JP2012131715A - 水性製剤及び容器入り水性製剤 - Google Patents

水性製剤及び容器入り水性製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】浸入性及び滞留性が高い水性製剤を提供する。
【解決手段】B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度が20Pa・s以下であるカルボキシビニルポリマー(A)と、窒素を含有する水溶性高分子(B)とを含有する水性製剤であって、(A)/(B)で表される質量比が0.2〜5、25℃におけるpHが5〜9、水分含量が30〜85質量%である。口腔内用の水性製剤を注出容器1に収納してなり、注出容器1は、水性製剤が収納される容器本体2と容器本体2から突出するノズル体3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、水性製剤及び容器入り水性製剤に関する。
歯の喪失原因の約7割が歯周病であり、歯周病の罹患を防ぐためには、殺菌剤や抗炎症剤を含有した口腔内用の製剤を用いることが有用であると言われている。歯周病の根本的な原因は、歯周ポケットの奥底の狭部に存在する病原性細菌である。
従って、歯周病の罹患を防ぐには、セルフケアにおいて歯周ポケットの奥底まで製剤を浸入させ、滞留させて、病原性細菌を死滅させることが重要である。
従来、歯周病の罹患の防止を目的とし、様々な器具や製剤が提案されている。
例えば、歯周ポケットに挿入して歯周ポケット内に薬剤を供給するノズルと、歯周ポケットに対するノズルの挿入深さを規制する規制手段とを備えた歯周ポケットへの薬剤供給器具が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、歯周ポケットの奥底へ薬剤を浸入させられるものの、操作が煩雑であった。加えて、歯周ポケットに浸入できるような流動性の高い薬剤は、唾液等により流失しやすく、効果を持続しにくい。
こうした問題に対し、患部へ容易に塗布でき、薬剤効果の持続性の向上を図った製剤が提案されている。
例えば、ラクチド及びグリコリドのコポリマー、活性薬剤並びに炭酸プロピレンを含む挿入用口腔疾患治療用組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、患部に塗布された後、前記コポリマーが徐々に加水分解して、活性薬剤を持続的に放出することで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
また、活性物質を含有するマイクロスフィアとフィルム又はストリップ形態の水溶性重合体を包含する局所投与型生分解性徐放型歯周炎用薬剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、活性物質が徐々に放出されることで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
あるいは、有効成分、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン及びショ糖脂肪酸エステルを配合した口腔用組成物が提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4の発明によれば、口腔用組成物が口腔内で長期に滞留することで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
特開2001−340363号公報 特許第3051154号公報 特表2001−504439号公報 特開2006−182699号公報
しかしながら、特許文献2〜4の技術は、組成物の粘度を高めて、患部への付着性を向上させているため、組成物が歯周ポケットに浸入しにくいという問題があった。一方、単に粘度を低下させた組成物は、歯周ポケットのような狭小な隙間へ容易に浸入できる(浸入性が高い)ものの、唾液等により容易に流失し、薬剤効果が持続しない(滞留性が低い)という問題があった。
そこで、本発明は、浸入性及び滞留性が高い水性製剤を目的とする。
歯周病の予防、改善には、歯周ポケットのような狭小な隙間への浸入性が高く、かつ滞留性が高いという、相反する機能を備えた製剤が求められる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のカルボキシビニルポリマーと、特定の水溶性高分子とを特定の比率で組み合わせることで、浸入性と滞留性とを両立できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の水性製剤は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度が20Pa・s以下であるカルボキシビニルポリマー(A)と、窒素を含有する水溶性高分子(B)とを含有する水性製剤であって、(A)/(B)で表される質量比が0.2〜5、25℃におけるpHが5〜9、水分含量が30〜85質量%であることを特徴とする。
口腔内用であることが好ましく、水溶性高分子(B)は、ポリビニルピロリドンであることが好ましく、カチオン性殺菌剤(C)を含有することが好ましく、キレート剤(D)を含有し、(C)/(D)で表される質量比が0.3〜5であることがより好ましく、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、1〜20Pa・sであることが好ましく、水と接触することで、降伏値が上昇することが好ましい。
本発明の容器入り水性製剤は、本発明の前記水性製剤を注出容器に充填してなる容器入り水性製剤であって、前記注出容器は、前記水性製剤が収納される容器本体と、該容器本体から突出し、前記水性製剤を注出するノズル体とを備えることを特徴とする。
本発明の水性製剤によれば、浸入性と滞留性との両立が図れる。
本発明の一実施形態にかかる注出容器の一例を示す平面図である。 図2の注出容器の部分拡大図である。
(水性製剤)
本発明の水性製剤は、カルボキシビニルポリマー(A)(以下、(A)成分ということがある)と、水溶性高分子(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含有する水性製剤である。水性製剤とは、(A)成分及び/又は(B)成分が水に溶解した水溶液、(A)成分及び/又は(B)成分が水に分散した水分散液を包含する概念である。
本発明の水性製剤は、例えば、殺菌剤、消炎剤等を含有してなり、歯周ポケットに塗布する歯周病予防剤又は歯周病改善剤、練歯磨剤、液体歯磨剤、洗口剤等の口腔内用の水性製剤、殺菌剤等を含有してなり、創傷に塗布する皮膚用消毒剤等の創傷用の水性製剤等として用いられるものである。
水性製剤の粘度は、0.1〜20Pa・sが好ましく、1.5〜7Pa・sがより好ましい。0.1Pa・s未満であると、歯周ポケット等の塗布対象への滞留性が不十分になるおそれがあり、20Pa・s超であると、歯周ポケット等の塗布対象への浸入性が不十分になるおそれがある。
なお、水性製剤の粘度は、東機産業株式会社製のBH型回転式粘度計(製品名:TVB−10)を用い、以下に示す測定条件で測定されたものである。
ローター:No.5、回転数:20rpm、測定温度:25℃、測定時間:180秒後
水性製剤は、25℃のpHが5〜9であり、好ましくはpH6〜8である。上記範囲内であれば、浸入性と滞留性とを両立できる。
pHの測定は、pHメータ(製品名:SevenEasy、メトラートレド社製)とpH電極(製品名:InLab、メトラートレド社製)とを用いて、25℃における水性製剤中にpH電極を差し込み、60秒間経過後の指示値を読み取ることにより行われる。
水性製剤は、水(精製水)との接触により降伏値が上昇するものが好ましく、[水との接触後の降伏値]÷[水との接触前の降伏値]×100で表される降伏値上昇率(%)が、好ましくは100%超、より好ましくは105%以上、さらに好ましくは108%以上、特に好ましくは110%以上である。
なお、本稿における水性製剤の降伏値は、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度、0〜20Pa(30秒)、37℃にて測定した値である。
一般に、水溶性の高分子化合物を水に分散させた水性の製剤は、非ニュートン流体の内、降伏値をもった擬塑性流体であり、静止状態では、分子間応力、粒子間応力による強い結合作用が働き、液体であってもある種の固体のような性質を示す。外力が物質内部で作用している応力よりも小さい場合、その物質は弾性変形のみを生じる。外力が物質内部で作用している応力よりも大きくなると、内部応力による結合が破壊され、物質内の分子や粒子が不規則に運動、移動し始め、液体の性質に変化する。即ち、降伏値とは、固体と液体の両方の性質を有する物質が、固体から液体へ変化する時点、つまり外力と内部応力が等しくなった時の外部応力の値である。
<カルボキシビニルポリマー(A)>
本発明の(A)成分は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度(以下、(A)成分粘度ということがある)が、20Pa・s以下のものであり、好ましくは2〜20Pa・s、より好ましくは5〜16Pa・sのものである。(A)成分粘度が20Pa・sを超えるカルボキシビニルポリマーを用いると、滞留性が低下し、流出しやすいためである。カルボキシビニルポリマーは、(A)成分粘度が高くなると、架橋度が高くなり、耐カチオン性が低くなる。このため、(A)成分粘度が20Pa・s超となるような架橋度の高いカルボキシビニルポリマーは、カチオン性物質である(B)成分の添加により架橋構造が破壊されやすく、水性製剤の滞留性を低下させる。
このような(A)成分としては、例えば、Carbopol941、981、ETD2050、2984(商品名、ルーブリゾール株式会社製)、HV501、501E(商品名、住友精化株式会社製)等が挙げられる。
これらの(A)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の(A)成分の含有量は、(A)成分の種類等を勘案して決定でき、0.2〜2.0質量%が好ましく、0.4〜1.5質量%がより好ましい。0.2質量%未満であると、滞留性が低下するおそれがあり、2.0質量%超であると、浸入性が低下するおそれがある。
<水溶性高分子(B)>
本発明の(B)成分は、窒素を含有するものである。「水溶性」とは、水に対する溶解度(20℃)が0.1g/水100g以上のものである。また「高分子」とは、重量平均分子量が1000以上のものである。
(B)成分としては、分子内に窒素原子を有する水溶性高分子であれば特に限定されず、例えば、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、中でも、滞留性のさらなる向上を図る観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドとしては、CELQUAT L−200(商品名、日本エヌエスシー株式会社製)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体としては、MERQUAT 100(商品名、ナルコ株式会社製)、ポリビニルピロリドンとしては、ルビスコールK−30、90(商品名、BASFジャパン株式会社製)等が市販されている。
これらの(B)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B)成分の重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、10000〜1500000が好ましい。なお、上記重量平均分子量は、米国薬局方(USP)において規定されたK値を光散乱法により測定された重量平均分子量に換算したものである。
水性製剤中の(B)成分の含有量は、0.2〜5質量%が好ましく、0.4〜3質量%がより好ましい。0.2質量%未満であると、滞留性が低下するおそれがあり、5質量%を超えても、滞留性のさらなる向上が図れない。
(B)成分に対する(A)成分の質量比((A)/(B))は、0.2〜5であり、好ましくは0.4〜3である。0.2未満であると、十分な滞留性が得られず、5超であると、浸入性や滞留性が損なわれる。
<カチオン性殺菌剤(C)>
水性製剤は、カチオン性殺菌剤(C)(以下、(C)成分)を含有してもよい。水性製剤は、(C)成分を含有することで、歯周病予防剤、歯周病改善剤、皮膚用消毒剤等、殺菌力が必要とされる用途に適するものとなると共に、滞留性のさらなる向上が図られる。
(C)成分は、(B)成分を除くものであり、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられ、中でも、殺菌力が高い塩化セチルピリジニウムが好ましい。
これらの(C)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の(C)成分の含有量は、水性製剤に求める殺菌力、(B)成分の含有量等を勘案して決定でき、例えば、0.01〜0.3質量%が好ましく、0.02〜0.1質量%がより好ましい。0.01質量%未満であると、十分な殺菌力が得られなかったり、滞留性の向上効果が得られないおそれがあり、0.3質量%超であると、浸入性や滞留性が損なわれる。
<キレート剤(D)>
水性製剤は、(C)成分を含有する場合、(D)成分を含有することが好ましい。(C)成分と(D)成分とを併用することで、水性製剤の殺菌力をさらに向上できる。
(D)成分は、キレート作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、cis−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2,3−トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ニコチン酸ヒドラジド、ヒスタミン、イミノジ酢酸、ヒドロキシエチル酢酸、ニトリロトリ酢酸、N,N’−エチレンジアミンジ酢酸、N’−ヒドロキシエチル−N,N,N’−トリ酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸−N,N’−ジプロピオン酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グリシン、ザルコシン、アラニン、ロイシン、セリン、システイン、グルタミン酸、トリプトファン、アデニン、アセチルアセトン、2−ニトロソ−1−ナフトール−8−ヒドロキシナゾリン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ジエチレントリアミン五酢酸、又はそれら化合物の一価金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)、アミン塩、アンモニウム塩等が好ましく挙げられる。中でも、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウムが好ましい。
これらの(D)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
エデト酸二ナトリウムとしては、ディゾルビンNA2(商品名、ライオン株式会社製)、エデト酸三ナトリウムとしては、ゾノンT(商品名、第一化学薬品株式会社製)等が挙げられる。
水性製剤中の(D)成分の含有量は、殺菌力の向上効果の観点から、0.01〜0.2質量%が好ましく、0.02〜0.1質量%がより好ましい。0.01%未満では十分な殺菌力の向上効果が得られないおそれがあり、0.3質量%超であると、滞留性が低下するおそれがある。
(C)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(C))は、0.3〜5であり、好ましくは0.5〜3である。0.3未満であると、滞留性が低下するおそれがあり、5超であると殺菌力の向上効果が得られないおそれがある。
<分散媒>
水性製剤の分散媒は、水であれば特に限定されず、水道水、井水や、蒸留、イオン交換、ろ過又はこれらを組み合わせて処理した精製水等が挙げられる。
水性製剤中の水の含有量(水分含量)は、30〜85質量%であり、好ましくは、40〜75質量%である。30質量%未満であると浸入性が不十分であり、85質量%超であると滞留性が不十分となる。
<その他の任意成分>
本発明の水性製剤は、(A)〜(D)成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、水性製剤を口腔内用の水性製剤とする場合、(C)成分以外の有効成分(任意有効成分)、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、色素、香料、研磨剤等が挙げられる。
任意有効成分としては、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン等の殺菌剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等の再石灰化効果を有するフッ化物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、アズレン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル等の抗炎症剤、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム等の知覚過敏抑制成分、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物等が挙げられる。これらの任意有効成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の任意有効成分の含有量は、任意有効成分の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の多価アルコール等が挙げられる。これらの粘稠剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の粘稠剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜50質量%とされる。
粘結剤としては、(A)成分及び(B)成分を除く水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、グアガム、ゼラチン、アビセル等の有機粘結剤、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤等が挙げられる。これらの粘結剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の粘結剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5質量%以下とされる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシド、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸デカグリセリル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
水性製剤が(C)成分や任意有効成分を含有する場合、これらを可溶化すると共に、後述する注出容器への付着を低減し、かつ浸入性をより高めるため、界面活性剤としてHLB値10〜17のポリオキシエチレン(20〜100)硬化ヒマシ油(エチレンオキシドの平均付加モル数:20〜100モル)を用いることが好ましい。
なお、HLBは、Griffinの方法により求められる値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜5質量%とされる。界面活性剤としてポリオキシエチレン(20〜100)硬化ヒマシ油を用いる場合、水性製剤中の界面活性剤の含有量は、例えば、0.5〜5質量%とされる。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらの甘味剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の甘味剤の含有量は、甘味剤の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)をした香料、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1.2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、公知の香料が挙げられる。これらの香料は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の香料の含有量は、香料の種類に応じて決定でき、例えば、0.000001〜1質量%が好ましい。また、上記香料を香料溶媒に溶解した香料製剤を用いる場合、水性製剤中の香料製剤の含有量は、例えば、0.1〜2.0質量%が好ましい。
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。これらの研磨剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の研磨剤の含有量は、例えば、2〜50質量%とされる。
着色剤としては、例えば、青色1号、責色4号、緑色3号等が挙げられる。
(製造方法)
水性製剤の製造方法は、(A)〜(B)成分を水中に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、攪拌翼を備えたベッセル等を用い、水に(A)〜(B)成分、必要に応じて(C)〜(D)成分、任意成分を溶解又は分散する方法が挙げられる。
(使用方法)
次に本発明の水性製剤の使用方法について、説明する。
水性製剤は、例えば、樹脂製、金属製又はガラス製の容器に収納されて保管され、この容器から適量が取り出されて塗布対象に塗布される。
水性製剤の塗布方法は、特に限定されず、例えば、容器内の水性製剤をスポイトやシリンジに吸入し、次いで、塗布対象に水性製剤を注出する方法が挙げられる。
また、例えば、水性製剤を収納する容器本体と、収納した水性製剤を注出するノズル体とを備えた注出容器を用いて、塗布対象に塗布する方法が挙げられる。
このような注出容器の一例について、図1を用いて説明する。
図1の注出容器1は、水性製剤を収納する容器本体2と、容器本体2に接続されたノズル体3とを備えるものであり、全体として長尺状の形状とされたものである。
容器本体2は、可撓性を有する樹脂フィルムが略円筒状に成形され、一方の開口端の内面同士が突き合わされ、ヒートシール等で融着された底部22が形成されたものである。底部22との反対側の開口端には、容器本体2の軸線O方向に突出するドーム状の口頸部24が形成され、口頸部24の突端には、容器本体2の内外を連通する開口部(不図示)が形成されている。口頸部24の開口部には、軸線O方向に伸びる長尺状のノズル体3が接続されている。
ノズル体3は、口頸部24との接続部である基端部34から先端部32に向かうに従い縮径するものであり、ノズル体3の内部は、口頸部24の開口部を介して容器本体2の内部と連通するものとされている。
容器本体2の大きさは、大きすぎると操作が煩雑であり、小さすぎると内容物である水性製剤を短期間で消費してしまう。このため、容器本体2の大きさは、水性製剤の用量、用法を勘案して決定でき、例えば、10〜200mL容量が好ましい。
容器本体2の材質は、可撓性を有し、手指で押圧されることで、収納した水性製剤を注出できるものであればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等からなる単層フィルム、及びこれらの単層フィルムを積層した多層フィルム等が挙げられる。
ノズル体3は、先端部32から基端部34までの長さLが、20〜60mmが好ましく、30〜50mmがより好ましい。20mm未満であると奥歯の歯周スポットに水性製剤を塗布しにくく、60mm超であると口腔内での操作が煩雑となり、特に前歯の歯周ポケットに水性製剤を塗布しにくくなる。
ノズル体3の先端部32の内径R(図2)は、水性製剤の粘度等を勘案して決定でき、例えば、0.2〜2mmが好ましく、0.4〜1.2mmがより好ましい。0.2mm未満であると、任意の容量を注出するのが煩雑であると共に、先端部32が歯肉等に当たった際に痛みを生じるおそれがある。2mm超であると、水性製剤の注出量を制御しにくい傾向になる。
ノズル体3の材質は、特に限定されないが、ノズル体3が歯肉・歯牙に当接した際に、使用者に刺激を与えにくく、かつ可撓性を有するものが好ましい。可撓性を有することで、ノズル体3の先端部32を歯牙と歯肉との境目に当接させ、口腔内を移動させながら、水性製剤を注出することで、歯周ポケットに水性製剤を塗布できる。
ノズル体3の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、比較的軟質な樹脂が挙げられる。
次に、本実施形態の注出容器に歯周病予防剤を収納した、容器入り水性製剤の使用方法を説明する。
手指で容器本体2を把持し、ノズル体3の先端部32を歯牙と歯肉との境目に当接させ、把持した手指で容器本体2を押圧して水性製剤を先端部32から注出する。水性製剤を注出しながら、先端部32を歯牙と歯肉との境目に従って移動させることで、広範にわたって水性製剤を塗布する。
歯牙と歯肉との境目に塗布された水性製剤は、流動性を有するため、歯周ポケットの奥底まで浸入する。水性製剤は、口腔内の唾液等に含まれる水と接触することで、降伏値が上昇し、流動性が低下して、歯周ポケット内で滞留する。
上述したように、本発明の水性製剤は、水分含量が30〜85質量%であるため、流動性に優れ、歯周ポケットのような狭小な隙間にも浸入できる。加えて、水性製剤は、(A)成分と(B)成分とを含有するため、狭小な隙間に浸入した後に水と接触することで、降伏値が上昇し、高い滞留性を発揮できる。
水性製剤が水と接触することで、水性製剤の降伏値が上昇する機構は、定かでないが、次のように推定できる。
(A)成分が分散した水は、(A)成分を含有しない水に比べて粘度が上昇したものである。ここで、(A)成分と(B)成分とが結合することで、(A)成分に起因する粘度が低下する。このため、本発明の水性製剤は、流動性を備え、狭小な隙間にも良好に浸入する。
本発明の水性製剤は、口腔内の唾液等からの水分が供給されると、(A)成分と(B)成分との結合が解離し、水中に(A)成分が独立して分散した状態となり、降伏値が上昇したものとなる。このため、水性製剤は、(A)成分由来の滞留性が復元されると考えられる。
さらに、(A)成分と(B)成分との結合と解離は、(C)成分の存在により、より促進される。このため、水性製剤は、(C)成分を含有することで、殺菌力を備えると共に、より良好な浸入性とより良好な滞留性とを発揮する。
さらに、容器本体とノズル体とを備えた注出容器に、水性製剤を収納することで、水性製剤を塗布対象に容易に塗布できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
(使用原料)
各例の水性製剤に用いた原料は、以下の通りである。
(A)及び(A’)成分の0.5質量%水溶液の粘度((A)成分粘度)を「0.5質量%粘度」として、各表中に記載した。
<(A)成分>
A−1:カルボキシビニルポリマー(商品名;Carbopol981、0.5質量%水溶液の粘度;6Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
A−2:カルボキシビニルポリマー(商品名;CarbopolETD2050、0.5質量%水溶液の粘度;15Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
<(A’)成分:(A)成分の比較品>
A’−1:カルボキシビニルポリマー(商品名;HV504E、0.5質量%水溶液の粘度;28Pa・s、住友精化株式会社製)
A’−2:カルボキシビニルポリマー(商品名;HV505E、0.5質量%水溶液の粘度:42Pa・s、住友精化株式会社製)
A’−3:カルボキシメチルセルロース(商品名;CMCダイセル1260、ダイセル化学工業株式会社製)
A’−4:キサンタンガム(商品名;モナートガムDA、大日本住友製薬株式会社製)
<(B)成分>
B−1:ポリビニルピロリドン(商品名;ルビスコールK−90、BASFジャパン株式会社製)
B−2:ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(商品名;CELQUAT L−200、日本エヌエスシー株式会社製)
B−3:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(商品名;MERQUAT 100、ナルコ株式会社製)
<(C)成分>
C−1:塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業株式会社製)
C−2:塩化ベンザルコニウム(関東化学株式会社製)
C−3:塩化ベンゼトニウム(関東化学株式会社製)
<(D)成分>
D−1:エデト酸二ナトリウム(商品名;ディゾルビンNA2、ライオン株式会社製)
D−2:エデト酸三ナトリウム(商品名;ゾノンT、第一化学薬品株式会社製)
<その他>
その他の成分については、医薬部外品原料規格の規格品を用いた。
(評価方法)
<浸入性の評価方法>
顎モデルの下顎第一大臼歯部に、アクリルにて作成した歯牙モデルを深さ10mmにて裏面からネジで固定し、浸入性評価モデルとした。各例の水性製剤を容器から注出しつつ顎モデルの歯頸部に塗布した後の10秒後の浸入長を測定した。この試験を繰り返し、3回の平均値を求め、平均値を以下の基準に分類して浸入性を評価した。
◎◎:平均浸入長8mm以上
◎:平均浸入長7mm以上8mm未満
○:平均浸入長6mm以上7mm未満
△:平均浸入長4mm以上6mm未満
×:平均浸入長4mm未満
<滞留性の評価方法>
滞留性は、以下に説明する「製剤溶出抑制」及び「静置後の口腔内滞留感」によって、評価した。
≪製剤溶出抑制の評価方法≫
各例の水性製剤1mLを人工唾液3mLに添加し、3分後の溶存状態について目視にて観察した。「ほとんど溶出しない」を5点、「1/4程度溶出する」を4点、「1/2程度溶出する」を3点、「3/4程度溶出する」を2点、「ほとんど溶出する」を1点とし、繰り返し3回の平均値から以下の基準で製剤溶出抑制を評価した。
◎◎:平均点4.5点以上
◎:平均点4.0点以上4.5点未満
○:平均点3.5点以上4.0点未満
△:平均点2.0点以上3.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
≪静置後の口腔内滞留感の評価方法≫
各例の水性製剤を口腔内に1mL含み、1分間静置し吐き出した後の滞留感について「非常に感じる」、「感じる」、「やや感じる」、「感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「非常に感じる」を4点、「感じる」を3点、「やや感じる」を2点、「感じない」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、静置後の口腔内滞留感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
<殺菌力の評価方法>
凍結保存してあったポルフィロモーナス ジンジバリス培養液50μLをそれぞれ5mg/Lのヘミン(Sigma社製)及び1mg/LのビタミンK(和光純薬工業社製)を含むトッドヘーウィットブロース(Becton and Dickinson社製)培養液(THBHM)4mLに添加し、37℃で二晩嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)し、菌液とした。各例の水性製剤1gにTHBHM培地49mLを加え攪拌した後、さらにTHBHM培地を加え、水性製剤が希釈倍率400〜4000倍となるように、各々の水性製剤入りの希釈培地を調製した。各々の水性製剤入りの希釈培地3mLに菌液50μLを添加し、37℃で7日間嫌気培養後、菌の生育の有無を外観、におい、顕微鏡を用いて判定した。殺菌力は、菌の生育が見られなかった水性製剤入りの希釈培地の内、最も高い希釈倍率で示された値である。
<浸入感の評価方法>
各例の水性製剤を注出容器から歯周ポケットに注入し、歯周ポケットへの浸入感について、それぞれ「浸入感を非常に感じる」、「浸入感を感じる」、「やや浸入感を感じる」、「浸入感を感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「浸入感を非常に感じる」を4点、「浸入感を感じる」を3点、「浸入感をやや感じる」を2点、「浸入感を感じない」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、浸入感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
<滞留感の評価方法>
各例の水性製剤を注出容器から歯周ポケットに注入し、歯周ポケットへの滞留感について、それぞれ「滞留感を非常に感じる」、「滞留感を感じる」、「やや滞留感を感じる」、「滞留感を感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「滞留浸入感を非常に感じる」を4点、「滞留感を感じる」を3点、「滞留感をやや感じる」を2点、「滞留感を感じない」を1点として、10名の平均点を以下の基準に分類して、滞留感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
<操作性の評価方法>
各例の水性製剤を歯周ポケットに注入する際の注入しやすさについて、「非常に注入しやすい」、「注入しやすい」、「やや注入しにくい」、「注入しにくい」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「非常に注入しやすい」を4点、「注入しやすい」を3点、「やや注入しやすい」を2点、「注入しにくい」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、操作性を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
<降伏値上昇率>
まず、測定の対象とする試料2mLを試料台に置き、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度、0〜20Pa(30秒)、37℃にて、水との接触前の降伏値を測定した。
次に、測定の対象とする試料2mLを試料台に置き、水200μLを試料に滴下した直後に、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度(コーン型)、0〜20Pa(30秒)、37℃にて、水との接触後の降伏値を測定した。
得られた降伏値から、下記(1)式により降伏値上昇率を求めた。
降伏値上昇率(%)=[水との接触後の降伏値]÷[水との接触前の降伏値]×100・・・・(1)
(実施例1〜20、比較例1〜12)
表1〜3の組成に従い、水に各成分を添加し、攪拌して各例の水性製剤とした。この水性製剤について、浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感を評価し、その結果を表中に示す。なお、浸入性の評価に際しては、各例の水性製剤を下記仕様の容器に収納し、収納した水性製剤を注出しつつ塗布対象に塗布した。
<容器の仕様>
・容器本体:内径19mm、口頸部(高さ10mm、開口部の口径5mm)を有する歯磨用のラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm)、大日本印刷株式会社製
Figure 2012131715
Figure 2012131715
Figure 2012131715
表1〜3に示すように、本発明を適用した実施例1〜20は、浸入性が「○」〜「◎◎」であり、製剤溶出抑制が「○」〜「◎」であり、静置後の口腔内滞留感が「○」〜「◎」であった。加えて、実施例6について降伏値上昇率を測定したところ、109%(水との接触後の降伏値:3.781Pa、水との接触前の降伏値:3.463Pa)であった。
一方、(A)成分を含有しない比較例1は、浸入性が「◎◎」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「×」であった。(B)成分を含有しない比較例2は、浸入性、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「△」であり、降伏値上昇率が94%(水との接触後の降伏値:10.59Pa、水との接触前の降伏値:11.21Pa)であった。(A)成分に換えてA’−2を用いた比較例6は、浸入性が「◎◎」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「×」であった。比較例6は、(B)成分の添加によって、A’−2の膨潤が破壊されたため、降伏値を示さなかった。
水分含量が本発明の下限値未満である比較例3は、製剤溶出抑制が「○」、静置後の口腔内滞留感が「◎◎」であったものの、浸入性が「×」であった。水分含量が本発明の上限値超である比較例4は、浸入性が「○」であったが、製剤溶出抑制が「△」、静置後の口腔内滞留感が「×」であった。
(A)/(B)の質量比が本願発明の下限値未満である比較例9は、浸入性が「○」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感が「×」であった。(A)/(B)の質量比が本願発明の上限値超である比較例10は、浸入性が「○」であり、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感が「△」であった。
以上の結果から、本発明を適用した水性製剤は、浸入性と滞留性との両立が図れることが判った。
(実施例21〜38)
水性製剤を表4〜5の組成に従い、実施例1と同様にして各例の水性製剤を調製した。この水性製剤について、実施例1と同様にして浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感、殺菌力について評価し、その結果を表中に示す。
Figure 2012131715
Figure 2012131715
表4〜5に示すように、本発明を適用した実施例21〜38は、浸入性が「◎」、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感が「◎」又は「◎◎」であった。加えて、実施例21〜38は、いずれも殺菌力が1200以上であり、良好な殺菌力を示した。
(実施例39〜52)
表6〜7の組成に従い、水に各成分を添加し、攪拌して各例の水性製剤とした。下記仕様の容器本体の口頸部に、表中の仕様のノズル体(基端の内径は、いずれも5mm)を装着して、図1に示す注出容器1と同様の注出容器を作製した。この注出容器に各例の水性製剤30gを収納して容器入り水性製剤とした。この容器入り水性製剤について、浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感、浸入感、滞留感及び操作性について評価し、その結果を表中に示す。なお、(C)成分を含有する実施例51〜52については、殺菌力を測定した。
<注出容器の仕様>
・容器本体:内径19mm、口頸部(高さ10mm、開口部の口径5mm)を有する歯磨用のラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm)、大日本印刷株式会社製
Figure 2012131715
Figure 2012131715
表6〜7に示すように、本発明を適用した実施例39〜52は、いずれも浸入性が「◎」又は「◎◎」であり、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感が「◎」又は「◎◎」であった。加えて、実施例39〜52は、浸入感、滞留感及び操作性が「◎」又は「◎◎」であった。
1 注出容器
2 容器本体
3 ノズル体

Claims (8)

  1. B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度が20Pa・s以下であるカルボキシビニルポリマー(A)と、窒素を含有する水溶性高分子(B)とを含有する水性製剤であって、
    (A)/(B)で表される質量比が0.2〜5、25℃におけるpHが5〜9、水分含量が30〜85質量%であることを特徴とする水性製剤。
  2. 口腔内用であることを特徴とする、請求項1に記載の水性製剤。
  3. 水溶性高分子(B)は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性製剤。
  4. カチオン性殺菌剤(C)を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性製剤。
  5. キレート剤(D)を含有し、(C)/(D)で表される質量比が0.3〜5であることを特徴とする、請求項4に記載の水性製剤。
  6. B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、1〜20Pa・sであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性製剤。
  7. 水と接触することで、降伏値が上昇することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性製剤。
  8. 請求項2に記載の水性製剤を注出容器に充填してなる容器入り水性製剤であって、
    前記注出容器は、前記水性製剤が収納される容器本体と、該容器本体から突出し、前記水性製剤を注出するノズル体とを備えることを特徴とする容器入り水性製剤。
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