JP2012128342A - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示電極と対向電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、下記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物を含む表示層を形成して表示素子とする。
【選択図】図1
Description
電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比、さらにカラー表示についての要求度が高い。
また、特許文献3、4では、複数の色にそれぞれ着色された粒子を動かすことによってカラー化を行う電気泳動素子が提案されている。しかしながら、これらの方法を用いても多色カラー表示を行うには、原理的に一画素を3分割する必要があることから分割課題の解決にはならず、高い白反射率と高いコントラスト比を同時に満たすことはできない。
電圧を印加することで、その極性に応じて可逆的に酸化・還元反応が起こり、追随して可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色または消色(略、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
また、特許文献7では、電極上に多層にエレクトロクロミック層を形成し、その発色に必要な電圧値や電流値の差を利用して多色を発色させる表示装置が提案されており、異なる色を発色し、かつ、発色する閾値電圧及び発色に必要な必要電荷量が異なる複数のエレクトロクロミック化合物を、積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示装置の例が記載されている。
また、特許文献8では、一対の電極構造体を構成する一方の上にピリジン化合物が吸着されている多孔質電極を有するエレクトロクロミック装置が提案されており、一対の透明電極の間にエレクトロクロミック層(ピリジン化合物)および電解質を挟持した構造単位を複数積層してなる多色表示装置の例が記載されている。
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8の置換基により、エレクトロクロミック化合物の溶媒に対する溶解性を付与することができるので素子作製プロセスが容易になる。また、発色スペクトル(カラー)の調整が可能になる。一方、これらの基により、耐熱性・耐光性などの安定性が低下しやすいので、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下の置換基がよい。
L1、L2のうち少なくとも一方の基は水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基であることが好ましい。このような水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基としては、水酸基に対して水素結合、吸着あるいは化学反応により直接的あるいは間接的に結合可能な官能基であればよく、その構造は限定されるものではないが、好ましい例としては、ホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。
トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。なかでも、導電性または半導体性ナノ構造体への結合力が高いトリアルコキシシリル基、ホスホン酸基が特に好ましい。
また、本発明のエレクトロクロミック化合物はシアン系の発色を呈するが、置換基の効果により、イエロー系やマゼンタ系の発色も可能である。
本発明のエレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、シアン発色を呈し、さらに画像のメモリ性すなわち発色画像保持特性に優れたものとなる。なお、導電性または半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子もしくはナノポーラス構造体等、ナノスケールの凹凸を有する構造体である。
また、本発明のエレクトロクロミック化合物は、シラノール結合を介して前記ナノ構造体と結合されるとき、その結合は強固なものとなり、やはり安定なエレクトロクロミック組成物が得られる。ここで言うシラノール結合とは、ケイ素原子および酸素原子を介した化学結合である。また、該エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシラノール結合を介して結合した構造をしていればよく、特にその結合方法・形態は限定しない。
本発明の表示素子は、表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向設置された対向電極と、前記両電極間に配置された電解質とを備え、前記表示電極の対向電極側の表面に、前記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物を含む表示層を有することを特徴とするものである。
図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。
図1(a)(b)に示すように、本発明の表示素子10、20は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の対向電極2側の表面に、少なくとも本発明に記載のエレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物)4aを含む表示層4を有する。
図1(b)の表示素子において、表示層4は、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いて表示電極1の対向電極2側の表面に形成される。その形成方法は、浸漬、ディッピング法、蒸着法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などどのような方法を用いても構わない。
また、図1(a)のように電解質を溶媒に溶解した溶液構成とし、さらに前記溶液中にエレクトロクロミック化合物を溶解させることも可能である。この場合、エレクトロクロミック化合物は表示電極1表面でのみ酸化還元反応により発消色する。
なお、図1(c)の模式図に示すように、本発明のエレクトロクロミック化合物4aが、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)4a1を有している場合は表示電極1に該吸着基が吸着して、表示層4が形成される。図1(c)において符号4a3は酸化還元発色部、4a2はスペーサ部(分子主骨格部)を示す。
図2に示すように、本発明の表示素子30は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の対向電極2側の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物5aを含む表示層5を有する。また、対向電極2の表示電極1側に、白色粒子からなる白色反射層6を有する。
本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、図1(c)に示すように、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)いわゆる、結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性または半導体性ナノ構造体に結合してエレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成される。
表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いることが望ましい。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略称:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略称:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略称:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOである。
表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
対向基板を構成する材料としては、表示電極1と同様に、ガラスあるいはプラスチックフィルムが望ましい。対向電極2として、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極2が基板を兼ねる。
さらに、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化・還元反応と逆の反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合に、対向電極2が還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合に、対向電極2が酸化反応を起こす材料を対向電極2に含有させると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。
支持塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の塩を用いることができる。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、CF3SO3Li、CF3COOLi、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルフォン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、ポリマー電解質に白色顔料粒子を混合することによって、白色反射層を兼ねることもできる。
<エレクトロクロミック化合物[化合物(4)]の合成>
〈a〉中間体(4−1)の合成
200ml三つ口フラスコに、2,7−ジブロモ−9,9−ジブチルフルオレン 1.309g(3mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン 2.707g(13.2mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.694g(0.6mmol)、相間移動触媒として、Aliquat336(アルドリッチ社製)0.160g(0.4mmol)を加え、アルゴンガス置換した後、アルゴンガスにて脱気した1,4−ジオキサン45mlおよび1M−炭酸カリウム水溶液22mlを順次加え、110℃で1.5時間還流したのち、反応溶液を室温に戻してから、酢酸エチルおよび水を加えた。この溶液を分液ろうとに移し、有機層を水洗および飽和食塩水洗浄した後、この有機層に無水硫酸ナトリウムを加え室温にて1時間撹拌して脱水したのち、次いで、パラジウムスカベンジャーシリカゲル(アルドリッチ社製)を3g加え室温にて1時間撹拌し、有機層中の残留パラジウムを除去した。上記乾燥剤およびシリカゲルを濾別した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトン=4/1)により精製し、目的物(9,9−ジブチル−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン)[下記式(4−1)で示される中間体(4−1)]を得た。収量0.91g、収率70%。
25ml三つ口フラスコに、上記で得られた9,9−ジブチル−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン 0.260g(0.60mmol)、および4−ブロモベンジルホスホン酸 0.556g(2.10mmol)、ジメチルホルムアミド 3.0mlを加え、90℃で2時間反応させた。室温に戻した後、この溶液を水/2−プロパノールの混合溶媒中に排出し、次いで、得られた固形分を2−プロパノール中に分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥して目的物[下記式(4)で示されるエレクトロクロミック化合物(4)]を得た。収量0.38g、収率66%
<エレクトロクロミック化合物[化合物(7)]の合成>
〈a〉中間体(7−1)の合成
200ml三つ口フラスコに、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン 1.645g(3mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン 2.707g(13.2mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.694g(0.6mmol)、相間移動触媒として、Aliquat336(アルドリッチ社製)0.180g(0.45mmol)を加え、アルゴンガス置換した後、アルゴンガスにて脱気したテトラヒドロフラン45mlおよび1M-炭酸カリウム水溶液22mlを順次加え、75℃で2.5時間還流したのち、反応溶液を室温に戻してから、酢酸エチルおよび水を加えた。この溶液を分液ろうとに移し、有機層を水洗および飽和食塩水洗浄した後、この有機層に無水硫酸ナトリウムを加え室温にて1時間撹拌して脱水したのち、次いで、パラジウムスカベンジャーシリカゲル(アルドリッチ社製)を3g加え室温にて1時間撹拌し、有機層中の残留パラジウムを除去した。上記乾燥剤およびシリカゲルを濾別した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトン=4/1)により精製し、目的物(9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン)[下記式(7−1)で示される中間体(7−1)]を得た。収量1.31g、収率80%
25ml三つ口フラスコに、上記で得られた9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン 0.333g(0.61mmol)、および4−ブロモベンジルホスホン酸 0.556g(2.10mmol)、ジメチルホルムアミド 3.0mlを加え、90℃で2時間反応させた。室温に戻した後、この溶液を水/メタノールの混合溶媒中に排出し、次いで、得られた固形分をメタノール/2−プロパノールの混合溶媒中に分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥して目的物[下記構造式(7)で示されるエレクトロクロミック化合物]を得た。収量0.55g、収率84%
<エレクトロクロミック化合物[化合物(8)]の合成>
〈a〉中間体(8−1)の合成
100ml三つ口フラスコに、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(2−エチルヘキシル)フルオレン 0.548g(1mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン 0.902g(4.4mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.231g(0.2mmol)、相間移動触媒として、Aliquat336(アルドリッチ社製)0.04g(0.1mmol)を加え、アルゴンガス置換した後、アルゴンガスにて脱気したテトラヒドロフラン15mlおよび1M-炭酸カリウム水溶液7.2mlを順次加え、75℃で4.5時間還流したのち、反応溶液を室温に戻してから、酢酸エチルおよび水を加えた。この溶液を分液ろうとに移し、有機層を水洗および飽和食塩水洗浄した後、この有機層に無水硫酸ナトリウムを加え室温にて1時間撹拌して脱水したのち、次いで、パラジウムスカベンジャーシリカゲル(アルドリッチ社製)を1.5g加え室温にて1時間撹拌し、有機層中の残留パラジウムを除去した。上記乾燥剤およびシリカゲルを濾別した後、溶媒を減圧留去した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、目的物(9,9−ジ(2−エチルヘキシル)−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン)[下記式(8−1)で示される中間体(8−1)]を得た。収量0.43g、収率79%
25ml三つ口フラスコに、上記で得られた9,9−ジ(2−エチルヘキシル)−2,7−ビス(4−ピリジル)フルオレン 0.430g(0.790mmol)、および4−ブロモベンジルホスホン酸 0.732g(2.76mmol)、ジメチルホルムアミド 3.5mlを加え、90℃で3時間反応させた。室温に戻した後、この溶液を水/メタノールの混合溶媒中に排出し、次いで、得られた固形分を水中に分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥して目的物[下記式(8)で示されるエレクトロクロミック化合物(8)]を得た。収量0.53g、収率62%
〔エレクトロクロミック表示素子の作製および評価〕
(a)表示電極及びエレクトロクロミック表示層の形成
まず、縦横30mm×30mm、厚さ1mmのガラス基板を準備し、その上面の16mm×23mmの領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、表示電極1を形成した。この表示電極1の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、表示電極が形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって酸化チタン粒子膜を形成し、引き続いて、実施例1にて合成した前記化合物(4)のエレクトロクロミック化合物を2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに1wt%溶解した溶液を塗布液として用い、スピンコート法により塗布したのち120℃で10分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させた表示層5を形成した。
なお、作製のエレクトロクロミック表示素子の構成は図2の構成に準ずる(白色反射層は除く)ものである。
次に、前記ガラス基板とは別に縦横30mm×30mm、厚さ1mmのガラス基板を準備し、ガラス基板の上面の全面に、ITO膜をスパッタ法により約150nmの厚さになるように成膜することによって、対向電極2を形成した。更に、透明導電性薄膜が全面に形成されたガラス基板の上面に、熱硬化性の導電性カーボンインクとしてCH10(商品名:十条ケミカル社製)に酢酸2エトキシエチルを25wt%添加して調製した溶液をスピンコート法により塗布し、120℃15分間アニール処理を行うことによって、対向電極を形成した。
表示基板と対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製)を35wt%分散させ、電解質溶液を調製し、セル内に封入することで実施例4のエレクトロクロミック表示素子(30)を作製した。
作製した実施例4のエレクトロクロミック表示素子について、発消色の評価を実施した。発消色の評価は、大塚電子株式会社製分光測色計LCD―5000を用いて拡散光を照射することにより行った。
表示素子の表示電極1に負極を、対向電極2に正極を接続し、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はシアンを発色した。さらに逆電圧−4.5V(表示電極1:正極、対向電極2:負極)を2秒印加したところ完全に消色し、白色にもどった。発色時の光吸収スペクトルを図3に示す。
さらに、発色電圧(表示電極1:負極、対向電極2:正極)3.0Vにて1秒印加してシアンを発色させ、電源オフ後300秒においても発色状態が保持された。すなわち、実施例4で作製した表示素子は、シアン発色が可能であり、画像保持性にも優れていた。
実施例4において用いた前記化合物(4)のエレクトロクロミック化合物を、前記化合物(7)のエレクトロクロミック化合物に変えて用いた以外は実施例4と同様にして実施例5のエレクトロクロミック表示素子を作製した。実施例5の表示素子を用いて実施例4と同様に発消色試験を実施した結果、シアン発色が可能であり、画像保持性にも優れていた。
実施例4において用いた前記化合物(4)のエレクトロクロミック化合物を、前記化合物(8)のエレクトロクロミック化合物に変えて用いた以外は実施例4と同様にして実施例6のエレクトロクロミック表示素子を作製した。実施例6の表示素子を用いて実施例4と同様に発消色試験を実施した結果、シアン発色が可能であり、画像保持性にも優れていた。
実施例4と同様に表示電極およびエレクトロクロミック表示層を形成したガラス基板を用意し、石英セルに入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス株式会社:RE−7)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた電解液でセル内を満たした。
この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧を印加したところ、シアン色に発色することが確認された。
実施例2で合成した前記式(7−1)で示される中間体に臭化エチルを反応させることにより、下記構造式(11)で示されるエレクトロクロミック化合物を合成した。
過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた電解液に前記エレクトロクロミック化合物溶液を50wt%添加し、縦横30mm×30mmのSnO2導電膜付きガラス基板(AGC:ファブリテック社)を表示基板と対向基板として75μmのスペーサを介して貼り合わせたセルに封入することで実施例8のエレクトロクロミック表示素子(10)(図1参照)を作製した。
<発消色試験>
作製した表示素子に3.0Vの電圧(表示基板側の電極:負極、対向基板側の電極:正極)を2秒印加したところ、表示素子はシアン発色した。さらに逆電圧−3.0V(表示基板側の電極:正極、対向基板側の電極:負極)を4秒印加したところ完全に消色し透明にもどった。
実施例4において用いた前記化合物(4)のエレクトロクロミック化合物を、公知のエレクトロクロミック化合物である下記構造式(A)で示されるビオロゲン化合物に変えて用いた以外は実施例4と同様にして比較例1のエレクトロクロミック表示素子を作製した。
<発消色試験>
比較例1の表示素子の表示電極1に負極を、対向電極2に正極を接続し、3.0Vの電圧を印加したときの発色状態における吸収スペクトルを図4に示す。図4からわかるように、極大吸収は600nm付近にあるため、青色発色となっている。すなわち、シアン発色が実現できない。
実施例4において用いた前記化合物(4)のエレクトロクロミック化合物を、公知のエレクトロクロミック化合物である下記構造式(B)で示される化合物に変えて用いた以外は実施例4と同様にして比較例2のエレクトロクロミック表示素子を作製した。
比較例2の表示素子を用いて実施例4と同様に発消色試験を実施した。
<発消色試験>
比較例2の表示素子の表示電極1に負極を、対向電極2に正極を接続し、3.0Vの電圧を印加したときの発色状態における吸収スペクトルを図4に示す。図4からわかるように、長波長領域での極大吸収は650nm付近にあるものの、500nm以下にも吸収帯があることから、緑色発色となっている。すなわち、シアン発色が実現できない。
すなわち、本発明のエレクトロクロミック化合物は、フルカラー化に必要な3原色の一つとして有用であり、これを用いた表示素子は、例えば、書き換えが可能なペーパーライクな装置技術として重要である。
1 表示電極
2 対向電極
3 電解質
4 表示層
4a3 官能基(吸着基)
4a1 酸化・還元発色部
4a2 スペーサ部(分子主骨格部)
4a エレクトロクロミック化合物
10、20 表示素子
(図2の符号)
1 表示電極
2 対向電極
3 電解質
5 表示層
5a エレクトロクロミック組成物
6 白色反射層
30 表示素子
Claims (7)
- 下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
- 前記L1、L2のうち少なくとも一方の基は水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物。
- 前記水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、およびモノアルコキシシリル基から選択される基であることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック化合物。
- 前記1価のアニオンが、Br−、Cl−、ClO4 −、PF6 −、BF4 −、およびCF3SO3 −から選択されるイオンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物が導電性または半導体性ナノ構造体に結合または吸着されてなることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
- 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向設置された対向電極と、前記両電極間に配置された電解質とを備え、前記表示電極の対向電極側の表面に、請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物を含む表示層を有することを特徴とする表示素子。
- 前記表示層が、請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物であることを特徴とする請求項6に記載の表示素子。
Priority Applications (1)
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