JP2012139381A - 体液吸収性のコアを含む体液吸収性物品、およびそのコアを製造する方法 - Google Patents

Abstract

【課題】体液を速やかに吸収することができる体液吸収性物品とそれに使用するコアの製造方法との提供。
【解決手段】体液吸収性物品に使用されている体液吸収性のコア４０に凹部４３が形成される。コア４０は、凹部４３の周壁４３ａを画成している表層部分１０５と、表層部分１０５よりも内側に位置する内方部分１０６とを有する。表層部分１０５は主として吸水性繊維によって形成され、内方部分１０６は混合状態にある吸水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とによって形成される。
【選択図】図５

Description

この発明は、体液吸収性のコアを含む体液吸収性物品とそのコアを製造する方法に関し、より詳しくは、おむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ、生理用ナプキン等として使用するのに好適な体液吸収性物品とその体液吸収性物品における体液吸収性のコアを製造する方法とに関する。

従来、吸水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とを含む体液吸収性のコアを有するおむつは公知である。例えば、特許文献１には、縦方向と横方向と厚さ方向とを有し透水性シートと不透水性シートとでサンドウィッチされた状態のコアを含むおむつが開示されている。このおむつのコアには、厚さ方向において肌対向面から非肌対向面にまで届く貫通孔が形成されている。その貫通孔は縦方向に延びている。

このおむつでは、尿等の体液が貫通孔に沿って流れるため、体液の縦方向への拡散を促進することができる。

特許第３２０８２８９号公報

特許文献１に開示されているおむつにおいて、コアにおける貫通孔の周壁部分に高吸水性ポリマー粒子が多く存在して、体液吸収後の高吸水性ポリマー粒子がゲルブロックを形成すると、そのゲルブロックは貫通孔を塞いでその機能を失わせたり周壁部分からの体液の速やかな吸収の妨げになったりすることがある。

この発明では、体液吸収性のコアに形成された凹部の周壁から体液を速やかに吸収することができる体液吸収性物品とそのコアの製造方法との提供を課題にしている。

前記課題を解決するためのこの発明は、体液吸収性コアを含む体液吸収性物品に係る第１発明と、そのコアの製造方法に係る第２発明とを含んでいる。
前記第１発明が対象とするのは、吸水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とを含む体液吸収性のコアおよび前記コアの表面を被覆している透水性シートを有する体液吸収性物品である。

かかる体液吸収性物品において、前記第１発明が特徴とするところは、次のとおりである。前記コアは、前記透水性シートを介して前記体液吸収性物品の着用者の肌と向かい合う肌対向面と、その反対面である非肌対向面との両対向面を有し、前記両対向面の少なくとも一方の面には、前記一方の面から他方の面に向かう方向に深さ方向を有する凹部が形成してある。前記コアはまた、主として前記吸水性繊維によって形成されていて前記凹部の周壁を画成している表層部分と、前記表層部分よりも内側にあって前記吸水性繊維と前記高吸水性ポリマー粒子とが混合状態にある内方部分とを含んでいる。

第１発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記凹部が前記深さ方向に底を有するものおよび前記両対向面間を貫通しているもののいずれかである。

第１発明の実施態様の他の一つにおいて、前記コアが互いに直交する横方向と厚さ方向と前後方向とを有し、前記横方向の中央には前記厚さ方向へ延びる前記凹部が形成され、前記コアの前記非肌対向面が不透水性シートによって被覆され、前記不透水性シートには前記凹部に並行して延びる弾性部材が伸長状態で取り付けられている。

第１発明の実施態様の他の一つにおいて、前記コアが互いに重なり合う複数のコア層によって形成され、前記コア層のうちのいずれかの層に前記凹部が形成され、前記凹部は前記厚さ方向における開口部分が前記コア層のうちで前記いずれかの層に重なる前記コア層に含まれた前記吸水性繊維で閉じられている。

前記課題を解決するために、前記第２発明が対象とするのは、体液吸収性物品における体液吸収性のコアを製造する方法である。

かかる方法において、前記第２発明が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記コアの製造工程が成形型に吸水性繊維を供給する繊維供給工程を含み、前記成形型が前記コアの立体的形状に相当する凹部を有し、前記凹部が底部と、前記底部から立ち上がる壁部とによって画成されている。前記成形型の前記壁部の少なくとも一部分には、前記凹部に対してサクションを作用させることが可能な複数の透孔が形成されている。前記繊維供給工程では、前記透孔を介しての前記サクションの作用下に前記壁部の少なくとも一部分の表面が前記吸水性繊維で被覆される。

前記第２発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記成形型の前記底部にも、前記サクションを作用させることが可能な複数の透孔が形成されている。前記製造工程は、前記透孔を介しての前記サクションの作用下に前記底部と前記壁部の少なくとも一部分の表面とが前記吸水性繊維で被覆される第１工程と、前記第１工程の後に前記凹部に前記吸水性繊維と前記高吸水性ポリマー粒子とが供給される第２工程とを含む。

この発明に係る体液吸収性物品は、それに使用されている体液吸収性のコアにおける凹部の周壁を画成している表層部分が主として吸水性繊維で形成されているため、その表層部分は内方部分に含まれる高吸水性ポリマー粒子がコアの内部を移動して凹部に侵入することを防ぐことができる。そのような凹部では、高吸水性ポリマー粒子が体液を吸収して凹部の内側にゲルブロックを形成する、ということがない。それゆえ、この体液吸収性のコアでは、凹部において体液が速やかに拡散し、凹部の周壁からは体液を速やかに吸収することができる。

体液吸収性物品の一例である使い捨ておむつの斜視図。 図１のおむつから得られる伸展おむつの部分破断平面図。 シャーシの部分破断平面図。 体液吸収性パネルの部分破断平面図。 図４のＶ−Ｖ線切断面を示す図。 図５の部分ＶＩの拡大図。 図４におけるコアの平面図。 コアの製造工程の一部分を示す図。 コアの製造工程の一部分を破断して示す図。 （ａ）は第１ドラムの部分斜視図であり、（ｂ）は（ａ）のＸｂ−Ｘｂ線に沿う切断面を示す図であり、（ｃ）は（ｂ）における部分Ｘｃの拡大図である。 コアの一態様を例示する図。 図１１のコアの使用態様を例示する図。 図１２のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線切断面を示す図。 図１３のコアが変形する態様の一例を示す図。 図１１のコアの製造工程を示す図。 コアの一態様を例示する図１１と同様な図。 図１６のＸＶＩＩ−ＸＶＩＩ線切断面を示す図。 コアの一態様を例示する図１１と同様な図。 図１８のＸＩＸ−ＸＩＸ線切断面を示す図。

この発明に係る体液吸収性物品として、パンツ型の使い捨ておむつ（以下、単に「おむつ」ということがある）を例にあげてこの発明の詳細を説明する。

図１は、ウエスト開口１０ａと、一対のレッグ開口１０ｂとを有するおむつ１０をその前方から見たときの斜視図である。図２は、おむつ１０から得られる伸展おむつ１０ｄの部分破断平面図であり、図３は、伸展おむつ１０ｄにおけるシャーシ１１の部分破断平面図であり、図４は伸展おむつ１０ｄにおける体液吸収性パネル４０の部分破断平面図である。図５は、伸展おむつ１０ｄにおけるコア４２の平面図であり、図６は図５のＶＩ−ＶＩ線に沿う切断面を示す図であり、図７は図６における部分ＶＩＩの拡大図である。図中、Ｘ，Ｙ，Ｚは、図１のおむつ１０についての互いに直交する横方向と縦方向と前後方向とであり、併せて伸展おむつ１０ｄについても横方向と前後方向とがＸ，Ｚで示されている。線Ｐは、おむつ１０および伸展おむつ１０ｄの横方向Ｘの寸法を二等分する縦中心線であり、線Ｑは、おむつ１０および伸展おむつ１０ｄの寸法を前後方向Ｚにおいて二等分する横中心線である。

図１において、おむつ１０は、前ウエスト域１２と、後ウエスト域１３と、前後方向Ｚにおいて前ウエスト域１２と後ウエスト域１３との間に介在させたクロッチ域１４とを有するシャーシ１１を備えていて、縦中心線Ｐに関して対称となるよう形成してある。

シャーシ１１は、前後ウエスト域１２，１３において横方向Ｘへ延びる前後両端部１５Ｆ，１５Ｂと、前後ウエスト域１２，１３が互いに接合することによって形成されていて縦方向Ｙへ延びる両側部１６Ｒ，１６Ｌとを有する。シャーシ１１はまた、前後ウエスト域１２，１３によって画成された胴回り開口１１ａと、前後ウエスト域１２，１３とクロッチ域１４とによって画成された一対の脚回り開口１１ｂとを含んでいる。両側部１６Ｒ，１６Ｌでは、前後ウエスト域１２，１３を接合するための複数の溶着域１７が縦方向Ｙに間欠的に並んでいる。

図２は、図１のおむつ１０において前後ウエスト域１２，１３の溶着域１７における接合を解いて、おむつ１０を横方向Ｘと前後方向Ｚとに伸展して得られる伸展おむつ１０ｄの平面図であって、図には伸展おむつ１０ｄの内面側が示されている。伸展おむつ１０ｄの内面は、おむつ１０を着用したときに着用者の肌と対向する面であって、この発明ではそのような内面を肌対向面ということがある。

図２において明らかなように、おむつ１０およびそれから得られる伸展おむつ１０ｄは、シャーシ１１とシャーシ１１の内面に取り付けられた体液吸収性パネル４０とを含んでいる。シャーシ１１は、ほぼ砂時計型の形状を有し、前後方向Ｚには前ウエスト域１２と、後ウエスト域１３と、これら両ウエスト域１２，１３の間に介在するクロッチ域１４とを含んでいる。体液吸収性パネル４０は、クロッチ域１４から前ウエスト域１２と後ウエスト域１３とにまで延びていて、横方向Ｘの両側には防漏カフ４０ａを有する。パネル４０は、両防漏カフ４０ａの間において体液を吸収する。

図３は、図２におけるシャーシ１１の部分破断平面図であり、パネル４０が仮想線で示されている。シャーシ１１は、ほぼ砂時計型に形成されていて、おむつ１０の肌対向面の一部分を形成する内面シート２５と、前ウエスト域１２においておむつ１０の外側から内面シート２５にホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合している前方外面シート２６Ｆと、後ウエスト域１２において、おむつ１０の外側から内面シート２５にホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合している後方外面シート２６Ｒとを含んでいる。前方外面シート２６Ｆと後方外面シート２６Ｒとのそれぞれは、おむつ１０の前後端部１５Ｆ，１５Ｒそれぞれで折曲されて、図３における内面シート２５の前後方向Ｚの両端部１８Ｆ，１８Ｒのそれぞれをおむつ１０の内側から被覆している。

シャーシ１１の前ウエスト域１２には、複数条の前方第１ウエスト弾性部材３０と、複数条の前方第２ウエスト弾性部材３１と、複数条の前方レッグ弾性部材３４とが含まれている。前方第１ウエスト弾性部材３０と前方第２ウエスト弾性部材３１とは、おむつ１０の前端部１５Ｆに並行して前ウエスト域１２の両側縁部にまで延びていて、内面シート２５と前方外面シート２６Ｆとの間にあり、ホットメルト接着剤（図示せず）を介してこれらシート２５，２６Ｆの少なくとも一方に伸長状態で接合している。前方レッグ弾性部材３４は、図１において前方第２ウエスト弾性部材３１の下方にあって前ウエスト域１２の両側縁部にまで延びている。前方レッグ弾性部材３４はまた、内面シート２５と前方外面シート２６Ｆとの間にあり、ホットメルト接着剤（図示せず）を介してこれらシート２５，２６Ｆの少なくとも一方に伸長状態で接合している。

シャーシ１１の後ウエスト域１３には、複数条の後方第１ウエスト弾性部材３２と、複数条の後方第２ウエスト弾性部材３３とが含まれている。後方第１ウエスト弾性部材３２と後方ウエスト第２弾性部材３３とは、おむつ１０の後端部１５Ｒに並行して後ウエスト域１３の両側縁部にまで延びていて、内面シート２５と後方外面シート２６Ｒとの間にあり、ホットメルト接着剤（図示せず）を介してこれらシート２５，２６Ｒの少なくとも一方に伸長状態で接合している。

後方レッグ弾性部材３５は、クロッチ域１４に設けられているものであるが、内面シート２５と後方外面シート２６Ｒとによってサンドウィッチされている。かかる後方レッグ弾性部材３５は、長さ方向の両側部分３５ｂが後方外面シート２６Ｒのうちで脚回り開口１１ｂ（図１参照）の縁を形成している部分に沿って延びていて、縦方向中心線Ｐとは斜めに交差する方向にある。長さ方向の中央部３５ａは、縦方向中心線Ｐに直交してクロッチ域１４を横断している。かような後方レッグ弾性部材３５もまた、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して内面シート２５と後方外面シート２６Ｒとのうちの少なくとも一方に伸長状態で接合している。

このようなシャーシ１１において、内面シート２５は、熱可塑性合成繊維で形成された不織布やプラスチックフィルム、不織布どうしの積層シート、不織布とプラスチックフィルムとの積層シート等のシート材料によって形成される。そのシート材料には、好ましくは不透水性のものが使用され、さらに好ましくは通気不透水性のものが使用される。内面シート２５の具体的な一例には、ポリプロピレン繊維で形成されたＳＭＳ不織布がある。

シャーシ１１における前方外面シート２６Ｆと後方外面シート２６Ｒには、好ましくはスパンボンド不織布やポイントボンド不織布、ＳＭＳ不織布等の熱可塑性合成繊維で形成された不織布が使用されて、シャーシ１１の外面が布様の触感のものになる。前方外面シート２６Ｆと後方外面シート２６Ｒの具体的な一例には、単位面積当たりの質量が１７ｇ／ｍ^２であるポリプロピレン繊維のスパンボンド不織布がある。

前方第１，第２ウエスト弾性部材３０，３１、前方レッグ弾性部材３４、後方第１，第２ウエスト弾性部材３２，３３、および後方レッグ弾性部材３５には、スパンデックス（登録商標）等の合成ゴムや天然ゴムで形成された糸状や帯状のものの他に、弾性的に伸長可能な不織布やウレタンゴムのシート片等を使用することができる。図１のおむつ１０が大人用のものであって、それに対してスパンデックス（登録商標）を使用するという一例において、前方第１ウエスト弾性部材３０と後方第１ウエスト弾性部材３３とには、７００〜１２００ｄｔｅｘのものを２．０〜４．０倍に伸長して４〜８本ずつ使用することができる。前方第２ウエスト弾性部材３１と後方第２ウエスト弾性部材３３とには、４００〜１０００ｄｔｅｘのものを１．４〜４．０倍に伸長して７〜２０本ずつ使用することができる。前方レッグ弾性部材３４には、４００〜１０００ｄｔｅｘのものを０〜３．５倍に伸長して２〜６本使用することができる。後方レッグ弾性部材３５には、４００〜１０００ｄｔｅｘのものを、クロッチ域１４を横断する中央部分３５ａでは０〜１．８倍に伸長し、縦中心線Ｐと斜めに交差する方向へ延びる部分では２．０〜２．５倍に伸長して２〜６本使用することができる。後方レッグ弾性部材３５について、縦中心線Ｐと直交する中央部３５ａの伸長率を両側部３５ｂの伸長率よりも小さくするのは、縦中心線Ｐの近傍において吸収パネル４０に形成される後記凹部４３Ｒ，４３Ｌの形状に影響を与えないようにするためであり、両側部３５ｂの伸長率を比較的大きくするのは、吸収パネル４０の両側縁１６Ｒ，１６Ｌ（図４参照）の近傍を縦方向Ｙへ引っ張り、おむつ１０を着用したときに吸収パネル４０の位置が横方向Ｘへずれることを防ぐためである。

図４は、図２における体液吸収性パネル４０の部分破断平面図であって、シャーシ１１が仮想線で示されている。平面状のパネル４０では、横方向と前後方向とが図１のおむつ１０の横方向Ｘと前後方向Ｚとに一致し、パネル４０の厚さ方向がおむつ１０の縦方向Ｙに相当している。それゆえ、以下では、平面状のパネル４０についての横方向と前後方向と厚さ方向とについても参照符号Ｘ，Ｚ，Ｙが使用される。かようなパネル４０は、透水性トップシート２０と、不透水性バックシート２２と、これら両シート２０，２２の間に介在する体液吸収性のコア４２とを含み、横方向Ｘの両側には前後方向Ｚへ延びる防漏カフ４０ａが形成されている。

トップシート２０は、繊維不織布、繊維不織布どうしの積層体、多孔プラスチックフィルム等で形成される。トップシート２０が繊維不織布である場合には、単位面積当たりの質量が１５〜５０ｇ／ｍ^２、好ましくは２０〜３５ｇ／ｍ^２の範囲にあるエアースルー不織布やスパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の繊維不織布を使用することができる。図示例のトップシート２０は、単位面積当たりの質量が２３ｇ／ｍ^２のポイントボンド不織布であって、その不織布ではポリプロピレン繊維が親水化処理されている。

バックシート２２は、不透水性のプラスチックフィルム、より好ましくは不透水性かつ透湿性のプラスチックフィルムが形成される。

防漏カフ４０ａは、疎水性の不織布や不透水性のプラスチックフィルムで形成され、図示例では単位面積当たりの質量が１５ｇ／ｍ^２であって、ポリプロピレン繊維で形成されたＳＭＳ不織布が使用されている。防漏カフ４０ａは、その不織布を折り重ねることによってスリーブ状に形成され、重ね合わせた不織布どうしの間には、ホットメルト接着剤（図示せず）を使用して複数条の弾性部材３６が伸長状態で取り付けられている。弾性部材３６には、たとえば４００〜１０００ｄｔｅｘのスパンデックス（登録商標）が１．５〜３倍に伸長した状態で使用されている。

コア４２は、粉砕パルプ等の吸水性繊維と、高吸水性ポリマー粒子とを含んでいる。コア４２の肌対向面４２ｂには、非肌対向面４２ｃにまで貫通する凹部４３（４３Ｒ，４３Ｌ）が形成されている（図５，６参照）。凹部４３Ｒと凹部４３Ｌとは、縦中心線Ｐに関して対称の関係にあって、前後方向Ｚに延びている。

図５は、図４のＶ−Ｖ線切断面を示す図であり、図６は、図５において仮想線で示す部分ＶＩの拡大図である。Ｖ−Ｖ線はおむつ１０ａの前後方向Ｚの寸法を二等分する横中心線Ｑに一致している。

図５のパネル４０において、コア４２はトップシート２０を介しておむつ１０の着用者の肌（図示せず）と対向する肌対向面４２ｂと、その反対面である非肌対向面４２ｃとを有し、両対向面４２ｂ，４２ｃのうちの少なくとも肌対向面４２ｂがトップシート２０で被覆され、図示例においては非肌対向面４２ｃがバックシート２２によって被覆され、これら両シート２０，２２がホットメルト接着剤（図示せず）を介してコア４２に接合している。なお、この発明では、肌対向面をコア４２の頂面４２ｂと呼び、非肌対向面をコア４２の底面４２ｃと呼ぶことがある。コア４２の頂面４２ｂには一対の凹部４３（４３Ｌ，４３Ｒ）が形成されているが、図示例における凹部４３は、頂面４２ｂと底面４２ｃとの間の貫通孔であって、周壁４３ａを有し、図４の前後方向Ｚに延びている。トップシート２０とバックシート２２とは、それらの側縁部２０ａ，２２ａがコア４２の側縁部から側方へ延出してホットメルト接着剤（図示せず）を介して互いに接合している。防漏カフ４０ａは、トップシート２０の側縁部２０ａとバックシート２２の側縁部２０ｂとに対してホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合するとともに、スリーブ状に形成された側縁部４０ｂそれぞれの内面には、二条の弾性部材３６が伸長状態で取り付けられている。

図６において、コア４２は、吸水性繊維１０１としての粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子１０２とを含んでいる。ただし、以下では吸水性繊維に代えて粉砕パルプに参照符号１０１を付すことがある。そのコア４２では、頂面４２ｂと、底面４２ｃと、周壁４３ａとが、粉砕パルプ１０１と高吸水性ポリマー粒子１０２とのうちの粉砕パルプ１０１または主として粉砕パルプ１０１が密集することによって形成された表層部分１０３，１０４，１０５によって画成され、表層部分１０３，１０４，１０５よりも内側の内方部分１０６では、粉砕パルプ１０１と高吸水性ポリマー粒子１０２とがほぼ一様に混合された状態にある。表層部分１０３，１０４，１０５は、高吸水性ポリマー粒子１０２が存在することもある部分ではあるが、表層部分１０３や１０４，１０５は、そこに存在する高吸水性ポリマー粒子の量が内方部分１０６で混合されている高吸水性ポリマー粒子１０２の量よりもはるかに少ないということによって内方部分１０６と区別される部分である。換言すると、表層部分１０３や１０４，１０５は、表層部分１０３や１０４，１０５から内方部分１０６に向かって高吸水性ポリマー粒子１０２の存在が顕著になるということによって内方部分１０６と区別される部分である。図５では、このような表層部分１０３，１０４，１０５と内方部分１０６の存在を模式的に示すためにこれらの部分が斜線を施した部分として示されている。

表層部分１０３，１０４，１０５と内方部分１０６とに含まれる高吸水性ポリマー粒子１０２の量の多寡を観察するには、０．９％の生理食塩水に青色１号食用色素（たとえば、光洋プロダック株式会社販売の「ヨット印食用色素」）を１重量％溶解させた着色生理食塩水を使用する。観察用のコア４２は５個を用意して、コア４２それぞれに対して凹部４３の直上から着色生理食塩水を１０ｍｌ／ｓｅｃの速度で３０，６０，９０，１２０，１５０ｍｌの量それぞれを滴下する。これらの着色生理食塩水を滴下した後、３分経過してからそれぞれのコア４２について凹部４３の周囲の着色状態を観察する。ただし、５個のコア４２のうちでコア４２の吸収能力からみて着色生理食塩水の滴下量が明らかに過剰と考えられるものを除き、残りのコア４２についてその観察をする。コア４２では、高吸水性ポリマー粒子１０２を多く含む部位ほど濃い青色を示し、粉砕パルプを多く含む部位ほど青色が薄くなる傾向にあるので、その青色の濃さを観察することで高吸収性ポリマー粒子の多寡を知ることができる。コア４２の外観観察からは内方部分１０６における青色の濃さを知ることができない場合には、コア４２を両手に持って凹部４３を横断するようにそのコア４２を二つ割にし、そのときに現れるコア４２の断面を観察する。なお、着色生理食塩水を滴下するには、容量が少なくとも１５０ｍｌのビュレットを使用する。

図７は、図４におけるコア４２の全体形状を示すコア４２の平面図である。ただし、図７のコア４２では、粉砕パルプ１０１と高吸水性ポリマー粒子１０２との図示が省略されている。コア４２は、前ウエスト域１２に位置する前方部分４２ｄと後ウエスト域１３に位置する後方部分４２ｅとにおいて幅が広く、クロッチ域１４に位置する中央部分４２ｆにおいて幅がやや狭くなるように形成されていて、その中央部分４２ｆには一対の凹部４３（４３Ｒ，４３Ｌ）が形成されている。

コア４２がこのように形成されている図２のパネル４０では、尿等の体液がトップシート２０を透過したときに、凹部４３へ侵入した体液は凹部４３の内側をたとえば前後方向Ｚへ流れることによって拡散して、表層部分１０５を介してコア４２に吸収される。このときのコア４２では、凹部４３が形成されていないコアと比べると、凹部４３における周壁４３ａが体液とコア４２との接触面積を増加させるように作用するので、コア４２による体液の吸収を促進することができる。そのような周壁４３ａではまた、主として粉砕パルプ１０１で形成されている表層部分１０５において体液が毛管現象によって前後方向Ｚへ拡散し易く、表層部分１０３，１０４では体液が横方向Ｘや前後方向Ｚへ拡散し易い。それゆえ、パネル４０では、コア４２の全体を体液吸収のために使用することが可能である。

周壁４３ａにおける表層部分１０５はまた、着用中のおむつ１０においてコア４２が変形して内方部分１０６に含まれている高吸水性ポリマー粒子１０２が動いても、それが内方部分１０６から凹部４３へ侵入することを阻止する障壁として作用する。それゆえ、コア４２では、凹部４３へ侵入した高吸水性ポリマー粒子１０２が体液を吸収して膨潤し、その膨潤した高吸水性ポリマー粒子１０２が凹部４３を少なくとも部分的に塞いで、凹部４３における体液のスムーズな流れの妨げになるという問題を解消することができる。

表層部分１０３や１０４，１０５がこのように作用して体液を拡散させることは、コア４２が高吸水性ポリマー粒子１０２を含むものであって、しかもコア４２の厚さが１〜５ｍｍ程度に薄く形成されている場合において重要である。高吸水性ポリマー粒子１０２は、体液を拡散させることにおいて特に優れているというものではないから、コア４２が薄いものであるときの高吸水性ポリマー粒子１０２の存在は、コア４２の全体に体液を速やかに拡散させることによって体液を吸収しようとするうえにおいては好ましいものではない。しかし、コア４２は、図示例の如く表層部分１０３や１０４，１０５を有するものであることによって、体液の速やかな吸収が可能になる。ただし、表層部分１０５のみが形成されていて表層部分１０３と１０４とが形成されていない態様、および表層部分１０３と１０４とのうち一方が形成されていない態様のコア４２を使用してこの発明を実施することも可能である。表層部分１０５の厚さは、好ましくは０．２〜３ｍｍ、より好ましくは０．４〜２ｍｍである。吸水性繊維１０１の好ましい一例は粉砕パルプであるが、レーヨン繊維のステープル等の吸水性繊維を粉砕パルプに代えて使用したり、粉砕パルプと混合して使用したりすることもできる。図示例のコア４２はまた、ティッシュペーパ等のラッピングシートで被覆した状態のものに代えることが可能である。コア４２において貫通孔として形成されている凹部４３は、コア４２における肌対向面４２ｂから非肌対向面４２ｃに向かっての深さ方向を有する有底の凹部に代えたり、非肌対向面４２ｃから肌対向面４２ｂに向かっての深さ方向を有する凹部に代えたりすることもできる。

この発明において、図示例のコア４２は、その平面形状や断面形状、凹部４３の形状や本数、位置等に適宜の変更を加えることによって、失禁ブリーフや生理用ナプキン等の体液吸収性物品における体液吸収性のコアとして使用することができる。

このようなコア４２を製造する工程の一例は、次のとおりである。図８は、コア４２の製造装置５０を含む工程の部分斜視図であり、図９は、製造装置５０の内部を示す製造装置５０の側面図である。図中、ＭＤは機械方向、ＣＤは機械方向ＭＤと直交する交差（横断）方向、ＨＤはこれらの方向ＭＤ，ＣＤに直交する上下方向を示す。

製造装置５０は、図４，７に例示のコア４２を成形するための成形部５１ａと、成形したコア４２をコンベアベルト８０によって機械方向ＭＤへ運ぶ搬送部５１ｂとを備えている。成形部５１ａは、チャンバ５２と、回転軸６３ａを中心に機械方向ＭＤへ回転可能な第１ドラム６３と、回転軸７３ａを中心に回転可能な第２ドラム７３とを有している。

チャンバ５２は、第１ドラム６３の上方にあって、機械方向ＭＤでは対向する周壁５３ａ，５３ｂと交差方向ＣＤで対向する周壁５３ｃ，５３ｄとを有し、上下方向に延びるよう形成してあり、下部開口５２ａが第１ドラム６３の周面６５に対向している。その下部開口５２ａは、第１ドラム６３の周面６５に沿って機械方向ＭＤへ延びていて、周面６５との間には所要の間隙が形成されている。下部開口５２ａを画成するチャンバ５２の周壁のうちで機械方向ＭＤで対向する周壁５３ａと周壁５３ｂとの周面６５に沿う離間寸法は、後記する成形型６６の機械方向ＭＤの長さ寸法よりも大きい。

チャンバ５２の内部には、機械方向ＭＤの上流側に位置する第１可動仕切壁５４と、下流側に位置する第２可動仕切壁５５とが形成されている。これら第１，第２可動仕切壁５４，５５は、交差方向ＣＤに延びる軸５４ａ，５５ａを中心にそれぞれの先端部５４ｂ，５５ｂが双頭矢印Ａ，Ｂで示す方向へ旋回するように制御可能である。旋回する先端部５４ｂ，５５ｂが周壁５３ａ，５３ｂから離間しているときの第１，第２可動仕切壁５４，５５はコア４２に対して表層部分１０３，１０４，１０５を形成する姿勢にあり、旋回する先端部５４ｂ，５５ｂが周壁５３ａ，５４ｂに当接しているときの第１，第２可動仕切壁５４，５５はコア４２に対しての表層部分１０３，１０４，１０５を形成しない姿勢にある。

これら第１，第２可動仕切壁５４，５５のそれぞれが表層部分１０３，１０４，１０５を形成する姿勢をとるように旋回した状態では、チャンバ５２の内部における機械方向ＭＤの上流側と下流側とに第１，第２可動仕切壁５４，５５のそれぞれとチャンバ５２の周壁５３ａ，５３ｂのそれぞれとによって第１，第２分流経路５６，５７が画成されるとともに、第１可動仕切壁５４と第２可動仕切壁５５との間に主経路５８が画成される。第１，第２分流経路５６，５７と主経路５８とは、交差方向ＣＤにおいて対向している周壁５３ｃ，５３ｄ（図８参照）によって側方から閉じられている。

チャンバ５２にはまた、繊維供給口５９と、ポリマー粒子供給路６０とが形成されている。繊維供給口５９は、チャンバ５２の内部に吸水性繊維１０１を供給する部分であって、チャンバ５２の頂部に位置している。

ポリマー供給路６０は、チャンバ５２の内部に高吸水性ポリマー粒子１０２を供給する管路であって、高吸水性ポリマー粒子１０２を第１ドラム６３に向かって吐出する吐出口６０ｂを有している。吐出口６０ｂは、繊維供給口５９よりも下方にあって、第１，第２可動仕切壁５４と５５との間にあり、第１ドラム６３の周面６５からは離間している。

第１，第２可動仕切壁５４，５５がコア４２における表層部分１０３，１０４，１０５を形成する姿勢をとるように旋回した状態では、繊維供給口５９から落下する吸水性繊維１０１が第１，第２分流経路５６，５７と主経路５８とに分散するように落下してドラム６３の周面６５に供給される一方、高吸水性ポリマー粒子１０２は主経路５８においてのみ落下して、吸水性繊維１０１と混合された状態で、好ましくは一様に混合された状態で周面６５に供給される。

第１ドラム６３は中空円筒状のもので、両側面６４ａ，６４ｂと周面６５とを有している。周面６５には、第１ドラム６３の径方向の内側に向かって凹む複数の成形型６６が含まれている。成形型６６は、機械方向ＭＤへ所要のピッチで並んでいる。

図１０の（ａ）は、成形型６６を含む第１ドラム６３の部分斜視図であり、図１０の（ｂ）は、（ａ）のＸｂ−Ｘｂ線に沿う第１ドラム６３の切断面を示す図であり、（ｃ）は（ｂ）における部分Ｘｃの拡大図である。

成形型６６は、コア４２の立体的形状に相当する凹部６７ａと二条の隆起部６７ｂとを有し、これら凹部６７ａと隆起部６７ｂとが、底部６８と、底部６８から立ち上がる壁部６９ａ，６９ｂとによって画成されている。壁部６９ａは凹部６７ａの周壁となる部分であり、壁部６９ｂは隆起部６７ｂの周壁となる部分であって、これら壁部６９ａ，６９ｂには成形型６６からのコア４２の離型を容易にすること等を目的として、底部６８に対して適宜の立ち上がり角度を有するテーパを付けることができる。壁部６９ａ，６９ｂのうちの少なくとも壁部６９ｂと底部６８とには、第１ドラム６３の内部と外部とを連通する複数の透孔６９ｃと複数の透孔６８ｃとが形成されている。なお、この発明の実施態様において、壁部６９ａにも適宜の孔径とピッチとを有する透孔を形成して、粉砕パルプ１０１を集積させることが可能である。

再び、図８，９において、第１ドラム６３の内部には、回転軸６３ａの周面から径方向に延びる隔壁７０ａ，７０ｂ，７０ｃが形成されていて、隔壁７０ａと７０ｂとによって画成される第１ゾーン７１では、内部の空気が回転軸６３ａの内部を介してつながる吸引装置（図示せず）によって第１ドラム６３の外に排出される一方、隔壁７０ｂと７０ｃとによって画成される第２ゾーン７２では、回転軸６３ａの内部を介してつながる外部給気装置からの加圧空気７６がその第２ゾーン７２に向かって供給される。第１ドラム６３が回転してその周面６５に形成されている成形型６６が、第１ゾーン７１に進入しているときには、成形型６６における透孔６８ｃ，６９ｃ（図１０（ａ），（ｂ）参照）を介して成形型６６の凹部６７ａの空気７５が吸い込まれ、凹部６７ａにサクション圧が作用する。第１ドラム６３が回転して周面６５の成形型６６が第２ゾーン７２に進入すると、透孔６８ｃ，６９ｃを介して第２ゾーン７２から成形型６６の凹部６７ａに向かって加圧空気７６が噴出する。

第２ドラム７３は、円筒状の周面７４を有している。その周面７４には、第２ドラム７３の内側に通じる複数の通気孔（図示せず）が形成されている。第２ドラム７３の内部には、回転軸７３ａの周面から径方向に延びる隔壁７５ａ，７５ｂ，７５ｃが形成されていて、隔壁７５ａと７５ｂとによって第２ドラム７３の内部に画成される第１ゾーン７６は周面７４を介して第１ドラム６３の第２ゾーン７２に対向し、第１ゾーン７６の空気が、回転軸７３ａの内部を介してつながる外部吸引装置（図示せず）によって吸引される。隔壁７５ｂと７５ｃとによって画成される第２ドラム７３の第２ゾーン７７は周面７４を介してコンベアベルト８０に対向している。第２ゾーン７７では、回転軸７３ａの内部を介してつながる外部給気装置（図示せず）からの加圧空気が第２ドラム７３の外に向かって噴出する。第１ドラム６３と第２ドラム７３との間では、第１ドラム６３が回転してその成形型６６で形成されたコア４２が第２ドラム７３と向かい合うと、第２ドラム７３の周面７４の通気孔を介してコア４２にサクションが作用してコア４２が第１ドラム６３の周面６５から第２ドラム７３の周面７４に移動する。その周面７４が第２ドラム７３の第２ゾーン７７に来ると、第２ゾーン７７に供給される加圧空気が周面７４の通気孔からコア４２に吹き付けられて、コア４２が周面７４から第１コンベアベルト８０へ移動する。

第１コンベアベルト８０は、通気性のもので、駆動ローラ８１と、従動ローラ８２とにかけ回してある。第１コンベアベルト８０には、複数の透孔（図示せず）が形成してある。また、駆動ローラ８１と従動ローラ８２との間には、第１コンベアベルト８０を介して第１コンベアベルト８０の上方の空気を吸い込むサクションボックス８４が適宜の個数だけ配置してあり、サクションボックス８４によるサクションを作用させた場合には、コア４２を第１コンベアベルト８０に固定しておくことができる。このような第１コンベアベルト８０では、第２ドラムの第２ゾーン７７が周面７４を介して第１コンベアベルト８０に対向している。

第１コンベアベルト８０の下流では、トップシート２０の連続体である第１ウエブ９１とバックシート２２の連続体である第２ウエブ９２とがホットメルト接着剤を塗布された状態で供給されてコア４２をサンドウィッチし、コア４２とこれら第１，第２ウエブ９１，９２との複合体９４が第２コンベアベルト９３に載せられてさらに機械方向ＭＤへ運ばれる。図示していないが、その後の工程において、複合体９４には防漏カフ４０ａの連続体が取り付けられてパネル４０の複合体（図示せず）となり、その後さらにパネル４０の複合体が隣り合うコア４２とコア４２との間において切断されて、個別のパネル４０が得られる。なお、図示例の工程は、パネル４０をプレスする工程を含むことができるのであるが、プレスするその工程の図示は省略されている。

このような製造装置５０を運転するときには、表層部分１０３，１０４，１０５のうちの少なくとも表層部分１０４と１０５とを形成することのできる姿勢となるように第１可動仕切壁５４および／または第２可動仕切壁５５を旋回させる。

次に、チャンバ５２の内部に吸水性繊維としての粉砕パルプ１０１と高吸水性ポリマー粒子１０２とを供給する。また、第１，第２ドラム６３，６９を回転させるとともに、第１コンベアベルト８０を走行させる。

チャンバ５２における機械方向ＭＤの上流側では、粉砕パルプ１０１のみが第１分流経路５６に供給される。第１分流経路５６を通過した粉砕パルプ１０１は、第１ゾーン７１に位置する周面６５に形成されている成形型６６に供給される。成形型６６の底部６８と壁部６９ｂとに形成されている透孔６８ｃ，６９ｃ（図１０（ｃ）参照）を介してのサクションの作用によって、粉砕パルプ１０１が底部６８と壁部６９ｂとの表面に集積する。成形型６６の壁部６９ａに前記の如く透孔が形成されている場合には、粉砕パルプ１０１がその壁部６９ａにも集積する。また、成形型６６に形成されている二条の隆起部６７ｂについては、隆起部６７ｂの一部分にのみ透孔６９ｃを形成したり、隆起部６７ｂのうちの一方にのみ透孔６９ｃを形成したりすることも可能である。

第１ドラム６３が回転して成形型６６が主経路５８の下に来ると、粉砕パルプ１０１と高吸水性ポリマー粒子１０２とが混合状態となって成形型６６に集積する。

図示例の工程において、成形型６６における底部６８や壁部６９ｂに粉砕パルプ１０１を集積させた後に成形型６６に対して高吸水性ポリマー粒子１０２を供給すると、底部６８や壁部６９ｂにおける透孔６８ｃや透孔６９ｃを粉砕パルプ１０１によって予め通気可能な状態で覆うことができるので、透孔６８ｃや透孔６９ｃに高吸収性ポリマー粒子１０２が侵入してこれらの透孔６８ｃや透孔６９ｃを塞ぐという問題の発生を防ぐことができる。

図１１はコア４２の一態様を例示する図７と同様な図であり、図１２，１３は図１１のコア４２の使用態様を例示する図４，５と同様な図である。なお、図１３には、図１２におけるコア４２のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線に沿う切断面の形状が含まれている。

図１１のコア４２は、パネル４０の非肌対向面側に配置してある第１コア層１１１と、パネル４０に対してその肌対向面側に重なる第２コア層１１２とを有している。第１コア層１１１は、粉砕パルプ１０１を１００〜５００ｇ／ｍ^２の割合で含み、高吸水性ポリマー粒子１０２を２０〜５００ｇ／ｍ^２の割合で含んでいる。その平面形状は図７のコア４２と多少異なっており、また縦中心線Ｐの上に一条の孔部１４３が形成されている。第２コア層１１２は、粉砕パルプ１０１を１００〜５００ｇ／ｍ^２の割合で含み、高吸水性ポリマー粒子１０２を０〜５００ｇ／ｍ^２の割合で含んでいて、前後方向Ｚにおける長さが第１コア層１１１の長さよりも短い。クロッチ域１４（図２参照）において、第２コア層１１２の幅は、第１コア層１１１の幅よりも大きい。第１コア層１１１には、第２コア層１１２に当接している頂面１１１ｂと、バックシート２２に当接している底面１１１ｃとの間を貫通する一条の孔部１４３が縦中心線Ｐの上に形成される一方、第２コア層１１２は凹部や孔部の形成されていない頂面１１２ｂと底面１１２ｃとを有している。第１コア層１１１にはまた、底面１１１ｃと孔部１４３の周壁１４３ａとに表層部分１０４ａと１０５ａとが形成され、その他の部位に内方部分１０６ａが形成されている。第２コア層１１２は、底面１１２ｃにのみ表層部分１０４ｂが形成されている。これらの表層部分１０４ａと１０５ａとは、図６における表層部分１０４，１０５と同様に吸水性繊維である粉砕パルプ１０１によって、または主として粉砕パルプ１０１によって形成され、内方部分１０６ａから孔部１４３に侵入しようとする高吸水性ポリマー粒子１０２に対する障壁として作用している。第２コア層１１２の表層部分１０４ｂは、第２コア層１１２から第１コア層１１１に向かって高吸水性ポリマー粒子１０２が移動することを阻止している。図１１のコア４２では、体液を拡散させるための凹部が第１コア層１１１における孔部１４３として形成され、厚さ方向Ｙにおいて、その孔部１４３の上方の開口部分が第２コア層１１２の表層部分１０４ｂによって閉じられている。

図１１のコア４２が使用されている図１２，１３のパネル４０において、バックシート２２の外面には、複数条の中央弾性部材６１が孔部１４３を縦断するように設けられている。中央弾性部材６１は、バックシート２２と弾性部材カバーシート６２とにサンドウィッチされた状態にあって、これら両シート２２と６２とのうちの少なくとも一方に対して前後方向Ｚへ伸長された状態でホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合している。弾性部材カバーシート６２は、不織布またはプラスチックフィルムによって形成されている。

図１４は、図１３におけるパネル４０が変形するときの態様を例示する図１３と同様な図である。図２におけるパネル４０に代えて、図１２，１３のパネル４０がシャーシ１１に取り付けられているおむつ１０では、それが着用されて、着用者の股部で弾性部材６１が前後方向Ｚへ弾性的に伸長されて緊張状態になると、その弾性部材６１はパネル４０のうちで弾性部材６１に沿う部位を着用者の股部に接近または接触させるように作用する。加えて、防漏カフ４０ａにおける弾性部材３６も前後方向Ｚ、または着用者の脚回り方向へ引っ張られて緊張状態となり、防漏カフ４０ａの側縁部４０ｂを着用者の脚回りまたは着用者の鼠蹊部に接近または接触させるように作用する。このときの横中心線Ｑに沿うパネル４０の断面形状は、図１４に例示するように、弾性部材６１と弾性部材３６とが頂部となり、弾性部材６１と弾性部材３６との間の部分がそれらの頂部に対する谷部となるように、ほぼＷ字型に変形する。このようにパネル４０が変形して、弾性部材６１の作用によってパネル４０が股部に接近または接触するおむつ１０は、軽度また中程度の症状である失禁患者が着用して尿の速度が遅い少量の尿を吸収させようとするときに、優れた効果を発揮することができる。この発明においてコア４２に形成されるべき凹部であるところの第１コア層１１１に形成されている孔部１４３は、図４〜６に例示の凹部４３と同様に体液の拡散を促進するように作用することに加えて、弾性部材６１と協働して、コア４２が縦中心線Ｐを中央にしてその両側部分が逆Ｖ字型に変形し、パネル４０の全体がＷ字型に容易に変形できるようにも作用している。また、コア４２のクロッチ域１４において、第１コア層１１１の幅が狭く、第２コア層１１２の幅が広く形成されていて、コア４２の厚さに段差がつけられていることは、その段差に沿ってコア４２が折れ曲がり易く、コア４２がＷ字型に変形することを容易にしている。ただし、この発明において、図１１のコア４２は、弾性部材６１と組み合わせることがない態様で、すなわちコア４２だけで使用することもできる。

図１５は、図１１のコア４２を製造するための工程の一部分を例示する図８と同様な図であるが、図１５の工程における第１，第２製造装置５０ａ，５０ｂは、一部分のみが破断した状態で示されている。図１５の工程には、第１，第２製造装置５０ａ，５０ｂの他に、第１，第２コンベアベルト８０，９３、第１ウエブ９１と第２ウエブ９２との供給が含まれている。第１製造装置５０ａ、第１，第２コンベアベルト８０，９３、第１ウエブ９１と第２ウエブ９２との供給のそれぞれは、図８，９における製造装置５０、第１，第２コンベアベルト８０，９３、第１ウエブ９１と第２ウエブ９２との供給と実質的に同じである。また、第２製造装置５０ｂは、第１製造装置５０ａを小型化したものであって、構造は第１製造装置５０ａのそれと実質的に同じである。ただし、図１５の工程では、第１製造装置５０ａによって、コア４２のうちの第１コア層１１１が形成され、第２製造装置５０ｂによって、コア４２のうちの第２コア層１１２が形成される。そうしたことを可能にするために、第１製造装置５０ａには、第１コア層１１１の形状に対応する成形型６６が含まれ、第２製造装置５０ｂには第２コア層１１２の形状に対応する成形型１６６が含まれている。第１製造装置５０ａにおけるチャンバ５２では、第１コア層１１１に表層部分１０４ａ，１０５ａ（図１３参照）を形成することができるように、第１可動仕切壁５４がチャンバ５２の周壁５３ａから離間して、第１分流経路５６を開放状態にしているが、第２可動仕切壁５５はチャンバ５２の周壁５３ｂに接触して、第２分流経路５７を閉鎖状態にしている。第２製造装置５２ｂでは、第２コア層１１２に表層部分１０４ｂを形成することができるように第１可動仕切壁１５４がチャンバ１５２の周壁１５３ａから離間する一方、第２可動仕切壁１５５がチャンバ１５２の周壁１５３ｂに接触している。第１製造装置５０ａで形成される第１コア層１１１と第２製造装置５０ｂで形成される第２コア層１１２とが図示の如く重なり合うことによってコア４２となり、図９の場合と同様にさらに複合体９４となって機械方向ＭＤの下流側へ搬送される。その下流側の工程では、複合体９４に対して防漏カフ４０ａの連続体が取り付けられる他に、弾性部材６１や弾性部カバーシート６２が取り付けられるのであるが、その工程の図示は省略されている。また、図１５の工程では、適宜の部位においてコア４２をプレスする工程を含むことができるのであるが、プレスするその工程の図示も省略されている。

図１６，１７において、図１６はコア４２の一態様を例示する図７と同様な図であり、図１７は、図１６のＸＶＩＩ−ＸＶＩＩ線切断面を示す図である。図１６のコア４２は、互いに重なり合う第１コア層１１１と第２コア層１１２とを含んでいる。第１コア層１１１と第２コア層１１２とは、同形同大ではあるが、コア４２において下層である第１コア層１１１には縦中心線Ｐの上に前後方向Ｚに長い二条の孔部１４３が縦列する態様で形成されている。コア４２における上層である第２コア層１１２には、第２コア層１１２の隅部それぞれに孔部２４３が形成されている。第１コア層１１１では、頂面１１１ｂと孔部１４３の周壁１４３ａとに主として吸水性繊維（図示せず）が集合している表層部分１０３ａと１０５ａとが形成されている。第２コア層１１２では、底面１１２ｃと孔部２４３の周壁２４３ａとに主として吸水性繊維（図示せず）が集合している表層部分２０４ａと２０５ａとが形成されている。このようなコア４２の孔部１４３は、コア４２に形成される凹部の一態様であって、そこに流入した体液が前後方向Ｚへ流れて拡散することを容易にするように作用したり、周壁１４３ａがその体液の吸収を容易にするように作用したりする。それに加えて、孔部１４３は、第１，第２コア層１１１，１１２の内方部分１０６ａ，１０６ｂに含まれる高吸水性ポリマー粒子（図示せず）が孔部１４３や２４３に侵入することを防ぐ障壁となり、また、第２コア層１１２が外側となるようにパネル４０が縦中心線Ｐに沿って折曲されて逆Ｖ字型を画き、パネル４０における縦中心線Ｐ上の部分がおむつ着用者の股部に接近または接触することを容易にするように作用する。コア４２の孔部２４３もまた、コア４２に形成された凹部の一態様であって、体液の吸収と拡散とを容易にするように作用することに加えて、パネル４０における隅部の変形を容易にするようにも作用する。そのような隅部は、着用者の肌を強く押圧することがない。

図１８，１９において、図１８はコア４２の一態様を例示する図７と同様な図であり、図１９は図１８におけるＸＩＸ−ＸＩＸ線切断面を示す図である。図１８，１９におけるコア４２は、互いに重なり合う同形同大の第１，第２，第３コア層１１１，１１２，１１３を含んでいる。第２コア層１１２は、第１，第３コア層１１１，１１３にサンドウィッチされていて、縦中心線Ｐ上に前後方向Ｚに長い孔部２４３が形成されている。第１コア層１１１の頂面には、主として吸水性繊維（図示せず）が集合している表層部分１０３ａが形成されている。第２コア層１１２は、底面と、孔部２４３の周壁２４３ａとに主として吸水性繊維（図示せず）が集合している表層部分１０４ｂ，１０５ｂが形成されている。第３コア層１１３の底面には、主として吸水性繊維（図示せず）が集合している表層部分１０４ｃが形成されている。これらの表層部分１０３ａ，１０４ｂ，１０５ｂ，１０４ｃもまた、第１〜第３コア層１１１，１１２，１１３の内方部分１０６ａ，１０６ｂ，１０６ｃから高吸水性ポリマー粒子（図示せず）が孔部２４３に侵入することを阻止するとともに、孔部２４３における体液の拡散と吸収とを促進するように作用している。孔部２４３はまた、パネル４０が縦中心線Ｐに沿って逆Ｖ字型に変形することが容易となるようにも作用している。

このようなコア４２は、たとえば、次のようにして得ることができる。すなわち、第１，第２コア層１１１，１１２を含み第２コア層１１２には孔部２４３が凹部として形成されていて、第２コア層１１２の厚さ方向の上方には凹部の開口が形成されているコア層に対して、凹部の開口が粉砕パルプ１０１で閉じられるように第３コア層１１３を積層すればよい。

この発明において、図１１〜１８に例示のコア４２についてもその形状や厚さ、凹部４３や凹部(孔部)２４３等に適宜の変更を加えることによって、失禁ブリーフや生理用ナプキン等の体液吸収性物品における体液吸収性のコアとして使用することができる。

１０ 体液吸収性物品（おむつ）
２０ 透水性シート（トップシート）
４２ コア
４２ｂ 肌対向面（頂面）
４２ｃ 非肌対向面（底面）
４３，４３Ｌ，４３Ｒ 凹部
４３ａ 周壁
６６ 成形型
６７ａ 凹部
６８ 底部
６８ｃ 透孔
６９ａ，６９ｂ 壁部
６９ｃ 透孔
１０１ 吸水性繊維（粉砕パルプ）
１０２ 高吸水性ポリマー粒子
１０３，１０３ａ 表層部分
１０４，１０４ａ，１０４ｂ，１０４ｃ 表層部分
１０５，１０５ａ，１０５ｂ 表層部分
１０６，１０６ａ，１０６ｂ，１０６ｃ 内方部分
１１１ コア層
１１２ コア層
１１３ コア層
１４３ 凹部（孔部）
１４３ａ 周壁
２０４ａ 表層部分
２０５ａ 表層部分
２４３ 凹部（孔部）
２４３ａ 周壁
Ｘ 横方向
Ｙ 縦方向、厚さ方向
Ｚ 前後方向

Claims (6)

1. 吸水性繊維と高吸水性ポリマー粒子とを含む体液吸収性のコアおよび前記コアの表面を被覆している透水性シートを有する体液吸収性物品において、
   前記コアは、前記透水性シートを介して前記体液吸収性物品の着用者の肌と向かい合う肌対向面と、その反対面である非肌対向面との両対向面を有し、前記両対向面の少なくとも一方の面には、前記一方の面から他方の面に向かう方向に深さ方向を有する凹部が形成してあり、
   前記コアはまた、主として前記吸水性繊維によって形成されていて前記凹部の周壁を画成している表層部分と、前記表層部分よりも内側にあって前記吸水性繊維と前記高吸水性ポリマー粒子とが混合状態にある内方部分とを含んでいることを特徴とする前記体液吸収性物品。
2. 前記凹部が前記深さ方向に底を有するものおよび前記両対向面間を貫通しているもののいずれかである請求項１記載の体液吸収性物品。
3. 前記コアが互いに直交する横方向と厚さ方向と前後方向とを有し、前記横方向の中央には前記厚さ方向へ延びる前記凹部が形成され、前記コアの前記非肌対向面が不透水性シートによって被覆され、前記不透水性シートには前記凹部に並行して延びる弾性部材が伸長状態で取り付けられている請求項１または２記載の体液吸収性物品。
4. 前記コアが互いに重なり合う複数のコア層によって形成され、前記コア層のうちのいずれかの層に前記凹部が形成され、前記凹部は前記厚さ方向における開口部分が前記コア層のうちで前記いずれかの層に重なる前記コア層に含まれた前記吸水性繊維で閉じられている請求項１〜３のいずれかに記載の体液吸収性物品。
5. 体液吸収性物品における体液吸収性のコアを製造する方法において、
   前記コアの製造工程が成形型に吸水性繊維を供給する繊維供給工程を含み、前記成形型が前記コアの立体的形状に相当する凹部を有し、前記凹部が底部と、前記底部から立ち上がる壁部とによって画成されており、
   前記成形型の前記壁部の少なくとも一部分には、前記凹部に対してサクションを作用させることが可能な複数の透孔が形成され、
   前記繊維供給工程では、前記透孔を介しての前記サクションの作用下に前記壁部の少なくとも一部分の表面が前記吸水性繊維で被覆されることを特徴とする前記方法。
6. 前記成形型の前記底部にも、前記サクションを作用させることが可能な複数の透孔が形成され、
   前記製造工程は、前記透孔を介しての前記サクションの作用下に前記底部と前記壁部の少なくとも一部分の表面とが前記吸水性繊維で被覆される第１工程と、前記第１工程の後に前記凹部に前記吸水性繊維と前記高吸水性ポリマー粒子とが供給される第２工程とを含む請求項５に記載の方法。

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