JP2012134068A - リチウムイオン二次電池用負極材の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極材を、噴霧乾燥造粒法により、天然黒鉛およびバインダを含む黒鉛粒子を得る造粒工程と、前記黒鉛粒子を、非酸化性雰囲気下で600〜1400℃で焼成する焼成工程と、を含む製造方法で製造する。
【選択図】なし
Description
さらには、粒子形状が鱗状であることでリチウムイオンの吸蔵・放出に関与するエッジ面の存在量が少なくなり、放電負荷特性が悪くなる傾向がある。
例えば、天然黒鉛をジェットミル粉砕することによって、本来保持している黒鉛結晶構造を破壊せずに所定の粒度まで粉砕することで、高い充放電容量及び充放電効率を示すことが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2に記載の天然黒鉛の造粒法によって得られる造粒品を負極材として用いた場合であっても、その放電負荷特性及びサイクル特性が十分に満足できない場合がある。
すなわち前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材(以下、単に「負極材」ともいう)の製造方法は、噴霧乾燥造粒法により、天然黒鉛およびバインダを含む黒鉛粒子を得る造粒工程と、前記黒鉛粒子を、非酸化性雰囲気下に600℃〜1400℃の温度範囲で焼成処理する焼成工程と、を含む。
液相中での造粒処理ではなく、気相中で噴霧乾燥により黒鉛粒子を造粒した後、これを焼成処理することで、高容量で、放電負荷特性及びサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を構成可能なリチウムイオン二次電池用負極材を効率よく製造することができる。これは例えば、気相中で造粒処理されることで、均一な粒子径及び粒子形状を有した黒鉛粒子が得られるためと考えることができる。
前記天然黒鉛は、鱗片状または鱗状の天然黒鉛であれば特に制限されない。鱗片状または鱗状の天然黒鉛は、鉱山から採掘された塊状の天然黒鉛を粉砕することにより得ることができる。天然黒鉛の粉砕方法は、特に制限されず公知の方法から適宜選択することができる。具体的には例えば、ローラーミル、回転ディスクミル、ジェットミル、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、インパクトクラッシャ等を挙げることができる。
尚、体積平均粒子径は、例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、SALD−3000)を用いて測定することができる。
精製処理の方法は特に制限されず、通常用いられる精製処理方法から適宜選択することができる。例えば、浮遊選鉱、電気化学処理、薬品処理等を挙げることができる。
天然黒鉛およびバインダを含む黒鉛粒子は、後述するように非酸化性雰囲気下で焼成処理されるが、前記バインダは該焼成処理によって炭素化可能であることが好ましい。上記炭素化可能なバインダとしては、通常用いられるバインダを特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、石炭系ピッチ材料、石油系ピッチ材料、合成ピッチ、タール系材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
中でも、電池容量、放電負荷特性及びサイクル特性の観点から、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ビニル系樹脂、およびセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
バインダは1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
天然黒鉛/炭素質物質が85/15以上であることで電子伝導性が向上する傾向にある。一方、天然黒鉛/炭素質物質が99.0/0.1以下であることで、黒鉛重量当たりの放電容量が向上する傾向にある。
前記噴霧乾燥造粒法としては、気相中で黒鉛粒子を造粒形成可能な方法であれば、特に制限されない。本発明における噴霧乾燥造粒法は、電池容量、放電負荷特性及びサイクル特性の観点から、流動層造粒法又はスプレードライ法であることが好ましい。
所望される造粒物(黒鉛粒子)の二次粒子径は、体積平均粒子径として、10μm〜40μm程度、更に好ましくは15μm〜35μm程度である。二次粒子径の制御は、バインダ溶液の噴霧速度、ロータ回転速度、給気風量、乾燥温度等を制御することにより行うことができる。
例えば、入口温度70〜120℃、出口温度30〜80℃、給気風量15〜55m3/min、ロータ回転速度300〜600min−1とすることができる。
前記流動層造粒法には、当該技術分野で通常用いられる装置を特に制限なく適用することができる。具体的には例えば、流動層造粒装置「MP―01D型」(株式会社パウレック社製)等を用いて流動層造粒法を行うことができる。
スプレードライ法で調整した造粒物の粒子径は、後述する焼成処理後もほぼ維持されるため、造粒物を焼成処理して得られるリチウムイオン二次電池用負極材の粒子径制御と、粒径分布の均一性の観点から、スプレー方式としてノズル式を用いることが好ましい。
前記スプレードライ法には、当該技術分野で通常用いられる装置を特に制限なく適用することができる。具体的には例えば、スプレードライヤー(大川原化工機社製、CL−8i)等を用いてスプレードライ法を行うことができる。
また黒鉛粒子を粒状と定義する好ましい指標としては、黒鉛粒子の短径に対する長径の比(長径/短径)が5以下であることを挙げることができる。ここで黒鉛粒子の長径と短径は、黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(×100倍)から求める。観察される1つの黒鉛粒子の投影像の外周に外接する平行な2本の接線であって、その距離が最大となる接線m1及び接線m2を選択し、この接線m1及び接線m2の間の距離を黒鉛粒子の長径とする。また前記黒鉛粒子の投影像上で、前記接線m1及び接線m2に直交し、黒鉛粒子の外周に外接する2本の平行な接線n1及び接線n2を選択し、この接線n1及び接線n2の間の距離を黒鉛粒子の短径とする。また黒鉛粒子の短径に対する長径の比は、任意の100個の黒鉛粒子を観察し、その短径に対する長径の比の算術平均値として算出される数値を採用する。
尚、ここでいう粒状の定義においては、黒鉛粒子の表面状態は特に制限されず、表面が滑らかであっても、凹凸があってもよく、また粒子内に空隙があってもよい。
600℃未満の温度の焼成処理では、バインダの炭素化が十分に進行せず、得られるリチウムイオン二次電池用負極材の導電性が十分に得られない。また1400℃を超える温度の焼成処理は設備上の負荷が大きく、生産性が低下する。
また焼成処理における昇温速度は特に制限されない。例えば、1〜10℃/分とすることができ、2〜8℃/分であることが好ましい。
また焼成処理は非酸化性雰囲気中で行われる。非酸化性雰囲気は、酸素濃度が5体積%以下であれば、特に制限されず、例えば、窒素、アルゴン等の雰囲気を挙げることができる。
さらに加熱方法としては所望の温度に加熱することができれば特に制限されない。例えば、誘導加熱炉、マッフル炉等を用いて行うことができる。
嵩密度が0.3g/cm3以上であることで、電極形成用の負極材スラリーを高濃度に調製することができ、生産性が向上する。さらに形成された電極(負極)における黒鉛濃度を大きくすることができ、リチウムイオン二次電池の放電容量が向上する。これは例えば、溶剤への濡れ性が良好になるためと考えることができる。
嵩密度は、例えば、噴霧乾燥条件を適宜選択することで制御することができる。
比表面積は、例えば、噴霧乾燥条件を適宜選択することで制御することができる。
尚、BET法で測定される比表面積は、例えば、micromeritics社製のASAP2010を用いて、液体窒素温度での窒素吸着を多点法で測定して算出することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、前記リチウムイオン二次電池用負極材の製造方法によって製造されたリチウムイオン二次電池用負極材の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。その他の成分としては例えば、有機系結着剤や、増粘剤などの各種添加剤等を挙げることができる。
前記製造方法で製造された負極材を含むことで、電池容量、放電負荷特性及びサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を構成することが可能になる。
これらの有機系結着剤は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用できる。また前記有機系結着剤は、前記リチウムイオン二次電池用負極材と有機系結着剤との混合物100質量部に対して1〜20質量部含まれることが好ましい。
増粘剤としては例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどが挙げられる。
添加剤の使用量はリチウムイオン二次電池の特性を低下させない範囲であれば特に限定されないが、前記リチウムイオン二次電池用負極材と添加剤の総量に対して1〜10質量%程度が好ましく、1〜5質量%程度がより好ましい。
前記負極材スラリーは例えば、負極材スラリーを構成する成分を、撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダー等を用いて、攪拌、混練し、さらに必要に応じて粘度を調整することでの調製することができる。
溶剤の使用量はペースト状となる限り特に制限されない。例えば、前記リチウムイオン二次電池用負極材100質量部に対して、通常、60〜150質量部程度、好ましくは60〜100質量部程度である。
さらに上記負極材ペーストの集電体への塗布量は特に制限されない。例えば乾燥塗布量として、5〜15mg/cm2程度が好ましく、7〜13mg/cm2程度がより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用負極を少なくとも備え、さらに正極と電解質(好ましくは、電解液)とを備えて構成される。具体的には例えば、前記リチウムイオン二次電池用負極と正極とをセパレータを介して対向して配置し、電解液を注入することにより得ることができる。
上記正極活物質は特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、リチウム、並びに、鉄、コバルト、ニッケル、およびマンガンから選ばれる1種以上の金属を少なくとも含有するリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。具体的には例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物などが用いられる。
これらのリチウム含有複合酸化物としては、さらに、Al、V、Cr、Fe、Co、Sr、Mo、W、Mn、B、およびMgから選ばれる少なくとも1種の金属で、リチウムサイト、又は、マンガン、コバルト、もしくはニッケル等のサイトを置換したリチウム含有金属複合体も使用することができる。
これらの正極活物質は、1種単独、または2種以上を混合して使用することができる。
前記正極は、上記の正極活物質と、有機系結着剤と、前記有機系結着剤を溶解または分散可能な溶剤と、必要に応じて添加される添加剤とを含む正極材スラリーを集電体の少なくとも一方の面に塗布し、次いで溶剤を乾燥除去し、必要に応じて圧延して作製することができる。
有機系結着剤、溶剤、添加剤、集電体等は前記リチウムイオン二次電池用負極の項で例示したものを同様に用いることができる。
また前記電解質の濃度は特に限定されない。例えば、電解液1Lに対して電解質0.3〜5モルであることが好ましく、0.5〜3モルであることがより好ましく、0.8〜1.5モルであることが特に好ましい。
有機溶剤は、単独で用いてもよく2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
(流動層造粒法)
バインダとしてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製「1220」)を用い、そのバインダ48gをイオン交換水1500gに溶解させることによりバインダ溶液を得た。前記バインダ溶液と、体積平均粒子径7.9μm、灰分0.05%の鱗片状天然黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製「CNP7」)500gとを、株式会社パウレック社製流動層造粒装置「MP―01D型」を用いて、入口温度100℃、出口温度60℃、給気風量40m3/min、ロータ回転速度400min−1にて造粒した。
このようにして得た造粒粉末(球状の黒鉛粒子)を900℃にて1h窒素雰囲気下で焼成し、目的のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。得られたリチウムイオン二次電池用負極材の体積平均粒子径(50%)は29.9μm、BET比表面積は6.9m2/gであった。
尚、体積平均粒子径は(株)島津製作所製レーザー回折式粒度測定器「SALD3000J」を用いて測定した。BET比表面積はQUANTACHROME INSTRUMENTS社製オートソーブー1を用いて、−196℃における窒素の吸着等温線から算出した。
また粒子の形状を観察するためにキーエンス社製走査型電子顕微鏡「VE−7800」を用いて観察した。リチウムイオン二次電池用負極材のSEM像を図1に示す。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材を構成する粒子は、球状(略球状)であり、長径/短径の比は、1.3であった。
実施例1において、バインダをポリビニルアルコール(株式会社クラレ社製「103」)に変更した以外は同様にしてリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材の体積平均粒子径(50%)は28.9μm、BET比表面積は6.1m2/gであった。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材を構成する粒子は、球状(略球状)であり、 長径/短径の比は、1.3であった。
(スプレードライ法)
バインダとしてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製「1220」)を用い、そのバインダ130gをイオン交換水4500gに溶解させた。その後、体積平均粒子径7.9μm、灰分0.05%の鱗片状天然黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製「CNP7」)2000gを加えて、負極材スラリーを得た。この負極材スラリーを大川原化工機株式会社製スプレードライヤー「L−8i」を用い、入口温度200℃、出口温度100℃にてスプレードライ処理した。
このようにして得た造粒粉末(黒鉛粒子)を900℃にて1h窒素雰囲気下で焼成し、目的のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。得られたリチウムイオン二次電池用負極材の体積平均粒子径(50%)は27.3μm、BET比表面積は4.7m2/gであった。得られたリチウムイオン二次電池用負極材のSEM像を図2に示す。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材を構成する粒子は、球状(楕円球状)であり、 長径/短径の比は、1.2であった。
実施例3において、バインダをポリビニルアルコール(株式会社クラレ社製「103」)に変更した以外は同様にしてリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材の体積平均粒子径(50%)は27.0μm、BET比表面積は4.5m2/gであった。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材を構成する粒子は、球状(楕円球状)であり、長径/短径の比は、1.2であった。
(攪拌造粒法)
バインダとしてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製「1220」)を用い、そのバインダ48gをイオン交換水1500gに溶解させることによりバインダ溶液を得た。前記バインダ溶液と、体積平均粒子径7.9μm、灰分0.05%の鱗片状天然黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製「CNP7」)500gを、株式会社奈良機械製作所社製流攪拌造粒装置「NMG−L型」を用いて、造粒処理した。このようにして得た造粒粉末を900℃にて1h窒素雰囲気下で焼成し、リチウムイオン二次電池用負極材を得た。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材の体積平均粒子径(50%)は27.9μm、BET比表面積は6.3m2/gであった。
得られたリチウムイオン二次電池用負極材を構成する粒子は、扁平状であり、長径/短径の比は、4.0であった。
原料である、体積平均粒子径7.9μm、灰分0.05%の鱗片状天然黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製「CNP7」)をそのままリチウムイオン二次電池用負極材とした。
用いた鱗片状天然黒鉛における長径/短径の比は、5を超えていた。
実施例1〜4及び比較例1、2で得られた各負極材98質量部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部と、イオン交換水222質量部とを混ぜ合わせ、さらに有機系結着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)1質量部を加えてペースト状にし、電極組成物(負極材スラリー)を調製した。
このペースト状の電極組成物を、アプリケータを用いて固形分塗布量が10mg/cm2となるように、電解銅箔の光沢面に塗布し、90℃で1時間乾燥させて、電極合剤層を有する電極(リチウムイオン二次電池用負極)をそれぞれ得た。得られたリチウムイオン二次電池用負極を、14mmφの円形に打ち抜き、これを評価用試料として使用した。
上記で得られた各リチウムイオン二次電池用負極を用い、さらに対極として金属リチウム、電解液として1M LiPF6/エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3:7体積比)、セパレータに厚さ25μmのポリエチレン製微孔膜、スペーサーとして厚さの適した銅板を用いて2016型コインセルをそれぞれ作製した。
<初期放電容量>
対極(リチウム極)に対して0.1Cに相当する定電流密度で電池電圧が0Vになるまで充電を行った後、0Vの定電圧で電流密度が0.01Cに相当する値に減衰するまでさらに充電した。充電後30分間の休止を入れた後、放電を行った。放電はリチウム極に対して0.1Cに相当する電流で1.5Vまで行い、初期(初回)放電容量を測定した。この時、容量は用いた黒鉛粒子の質量当たりに換算した。
対極(リチウム極)に対して0.1Cに相当する定電流密度で電池電圧が0Vになるまで充電を行った後、0Vの定電圧で電流密度が0.01Cに相当する値に減衰するまでさらに充電した。充電後、30分間の休止を入れた後放電を行った。放電はリチウム極に対して0.1〜2Cに相当する電流で1.5Vまで行い、1C及び2Cにおける放電容量を測定し、各レートにおける放電容量の0.1Cにおける放電容量に対する比として放電容量維持率を算出し、放電負荷特性を評価した。
ここでいうxCとは1/x時間で充電または放電が完了する電流値を意味する、つまり2Cの放電レートとは(1/2)時間で放電が完了する電流値を意味する。
各リチウムイオン二次電池用負極の特性を表1に示す。
実施例1、比較例1及び比較例2のリチウムイオン二次電池用負極材を用いて作製したリチウムイオン二次電池について、以下のようにしてサイクル試験を実施した。
対極(リチウム極)に対して1.0Cに相当する定電流密度で電池電圧が0Vになるまで充電を行った後、0Vの定電圧で電流密度が0.01Cに相当する値に減衰するまでさらに充電した。充電後、30分間の休止を入れた後放電を行った。放電はリチウム極に対して1.0Cに相当する電流で1.5Vまで行った。この充電―放電を繰り返し行い、サイクル試験を行った。その結果を図3に示す。
図3から、比較例1に示す攪拌造粒法で得た黒鉛粒子及び比較例2に示す原料黒鉛を使用した負極材を用いて構成したリチウムイオン二次電池は、サイクル数が増加するにつれて放電容量維持率が低下していくのに対し、本発明の製造方法で得られるリチウムイオン二次電池用負極材を活物質として使用して構成したリチウムイオン二次電池は、放電容量の低下が小さく、優れたサイクル特性を示していることが分かる。
Claims (5)
- 噴霧乾燥造粒法により、天然黒鉛およびバインダを含む黒鉛粒子を得る造粒工程と、
前記黒鉛粒子を、非酸化性雰囲気下に600℃〜1400℃の温度範囲で焼成処理する焼成工程と、
を含む、リチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。 - 前記噴霧乾燥造粒法は、前記天然黒鉛、バインダおよび前記バインダを溶解可能な溶媒を含む黒鉛スラリーを噴霧乾燥するスプレードライ法である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
- 前記噴霧乾燥造粒法は、前記天然黒鉛を気流中に流動させる工程と、
バインダを含むバインダ溶液を前記天然黒鉛にスプレー処理する工程と、
を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたリチウムイオン二次電池用負極材を含むリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを備えるリチウムイオン二次電池。
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