JP2016060699A - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子及び調光素子 - Google Patents

エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子及び調光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】黄色に発色し、消色時には可視域に吸収帯を持たずに消色状態が無色であるエレクトロクロミック化合物・組成物・調光素子の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物。
Figure 2016060699

(RはF等で置換されたアルキル基、RはH等、X〜Xは各々独立にH、置換/無置換の芳香族炭化水素基、置換/無置換のアルキル基又はハロゲン;Y〜Yは各々独立に、H、置換/無置換のアルキル基又は置換/無置換のアルコキシ基;L〜Lは各々独立に置換/未置換の一価の官能基)
【選択図】図1

Description

本発明は、発色時に黄色発色を呈するエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、および該エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を用いた表示素子及び調光素子に関するものである。
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。
電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。
例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。
このうち、特に表示品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比、さらにカラー表示についての要求度が高い。
これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、例えば反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式などが提案されている。
しかしながら、上記のいずれの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。
一般に、多色カラー表示を行うためには、カラーフィルタが設けられる。しかし、カラーフィルタを設けるとカラーフィルタ自身が光を吸収し、反射率が低下してしまう。
さらに、カラーフィルタは、一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割するため、表示装置の反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。
白反射率・コントラスト比が大幅に低下した場合は、視認性が非常に悪くなり、電子ペーパーとして用いることが困難である。
特許文献1,2では、電気泳動素子にカラーフィルタを形成した反射型カラー表示媒体が開示されている。しかし、低い白反射率、低いコントラスト比の電気泳動を用いた表示媒体にカラーフィルタを形成しても良好な画質が得られないことは明白である。
さらに、特許文献3,4では、複数の色にそれぞれ着色された粒子を動かすことによってカラー化をおこなう電気泳動素子が開示されているが、これらの方法を用いることによっては、原理的に、高い白反射率と高いコントラスト比を同時に満たすという、上記の課題を解決することはできない。
一方、上記のようなカラーフィルタを設けず、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。エレクトロクロミック現象は、電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象である。
このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色ということがある)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
しかし、エレクトロクロミック表示装置には、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点がある。
特許文献5では、エレクトロクロミック化合物を電極近傍に固定させることによって発消色の応答速度の改善を図った例が記載されている。特許文献5の記載によれば、従来、発消色に要する時間は数10秒程度であったが、無色から青色への発色時間、青色から無色への消色時間がともに1秒程度まで向上したとされる。
しかし、これで十分というわけではなく、エレクトロクロミック表示装置の研究開発に際しては、さらなる発消色の応答速度の向上が必要である。
エレクトロクロミック表示装置は、エレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色カラー表示装置として期待されている。原理的に無色の状態と、カラー発色状態とを可逆的に変化させることができるため、積層多色構成が実現できる。
積層構成でのカラー表示では、従来技術のように一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割する必要がないため、表示装置の反射率、コントラスト比が低下しない。
このような、エレクトロクロミック表示装置を利用した多色表示装置としては、いくつか公知になっている例がある。
例えば、特許文献6では、複数種のエレクトロクロミック化合物の微粒子を積層したエレクトロクロミック化合物を用いた多色表示装置が開示されている。具体的には、発色を示す電圧の異なる複数の機能性官能基を有する高分子化合物であるエレクトロクロミック化合物を複数積層し、多色表示エレクトロクロミック化合物とした多色表示装置の例が記載されている。
また、特許文献7では、電極上に多層のエレクトロクロミック層を形成し、その発色に必要な電圧値や電流値の差を利用して多色を発色させる表示装置が開示されている。具体的には、異なる色を発色し、かつ、発色する閾値電圧及び発色に必要な必要電荷量が異なる複数のエレクトロクロミック化合物を、積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示装置の例が記載されている。
さらに、特許文献8では、一対の透明電極の間にエレクトロクロミック層及び電解質を挟持した構造単位を、複数積層してなる多色表示装置の例が記載されている。また、特許文献9では、特許文献8に記載された構造単位を用いて、パッシブマトリクスパネル及びアクティブマトリクスパネルを構成し、RGB3色に対応する多色表示装置の例が記載されている。
しかし、特許文献5,6及び特許文献7に記載されるエレクトロクロミック表示装置に用いられるスチリル系色素は、良好なイエロー、マゼンタ、シアン発色をするが、発消色の安定性や繰り返し耐久性に大きな問題がある。
また、特許文献8,9,10に例示されているビオロゲン系有機エレクトロクロミック化合物は、安定性や繰り返し耐久性が高い化合物であるが、青色、緑色といった色を発色するものであって、減法混色法によるフルカラー化に必要な、イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を発色するものではない。
イエロー、マゼンタ、シアンを発色するフタル酸系化合物が特許文献11に報告されている。しかしながら、フタル酸系化合物は溶解性に欠しく、駆動電圧が高いという課題がある。
上記のエレクトロクロミック化合物は、共役系が発達した色素であるために吸収帯が長波長化しやすく、特に、短波長の吸収帯をもつイエローに発色する色素の開発は困難であった。
このようにフルカラー電子ペーパーを実現するために満足なエレクトロクロミック化合物は未だ存在せず、発消色の各状態の色調、耐久性、安定性に優れた材料の出現が望まれている。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、黄色に発色し、消色時には可視域に吸収帯を持たずに消色状態が無色であるエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物(エレクトロクロミック化合物が導電性または半導体性ナノ構造体に結合または吸着されてなるエレクトロクロミック組成物)、および該エレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物を用いた、高い白反射率、高いコントラストを有する表示素子、若しくは、高い透過率、高いコントラストを有する調光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造を有するエレクトロクロミック化合物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題を解決するための本発明に係るエレクトロクロミック化合物は、具体的には下記[1]に記載の技術的特徴を有する。
[1]「下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物;
Figure 2016060699
(式中、Rはハロゲンまたはフッ素で置換されたアルキル基、Rは水素、ハロゲン、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、X〜Xは、それぞれ独立に水素、置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、置換あるいは無置換のアルキル基またはハロゲン、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアルコキシ基、L〜Lは、それぞれ独立に一価の官能基であり置換基を有していてもよい。)」。
本発明によれば、繰り返し耐久性に優れ、発色時に鮮やかなイエロー色を示し、かつ、消色時の色づきが少ないエレクトロクロミック化合物を得ることができる。また、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いることで、高い白反射率、高いコントラストを有す表示素子を提供することができる。さらに、高い透明性、高いコントラストを有する調光素子を提供することができる。
本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子、および調光素子の構成例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な調光素子の構成例を示す概略図である。 実施例5で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。 実施例6で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。 実施例7で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。 比較例1で作製した(比−1)を用いたエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。 比較例2で作製した(比−2)を用いたエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のエレクトロクロミック化合物で上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るエレクトロクロミック化合物は、下記構造式(I)で表されることを特徴とする。
Figure 2016060699
(式中、Rはハロゲンまたはフッ素で置換されたアルキル基、Rは水素、ハロゲン、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、X〜Xは、それぞれ独立に水素、置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、置換あるいは無置換のアルキル基またはハロゲン、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアルコキシ基、L〜Lは、それぞれ独立に一価の官能基であり置換基を有していてもよい。)
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、上記[1]に記載の「エレクトロクロミック化合物」に係るものであるが、この「エレクトロクロミック化合物」は、以下の[2]〜[4]に記載の態様を包含する。また、次の[5]〜[7]に記載の「エレクトロクロミック組成物」、「表示素子」および「調光素子」をも包含するので、これらについても併せて詳細に説明する。
[2]「前記R〜R、X〜X、Y〜Y、L〜Lのうち少なくとも一つが、水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする、前記[1]に記載のエレクトロクロミック化合物」。
[3]「前記L〜Lのうち少なくとも一つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする、前記[2]に記載のエレクトロクロミック化合物」。
[4]「前記水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、シリル基又はシラノール基から選択される基であることを特徴とする前記[3]に記載のエレクトロクロミック化合物」。
[5]「前記[1]乃至[4]のいずれか1に記載のエレクトロクロミック化合物と導電性または半導体性ナノ構造体が結合または吸着されてなることを特徴とするエレクトロクロミック組成物」。
[6]「表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも前記[1]乃至[4]のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記[5]に記載のエレクトロクロミック組成物を含む表示層のいずれかを有することを特徴とする表示素子」。
[7]「表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも前記[1]乃至[4]のいずれか1に記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記[5]に記載のエレクトロクロミック組成物のいずれかを有する素子であって、表示電極、対向電極、電解質が透明であることを特徴とする調光素子」。
[エレクトロクロミック化合物]
上記一般式(I)において、Rのハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられ、安定性の観点からはフッ素が好ましい。
また、フッ素で置換されたアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、その他のパーフルオロアルキル基などのフッ素置換されたアルキル基があげられる。
の具体例としては、Rであげたハロゲンあるいはフッ素で置換されたアルキル基の他に、フェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基、または、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基があげられ、これらは分岐構造、環状構造を有していても良い。
〜X、Y〜Yの具体例としては、上記R、Rで示した、芳香族炭化水素基、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換されたアルキル基等があげられ、これらで表される基により、発色スペクトル(カラー)の微調整が可能になる。
一般式(I)で表わされる本発明のエレクトロクロミック化合物は、ピリジニウム構造を有する。ピリジニウム構造は一価のカチオンであるため、一般式(I)で表わされる本発明のエレクトロクロミック化合物には、対アニオンが存在している。対アニオンは、ピリジニウム構造のカチオン部と安定に対を成すものであれば特に限定されるものではないが、アニオンの一例を挙げると、Brイオン、Clイオン、ClOイオン、PFイオン、BFイオン、CFSOイオン等が挙げられる。
一般式(I)における、L〜Lの具体例としては、環員窒素原子に直接結合する官能基、または二価の炭化水素残基を介して間接的に結合する一価の官能基であり、該炭化水圧制素残基は置換基を有していてもよい。該二価の炭化水素残基としては、置換基を有していてもよいアルキレ二ル基、置換基を有していてもよいアルケレニル基、置換基を有していてもよいアルキレニル基、置換基を有していてもよいアリーレニル基などが挙げられる。また、該二価の炭化水素残基の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。複数のLの中の少なくとも一つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基であっても良い。このような、水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基としては、例えば、それ自身が水酸基を有し環員窒素元素に直接的または前記二価の炭化水素残基を介して間接的に結合する官能基、簡単に水酸基に変化し得る(例えば湿気により容易に水酸基に加水分解し得る強ルイス酸基)であっても良い。
すなわち、水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基の具体例としては、水酸基に対して水素結合、吸着あるいは化学反応により直接的あるいは間接的に結合可能な官能基であればよく、その構造は限定されるものではないが、好ましい例としてはホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。
なかでも、後述する導電性または半導体性ナノ構造体への結合力が高いトリアルコキシシリル基、ホスホン酸基が特に好ましい。
これら水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基は本発明のエレクトロクロミック化合物の分子中のどこに配置されていても構わないが、合成上の制約が少なくなる観点からは、一般式(I)中のLの部位に有することが好ましい。
なお、本発明のエレクトロクロミック化合物は、対称的な構造となるようなX〜X12であることが、その合成の容易さおよび安定性向上の面から望ましい(very good explanations)。
[エレクトロクロミック化合物の合成]
一般式(I)で示される本発明のエレクトロクロミック化合物の製造方法について詳細に説明する。
本化合物は、例えば一般式(III)で示されるピリミジン誘導体と、例えば一般式(IV)で示されるフェニルピリジン化合物を、パラジウム触媒またはニッケル触媒等を用いて適当な溶媒中でクロスカップリング反応することにより得ることができる。これらの反応は、鈴木−宮浦クロスカップリング、Stilleカップリング等、公知の方法が利用できる。
Figure 2016060699
(一般式(III)中、RおよびRは前述と同様の範囲である。Halはハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子または臭素原子またはヨウ素原子である。)
Figure 2016060699
(上記一般式(IV)中、X〜X、及び、Y〜Yは前述と同様の範囲である。Zはボロン酸基、ボロン酸エステル基またはトリアルキルスタニル基等のようなカップリングに活性な置換基を表す。)
続けて上記反応によって得られた化合物に対して、化合物A−Bを適切な溶媒中で反応させることにより、本願発明のエレクトロクロミック化合物を合成することができる。
ここで、Aはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基から選択される官能基を有していてもよい一価の基が挙げられ、これら一価の基は置換基を有していてもよい。Bはハロゲン原子または、トシル基、メシル基、トリフィル基等が好ましい。
置換基Aを適切に変更することで化合物の溶解性や、担持粒子への吸着能を制御することができる。また、Bを適切に変更することでピリジン環への4級塩化反応の効率を制御することができる。
上記反応に用いる溶媒としては、特に制限されることはないが好ましくは極性溶媒であり、特に好ましくは、非プロトン性極性溶媒である。具体的には、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
反応後の粗生成物の精製は、具体的には、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿など各種既存の精製方法で行うことができる。
[エレクトロクロミック組成物]
また、本発明に係るエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物[前記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物]に導電性または半導体性ナノ構造体が結合されてなることを特徴とするものである。
本発明のエレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、黒色発色を呈しさらに画像のメモリ性すなわち発色画像保持特性に優れたものとなる。なお、導電性または半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子もしくはナノポーラス構造体等、ナノスケールの凹凸を有する構造体である。
前述のようにAの少なくとも一方の基が水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有する場合、例えば、本発明のエレクトロクロミック化合物が、結合または吸着構造としてスルホン酸基またはリン酸基あるいはカルボキシル基を有するとき、該エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れたエレクトロクロミック組成物となる。上記スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基はエレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基又はシラノール基を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、やはり安定なエレクトロクロミック組成物が得られる。ここで言うシロキサン結合とは、ケイ素原子および酸素原子を介した化学結合である。また、該エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、特にその結合方法・形態は限定しない。
前記導電性または半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性や導電性の面から金属酸化物が好ましい。このような金属酸化物の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン等の金属酸化物から選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れる。
前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子であることが好ましい。粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上し、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という。)が大きい形状が用いられる。
大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示が可能である。ナノ構造の比表面積は、特に限定されるものではないが、例えば、100m/g以上とすることができる。
[エレクトロクロミック表示素子]
次に、本発明に係る表示素子について説明する。
本発明の表示素子は、表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の対向電極側の表面に、前記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物を含む表示層を有することを特徴とするものである。
一般式(I)で表される本発明のエレクトロクロミック化合物の具体例を下記に示すが、本発明のエレクトロクロミック化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2016060699
図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。図1に示すように、本発明の表示素子10は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置し,少なくとも本発明の記載のエレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物)4を溶解させた電解質3とを備える。本表示素子ではエレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。
図2に本発明のエレクトロクロミック化合物を用いたもう1つの一般的な表示素子の構成例を示す。
本発明の表示素子20は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物4aを含む表示層5を有する。また、対向電極2の表示電極1側に、白色粒子からなる白色反射層6を有する。
本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)、いわゆる、結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性または半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成されている。
以下、本発明の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示素子10、20に用いられる構成材料について説明する。
表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いることが望ましい。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
対向電極2としては、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明導電膜、あるいは亜鉛、白金等の導電性金属膜、さらにはカーボンなどが用いられる。対向電極2も一般的には対向基板(符号は不表示)上に形成する。対向電極基板もガラス、あるいはプラスチックフィルムが望ましい。対向電極2として、チタン、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極2が基板を兼ねる。
さらに、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。
電解質3を構成する材料としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的な例としては、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、CFSOLi、CFCOOLi、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
また、本発明の表示素子を反射型表示素子として用いる場合、図2に示すように、表示電極1と対向電極2の間に白色反射層6を設けることが望ましい。白色反射層6としては、白色顔料粒子を樹脂に分散させ対向電極2上に塗布することが最も簡便な作製方法である。
白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、ポリマー電解質に白色顔料粒子を混合することによって、白色反射層を兼ねることもできる。
表示素子10、20の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示素子を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
[エレクトロクロミック調光素子]
本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な調光素子の構成例の一つは、図1に示した表示素子と同様の素子構成により提供される。図1に示すように、本発明の調光素子30は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置し,少なくとも本発明の記載のエレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物)4を溶解させた電解質3とを備える。本調光素子ではエレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。調光素子では、素子全体の透明度が特に重要である。
図3に本発明のエレクトロクロミック化合物を用いたもう1つの一般的な調光素子の構成例を示す。
本発明の調光素子30は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物4aを含む表示層5を有する。
本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)、いわゆる、結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性または半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成されている。
以下、本発明の実施の形態に係るエレクトロクロミック調光素子30に用いられる構成材料について説明する。
表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いる必要がある。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
対向電極2も、表示電極1同様に、透明導電基板を用いる必要がある。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnO である。
これも表示電極1同様に、対向電極2を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
さらに、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。
電解質3を構成する材料としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。調光素子の場合、特に、電解質3は無色透明である必要がある。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的な例としては、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、CFSOLi、CFCOOLi、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
調光素子30の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な調光素子を作製することができる。また、透明なアクティブ駆動素子を用いれば高精細、かつ高速な調光をおこなうことができる。例えば、透明なアクティブ駆動素子としてはIGZOをはじめとする透明酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタなどが挙げられる。
以下、実施例にて本発明のエレクトロクロミック化合物及びエレクトロクロミック組成物、並びにそれらを用いた表示素子について説明する。
[実施例1:エレクトロクロミック化合物(実−1)(表1中の構造式(3)の化合物)の合成]
以下のスキーム(1)に従い、エレクトロクロミック化合物(実−1)を合成した。
Figure 2016060699
フラスコに、2,4,6−トリクロロピリミジン1.83g、上記スキーム(1)に示されるボロン酸エステル5.65g、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.35gを入れアルゴン置換した。トルエン100mlおよび、2M炭酸カリウム水溶液20mlを加えて50℃で5時間撹拌した。反応溶液を食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、無色の固体を得た。収率40%。さらに、得られた固体を3倍モルのブロモオクチルホスホン酸と、DMF溶媒存在下、90℃で4時間撹拌することにより、無色の固体として(実−1)を得た。収率60%。
[実施例2;エレクトロクロミック化合物(実−2)(表1中の構造式(7)の化合物)の合成]
以下のスキーム(2)に従い、2,4,6−トリクロロピリミジンを、4,6−ジクロロ−2−トリフルオロメチルピリミジンに変えた以外は実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−2)を無色の固体として得た。
Figure 2016060699
[実施例3;エレクトロクロミック化合物(実−3)(表1中の構造式(7)の化合物)の合成]
以下のスキーム(3)に従い、2,4,6−トリクロロピリミジンを、4,6−ジクロロ−2−トリフルオロメチルピリミジンに、ボロン酸エステルをジフルオロ置換ボロン酸エステルに変えた以外は実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−3)を無色の固体として得た。
Figure 2016060699
[実施例4;エレクトロクロミック表示素子1の作製]
(a)表示電極及びエレクトロクロミック表示層の形成
まず、30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の16mm×23mmの領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、表示電極1を形成した。この表示電極1の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、表示電極1が形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製 SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成し、引き続いて、実施例1にて合成したエレクトロクロミック化合物(実−1)の1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させた表示層4を形成した。
(b)対向電極の形成
一方、先ほどのガラス基板とは別に30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の全面に、ITO膜をスパッタ法により約150nmの厚さになるように成膜することによって、対向電極2を形成した。更に、透明導電性薄膜が全面に形成されたガラス基板の上面に、熱硬化性の導電性カーボンインク(十条ケミカル社製 CH10)に酢酸2−エトキシエチルを25wt%添加して調製した溶液をスピンコート法により塗布し、120℃15分間アニール処理を行うことによって、対向電極2を形成した。
(c)エレクトロクロミック表示装置の作製
表示基板1と対向基板2を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製 CR50)を35wt%分散させ、電解質溶液を調製し、セル内に封入することでエレクトロクロミック化合物(実−1)を用いた表示素子を作製した。
[作製したエレクトロクロミック表示素子1の発消色試験]
実施例4で作製したエレクトロクロミック表示素子について、発消色の比較評価を実施した。
発消色の評価は、大塚電子株式会社製分光測色計LCD―5000を用いて拡散光を照射することにより行った。
表示素子の表示電極1に負極を、対向電極2に正極を繋ぎ、2.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子は良好な黄色を発色した。
実施例2のエレクトロクロミック色素は消色時の色づきがほとんどなく、また発色時は明確なイエロー発色を示すことが確認できた。
また、本発明の実施例4で作製した素子は発色電圧(2.0V 2秒)印加後、電源オフ後300秒においても発色状態が保持された。
石英セルに実施例4で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極を入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス株式会社 RE−7)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%となるように溶解させた電解液でセル内を満たした。この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを図4に示す。電圧印加前の消色状態では400nm〜800nmの可視域全体でほとんど吸収がなく透明であった。次いで、ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、極大吸収波長が450〜500nmの鮮明な黄色を発色した。
[実施例5]
化合物(実−2)を化合物(実−1)に変えた以外は実施例4と同様の方法により、エレクトロクロミック表示装置を作製し、同様に石英セルにて吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを図5に示す。(実−1)と同様に、電圧印加前の消色状態では400nm〜800nmの可視域全体でほとんど吸収がなく透明であった。次いで、ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、極大吸収波長が450〜500nmの鮮明な黄色を発色した。
[実施例6]
化合物(実−2)を化合物(実−3)に変えた以外は実施例4と同様の方法により、エレクトロクロミック表示装置を作製し、同様に石英セルにて吸収スペクトルを測定した。同様に、電圧印加前の消色状態では400nm〜800nmの可視域全体でほとんど吸収がなく透明であった。次いで、ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.XV電圧印加したところ、極大吸収波長が400〜450nmの鮮明な黄色を発色した。
[比較例1]
一般式(I)において、Rの部位にメチル基を有する以下に示す化合物を合成し、実施例4〜実施例6と同様の方法によりこれら化合物のエレクトロクロミック反応挙動を測定した。
Figure 2016060699
[比較例2]
一般式(I)において、Rの部位にフェニル基を有する以下に示す化合物を合成し、実施例4〜実施例6と同様の方法によりこれら化合物のエレクトロクロミック反応挙動を測定した。
Figure 2016060699
これら比較例1、比較例2の場合のエレクトロクロミック反応に伴う吸収スペクトル変化を、図7および図8に示す。化合物(比−1)および(比−2)の消色体は可視域に吸収がなく透明であったが、エレクトロミック反応に伴い、可視部全域に吸収帯が出現し、黄色ではなく黒色を発色した。
特開2003−161964号公報 特開2004−361514号公報 特表2004−520621号公報 特表2004−536344号公報 特表2001−510590号公報 特開2003−121883号公報 特開2006−106669号公報 特開2003−270671号公報 特開2004−151265号公報 特開2008−122578号公報 特開2006−71767号公報

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
    Figure 2016060699
    (式中、Rはハロゲンまたはフッ素で置換されたアルキル基、Rは水素、ハロゲン、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、X〜Xは、それぞれ独立に水素、置換あるいは無置換の芳香族炭化水素基、置換あるいは無置換のアルキル基またはハロゲン、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素、置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアルコキシ基、L〜Lは、それぞれ独立に一価の官能基であり置換基を有していてもよい。)
  2. 前記R〜R、X〜X、Y〜Y、L〜Lのうち少なくとも一つが、水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする、請求項1記載のエレクトロクロミック化合物。
  3. 前記L〜Lのうち少なくとも一つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする、請求項2記載のエレクトロクロミック化合物。
  4. 前記水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、シリル基又はシラノール基から選択される基であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック化合物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載のエレクトロクロミック化合物と導電性または半導体性ナノ構造体が結合または吸着されてなることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
  6. 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物のいずれかを含む表示層を有することを特徴とする表示素子。
  7. 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも請求項1乃至4のいずれか1に記載のエレクトロクロミック化合物、又は請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物のいずれかを有する素子であって、表示電極、対向電極、電解質が透明であることを特徴とする調光素子。
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