JP5900813B2 - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及び表示素子 - Google Patents
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Description
電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比、さらにカラー表示についての要求度が高い。
さらに、特許文献3,4では、複数の色にそれぞれ着色された粒子を動かすことによってカラー化をおこなう電気泳動素子が開示されているが、これらの方法を用いても原理的には上記したような反射率・コントラストの問題の解決にはならず、高い白反射率と高いコントラスト比を同時に満たすことは出来ない。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
また、シアン発色は長波長領域にシャープな吸収を持たなければならず、シアン発色可能でかつ安定に発消色可能なエレクトロクロミック化合物はこれまで得られていない。
さらに、可視光の全波長域に吸収をもつブラックを発色するエレクトロクロミック化合物もこれまで得られていない。ブラック発色するエレクトロクロミック化合物があればコントラストの高いモノクロ表示素子を作製することができる。
またさらに、特許文献8,9,10では、スチリル系色素を用いることによりYMC系の発色を可能としているが、発消色の安定性や繰り返し耐久性に問題があった。
(I):下記一般式(D)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物である。
(II):導電性または半導体性を有するナノ粒子と、該ナノ粒子に結合または吸着されている下記一般式(A)〜(D)で表される化合物を含むエレクトロクロミック化合物と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物である。
前記表示電極における前記対向電極との対向面に表示層を有し、
該表示層は、少なくとも上記(I)に記載のエレクトロクロミック化合物、または上記(II)に記載のエレクトロクロミック組成物を含むことを特徴とする表示素子である。
本発明に係るエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表されることを特徴とする。
水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基としては、水酸基に対して水素結合、吸着あるいは化学反応により直接的あるいは間接的に結合可能な官能基であればよく、その構造は限定されるものではないが、好ましい例としてはホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。
なかでも、(後述する)導電性または半導体性ナノ構造体への結合力が高いトリアルコキシシリル基、ホスホン酸基が特に好ましい。
次に、本発明に係る表示素子について説明する。
図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。図1(a)及び図1(b)に示されるように、本発明の表示素子10、20は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極1,2(表示電極1、対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の対向電極2側(対向電極2との対向面側)の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック化合物5aを含む表示層4aを有する。
対向電極2として、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極2が基板を兼ねる。
さらに、対向電極2の材料が、表示層4のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層4における発消色の反応がより安定となる。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的に、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、CF3SO3Li、CF3COOLi、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、等が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。たとえば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
(A)構造式8の中間体8の合成
窒素で置換した反応フラスコ内に4−ビニルピリジン2.2g、m−ジブロモベンゼン2.4g、酢酸パラジウム0.18g、トリ−o−トリルホスフィン0.49g、トリエチルアミン4.0g、及びアセトニトリル10mlを仕込み、この混合物を80℃で12時間撹拌した。放冷後、反応混合物をクロロホルムで希釈して、不溶物をろ別後、クロロホルム溶液を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後クロロホルムを留去した。得られた固体をトルエン/アセトン(容量比;1/1)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して中間体8を2.2g得た。このもののGC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=283であった。
この中間体8の合成フローを以下に示す。
30mm×30mmのFTO付きガラス基板上の一部に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製 SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。酸化チタン膜の厚さは約1.5μmであった。
次いで、3−ブロモプロピルトリクロロシランの0.2wt%トルエン溶液を調製し、上記の酸化チタン膜を塗布したFTO付きガラス基板を30分間浸し、酸化チタン膜表面に3−ブロモプロピルシランを結合させた。
しかる後に、前記(A)で合成した中間体8の1wt%トルエン溶液を調製し、上記の基板を浸漬させ、120℃で2時間還流させることにより中間体8と3−ブロモプロピルシランを反応させた。
一方、30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の全面に、ITO膜をスパッタ法により約150nmの厚さになるように成膜することによって、対向電極2を形成した。更に、透明導電性薄膜が全面に形成されたガラス基板の上面に、熱硬化性の導電性カーボンインク(十条ケミカル社製 CH10)に酢酸2−エトキシエチルを25wt%添加して調製した溶液をスピンコート法により塗布し、120℃15分間アニール処理を行うことによって、対向電極を形成した。
表示基板と対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%となるように溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製 CR50)を35wt%分散させ、電解質溶液を調製し、セル内に封入することでエレクトロクロミック表示素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、発消色の評価を実施した。
発消色の評価は、大塚電子株式会社製分光測色計LCD―5000を用いて拡散光を照射することにより行った。表示素子の表示電極1に負極を、対向電極2に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はイエローを発色した。さらに逆電圧−2.0Vを1秒印加したところ完全に消色し白色にもどった。発色時の反射スペクトルを図4に示す。またこのスペクトルをCIE表色系座標変換した結果を図5に示す。図4および図5から明確なイエロー発色を示すことが確認できた。
ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、イエロー発色した。電圧印加前後の吸収スペクトルを図6に示した。
(A)構造式14の中間体14の合成
窒素で置換した反応フラスコ内に4−ビニルピリジン1.8g、1,3,5−トリブロモベンゼン1.6g、酢酸パラジウム0.13g、トリ−o−トリルホスフィン0.36g、トリエチルアミン3.0g、及びアセトニトリル5mlを仕込み、この混合物を80℃で12時間撹拌した。放冷後、反応混合物をクロロホルムで希釈して、不溶物をろ別後、クロロホルム溶液を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後クロロホルムを留去した。得られた固体をクロロホルム/エタノール(容量比;20/1)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して中間体14 0.75gを得た。このもののLC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=388であった。
前記(A)で合成した中間体14を用い、実施例1と同様の方法で表示電極及びエレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、2.5Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はイエローを発色した。さらに逆電圧−3.0Vを1秒印加したところ完全に消色し、白色にもどった。発色時の反射スペクトルを図7に示す。またこのスペクトルをCIE表色系座標変換した結果を図8に示す。図7および図8から明確なイエロー発色を示すことが確認できた。
ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、イエロー発色した。電圧印加前後の吸収スペクトルを図9に示した。
(A)構造式11の中間体11の合成
窒素で置換した反応フラスコ内に4−ビニルピリジン0.84g、3,5−ジブロモトリメチルシリルベンゼン1.2g、酢酸パラジウム0.07g、トリ−o−トリルホスフィン0.19g、トリエチルアミン0.89g、及びアセトニトリル20mlを仕込み、この混合物を80℃で12時間撹拌した。放冷後、反応混合物をクロロホルムで希釈して、不溶物をろ別後、クロロホルム溶液を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後クロロホルムを留去した。得られた固体をトルエン/アセトン(容量比;1/1)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して中間体11 0.89gを得た。このもののGC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=356であった。
前記(A)で合成した中間体11を用い、実施例1と同様の方法で表示電極及びエレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、2.7Vの電圧を秒印加したところ、表示素子はイエローを発色した。さらに逆電圧−2.0Vを1秒印加したところ完全に消色し、白色にもどった。
(A)構造式7の合成
実施例1で合成した中間体8を0.2g、ブロモエチルホスホン酸ジエチル1.0g、1−プロパノール3ml、及び水6mlを仕込み、この混合物を90℃で40時間撹拌した。放冷後、反応混合物を水15mlと酢酸エチル30mlの混合液中に排出し、水層を分取した。この水層を反応フラスコに仕込み、ここに濃塩酸10mlを加えて90℃で23時間撹拌した。放冷後、反応混合物より水を減圧留去し、タール状の残留物をメタノールに溶解、このメタノール溶液を2−プロパノール/エタノール(容量比;2/1)中に撹拌下に滴下して生成物を結晶化させた。これをろ集、2−プロパノールで洗浄、乾燥して構造式7を0.15g得た。
30mm×30mmのFTO付きガラス基板上の一部に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製 SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。酸化チタン膜の厚さは約1.5μmであった。
次いで、構造式7の5mM水溶液を調製し、上記の酸化チタン膜を塗布したFTO付きガラス基板を30分間浸し、酸化チタン膜表面に構造式4のエレクトロクロミック化合物を吸着させ、表示電極を作製した。
さらに、実施例1と同様の方法で対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はイエローを発色した。さらに逆電圧−2.0Vを1秒印加したところ完全に消色し、白色にもどった。
実施例1で合成した中間体8に二等量の臭化エチル反応させることにより、構造式5を合成した。次に水/2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(10wt%)溶液を用意し、構造式5を1wt%溶解してエレクトロクロミック化合物溶液とした。過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%となるように溶解させた電解液に前記エレクトロクロミック化合物溶液を50wt%添加し、30mm×30mmのSnO2導電膜付きガラス基板(AGCファブリテック社)を表示基板と対向基板として75μmのスペーサを介して貼り合わせたセルに封入することでエレクトロクロミック表示素子10を作製した。
作成した表示素子に3.0Vの電圧を2秒印加したところ、表示素子はイエロー発色した。さらに逆電圧−1.5Vを2秒印加したところ完全に消色し透明にもどった。
(A)構造式17の合成
50mlフラスコに4−ビニルピリジン 2.2g、1,4−ジブロモベンゼン 2.4g、酢酸パラジウム 0.18g、トリ−o−トリルホスフィン 0.49g、トリエチルアミン 4.0g、アセトニトリル 10mlを加え系内を窒素置換した。75℃に昇温し、終夜反応させると結晶が析出した。析出物を濾過し、アセトニトリルで洗浄した。得られた結晶をクロロホルムに溶解させ、ラジオライトを加えて濾過し、濾液を濃縮することで粗結晶を4.4g得た。粗結晶をメタノール/水で溶解した後濾過し、熱水で洗浄した。更に熱アセトニトリルほぐし精製を行い、薄い黄色の結晶である中間体17を2.2g得た。
この化合物のGC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=284であった。
この中間体17の合成フローを以下に示す。
実施例4と同様の方法で表示電極、エレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はシアンを発色した。さらに逆電圧−3.0Vを1秒印加したところ消色し、薄黄色にもどった。
(A)構造式25の合成
50ml 3つ口反応器にビスブロモメチルジュレン 1.8g、亜リン酸トリエチル 2.1gを仕込み110−120℃に加熱撹拌した。この温度で1時間反応させた。室温まで放冷すると固体が析出した。ヘキサンを加え濾過した。得られた結晶を乾燥して2,3,5,6テトラメチル−1,4−ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼンを2.0g得た。
50ml 3つ口反応器に2,3,5,6テトラメチル−1,4−ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼン 0.87g、DMF(脱水) 20ml、4−ホルミルピリジン 0.47gを仕込んだ。窒素置換をした後、カリウムt−ブトキシド 0.56gの10mlDMF溶液をゆっくり滴下すると青緑溶液に変化した。30−40℃で2時間反応させた。反応液を水に放出し、塩化ナトリウムを加えて固体を析出させた。析出固体を濾過して取り出し乾燥して粗製物を0.40g得た。粗製物をシリカゲルカラム(トルエン/アセトン 3/1→1/1)で精製して中間体25を0.30g得た。この化合物のGC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=340であった。
この中間体25の合成フローを以下に示す。
実施例4と同様の方法で表示電極、エレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はシアンを発色した。さらに逆電圧−3.0Vを1秒印加したところ消色し、白色にもどった。発色時の反射スペクトルを図10に示す。またこのスペクトルをCIE表色系座標変換した結果を図11に示す。図10および図11から明確なシアン発色を示すことが確認できた。
石英セルにエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極を入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス株式会社 RE−7)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%となるように溶解させた電解液でセル内を満たした。この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。
ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、シアン発色した。電圧印加前後の吸収スペクトルを図12に示した。
(A)構造式29の合成
100ml 4つ口反応器に2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレン 3.6g、四塩化炭素 30ml、NBS 7.1g、AIBN 0.10gを仕込み70℃で17時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷した。活性白土10gを加え撹拌して処理した。反応液を濾過して残渣をヘキサンでよく洗った。濾液を濃縮すると粗製物が結晶で得られた。この粗製物をメタノールで解し精製して2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ビスブロモメチルベンゼンを3.8g得た。
50ml 3つ口反応器に2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ビスブロモメチルベンゼン 2.0g、亜リン酸トリエチル 2.2gを仕込み110−120℃に加熱撹拌した。この温度で2時間反応させた。室温まで放冷すると固体が析出した。ヘキサンを加え濾過した。得られた結晶を乾燥して2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼンを2.4g得た。
50ml 3つ口反応器に2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼン 2.3g、DMF(脱水) 20ml、4−ホルミルピリジン 1.2gを仕込んだ。窒素置換をした後、カリウムt−ブトキシド 1.4gの10ml DMF溶液をゆっくり滴下すると赤色溶液に変化した。室温で18時間反応させた。反応液を水に放出しクロロホルムで抽出した。反応液を濃縮し粗製物を0.97g得た。粗製物をシリカゲルカラム(トルエン/アセトン 1/1)で精製し、得られた固体をメタノールで解し精製して目的物を0.69g得た。
この化合物のGC/MSを測定したところ、分子イオンピークはM=356であった。
この中間体29の合成フローを以下に示す。
前記(A)で合成した中間体29を用い、実施例1と同様の方法で表示電極、エレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はシアンを発色した。さらに逆電圧−3.0Vを1秒印加したところ消色し、白色にもどった。
(A)構造式45の合成
100ml 4つ口反応器に2,5−ジメチルテレフタロニトリル 2.3g、四塩化炭素 23ml、NBS 5.3g、AIBN 0.07gを仕込み75℃で1時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷した。反応液を濾過して残渣を四塩化炭素でよく洗った。濾液を濃縮すると粗製物がオイルで得られた。この粗製物にメタノールを加えて結晶化させた。この結晶を濾過して取り出し、1,4−ジシアノ−2,5−ビスブロモメチルベンゼンを0.57g得た。
50ml 3つ口反応器に1,4−ジシアノ−2,5−ビスブロモメチルベンゼン 0.55g、亜リン酸トリエチル 0.61gを仕込み100−110℃に加熱撹拌した。この温度で2時間反応させた。室温まで放冷し、シリカゲルカラムで精製して2,5−ジシアノ−1,4ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼンを0.45g得た。
50ml 3つ口反応器に2,5−ジシアノ−1,4−ビス(ジエチルホスホニルメチル)ベンゼン 0.45g、DMF(脱水) 15ml、4−ホルミルピリジン 0.28gを仕込んだ。窒素置換をした後、カリウムt−ブトキシド 0.35gの5ml DMF溶液をゆっくり滴下すると緑褐色溶液に変化した。60℃で3時間反応させた。反応液を水に放出しクロロホルムで抽出した。反応液を濃縮し粗製物得た。粗製物をシリカゲルカラム(トルエン/アセトン 1/1)で精製し、得られた固体をメタノールで解し精製して中間体45を0.08g得た。
この中間体45の合成フローを以下に示す。
前記(A)で合成した中間体45を用い、実施例1と同様の方法で表示電極、エレクトロクロミック表示層、対向電極、エレクトロクロミック表示装置を作製した。
作製したエレクトロクロミック表示素子について、実施例1と同様に発消色の評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、3.0Vの電圧を1秒印加したところ、表示素子はブラックを発色した。さらに逆電圧−3.0Vを1秒印加したところ消色し、白色にもどった。発色時の反射スペクトルを図13に示す。またこのスペクトルをCIE表色系座標変換した結果を図14に示す。図13および図14から明確なブラック発色を示すことが確認できた。
石英セルにエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極を入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス株式会社 RE−7)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%となるように溶解させた電解液でセル内を満たした。この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。
ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、ブラック発色した。電圧印加前後の吸収スペクトルを図15に示した。
実施例1において、用いる化合物を公知のエレクトロクロミック化合物である下記構造式(59)で表されるビオロゲン化合物に代え、それ以外は実施例1と同様にして比較例の表示素子を作製し、同様に評価した。
また、比較例1の表示素子の発色状態における反射スペクトルを図16に示す。スペクトルから明らかなように、図16の比較例1は可視域において反射率が低い領域幅が広く、光吸収がブロードである。結果としてブルーの発色になっている。
2 対向電極
3 電解質
4a,4b 表示層
5a 有機エレクトロクロミック化合物
5b 酸化還元発色部
5c 吸着基(結合基)
5d スペーサ部
5e 有機エレクトロクロミック組成物
6 白色反射層
10,20,30 表示素子
Claims (6)
- 下記一般式(D)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
- 導電性または半導体性を有するナノ粒子と、該ナノ粒子に結合または吸着されている下記一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
- 下記の一般式(B)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項2に示すエレクトロクロミック組成物。
- 下記の一般式(C)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項2に示すエレクトロクロミック組成物。
- 下記の一般式(D)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項4に示すエレクトロクロミック組成物。
- 表示電極と、該表示電極に対向した状態で離間して設けられた対向電極と、前記表示電極と前記対向電極との間に配置された電解質と、を備え、
前記表示電極における前記対向電極との対向面に表示層を有し、
該表示層は、少なくとも請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物、または請求項2〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を含むことを特徴とする表示素子。
Priority Applications (7)
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