JP4825098B2 - 使い捨ておむつ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、吸収体、トップシート及びバックシートを備え、トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部が形成されたスキンコンタクトシートと、着用者の排泄した尿と便を個別に回収するための尿便分離壁を更に備えた使い捨ておむつ及びその製造方法に関するものである。
近年、乳幼児用、或いは高齢者・障害者用のおむつとして、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた使い捨ておむつが汎用されている。この使い捨ておむつは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物のおむつ外部への漏洩が防止されるというものである。
しかしながら、前記のような構成の使い捨ておむつでは、尿についてはトップシートを透過するものの、便についてはその殆どがトップシートを透過せず、トップシート上に残存することになる。トップシート上に残存した便は、着用者の股下部や臀部に付着するため、煩瑣な払拭作業が必要となり、育児負担や介護負担を増大させる原因となる他、着用者のスキントラブルの原因ともなっていた。このような問題は、着用者の排泄した便が軟便であった場合等には、一層顕在化することになる。
そこで、トップシートの上部に更にもう1枚のシート体(本明細書では、「スキンコンタクトシート」と称することにする)が配置された使い捨ておむつが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの使い捨ておむつでは、スキンコンタクトシートに便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されており、その便通過用開口部を通過して着用者の排泄した便がトップシート上に落下するように構成されている。
これらの使い捨ておむつでは、着用者の肌には、まずスキンコンタクトシートが接触するため、スキンコンタクトシートの下部に配置されるトップシートは着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシートとが離隔されることになる。また、トップシートと着用者の肌との間にスキンコンタクトシートという遮蔽層が介在していることにもなる。従って、たとえトップシート上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を期待することができる。
ところで、尿と便とが混ざるとアンモニアが発生し、このアンモニアが環境をアルカリ性にし、便中の酵素がアルカリ性雰囲気で強く活性化され、この酵素及びアンモニアによって皮膚の弱った部分が炎症を起こし、おむつかぶれが発生することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
そこで、特許文献2に記載の使い捨ておむつにおいては、トップシートや吸収体によっておむつの股下部に堰を形成し、或いは、おむつの股下部から後身頃側にかけて吸収体の厚みを薄くしてポケット部を形成する等の工夫を加えている。
実用新案登録第2559050号公報(段落0010、図2) 特開2002−11044号公報(段落0044〜0046、図10〜図12) 山本一哉、皮膚臨床30、p.949〜956(1998年)
特許文献2に記載の使い捨ておむつでは、おむつの股下部に形成された堰によって、尿の後身頃側への移動及び便の前身頃側への移動が抑制される。また、おむつの股下部から後身頃側にかけて形成されたポケット部によって便の前身頃側への移動が抑制される。従って、着用者の排泄した尿と便とが混ざり難くなり、おむつかぶれを減少させる効果を期待することができる。
しかしながら、特許文献2に記載の使い捨ておむつは、尿と便との混合をある程度は防止することができるものの、着用者の排泄した尿と便を確実に分離して吸収・保持させるというレベルにまでは至っておらず、尿と便が混ざり合ってしまう場合があるという問題があった。即ち、着用者の排泄した尿と便を確実に分離して吸収・保持させるという点においては十分に満足できるものではなく、未だ解決すべき課題を残すものであった。
このように、現在のところ、尿と便との混合を有効に防止することができる使い捨ておむつは開示されておらず、そのような使い捨ておむつが切望されている。本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、着用者の排泄した尿と便を確実に分離して吸収・保持させることができ、尿と便が混ざり合ってしまう事態を効果的に防止することが可能な使い捨ておむつ及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、特許文献2に記載の使い捨ておむつは、形成された堰の上部に空間があるために、便が堰を乗り越えて前身頃側に移動してしまったり、また、通常、液透過性シート(親水性シート)で構成されるトップシートによって堰を形成していたために、堰を浸透して尿が後身頃側に染み出したりする場合があり、尿と便との分離効果が不十分になり易いという知見を得た。そして、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間に、通気撥水性シートによって構成された尿便分離壁を形成し、前記空間を前身頃側と後身頃側とに仕切ることによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の使い捨ておむつ及びその製造方法が提供される。
[1] 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたスキンコンタクトシートと、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間に配置され、前記空間を前身頃側と後身頃側とに仕切る尿便分離壁とを備え、前記尿便分離壁は、通気撥水性シート又は液不透過性シートによって構成され、前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートの一端が前記スキンコンタクトシートの裏面に接合されるとともに、前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートの他端が前記トップシートの表面に接合され、前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートにおける前記トップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性部分が形成されている使い捨ておむつ。
[2] 前記トップシート被覆部に液透過性の開孔が形成されている前記[1]に記載の使い捨ておむつ。
[3] 前記トップシート被覆部に、親水化処理が施されている前記[1]に記載の使い捨ておむつ。
[4] 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたスキンコンタクトシートと、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間に配置され、前記空間を前身頃側と後身頃側とに仕切る尿便分離壁とを備え、前記尿便分離壁は、通気撥水性シート又は液不透過性シートと液透過性シートとを貼り合わせた複合シートによって構成され、前記複合シートの一端が前記スキンコンタクトシートの裏面に接合されるとともに、前記複合シートの他端が前記トップシートの表面に接合され、前記複合シートにおける前記トップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性シートのみによって構成された部分が配置されている使い捨ておむつ。
[5] 前記[1]に記載の使い捨ておむつの製造方法であって、前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートにおける前記トップシート被覆部のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域を、カレンダーエンボス加工、ウルトラソニックエンボス加工、ニードルパンチ加工及びウオータージェット加工の群から選択される少なくとも一つの加工方法によって、前記トップシートの表面に接合すると同時に、前記液透過性部分を形成する使い捨ておむつの製造方法。
本発明の使い捨ておむつは、着用者の排泄した尿と便を確実に分離して吸収・保持させることができ、尿と便が混ざり合ってしまう事態を効果的に防止することが可能である。また、トップシートが尿便分離壁を構成する通気撥水性シート又は液不透過性シートによって被覆されて、尿や液状便の透過が阻害される事態を有効に防止することができる。更に、本発明の製造方法は、尿便分離壁を構成する通気撥水性シート又は液不透過性シートをトップシートに接合すると同時に液透過性部分を形成することができ、極めて容易に本発明の使い捨ておむつを製造することができる。
以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための最良の形態について、2ピースタイプのパンツ型おむつを例として具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える使い捨ておむつを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、作図の都合上、図4、図5、図7及び図9については、開口部伸縮材、腹周り伸縮材及びウエスト周り伸縮材を、図面から捨象した形で作図を行った。
なお、本明細書において「パンツ型おむつ」というときは、図1及び図2に示す使い捨ておむつ1のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)を接合することによって、接合部8、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。そして、「2ピースタイプ」とは、図2に示す使い捨ておむつ1のように、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体14が、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材16から分離された別部材として構成されたタイプのおむつを意味するものとする。図3〜図5に示すように、吸収性本体14は吸収体22、トップシート18及びバックシート20を構成要素として備えた部材である。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]本発明の使い捨ておむつの構成:
本発明の使い捨ておむつは、図3〜図5に示す使い捨ておむつ1、図7に示す使い捨ておむつ100、或いは図9に示す使い捨ておむつ110のように、吸収体22と、トップシート18と、バックシート20とを備えた使い捨ておむつであり、トップシート18の上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部28a)が形成されたスキンコンタクトシート24と、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間の空間46に配置され、その空間46を前身頃2側と後身頃6側とに仕切る尿便分離壁48とを更に備えたものである。
[1−1]スキンコンタクトシート:
スキンコンタクトシートは、着用者の肌とトップシートとを離隔するための部材であり、トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたシート状部材である。このスキンコンタクトシートを備えることによって、着用者の肌には、まずスキンコンタクトシートが接触するため、スキンコンタクトシートの下部に配置されるトップシートは着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシートとが離隔されることになる。また、トップシートと着用者の肌との間にスキンコンタクトシートという遮蔽層が介在していることにもなる。従って、たとえトップシート上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を奏する。
スキンコンタクトシートを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる不織布、メッシュシート、フィルム等を用いることができる。中でも、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。これらの材料は、液透過性であっても、液不透過性であっても、撥水性であってもよい。但し、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、撥水性の材料(撥水性の不織布等)であることが好ましい。
スキンコンタクトシートには、着用者の排泄した便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されている必要がある。このような構造とすることによって、着用者の排泄した便がスキンコンタクトシートを通過してトップシート上に落下することになり、便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させることが可能となる。
開口部は便を通過させ得る形状である限り、その形状について特に制限はない。即ち、便を通過させ得る「開口部」には、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)の他、直線状スリット、十字状スリット、3本以上のスリットを交差させた星型スリット等のスリットも含まれる。中でも、おむつの前後方向(長手方向)を長軸方向とする楕円形開口部、或いは星型スリットが好ましい。楕円形開口部には、便がスキンコンタクトシートの開口部を通過し易いという利点があり、星型スリットには、一旦、スキンコンタクトシートの開口部を通過してトップシート上に落下した便が、再びスキンコンタクトシートの開口部から露出し、着用者の臀部を汚してしまうことを有効に防止することができるという利点がある。
例えば、図2に示す使い捨ておむつ1は、スキンコンタクトシート24のおむつの股下部4に相当する部分に、便通過用開口部28aとして、おむつの前後方向に長く、その6つの角がラウンド形状である略六角形状の開口部を形成した例である。なお、孔やスリットのサイズについては、「便を通過させる」という機能を考慮した上で適宜決定すればよい。
なお、スキンコンタクトシートには、前記便通過用開口部より前身頃側に、尿通過用の開口部が形成されていてもよい。即ち、スキンコンタクトシートには、開口部として便通過用開口部及び尿通過用開口部が形成されていることが好ましい。
前記のように尿通過用開口部を形成することによって、その開口部を通過させて着用者の排泄した尿をスキンコンタクトシートとトップシートの間の空間に確実に流入させることが可能となり、スキンコンタクトシートを伝って尿が拡散し、おむつの脚周り開口部等からの横漏れを生ずる事態を有効に防止することができる。例えば、図2に示す使い捨ておむつ1は、スキンコンタクトシート24に開口部28として、略六角形状の便通過用開口部28aに加えて、おむつの前後方向に長く、その6つの角がラウンド形状であり、おむつ前方側の角が鈍角に形成された略六角形状の尿通過用開口部28bを更に形成した例である。図示の例では、便通過用開口部28aはおむつの股下部4に相当する部分に形成され、尿通過用開口部28bは便通過用開口部28aよりも前身頃2側の部分に形成されている。
前記開口部にはその外縁に伸縮材(開口部伸縮材)を配置することが好ましい。開口部伸縮材を配置すると、スキンコンタクトシートに張力がかかるので、スキンコンタクトシートにコシを持たせることができる。従って、スキンコンタクトシートがへたってトップシート側に落ち込む事態を防止することができ、スキンコンタクトシートを着用者の肌に接触し易くさせるという利点がある。また、開口部伸縮材を配置すると、スキンコンタクトシートを収縮させ、トップシート、吸収体、バックシートは下側(外装部材側)に向かって撓ませる力を作用させることができる。従って、スキンコンタクトシートをトップシートから浮かせた状態を維持することができ、スキンコンタクトシートとトップシートとを確実に離隔させることが可能となる。更に、スキンコンタクトシートが収縮することによって、スキンコンタクトシートやトップシートと尿便分離壁となる通気撥水性シートとの間に空隙があった場合でもその空隙を埋めることができる。従って、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間を確実に仕切ることが可能となる。
開口部伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
開口部伸縮材の配置パターンは、前記効果を発揮し得るパターンである限り特に制限はないが、開口部に確実に伸縮力を作用させるため、開口部伸縮材が開口部の周縁を取り囲むようなパターンに配置されていることが好ましい。例えば、開口部の周縁を取り囲むように、円形、楕円形、菱形等のパターンで開口部伸縮材を配置すればよい。
また、開口部伸縮材として2本の開口部伸縮材を用い、その2本の開口部伸縮材が開口部の前後の少なくとも1点で交差し、開口部の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置されていることも好ましい形態の一つである。このようなパターンで開口部伸縮材を配置すると、開口部伸縮材をおむつの前後方向に向かって連続的に配置することが可能となるため、使い捨ておむつの連続的な製造が容易になるという利点があり好ましい。
例えば、図2に示す使い捨ておむつ1は、開口部伸縮材30として2本の開口部伸縮材30a,30bを用い、その2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの間の点Pで交差し、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置した例である。このようなパターンで開口部伸縮材30a,30bを配置すると、吸収性本体14が長手方向に向かって連続して配置されたような吸収性本体連続体を容易に製造することが可能となる。
また、図2に示す使い捨ておむつ1は、股下部4の中央で開口部伸縮材30a,30bが交差する配置となっている。このような配置とすることにより、おむつの前身頃2側や後身頃6側よりも股下部4(即ち、点P近傍)において幅方向(おむつ左右方向)への伸縮力を大きく作用させることができる。従って、スキンコンタクトシート24の中でも比較的弛み易い、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bとの間の部分を着用者の肌に対してより密着させる効果がある。更に、図2に示す使い捨ておむつ1は、開口部伸縮材30a,30bが股下部4の中央の点P以外では交差しておらず、便通過用開口部28aの後身頃6側の周縁及び尿通過用開口部28bの前身頃2側の周縁が開放されたパターンに配置されている。このような配置とすることにより、スキンコンタクトシート24の前身頃2側や後身頃6側が着用者の肌に対して過度に密着しないため、通気性を確保することができる。従って、スキンコンタクトシートの当接による発汗が抑制され、汗に起因するムレやスキントラブルを効果的に防止することができる。
前記のような開口部伸縮材は、スキンコンタクトシートに対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
開口部伸縮材は、開口部に十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、開口部伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、150〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、開口部に十分な伸縮力を作用させ、かつ、開口部が必要以上に縮小されるのを防止することができる。
開口部伸縮材の配置方法は特に限定されないが、例えば、図3に示す使い捨ておむつ1のように、スキンコンタクトシート24を2枚のシート材(アッパーシート24a、ライナーシート24b)を貼り合わせることにより構成し、アッパーシート24aとライナーシート24bの間に開口部伸縮材30a,30bを挟みこむように配置することが好ましい。このような配置方法を採用すると、必要最小限の伸縮材によりスキンコンタクトシートに伸縮力を付与することができるという効果を奏するため好ましい。
図2及び図3に示す使い捨ておむつ1は、スキンコンタクトシート24としてトップシート18の表面全体を覆うような形状のものを用いている。但し、本発明の使い捨ておむつにおけるスキンコンタクトシートは、このようなものに限定されるわけではなく、トップシートの表面よりも上部に配置されるシート体であれば足りる。
スキンコンタクトシートの固定方法としては、(1)図3に示す使い捨ておむつ1のように、立体ギャザー26a,26bを構成するシート材32a,32bとトップシート18(ないしはバックシート20)との貼り合わせ部分に挟み込むようにスキンコンタクトシート24を固定する方法、(2)立体ギャザーの内側の面であって、立体ギャザーの上端縁と下端縁(起立線)との間の部分にスキンコンタクトシートを固定する方法等を挙げることができる。また、立体ギャザーと接触させることなく、対となる立体ギャザーによって包囲された内側の領域にスキンコンタクトシートを固定してもよい。例えば、(3)立体ギャザーによって包囲された領域のうち、吸収性本体のトップシートとバックシートの貼り合わせ部分(いわゆるフラップ部)にスキンコンタクトシートを固定する方法等を挙げることができる。これらの方法の中では、着用者の肌に対してスキンコンタクトシートを密着させる効果が高いという点で、(1)の方法が好ましい。
[1−2]尿便分離壁:
尿便分離壁は、着用者の排泄した尿と便とを隔離するための部材であり、通気撥水性シート又は液不透過性シートによって構成され、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間に配置される。この尿便分離壁を備えることによって、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間が尿便分離壁を境にして前身頃側と後身頃側とに仕切られ、前身頃側の空間に尿が、後身頃側の空間に便が誘導される。また、この尿便分離壁は、通気撥水性シート又は液不透過性シートで構成されているので、シートを透過して前身頃側に誘導された尿が後身頃側に染み出すこともない。従って、尿と便とが混ざり合うことを有効に防止することができ、尿と便が混ざり合ってしまうことに起因するおむつかぶれの発生が効果的に抑制される。
本発明の使い捨ておむつは、尿便分離壁が通気撥水性シート又は液不透過性シートによって構成されている。通気撥水性シート又は液不透過性シートは液体の透過性が低いため、尿や軟便が尿便分離壁から染み出して尿と便とが混ざり合ってしまう事態を有効に防止することが可能となる。中でも、不織布のような通気性を有する通気撥水性シートは、通気性を有するためムレが発生し難く、柔軟性や形状追従性に優れるため、着用者の身体とのフィット性が良好で、肌に接触した場合でも触感(肌触り)が良いという利点があり、本発明の使い捨ておむつに好適に用いることができる。
通気撥水性シートの構成材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。一方、液不透過性シートの構成材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等、後述するバックシートと同様の材料を用いることができる。
この通気撥水性シート又は液不透過性シート(以下、「通気撥水性シート等」と記す。)は、その一端をスキンコンタクトシートの裏面に接合するとともに、その他端をトップシートの表面まで垂下させることによって、尿便分離壁を形成することができる。このように通気撥水性シート等の一端をスキンコンタクトシートの裏面に接合することによって、尿便分離壁上部の空間を通過して尿や便が移動することを防止することができる。また、本発明の使い捨ておむつは、通気撥水性シート等の他端については、トップシートに接合されている。通気撥水性シート等の他端をトップシートに接合することによって、尿便分離壁が位置ずれすることなく強固に固定されるため、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間が前身頃側と後身頃側とに確実に仕切られる。
例えば、図4に示す使い捨ておむつ1は、スキンコンタクトシート24の裏面(ライナーシート24bの表面(下面))に、尿便分離壁48を構成する通気撥水性シート52の一端54を接合し、その他端56をトップシート18の表面まで垂下させた上で、トップシート18の表面(上面)に接合した例である。
本発明の使い捨ておむつは、通気撥水性シートの一端(スキンコンタクトシート側の接合部)と他端(トップシート側の接合部)との距離を長くとることによって、尿便分離壁の起立高を高くとることができ、スキンコンタクトシートとトップシートとを確実に離間させることが可能となる。この場合、通気撥水性シートは、その一端と他端との間で1回ないし複数回折り畳まれていることが好ましい。このような構成とすると、図5に示すように、尿便分離壁48に上下方向に伸縮可能な折り畳み部を形成することができる。この折り畳み部は、おむつの使用時にスキンコンタクトシート24がトップシート18から離間するにつれて伸展するため、尿便分離壁48の起立高を確保することが可能である。また、この折り畳み部が形成されていると、尿便分離壁48がスキンコンタクトシート24の挙動を拘束することが少ないという点においても好ましい。更には、通気撥水性シートを長く構成した場合でも、その通気撥水性シートによって便通過用開口部や尿通過用開口部の直下のトップシート表面が被覆され難いという特徴がある。従って、後述するような通気撥水性シートによって尿の吸収体への吸収が阻害されるといった問題が生じ難いという利点がある。
通気撥水性シートを折り畳む方法としては、通気撥水性シートを側面側から見た断面がZ字状(折り畳み2回)、M字状(折り畳み3回)、蛇腹状(折り畳み多数回)となるように折り畳む方法等を挙げることができる。例えば、図4に示す使い捨ておむつ1、図7に示す使い捨ておむつ100は、通気撥水性シート52が断面Z字状となるように折り畳まれた上で(この折り方を「Z折り」と称する場合がある)、通気撥水性シート52の一端がスキンコンタクトシート24に、他端がトップシート18に接合された例である。これらの例では、通気撥水性シート52の一端54、他端56以外の部分(例えば、折り畳み部)については、スキンコンタクトシート24やトップシート18に対して非接合の状態となっている。
本発明の使い捨ておむつにおいては、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間が前身頃側と後身頃側とに仕切られていればよく、空間が完全に区分されていることを要しない。例えば、尿便分離壁の左右両側に空隙があり、空間が前身頃側と後身頃側との間で連通しているものも着用者の排泄した尿と便とを混ざり難くする効果があり、本発明の範囲に含まれる。即ち、おむつの着用時には吸収体が断面U字状となるように変形するため、実用上、便や尿がこの空隙を通過することはなく、また、通常、排泄された尿は速やかに吸収体に吸収されるため、未吸収の尿が前記空隙を通過して後身頃側の空間に流入する可能性は殆どないからである。
本発明の使い捨ておむつは、通気撥水性シート又は液不透過性シートにおけるトップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性部分が形成されている。例えば、着用者が女性である場合には、おむつの装着位置(前後位置)がずれ易く、便通過用開口部からスキンコンタクトシートとトップシートの間の空間に尿が流入する事態も生じ得る。このような場合に、通気撥水性シート等によって便通過用開口部の直下のトップシート表面が被覆されていると、尿が通気撥水性シート等の表面に滞留し、その部分においては尿が吸収体に吸収されないことになる。このため、尿が再びスキンコンタクトシートの外部に漏洩して、着用者の肌に付着したり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)の原因となったりするおそれがある。本発明のように、通気撥水性シート等のトップシート被覆部に液透過性部分を形成することにより、尿は通気撥水性シート等の液透過性部分を通過して、吸収体に導かれるため、着用者の肌への尿の付着や横漏れ等の不具合が効果的に防止される。
通気撥水性シート等に液透過性部分を形成する方法としては、例えば、通気撥水性シート等に液透過性の開孔を形成する方法、より具体的には、カレンダーエンボス加工、ウルトラソニックエンボス加工、ニードルパンチ加工、ウオータージェット加工等の加工方法により、通気撥水性シート等に開孔を形成する方法を挙げることができる。この方法は、通気撥水性シート、液不透過性シートの双方に有効な方法である。例えば、図2及び図4に示す使い捨ておむつ1は、ピン状のエンボスでウルトラソニックエンボス加工をすることによって液透過性部分70となる液透過性の開孔58を形成するとともに、その開孔58の周縁部において通気撥水性シート52とトップシート18とを接合した例である。
カレンダーエンボス加工、ウルトラソニックエンボス加工、ニードルパンチ加工、ウオータージェット加工の中では、極めて容易に液透過性の開孔を形成することができるという理由から、カレンダーエンボス加工とニードルパンチ加工が好ましい。カレンダーエンボス加工の場合、エンボスが彫刻されたエンボスロールとそのエンボスを受ける凹部が形成されたプレーンロールからなる加工装置を用いると、エンボスを押し当てる際に被加工体のシート材の下に前記凹部からなる空間が形成されているために、開孔を形成するのが極めて容易である。また、ニードルパンチ加工の場合は、針状のニードルを被加工体であるシート材に突き刺す際に、極めて容易に開孔を形成することができる。
また、不織布等の通気撥水性シートによって尿便分離壁を形成している場合には、通気撥水性シートに親水化処理を施すことによって、液透過性部分を形成する方法も好適に用いることができる。より具体的には、界面活性剤を塗布することにより液透過性部分を形成する方法や既に述べたカレンダーエンボス加工やウルトラソニックエンボス加工等の加工方法により、通気撥水性シートに液透過性のエンボス部を形成する方法等を挙げることができる。
ここに言う「液透過性のエンボス部」とは、通気撥水性シート等を貫通する液透過性の開孔が形成されてはいないが、通気撥水性シートとトップシートとが溶融し混合されることによって、通気撥水性シートが薄くなり、液透過性が付与された部分を意味する。カレンダーエンボス加工やウルトラソニックエンボス加工等の加工方法は、液透過性の開孔の形成にも用いることもできるが、温度、圧力、超音波の出力等の条件を適切に制御することにより、開孔を形成することなく液透過性のエンボス部を形成することが可能である。例えば、図7及び図8に示す使い捨ておむつ100は、カレンダーエンボス加工によって液透過性部分70となる液透過性のエンボス部60を形成するとともに、そのエンボス部60において通気撥水性シート52とトップシート18とを接合した例である。
なお、「ウルトラソニックエンボス加工」とは、被加工体に対し、超音波を照射しながら、エンボスが彫刻されたエンボスロールを押し当てる加工方法であり、例えば、図11に示すような、超音波を発生するホーンユニット74と、エンボス76が彫刻されたエンボスロール78を主たる構成要素とする加工装置72によって実施することができる。この加工装置72によれば、被加工体80は送出ロール82によって順次送り出され、ホーンユニット74から発生した超音波を照射されながら、エンボスロール78を押し当てられることによって、エンボス76に対応する形状の開孔ないしエンボス部が形成される。
液透過性の開孔やエンボス部の形状については特に制限はないが、例えば、矩形、楕円、微小円形(ピン状)、三角形、台形、流線形等の形状を挙げることができる。これらの中でも、液透過性の開孔としては、微小円形が好ましい。微小円形の開孔は、ピン状のエンボスを用いて形成することができる。一方、開孔を形成することなく、液透過性のエンボス部を形成する場合には、微小円形以外の形状を選択することが好ましい。
本発明の使い捨ておむつにおいては、液透過性部分は、通気撥水性シート等のうちトップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)に形成される。通気撥水性シート等によってトップシートが被覆され、その部分における尿の吸収が妨げられるのを防止するためである。その一方、通気撥水性シート等の尿便分離壁を構成する部分(通気撥水性シート等のスキンコンタクトシート側接合部とトップシート側接合部との間の部分)に液透過性部分を形成してしまうと、前身頃側に誘導された尿が後身頃側の空間に染み出すことが考えられ、尿と便とが混ざり合うことを防止するという、尿便分離壁本来の機能が損なわれるおそれがある。
液透過性部分は、通気撥水性シート等のトップシート被覆部全体に形成してもよいし、一部に形成してもよい。但し、トップシート被覆部のうちスキンコンタクトシートの便通過用開口部直下の領域(換言すれば、スキンコンタクトシートの便通過用開口部を通じて視認可能な領域)に、液透過性部分が形成されている必要がある。この領域が最も尿が排泄され易い領域であり、液透過性部分を形成する効果が高いからである。また、ピンエンボスやニードルパンチのような孔開けを伴う手法により、液透過性部分を形成する場合でも、スキンコンタクトシートに孔が開いてしまったり、スキンコンタクトシートとトップシートが癒着してしまったりする事態を防止する観点からも好ましい。例えば、図2及び図6に示す使い捨ておむつ1、図8に示す使い捨ておむつ100は、いずれも通気撥水性シート52のトップシート被覆部のうちスキンコンタクトシート24の便通過用開口部28a直下の領域にのみ液透過性部分70(開孔58、エンボス部60)を形成した例である。
なお、トップシート被覆部の液透過性を確保するための構成は、上記のような、通気撥水性シート等の一部に液透過性部分を形成する形態に限られず、以下のような形態であってもよい。即ち、本発明の使い捨ておむつには、尿便分離壁が、通気撥水性シート又は液不透過性シートと液透過性シートとを貼り合わせた複合シートによって構成され、複合シートの一端がスキンコンタクトシートの裏面に接合されるとともに、複合シートの他端がトップシートの表面に接合され、複合シートにおけるトップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性シートのみによって構成された部分が配置されているものも含まれる。
例えば、図9及び図10に示す使い捨ておむつ110は、尿便分離壁は、通気撥水性シート52と液透過性シート64とを貼り合わせた複合シートによって構成され、複合シートの一端54がスキンコンタクトシート24の裏面に接合されるとともに、複合シートの他端56がトップシート18の表面に接合された例である。この例では、複合シートにおけるトップシート18の表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうちスキンコンタクトシート24の便通過用開口部28a直下の領域に、液透過性シート64のみによって構成された部分が配置されて、液透過性部分70が形成されており、尿が透過し得るように構成されている。
前記のような構成は、不織布の一部に親水化処理を施して液透過性部分を形成する方法と比較して、構成素材を選択する際の自由度が大きくなるという利点があり好ましい。より具体的に説明すると、液透過性シートの構成材料として、後述するトップシートの構成材料と同様の液透過性材料(例えば、親水化処理を施した不織布等)からなるシートの他、不織布や液不透過性材料(樹脂製フィルム等)に孔を穿設したパンチングシート(穿孔シート)、メッシュシート等も用いることができる。
なお、図9及び図10に示す使い捨ておむつ110においては、複合シートが、通気撥水性シート52の端部に液透過性シート64を継ぎ合せたような構造となっているが、通気撥水性シートや液不透過性シート(通気撥水性シート等)と液透過性シートとを積層した積層シートを用いてもよい。例えば、通気撥水性シート等の上面ないし下面に液透過性シートが積層され、通気撥水性シート等の端部から液透過性シートのみが露出しているような構造の積層シートを用い、その液透過性シートが露出した部分(液透過性シート一層のみによって構成された部分)をトップシート被覆部に配置してもよい。
前記のように、複合シートを通気撥水性シートと液透過性シートとの積層シートとする場合、これらのシートの上下の位置関係については特に制限はない。即ち、通気撥水性シート等の上面に液透過性シートが積層された構造の積層体であってもよいし、液透過性シートの上面に通気撥水性シート等が積層された構造の積層体であってもよい。但し、積層シートは、液不透過性シートの上面に液透過性シートが積層された構造の積層シートが好ましい。前記のような構成とすると、液透過性シートに染み込んだ尿で尿便分離壁が濡れ続けた場合でも、その下層に位置する液不透過性シートによって尿が確実にブロックされる。従って、尿便分離壁を介して尿が染み出す事態(染み出し漏れ)を防止することができる。
本発明の使い捨ておむつは、通気撥水性シート等のスキンコンタクトシートへの接合位置とトップシートへの接合位置とを近接させること、換言すれば、両接合位置のおむつの前後方向の距離を短くすることによって、便通過用開口部や尿通過用開口部の直下のトップシート表面が通気撥水性シートによって被覆されてしまう面積を小さくすることができる。このような構成は、本発明の通気撥水性シート等に液透過性部分を形成するという構成と相俟って、通気撥水性シートによって、尿の吸収体への吸収が阻害され、尿漏れの原因となるといった問題は有効に防止することができる。
上記のように、通気撥水性シートのスキンコンタクトシートへの接合位置とトップシートへの接合位置とを近接させる(即ち、両接合位置のおむつの前後方向の距離を短くする)場合には、トップシートに接合された通気撥水性シートによって、便通過用開口部や尿通過用開口部の直下のトップシート表面が被覆される面積が、成人用おむつ、乳幼児用おむつの場合とも、その開口部の面積の50面積%以下であることが好ましく、30面積%以下であることが更に好ましい。例えば、図2及び図4に示す使い捨ておむつ1は、乳幼児用おむつであり、接合部62b,62dと接合部66の間の距離を短く構成し、通気撥水性シート52によって便通過用開口部28aの直下のトップシート18表面が便通過用開口部の開口面積の約30%相当分が被覆された例である。
なお、本発明の使い捨ておむつは、通気撥水性シートの折り畳み部によって、便通過用開口部や尿通過用開口部の直下のトップシート表面が被覆されていてもよい。通気撥水性シートの折り畳み部はトップシートに接合されておらず自由に動き得るため、既に説明したような、尿の吸収体への吸収が阻害され、尿漏れの原因となるといった問題は生じ難いからである。
本発明の使い捨ておむつにおいては、尿便分離壁は股下部に配置することが好ましく、着用者の会陰部に当接し得る部分に配置することが更に好ましい。このような部分に尿便分離壁を配置することにより、着用者が排泄した尿と便を確実に分離することが可能となる。例えば、図4に示す使い捨ておむつ1は、おむつの股下部4、より具体的には着用者の会陰部に当接し得る部分に尿便分離壁48を配置した例である。
スキンコンタクトシートに便通過用開口部と尿通過用開口部という2つの開口部を形成した場合には、尿便分離壁を便通過用開口部と尿通過用開口部との間に配置することが好ましい。このような位置に尿便分離壁を配置することにより、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間を便通過用開口部に連通する空間と尿通過用開口部に連通する空間とに仕切ることができる。着用者が排泄した尿と便を、より確実に分離することが可能となる。例えば、図4に示す使い捨ておむつ1は、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bとの間に、おむつの前身頃2側と後身頃6側を仕切るように尿便分離壁48を配置した例である。
なお、尿便分離壁を構成する通気撥水性シートの長さは特に限定されるものではなく、尿便分離壁の高さ(スキンコンタクトシートとトップシートとの間隔)、折り畳み部の大きさ、接合位置等を考慮して所望の長さのものを用いればよい。
[1−3]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
[1−4]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、少なくとも一部(その全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、後述するテープ型おむつにおいては、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート(センターシート)を配置し、おむつのサイドフラップ部分には撥水性材料からなるトップシート(サイドシート)を配置する形態がよく利用される。
[1−5]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[1−6]吸収性本体:
2ピースタイプのパンツ型おむつにおいては、トップシート、バックシート及び吸収体を、吸収・保持機能を担う「吸収性本体」という一つの部材として構成し、これとは別個に製造された外装部材と接合することにより使い捨ておむつを構成する。この吸収性本体は、生理用ナプキン等と同様に、吸収体の上面側にトップシート、下面側にバックシートが配置されたものであり、トップシートとバックシートとの間に吸収体が介装された構造となっている。例えば、図3及び図4に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18とバックシート20の間に吸収体22を挟みこみ、吸収体22の周縁部を封着することによって、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造の吸収性本体14を構成した例である。
吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。吸収性本体は、例えばホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
[1−7]外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。
2ピースタイプのパンツ型おむつでは、着用者の排泄物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。
そして、外装部材は、脚周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図2に示す使い捨ておむつ1は、外装部材16を2枚の不織布から構成し、その2枚の不織布の間に脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。
[1−8]各種伸縮材:
パンツ型の使い捨ておむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが一般的であり、更に腹周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
なお、図1及び図2に示す使い捨ておむつ1は、脚周り開口部12a,12bの周縁には複数本の脚周り伸縮材40を配置し、ウエスト周り開口部10の周縁にはウエスト周り開口部10を取り囲むように複数本のウエスト周り伸縮材42を配置し、更に、ウエスト周り開口部10と脚周り開口部12a,12bとの間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)には、着用者の腹周りを取り囲むように複数本の腹周り伸縮材44を配置した例である。
これらの伸縮材については、既に述べた開口部伸縮材と同様の構成を採用することができる。そして、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
[1−9]立体ギャザー:
着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを有してもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、スキンコンタクトシートの上に尿が排泄され、スキンコンタクトシートを伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、通気撥水性シートの一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
図2及び図3に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18やバックシート20とは全く別個のシート材32a,32bを、吸収性本体14の両側縁部に貼り合わせ、起立線38から立体的に起立可能な構造とすることにより、1対の立体ギャザー26a,26bを形成した例である。この例では、シート材32a,32bの端部(立体ギャザー26a,26bの上端縁34に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に2本の立体ギャザー伸縮材36a,36bないしは立体ギャザー伸縮材36c,36dを挟み込むように配置している。
[2]製造方法:
以下、本発明の使い捨ておむつを製造する方法の一例を、図1〜図6に示す使い捨ておむつ1(2ピースタイプのパンツ型おむつ)を製造する場合の例により説明する。
[2−1]吸収性本体の製造:
バックシート20の上面に、親水性シートに包まれた吸収体22を配置し、更にその上面にトップシート18を配置する。次いで、吸収体22の周縁部をトップシート18とバックシート20とで挟み込むように封着することによって吸収性本体14を得る。
[2−2]スキンコンタクトシートの製造:
ライナーシート24bの上面に、2本の開口部伸縮材30a,30bを所定のパターンに配置しつつ、アッパーシート24aを貼り合わせる。この際、2本の開口部伸縮材30a,30bは、後に形成される便通過用開口部28a及び尿通過用開口部28bの間の点Pで交差し、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置する。
次いで、貼り合わされたライナーシート24bとアッパーシート24aに、便通過用開口部28a及び尿通過用開口部28bを形成する。こうすることによって、2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの間の点Pで交差し、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置された2層構造のスキンコンタクトシート24を得る。
更に、Z折りされた通気撥水性シート52(後に尿便分離壁48となる)の一端54を、ライナーシート24bの表面(下面)であり、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの間の位置に貼り付けて接合し、固定する(接合部62a,62b,62c,62d)。こうすることにより、後に尿便分離壁48となる通気撥水性シート52が付設されたスキンコンタクトシート24を得る。
図4に示す使い捨ておむつ1は、通気撥水性シート52をZ折りし、2回折り畳んだ構造とした例であるが、通気撥水性シートはZ折りのものに限らず、1回ないし3回以上折り畳んだ構造のものを用いてもよい。このように、通気撥水性シートを、その両端の接合部の間で1回ないし複数回折り畳んだ構造とすると、尿便分離壁の起立高を高くすることができるので好ましい。通気撥水性シート52とスキンコンタクトシート24との固定はホットメルト接着剤等の接着剤による接着や、ヒートシール、超音波シール、エンボスロール等による加熱接着、加圧接着等、使い捨ておむつを製造する際に用いられる従来公知の接合法により行うことができる。図4に示す使い捨ておむつ1は、通気撥水性シート52の一端54をホットメルト接着剤によってライナーシート24bの表面(下面)に貼り付け、接合・固定した例である。
[2−3]立体ギャザーの製造:
シート材32a(32b)の一方の端部を折り返し、その折り返し部分に、2本の立体ギャザー伸縮材36a、36b(36c,36d)を挟み込んだ状態で貼り合わせることによって、立体ギャザー26a(26b)を得る。
[2−4]吸収性本体へのスキンコンタクトシート等の付設:
吸収性本体14を構成するトップシート18の表面に、スキンコンタクトシート24(ライナーシート24b)の前端側、後端側、左右側縁側を各々接合し、固定する(接合部68a,68b,68c,68d)。これらの固定は、通気撥水性シートをスキンコンタクトシートに接合するのと同様の接合法により行うことができる。
図6に示す使い捨ておむつ1は、スキンコンタクトシート24の前端側、後端側及び左右側縁側をホットメルト接着剤によってトップシート18の表面(上面)に貼り付け、接合・固定した例である。また、図12に示すように、スキンコンタクトシート24の左右側縁側及び後の切断によって前端ないし後端となる部分をウルトラソニックエンボス加工によってトップシート18の表面(上面)に貼り付け、接合・固定してもよい。図12に示す方法によれば、トップシート18へのスキンコンタクトシート24の接合・固定と(左右側縁:接合部84b,84c、前端・後端:接合部84a)、後に尿便分離壁となる通気撥水性シート52とトップシート18との接合・固定(接合部84d)を単一の装置で同時に行うことができ、製造が容易であるという利点がある。なお、図12には、ウルトラソニックエンボス加工により、接合・固定を行った例を示したが、カレンダーエンボス加工のような他の加熱接着(熱融着)によっても同様の接合・固定を行うことが可能である。
本発明の製造方法においては、通気撥水性シート又は液不透過性シートを、トップシートの表面に接合すると同時に、液透過性部分を形成する。図6に示す使い捨ておむつ1は、通気撥水性シート52の他端56をトップシート18の表面にピンエンボスを用いたウルトラソニックエンボス加工(以下、「ピンエンボス加工」と記す。)により、トップシート18の表面に接合すると同時に、液透過性部分70を形成したものである。図示の例では、通気撥水性シート52におけるトップシート被覆部のうちスキンコンタクトシート24の便通過用開口部28a直下の領域(便通過用開口部28aを通じて視認可能な領域)にのみ、ピンエンボス加工が施されている。この例では、ピンエンボス加工によって液透過性部分70を形成しているが、液透過性部分を形成する手法は、ウルトラソニックエンボス加工の他、カレンダーエンボス加工、ニードルパンチ加工及びウオータージェット加工の群から選択される少なくとも一つの手段であればよい。これらの手段によれば、通気撥水性シート等への液透過性部分の形成とともに、通気撥水性シート等とトップシートとの接合も同時に達成される。
より具体的に説明すると、図2及び図6に示す使い捨ておむつ1のようなウルトラソニックエンボス加工(この例はピンエンボス加工)であれば、液透過性の開孔58が形成されるとともに、その開孔58の周縁部において通気撥水性シート52等とトップシート18とが接合される。また、カレンダーエンボス加工であれば、通気撥水性シート等を貫通する液透過性の開孔が形成されるわけではないが、通気撥水性シートとトップシートとが溶融し混合されることによって、通気撥水性シートが薄くなった液透過性のエンボス部が形成されるとともに、そのエンボス部によって、通気撥水性シート等とトップシートとが接合される。更に、ニードルパンチ加工であれば、液透過性の開孔が形成されるとともに、その開孔の周縁部において通気撥水性シート等とトップシートとが交絡されることによって、両シートが接合される。更にまた、ウオータージェット加工であれば、水流による交絡と交絡の際の摩擦熱によって、液透過性の開孔が形成されるとともに、両シートが接合される。
上記のようにトップシート18の表面に、スキンコンタクトシート24(ライナーシート24b)の前端側、後端側及び左右側縁側を貼り合わせ、通気撥水性シート52の他端56を接合した後、吸収性本体14とスキンコンタクトシート24(ライナーシート24b)の側縁を挟み込むように、立体ギャザー26a,26bを貼り合わせる。
[2−5]外装部材の製造:
まず、外装部材16となる不織布を2枚用意し、このうちの1枚の不織布の上面に、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44及び脚周り伸縮材40を配置し接着固定する。そして、この上面に、更にもう1枚の不織布を積層し固定することにより、2枚の不織布の間に、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44及び脚周り伸縮材40が介装された外装部材16を得る。
[2−6]使い捨ておむつの製造:
外装部材16の股下部近傍に、吸収性本体14を配置し固定する。次いで、吸収性本体14を内側にして、前身頃2と後身頃6とを合わせるように二つ折りにし、前身頃2と後身頃6とをヒートシール等の手段により接合し、接合部8を形成することによって、図1〜図4に示す使い捨ておむつ1を製造することができる。
前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材や伸縮材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、使い捨ておむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
[3]本発明の適用対象:
本発明の使い捨ておむつの適用対象は、前記2ピースタイプのパンツ型おむつに限られるものではなく、例えば、1ピースタイプのパンツ型おむつやテープ型おむつにも適用することができる。即ち、これらの使い捨ておむつにおいても、トップシートの表面よりも上部にスキンコンタクトシートを配置し、通気撥水性シートによって構成された尿便分離壁を配置することにより、本発明の使い捨ておむつの効果を享受することができる。
なお、「1ピースタイプ」とは、2ピースタイプと同様に、トップシート、バックシート、吸収体を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体がトップシートとバックシートの間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート及び/又はバックシートと一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
また、「テープ型おむつ」とは、トップシートと、バックシートと、両シートの間の少なくとも一部に介装された吸収体と、装着用のテープファスナーとを備え、テープファスナーによっておむつの前身頃と後身頃とを相互に固定し得る使い捨ておむつを意味するものとする。「テープ型おむつ」にも、パンツ型おむつと同様に「1ピースタイプ」と「2ピースタイプ」が存在するが、本発明の使い捨ておむつはいずれのタイプのテープ型おむつにも適用可能である。
本発明の使い捨ておむつは、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に利用することができる。そして、本発明の使い捨ておむつは、尿と便とが混ざり合うことを有効に防止することができ、尿と便が混ざり合ってしまうことに起因するおむつかぶれの発生が効果的に抑制されるので、肌が弱くスキントラブルが多い、乳幼児用の使い捨ておむつとして特に好適に用いることができる。
本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略斜視図であり、おむつの前方から見た状態を示す概略斜視図である。 本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す平面図であり、図1に示す使い捨ておむつを展開し、おむつの吸収性本体側から見た状態を示す平面図である。 本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略断面図であり、図2に示す使い捨ておむつをX−X’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略断面図であり、図2に示す使い捨ておむつをY−Y’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の使い捨ておむつの一の使用状態を示す概略断面図であり、図2に示す使い捨ておむつをY−Y’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の使い捨ておむつの一部を拡大した平面を示す一部拡大平面図であり、図2に示す使い捨ておむつの通気撥水性シート及びスキンコンタクトシートが接合されたトップシート部分の平面を拡大して示す一部拡大平面図である。 本発明の使い捨ておむつの別の実施形態を示す概略断面図であり、使い捨ておむつをその中心線に沿って長手方向に切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の使い捨ておむつの一部を拡大した平面を示す一部拡大平面図であり、図7に示す使い捨ておむつの通気撥水性シート及びスキンコンタクトシートが接合されたトップシート部分の平面を拡大して示す一部拡大平面図である。 本発明の使い捨ておむつの更に別の実施形態を示す概略断面図であり、使い捨ておむつをその中心線に沿って長手方向に切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の使い捨ておむつの一部を拡大した平面を示す一部拡大平面図であり、図9に示す使い捨ておむつの通気撥水性シート及びスキンコンタクトシートが接合されたトップシート部分の平面を拡大して示す一部拡大平面図である。 本発明の使い捨ておむつを製造する装置の形態を示す模式図であり、ウルトラソニックエンボス加工の加工装置を側面からみた状態を示す模式図である。 本発明の製造方法の一の実施形態を示す概略斜視図であり、図11に示す加工装置によりスキンコンタクトシートとトップシートとを接合・固定している状態を示す概略斜視図である。
符号の説明
1,100,110:使い捨ておむつ、2:前身頃、2a,2b:側縁部、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁部、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、12,12a,12b:脚周り開口部、14:吸収性本体、16:外装部材、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、24:スキンコンタクトシート、24a:アッパーシート、24b:ライナーシート、26,26a,26b:立体ギャザー、28:開口部、30:開口部伸縮材、32,32a,32b:シート材、34:上端縁、36,36a,36b,36c,36d:立体ギャザー伸縮材、38:起立線、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、46:空間、48:尿便分離壁、52:通気撥水性シート、54:一端、56:他端、58:開孔、60:エンボス部、62a,62b,62c,62d:接合部、64:液透過性シート、66:接合部、68a,68b,68c,68d:接合部、70:液透過性部分、72:加工装置:74:ホーンユニット、76:エンボス、78:エンボスロール、80:被加工体、82:送出ロール、84a,84b,84c,84d:接合部、P:点。

Claims (5)

  1. 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたスキンコンタクトシートと、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間に配置され、前記空間を前身頃側と後身頃側とに仕切る尿便分離壁とを備え、
    前記尿便分離壁は、通気撥水性シート又は液不透過性シートによって構成され、
    前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートの一端が前記スキンコンタクトシートの裏面に接合されるとともに、前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートの他端が前記トップシートの表面に接合され、
    前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートにおける前記トップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性部分が形成されている使い捨ておむつ。
  2. 前記トップシート被覆部に液透過性の開孔が形成されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記トップシート被覆部に、親水化処理が施されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  4. 吸収体と、前記吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されたスキンコンタクトシートと、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間に配置され、前記空間を前身頃側と後身頃側とに仕切る尿便分離壁とを備え、
    前記尿便分離壁は、通気撥水性シート又は液不透過性シートと液透過性シートとを貼り合わせた複合シートによって構成され、
    前記複合シートの一端が前記スキンコンタクトシートの裏面に接合されるとともに、前記複合シートの他端が前記トップシートの表面に接合され、
    前記複合シートにおける前記トップシートの表面を被覆している部分(トップシート被覆部)のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域に、液透過性シートのみによって構成された部分が配置されている使い捨ておむつ。
  5. 請求項1に記載の使い捨ておむつの製造方法であって、
    前記通気撥水性シート又は前記液不透過性シートにおける前記トップシート被覆部のうち前記スキンコンタクトシートの前記便通過用開口部直下の領域を、カレンダーエンボス加工、ウルトラソニックエンボス加工、ニードルパンチ加工及びウオータージェット加工の群から選択される少なくとも一つの加工方法によって、前記トップシートの表面に接合すると同時に、前記液透過性部分を形成する使い捨ておむつの製造方法。
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