JP2012136962A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2012136962A
JP2012136962A JP2010288437A JP2010288437A JP2012136962A JP 2012136962 A JP2012136962 A JP 2012136962A JP 2010288437 A JP2010288437 A JP 2010288437A JP 2010288437 A JP2010288437 A JP 2010288437A JP 2012136962 A JP2012136962 A JP 2012136962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque reduction
reduction rate
ignition timing
engine
torque
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010288437A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Miyata
敏行 宮田
Katsunori Ueda
克則 上田
Hitoshi Toda
仁司 戸田
Akinori Shibata
晃史 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP2010288437A priority Critical patent/JP2012136962A/ja
Publication of JP2012136962A publication Critical patent/JP2012136962A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)

Abstract

【課題】エンジンの制御装置に関し、簡素な構成でエンジンの運転状態の安定性を向上させつつ燃費を改善する。
【解決手段】運転条件に応じてエンジンに最大トルクを発生させる最適点火時期SA_MBTを演算する最適点火時期演算手段2bと、エンジン回転数に応じた目標点火時期SA_IDを演算する目標点火時期演算手段2cと、を備える。
また、最適点火時期SA_MBTと目標点火時期SA_IDとに基づいて第一トルク低減率Aを演算する第一トルク低減率演算手段3aと、基準となるトルク低減率Cに対してエンジンの負荷の如何にかかわらない所定の第二トルク低減率Bを演算する第二トルク低減率演算手段3bとを備える。
さらに、第一トルク低減率A及び第二トルク低減率Bに基づいてエンジンの点火時期を制御する制御手段4を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンの点火時期を制御する制御装置に関する。
従来、車両に搭載されたエンジンの制御手法の一つとして、エンジン回転数に応じて点火時期を調整する技術が知られている。すなわち、その時点の運転条件でエンジントルクが最大となる点火時期(MBT,Minimum spark advance for Best Torque)を制御目標の点火時期として設定するとともに、エンジン回転数の変動に応じて実際の点火時期を制御目標の点火時期から微調整するものである。例えば、エンジンのアイドル時のように、運転者の要求負荷が入力されない状態では、このような制御によってエンジン回転数の安定化が図られる。
アイドル時のエンジン回転数制御に関して、特許文献1には、エンジンの平均的な回転変動に応じた分だけ基本点火時期から遅角側に修正した基準点火時期を設定し、この基準点火時期を中心値として実際の回転変動に応じた点火時期の修正を実施するものが記載されている。この制御では、実際の点火時期が進角側及び遅角側に交互に振れるように変動したとしても、基本点火時期よりも進角側まで移動することがなく、アイドル回転数の制御性が向上する。また、実際の回転変動に応じた点火時期の修正を実施することで点火時期の振幅が小さくなるため、エンジン回転数の変動を次第に抑制することができるとされている。
特開平5−280455号公報
ところで、エンジン回転数はエンジンに作用する負荷に応じて変動する。特に、アイドル時のエンジン回転数であるアイドル回転数は、通常の車両走行時のエンジン回転数よりも低回転に設定されているため、アイドル時に外部負荷が作用した場合にはエンジンの運転状態が不安定になりやすい。例えば、車両の停車アイドル時に車載エアコン装置や油圧パワーステアリング装置等によってエンジンに与えられる外部負荷が急激に上昇した場合には、エンジントルクが不足してエンジンがストールするおそれが生じる。
このような課題に対し、特許文献1に記載のような従来の制御装置では、外部負荷の増大によってエンジン回転数が低下した後で、そのエンジン回転数の変動に応じて点火時期を制御することになる。したがって、負荷変動に対する制御応答性を向上させることが難しいという課題がある。
また、エンジンのノック点はエンジンの吸入空気量が増加するほど遅角側に移動する。例えば、外部負荷の増大時にエンジンの吸入空気量を増加させてエンジントルクを上昇させると、エンジンのノック点がMBTよりも遅角側に移動してくる場合がある。この場合、点火時期をノック点よりも遅角側の範囲で設定しなければならない。一方、特許文献1に記載のような従来の制御では、このようなノッキング現象が考慮されていないため、点火時期の制御によってノッキングを抑制することができない。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、エンジンの制御装置に関し、エンジン負荷に関わらず、点火時期の制御によって適切なエンジントルクを確保しつつノッキングを抑制することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、運転条件に応じてエンジンに最大トルクを発生させる最適点火時期(SA_MBT)を演算する最適点火時期演算手段と、前記エンジンの回転数に応じた目標点火時期(SA_ID)を演算する目標点火時期演算手段とを備える。
また、前記最適点火時期と前記目標点火時期とに基づき、前記目標点火時期で発生するトルク値の前記最大トルクに対する比を第一トルク低減率(A)として演算する第一トルク低減率演算手段と、基準となるトルク低減率(C)に対して前記エンジンの負荷の如何にかかわらない所定の第二トルク低減率(B)を演算する第二トルク低減率演算手段とを備える。
さらに、前記第一トルク低減率(A)及び前記第二トルク低減率(B)に基づき、前記エンジンの点火時期を制御する制御手段を備える。
前記最適点火時期とは、いわゆるMBT(Minimum spark advance for Best Torque)を意味する。また、前記エンジンの負荷としては、例えば自動変速機や空調装置,各種電装品等によってエンジンに与えられる負荷が考えられる。なお、前記エンジンの吸入空気量は前記負荷に応じて設定される。
また、所定の第二トルク低減率(B)は、たとえ前記エンジンの負荷が変化しようとも、基準となるトルク低減率(C)に対しては、相対的な関係が変化しない値を持つ。言い換えると、第二トルク低減率(B)と基準となるトルク低減率(C)との間のずれの度合い(例えば、トルク低減率差やトルク低減率比,トルク低減量等)は、前記エンジンの負荷の如何にかかわらない大きさを持つ。
(2)また、前記第一トルク低減率(A)と前記第二トルク低減率(B)とのうち、低減率の小さい方(Kpi_ID_0)を選択する選択手段を備え、前記制御手段が、前記選択手段で選択された一方のトルク低減率(Kpi_ID_0)に基づき、前記エンジンの点火時期を制御することが好ましい。
低減率の小さい方を選択することにより、前記第一トルク低減率(A)に対応するリタード量と、前記第二トルク低減率(B)に対応するリタード量との両方が確保される。
(3)また、前記選択手段で選択された前記一方のトルク低減率(Kpi_ID_0)に基づき、前記エンジンのリタード量(点火時期のずれ量)を所定の減少率(α)で減少させる減算手段を備え、前記制御手段が、前記エンジンのリタード量に基づいて前記エンジンの点火時期を制御することが好ましい。
前記エンジンのリタード量は、その値が前記選択手段で選択された一方のトルク低減率(Kpi_ID_0)と一致するまで減少する。したがって、前記リタード量の下限値は前記一方のトルク低減率(Kpi_ID_0)である。
(4)また、前記減算手段が、前記車両の停車時かつ前記エンジンのアイドル時に、前記リタード量を所定の減少率で減少させることが好ましい。
(5)また、前記車両の非停車時又は前記エンジンの非アイドル時に、前記エンジンのリタード量を所定の増加率(β)で増加させる加算手段を備えることが好ましい。
(6)また、前記所定の増加率(β)の絶対値が、前記所定の減少率(α)の絶対値よりも大きく設定されることが好ましい。
(7)また、前記エンジンの負荷の如何にかかわらない所定のトルク低減量を演算する低減量演算手段を備え、前記第二トルク低減率演算手段が、前記所定のトルク低減量に基づいて第二トルク低減率を演算することが好ましい。
例えば、前記第二トルク低減率演算手段が、前記所定のトルク低減量に基づいて算出されるトルク値の前記最大トルクに対する比を第二トルク低減率として演算してもよい。
(8)また、前記エンジンのノッキングが抑制される所定の点火時期範囲内で最大のトルクが発生する基本点火時期(SA_B)を演算する基本点火時期演算手段と、前記最適点火時期及び前記基本点火時期に基づき、前記基本点火時期で発生するトルク値の前記最大トルクに対する比を第三トルク低減率(C)として演算する第三トルク低減率演算手段と、備えることが好ましい。
この場合、前記第二トルク低減率演算手段が、前記第三トルク低減率(C)と前記トルク低減量(ΔKpi_ID)に基づいて前記第二トルク低減率(B)を演算することが好ましい。例えば、前記第二トルク低減率演算手段が、前記第三トルク低減率(C)から前記トルク低減量(ΔKpi_ID)を減算した値を前記第二トルク低減率(B)として演算することができる。
なお、上記(5)に記載の構成に関して、前記加算手段で加算される前記リタード量は、その値が前記第三トルク低減率演算部で演算された前記第三トルク低減率(C)と一致するまで増加する。したがって、前記リタード量の上限値は前記第三トルク低減率(C)である。
(9)また、前記所定のトルク低減量が、前記最適点火時期での点火時に発生する前記最大トルクを基準として算出されるトルク低減率の値を減少させる量であることが好ましい。
開示のエンジンの制御装置によれば、第一トルク低減率と第二トルク低減率とに基づく点火時期の制御により、エンジン負荷の如何にかかわらないトルクリザーブ量を確保することができる。
一実施形態に係るエンジンの制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。 本制御装置での制御プロセスを例示したブロック図である。 本制御装置に係る実充填効率Ec,点火時期及びトルクの対応マップを例示するものである。 本制御装置に係る基本点火時期SA_B及びトルク低減率B,Cを例示したグラフである。 本制御装置で演算される第一トルク低減率Aに係る対応マップを例示するものである。 本制御装置で演算されるトルク低減量ΔKpi_IDに係る対応マップを例示するものである。 変形例に係るエンジンの制御装置での制御プロセスを例示したブロック図である。
図面を参照してエンジンの制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.装置構成]
本実施形態の制御装置は、図1に示す車両に搭載されたエンジン10に適用される。ここでは、多気筒四サイクル型のエンジン10に設けられた複数のシリンダのうち、一つのシリンダを示す。シリンダの頂部には点火プラグ13がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。また、燃焼室のシリンダヘッド側の頂面には、吸気通路11及び排気通路12が接続される。
吸気通路11側にはインジェクタ14,ETV15(Electric Throttle Valve)及びエアフローセンサ8(AFS,Air Flow Sensor)が設けられる。インジェクタ14は吸気通路11内に燃料を噴射するものであり、ETV15はその開度を変更することでシリンダ内に導入される空気の吸気量を変更するための電子制御式スロットルバルブである。また、エアフローセンサ8はシリンダ内への吸気量を検出するセンサであり、ここではETV15を通過する吸気流量Qが検出される。
このエンジン10には、クランクシャフトの角度θCRを検出するクランク角度センサ7が設けられる。クランク角度センサ7で検出されたクランクシャフトの角度θCR及びエアフローセンサ8で検出された吸気流量Qの情報は、後述するエンジンECU1に伝達される。なお、所定クランク角度あたりの所要時間からエンジン回転数Neを把握することができる。したがって、クランク角度センサ7はエンジン10のエンジン回転数Neを検出する手段としての機能を持つ。エンジン回転数Neは、クランク角度センサ7で検出されたクランクシャフトの角度θCRに基づいてエンジンECU1が演算する構成としてもよいし、クランク角度センサ7の内部で演算する構成としてもよい。
エンジン10を搭載した車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み量に対応する操作量θACを検出するアクセルペダルセンサ5(APS,Acceleration pedal Position Sensor)と、車速Vを検出する車速センサ6とが設けられる。これらの各センサで検出されたアクセルペダルの操作量θAC及び車速Vの情報も、エンジンECU1に伝達される。なお、アクセルペダルの踏み込み操作量θACは運転者の加速要求に対応するパラメータであり、言い換えるとエンジン10の負荷に相関するパラメータである。
この車両には電子制御装置として、エンジンECU1(Engine - Electronic Control Unit,エンジン電子制御装置)のほか、図示しないCVT-ECU(Continuously Variable Transmission ECU),エアコンECU,電装品ECU等が設けられる。これらの電子制御装置は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられたCAN,FlexRay等の通信ラインを介して互いに接続される。
CVT-ECUは、図示しないCVT装置(無段変速装置)の動作を制御するものであり、エアコンECUは、図示しないエアコン装置(空調装置)の動作を制御するものである。また、電装品ECUは、車載投光装置や各種照明装置,パワーウィンドウ装置,ドア施錠装置といったボディ系の各種電装品の動作を制御するものである。これらの各種装置は、エンジン10に対する負荷として作用する。
以下、これらのエンジンECU1以外の電子制御装置のことを外部制御システムとも呼び、外部制御システムによって制御される装置のことを外部負荷装置とも呼ぶ。外部負荷装置の作動状態等は、エンジン10の運転状態に関わらず変化しうる。そこで、上記の各外部制御システムは、外部負荷装置がエンジン10に要求するトルクの大きさを随時演算し、これをエンジンECU1に伝達する。また、外部制御システムがエンジン10に要求するトルクのことを外部要求トルクと呼ぶ。なお、外部要求トルクの値は、CVT-ECU,エアコンECUといった個々の外部制御システムで演算された後にエンジンECU1に伝達されることとしてもよいし、あるいは個々の外部制御システムで収集された情報に基づいてエンジンECU1で演算されることとしてもよい。
エンジンECU1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを制御する電子制御装置である。ここでは、エンジンECU1での各種制御のうち、アイドル時に実施されるアイドル点火時期制御について説明する。アイドル点火時期制御とは、エンジン回転数に応じて点火時期を調整し、エンジン10のアイドル運転時の動作を安定化させる制御である。なお、ここでいうアイドル運転時には、車両の停止時にエンジン10がアイドル回転速度で回転しているような一般的なアイドル状態だけでなく、コースト走行時(惰性走行時)であってスロットル開度が全閉で車両が減速しているような状態が含まれるものとしてもよい。
エンジン10のアイドル時には運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作がないため、加速要求に応じたエンジンの制御は実施されない。一方、たとえアイドル時であってもCVT装置やエアコン装置といった外部負荷装置の作動状態に応じて外部負荷が変動するため、これに応じたエンジンの制御が必要となる。しかし、エンジンに負荷を与えうる外部負荷装置の数や種類は膨大であり、全ての負荷変動をアイドル時に把握することは難しい。そこで本エンジンECU1では、負荷に依存しない演算手法を併用してアイドル点火時期を調整する。
[2.制御構成]
エンジンECU1には、アイドル点火時期制御の機能を実現すべく、目標リタード量演算部2,トルク低減率演算部3及びアイドル点火時期演算部4が設けられる。これらの目標リタード量演算部2,トルク低減率演算部3及びアイドル点火時期演算部4の各機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
目標リタード量演算部2は、点火時期の目標値の演算に係る二種類のリタード量を演算するものである。第一リタード量は、その時点での実充填効率Ecで最大のトルクが発生する最適点火時期(MBT,Minimum spark advance for Best Torque)を基準として、エンジン回転数Neに応じて設定されるリタード量である。これに対して第二リタード量は、上記のMBTと基本点火時期とを基準として設定されるリタード量である。基本点火時期とは、ノッキングを考慮して設定された点火時期のことであり、トレースノック点火時期K〔トレーストック(軽いノッキング)が生じる限界点火時期〕又はMBTのうち遅角側に位置する何れか一方である。ここで演算された第一リタード量及び第二リタード量の値は、トルク低減率演算部3に伝達される。
トルク低減率演算部3は、目標リタード量演算部2で演算された第一リタード量及び第二リタード量に基づき、複数のトルク低減率を演算するものである。ここでは、第一リタード量から第一トルク低減率Aが演算され、第二リタード量から第三トルク低減率(基準となるトルク低減率)Cが演算される。第一トルク低減率Aは、例えば特許文献1での制御と同様に、外部負荷によってエンジン回転数Neが変動した後で、そのエンジン回転数Neの変動に応じて点火時期を調整するための制御量であるといえる。
また、トルク低減率演算部3は、負荷の如何にかかわらない大きさのトルク低減量ΔKpi_IDを演算するとともに、トルク低減量ΔKpi_ID及び第三トルク低減率Cに基づいて第二トルク低減率Bを演算する。ここでいう負荷の如何にかかわらない大きさとは、負荷の大小に左右されない大きさであることを意味する。例えば、トルク低減量ΔKpi_IDが負荷の大小にかかわらず一律の大きさに演算されてもよいし、あるいは、負荷以外のパラメータに応じてトルク低減量ΔKpi_IDが演算されてもよい。このようなトルク低減量ΔKpi_IDに基づいて演算される第二トルク低減率Bは、第一トルク低減率Aとは異なり、負荷によらずに点火時期を調整するための制御量であるといえる。
さらに、トルク低減率演算部3は、第一トルク低減率Aと第二トルク低減率Bとのうちの何れか一方を実際のアイドル点火時期の目標値に対応するトルク低減率Kpi_ID_0として選択する。ここで選択されたトルク低減率Kpi_ID_0の情報はアイドル点火時期演算部4に伝達される。
アイドル点火時期演算部4は、実際にエンジン10から出力されるトルクの低減率(MBTを基準とした変化率)がトルク低減率演算部3で選択されたトルク低減率Kpi_ID_0となるように、点火プラグ13の点火時期を制御するものである。ここでは、実際の点火時期の遅角方向への急変を抑制しつつ、進角方向への変化を促進することで、アイドル安定性と低燃費化とを両立させている。
[2−1.目標リタード量演算部]
エンジンECU1での演算プロセスを図2に例示する。エンジンECU1には、アクセルペダルセンサ5で検出されたアクセルペダルの操作量θAC,車速センサ6で検出された車速V,クランク角度センサ7で検出された角度θCRに対応するエンジン回転数Ne,エアフローセンサ8で検出された吸気流量Qが入力される。
図2に示すように、目標リタード量演算部2には、実充填効率演算部2a,MBT演算部2b,目標点火時期演算部2c,第一リタード量演算部2d,基本点火時期演算部2e及び第二リタード量演算部2fが設けられる。
実充填効率演算部2aは、入力された吸気流量Qに基づき、制御対象の気筒の実際の充填効率を実充填効率Ecとして演算するものである。ここでは、制御対象の気筒について、直前の一回の吸気行程(ピストンが上死点から下死点に移動するまでの一行程)の間にエアフローセンサ8で検出された吸気流量Qの合計から、制御対象の気筒に実際に吸入された空気量が演算され、実充填効率Ecが演算される。ここで演算された実充填効率Ecの情報は、MBT演算部2bに伝達される。
MBT演算部2b(最適点火時期演算手段)は、運転条件に応じてエンジンに最大トルクを発生させるMBTを最適点火時期SA_MBTとして演算するものである。ここでは、実充填効率演算部2aで演算された実充填効率Ec及びエンジン回転数Neに基づき、その時点の実充填効率EcでのMBTがSA_MBTとして演算される。MBT演算部2bは、例えば図3に示すように、実充填効率Ec,点火時期及び理論空燃比で発生するトルクの対応関係に基づき、エンジン回転数Ne毎の最適点火時期SA_MBTを演算する。図3のグラフでは、実充填効率Ecが第一所定値Ec1であるときの最適点火時期SA_MBTがT1となり、実充填効率Ecが第二所定値Ec2であるときの最適点火時期SA_MBTがT2となる。ここで演算された最適点火時期SA_MBTは、第一リタード量演算部2d及び第二リタード量演算部2fへと入力される。
目標点火時期演算部2c(目標点火時期演算手段)は、エンジン回転数Neに基づいて目標点火時期SA_IDを演算するものである。ここには、エンジン回転数Neと目標点火時期SA_IDとの対応関係をマップ化したものが記憶されており、このマップに基づき目標点火時期SA_IDを演算する。エンジン回転数Neと目標点火時期SA_IDとの具体的な設定内容については任意であり、例えば、エンジン回転数Neが低下するほど目標点火時期SA_IDが遅角方向へ移動するような設定とすることが考えられる。ここで演算された目標点火時期SA_IDの情報は、第一リタード量演算部2dに伝達される。
第一リタード量演算部2dは、MBT演算部2bで演算された最適点火時期SA_MBTと目標点火時期演算部2cで演算された目標点火時期SA_IDとに基づいて第一リタード量を演算するものである。ここでは、最適点火時期SA_MBTから目標点火時期SA_IDを減算した値が第一リタード量として演算される。ここで演算された第一リタード量の値はトルク低減率演算部3に伝達される。第一リタード量は、実充填効率EcでのMBTを基準としたリタード量であり、図2中に示すように、その値はゼロ以上の範囲にクリップされる。
基本点火時期演算部2e(基本点火時期演算手段)は、エンジン10でのノッキングが抑制される点火時期範囲内で最大のトルクが生じる基本点火時期SA_Bを演算し、この情報を第二リタード量演算部2fに伝達するものである。ここでいう「ノッキングが抑制される点火時期範囲」とは、ノッキングがほとんど生じない点火時期の範囲であって、例えばトレースノックが生じる点火時期よりも遅角側の範囲を意味する。また、トレースノックが生じる点火時期はエンジン10の負荷(吸入空気量)に依存し、負荷(吸入空気量)が小さい状態ではMBTよりも進角側に位置し、負荷(吸入空気量)が増大するほど遅角方向へと移動する。したがって、ここでいう「ノッキングが抑制される点火時期範囲」は、負荷(吸入空気量)によって変動する。
図4を用いてこの点火時期範囲及び基本点火時期SA_Bについて説明する。図4では、実充填効率Ec及び基本点火時期SA_Bの関係(細実線)と、実充填効率Ec及び第二トルク低減率Bの関係(太破線)と、実充填効率Ec及び第三トルク低減率Cの関係(太実線)とが重ねて表示されている。ここでは実充填効率Ec及び基本点火時期SA_Bの関係(細実線)について述べ、残りについては後述する。
図4中に細実線で示すように、実充填効率Ecが所定値Ec0未満のいわゆる低負荷状態では、基本点火時期SA_Bがそれぞれの実充填効率Ec でのMBTに一致するように設定される。一方、実充填効率Ecが所定値Ec0以上になると、トレースノック点火時期がMBTよりも遅角側に移動してくる。そのため、基本点火時期SA_BはMBTよりも遅角側に設定される。基本点火時期SA_Bは実充填効率Ecが増大するほど遅角側へと移動し、そのグラフは図4に示すように右下がり線となる。「ノッキングが抑制される点火時期範囲」はトレースノック点火時期を示す線よりも遅角側の下方の領域である。
第二リタード量演算部2fは、MBT演算部2bで演算された最適点火時期SA_MBTと基本点火時期演算部2eで演算された基本点火時期SA_Bとに基づき、第二リタード量を演算するものである。ここでは、最適点火時期SA_MBTから基本点火時期SA_Bを減算した値が第二リタード量として演算される。ここで演算された第二リタード量も、第一リタード量と同様にその値がゼロ以上の範囲にクリップされ、トルク低減率演算部3に伝達される。
[2−2.トルク低減率演算部]
トルク低減率演算部3には、第一トルク低減率演算部3a,第二トルク低減率演算部3b,第三トルク低減率演算部3c,低減量演算部3d及び選択部3eが設けられる。
第一トルク低減率演算部3a(第一トルク低減率演算手段)は、エンジン回転数Neと第一リタード量演算部2dで演算された第一リタード量とに基づき、第一トルク低減率Aを設定,演算するものである。第一トルク低減率Aとは、そのときの実充填効率EcでのMBTで生じるトルクを基準として、点火時期をMBTから第一リタード量分だけ遅角させた場合に生じるトルクの割合である。例えば、点火時期をMBTから第一リタード量分だけ遅角させた場合に生じるトルクがMBTでの最大トルクの70[%]であるときには、第一トルク低減率Aの値が0.7となる。
この第一トルク低減率演算部3aには、図2中に示すように、エンジン回転数Neと第一リタード量と第一トルク低減率Aとの対応関係をマップ化したものが記憶されており、このマップに基づいて第一トルク低減率Aが演算される。ここで演算された第一トルク低減率Aの値は選択部3eに伝達される。
図5は、エンジン回転数Neを所定値に固定した場合の第一リタード量と第一トルク低減率Aとの対応関係を例示するものである。第一トルク低減率Aの値は、第一リタード量が0であるときに1.0となり、第一リタード量が増大するに連れて減少する。第一トルク低減率Aの変動範囲は、0≦A≦1.0である。
第二トルク低減率演算部3b(第二トルク低減率演算手段)は、第二トルク低減率Bを設定,演算するものである。ここでの第二トルク低減率Bの演算を説明するために、まず第三トルク低減率演算部3c及び低減量演算部3dについて説明する。
第三トルク低減率演算部3c(第三トルク低減率演算手段)は、エンジン回転数Neと第二リタード量演算部2fで演算された第二リタード量とに基づき、第三トルク低減率(基準となるトルク低減率)Cを設定,演算するものである。第三トルク低減率Cとは、そのときの実充填効率EcでのMBTで生じるトルクを基準として、点火時期をMBTから第二リタード量分だけ遅角させた場合に生じるトルクの割合である。例えば、基本点火時期SA_BがMBTに一致する場合には第二リタード量が0となり、第三トルク低減率Cの値が1.0となる。
この第三トルク低減率演算部3cにも、第一トルク低減率演算部3aと同様に、エンジン回転数Neと第二リタード量と第三トルク低減率Cとの対応関係をマップ化したものが記憶されており、このマップ基づいて第三トルク低減率Cが演算される。ここで演算された第三トルク低減率Cの値は、前述の第二トルク低減率演算部3bに伝達される。
なお、図4中の太実線に示すように、実充填効率Ecが所定値Ec0未満の範囲(基本点火時期SA_BがMBTに一致する点火時期範囲)では、第三トルク低減率Cの値は1.0となる。一方、実充填効率Ecが所定値Ec0以上になると、実充填効率Ecが増大するほど第三トルク低減率Cの値は減少する。
低減量演算部3d(低減量演算手段)は、エンジン10の負荷に依存しないトルク低減量ΔKpi_IDを設定,演算するものである。本実施形態では、このトルク低減量ΔKpi_IDがエンジン回転数Neに応じた所定値に設定される。例えば、図6に示すように、エンジン回転数Neが大きいほどトルク低減量ΔKpi_IDの値が減少するような特性(ただし、トルク低減量ΔKpi_ID≧0)とする。なお、より簡便な構成としてはトルク低減量ΔKpi_IDの値を固定値とすることも考えられる。何れの場合であっても、ここで得られたトルク低減量ΔKpi_IDの値は前述の第二トルク低減率演算部3bに伝達される。
上記の第三トルク低減率C及びトルク低減量ΔKpi_IDに基づき、第二トルク低減率演算部3bは第二トルク低減率Bを設定,演算する。本実施形態では、第三トルク低減率演算部3cで演算された第三トルク低減率Cからトルク低減量ΔKpi_IDを減算することで、基本点火時期SA_Bに所定の遅れを与えた点火時期で得られるトルクの最大トルク(MBT時の最大トルク)に対する比に相当する第二トルク低減率Bを演算する。
例えば、第三トルク低減率Cの値が0.95であり、トルク低減量ΔKpi_IDの値が0.2である場合には、ここで演算される第二トルク低減率Bの値が0.75となる。このように、トルク低減量ΔKpi_IDは、最適点火時期SA_MBTでの点火時に発生する最大トルクを基準として算出されるトルク低減率の値を減少させるように機能する。ここで演算された第二トルク低減率Bの値は、選択部3eに伝達される。
図4中の太破線で示すように、実充填効率Ecが所定値Ec0未満の範囲(基本点火時期SA_BがMBTに一致する点火時期範囲)では、第二トルク低減率Bの値が1.0からトルク低減量ΔKpi_IDを減算した値となる。一方、実充填効率Ecが所定値Ec0以上の範囲では、実充填効率Ecが増大するほど第二トルク低減率Bの値は減少する。また、第二トルク低減率Bと第三トルク低減率Cとの間の縦軸方向の幅はトルク低減量ΔKpi_IDの大きさに対応する。このように、エンジン回転数Neが一定であれば、トルク低減量ΔKpi_IDは実充填効率Ecに関わらず一定であり、トルク低減量ΔKpi_IDの値が負荷方向(例えば、図4中の横軸方向)で変化しない設定となっている。
選択部3e(選択手段)は、第一トルク低減率演算部3aで演算された第一トルク減少率Aと第二トルク低減率演算部3bで演算された第二トルク低減率Bとのうち低減率の小さい一方、すなわち、エンジン10から出力されるトルクをより小さくする一方を選択するものである。
例えば、第一トルク低減率Aの値が0.7であり、第二トルク低減率Bの値が0.8であるときには、第一トルク低減率Aが選択される。以下、ここで選択されたトルク低減率に符号Kpi_ID_0を付して「トルク低減率Kpi_ID_0」と呼ぶ。トルク低減率Kpi_ID_0の値はアイドル点火時期演算部4に伝達され、実際のアイドル点火時期制御に用いられる。
[2−3.アイドル点火時期演算部]
アイドル点火時期演算部4(制御手段)には、制御用トルク低減率演算部4a,実リタード量演算部4b及びアイドル点火時期制御部4cが設けられる。
制御用トルク低減率演算部4aは、実際のエンジン10の制御に係るトルク低減率が選択部3eで選択されたトルク低減率Kpi_ID_0になるように、トルク低減率Kpi_ID_0と同次元の変数である実制御用のトルク低減率Kpi_IDを演算する。ただし、急激に実制御用のトルク低減率Kpi_IDを前述のトルク低減率Kpi_ID_0に変更すると点火時期の急変を招きかねないため、ここでは単位時間(あるいは単位制御サイクル)あたりの実制御用のトルク低減率Kpi_IDの変化量に制限が設けられている。
実制御用のトルク低減率Kpi_IDを変化させるための演算部として、制御用トルク低減率演算部4aには、減算部4d及び加算部4eが設けられている。以下、実制御用のトルク低減率Kpi_IDのことを、単にトルク低減率Kpi_IDとも呼ぶ。減算部4d(減算手段)は、車両停車時かつアイドル時であることを条件として、トルク低減率Kpi_IDを所定の減少率αで減少させる演算を実施するものである。
前回の演算周期のトルク低減率をKpi_ID(n-1)とおくと、今回の演算周期のトルク低減率Kpi_ID(n)は以下の式1に従って演算される。ただし、今回の演算周期のトルク低減率Kpi_ID(n)の下限値は選択部3eで選択されたトルク低減率Kpi_ID_0とする。これにより、トルク低減率Kpi_IDは演算周期毎に所定の減少率αで徐々に減少し、最終的にはトルク低減率Kpi_ID_0と同一の値となる。
Kpi_ID(n) = Kpi_ID(n-1) −α ・・・式1
加算部4e(加算手段)は、車両停車時でないこと又はアイドル時でないことを条件として、トルク低減率Kpi_IDを所定の増加率βで増加させる演算を実施するものである。増加率βの絶対値は減少率αの絶対値よりも大きい値に設定される。これにより、トルク低減率Kpi_IDの増大速度(リタードを小さくする方向に点火時期を移動させる速度)が減少速度(リタードを大きくする方向に点火時期を移動させる速度)よりも大きくなる。
ここでは、以下の式2に従って今回の演算周期のトルク低減率Kpi_ID(n)が演算される。ただし、今回の演算周期のトルク低減率Kpi_ID(n)の上限値は第二トルク低減率演算部3bで演算された第二トルク低減率Bとし、トルク低減率Kpi_ID(n)の下限値は選択部3eで選択されたトルク低減率Kpi_ID_0とする。これにより、トルク低減率Kpi_IDは演算周期毎に所定の増加率βで素早く増加し、最終的には第二トルク低減率Bと同一の値となる。
Kpi_ID(n) = Kpi_ID(n-1) +β ・・・式2
上記の減算部4d,加算部4eでの演算条件に含まれる車両停止時であるか否かは、例えば車速センサ6で検出された車速Vが所定速度以下であるか否かで判定する。また、アイドル時であるか否かは、アクセルペダルの踏み込みの有無や図示しないアイドルスイッチの出力等に基づいて判定する。また、上記の減算部4d,加算部4eで演算されたトルク低減率Kpi_ID(n)の値は、実リタード量演算部4bに伝達される。
実リタード量演算部4bは、エンジン回転数Neと入力されたトルク低減率Kpi_ID(n)とに基づき、リタード量RTD_ID_0を演算するものである。このリタード量RTD_ID_0は、その時点の実充填効率EcでのMBT(すなわち、最適点火時期SA_MBT)を基準とした遅角量である。実リタード量演算部4bには、エンジン回転数Neとトルク低減率Kpi_ID(n)とリタード量RTD_ID_0との対応関係をマップ化したものが記憶されている。ここで演算されたリタード量RTD_ID_0の値は、アイドル点火時期制御部4cに伝達される。
なお、このマップの代わりに第一トルク低減率演算部3aが記憶しているマップ(エンジン回転数Ne,第一リタード量,第一トルク低減率Aの対応関係を定めたもの)を用いてもよい。
アイドル点火時期制御部4cは、実リタード量演算部4bで演算されたリタード量RTD_ID_0に基づき、アイドル点火時期SA_IDを演算するものである。ここでは、目標リタード量演算部2のMBT演算部2bで演算された最適点火時期SA_MBTからリタード量RTD_ID_0を減算した値をアイドル点火時期SA_IDとして演算する。また、アイドル点火時期制御部4cは、制御対象となる気筒に設けられた点火プラグ13での点火時期がアイドル点火時期SA_IDになるように、制御信号を出力する。
[3.作用,効果]
上述のエンジン10の制御装置では、エンジン回転数Neに応じて設定されるリタード量に由来する第一トルク低減率Aと、第二トルク低減率Bとに基づいてアイドル点火時期制御が実施される。一方、MBTを基準としたトルク低減率とリタード量との関係は、実充填効率Ecによって変化しない。したがって、実充填効率Ecやエンジン負荷に関わらず、必要なトルクリザーブ量を確保することができ、アイドル運転の安定性を向上させることができる。
また、上述の制御装置では、これらの第一トルク低減率A,第二トルク低減率Bのうち、エンジン10から出力されるトルクをより小さくする一方に基づいて実際のアイドル時の点火時期が制御されるため、両方のトルク減少率A,Bを満足する点火時期を設定することが可能となる。したがって、負荷の大きさに関わらず確実にノッキングを抑制しながらトルクリザーブ量を確保することができる。
さらに、上述の制御装置の減算部4dでは、トルク低減率Kpi_IDを所定の減少率αで減少させる演算を実施している。これにより、単位制御周期あたりのトルク低減率Kpi_IDの変化量が減少率αに保持されるため、トルク低減率Kpi_IDの急変(すなわち、点火時期のリタード方向への急変)を抑制することができ、エンジン10のアイドル安定性及びドライバビリティを向上させることができる。
なお、上述の実施形態では、点火時期をリタード方向へ変更するための条件として車両停車時かつアイドル時であることが規定されている。これにより、アイドル時以外や車両走行時には無用な点火時期のリタードを抑制することができ、燃費を改善することができる。
一方、上述の制御装置の加算部4eでは、トルク低減率Kpi_IDを所定の増加率βで増加させる演算を実施している。これにより、単位制御周期あたりのトルク低減率Kpi_IDの変化量が増加率βに保持されるため、トルク低減率Kpi_IDの急変(すなわち、点火時期のアドバンス方向への急変)を抑制することができ、エンジン10の安定性及びドライバビリティを向上させることができる。
また、点火時期の変更時における増加率βの絶対値が減少率αの絶対値よりも大きく設定する(すなわち、|β|>|α|とする)ことにより、例えばアイドル状態から非アイドル状態への移行時におけるリタードからの復帰時間を短縮することができる。つまり、点火時期をMBTに近い点火時期へと素早く移動させることができ、燃費の悪化を抑制することができる。
また、上述の制御装置では、第三トルク低減率C及びエンジン負荷の如何にかかわらないトルク低減量ΔKpi_IDに基づいて第二トルク低減率Bを演算している。これにより、少なくともトルク低減量ΔKpi_IDに対応するトルク量がトルクリザーブ量として確保されることになる。したがって、エンジン負荷の如何にかかわらない量であるトルクリザーブ量を確実に保持することができる。
さらに、第二トルク低減率Bの演算には、基本点火時期SA_Bを基準とした第二リタード量が用いられているため、確実にノッキングを抑制しながらトルクリザーブ量を確保することができる。
また、上述の制御装置の低減量演算部3dで設定,演算されるトルク低減量ΔKpi_IDは、最適点火時期SA_MBTでの点火時に発生する最大トルクを基準として算出されるトルク低減率(すなわち、第一トルク低減率Aや第三トルク低減率Cと同じ基準で定められる低減率)の値を減少させる量として規定される。これにより、トルク低減量ΔKpi_IDに基づいて演算される第二トルク低減率Bと第一トルク低減率Aとを同じ基準で簡単に比較することができ、例えば選択部3eでの比較演算が容易となる。さらに、第二トルク低減率B及び第三トルク低減率Cの次元が同一となるため、第二トルク低減率演算部3bでの演算構成も簡素化することができる。
また、上述の制御装置の低減量演算部3dでは、トルク低減量ΔKpi_IDがエンジン回転数Neに応じた所定値に設定されている。これにより、選択部3eでの比較の対象となる第二トルク低減率Bの値にエンジン10の運転状態を反映させることができ、エンジン10の運転状態に適したトルクリザーブ量を確保することができるとともに、エンジン10のアイドル安定性を向上させることができる。
[4.変形例等]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上記の実施形態では、第二トルク低減率演算部3bでの第二トルク低減率Bの演算に、第三トルク低減率C及びトルク低減量ΔKpi_IDを用いたものを例示したが、このような構成に代えて、あるいは加えて、エンジン10の負荷の如何にかかわらない所定のトルク量を用いて第二トルク低減率Bを演算することが考えられる。
この場合の演算プロセスを図7に例示する。ここでは、上述の実施形態に対応する要素に同一の符号を付して説明を省略する。このエンジンECU1の目標リタード量演算部2では、図2に示すものと比較すると、第二リタード量演算部2fが省略されている。また、トルク低減率演算部3では、第二トルク低減率演算部3b及び低減量演算部3dが省略されている。
第二トルク低減率演算部3b′は、第二トルク低減率Bを設定,演算するものであり、実充填効率演算部2aで演算された実充填効率EcにてMBT(最適点火時期SA_MBT)で点火した場合にエンジン10で発生する最大トルクXを演算する。最大トルクXの値は、例えば図3に示すような関係を考慮して、実充填効率Ec及びエンジン回転数Neに基づいて求めることができる。
また、第二トルク低減率演算部3b′は、負荷によらない大きさのトルクYを演算する。トルクYの値は固定値としてもよいし、あるいはエンジン回転数Neに応じて設定される所定値としてもよい。このトルクYは上述の実施形態のトルク低減量ΔKpi_IDに対応するものであり、ここで設定された大きさのトルクが点火時期のトルクリザーブ量の中に確保されることになる。
さらに、第二トルク低減率演算部3b′は、基本点火時期SA_Bで点火した場合にエンジン10で発生するトルクZを演算する。トルクZの値は例えば実充填効率Ec及びエンジン回転数Neに基づいて求められる。
そして、第二トルク低減率演算部3b′は、以下の式3に従って第二トルク低減率B′を演算する。式3の右辺の分母はMBTで得られる最大トルクであり、分子は基本点火時期でのトルクから保存したいトルクを減算した目標値としてのトルクであるから、この第二トルク低減率B′を上記の第二トルク低減率Bの代わりに用いることができる。
B′=(Z−Y)/X ・・・式3
この演算で得られる第二トルク低減率B′を用いると、選択部3eで第二トルク低減率Bが選択された場合のトルクリザーブ量が上述の実施形態のものよりも小さくなり、すなわち、点火時期がややMBTに近い位置に制御されることになる。一方、この第二トルク低減率B′には負荷によらない大きさのトルクYが含まれているため、実際のトルクリザーブ量がトルクYよりも小さく設定されることはない。
このように、所定のトルクYに基づいて第二トルク低減率B′を演算することで、確保されるトルクリザーブ量を適正化することができる。すなわち、負荷の大小に関わらずトルクリザーブ量の最小値となる所定量のトルクYを保証することが可能となる。このような特性は、特に耐外乱性の高い高負荷時におけるトルクリザーブ量が過大となることを防止できる点で有用であり、燃費を改善することができる。
また、上記の変形例では、トルク低減量ΔKpi_IDの代わりにトルクYを用いたが、エンジン10の負荷の如何にかかわらないパラメータは「トルクの大きさ」に対応するものに限定されない。例えば、トルク低減量ΔKpi_IDの代わりにトルク低減率差を用いてもよいし、トルク低減率比のような無次元の値を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、第一トルク低減率Aと第二トルク低減率Bとを比較して何れか一方をトルク低減率Kpi_ID_0に設定する制御を説明したが、第一トルク低減率A及び第二トルク低減率Bを用いたトルク低減率Kpi_ID_0の設定手法はこれに限定されない。少なくとも、第一トルク低減率A側の演算過程で要求されるトルク値(あるいは第一リタード量)と、第二トルク低減率B側の演算過程で要求されるトルク値(あるいは第二リタード量)とを共に満足するような点火時期を制御目標とすればよい。例えば、第一トルク低減率A及び第二トルク低減率Bの相違量や比率を用いて上述の実施形態のトルク低減率Kpi_ID_0を補正,再設定するような構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、トルク低減率Kpi_IDの変化量に制限を設けたものを例示したが、このような制限は必須の要素ではない。上述の実施形態の減少率α及び増加率βの値(絶対値)が大きいほど点火時期の変化速度が増大し、小さいほど変化が緩慢になる。したがって、エンジン10の特性や他の制御との兼ね合いで減少率α及び増加率βの値を適宜設定すればよい。
また、上述の実施形態では、エンジンECU1で実施される制御のうちアイドル点火時期制御について詳述したが、上記の点火時期制御はアイドル時以外の点火時期制御として適用することも可能である。例えば、減算部4d及び加算部4eに記憶されているトルク低減率Kpi_IDの減算条件及び加算条件を適宜変更することで、アイドル時以外の状態での点火リタードが実施可能である。
なお、上述の実施形態のエンジン10の燃焼形式は任意である。少なくとも、トルクベース制御が実施されるエンジン全般に適用可能であり、リーンバーンエンジンや可変バルブリフト機構を持ったエンジン等にも適用することができる。
1 エンジンECU
2 目標リタード量演算部
2a 実充填効率演算部
2b MBT演算部(最適点火時期演算手段)
2c 目標点火時期演算部(目標点火時期演算手段)
2d 第一リタード量演算部
2e 基本点火時期演算部(基本点火時期演算手段)
2f 第二リタード量演算部
3 トルク低減率演算部
3a 第一トルク低減率演算部(第一トルク低減率演算手段)
3b 第二トルク低減率演算部(第二トルク低減率演算手段)
3c 第三トルク低減率演算部(第三トルク低減率演算手段)
3d 低減量演算部(低減量演算手段)
3e 選択部(選択手段)
4 アイドル点火時期演算部(制御手段)
4a 制御用トルク低減率演算部
4b 実リタード量演算部
4c アイドル点火時期制御部
4d 減算部(減算手段)
4e 加算部(加算手段)
10 エンジン
SA_MBT 最適点火時期
SA_ID 目標点火時期
SA_B 基本点火時期
A 第一トルク低減率
B 第二トルク低減率
C 第三トルク低減率(基準となるトルク低減率)
ΔKpi_ID トルク低減量

Claims (9)

  1. 運転条件に応じてエンジンに最大トルクを発生させる最適点火時期を演算する最適点火時期演算手段と、
    前記エンジンの回転数に応じた目標点火時期を演算する目標点火時期演算手段と、
    前記最適点火時期と前記目標点火時期とに基づき、前記目標点火時期で発生するトルク値の前記最大トルクに対する比を第一トルク低減率として演算する第一トルク低減率演算手段と、
    基準となるトルク低減率に対して前記エンジンの負荷の如何にかかわらない所定の第二トルク低減率を演算する第二トルク低減率演算手段と、
    前記第一トルク低減率及び前記第二トルク低減率に基づき、前記エンジンの点火時期を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記第一トルク低減率と前記第二トルク低減率とのうち、低減率の小さい方を選択する選択手段を備え、
    前記制御手段が、前記選択手段で選択された一方のトルク低減率に基づき、前記エンジンの点火時期を制御する
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記選択手段で選択された前記一方のトルク低減率に基づき、前記エンジンのリタード量を所定の減少率で減少させる減算手段を備え、
    前記制御手段が、前記リタード量に基づいて前記エンジンの点火時期を制御する
    ことを特徴とする、請求項2記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記減算手段が、前記車両の停車時かつ前記エンジンのアイドル時に、前記エンジンのリタード量を所定の減少率で減少させる
    ことを特徴とする、請求項3記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記車両の非停車時又は前記エンジンの非アイドル時に、前記エンジンのリタード量を所定の増加率で増加させる加算手段を備えた
    ことを特徴とする、請求項3又は4記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記所定の増加率の絶対値が、前記所定の減少率の絶対値よりも大きく設定される
    ことを特徴とする、請求項5記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記エンジンの負荷の如何にかかわらない所定のトルク低減量を演算する低減量演算手段を備え、
    前記第二トルク低減率演算手段が、前記所定のトルク低減量に基づいて第二トルク低減率を演算する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記エンジンのノッキングが抑制される所定の点火時期範囲内で最大のトルクが発生する基本点火時期を演算する基本点火時期演算手段を備え、
    前記第二トルク低減率演算手段が、前記最適点火時期に基づくトルク値,前記基本点火時期に基づくトルク値及び前記トルク低減量に基づいて前記第二トルク低減率を演算する
    ことを特徴とする、請求項7記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記所定のトルク低減量が、前記最適点火時期での点火時に発生する前記最大トルクを基準として算出されるトルク低減率の値を減少させる量である
    ことを特徴とする、請求項7又は8記載のエンジンの制御装置。
JP2010288437A 2010-12-24 2010-12-24 エンジンの制御装置 Pending JP2012136962A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010288437A JP2012136962A (ja) 2010-12-24 2010-12-24 エンジンの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010288437A JP2012136962A (ja) 2010-12-24 2010-12-24 エンジンの制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012136962A true JP2012136962A (ja) 2012-07-19

Family

ID=46674574

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010288437A Pending JP2012136962A (ja) 2010-12-24 2010-12-24 エンジンの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012136962A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1089214A (ja) * 1996-09-10 1998-04-07 Nissan Motor Co Ltd エンジンの点火時期制御装置
JP2002130024A (ja) * 2000-10-20 2002-05-09 Nissan Motor Co Ltd 直噴火花点火式内燃機関の制御装置
JP2003269306A (ja) * 2002-03-13 2003-09-25 Nissan Motor Co Ltd エンジンの点火時期制御装置
JP2010169085A (ja) * 2008-12-22 2010-08-05 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1089214A (ja) * 1996-09-10 1998-04-07 Nissan Motor Co Ltd エンジンの点火時期制御装置
JP2002130024A (ja) * 2000-10-20 2002-05-09 Nissan Motor Co Ltd 直噴火花点火式内燃機関の制御装置
JP2003269306A (ja) * 2002-03-13 2003-09-25 Nissan Motor Co Ltd エンジンの点火時期制御装置
JP2010169085A (ja) * 2008-12-22 2010-08-05 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8463533B2 (en) Method and system for pre-ignition control
US8392096B2 (en) Cylinder combustion performance monitoring and control
US8307808B2 (en) Cylinder combustion performance monitoring and control with coordinated torque control
JP5287818B2 (ja) エンジンの制御装置
JP4396748B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5126425B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2005127304A (ja) 内燃機関の制御装置
JP6071370B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009133276A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5299394B2 (ja) エンジンの制御装置
JP2010024963A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5293717B2 (ja) エンジンの制御装置
JP4613872B2 (ja) 制御装置
JP5598374B2 (ja) エンジンの制御装置
JP6156125B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5376171B2 (ja) 車両の出力制御装置
JP5472165B2 (ja) エンジンの制御装置
JP2014234757A (ja) Mbt点火時期演算装置及びこれを用いたエンジンの制御装置
JP5348118B2 (ja) 可変動弁機構の制御装置
JP2012136962A (ja) エンジンの制御装置
WO2009125552A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2011256781A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5333784B2 (ja) 車両の吸入空気量制御装置
JP5598387B2 (ja) エンジンの制御装置
JP6604259B2 (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130815

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130820

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131011

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140415