JP2012121856A - Vegf産生促進剤、igf−1産生促進剤、hgf産生促進剤、及びbmp−2産生促進剤 - Google Patents

Vegf産生促進剤、igf−1産生促進剤、hgf産生促進剤、及びbmp−2産生促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたVEGF産生促進作用、IGF−1産生促進作用、HGF産生促進作用、及びBMP−2産生促進作用を有する、安全性の高いVEGF産生促進剤、VEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤の提供。
【解決手段】シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、VEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤に関する。
毛髪は、成長期、退行期、休止期からなる周期的なヘアサイクル(毛周期)に従って成長及び脱落を繰り返している。これらの周期の中でも、発毛に最も重要な周期は、休止期から成長期へかけての新たな毛包が形成されるステージである。そして、このステージにおける細胞の増殖及び分化に重要な役割を果たしているのが、毛乳頭細胞であると考えられている。毛乳頭細胞は、毛根の根幹部分に位置し、毛根近傍の毛包上皮系細胞へ働きかけてその増殖を促す等、毛髪の分化に重要な役割を担っている(例えば、非特許文献1参照)。
これらの毛髪の分化や発毛のメカニズムに関与する因子として、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、肝細胞成長因子(HGF)、骨形成タンパク質(骨形成因子)−2(BMP−2)などが知られている。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、正常細胞や腫瘍細胞等のあらゆる細胞において産生される分子量34kDa〜46kDaの糖蛋白質であり、血管内皮細胞に働きかけ、細胞の増殖や遊走を促進し、個体の発達や組織形成に関与することが知られている。VEGFは、体毛の形成に重要な働きをする外毛根鞘細胞及び毛乳頭細胞からも産生されており(例えば、非特許文献2及び3参照)、産生が阻害されるとヘアサイクルの成長期の遅れや毛包サイズの矮小化に繋がることから、毛髪の成長に深く関与することが知られている(例えば、非特許文献4参照)。このようなVEGFの産生を促進する天然由来の物質として、ヒルガオ科のアサガオカラクサ属植物の抽出物(例えば、特許文献1参照)、ローヤルゼリー(例えば、特許文献2参照)、L−グルタミン酸又はその塩、L−セリン、PCA(ピロリドンカルボン酸)又はその塩、モノニトログアヤコールナトリウム、クロレラ(Chlorella vulgaris)の抽出物、ユズ(Citrus junos)の果実の抽出物、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)の果皮の抽出物、エイジツ(Rosa multiflora)の果実の抽出物、イチョウ(Ginkgo biloba)の葉の抽出物より選択されるもの(例えば、特許文献3参照)などが提案されているが、より優れたVEGF産生促進作用を有する物質が求められている。
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)は、インスリンに非常に良く似た構造及び作用を持つ分子量約7,500のペプチドホルモンであり、細胞の分化及び増殖の促進、細胞の健康的な状態の維持(例えば、非特許文献5及び6参照)、細胞の老化進行の阻止に関与することが知られている(例えば、非特許文献7参照)。IGF−1は、毛乳頭細胞にて発現し、毛根を活発化させ育毛効果を有することが報告されており(例えば、非特許文献8参照)、IGF−1を有効成分とする育毛剤が提案されている(例えば、特許文献4参照)。前記育毛剤の有効成分であるIGF−1は動物由来の物質であるため、分子量が大きく、外用塗布による経皮吸収が困難であるという問題がある。IGF−1産生促進作用を示す植物由来の物質も見つかってはいるが、より優れたIGF−1産生促進作用を有する植物由来の物質が求められている。
肝細胞成長因子(HGF)は、肝細胞をはじめ、各臓器由来の上皮細胞、内皮細胞、造血系細胞等の増殖を促進することが知られており、臓器の障害や線維化を抑制し、臓器の再生を促進する作用を有している。HGFは、毛乳頭細胞にて発現し、毛根を活発化させ育毛効果を有することが報告されている(例えば、非特許文献9参照)。このようなHGFの産生を促進する植物由来の物質として、米の抽出物が提案されているが(例えば、特許文献5参照)、より優れたHGF産生促進作用を有する物質が求められている。
骨形成蛋白質(BMP)は、細胞増殖や分化調節を介して、体軸形成やほぼ全ての器官形成において必須の役割を果たす多機能因子であり、皮膚においては、毛包の形成に促進的に関与することが知られている。また、男性型脱毛症部位の毛乳頭細胞では、BMPが有する約20種のサブユニットのうちのBMP−2の遺伝子発現が低下していることから、この遺伝子に着目した育毛剤研究が注目されており(例えば、特許文献6参照)、より優れたBMP−2産生促進作用を有する物質が求められている。
以上のように、VEGF産生促進作用、IGF−1産生促進作用、HGF産生促進作用、及びBMP−2産生促進作用を有する各剤に対する需要は極めて高い。
一方、シャクヤクはボタン科の多年草であり、消炎剤、鎮痛剤、抗菌剤、止血剤、及び抗けいれん剤として広く用いられているが、VEGF産生促進作用、IGF−1産生促進作用、HGF産生促進作用、及びBMP−2産生促進作用を有することは知られておらず、安全性が高く、優れた活性を有するVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤の速やかな提供が強く求められているのが現状である。
特開2003−160503号公報 特開2003−192541号公報 特開2005−002068号公報 特公平4−060567号公報 特開2004−099503号公報 特開2005−002068号公報
「Trends Genet」,1992年,第8巻,p.56−61 J.Invest.Dermatol.,106,17−23(1996) Arch.Dermatol.Res.,209,661−668(1998) J.Clin.Invest.,107,409−417(2001) J.Biol.Chem.,271,28853−28860(1996) Dermatology,20,325−329(2002) Am.J.Med.,115,501−502(2003) J.Invest.Dermatol.,99,343−349(1992) アンチエイジングシリーズ(1)、白髪・脱毛・育毛の実際,NTS,p.1−18,2005年
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたVEGF産生促進作用を有し、安全性の高いVEGF産生促進剤を提供することを目的とする。また、本発明は、優れたIGF−1産生促進作用を有し、安全性の高いIGF−1産生促進剤を提供することを目的とする。また、本発明は、優れたHGF産生促進作用を有し、安全性の高いHGF産生促進剤を提供することを目的とする。また、本発明は、優れたBMP−2産生促進作用を有し、安全性の高いBMP−2産生促進剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、シャクヤクの抽出物が、優れたVEGF産生促進作用、IGF−1産生促進作用、HGF産生促進作用、及びBMP−2産生促進作用を有することを見出した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするVEGF産生促進剤である。
<2> シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするIGF−1産生促進剤である。
<3> シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするHGF産生促進剤である。
<4> シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするBMP−2産生促進剤である。
本発明のVEGF産生促進剤によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたVEGF産生促進作用を有し、安全性の高いVEGF産生促進剤を提供することができる。
本発明のIGF−1産生促進剤によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたIGF−1産生促進作用を有し、安全性の高いIGF−1産生促進剤を提供することができる。
本発明のHGF産生促進剤によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたHGF産生促進作用を有し、安全性の高いHGF産生促進剤を提供することができる。
本発明のBMP−2産生促進剤によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたBMP−2産生促進作用を有し、安全性の高いBMP−2産生促進剤を提供することができる。
(VEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤)
本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、シャクヤクの抽出物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<シャクヤクの抽出物>
前記シャクヤクは、ボタン科の多年草であり、学名はPaeonia lactifloraである。前記シャクヤクは、アジア大陸北東部の地域から容易に入手可能である。前記シャクヤクの高さは、約60cmであり、初夏に紅又は白色などのボタンに似た大型の花が咲く。薬用部位は根であり、消炎剤、鎮痛剤、抗菌剤、止血剤、及び抗けいれん剤として広く用いられている。
前記シャクヤクの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法により容易に得ることができる。前記シャクヤクの抽出物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、抽出液の乾燥物などが挙げられる。
前記シャクヤクの抽出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に、抽出原料であるシャクヤクを投入し、必要に応じて適宜攪拌しながら、可溶性成分を溶出した後、濾過し、抽出残渣を除くことによって、抽出液を得る方法が挙げられる。
前記シャクヤクの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、根を用いることが好ましい。前記シャクヤクの根を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
前記シャクヤクの抽出条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抽出時間としては、1時間〜3時間が好ましく、抽出温度としては、常温〜95℃が好ましい。
前記シャクヤクの抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。前記混合溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10質量部に対して1質量部〜90質量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10質量部に対して1質量部〜40質量部、多価アルコールを使用する場合は、水10質量部に対して1質量部〜90質量部、添加することが好ましい。なお、前記シャクヤクの抽出溶媒は、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記シャクヤクの抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抽出原料としてのシャクヤクに対して、5倍量〜15倍量(質量比)であることが好ましい。
前記シャクヤクの抽出物の薬理学的に許容される塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硫酸水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、スルファミン酸塩、マンデル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、パモン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、イセチオン酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アスパラギン酸塩、アジピン酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩などが挙げられる。
前記シャクヤクの抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液−液分配抽出、各種クロマトグラフィー、膜分離などの精製方法が挙げられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味剤、矯臭剤、着色料、香料等、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤、皮膚化粧料などが挙げられる。
<用途>
本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、優れた活性を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、頭髪用育毛剤、頭髪化粧料等の皮膚外用剤に配合するのに好適であり、その投与部位、配合量、用法、及び剤型としては、その使用目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、頭髪、頭髪の毛根、頭皮、頭皮の皮脂腺等の頭部が好ましい。
前記配合量としては、抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記シャクヤクの精製物に換算して、0.0001質量%〜10質量%が好ましく、0.001質量%〜1質量%がより好ましい。
前記用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの投与形態が挙げられる。
前記剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、ゾル、スプレー、溶液等が挙げられる。頭髪化粧料としては、例えば、ヘアトニック、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンスなどが挙げられる。
本発明のVEGF産生促進剤によると、優れたVEGF産生促進作用を通じて、例えば、血管内皮細胞の増殖や遊走、血管新生、血液凝固、血圧調節、皮膚におけるリンパ管の成長等を促進し、脱毛症、冠動脈疾患、閉塞性末梢動脈硬化症、軟骨損傷、血管形成不全、虚血性脚部疾患等を改善乃至治療することができる。ただし、本発明のVEGF産生促進剤は、これらの用途以外にもVEGF産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。
本発明のIGF−1産生促進剤によると、優れたIGF−1産生促進作用を通じて、例えば、細胞全般の分化、増殖及び成長、老化の進行抑制、血糖降下、生殖機能の調節、並びに軟骨への硫酸イオンの取込み等を促進し、脱毛症、皮膚老化、糖尿病、下垂体機能低下症、及び下垂体性小人症等を改善乃至治療することができる。ただし、本発明のIGF−1産生促進剤は、これらの用途以外にもIGF−1産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。
本発明のHGF産生促進剤によると、優れたHGF産生促進作用を通じて、例えば、各臓器由来の上皮細胞、内皮細胞、及び造血系細胞等の増殖や再生を促進し、臓器の障害や線維化を抑制し、脱毛症、線維症、肝臓疾患、及び閉塞性動脈硬化症等を改善乃至治療することができる。ただし、本発明のHGF産生促進剤は、これらの用途以外にもHGF産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。
本発明のBMP−2産生促進剤によると、優れたBMP−2産生促進作用を通じて、例えば脱毛症、皮膚老化、骨形成の誘導、細胞全般の分化及び増殖の調節、体軸及びほぼ全ての器官の形成、並びに神経細胞の分化及び機能維持などに好適に利用することができる。ただし、本発明のBMP−2産生促進剤は、これらの用途以外にもBMP−2産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。
また、本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、優れた作用を有するとともに、消化管で消化されるようなものではないことが確認されているので、美容用飲食品又は経口用医薬への配合に好適である。
本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、優れた作用を有するので、VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2の機能の研究や、VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2に関連する疾患の研究のための試薬として好適に利用できる。
なお、本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2の産生促進試験>
シャクヤクの抽出物としては、シャクヤク抽出液(丸善製薬株式会社製)の凍結乾燥物を試料として用い、下記の試験法によりVEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2のmRNA発現率を測定した。
まず、正常ヒト頭髪毛乳頭細胞(東洋紡績株式会社製、CA60205)を、毛乳頭細胞増殖培地(東洋紡績株式会社製、TPGM−250)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2×10個/mLの濃度になるように10%FBS含有DMEM培地で希釈した後、直径60mmシャーレに5mLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、無血清DMEM培地にて6.25ppmに調製した被験試料に交換し6時間培養した後、ISOGEN(ニッポンジーン社製、Cat.No.311−02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2、並びに内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScriptTM RT−PCT Kit(Perfect Real Time)(code No.RR063A)によるリアルタイム2 Step RT−PCR反応により行った。
VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2、並びにGAPDHの各遺伝子を検出するために、下記の配列を有するセンスプライマー及びアンチセンスプライマー(タカラバイオ社製)を使用した。
<<VEGF遺伝子検出用プライマー>>
センスプライマー :5’−gagccttgccttgctgctctac−3’(配列番号1)
アンチセンスプライマー:5’−caccagggtctcgattggatg−3’(配列番号2)
<<IGF−1遺伝子検出用プライマー>>
センスプライマー :5’−tcttcagttcgtgtgtggagacag−3’(配列番号3)
アンチセンスプライマー:5’−gggtgcgcaatacatctccag−3’(配列番号4)
<<HGF遺伝子検出用プライマー>>
センスプライマー :5’−tggccatgaatttgacctctatga−3’(配列番号5)
アンチセンスプライマー:5’−ggctgacatttgatgccactctta−3’(配列番号6)
<<BMP−2遺伝子検出用プライマー>>
センスプライマー :5’−aacactgtgcgcagcttcc−3’(配列番号7)
アンチセンスプライマー:5’−cctaaagcatcttgcatctgttctc−3’(配列番号8)
<<GAPDH遺伝子検出用プライマー>>
センスプライマー :5’−gcaccgtcaaggctgagaac−3’(配列番号9)
アンチセンスプライマー:5’−atggtggtgaagacgccagt−3’(配列番号10)
VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2のmRNAの発現量については、同一サンプルにおけるGAPDHの発現量の値で補正を行った後、下記数式1により、各遺伝子(VEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2)のmRNA発現率(%)を算出した。結果を表1に示す。
<数式1>
各遺伝子のmRNA発現率(%) = B/A × 100
ただし、前記数式1中、Aは、試料無添加時の補正値を表す。Bは、試料添加時の補正値を表す。
Figure 2012121856
表1の結果から、シャクヤクの抽出物が、高いVEGFのmRNA発現促進作用、IGF−1のmRNA発現促進作用、HGFのmRNA発現促進作用、及びBMP−2のmRNA発現促進作用を有し、これらの作用を通じて対応する各タンパク質であるVEGF、IGF−1、HGF、及びBMP−2の産生が促進されることが示唆された。
本発明のVEGF産生促進剤、IGF−1産生促進剤、HGF産生促進剤、及びBMP−2産生促進剤は、優れたVEGF産生促進作用、IGF−1産生促進作用、HGF産生促進作用、及びBMP−2産生促進作用を有するので、育毛剤及び頭髪化粧料をはじめとする皮膚外用剤、美容用化粧品、及び医薬への配合、更には研究用の試薬として好適に利用できる。

Claims (4)

  1. シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするVEGF産生促進剤。
  2. シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするIGF−1産生促進剤。
  3. シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするHGF産生促進剤。
  4. シャクヤクの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするBMP−2産生促進剤。
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