又はメチル基を示す。また、前記一般式(3)及び(4)において、mは1〜3の整数を示す。
このような籠型シルセスキオキサン樹脂は、樹脂中のケイ素原子全てに(メタ)アクリロイル基、グリシジル基又はビニル基を有する有機官能基からなる反応性官能基を有し、且つ、分子量分布及び分子構造の制御された籠型シルセスキオキサン樹脂であることが好ましいが、一部の有機官能基がアルキル基、フェニル基等に置き換わっているものであってもよい。また、このような籠型シルセスキオキサン樹脂の分子構造は、完全に閉じた多面体構造でなくてもよく、例えば、一部が開裂したような構造であってもよい。また、このような籠型シルセスキオキサン樹脂の平均分子量も特に限定されず、このような籠型シルセスキオキサン樹脂がオリゴマーであってもよい。
本発明にかかる光硬化性樹脂組成物は、前記籠型シルセスキオキサン樹脂を含有するものである。また、本発明でいう光硬化性樹脂組成物とは、活性エネルギー線を照射して硬化可能な樹脂組成物あればよく、特に制限されない。このような光硬化性樹脂組成物には、前記籠型シルセスキオキサン樹脂以外に他の樹脂が含まれていてもよい。このように籠型シルセスキオキサン樹脂と混合して用いることができる他の樹脂としては、籠型シルセスキオキサン樹脂と相溶性及び反応性を有する樹脂であればよく、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、このような光硬化性樹脂組成物は、光硬化性を阻害しない範囲であれば、フィラー系添加物を更に含有していてもよい。
また、このような光硬化性樹脂組成物は、通常、光重合開始剤を更に含有するものである。このような光重合開始剤としては、市販されているものを適宜選択して使用することができる。また、このような光重合開始剤としては、例えば、アルキンフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系等の光重合開始剤が挙げられる。なお、このような光硬化性樹脂組成物としては、粘度調整等のために、公知の溶媒を希釈剤として含有しているものを使用してもよいが、溶媒の揮発除去工程を考慮すると時間を要し生産効率が低下するという観点、並びに硬化フィルム内部に残留溶媒等が存在し成形フィルムの特性低下につながるという観点から、溶媒の含有量が5%以下のものを使用することが好ましく、溶媒を含有していないものを使用することがより好ましい。
さらに、このような光硬化性樹脂組成物の粘度は、100〜20000cpsであることが好ましい。前記粘度が100cps未満では、粘度が小さ過ぎるため印刷段差が埋まりにくく、光硬化性樹脂組成物が硬化した際に印刷部分の段差が残り易い傾向にあり、他方、前記粘度が20000cpsを超えると、光硬化性樹脂組成物が流動しにくくなるため印刷段差が埋まりにくく、光硬化性樹脂組成物が硬化した際に印刷部分の段差が残り易い傾向にある。
本発明にかかる透明樹脂層は、前記光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層である。そして、本発明においては、このような透明樹脂層の厚みが20μm以上(好ましくは、20μm〜400μmの範囲)であることが必要である。厚みが20μm未満では、光硬化性樹脂組成物の特徴である高耐熱性の効果が十分に発揮されず、得られる加飾印刷フィルム積層体の耐熱性が不十分となる。他方、厚みが前記上限を超えると、透明樹脂層の硬化収縮による影響が大きくなり、形状不良となる傾向にある。
本発明の加飾印刷フィルム積層体は、前記加飾印刷フィルム層と、前記透明樹脂層とを備えるものである。また、本発明においては、前記透明樹脂層が前記加飾印刷フィルム層の両面に積層されていることが好ましい。このように前記透明樹脂層を前記加飾印刷フィルム層の両面に積層させて、「透明樹脂層−加飾印刷フィルム層−透明樹脂層」の三層構造からなる加飾印刷フィルム積層体にすることにより、透明樹脂層を片面にのみに積層させた「樹脂層−加飾印刷フィルム層」の二層構造からなる加飾印刷フィルム積層体に比べて加飾印刷フィルム積層体の反りや変形等を更に低減させることができる。また、このように前記透明樹脂層を前記加飾印刷フィルム層の両面に積層する場合には、前記光硬化性樹脂組成物として同一の組成のものを用いてもよく、また、片面毎に異なる組成のものを用いてもよい。
本発明の加飾印刷フィルム積層体は、積層体の表面に印刷段差が無いばかりではなく、十分な表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性を有しており、さらに、そのフィルム表面に表面修飾膜を容易に成膜することが可能なものである。そして、本発明の加飾印刷フィルム積層体は、前記透明樹脂層の表面に積層された表面修飾膜層を更に備えるものであってもよい。このような表面修飾膜の種類としては、例えば、透明導電膜(ITO膜)、ガスバリア膜、アンチグレア膜、反射防止膜、DLC膜、防汚膜、ハードコート膜が挙げられる。また、このような表面修飾膜の成膜方法は特に限定されず、適宜公知の成膜方法を採用することができる。このような成膜方法としては、例えば、光硬化、熱硬化、二液混合硬化等のウェット成膜法;スパッタ法、蒸着法、CVD法等のドライ成膜法を採用することができる。
次に、以上説明した本発明の加飾印刷フィルム積層体を製造する方法について説明する。本発明の加飾印刷フィルム積層体は、例えば、プラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷を施したもの(加飾印刷フィルム層)を予め準備し、前記加飾印刷フィルム層の表面に前記光硬化性樹脂組成物を塗布した後に硬化せしめて前記透明樹脂層を形成させることにより製造することができる。
このように光硬化性樹脂組成物を塗工する方法としては、前記透明樹脂層により印刷段差を埋めるという観点から、段差を埋めやすいナイフコーター系の塗工方式が好ましく、ナイフコート、カーテンコート、コンマコート、リップコートがより好ましい。また、塗布ヘッドを用いて硬化反応を起こすとゲル状の付着物が筋や異物の原因となるため、望ましくは塗布ヘッドには紫外線が当たらないようにすることが好ましい。なお、その他の塗工方法として代表的なダイコート方式は、ダイスリットより一定厚みの樹脂が吐出されるため、印刷段差を埋めるには適していない塗工方式である。
また、光硬化性樹脂組成物を塗布した後に硬化せしめる方法としては、例えば、塗布後の光硬化性樹脂組成物上に紫外線を発生させて照射して光硬化させるという紫外線照射法を採用することができる。このような方法に用いる紫外線ランプとして、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプが挙げられる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプ又は高圧水銀ランプを用いることが好ましい。また、照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量は20〜10000mJ/cm2の範囲であればよく、100〜10000mJ/cm2での範囲であることが好ましい。また、光エネルギーの有効利用の観点から、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付けることが好ましく、さらには、冷却対策として熱カットフィルター等を取り付けてもよい。
また、紫外線ランプの照射箇所には、冷却装置を取り付けることが好ましい。このような冷却装置により、紫外線ランプからの発生する熱に誘発される加飾印刷フィルム積層体の熱変形を抑制することができる。このような冷却装置の冷却方式としては、空冷方式、水冷方式等の公知の方法を採用することができる。特に加飾印刷フィルム層の印刷された箇所に熱が蓄積しやすく、変形の要因となるため、冷却装置の役目は重要である。
なお、このように紫外線照射法により光硬化性樹脂組成物を硬化せしめる場合には、紫外線硬化反応はラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受ける。そのため、光硬化性樹脂組成物の硬化反応における酸素による反応阻害を抑制するという観点から、光硬化性樹脂組成物を塗布した後にその表面を透明カバーフィルムで覆うことが好ましい。また、このように光硬化性樹脂組成物の表面を透明カバーフィルムで覆うことより、光硬化性樹脂組成物の表面における酸素濃度を1%以下にすることが好ましく、0.1%以下にすることがより好ましい。このように酸素濃度を小さくするためには、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さい透明カバーフィルムを採用することが好ましい。このような透明カバーフィルムの材質としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート系樹脂、アクリル系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂等のプラスチックが挙げられる。これらのプラスチックは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、このような透明カバーフィルムは硬化後の光硬化性樹脂組成物(透明樹脂層)との剥離が可能でなければならないため、透明カバーフィルムの表面にシリコン塗布、フッ素塗布等の易剥離処理が施されているものを用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬社製、商品名「KS−TMPA」)80部、下記構造式(6)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE184」)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得た。本光硬化性樹脂組成物の粘度は3000cpsであった。また、表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)の表面に加飾印刷を施して加飾印刷されたPETフィルムを得た。
トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬社製、商品名「KS−TMPA」)80部、下記構造式(6)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE184」)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得た。本光硬化性樹脂組成物の粘度は3000cpsであった。また、表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)の表面に加飾印刷を施して加飾印刷されたPETフィルムを得た。
次に、得られた液状の光硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、毎分1mの速度で巻き出した加飾印刷されたPETフィルムの表面上へコンマコーター法にて、硬化後の厚みがそれぞれ0.05mmとなるように両面に塗布した。そして、透明カバーフィルム(材質:ポリエチレンテレフタレート、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着した後、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の照射露光量で両面から照射して透明樹脂層を硬化せしめた。その後、硬化後の透明樹脂層から透明カバーフィルムを剥離除去し、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:PET、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
(実施例2)
PETフィルムに代えてCOCフィルム(シクロオレフィンコポリマーフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率85%以上)を用いた以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したCOC、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
PETフィルムに代えてCOCフィルム(シクロオレフィンコポリマーフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率85%以上)を用いた以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したCOC、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
(実施例3)
PETフィルムに代えてPENフィルム(ポリエチレンナフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率85%以上)を用いた以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPEN、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
PETフィルムに代えてPENフィルム(ポリエチレンナフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率85%以上)を用いた以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPEN、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
(実施例4)
PETフィルムの厚みを0.2mmとし、光硬化性樹脂組成物の塗布量を硬化後の透明樹脂層の厚みが0.02mmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.02mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.2mm)−透明樹脂層(厚み:0.02mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.24mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
PETフィルムの厚みを0.2mmとし、光硬化性樹脂組成物の塗布量を硬化後の透明樹脂層の厚みが0.02mmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.02mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.2mm)−透明樹脂層(厚み:0.02mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.24mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
(実施例5)
光硬化性樹脂組成物の塗布量を硬化後の透明樹脂層の厚みが0.5mmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.5mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.5mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:1.1mm)を得た。なお、加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
光硬化性樹脂組成物の塗布量を硬化後の透明樹脂層の厚みが0.5mmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.5mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.5mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:1.1mm)を得た。なお、加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
(実施例6)
前記構造式(6)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部に代えて下記構造式(7)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部を用いて光硬化性樹脂組成物(本光硬化性樹脂組成物の粘度は1800cps)を作製した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
前記構造式(6)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部に代えて下記構造式(7)で表されるシルセスキオキサンオリゴマー20部を用いて光硬化性樹脂組成物(本光硬化性樹脂組成物の粘度は1800cps)を作製した以外は実施例1と同様にして、「透明樹脂層(厚み:0.05mm)−加飾印刷フィルム層(材質:表面にアンカーコートによる易接着処理を施したPET、厚み:0.1mm)−透明樹脂層(厚み:0.05mm)」の三層構造からなる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。なお、得られた加飾印刷フィルム積層体の透明樹脂層における光硬化性樹脂組成物の硬化反応率を測定したところ、結果は85%以上であった。
<加飾印刷フィルム積層体の諸特性の評価>
実施例1〜6で得られた加飾印刷フィルム積層体の諸特性(表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性)を評価した。すなわち、加飾印刷フィルム積層体の諸特性〔表面硬度(JIS K5600)、耐候性(JIS K5658)、耐薬品性(JIS A1454、薬品:トルエン、キシレン、アセトン、10%NaOH、10%H2SO4、10%HCl、10%H3PO4、浸漬時間:24hr)、耐久性(JIS K7128)及び耐熱性(JIS K7206)〕を、それぞれ日本工業規格等に記載された方法に準拠して評価したところ、本発明の加飾印刷フィルム積層体(実施例1〜6)は、十分な表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性を有していることが確認された。
実施例1〜6で得られた加飾印刷フィルム積層体の諸特性(表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性)を評価した。すなわち、加飾印刷フィルム積層体の諸特性〔表面硬度(JIS K5600)、耐候性(JIS K5658)、耐薬品性(JIS A1454、薬品:トルエン、キシレン、アセトン、10%NaOH、10%H2SO4、10%HCl、10%H3PO4、浸漬時間:24hr)、耐久性(JIS K7128)及び耐熱性(JIS K7206)〕を、それぞれ日本工業規格等に記載された方法に準拠して評価したところ、本発明の加飾印刷フィルム積層体(実施例1〜6)は、十分な表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性を有していることが確認された。
また、実施例1〜6で得られた加飾印刷フィルム積層体と強化ガラスとを貼り合わせた際の密着性を評価した。すなわち、紫外線硬化性樹脂を強化ガラス(厚み:0.7mm)上に塗布して加飾印刷フィルム積層体を貼り合せた後に、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の照射露光量で両面から照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた。そして、強化ガラスを貼り合わせた加飾印刷フィルム積層体における気泡混入の有無を調べた。結果、加飾印刷フィルム積層体と強化ガラスとの間に気泡が混入することなく貼り合せることが出来た。したがって、本発明の加飾印刷フィルム積層体は、気泡が混入すること無く、液晶表示パネルとしても使用されるガラスと容易に貼り合せできることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、液晶表示パネルの保護等に用いられる、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することが可能となる。特に液晶表示パネルの表示の視認性を向上させるために設けられ、液晶表示パネルとの間の粘着層に気泡を混入することなく容易に液晶表示パネルに貼り合わせることが出来る、印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体を提供することが可能となる。
さらに本発明の加飾印刷フィルム積層体は、積層体の表面に印刷段差が無いばかりではなく、十分な表面硬度、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性を有しており、さらに、そのフィルム表面に表面修飾膜を容易に成膜することが可能なものである。
したがって、本発明の加飾印刷フィルム積層体は、ディスプレイ基板、タッチパネル、透明電極付きフィルム、レンズシート、光導波路、太陽電池基板、光ディスク、各種透明基板等のフィルムとして有用である。
Claims (9)
- ガラス転移温度が70℃以上であるプラスチックフィルムの少なくとも片面に加飾印刷が施された加飾印刷フィルム層と、前記加飾印刷フィルム層の少なくとも片面に積層された、波長550nmでの光透過率が90%以上であり、且つガラス転移温度が250℃以上である透明樹脂層とを備える加飾印刷フィルム積層体であって、
印刷段差が無く、前記透明樹脂層の厚みが20μm以上であり、且つ、前記透明樹脂層が光硬化性を有する籠型シルセスキオキサン樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層であることを特徴とする加飾印刷フィルム積層体。 - 前記透明樹脂層が前記加飾印刷フィルム層の両面に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾印刷フィルム積層体。
- 前記透明樹脂層は、粘度が100〜20000cpsである前記光硬化性樹脂組成物を塗工し硬化させてなる層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾印刷フィルム積層体。
- 前記加飾印刷フィルム層は、前記プラスチックフィルムの表面にアンカーコート処理、コロナ放電処理、プラズマ処理及びプライマーコート処理からなる群から選択される少なくとも一つの易接着処理が施された層であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の加飾印刷フィルム積層体。
- 前記籠型シルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(1):
RSiX3 ・・・(1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、Xは加水分解性基を示す。)
で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の加飾印刷フィルム積層体。 - 前記籠型シルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(2):
[RSiO3/2]n ・・・(2)
(式(2)中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか一つの基を有する有機官能基を示し、nは8、10、12又は14を示す。)
で表される籠型シルセスキオキサン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の加飾印刷フィルム積層体。 - 前記透明樹脂層は、前記光硬化性樹脂組成物をナイフコート、カーテンコート、コンマコート及びリップコートからなる群から選択される少なくとも一つの方法により前記加飾印刷フィルム層の表面上に塗工し硬化させてなる層であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の加飾印刷フィルム積層体。
- 前記透明樹脂層の表面に積層された表面修飾膜層を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の加飾印刷フィルム積層体。
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JP2010072933A JP2011201256A (ja) | 2010-03-26 | 2010-03-26 | 印刷段差の無い加飾印刷フィルム積層体 |
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JP5245003B1 (ja) * | 2012-12-14 | 2013-07-24 | 株式会社サニー・シーリング | 加飾フィルムおよびその製造方法 |
JP2013178332A (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-09 | Toppan Printing Co Ltd | 画像表示パネル用加飾飛散防止フィルム及び画像表示パネル |
JP2014058596A (ja) * | 2012-09-14 | 2014-04-03 | Toppan Tdk Label Co Ltd | 両面粘着フィルム |
JP2016124157A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | 新日鉄住金化学株式会社 | ポリイミドフィルム積層体 |
-
2010
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