JP2012125155A - 食用油脂乳化物の製造方法、食用油脂乳化物、及びこれを用いた飲食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 HLBが4〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成される食用油脂乳化物の製造方法であって、(1)前記乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に前記食用油脂を添加して乳化する第二工程とを含むことを特徴とする食用油脂乳化物の製造方法によって達成される。
【選択図】 なし
Description
特許文献5には、食用油脂の含有量が40〜70%、乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルであり、食品用高油分乳化油脂組成物中の平均油滴径が2μmである食品用高油分乳化油脂組成物及びこれを用いた食肉加工用ピックル液に関する発明が開示されている。しかし、この発明では、平均粒子径が2μmであることから、食肉へ添加された場合に油分のジュシー感を十分満足に得られるものではなかった。
即ち、本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、食用油脂、水から構成され、風味良好かつ保存安定性に優れた食用油脂乳化物の製造方法等を確立することに関する。
上記発明において、前記乳化剤が0.3質量%〜5質量%、前記食用油脂が30質量%〜80質量%、前記水が15質量%〜69.7質量%であって、全体で100質量%となる割合で用いることが好ましい。
また、前記第二工程において、前記乳化剤微粒子分散水溶液に対して、前記食用油脂を毎分1/50量〜1/10量の速度で投入することが好ましい。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸からなる群から選択される1種または2種であることが好ましい。
更に、前記食用油脂乳化物における前記食用油脂の含量が、35質量%〜65質量%であることが好ましい。
第二の発明に係る食用油脂乳化物は、上記第一の発明によって製造されたものである。
第三の発明に係る飲料または食品は、上記第一の発明によって製造された食用油脂乳化物を用いることを特徴とする。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
本実施形態における乳化剤のHLBは、4〜14が好ましく、更に好ましくは9〜13であるが、本発明の効果を阻害しない範疇であれば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、モノグリセリン脂肪酸エステルなどが含まれていても良い。
本実施形態の対象となる飲料または食品のうち、飲料では食用油脂を含有するものであれば特に限定されない。例えば、コーヒー、紅茶等は賞味期限が長く、高温販売(いわゆるホットベンダー販売)される機会が多いため、より不安定化する傾向が強い。このため、本実施形態の食用油脂乳化物は、コーヒー、紅茶、ココア等のように、コク味を呈することで飲料の美味しさをコントロールできる飲料を対象とすることが好ましい。
従来、飲料は常温流通が主流であるため、納品後に予備的に冷蔵した後に、店舗冷蔵庫や自動販売機で飲料を販売しなければならなかった。ところが、本実施形態によれば、冷凍状態から冷蔵状態での輸送が可能となるため、納品後にも速やかに冷えた飲料を店舗棚に陳列し、販売することができる。このため、商業上のメリットも大きい。
以下、本実施形態の内容について実施例を挙げて、さらに詳細に記載するが、下記実施例は、例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<試験1> 乳化剤の混合比率を変化させたときの食用油脂乳化物の比較検討
(1)材料
乳化剤として、二種類のものを選択し、これらの混合比を変化させて同じ製造方法を適用したときの乳化物の効果を比較した。
乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルの乳化剤A(HLB11、平均重合度10、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度2:サンソフトQ−182S(太陽化学株式会社製))と、乳化剤B(HLB13、平均重合度5、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度1:サンソフトA−181E(太陽化学株式会社製))とを用いた。
表1の「混合比率(%)」に示すように、100%の乳化剤A(実施例1)と、100%の乳化剤B(実施例2)から開始し、両者の混合比を10%ずつ変化させながら、乳化剤A:乳化剤B=0:100〜100:0となるように、11通りの試験を行った。
この試験では、乳化剤:食用油:水の混合比を5:70:25とした。
(2)乳化物の製造方法
表1に示す割合にて1種類または2種類の乳化剤を60℃以上のお湯に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させた(第一工程)。次いで、第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に食用油脂を添加し、ホモミキサーで3500rpmから8000rpmに至るまで徐々に回転数を上げながら乳化することによって食用油脂乳化物を製造した(第二工程)。食用油脂の添加速度は、1/16(ml/分)とした。
食用油脂乳化物の評価項目として、冷凍解凍後の分離度合い、レトルト後の分離度合い、5%水希釈品のオイルオフの状態、粒度分布のピーク形状を選択した。各項目の得点については、次の通りであった。すなわち、「冷凍解凍後の分離度合い」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。「レトルト後の分離度合い」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。「5%水希釈品のオイルオフの状態」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。また、「純度分布のピーク形状」は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(BECKMAN COULTER LS230)にて評価したものを示しており、「2」は2ピーク以上を、「S」は1ピーク以上のピークにショルダーが存在することをそれぞれ意味している。
(4)結果
結果を表1に示した。実施例1〜実施例5では、粒度分布のピーク形状が2またはSであり、食用油脂乳化物の効果も全ての項目において良好であった。一方、比較例1〜比較例5では、乳化物の効果が十分ではなかった。
次に、試験1と同じ材料を用いて、従来の乳化方法によって、乳化させたときの効果を調べた。
(1)材料
材料は、上記<試験1>と同じとした。なお、乳化剤:食用油:水=5:70:25とした。
(2)乳化物の製造方法
表2に示す割合にて1種類または2種類の乳化剤と、水と、食用油脂との全てを混合し、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験1>から「粒度分布のピーク形状」を除いた3項目とした。なお、効果の点数については、<試験1>と同じとした。
(4)結果
結果を表2に示した。比較例6〜比較例16のいずれにおいても、乳化物の効果は十分ではなかった。このことから、従来の乳化方法では、十分な乳化効果が得られず、試験1に示す食用油脂乳化物の製造方法の効果が優れていることがわかった。
次に、食用油の混合比を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
乳化剤の割合は5%に固定し、食用油と水の割合を表3の中段、「乳化剤/食用油/水」に示すように変化させた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表3に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験2>の項目に、「コク味の付与」を加えた4個とした。「コク身の付与」については、1;極めて強くコク味が付与されている、2;強くコク味が付与されている、3;若干コク味が付与されている、4;コク味が付与されているかが微妙で判別できない、5;明らかにコク味が付与されていない。とした。
(4)結果
結果を表3に示した。比較例17及び比較例18では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、4−1〜4−5、3−1、5−1では、少なくとも2個以上の評価項目について、最高グレード1の効果が認められたことから、適度な乳化物としての特性を備えていた。
次に、乳化剤の混合比を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
食用油の割合は70%に固定し、乳化剤と水の割合を表4の中段、「乳化剤/食用油/水」に示すように変化させた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表4に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表4に示した。比較例19、比較例20、比較例21〜比較例24では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4−6〜4−8では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
次に、第二工程における油投入速度を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
実施例4、実施例4−9〜実施例4−14、比較例25及び比較例26については、上記<試験1>の実施例4と同じとした。実施例3−2及び実施例5−2については、乳化剤A:乳化剤Bの混合比率を50:50または70:30に変えた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表5に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表5に示した。比較例25、比較例26では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、実施例4−9〜4−14、実施例3−2、実施例5−2では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
次に、乳化剤のHLBを変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
乳化剤として、前述の乳化剤A、乳化剤Bに加えて、HLBが異なる2種類の乳化剤C(HLB4.5、平均重合度10、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度2:サンソフトQ−185S(太陽化学株式会社製))及び乳化剤DHLB14.5、平均重合度10、脂肪酸としてミリスチン酸(ms)、エステル化度1:サンソフトQ−14S(太陽化学株式会社製)を用い、表6に示すように用いた。
(2)乳化物の製造方法
表6に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法及び表6の条件に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表6に示した。比較例27、比較例28では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、実施例7では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
次に、第一工程において製造される乳化剤微粒子の大きさを変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
材料として、<試験例1>及び表7に記載のものを使用した。
(2)乳化物の製造方法
表6に示す割合にて、2種類の乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜823nmの乳化剤微粒子を形成させた(第一工程)。次いで、第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に食用油脂を添加して乳化することによって食用油脂乳化物を製造した(第二工程)。乳化剤微粒子の大きさについては、
60℃にて、湯に分散させた乳化剤微粒子溶液をSubmicron Particle Sizer NICOMP380を用いることで粒子サイズを確認し、任意のサイズになるように乳化剤微粒子溶液を攪拌溶解する時間を適宜変えながら微粒子サイズを調製した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表7及び表8に示した。比較例29〜比較例31では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例8−1〜実施例8−11では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
<試験例1> ビスケットへの応用試験例
薄力粉100g、ベーキングパウダー0.5g、食塩1g、グラニュー糖20g、脱脂粉乳2.5g、無塩バター15g、水40g、本発明品である食用油脂乳化物3g(但し、コントロールでは乳化物は、なし)、の配合において、薄力粉とバターを混ぜ合わせ、次にベーキングパウダー、食塩、グラニュー糖、脱脂粉乳、無塩バターを投入して混合し、最後に水と本発明品食用油脂乳化物を添加して調製されたビスケット生地を、一晩生地を冷蔵庫で寝かせたものを厚さ2mmくらいになるように圧延し、170℃、約20分間で適度な焦げ目がつく程度まで焼きあげた。使用する食用油脂乳化物は、先の実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31を用いた。
食感評価をショートネス感についてパネラー10人に対して実施し、コントロールと比較して本発明品添加ビスケットのショートネス感を評価した。
ショートネス感がどれだけ優れているかは5段階評価として、1;極めてショートネス感が優れている。2;明らかにショートネスである。3;ショートネス感がある。4;若干ショートネス感がある。5;コントロールと比較してショートネス感は変わらない程度か、もしくは劣る。とした。
結果を表9に示した。
先の実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31を用いた。これらの食用油脂乳化物を使用し、牛のモモ肉100重量部に対して10重量部となるようにピックルインジェクターを用いて注入し、食肉加工品を調製した。この食肉加工品を2cmの厚さにスライスした後、175℃の鉄板で調理し官能評価に供した。評価は食したときのジューシー感と、目視観察から明らかに不必要な油滲み出しによるギトギト感が認められるかをパネラー10人により5段階評価した。
すなわち、ジューシー感評価は、1;極めてジューシー感が優れている。2;明らかにジューシー感がある。3;ジューシー感がある。4;若干ジューシー感がある。5;コントロールと比較してジューシー感は変わらない程度か、もしくは劣る。とした。
見た目のギトギト感評価は、1;ギトギト感が全く無く極めて綺麗である。2;若干の油滲みがあるが十分許容の範囲で綺麗である。3;油滲みがあり、綺麗とは言い難いが十分許容の範囲である。4;油の滲み出しがあり、綺麗とは言いがたく、食することに抵抗はあるが、かろうじて許容の範囲である。5;コントロールと比較して油滲みは変わらない程度か、それ以上に顕著に劣っており、綺麗な見た目ではなく、食することにも大きな抵抗感が感じられ、許容の範囲を明らかに超えている。とした。
結果を表10及び表11に示した。
コーヒー抽出液(Bx3.0)500g、牛乳200g、ショ糖脂肪酸エステル(リョートーP−1670)0.3g、グラニュー糖60g、食用油をヤシ油とナタネ油の混合油を用いた実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物を5%添加して、水を適量加え混合溶解し、重曹にてpH6.9に調整後、更に水を加え全量を1000gとした。調合されたコーヒーミックスを65〜70℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて15MPaの圧力で均質化し缶容器に充填した。充填された缶容器は121℃、30分間レトルト殺菌を行い、コーヒー飲料を調製した。殺菌後の飲料のpHは6.4であった。これを試飲コーヒー飲料として、コク味の付与と油脂の油浮きについてパネラー10人により5段階評価した。すなわちコク味評価については、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じないか、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
また、油脂の油浮きの評価としては、1;表面に油浮きは全く認められず、綺麗である。2;表面に1滴の油浮きが認められるが十分許容の範囲である。3;表面に2〜5滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。4;表面に6滴〜10滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。5;表面の油浮きは大量に認められ、許容の範囲を超えている。とした。
結果を表12及び表13に示した。
卵黄50g、牛乳45g、小麦粉100g、砂糖55gに実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物をそれぞれ加えて混合したものを、さらに卵白200gと砂糖80gを合わせて起泡させたメレンゲに加えてケーキ生地を調製した。さらにこれを175℃で20分間焼きあげたものをパネラー10人により各ケーキ生地の食感風味を5段階評価した。
すなわち評価としては、1;極めて口どけも良く、極めてしっとりとしており美味しい。2;口どけも良く、しっとりとしており、美味しい。3;口どけか、あるいはしっとりのどちらかが感じられ、美味しい。4;口どけも悪く、しっとり感は無いがかろうじて美味しい。5;口どけも悪く、しっとり感も無く、美味しいとは感じない。とした。
結果を表14に示した。
市販されているレトルトカレー及びスープに実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29,31の食用油脂乳化物を5%添加して軽く混合した後に再びパウチ容器を密封して、沸騰するお湯の中に内部品温が70℃を越えるまで加熱し、パウチ容器からお皿に全量出して、スープ及びカレーの風味評価であるコク味の感と油脂の油浮きについてパネラー10人により5段階評価した。
すなわち、コク味については、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じられず、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
表面の油浮きについては、1;表面に油浮きは全く認められず、綺麗である。2;表面に1滴の油浮きが認められるが十分許容の範囲である。3;表面に2〜5滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。4;表面に6滴〜10滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。5;表面の油浮きは大量に認められ、許容の範囲を超えている。とした。
結果を表15及び表16に示した。
市販されている無調整豆乳に対して実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物を5%添加して、コク味についてパネラー10人により5段階評価した。すなわち、コク味の評価は、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じられず、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
結果を表17に示した。
このように、本実施形態によれば、油のコク味が良好に感じられると共に、風味が良好であり、かつ保存安定性に優れた食用油脂乳化物を得ることができた。また、この食用油脂乳化物を用いることにより、均質化を行うことなく安定であり、コク味を呈しており、かつ風味が良好な飲食品を提供することが可能となった。
Claims (9)
- HLBが4〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成される食用油脂乳化物の製造方法であって、
(1)前記乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に前記食用油脂を添加して乳化する第二工程とを含むことを特徴とする食用油脂乳化物の製造方法。 - 前記乳化剤が0.3質量%〜5質量%、前記食用油脂が30質量%〜80質量%、前記水が15質量%〜69.7質量%であって、全体で100質量%となる割合で用いることを特徴とする請求項1に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
- 前記第二工程において、前記乳化剤微粒子分散水溶液に対して、前記食用油脂を毎分1/50量〜1/10量の速度で投入することを特徴とする請求項1又は2に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
- 前記乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の食用油脂乳化物の製造方法。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸からなる群から選択される1種または2種であることを特徴とする請求項4に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
- 前記食用油脂乳化物における前記食用油脂の含量が、40質量%〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の食用油脂乳化物の製造方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物を水に5%になるように分散させたときの粒度分布が、(1)2ピーク以上を有するか、または(2)1ピークであって、このピークにショルダーが存在することにより、不均一な乳化状態を備えることを特徴とする食用油脂乳化物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物を用いた飲料または食品。
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