JP2012136924A - 床スラブ上の床下構造体(2) - Google Patents

床スラブ上の床下構造体(2) Download PDF

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Abstract

【課題】床スラブと床下構造体と床板体とを振動絶縁係合し、しかも低い組み立て簡易で軽量堅牢な床下構造体にすることにより、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高くし、新築建造物、リフォーム建造物に対応する床下構造体を提供する。
【解決手段】床板体100と床スラブ300間に配置の床下構造体200は、床スラブ300両側の梁X間に亘り且つ互いに平行して配置し床板体100を載置支持した複数本の金属製の大引ビーム210又はサブビーム220とからなり、大引ビーム210の長手方向の両側部に、大引ビーム210の下部を載置支持する逆π型のビーム載置座面を有し、一対の座脚の下部に第一制振器500を設け、中央部には第一制振器500及び又は第二制振器600を配置し、場合により大引ビーム210の長手方向の両側部間の中央部に配置の制振器は、増強段設部を介設して床スラブ300上に配置した床スラブ上の床下構造体。
【選択図】図2

Description

コンクリート躯体の梁間に打設した床スラブ(コンクリートスラブ)と床板体との間に床下構造体を振動絶縁接合し、しかも床スラブ厚を構造性能上必要とされる最小の厚さに薄くしたままで或いは簡易な補強手段で剛性を高め、且つ床下構造体の高さをコンパクトに低くすることを可能にして、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高めた画期的な床スラブ上の床下構造体に関するものである。
従来、床下構造体は,例えば、正梁構造のコンクリート躯体を備えた建物では,その床スラブ上に複数の束を立てると共に躯体縁には,大引をアンカー止めし,さらにその大引上に根太をアンカー止めし,根太の上に床板体を敷設するなど一体的に結合した構造となっているため,床板体に加わる振動が,根太と大引と束から床スラブを介して増大し、他の居住空間特に階下の居住空間に大きな振動・騒音となって伝わる。このため床下構造体には前記した振動・騒音に対する制振・遮音対策が必要となっている趨勢にある。
このような趨勢において床下構造体は、床板体から床下構造体を介して他の居住空間に伝わる振動騒音を低減するため、種々の改良を加えた制振・遮音床下構造の開発が進められてきた。
その開発内容は、次の特許文献に記載の例のように、床スラブと前記床板体との間において、床下構造体の内部、前記床下構造体と床板体との間等に、適宜に空間部、空気流通隙間、弾性緩衝体(材)等を配置する等多義に亘っているがこれらの単なる採用によって、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高めようとすると、床スラブから床板体までの高さが大幅に高くなり重量も増大する結果、床スラブも設計上スケールアップするなどの増強体としなければならない。
また特許文献8に紹介の「床スラブ自体を水平面と傾斜面及び段差を組合せて床支持スパン方向のスラブ厚さと形状が異なる変断面したもの」や特許文献9に紹介の「スラブ中央部分の上面又は下面若しくは上・下両面に、厚さが異なる金属板を一体的に付設して床剛性を高め且つ構造断面厚さを変化させたもの」等のように、複雑な施工に多くの材料と時間と費用を必要とする採用し難い構造もある。
一方、床上空間はこの床下構造体に左右されずに居住のための必要な所要高さの空間を確保しなければならない制約を伴う。これらのことから床スラブ及び床下構造体コストの低減が極めて困難なものとなっている。
更に、建造物の長寿命化推進や環境対策の観点から、建築物の改造規制や建築物における床スラブコンクリートのはつり作業及びはつり屑処分等が厳しく規制されている現状では、前記従来床構造から遮音床構造へのリフォームは、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保することを考慮すると極めて困難なものとなっている。
特許第4219653号公報「束石の上に床材を敷設する建物の床改修工法」概要:床スラブ上に束石−木製の大引材−根太材−捨貼り材−フローリング材を順次敷設した床下構造体の床改修工法で、束石、大引材、根太材を再利用し、束石上に高調整具と緩衝材を配置し、根太材の上に捨貼り材、フローリング材を敷設した床改修工法。 特許第2646469号公報「RC構造のマンション等の集合住宅、体育館、事務所ビル、教室等の床構造」概要:コンクリートスラブ等の床基盤と床組材との間に加水分解緩衝材を設け、床組材上に通気手段を備えた捨張材及び仕上材と巾木を設けて床下と室内の空気流通を図った床構造。 第2719550号公報「コンクリート建築物の床構造」概要:コンクリートスラブ上にプラスチックス発泡体を接合し、その上に下面空隙式床下地材と通気性材料と床仕上材を順次張設したコンクリート建築物の床構造。 特開2001−263420号公報「防振脚体および防振ユニット脚体」概要:防振脚体8は、弾性台座と、少なくとも上部側に支持体の螺着用ねじ部が形成された金属製の棒状脚体とから構成し、弾性台座に、棒状脚体の下端部を回転可能に上方から嵌入する凹部を形成する一方、棒状脚体に、脚体下端部の嵌入状態で弾性台座の上面に着座するフランジ体を連設し、このフランジ体またはフランジ体上部の棒状脚体部分と棒状脚体の上端とに、棒状脚体を回転操作するための工具の係止部を形成した防振脚体および防振ユニット脚体。 特開2001−81891号公報「床スラブ上の遮音床構造」概要:各階を仕切り逆梁を一体に突設した水平躯体部分と,鉛直躯体部分と,この逆梁上に,大引と根太よりなる床枠を架設し,この床枠上に床板を敷設し,この床板上に床上空間を,また床板下に床下空間をそれぞれ形成してなる建物において,大引を弾性緩衝体を介して嵌着する金物を一対の立設ガイド片で支持し,前記大引の端縁と前記鉛直躯体部分との間に間隙を形成した遮音床構造。 特開2000−110331号公報「床材の施工方法」概要:床下地の上に複数の床材を接着敷設する床材の施工方法において、厚み0.4〜1.0mmの合成樹脂発泡体両面粘着テープを床下地に100〜350mm間隔で貼り、床材と床材の接合部に位置する床下地に接着剤を上記両面粘着テープより厚く塗布し、その上に床材を敷設する床材の施工方法。 特開平8−4185号公報「建築物の床構造」概要:水平躯体上に突設の逆梁間に大引を架設し、大引の上に根太を介して床材を支持する。大引の端部及び床材の端部と逆大梁との間に間隙を形成し、大引は弾性変形可能なΣ形鋼して遮音性を向上させた建築物の床構造。 特開2006−9249号公報4031469)「変断面コンクリート床スラブ構造」梁と繋がるスラブの端部は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、中央部分は前記最小の厚さよりも厚く形成されており、スラブ下端面は住戸の奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成され、スラブを床支持スパンの全体で見ると水平面と傾斜面及び段差の組合せで床支持スパン方向のスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成として遮音性能を向上させた。 特開2007−77570号公報(登録番号4606282)「金属板(主として鋼板)付き変剛性コンクリート床スラブ」コンクリートスラブの構造断面は構造性能上必要とされる最小の厚さを基本寸法として形成され、少なくともスラブ中央部分の上面又は下面若しくは上・下両面に、厚さが異なる金属板が一体的に付設されて床剛性が高められ、且つ構造断面厚さを変化させて遮音性能が向上した。
本発明は、床スラブと床下構造体と床板体とを振動絶縁係合し、しかも高さの低い組み立て簡易な軽量堅牢な床下構造体にすることにより、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高くし、しかも新築建造物では、床スラブを複雑な断面変化構造にすることなく床スラブの厚みを構造性能上必要とされる最小の厚さに薄くしてコストを大幅に低減可能にし、リフォーム建造物では、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保できる画期的な床スラブ上の床下構造体を提供するものである。
本発明の特徴とするところは、次の(1)〜(6)の通りである。
(1)、建築物の床下構造体において、床板体と床スラブ間に配置の床下構造体は、床スラブ両側の梁間に亘り且つ互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体を介して床板体を載置支持した複数本の金属製の大引ビームからなり、大引ビームの下部と床スラブとの間における大引ビームの長手方向の両側部と両側部間において、前記大引ビームの下部を弾性緩衝体を介して載置支持する逆π型のビーム載置座面を有し、その両側部の各々に上部を装着する一対の座脚を有し、この各座脚の下部にπ型の台座と弾性緩衝体を装着してなる第一制振器を配置したことを特徴とする床スラブ上の床下構造体。
(2)、大引ビームの長手方向の両側部間の中央部に配置の前記第一制振器は、遮音マット又は増打コンクリートで形成した増強段設部を介設して床スラブ上に配置したことを特徴とする前記(2)に記載の床スラブ上の床下構造体。
(3)、建築物の床下構造体において、床板体と床スラブ間に配置の床下構造体は、互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体を介して床板体を載置支持した複数本の金属製の大引ビームからなり、大引ビームの下部と床スラブとの間における大引ビームの長手方向の両側部において、前記大引ビームの下部を弾性緩衝体を介して載置支持する逆π型のビーム載置座面を有しその両側部の各々に上部を装着する一対の座脚を有しこの各座脚の下部にπ型の台座と弾性緩衝体を装着してなる第一制振器を配置し、大引ビームの長手方向の両側部の間に、上部を大引ビームの下面に装着する脚部を有し、脚部の下部に台座と弾性緩衝体を装着してなる第二制振器を配置したことを特徴とする床スラブ上の床下構造体。
(4)、大引ビームの長手方向の両側部の間の中央部に配置する第二制振器は、遮音マット又は増打コンクリートで形成した増強段設部を介設して床スラブ上に配置したことを特徴とする前記(3)に記載の床スラブ上の床下構造体。
(5)、大引ビームを横断面形状が、中空矩形型、チャンネル型、コ字型(C型)、H型、Σ型の何れか一つの型の大引ビームにしてなることを特徴とする前記(1)〜(4)に何れか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
(6)、大引ビームの側面に円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形のうち一つ以上の空気流通用穴を設けたことを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
(7)、前記大引ビームの側部間に、大引ビームの長手方向に沿って互いに平行に複数本の金属製のサブビーム配置し、大引ビーム側面とサブビームの両端部とは着脱可能に接続したことを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一つ記載の床スラブ上の床下構造体。
(8)、大引ビームとサブビームとは、サブビームの両端部の両側に下向きフックを設けると共に大引ビームの肩から側面にかけて切欠部を設け、この切欠部にサブビームのフックを上から挿入して嵌めて着脱可能に接続してなることを特徴とする前記(6)に記載の床スラブ上の床下構造体。
(9)、サブビームを横断面形状が、チャンネル型、Σ型、H型、中間部を窪ませた変形矩形、C型のいずれか一つにしてなることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の床スラブ上の床下構造体。
(10)、前記第一制振器の一対の台座を繋ぎアームで連結支持したことを特徴とする前記(1)〜(9)の何れか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
本発明において弾性緩衝体、の材質は、弾性クッション性があり好ましくは耐圧性や耐振性のある例えばシリコン樹脂や合成樹脂ゴム等の合成樹脂、或いは天然ゴム等の天然樹脂でよい。
本発明において、前記増強段設部は、大引ビームの中央部直下で直交方向に連続した帯状に又は点列する島状に構成するもので、具体的には耐圧性や耐振性のある硬質ゴムマット等の遮音マットや、また床スラブの打設の際に床スラブの中央部と一体的に増打するか又は別途適宜なタイミングで増打する増打コンクリートであり、これで床スラブの厚みを構造性能上必要とされる最小の厚さに薄くしても剛性を高め且つ、上記した床下構造体の本体自信の高さをコンパクトに低くすることを可能にして、全体的に制振性能、遮音性能及び歩行性能を優位に高めるものである。
本発明の床スラブ上の床下構造体は、実施例に具体的な効果を紹介したように、床下構造体の上下を振動絶縁接続部でサンドイッチ式に振動絶縁接合して、床スラブと床板体との間に配置し、しかも床下構造体自体を、高さの低い組み立て簡易な軽量堅牢な構造にし、且つ上記のように増強段設部により剛性と遮音性能を効率よく高めることにより、制振性能、遮音性能及び歩行性能を格段に高くし、しかも新築建造物では、床スラブを薄くしてコストを大幅に低減可能にし、リフォーム建造物では、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保できる画期的な効果を呈する極めて優れた発明である。
本発明において第一制振器と第二制振器を用いた実施例を示す鳥瞰図である。 図1の大引ビームに沿った横断側面図である。 図2の円A内の側面拡大説明図である。 図2の矢視B−Bからの断面説明図である。 図2の矢視C−Cからの断面説明図である。 大引ビームの各種横断面構造例を示す説明図である。 繋ぎアームを省略した第一制振器の例を示す断面説明図である。 図2に増強段設部を付加した横断側面図である。 図8の矢視D−Dからの断面説明図である。 チャンネル型の大引ビームに沿った横断側面図であり、制振器の全てを第一制振器にし、更に増強段設部を付加した変形例である。 図8の矢視E−Eからの断面説明図である。
発明を実施するための形態を次の実施例と共に詳細に説明する。
本発明の実施例を図1〜図11と共に詳細に説明する。
図1から図7にて示す床スラブ上の床下構造体の例は、床スラブ両側の梁X間に亘り且つ互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体を介して床板体100を載置支持した複数本の金属製の大引ビーム210からなり、大引ビーム210の下部と床スラブ300との間において大引ビームの長手方向の両側部に、前記大引ビームの下部を弾性緩衝体を介して載置支持する逆π型のビーム載置座502を有し、その両側部の各々に上部を装着する一対の座脚を有し、この各座脚の下部に台座と弾性緩衝体を装着してなる第一制振器500を配置し、大引ビームの長手方向の両側部の間に、上部を大引ビームの下面に装着する脚部を有し、脚部の下部に台座と弾性緩衝体を装着してなる第二制振器600を配置し、前記大引ビームの側部間に、大引ビームの長手方向に沿って互いに平行に複数本の金属製のサブビーム220を配置し、大引ビーム側面とサブビームの両端部とは着脱可能に接続した、床スラブ上の床下構造体である。
図1から図6において、建築物の床下構造体は、床スラブ300の上に配置の床下構造体200と床板体100とその間を振動絶縁する上振動絶縁接続部と下振動絶縁接続部とからなる。
床板体100は、木製のパーチクルボード(各種ベニヤ合板やチップ圧縮板等の床パネル等)101とその上に配設した木製の無垢板、化粧合板等のフロ−リング102(無垢板、化粧合板等)とからなる。
床下構造体200は、大引ビーム210とサブビーム220とを着脱可能に接合してなる。
サブビーム220は、床板体100への載置負荷及び又は大引ビーム210の平行配置の間隔値次第で不要にしてよい。
大引ビーム201は、複数本を平行に床スラブ300の上面両端部即ち梁部X間に渡らせた金属製で、断面形状がほぼ矩形の中空建材で構成し、その側面に複数の円形の空気流通用穴211を切欠成形し、また側面の肩部にはサブビーム220との接合用の鍵型「の切欠部212を設けである。
大引ビームの横断面形状は図6の(1)〜(5)に示すように上記の矩形他に、チャンネル型210A、C型(コ字型)210B、H型210C、中間部を窪ませた変形矩形210D、Σ型210E等にしてもよい。
サブビーム220は、大引ビームの配置間隔や床板体自体の強度或いは床板体の上面への荷重分布等によっては配置する必要がない場合がある。本例では、大引ビーム210の側面の上部間に平行に配置し、下面開放型の横断面がコ字状の金属製建材であり、その両側には左右に下向きの接合用のフック221を一体的に形成してある。サブビーム220の横断面形状は上記のコ字型の他に、大引ビーム同様にチャンネル型、Σ型、H型、中間部を窪ませた変形矩形、C型等にしてもよい。
大引ビーム210とサブビーム220との接合は、大引ビーム210の鍵型「の切欠部212にサブビーム220のフック221を上から挿入して着脱可能に嵌めて接続する。
本例の床スラブ上の床下構造体において、床下構造体200は、大引ビーム210とその高さ内にサブビーム220を組み立て施工が簡便な着脱可能に配置した構成にしたので床下構造体200の高さは大引ビーム210の高さに集約されて低い軽量堅牢な構造体にすることができる。このため新築建造物では、床スラブ200の軽量化を可能にし、床スラブ300のコストを大幅に低減可能にし、リフォーム建造物では、床スラブ200を現状維持可能にして施工できる等の画期的に優れた効果を呈するものである。
大引ビーム210と床板体100との上振動絶縁接続部は、耐圧防振性の板状の合成ゴム樹脂製の弾性緩衝体410で構成してある。防振ゴム410は図1では大引ビーム210の端部側を一部省略して下の大引ビーム210の上面が見えるようにしてある。弾性緩衝体410は上面フラット411に面取りとしてパーティクルやフローリング等からなる床板体100と接合させる。これで床板体100施工性を向上させ且つ非干渉的に載置支持して制振性と歩行性を向上させる。
大引ビーム210の下部と床スラブ300上面との下振動絶縁接続部は、第一制振器500と第二制振器600とからなる。
第一制振器500は、大引ビーム210の長手方向の両側部に配置され、前記大引ビーム210の下部を合成樹脂ゴム製の弾性緩衝体501を介して載置支持する逆π型のビーム載置座502を有し、ビーム載置座面502の両側アーム部502aの各々に上部をナット503で螺合装着する一対の座脚504を有し、この各座脚504の下部にナット505で螺合装着し床スラブ300との間に合成樹脂ゴム製の弾性緩衝体506を接着接合したπ型台座507を有してなる。
ビーム載置座面502はナット503、505の適宜な締め位置調節により大引ビーム210支持高さ位置を調節してビーム間のレベリングを行うと同時に床スラブ300上面との不陸を皆無にする。
第一制振器500は、大引ビーム210からの左右上下等の振動を弾性緩衝体501、ビーム載置座面502、一対の座脚504、π型台座506、弾性緩衝体507、を順次介して分散暫減し吸収緩衝して床スラブ300への伝播を防止すると共に床下構造体200と床板体100の全荷重及び振動を均等に分散負担して吸収緩衝し床スラブ300を介して梁Xへの荷重負荷を大幅に軽減する。
第一制振器500のビーム載置座面502は逆π型載置金物にしたため、その中央部の凹部に耐圧合成ゴム製の弾性緩衝体501を介して大引ビーム210の下部を載置支持して優れた弾性クッション機能を発揮する。台座506はπ型受け座としその中央部の凹部内で座脚504の下部とナット505で螺合接続したため優れた弾性クッション機能を有する。
また本例において、床スラブ300と大引ビーム210下面との間の隙間を若干大きくした場合、又は床板体100上に重量物を載置する場合を想定して、前記制振・遮音装置の一対の台座506は、繋ぎアーム510で連結して所謂4リンク支持構造体にしてある。これで座屈や末広がり変形等を確実に防止し制振機能及び遮音機能そして歩行性能を正常に維持することができる。
床スラブ300と大引ビーム210下面との間の隙間を小さくした場合、又は床板体100上に重量物を載置することがない場合は、図7に示すように繋ぎアームを省略してもよい。
第二制振器600は、大引ビーム210の両側部の間に所定間隔で配置され、大引ビームの下面に上部をナット601で螺合接合により装着するボルト状の脚部602を有し、脚部602の下部にナット603での螺合接合により装着し床スラブ300との間にサイド孔604からシリコン樹脂製の弾性緩衝体605を充填介設した断面π型の台座606を有してなる.この第二制振器600は、ナット601とナット603の適宜な締め位置調節により大引ビーム210支持高さ位置を調節してビーム間のレベリングを行うと同時に床スラブ300上面との不陸を皆無にし前記制振・遮音装置500への荷重負担を軽減する。また大引ビーム210の中間部を載置支持して左右上下振動を吸収緩衝して床スラブへの騒音と振動の伝播を防止すると共に、大引ビーム210の撓みを防止する。
また第二制振器600は、大引ビーム210の撓みを防止すると共に床板体300から弾性緩衝体410を介して大引ビームに伝わる微小な上下左右等の揺動を断面π型の台座606と弾性緩衝体605により吸収緩衝して歩行性能を向上させると同時に床スラブへの振動や騒音の伝播を遮断するものである。また床スラブ300と大引ビーム210との間に空気が流通する広域の隙間を形成し、前記大引ビーム210の空気流通用穴211と共に大引ビーム210間の空間を連通開放して振動や騒音及び反響音を低減してその共鳴や増幅を防止する。
大引ビーム210の空気流通用穴211は、設備配管、空調用の空気口等として活用することができる。
このようにして、本例の床スラブ上の床下構造体は、床スラブ上に床下構造体と床板体を非干渉型にして配置したため、床下構造体の本体自信の高さをコンパクトに低くすることを可能にして、全体的に制振性能、遮音性能及び歩行性能を著しく向上させる。
図8と図9に示す例は、図2例に増強段設部700bを付加した横断側面図である。図9は、図8の矢視D−Dからの断面説明図である。
図8と図9において、大引ビーム210A(図6の(1)に示すものと同一)の長手方向の両側部間の中央部に配置の前記第二制振器600は、増強段設部である遮音マット700aを介設して床スラブ上に配置してある。尚、図8に示す大引ビーム210Aには円形の空気流通用穴を設けているが省略して図示していない。
図10に示す例は、制振器の全てを第一制振器500にした変形例であり、チャンネル型の大引ビーム210A(図6の(1)に示すものと同一)に沿った横断側面図で示す。尚、図10に示す大引ビーム210Aには円形の空気流通用穴を設けているが省略して図示していない。
図11は、図10の矢視E−Eからの断面説明図である。
図10と図11において、床板体100と床スラブ300間には、互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体410を介して床板体100を載置支持した複数本の金属製のチャンネル型の大引ビーム210Aを設ける。大引ビーム210Aの下部と床スラブ300との間において、大引ビーム210Aの長手方向の両側部と両側部間の中央部には、第一制振器500を配置してある。
第一制振器500は前例と同様の構成であり、その詳細な説明を省力する。大引ビームの長手方向の両側部間の中央部に配置の第一制振器500は、床スラブ300上に増強段設部である増打コンクリート700bを介設して配置してあり、π型台座506と増打コンクリート700b間にシリコン製又は耐圧耐振ゴム製の弾性緩衝体507Aを介設してある。
増強段設部は、大引ビームの中央部直下で直交方向に連続した帯状に又は断続的に配列した島状に構成し、前記各例のように耐圧性や耐振性のある硬質ゴムマット等の遮音マット700aや、また床スラブの打設の際に床スラブの中央部と一体的に増打するか又は別途適宜なタイミングで増打する増打コンクリート700b等である。これで床スラブの厚みを構造性能上必要とされる最小の厚さに薄くしても、この増強段設部により全体の剛性をバランス良く高め全体的に制振性能、遮音性能及び歩行性能を優位に高める。
本発明は、前述に紹介したすぐれた効果によって、次に紹介するように建造物の建築施工産業界への貢献は多大なものがあります。
〇二重床でありながら床スラブ厚は、従来200mm以上に設計施工していたものを約138mmの低厚化を実現し、更に増強段設部により薄厚の床スラブ全体の剛性をバランス良く高め、○振動を伝える媒体となる束を皆無にして音の伝播を低減し、○遮音性能を床スラブ厚に頼ることなく、構造的には必要のないスラブ厚の増加を防ぎ、建物全体の軽量化が図れ、○躯体工事費は、床スラブを135mmと軽量化にした場合、建造物の柱、梁、基礎等も削減でき躯体コストは均質単板スラブ(厚み150mm,180mm,200mm)やポイドスラブ、アンポイドPCスラブとの比較で8〜30%の低減が図れ、○設備工事費は、設備配線、配管の躯体内への打ち込みを無くし異業種の共同作業を削減し、○設備配線、配管の露出配置が可能で、メンテナンスが容易に行え、その労力、時間、費用を軽減しコスト面の負担を大きく軽減し、○躯体と居住床を分離する発想は、メンテナンスや生活環境の変化にも容易に対応することができるため、国土交通省が進めるSI住宅そのものの発想と共通し長期優良住宅(建設寿命=躯体寿命)の発想に繋がり、○このようにして高耐久性住宅化の実現は建物を長く安全に活用でき、ライフサイクルコストの削減に大きく貢献する。
100:床板体
101:パーチクルボード
102:フロ−リング
200:床下構造体
210:大引ビーム
220:サブビーム
211:空気流通用穴
212:接合用の切欠部
221:接合用のフック
300:床スラブ
500:第一制振器
600:第二制振器
700a,700b:増強段設部

Claims (10)

  1. 建築物の床下構造体において、床板体と床スラブ間に配置の床下構造体は、床スラブ両側の梁間に亘り且つ互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体を介して床板体を載置支持した複数本の金属製の大引ビームからなり、大引ビームの下部と床スラブとの間における大引ビームの長手方向の両側部と両側部間において、前記大引ビームの下部を弾性緩衝体を介して載置支持する逆π型のビーム載置座面を有し、その両側部の各々に上部を装着する一対の座脚を有し、この各座脚の下部にπ型の台座と弾性緩衝体を装着してなる第一制振器を配置したことを特徴とする床スラブ上の床下構造体。
  2. 大引ビームの長手方向の両側部間の中央部に配置の前記第一制振器は、遮音マット又は増打コンクリートで形成した増強段設部を介設して床スラブ上に配置したことを特徴とする請求項1に記載の床スラブ上の床下構造体。
  3. 建築物の床下構造体において、床板体と床スラブ間に配置の床下構造体は、互いに平行して配置し上面に弾性緩衝体を介して床板体を載置支持した複数本の金属製の大引ビームからなり、大引ビームの下部と床スラブとの間における大引ビームの長手方向の両側部において、前記大引ビームの下部を弾性緩衝体を介して載置支持する逆π型のビーム載置座面を有しその両側部の各々に上部を装着する一対の座脚を有しこの各座脚の下部に台座と弾性緩衝体を装着してなる第一制振器を配置し、大引ビームの長手方向の両側部の間に、上部を大引ビームの下面に装着する脚部を有し、脚部の下部にπ型の台座と弾性緩衝体を装着してなる第二制振器を配置したことを特徴とする床スラブ上の床下構造体。
  4. 大引ビームの長手方向の両側部の間の中央部に配置する第二制振器は、遮音マット又は増打コンクリートで形成した増強段設部を介設して床スラブ上に配置したことを特徴とする請求項3に記載の床スラブ上の床下構造体。
  5. 大引ビームを横断面形状が、中空矩形型、チャンネル型、コ字型(C型)、H型、Σ型の何れか一つの型の大引ビームにしてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
  6. 大引ビームの側面に円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形のうち一つ以上の空気流通用穴を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
  7. 前記大引ビームの側部間に、大引ビームの長手方向に沿って互いに平行に複数本の金属製のサブビーム配置し、大引ビーム側面とサブビームの両端部とは着脱可能に接続したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
  8. 大引ビームとサブビームとは、サブビームの両端部の両側に下向きフックを設けると共に大引ビームの肩から側面にかけて切欠部を設け、この切欠部にサブビームのフックを上から挿入して嵌めて着脱可能に接続してなることを特徴とする請求項6に記載の床スラブ上の床下構造体。
  9. サブビームを横断面形状が、チャンネル型、Σ型、H型、中間部を窪ませた変形矩形、C型のいずれか一つにしてなることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の床スラブ上の床下構造体。
  10. 前記第一制振器の一対のπ型の台座を繋ぎアームで連結支持したことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の床スラブ上の床下構造体。
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