JP2012122315A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、コンクリート躯体の床スラブ(コンクリートスラブ)と床下構造体と床板体を振動絶縁接合し、しかも床下構造体の高さをコンパクトに低くすることを可能にして、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高めた画期的な非干渉型の二重床構造体に関するものである。
従来、床構造体は、例えば正梁構造のコンクリート躯体を備えた建物では、その床スラブ上に複数の束を立てると共に躯体縁には、大引をアンカー止めし、さらにその大引上に根太をアンカー止めし、根太の上に床板体を敷設するなど一体的に結合した構造となっているため、床板体に加わる振動が、根太と大引と束から床スラブを介して増大し、他の居住空間特に階下の居住空間に大きな振動・騒音となって伝わる。このため床構造体には前記の振動・騒音に対する制振・遮音対策が必要となっている。
このような背景において、床板体から床下構造体を介して他の居住空間に伝わる振動・騒音を低減するため、種々の改良を加えた制振・遮音床下構造の開発が進められてきた。
その開発内容は、次の特許文献1〜特許文献7に記載の例のように、床スラブと前記床板体との間において、床下構造体の内部、前記床下構造体と床板体との間等に、適宜に空間部、空気流通隙間、弾性緩衝板(材)等を配置する等多義に亘っているが、これらの単なる採用によって、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高めようとすると、床スラブから床板体までの高さが大幅に高くなり重量も増大する結果、床スラブも設計上スケールアップするなどの増強体としなければならない。一方、床上空間はこの床構造体に左右されずに居住のための必要な所要高さの空間を確保しなければならない制約を伴う。これらのことから床スラブ及び床構造体コストの低減が極めて困難なものとなっている。
さらに、建造物の長寿命化推進や環境対策の観点から、建築物の改造規制や建築物における床スラブコンクリートのはつり作業及びはつり屑処分等が厳しく規制されている現状では、前記従来床構造から遮音床構造へのリフォームは、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保することを考慮すると極めて困難なものとなっている。
さらに、建造物の長寿命化推進や環境対策の観点から、建築物の改造規制や建築物における床スラブコンクリートのはつり作業及びはつり屑処分等が厳しく規制されている現状では、前記従来床構造から遮音床構造へのリフォームは、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保することを考慮すると極めて困難なものとなっている。
本発明は、床スラブと床下構造体と床板体とを振動絶縁係合し、しかも高さの低い組み立て簡易な軽量堅牢な床下構造体にすることにより、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高くし、しかも新築建造物では、床スラブを薄くしてコストを大幅に低減可能にし、リフォーム建造物では、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保できる画期的な非干渉型二重床構造体を提供するものである。
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる床構造体を提案するものであって、本発明に係る非干渉型二重床構造体は、床スラブ上に大引ビームを適当間隔おきに並列配置し、この大引ビームの上に床板体を敷設した床構造体において、前記大引ビームは、その長さ方向両端が弾性制振座を介して床スラブ上に支持され、この大引ビームの長さ方向の両端間における底面と床スラブとの間には、この大引ビームの底面と床スラブとの間に挟まれる弾性樹脂を備えた帯状制振部が設けられた構成となっている。
なお、上記本発明の床構造体を実施する場合、前記帯状制振部は、大引ビームの長さ方向に沿った左右一対のガイドスポンジと、この左右一対のガイドスポンジ間で大引ビームの底面と床スラブとの間に充填された弾性樹脂で構成することができる。
又、前記大引ビームの上面には、凸面部を大引ビーム長さ方向に沿って形成し、前記弾性緩衝板の下面には、前記大引ビームの凸面部に嵌合する横ずれ防止用の凹面部を形成することができる。
さらに、隣り合う大引ビーム間には、両端が大引ビームに対して着脱自在に連結されたサブビームを複数本互いに平行に架設することができる。この場合、前記サブビームの両端には下向きのフックを設け、大引ビームのサブビーム連結箇所には、その側面から肩にかけて切欠部を設け、この切欠部にサブビームのフックを上から下向きに嵌合係止させることができる。
大引ビームとしては、中空角形断面の型材を使用することができる。又、大引ビームには、この大引ビームを横断貫通する空気流通用穴を設けることができる。サブビームとしては、開放端が下向きのコ字形断面のものや中空角形断面のものを使用することができる。又、大引ビームの上面と床板体との間には、弾性緩衝板を介装することができる。
本発明の非干渉型二重床構造体は、実施例に具体的な効果を紹介したように、床スラブと床板体との間の床下構造体を床スラブに対して振動絶縁接続部を介して配置し、しかも床下構造体自体を、高さの低い組み立て簡易な軽量堅牢な構造にすることにより、制振性能、遮音性能及び歩行性能を高くし、更に新築建造物では、床スラブを薄くしてコストを大幅に低減可能にし、リフォーム建造物では、既成の床スラブを活かし且つ必須の床上居住空間を確保できる画期的な効果を呈する優れものである。
以下、本発明の実施例を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る非干渉型二重床構造体は、床スラブ1の上に配置の床下構造体2、床板体3、これらの間を振動絶縁する上振動絶縁接続部4、及び下振動絶縁接続部5から構成されている。床板体3は、木製のパーチクルボード(各種ベニヤ合板やチップ圧縮板等の床パネル等)6と、その上に配設した木製の無垢板、化粧合板等のフロ−リング材7から構成されている。
本発明に係る非干渉型二重床構造体は、床スラブ1の上に配置の床下構造体2、床板体3、これらの間を振動絶縁する上振動絶縁接続部4、及び下振動絶縁接続部5から構成されている。床板体3は、木製のパーチクルボード(各種ベニヤ合板やチップ圧縮板等の床パネル等)6と、その上に配設した木製の無垢板、化粧合板等のフロ−リング材7から構成されている。
床下構造体2は、大引ビーム8とサブビーム9とを着脱可能に接合してなる。大引ビーム8は、断面形状がほぼ矩形の金属製の中空建材からなるもので、その上面には凸面部10が大引ビーム長さ方向に沿って形成され、側面には大引ビーム長さ方向に複数の空気流通用穴11が切欠成形され、さらに側面の肩部にはサブビーム9との接合用の切欠部12が設けられている。この大引ビーム8は、複数本が互いに平行に床スラブ1の上に配置されているが、その各大引ビーム8の両端は、床スラブ1を支持している要部梁13の上側に位置している。前記空気流通用穴11は、円形のものを示しているが、楕円形であっても良いし、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形の穴であっても良い。
サブビーム9は、コ字状断面の金属製建材を下側開放向きに使用したもので、その長さ方向の両端には、左右一対の下向きの接合用のフック14が一体に形成されている。このサブビーム9は、隣り合う大引ビーム8の側面の上部間に互いに平行に配置され、前記左右一対の下向きの接合用のフック14を大引ビーム8側の切欠部12に上から挿入することにより、両端が大引ビーム8に対し着脱可能に連結されている。
上記の大引ビーム8に対するサブビーム9の着脱可能な連結構造によって、前記床下構造体2は、組み立て施工が簡便であるばかりでなく、床下構造体2の高さは、大引ビーム8の高さの範囲内に収まり、高さの低い軽量堅牢な構造体とすることができる。このため新築建造物では、床スラブ1の軽量化とコストを大幅低減が可能になり、リフォーム建造物では、環境対策上、床スラブ1を現状維持可能にして施工できる等の画期的に優れた効果を呈するものである。
床下構造体2と床板体3との間の上振動絶縁接続部4は、防振ゴムからなる弾性緩衝板15で構成されている。この弾性緩衝板15の下面には、横ずれ防止用の凹面部15aが形成され、この凹面部15aが大引ビーム8の上面の凸面部10に嵌合して接着接合され、この弾性緩衝板15のフラットな上面15bに床板体3の下面が接着されている。この上振動絶縁接続部4の存在により、大引ビーム8は、載置された床板体3を非干渉的に支持して、床板体3の制振性と歩行性を向上させている。
床下構造体2と床スラブ1との間の下振動絶縁接続部5は、大引ビーム8の長さ方向の両端部の下面に設けた耐圧ゴム製の弾性制振座16と、この両端の弾性制振座16間の大引ビーム8の下面全長に設けた帯状シーリング制振部17とで構成されている。弾性制振座16は、縦断面が逆π形のもので、その上面の凹部16aに調整用ゴム板16bを介して大引ビーム8の端部の下部を嵌入し、下面が床スラブ1に接合される。帯状シーリング制振部17は、大引ビーム8の底面と床スラブ1との間に、大引ビーム8の長さ方向に沿った2本のガイドスポンジ18a,18bを所定間隔で互いに平行に配設すると共に、その間にシリコン質の弾性樹脂19を充填して、床スラブ1に接合したものである。
以上の実施例の構成によれば、以下に示す優れた効果を確実に得ることができた。
即ち、上記実施例の非干渉型二重床構造体において、床下構造体2の大引ビーム8は、上振動絶縁接続部4である弾性緩衝板15を介して、そのフラットな上面15bに載置された床板体3を支持するので、床板体3の敷設施工性を向上させ且つ非干渉的に床板体3を支持して制震性を向上させると共に、大引ビーム8は、その両端が、下振動動絶縁接続部5の耐圧ゴム製の弾性制振座16を介して床スラブ1に非干渉的に接合され、床下構造体2と床板体3の全荷重を均等に分散負担して吸収緩衝すると共に振動を分散吸収緩衝することができる。
即ち、上記実施例の非干渉型二重床構造体において、床下構造体2の大引ビーム8は、上振動絶縁接続部4である弾性緩衝板15を介して、そのフラットな上面15bに載置された床板体3を支持するので、床板体3の敷設施工性を向上させ且つ非干渉的に床板体3を支持して制震性を向上させると共に、大引ビーム8は、その両端が、下振動動絶縁接続部5の耐圧ゴム製の弾性制振座16を介して床スラブ1に非干渉的に接合され、床下構造体2と床板体3の全荷重を均等に分散負担して吸収緩衝すると共に振動を分散吸収緩衝することができる。
さらに、大引ビーム8の両端間の下面の全長に設けられた帯状シーリング制振部17により、床板体3から大引ビーム8に伝わる上下左右等の多方向からの揺動を受けても、床スラブ1の不陸に追従して緩衝吸収し、床板体3上での歩行性能を向上させると同時に、床スラブ1への振動や騒音の伝播を遮断することができる。又、帯状シーリング制振部17を構成するために採用したガイドスポンジ18a,18bは、充填する弾性樹脂19の重点領域を確定するだけでなく、空気振動を緩衝し、且つ充填した弾性樹脂19を、粉塵気体や高温空気或いは低温空気から保護して、その劣化を長期にわたって防止するシーリング効果をもたらし、帯状シーリング制振部17の制振機能と遮音機能を良好に維持するのである。
なお、大引ビーム8の側部に設けられた空気流通用穴11は、大引ビーム8間の空間を連通開放して振動や騒音及び反響音を低減し、共鳴や増幅を防止する。又、この空気流通用穴11は、設備配管、空調用の空気口等として活用することもできる。
以上のように、本実施例の非干渉型二重床構造体は、床スラブ1上に床下構造体2と床板体3を、振動の非干渉型に接合して配置したものであり、制振性能、遮音性能及び歩行性能を著しく向上させることができるが、その派生効果を列記すると次のようになる。
○二重床でありながら約138mmからの低床化を実現できる。
○振動を伝える媒体となる束を皆無にして音の伝播を低減できる。
○遮音性能を床スラブ厚に頼ることなく、構造的には必要のないスラブ厚の増加を防ぎ、建物全体の軽量化が図れる。
○躯体工事費は、床スラブを135mmと軽量化した場合、建造物の柱、梁、基礎等も削減でき、躯体コストは均質単板スラブ(厚み150mm、180mm、200mm)やポイドスラブ、アンポイドPCスラブとの比較で8〜30%の低減が図れる。
○設備工事費は、設備配線、配管の躯体内への打ち込みを無くして異業種の共同作業を削減できる。
○設備配線、配管の露出配置が可能で、メンテナンスが容易に行え、その労力、時間、費用を軽減し、コスト面の負担を大きく軽減できる。
○躯体と居住床を分離する発想は、メンテナンスや生活環境の変化にも容易に対応することができるため、国土交通省が進めるSI住宅そのものの発想と共通し、長期優良住宅(建設寿命=躯体寿命)の発想に繋がる。
○以上のことから高耐久性住宅化の実現が可能になり、建物を長く安全に活用でき、ライフサイクルコストの削減に大きく貢献する。
○二重床でありながら約138mmからの低床化を実現できる。
○振動を伝える媒体となる束を皆無にして音の伝播を低減できる。
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○躯体工事費は、床スラブを135mmと軽量化した場合、建造物の柱、梁、基礎等も削減でき、躯体コストは均質単板スラブ(厚み150mm、180mm、200mm)やポイドスラブ、アンポイドPCスラブとの比較で8〜30%の低減が図れる。
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○躯体と居住床を分離する発想は、メンテナンスや生活環境の変化にも容易に対応することができるため、国土交通省が進めるSI住宅そのものの発想と共通し、長期優良住宅(建設寿命=躯体寿命)の発想に繋がる。
○以上のことから高耐久性住宅化の実現が可能になり、建物を長く安全に活用でき、ライフサイクルコストの削減に大きく貢献する。
本発明の非干渉型二重床構造体は、正梁構造の床スラブを有する建物の床を二重構造とする場合に、その床の制振性能、遮音性能、歩行性能を高めることができる、施工の簡便な手段として活用できる。
1 床スラブ
2 床下構造体
3 床板体
4 上振動絶縁接続部
5 下振動絶縁接続部
6 パーチクルボード
7 フロ−リング材
8 大引ビーム
9 サブビーム
10 凸面部
11 空気流通用穴
12 サブビーム接続用の切欠部
13 要部梁
14 フック
15 弾性緩衝板
15a 凹面部
16 弾性制振座
17 帯状シーリング制振部
18a,18b ガイドスポンジ
19 弾性樹脂
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16 弾性制振座
17 帯状シーリング制振部
18a,18b ガイドスポンジ
19 弾性樹脂
Claims (6)
- 床スラブ上に大引ビームを適当間隔おきに並列配置し、この大引ビームの上に床板体を敷設した床構造体において、前記大引ビームは、その長さ方向両端が弾性制振座を介して床スラブ上に支持され、この大引ビームの長さ方向の両端間における底面と床スラブとの間には、この大引ビームの底面と床スラブとの間に挟まれる弾性樹脂を備えた帯状制振部が設けられている、非干渉型二重床構造体。
- 前記帯状制振部は、大引ビームの長さ方向に沿った左右一対のガイドスポンジと、この左右一対のガイドスポンジ間で大引ビームの底面と床スラブとの間に充填された弾性樹脂で構成されている、請求項1に記載の非干渉型二重床構造体。
- 前記大引ビームの上面には、凸面部が大引ビーム長さ方向に沿って形成され、前記弾性緩衝板の下面には、前記大引ビームの凸面部に嵌合する横ずれ防止用の凹面部が形成されている、請求項1又は2に記載の非干渉型二重床構造体。
- 隣り合う大引ビーム間には、両端が大引ビームに対して着脱自在に連結されたサブビームが複数本互いに平行に架設されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の非干渉型二重床構造体。
- 前記サブビームの両端には下向きのフックが設けられ、大引ビームのサブビーム連結箇所には、その側面から肩にかけて切欠部が設けられ、この切欠部にサブビームのフックが上から下向きに嵌合係止されている、請求項4に記載の非干渉型二重床構造体。
- 前記大引ビームの上面と前記床板体との間には、弾性緩衝板が介装されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の非干渉型二重床構造体。
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