JP2012131715A - 水性製剤及び容器入り水性製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度が20Pa・s以下であるカルボキシビニルポリマー(A)と、窒素を含有する水溶性高分子(B)とを含有する水性製剤であって、(A)/(B)で表される質量比が0.2〜5、25℃におけるpHが5〜9、水分含量が30〜85質量%である。口腔内用の水性製剤を注出容器1に収納してなり、注出容器1は、水性製剤が収納される容器本体2と容器本体2から突出するノズル体3とを備える。
【選択図】図1
Description
従って、歯周病の罹患を防ぐには、セルフケアにおいて歯周ポケットの奥底まで製剤を浸入させ、滞留させて、病原性細菌を死滅させることが重要である。
例えば、歯周ポケットに挿入して歯周ポケット内に薬剤を供給するノズルと、歯周ポケットに対するノズルの挿入深さを規制する規制手段とを備えた歯周ポケットへの薬剤供給器具が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、歯周ポケットの奥底へ薬剤を浸入させられるものの、操作が煩雑であった。加えて、歯周ポケットに浸入できるような流動性の高い薬剤は、唾液等により流失しやすく、効果を持続しにくい。
例えば、ラクチド及びグリコリドのコポリマー、活性薬剤並びに炭酸プロピレンを含む挿入用口腔疾患治療用組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、患部に塗布された後、前記コポリマーが徐々に加水分解して、活性薬剤を持続的に放出することで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
また、活性物質を含有するマイクロスフィアとフィルム又はストリップ形態の水溶性重合体を包含する局所投与型生分解性徐放型歯周炎用薬剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、活性物質が徐々に放出されることで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
あるいは、有効成分、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン及びショ糖脂肪酸エステルを配合した口腔用組成物が提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4の発明によれば、口腔用組成物が口腔内で長期に滞留することで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
そこで、本発明は、浸入性及び滞留性が高い水性製剤を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のカルボキシビニルポリマーと、特定の水溶性高分子とを特定の比率で組み合わせることで、浸入性と滞留性とを両立できることを見出し、本発明に至った。
口腔内用であることが好ましく、水溶性高分子(B)は、ポリビニルピロリドンであることが好ましく、カチオン性殺菌剤(C)を含有することが好ましく、キレート剤(D)を含有し、(C)/(D)で表される質量比が0.3〜5であることがより好ましく、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、1〜20Pa・sであることが好ましく、水と接触することで、降伏値が上昇することが好ましい。
本発明の水性製剤は、カルボキシビニルポリマー(A)(以下、(A)成分ということがある)と、水溶性高分子(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含有する水性製剤である。水性製剤とは、(A)成分及び/又は(B)成分が水に溶解した水溶液、(A)成分及び/又は(B)成分が水に分散した水分散液を包含する概念である。
本発明の水性製剤は、例えば、殺菌剤、消炎剤等を含有してなり、歯周ポケットに塗布する歯周病予防剤又は歯周病改善剤、練歯磨剤、液体歯磨剤、洗口剤等の口腔内用の水性製剤、殺菌剤等を含有してなり、創傷に塗布する皮膚用消毒剤等の創傷用の水性製剤等として用いられるものである。
なお、水性製剤の粘度は、東機産業株式会社製のBH型回転式粘度計(製品名:TVB−10)を用い、以下に示す測定条件で測定されたものである。
ローター:No.5、回転数:20rpm、測定温度:25℃、測定時間:180秒後
pHの測定は、pHメータ(製品名:SevenEasy、メトラートレド社製)とpH電極(製品名:InLab、メトラートレド社製)とを用いて、25℃における水性製剤中にpH電極を差し込み、60秒間経過後の指示値を読み取ることにより行われる。
なお、本稿における水性製剤の降伏値は、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度、0〜20Pa(30秒)、37℃にて測定した値である。
本発明の(A)成分は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度(以下、(A)成分粘度ということがある)が、20Pa・s以下のものであり、好ましくは2〜20Pa・s、より好ましくは5〜16Pa・sのものである。(A)成分粘度が20Pa・sを超えるカルボキシビニルポリマーを用いると、滞留性が低下し、流出しやすいためである。カルボキシビニルポリマーは、(A)成分粘度が高くなると、架橋度が高くなり、耐カチオン性が低くなる。このため、(A)成分粘度が20Pa・s超となるような架橋度の高いカルボキシビニルポリマーは、カチオン性物質である(B)成分の添加により架橋構造が破壊されやすく、水性製剤の滞留性を低下させる。
これらの(A)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の(B)成分は、窒素を含有するものである。「水溶性」とは、水に対する溶解度(20℃)が0.1g/水100g以上のものである。また「高分子」とは、重量平均分子量が1000以上のものである。
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドとしては、CELQUAT L−200(商品名、日本エヌエスシー株式会社製)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体としては、MERQUAT 100(商品名、ナルコ株式会社製)、ポリビニルピロリドンとしては、ルビスコールK−30、90(商品名、BASFジャパン株式会社製)等が市販されている。
これらの(B)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B)成分の重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、10000〜1500000が好ましい。なお、上記重量平均分子量は、米国薬局方(USP)において規定されたK値を光散乱法により測定された重量平均分子量に換算したものである。
水性製剤は、カチオン性殺菌剤(C)(以下、(C)成分)を含有してもよい。水性製剤は、(C)成分を含有することで、歯周病予防剤、歯周病改善剤、皮膚用消毒剤等、殺菌力が必要とされる用途に適するものとなると共に、滞留性のさらなる向上が図られる。
これらの(C)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤は、(C)成分を含有する場合、(D)成分を含有することが好ましい。(C)成分と(D)成分とを併用することで、水性製剤の殺菌力をさらに向上できる。
これらの(D)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
エデト酸二ナトリウムとしては、ディゾルビンNA2(商品名、ライオン株式会社製)、エデト酸三ナトリウムとしては、ゾノンT(商品名、第一化学薬品株式会社製)等が挙げられる。
水性製剤の分散媒は、水であれば特に限定されず、水道水、井水や、蒸留、イオン交換、ろ過又はこれらを組み合わせて処理した精製水等が挙げられる。
水性製剤中の水の含有量(水分含量)は、30〜85質量%であり、好ましくは、40〜75質量%である。30質量%未満であると浸入性が不十分であり、85質量%超であると滞留性が不十分となる。
本発明の水性製剤は、(A)〜(D)成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、水性製剤を口腔内用の水性製剤とする場合、(C)成分以外の有効成分(任意有効成分)、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、色素、香料、研磨剤等が挙げられる。
水性製剤中の任意有効成分の含有量は、任意有効成分の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
水性製剤中の粘稠剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜50質量%とされる。
水性製剤中の粘結剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5質量%以下とされる。
水性製剤が(C)成分や任意有効成分を含有する場合、これらを可溶化すると共に、後述する注出容器への付着を低減し、かつ浸入性をより高めるため、界面活性剤としてHLB値10〜17のポリオキシエチレン(20〜100)硬化ヒマシ油(エチレンオキシドの平均付加モル数:20〜100モル)を用いることが好ましい。
なお、HLBは、Griffinの方法により求められる値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水性製剤中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜5質量%とされる。界面活性剤としてポリオキシエチレン(20〜100)硬化ヒマシ油を用いる場合、水性製剤中の界面活性剤の含有量は、例えば、0.5〜5質量%とされる。
水性製剤中の甘味剤の含有量は、甘味剤の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
水性製剤中の香料の含有量は、香料の種類に応じて決定でき、例えば、0.000001〜1質量%が好ましい。また、上記香料を香料溶媒に溶解した香料製剤を用いる場合、水性製剤中の香料製剤の含有量は、例えば、0.1〜2.0質量%が好ましい。
水性製剤中の研磨剤の含有量は、例えば、2〜50質量%とされる。
水性製剤の製造方法は、(A)〜(B)成分を水中に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、攪拌翼を備えたベッセル等を用い、水に(A)〜(B)成分、必要に応じて(C)〜(D)成分、任意成分を溶解又は分散する方法が挙げられる。
次に本発明の水性製剤の使用方法について、説明する。
水性製剤は、例えば、樹脂製、金属製又はガラス製の容器に収納されて保管され、この容器から適量が取り出されて塗布対象に塗布される。
水性製剤の塗布方法は、特に限定されず、例えば、容器内の水性製剤をスポイトやシリンジに吸入し、次いで、塗布対象に水性製剤を注出する方法が挙げられる。
また、例えば、水性製剤を収納する容器本体と、収納した水性製剤を注出するノズル体とを備えた注出容器を用いて、塗布対象に塗布する方法が挙げられる。
このような注出容器の一例について、図1を用いて説明する。
容器本体2は、可撓性を有する樹脂フィルムが略円筒状に成形され、一方の開口端の内面同士が突き合わされ、ヒートシール等で融着された底部22が形成されたものである。底部22との反対側の開口端には、容器本体2の軸線O方向に突出するドーム状の口頸部24が形成され、口頸部24の突端には、容器本体2の内外を連通する開口部(不図示)が形成されている。口頸部24の開口部には、軸線O方向に伸びる長尺状のノズル体3が接続されている。
ノズル体3は、口頸部24との接続部である基端部34から先端部32に向かうに従い縮径するものであり、ノズル体3の内部は、口頸部24の開口部を介して容器本体2の内部と連通するものとされている。
ノズル体3の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、比較的軟質な樹脂が挙げられる。
手指で容器本体2を把持し、ノズル体3の先端部32を歯牙と歯肉との境目に当接させ、把持した手指で容器本体2を押圧して水性製剤を先端部32から注出する。水性製剤を注出しながら、先端部32を歯牙と歯肉との境目に従って移動させることで、広範にわたって水性製剤を塗布する。
歯牙と歯肉との境目に塗布された水性製剤は、流動性を有するため、歯周ポケットの奥底まで浸入する。水性製剤は、口腔内の唾液等に含まれる水と接触することで、降伏値が上昇し、流動性が低下して、歯周ポケット内で滞留する。
(A)成分が分散した水は、(A)成分を含有しない水に比べて粘度が上昇したものである。ここで、(A)成分と(B)成分とが結合することで、(A)成分に起因する粘度が低下する。このため、本発明の水性製剤は、流動性を備え、狭小な隙間にも良好に浸入する。
本発明の水性製剤は、口腔内の唾液等からの水分が供給されると、(A)成分と(B)成分との結合が解離し、水中に(A)成分が独立して分散した状態となり、降伏値が上昇したものとなる。このため、水性製剤は、(A)成分由来の滞留性が復元されると考えられる。
さらに、(A)成分と(B)成分との結合と解離は、(C)成分の存在により、より促進される。このため、水性製剤は、(C)成分を含有することで、殺菌力を備えると共に、より良好な浸入性とより良好な滞留性とを発揮する。
各例の水性製剤に用いた原料は、以下の通りである。
(A)及び(A’)成分の0.5質量%水溶液の粘度((A)成分粘度)を「0.5質量%粘度」として、各表中に記載した。
<(A)成分>
A−1:カルボキシビニルポリマー(商品名;Carbopol981、0.5質量%水溶液の粘度;6Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
A−2:カルボキシビニルポリマー(商品名;CarbopolETD2050、0.5質量%水溶液の粘度;15Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
A’−1:カルボキシビニルポリマー(商品名;HV504E、0.5質量%水溶液の粘度;28Pa・s、住友精化株式会社製)
A’−2:カルボキシビニルポリマー(商品名;HV505E、0.5質量%水溶液の粘度:42Pa・s、住友精化株式会社製)
A’−3:カルボキシメチルセルロース(商品名;CMCダイセル1260、ダイセル化学工業株式会社製)
A’−4:キサンタンガム(商品名;モナートガムDA、大日本住友製薬株式会社製)
B−1:ポリビニルピロリドン(商品名;ルビスコールK−90、BASFジャパン株式会社製)
B−2:ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(商品名;CELQUAT L−200、日本エヌエスシー株式会社製)
B−3:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(商品名;MERQUAT 100、ナルコ株式会社製)
C−1:塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業株式会社製)
C−2:塩化ベンザルコニウム(関東化学株式会社製)
C−3:塩化ベンゼトニウム(関東化学株式会社製)
D−1:エデト酸二ナトリウム(商品名;ディゾルビンNA2、ライオン株式会社製)
D−2:エデト酸三ナトリウム(商品名;ゾノンT、第一化学薬品株式会社製)
その他の成分については、医薬部外品原料規格の規格品を用いた。
<浸入性の評価方法>
顎モデルの下顎第一大臼歯部に、アクリルにて作成した歯牙モデルを深さ10mmにて裏面からネジで固定し、浸入性評価モデルとした。各例の水性製剤を容器から注出しつつ顎モデルの歯頸部に塗布した後の10秒後の浸入長を測定した。この試験を繰り返し、3回の平均値を求め、平均値を以下の基準に分類して浸入性を評価した。
◎◎:平均浸入長8mm以上
◎:平均浸入長7mm以上8mm未満
○:平均浸入長6mm以上7mm未満
△:平均浸入長4mm以上6mm未満
×:平均浸入長4mm未満
滞留性は、以下に説明する「製剤溶出抑制」及び「静置後の口腔内滞留感」によって、評価した。
≪製剤溶出抑制の評価方法≫
各例の水性製剤1mLを人工唾液3mLに添加し、3分後の溶存状態について目視にて観察した。「ほとんど溶出しない」を5点、「1/4程度溶出する」を4点、「1/2程度溶出する」を3点、「3/4程度溶出する」を2点、「ほとんど溶出する」を1点とし、繰り返し3回の平均値から以下の基準で製剤溶出抑制を評価した。
◎◎:平均点4.5点以上
◎:平均点4.0点以上4.5点未満
○:平均点3.5点以上4.0点未満
△:平均点2.0点以上3.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
各例の水性製剤を口腔内に1mL含み、1分間静置し吐き出した後の滞留感について「非常に感じる」、「感じる」、「やや感じる」、「感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「非常に感じる」を4点、「感じる」を3点、「やや感じる」を2点、「感じない」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、静置後の口腔内滞留感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
凍結保存してあったポルフィロモーナス ジンジバリス培養液50μLをそれぞれ5mg/Lのヘミン(Sigma社製)及び1mg/LのビタミンK(和光純薬工業社製)を含むトッドヘーウィットブロース(Becton and Dickinson社製)培養液(THBHM)4mLに添加し、37℃で二晩嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)し、菌液とした。各例の水性製剤1gにTHBHM培地49mLを加え攪拌した後、さらにTHBHM培地を加え、水性製剤が希釈倍率400〜4000倍となるように、各々の水性製剤入りの希釈培地を調製した。各々の水性製剤入りの希釈培地3mLに菌液50μLを添加し、37℃で7日間嫌気培養後、菌の生育の有無を外観、におい、顕微鏡を用いて判定した。殺菌力は、菌の生育が見られなかった水性製剤入りの希釈培地の内、最も高い希釈倍率で示された値である。
各例の水性製剤を注出容器から歯周ポケットに注入し、歯周ポケットへの浸入感について、それぞれ「浸入感を非常に感じる」、「浸入感を感じる」、「やや浸入感を感じる」、「浸入感を感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「浸入感を非常に感じる」を4点、「浸入感を感じる」を3点、「浸入感をやや感じる」を2点、「浸入感を感じない」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、浸入感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
各例の水性製剤を注出容器から歯周ポケットに注入し、歯周ポケットへの滞留感について、それぞれ「滞留感を非常に感じる」、「滞留感を感じる」、「やや滞留感を感じる」、「滞留感を感じない」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「滞留浸入感を非常に感じる」を4点、「滞留感を感じる」を3点、「滞留感をやや感じる」を2点、「滞留感を感じない」を1点として、10名の平均点を以下の基準に分類して、滞留感を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
各例の水性製剤を歯周ポケットに注入する際の注入しやすさについて、「非常に注入しやすい」、「注入しやすい」、「やや注入しにくい」、「注入しにくい」の4段階で回答を得た。この回答のうち、「非常に注入しやすい」を4点、「注入しやすい」を3点、「やや注入しやすい」を2点、「注入しにくい」を1点とし、10名の平均点を以下の基準に分類して、操作性を評価した。
◎◎:平均点3.5点以上
◎:平均点3.0点以上3.5点未満
○:平均点2.5点以上3.0点未満
△:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
まず、測定の対象とする試料2mLを試料台に置き、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度、0〜20Pa(30秒)、37℃にて、水との接触前の降伏値を測定した。
次に、測定の対象とする試料2mLを試料台に置き、水200μLを試料に滴下した直後に、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度(コーン型)、0〜20Pa(30秒)、37℃にて、水との接触後の降伏値を測定した。
得られた降伏値から、下記(1)式により降伏値上昇率を求めた。
表1〜3の組成に従い、水に各成分を添加し、攪拌して各例の水性製剤とした。この水性製剤について、浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感を評価し、その結果を表中に示す。なお、浸入性の評価に際しては、各例の水性製剤を下記仕様の容器に収納し、収納した水性製剤を注出しつつ塗布対象に塗布した。
・容器本体:内径19mm、口頸部(高さ10mm、開口部の口径5mm)を有する歯磨用のラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm)、大日本印刷株式会社製
一方、(A)成分を含有しない比較例1は、浸入性が「◎◎」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「×」であった。(B)成分を含有しない比較例2は、浸入性、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「△」であり、降伏値上昇率が94%(水との接触後の降伏値:10.59Pa、水との接触前の降伏値:11.21Pa)であった。(A)成分に換えてA’−2を用いた比較例6は、浸入性が「◎◎」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感がいずれも「×」であった。比較例6は、(B)成分の添加によって、A’−2の膨潤が破壊されたため、降伏値を示さなかった。
水分含量が本発明の下限値未満である比較例3は、製剤溶出抑制が「○」、静置後の口腔内滞留感が「◎◎」であったものの、浸入性が「×」であった。水分含量が本発明の上限値超である比較例4は、浸入性が「○」であったが、製剤溶出抑制が「△」、静置後の口腔内滞留感が「×」であった。
(A)/(B)の質量比が本願発明の下限値未満である比較例9は、浸入性が「○」であったものの、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感が「×」であった。(A)/(B)の質量比が本願発明の上限値超である比較例10は、浸入性が「○」であり、製剤溶出抑制及び静置後の口腔内滞留感が「△」であった。
以上の結果から、本発明を適用した水性製剤は、浸入性と滞留性との両立が図れることが判った。
水性製剤を表4〜5の組成に従い、実施例1と同様にして各例の水性製剤を調製した。この水性製剤について、実施例1と同様にして浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感、殺菌力について評価し、その結果を表中に示す。
表6〜7の組成に従い、水に各成分を添加し、攪拌して各例の水性製剤とした。下記仕様の容器本体の口頸部に、表中の仕様のノズル体(基端の内径は、いずれも5mm)を装着して、図1に示す注出容器1と同様の注出容器を作製した。この注出容器に各例の水性製剤30gを収納して容器入り水性製剤とした。この容器入り水性製剤について、浸入性、製剤溶出抑制、静置後の口腔内滞留感、浸入感、滞留感及び操作性について評価し、その結果を表中に示す。なお、(C)成分を含有する実施例51〜52については、殺菌力を測定した。
・容器本体:内径19mm、口頸部(高さ10mm、開口部の口径5mm)を有する歯磨用のラミネートチューブ(低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm)、大日本印刷株式会社製
2 容器本体
3 ノズル体
Claims (8)
- B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度が20Pa・s以下であるカルボキシビニルポリマー(A)と、窒素を含有する水溶性高分子(B)とを含有する水性製剤であって、
(A)/(B)で表される質量比が0.2〜5、25℃におけるpHが5〜9、水分含量が30〜85質量%であることを特徴とする水性製剤。 - 口腔内用であることを特徴とする、請求項1に記載の水性製剤。
- 水溶性高分子(B)は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性製剤。
- カチオン性殺菌剤(C)を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性製剤。
- キレート剤(D)を含有し、(C)/(D)で表される質量比が0.3〜5であることを特徴とする、請求項4に記載の水性製剤。
- B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、1〜20Pa・sであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性製剤。
- 水と接触することで、降伏値が上昇することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性製剤。
- 請求項2に記載の水性製剤を注出容器に充填してなる容器入り水性製剤であって、
前記注出容器は、前記水性製剤が収納される容器本体と、該容器本体から突出し、前記水性製剤を注出するノズル体とを備えることを特徴とする容器入り水性製剤。
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JP2010283216A JP5663292B2 (ja) | 2010-12-20 | 2010-12-20 | 口腔内用水性液製剤及び容器入り口腔内用水性液製剤 |
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JP2010283216A JP5663292B2 (ja) | 2010-12-20 | 2010-12-20 | 口腔内用水性液製剤及び容器入り口腔内用水性液製剤 |
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