JP2012125155A - 食用油脂乳化物の製造方法、食用油脂乳化物、及びこれを用いた飲食品 - Google Patents

食用油脂乳化物の製造方法、食用油脂乳化物、及びこれを用いた飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 より高濃度の食用油脂を含有できると共に、油のコク味が良好に感じられ、かつ飲食品に添加された際にも、高い解凍耐性、及び耐熱性を備えた食用油脂乳化物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 HLBが4〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成される食用油脂乳化物の製造方法であって、(1)前記乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に前記食用油脂を添加して乳化する第二工程とを含むことを特徴とする食用油脂乳化物の製造方法によって達成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食用油を原料とした食用油脂乳化物の製造方法、食用油脂乳化物、及びこれを用いた飲食品に関する。
食用油脂は、油分の美味しさとしてのコク味を呈し、風味を改善する目的でも頻繁に使用されており、ほとんどの飲食品の原料素材として必須原料といえる。食用油脂を飲食品中に添加し、加工する際には、食用油脂をそのまま添加する手法か、粉末油脂・乳化油脂等の組成物として添加する手法がとられる。いかなる形態であっても、食用油脂を飲食品に添加する際には、オイルオフやクリーミング等の品質的な劣化を抑えることを目的として、加工工程で均質化処理が行われていることが多い。均質化処理とは、エマルションの粒度分布として単一ピークかつ平均粒子径も小さくすることで安定に食用油脂を添加できるようにすることである。
しかし、平均粒子径が単一かつ小さい場合には、前述する油分の美味しさであるコク味が感じられ難くなるという欠点がある。こうして、食用油を飲食品に用いる際には、最終的な製品中での安定性の確保と同時にコク味を感じさせるという二律背反的な要望が存在する。即ち、従来の粉末油脂や乳化油脂の場合は、安定性を確保できるように設計されていないため、結局最終の飲食品の製造工程で均質化処理をせざるを得ないという問題があり、結果的にコク味も付与できないという欠点があった。
上記問題点を解決するために、食用油脂を含有する乳化物の製造方法に関する報告がされている。特許文献1では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて乳化した油脂30〜60質量%の食肉加工用ピックル液に関する発明が開示されている。圧力式ホモジナイザー等の均質機で微細乳化することで、低温下での食肉へ注入処理が可能となることに加え、加熱処理時の乳化破壊を防ぐことができ、結果的にジューシー感を付与することが可能であるとされている。しかし、均質化処理することは、結果的に油分の平均粒径を小さくすることになり、風味での表現としてコクに相当する油分のジューシー感は満足されるものであるとは言い難い。
特許文献2には、食用油及び水の他にショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとを必須成分として含有してなり、かつ平均粒子径が3〜15μmであるケーキ用O/W型乳化油脂組成物に関する発明が開示されている。平均粒子径が15μmを超えるとO/W型乳化油脂組成物の安定性が悪くなるため、均質機等を上手く調節することで3〜15μmの範囲になるようにしなくてはならず、製造上は簡便な方法であるとは言い難い。また、3〜15μmの範囲の平均粒子径で調製されたO/W型乳化油脂組成物の保存安定性は満足できるものではなく、殺菌処理に関する記載もないことから高耐熱性を備えた組成物ではなく、衛生上の問題も有している。
特許文献3には、食用油脂、糖質、水分及び乳化剤からなり、乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルより選ばれる1種または2種からなり、かつ構成脂肪酸が炭素数14〜22の飽和脂肪酸を50%以上有する焼き菓子用改質剤に関する発明が開示されている。しかし、糖質を必須成分としており、かつ食用油脂の含有量が65%を超えると水中油型乳化物の乳化安定性が低下する虞があるため、必ずしも保存安定性に満足できるものでは無い。また、製造工程において予備乳化された乳化組成物をさらにホモゲナイザーやコロイドミルなどを用いて均質化する方法が必要であり、これらの高価な製造装置は、必ずしも設置されているとは限らないため、簡便に調製できない。加えて、均質化された乳化組成物であることから平均粒子径のピークは単一となるため、不均一な粒度分布を有して油分のコク味を呈しつつ、焼き菓子の口どけや油分由来の効果であるライト感が付与できるものであるとは言い難かった。
特許文献4には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、さらに詳しくは不飽和脂肪酸を主脂肪酸とするジグリセリンモノ脂肪酸エステルを必須成分とする冷凍ケーキ用改良剤に関する発明が開示されている。ここで、ジグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの配合量は1〜50%、好ましくは3〜20%である。この配合量は、乳化剤の許容範囲として、著しく高い濃度の範囲である。乳化剤が高濃度で使用されると、安定性が得られやすい反面、乳化剤由来のエグ味感がケーキの風味を損ねることに加え、乳化剤のコストも高額となるため使いやすい技術ではなかった。
特許文献5には、食用油脂の含有量が40〜70%、乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルであり、食品用高油分乳化油脂組成物中の平均油滴径が2μmである食品用高油分乳化油脂組成物及びこれを用いた食肉加工用ピックル液に関する発明が開示されている。しかし、この発明では、平均粒子径が2μmであることから、食肉へ添加された場合に油分のジュシー感を十分満足に得られるものではなかった。
特許文献6には、植物油脂と、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、及びポリグリセリン脂肪酸エステル及び/またはレシチンを含む植物油脂組成物、及びこの組成物をコーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料等の飲料に用いる発明が開示されている。しかし、乳化剤を3種以上併用しなくてはならず、調製する上で煩雑なことに加え、混合・乳化操作に使用するホモジナイザーによって油脂が均質化されるために、植物油脂の油分の風味であるコク味を満足できなかった。また、ホモジナイザー等の高価な製造設備が必要であるため、簡便に調製できなかった。更に、UHT殺菌143℃、30秒間での殺菌耐熱では、十分な耐熱性を有する乳化油脂組成物であるとは言い難いものであった。
特開平8−173096号公報 特開平9−201160号公報 特開平10−327738号公報 特開平11−243864号公報 特開2007−043949号公報 特開2005−341933号公報
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より高濃度の食用油脂を含有できると共に、油のコク味が良好に感じられ、かつ飲食品に添加された際にも、高い解凍耐性、及び耐熱性を備えた食用油脂乳化物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高濃度を食用油脂を安定に含有できる食用油脂乳化物の製造方法、及びこの食用油脂乳化物を用いた際に、オイルオフやクリーミング等の品質劣化を抑制し、油分を安定させられると共に、添加した油分に応じたコク味を感じられる飲食品を提供することを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、食用油脂、水から構成され、風味良好かつ保存安定性に優れた食用油脂乳化物の製造方法等を確立することに関する。
こうして、第一の発明に係る食用油脂乳化物の製造方法は、HLBが8〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成されるものであって、(1)前記乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に前記食用油脂を添加して乳化する第二工程とを含むことを特徴とする。
上記発明において、前記乳化剤が0.3質量%〜5質量%、前記食用油脂が30質量%〜80質量%、前記水が15質量%〜69.7質量%であって、全体で100質量%となる割合で用いることが好ましい。
また、前記第二工程において、前記乳化剤微粒子分散水溶液に対して、前記食用油脂を毎分1/50量〜1/10量の速度で投入することが好ましい。
更に、前記乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸からなる群から選択される1種または2種であることが好ましい。
更に、前記食用油脂乳化物における前記食用油脂の含量が、35質量%〜65質量%であることが好ましい。
第二の発明に係る食用油脂乳化物は、上記第一の発明によって製造されたものである。
上記発明において、食用油脂乳化物を水に5%になるように分散させたときの粒度分布が、(1)2ピーク以上を有するか、または(2)1ピークであって、このピークにショルダーが存在することにより、不均一な乳化状態を備えることが好ましい。
第三の発明に係る飲料または食品は、上記第一の発明によって製造された食用油脂乳化物を用いることを特徴とする。
本発明によれば、油のコク味が良好に感じられると共に、風味が良好であり、かつ保存安定性に優れた食用油脂乳化物を得ることができる。また、この食用油脂乳化物を用いることにより、均質化を行うことなく安定であり、コク味を呈しており、かつ風味が良好な飲食品を提供できる。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
本実施形態では、原料として食用油脂を用いるが、使用する食用油脂については、特に限定するものではなく、従来公知とされているもの及び今後市販されるものであれば、どのようなものでも好適に使用できる。具体的には、アボガド油、アマニン油、アルモンド油、オリーブ油、オレンジラフィー油、カカオ脂、カロット油、キューカンバー油、牛脂、ククイナッツ油、グレープシード油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂、ダイズ油、タートル油、チョウジ油、茶油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、パーシック油、ハトムギ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、メドウフォーム油、綿実油、ヤシ油、ローズヒップ油、ナタネ油、乳脂、ハトムギ油、ホホバ油、ラベンダー油、卵黄油、ラノリン、ローズマリー油等、その他MCTなどが例示でき、かつこれらを単品で用いても、また風味の点で2〜3種を適当な比率で用いても、何ら問題なく好適に使用できる。但し、安定な乳化状態を維持し、かつ良好なコク味を維持するためには、食用油脂乳化物の油分含量として、30質量%〜80質量%が好ましく、40質量%〜70質量%がより好ましい。
本実施形態に使用できる乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、食品分野で通常使用されているポリグリセリン脂肪酸エステルであれば、いずれも使用可能である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸がエステル結合して成るものである。このうち、脂肪酸としては、特に限定するものではなく、例えば天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得ることができ、飽和、不飽和、あるいは飽和・不飽和の混在、いずれも使用可能であり、好ましくは飽和脂肪酸、さらに好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種、最も好ましくはステアリン酸を用いる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成ポリグリセリンの重合度は、特に限定を受けるものではないが、平均重合度が2〜20、好ましくは4〜10、更に好ましくは5〜10である。また、2種類の重合度の異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを併用しても良い。この場合には、平均重合度5と平均重合度10のポリグリセリン脂肪酸エステルとの併用が好ましい。併用する場合における混合比としては、平均重合度5のポリグリセリン脂肪酸エステルと平均重合度10のポリグリセリン脂肪酸エステルの比率が3:7〜5:5であることが好ましく、3.5:6.5〜4.5:5.5であることが更に好ましい。
特に限定するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルのモル平均エステル化度が、好ましくは3.0以下であり、更に好ましくは2.0以下、最も好ましくは1.5以下である。モル平均エステル化度は、純度100%の場合には、モノエステルでは1、ジエステルでは2となる。混合物の場合には、その質量比による平均がモル平均エステル化度となる。例えば、エステル化度1のポリグリセリン脂肪酸エステルが50質量%、エステル化度2のポリグリセリン脂肪酸エステルが50質量%の構成である場合には、平均エステル化度は、その質量平均の1.5となる。
本実施形態における乳化剤のHLBは、4〜14が好ましく、更に好ましくは9〜13であるが、本発明の効果を阻害しない範疇であれば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、モノグリセリン脂肪酸エステルなどが含まれていても良い。
本実施形態における食用油脂乳化物の製造方法は、HLBが8〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成されるものにおいて、(1)乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に食用油脂を添加し乳化する第二工程からなることを特徴とする。乳化剤と食用油脂と水とを同時に混合する方法、又は第一工程の前に、予め乳化剤を食用油脂に添加する等の工程を備える等の順序を変化させた場合には、食用油脂乳化物の安定性は著しく低下するか、乳化できない。また、第一工程の後には、乳化剤が水中で微粒子(乳化剤微粒子)を形成していることが重要となる。このとき乳化剤微粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm〜600nmである。
また、第二工程において、食用油脂を投入する速度は重要な構成の一つである。乳化剤微粒子に対して、食用油脂を毎分1/50量〜1/10量の速度で投入することにより良好な乳化状態を形成できる。食用油脂の投入速度が毎分1/10量よりも大きい場合には、乳化が不安定となるので好ましくない。また、食用油脂の投入速度が毎分1/50量よりも小さい場合には、乳化は安定であるものの、生産効率が悪くなるために好ましくない。
本実施形態の対象となる飲料または食品のうち、飲料では食用油脂を含有するものであれば特に限定されない。例えば、コーヒー、紅茶等は賞味期限が長く、高温販売(いわゆるホットベンダー販売)される機会が多いため、より不安定化する傾向が強い。このため、本実施形態の食用油脂乳化物は、コーヒー、紅茶、ココア等のように、コク味を呈することで飲料の美味しさをコントロールできる飲料を対象とすることが好ましい。
また、本実施形態の食用油脂乳化物は、高温安定性だけでなく、解凍後の安定性も有していることから、冬場においてマイナス温度になるような極冷環境下で流通することを想定した飲料にも好適に使用できる。
従来、飲料は常温流通が主流であるため、納品後に予備的に冷蔵した後に、店舗冷蔵庫や自動販売機で飲料を販売しなければならなかった。ところが、本実施形態によれば、冷凍状態から冷蔵状態での輸送が可能となるため、納品後にも速やかに冷えた飲料を店舗棚に陳列し、販売することができる。このため、商業上のメリットも大きい。
また、本実施形態の食用油脂乳化物を含有する食品の範疇は特に限定されるものではなく、調理用素材、加工食品、調理済食品等、幅広く適用が可能である。例えば、業務用又は家庭用の揚げ油、炒め油、離型油、天板油、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、フラワーペースト、クリーム類、粉末油脂類、乳化油脂類等の油脂・加工油脂、即席麺、カップ麺、即席スープ・シチュー類等の即席食品、カレー、スープ・シチュー類、パスタソース、中華食品の素、どんぶりの素等のレトルト食品・缶詰類、高カロリー飲料、流動食、栄養バランス食、栄養補助食品、特定保健用食品等の機能食品、パン、マカロニ・スパゲティ等のパスタ類、ピザパイ、麺類、ケーキミックス、加工米飯、シリアル等の小麦粉・デンプン食品、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、ゼリー、プリン等の菓子・デザート、しょうゆ、みそ、ソース類等の基礎調味料、カレー・シチュー用ルー、たれ、ドレッシング、マヨネーズ風調味料、麺つゆ、鍋料理用つゆ、ラー油、マスタード、からし、わさび、おろししょうが、おろしにんにく、キムチの素、デミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース等の複合調味料、乳、加工乳、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム類、調整粉乳、クリーム類等の乳製品、水産缶詰、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、油漬け魚肉缶詰等の水産加工品、ピーナツバター、ジャム・マーマレード、チョコレートクリーム、メンマ加工品、ザーサイ加工品、ねりごま・ごまペースト等の農産加工品、畜肉ハム・ソーセージ、畜産缶詰、ペースト類、ハンバーグ、ミートボール、味付け畜肉缶詰等の畜産加工品、冷凍食品、冷蔵食品、パック入りや店頭販売用惣菜等の調理済み・半調理済み食品の他、愛玩動物用ペットフード、家畜用飼料が例示できるが、これらに限定されるものではない。
以下、本実施形態の内容について実施例を挙げて、さらに詳細に記載するが、下記実施例は、例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
次に、本発明を実施例により詳しく説明する。
<試験1> 乳化剤の混合比率を変化させたときの食用油脂乳化物の比較検討
(1)材料
乳化剤として、二種類のものを選択し、これらの混合比を変化させて同じ製造方法を適用したときの乳化物の効果を比較した。
乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルの乳化剤A(HLB11、平均重合度10、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度2:サンソフトQ−182S(太陽化学株式会社製))と、乳化剤B(HLB13、平均重合度5、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度1:サンソフトA−181E(太陽化学株式会社製))とを用いた。
表1の「混合比率(%)」に示すように、100%の乳化剤A(実施例1)と、100%の乳化剤B(実施例2)から開始し、両者の混合比を10%ずつ変化させながら、乳化剤A:乳化剤B=0:100〜100:0となるように、11通りの試験を行った。
この試験では、乳化剤:食用油:水の混合比を5:70:25とした。
(2)乳化物の製造方法
表1に示す割合にて1種類または2種類の乳化剤を60℃以上のお湯に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させた(第一工程)。次いで、第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に食用油脂を添加し、ホモミキサーで3500rpmから8000rpmに至るまで徐々に回転数を上げながら乳化することによって食用油脂乳化物を製造した(第二工程)。食用油脂の添加速度は、1/16(ml/分)とした。
(3)評価項目
食用油脂乳化物の評価項目として、冷凍解凍後の分離度合い、レトルト後の分離度合い、5%水希釈品のオイルオフの状態、粒度分布のピーク形状を選択した。各項目の得点については、次の通りであった。すなわち、「冷凍解凍後の分離度合い」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。「レトルト後の分離度合い」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。「5%水希釈品のオイルオフの状態」については、1;全く油滴が認められない、2;1〜3滴の油的が認められるが、経時的な増加は認められず再分散性がある。3;4〜7滴の油滴が認められるが、経時的な増加は認められず、再分散性がある。4;4〜7滴の油滴が認められるが経時的な増加は認められないが、再分散性は認められない。5;7滴以上の油滴が認められ、経時的な増加もあり、再分散性も認められない。とした。また、「純度分布のピーク形状」は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(BECKMAN COULTER LS230)にて評価したものを示しており、「2」は2ピーク以上を、「S」は1ピーク以上のピークにショルダーが存在することをそれぞれ意味している。
(4)結果
結果を表1に示した。実施例1〜実施例5では、粒度分布のピーク形状が2またはSであり、食用油脂乳化物の効果も全ての項目において良好であった。一方、比較例1〜比較例5では、乳化物の効果が十分ではなかった。
Figure 2012125155
<試験2> 従来の乳化方法を用いたときの乳化物の比較検討
次に、試験1と同じ材料を用いて、従来の乳化方法によって、乳化させたときの効果を調べた。
(1)材料
材料は、上記<試験1>と同じとした。なお、乳化剤:食用油:水=5:70:25とした。
(2)乳化物の製造方法
表2に示す割合にて1種類または2種類の乳化剤と、水と、食用油脂との全てを混合し、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験1>から「粒度分布のピーク形状」を除いた3項目とした。なお、効果の点数については、<試験1>と同じとした。
(4)結果
結果を表2に示した。比較例6〜比較例16のいずれにおいても、乳化物の効果は十分ではなかった。このことから、従来の乳化方法では、十分な乳化効果が得られず、試験1に示す食用油脂乳化物の製造方法の効果が優れていることがわかった。
Figure 2012125155
<試験3> 食用油の混合比を変化させたときの乳化物の比較検討
次に、食用油の混合比を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
乳化剤の割合は5%に固定し、食用油と水の割合を表3の中段、「乳化剤/食用油/水」に示すように変化させた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表3に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験2>の項目に、「コク味の付与」を加えた4個とした。「コク身の付与」については、1;極めて強くコク味が付与されている、2;強くコク味が付与されている、3;若干コク味が付与されている、4;コク味が付与されているかが微妙で判別できない、5;明らかにコク味が付与されていない。とした。
(4)結果
結果を表3に示した。比較例17及び比較例18では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、4−1〜4−5、3−1、5−1では、少なくとも2個以上の評価項目について、最高グレード1の効果が認められたことから、適度な乳化物としての特性を備えていた。
Figure 2012125155
<試験4> 乳化剤の混合比を変化させたときの乳化物の比較検討
次に、乳化剤の混合比を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
食用油の割合は70%に固定し、乳化剤と水の割合を表4の中段、「乳化剤/食用油/水」に示すように変化させた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表4に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表4に示した。比較例19、比較例20、比較例21〜比較例24では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4−6〜4−8では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
Figure 2012125155
<試験5> 油投入速度を変化させたときの乳化物の比較検討
次に、第二工程における油投入速度を変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
実施例4、実施例4−9〜実施例4−14、比較例25及び比較例26については、上記<試験1>の実施例4と同じとした。実施例3−2及び実施例5−2については、乳化剤A:乳化剤Bの混合比率を50:50または70:30に変えた以外は、上記<試験1>と同じとした。
(2)乳化物の製造方法
表5に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表5に示した。比較例25、比較例26では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、実施例4−9〜4−14、実施例3−2、実施例5−2では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
Figure 2012125155
<試験6> 2種類の乳化剤のHLBを変化させたときの乳化物の比較検討
次に、乳化剤のHLBを変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
乳化剤として、前述の乳化剤A、乳化剤Bに加えて、HLBが異なる2種類の乳化剤C(HLB4.5、平均重合度10、脂肪酸としてステアリン酸(st)、エステル化度2:サンソフトQ−185S(太陽化学株式会社製))及び乳化剤DHLB14.5、平均重合度10、脂肪酸としてミリスチン酸(ms)、エステル化度1:サンソフトQ−14S(太陽化学株式会社製)を用い、表6に示すように用いた。
(2)乳化物の製造方法
表6に示す割合にて、2種類の乳化剤と、水と、食用油脂とを用いて、「<試験1>(2)乳化物の製造方法」に示す方法及び表6の条件に従って、乳化処理した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表6に示した。比較例27、比較例28では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例4、実施例7では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
Figure 2012125155
<試験7> 乳化剤微粒子の大きさを変化させたときの乳化物の比較検討
次に、第一工程において製造される乳化剤微粒子の大きさを変化させて乳化剤を製造したときの効果を比較検討した。
(1)材料
材料として、<試験例1>及び表7に記載のものを使用した。
(2)乳化物の製造方法
表6に示す割合にて、2種類の乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜823nmの乳化剤微粒子を形成させた(第一工程)。次いで、第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に食用油脂を添加して乳化することによって食用油脂乳化物を製造した(第二工程)。乳化剤微粒子の大きさについては、
60℃にて、湯に分散させた乳化剤微粒子溶液をSubmicron Particle Sizer NICOMP380を用いることで粒子サイズを確認し、任意のサイズになるように乳化剤微粒子溶液を攪拌溶解する時間を適宜変えながら微粒子サイズを調製した。
(3)評価項目
評価項目については、上記<試験3>の項目と同じとした。
(4)結果
結果を表7及び表8に示した。比較例29〜比較例31では、乳化物の特性は十分ではなかった。一方、実施例8−1〜実施例8−11では、十分に優良な乳化物としての特性を備えていた。
Figure 2012125155
Figure 2012125155
次に、本発明の食用油脂乳化物を各種の食品に応用した試験例を説明する。
<試験例1> ビスケットへの応用試験例
薄力粉100g、ベーキングパウダー0.5g、食塩1g、グラニュー糖20g、脱脂粉乳2.5g、無塩バター15g、水40g、本発明品である食用油脂乳化物3g(但し、コントロールでは乳化物は、なし)、の配合において、薄力粉とバターを混ぜ合わせ、次にベーキングパウダー、食塩、グラニュー糖、脱脂粉乳、無塩バターを投入して混合し、最後に水と本発明品食用油脂乳化物を添加して調製されたビスケット生地を、一晩生地を冷蔵庫で寝かせたものを厚さ2mmくらいになるように圧延し、170℃、約20分間で適度な焦げ目がつく程度まで焼きあげた。使用する食用油脂乳化物は、先の実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31を用いた。
食感評価をショートネス感についてパネラー10人に対して実施し、コントロールと比較して本発明品添加ビスケットのショートネス感を評価した。
ショートネス感がどれだけ優れているかは5段階評価として、1;極めてショートネス感が優れている。2;明らかにショートネスである。3;ショートネス感がある。4;若干ショートネス感がある。5;コントロールと比較してショートネス感は変わらない程度か、もしくは劣る。とした。
結果を表9に示した。
Figure 2012125155
このように、本実施形態を用いることによりショートネス感の付与が可能となり、焼き菓子などの商品に高付加価値を与えることが可能となった。
<試験例2> 畜肉への応用試験例
先の実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31を用いた。これらの食用油脂乳化物を使用し、牛のモモ肉100重量部に対して10重量部となるようにピックルインジェクターを用いて注入し、食肉加工品を調製した。この食肉加工品を2cmの厚さにスライスした後、175℃の鉄板で調理し官能評価に供した。評価は食したときのジューシー感と、目視観察から明らかに不必要な油滲み出しによるギトギト感が認められるかをパネラー10人により5段階評価した。
すなわち、ジューシー感評価は、1;極めてジューシー感が優れている。2;明らかにジューシー感がある。3;ジューシー感がある。4;若干ジューシー感がある。5;コントロールと比較してジューシー感は変わらない程度か、もしくは劣る。とした。
見た目のギトギト感評価は、1;ギトギト感が全く無く極めて綺麗である。2;若干の油滲みがあるが十分許容の範囲で綺麗である。3;油滲みがあり、綺麗とは言い難いが十分許容の範囲である。4;油の滲み出しがあり、綺麗とは言いがたく、食することに抵抗はあるが、かろうじて許容の範囲である。5;コントロールと比較して油滲みは変わらない程度か、それ以上に顕著に劣っており、綺麗な見た目ではなく、食することにも大きな抵抗感が感じられ、許容の範囲を明らかに超えている。とした。
結果を表10及び表11に示した。
Figure 2012125155
Figure 2012125155
このように本実施形態を用いることにより、食肉加工品のジューシー感が付与されているだけでなく、本発明品が高い耐熱性機能を有することからも見た目の不必要な油滲み出しも低減されており、従来にはない付加価値の高い食肉加工品の製造が可能となるものであることは明らかとなった。
<試験例3> コーヒー飲料への応用試験例
コーヒー抽出液(Bx3.0)500g、牛乳200g、ショ糖脂肪酸エステル(リョートーP−1670)0.3g、グラニュー糖60g、食用油をヤシ油とナタネ油の混合油を用いた実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物を5%添加して、水を適量加え混合溶解し、重曹にてpH6.9に調整後、更に水を加え全量を1000gとした。調合されたコーヒーミックスを65〜70℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて15MPaの圧力で均質化し缶容器に充填した。充填された缶容器は121℃、30分間レトルト殺菌を行い、コーヒー飲料を調製した。殺菌後の飲料のpHは6.4であった。これを試飲コーヒー飲料として、コク味の付与と油脂の油浮きについてパネラー10人により5段階評価した。すなわちコク味評価については、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じないか、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
また、油脂の油浮きの評価としては、1;表面に油浮きは全く認められず、綺麗である。2;表面に1滴の油浮きが認められるが十分許容の範囲である。3;表面に2〜5滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。4;表面に6滴〜10滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。5;表面の油浮きは大量に認められ、許容の範囲を超えている。とした。
結果を表12及び表13に示した。
Figure 2012125155
Figure 2012125155
このように本実施形態を用いることで、缶コーヒー等の嗜好性飲料においてコク味を付与することが可能となるだけでなく、本発明品が高い希釈安定性を有することからも油浮きなどの品質上のクレームとなるような問題を低減することが十分可能であり、高付加価値な製品を製造することが十分可能になることは明らかとなった。
<試験例4> ケーキへの応用試験例
卵黄50g、牛乳45g、小麦粉100g、砂糖55gに実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物をそれぞれ加えて混合したものを、さらに卵白200gと砂糖80gを合わせて起泡させたメレンゲに加えてケーキ生地を調製した。さらにこれを175℃で20分間焼きあげたものをパネラー10人により各ケーキ生地の食感風味を5段階評価した。
すなわち評価としては、1;極めて口どけも良く、極めてしっとりとしており美味しい。2;口どけも良く、しっとりとしており、美味しい。3;口どけか、あるいはしっとりのどちらかが感じられ、美味しい。4;口どけも悪く、しっとり感は無いがかろうじて美味しい。5;口どけも悪く、しっとり感も無く、美味しいとは感じない。とした。
結果を表14に示した。
Figure 2012125155
このように本実施形態を用いることで、ケーキ生地の口どけを良くし、さらにはしっとり感も付与できることから、商品付加価値の高いケーキを製造することが可能となることは明らかであった。
<試験例5> スープ及びレトルトカレーへの応用試験例
市販されているレトルトカレー及びスープに実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29,31の食用油脂乳化物を5%添加して軽く混合した後に再びパウチ容器を密封して、沸騰するお湯の中に内部品温が70℃を越えるまで加熱し、パウチ容器からお皿に全量出して、スープ及びカレーの風味評価であるコク味の感と油脂の油浮きについてパネラー10人により5段階評価した。
すなわち、コク味については、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じられず、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
表面の油浮きについては、1;表面に油浮きは全く認められず、綺麗である。2;表面に1滴の油浮きが認められるが十分許容の範囲である。3;表面に2〜5滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。4;表面に6滴〜10滴の油が認められるが、かろうじて許容の範囲である。5;表面の油浮きは大量に認められ、許容の範囲を超えている。とした。
結果を表15及び表16に示した。
Figure 2012125155
Figure 2012125155
このように本実施形態を用いることで、スープやカレーなどの加熱レトルト食品や、調味食品において、本発明品が優れた耐熱性及び希釈安定性を有していることは明らかであり、コク味の付与や油浮きなどの品質劣化の低減などが可能となり、もって高付加価値な加工食品の製造が容易に可能となることは明らかであった。
<試験例6> 豆乳への応用試験例
市販されている無調整豆乳に対して実施例8−2、8−5、8−11、比較例13、29、31の食用油脂乳化物を5%添加して、コク味についてパネラー10人により5段階評価した。すなわち、コク味の評価は、1;極めてコク味が優れており美味しい。2;明らかにコク味が感じられており美味しい。3;明らかにコク味は感じられるが、どちらかといえば美味しいとは感じない。4;コク味は少しだけ感じられ、どちらかと言えば美味しくない。5;コク味は感じられず、もしくは劣っており、美味しいと感じない。とした。
結果を表17に示した。
Figure 2012125155
このように本実施形態を用いることで、豆乳飲料などのコレステロール値や健康を意識する消費者が好むような健康飲料系では、むしろ油の添加は本来高カロリーであって、かつコレステロールの低減効果としては不向きであった。しかしながら豆乳は牛乳に比べてコクが無いという製品設計上の矛盾する問題を有していたが、本発明品が優れたコク味の付与効果を有することから、最低限の油脂の添加であっても十分満足なコク味が付与できることになり、高付加価値かつ安価な加工食品の製造が容易に可能となる産業上のメリットだけでなく、消費者の健康に配慮した商品設計も可能となり、社会的利益としても十分な価値のある健康飲料を提供することが可能となった。
このように、本実施形態によれば、油のコク味が良好に感じられると共に、風味が良好であり、かつ保存安定性に優れた食用油脂乳化物を得ることができた。また、この食用油脂乳化物を用いることにより、均質化を行うことなく安定であり、コク味を呈しており、かつ風味が良好な飲食品を提供することが可能となった。

Claims (9)

  1. HLBが4〜14の乳化剤と、食用油脂と、水とから構成される食用油脂乳化物の製造方法であって、
    (1)前記乳化剤を水に分散させて、平均粒子径が10nm〜600nmの乳化剤微粒子を形成させる第一工程と、(2)前記第一工程によって調製された乳化剤微粒子分散水溶液に前記食用油脂を添加して乳化する第二工程とを含むことを特徴とする食用油脂乳化物の製造方法。
  2. 前記乳化剤が0.3質量%〜5質量%、前記食用油脂が30質量%〜80質量%、前記水が15質量%〜69.7質量%であって、全体で100質量%となる割合で用いることを特徴とする請求項1に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
  3. 前記第二工程において、前記乳化剤微粒子分散水溶液に対して、前記食用油脂を毎分1/50量〜1/10量の速度で投入することを特徴とする請求項1又は2に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
  4. 前記乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の食用油脂乳化物の製造方法。
  5. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸からなる群から選択される1種または2種であることを特徴とする請求項4に記載の食用油脂乳化物の製造方法。
  6. 前記食用油脂乳化物における前記食用油脂の含量が、40質量%〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の食用油脂乳化物の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物を水に5%になるように分散させたときの粒度分布が、(1)2ピーク以上を有するか、または(2)1ピークであって、このピークにショルダーが存在することにより、不均一な乳化状態を備えることを特徴とする食用油脂乳化物。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の製造方法により製造された食用油脂乳化物を用いた飲料または食品。
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