JP7323143B2

JP7323143B2 - 頭皮頭髪用化粧料

Info

Publication number: JP7323143B2
Application number: JP2022150899A
Authority: JP
Inventors: 彩香小竹; 菜摘新; 優子谷口; 孝辻; 美帆小川
Original assignee: Nicca Chemical Co Ltd; RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Current assignee: Nicca Chemical Co Ltd; RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date: 2021-12-24
Filing date: 2022-09-22
Publication date: 2023-08-08
Anticipated expiration: 2042-09-22
Also published as: KR20230098000A; JP2023095759A

Description

本発明は、ＦＧＦ－７産生促進剤、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤と、頭皮状態を改善し優れた育毛効果を発揮する頭皮頭髪用化粧料に関する。

不規則な生活やストレス等の社会環境、食生活の変化により、抜け毛や脱毛、細毛、薄毛の悩みは壮年男性だけでなく、若年層や女性にも広がっている。これを受けて、育毛促進、保湿、フケやかゆみの予防、抗炎症、脱毛予防等を目的とした多くの頭皮頭髪用化粧料が上市されている。

細胞成長因子の一種であるＦｉｂｒｏｂｌａｓｔＧｒｏｗｔｈＦａｃｔｏｒ‐７（以下、「ＦＧＦ－７」と表記、別名ＫｅｒａｔｉｎｏｃｙｔｅＧｒｏｗｔｈＦａｃｔｏｒ（以下、「ＫＧＦ」と表記）は、毛乳頭細胞から産生され、毛母細胞に作用し、毛母細胞の増殖・分裂を促すことで毛髪成長をさせること、またその発現が頭髪の薄毛部位では減少していることが知られている。
これに関連して、毛包の細胞におけるＦＧＦ－７の発現を亢進することにより毛髪の太毛化を維持・促進する方法、並びにアデノシン又はその誘導体を含有するＦＧＦ－７の発現を亢進する組成物を開示する文献（特許文献１）、マキベリー抽出物がＫＧＦ等の産生促進効果を有することを示した文献（特許文献２）が知られている。
しかし、特許文献１，２記載のアデノシンやマキベリーでは、毛髪の育毛によるボリュームアップ効果は不十分であった。

一方で毛髪は、毛母細胞が分化し角化することで形成される。毛母細胞はまた、内毛根鞘細胞にも分化し、毛髪を固定したり、毛髪の角化が終わるまで保護し、表皮に送り届けたりする役割を担っている。
このような毛母細胞の分化を担っている因子の一つが毛乳頭細胞で産生されるＷｉｎｇｌｅｓｓ‐ｔｙｐｅＭＭＴＶｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎｓｉｔｅｆａｍｉｌｙ，ｍｅｍｂｅｒ１０ｂ（以下、「Ｗｎｔ１０ｂ」と表記）であり（非特許文献１）、Ｗｎｔ１０ｂの産生が促進されると毛母細胞が増加し、毛幹や内毛根鞘細胞への分化が活性化されるため、ハリやコシのある丈夫な毛髪が形成されると考えられている。

Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤としてはカルシトリオールが知られている。これまでに、カルシトリオールによりＷｎｔ１０ｂの発現が亢進された毛乳頭細胞を、マウスの無毛部に移植すると毛が生えることが報告されている（非特許文献２）。
しかし、カルシトリオールは強力なカルシウム代謝作用を有することから、血中のカルシウム値を上昇させ、蕁麻疹や高血圧、不整脈、筋脱力などの副作用の懸念がある。

毛乳頭細胞においてＷｎｔ１０ｂ産生促進作用を有し、安全性が高く、化粧料に配合可能なＷｎｔ１０ｂ産生促進剤としてセンキュウ抽出物等が報告されている（特許文献３）。
しかし、抜け毛、薄毛、細毛といった悩みを解消するために満足できる毛髪の育毛によるボリュームアップ効果は得られていなかった。

ＷＯ２００５／０４４２０５号公報特開２０１３－２３４１４０号公報特開２０１９／１７８０９９号公報

ＢｉｏｃｈｅｍＢｉｏｐｈｙｓＲｅｓＣｏｍｍｕｎ．２００７、３５９巻、p５１６－５２２ＳｔｅｍＣｅｌｌｓＴｒａｎｓｌＭｅｄ．２０１２、８巻、ｐ６１５－６２６

本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ＦＧＦ－７産生促進剤、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤と、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの少なくともいずれかの発現を亢進させることを特徴とする頭皮頭髪用化粧料を提供することを目的とする。

成分（Ａ）炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸および前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも１種と、成分（Ｂ）γ－アミノ酪酸（以下、「ＧＡＢＡ」と表記）、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、およびα－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、及び／又は、成分（Ｃ）エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物のいずれかの植物抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを併用することにより、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの少なくともいずれかの発現が亢進することにより優れた育毛効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
そして本発明は、成分（Ａ）炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸および前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも１種と、成分（Ｂ）ＧＡＢＡ、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、およびα－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、及び／又は、成分（Ｃ）エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物のいずれかの植物抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを含有する頭皮頭髪用化粧料を提供する。
すなわち、本願発明は、ＦＧＦ－７産生促進剤、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤に関する発明である。
また、本発明は上記の、成分（Ａ）と成分（Ｂ）と成分（Ｃ）、又は、成分（Ａ）と成分（Ｂ）、又は、成分（Ａ）と成分（Ｃ）を含む頭皮頭髪用化粧料に関する発明である。

そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
（あ）成分（Ａ）として、ステアリン酸、リノール酸、ローズヒップ油、亜麻仁油、エゴマ油、および、ククイナッツ油より選ばれる少なくとも1種と、成分（Ｂ）として、ＧＡＢＡ、および、α－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも1種、及び／又は、成分（Ｃ）成分として、エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、および、ケイガイ抽出物より選ばれる少なくとも1種、とを含有する、ＦＧＦ－７産生促進剤。
（い）成分（Ａ）として、リノール酸、α－リノレン酸、ローズヒップ油、亜麻仁油、エゴマ油、ククイナッツ油、および、ブドウ種子油より選ばれる少なくとも1種と、成分（Ｂ）として、ＧＡＢＡ、α－グルコシルグリセロール、Ｌ－テアニン、および、５―アミ
ノ吉草酸より選ばれる少なくとも１種、及び／又は、成分（Ｃ）として、エンジュ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを含有する、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤。
（う）成分（Ａ）として、リノール酸、ローズヒップ油、亜麻仁油、エゴマ油、および、ククイナッツ油より選ばれる少なくとも1種と、成分（Ｂ）として、ＧＡＢＡ、および、α－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、及び／又は、成分（Ｃ）として、エンジュ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、および、ケイガイ抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを含有する、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤。
（え）成分（Ａ）として、炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸、および、前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも１種と、成分（Ｂ）として、γ－アミノ酪酸、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、および、α－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、及び／又は、
成分（Ｃ）として、エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、及び、ケイガイ抽出物のいずれかの植物抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを含むことを特徴とする頭皮頭髪用化粧料。
（お）上記に記載の、ＦＧＦ－７産生促進剤、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤、またはＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤のいずれかを含む、頭皮頭髪用化粧料。

本発明の頭皮頭髪用化粧料は、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの少なくともいずれかの産生を亢進させることにより、頭皮状態を改善し、優れた育毛効果を発揮することができる。

本発明の頭皮頭髪用化粧料は成分（Ａ）炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸および前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも１種、成分（Ｂ）ＧＡＢＡ、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、およびα－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、並びに／又は、成分（Ｃ）エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物のいずれかの植物抽出物より選ばれる少なくとも１種、とを含有する。

本発明における育毛効果とは、頭髪が増える、太くなる、薄毛の予防、脱毛抑制、ハリやコシのある丈夫な毛髪になることなどを意味する。

＜安全性＞
これらの成分（Ａ）脂肪酸又は脂肪酸エステル、成分（Ｂ）ＧＡＢＡ、Ｌ-テアニン、
５－アミノ吉草酸、α－グルコシルグリセロール、および、成分（Ｃ）植物抽出物は、いずれも医薬又は民間薬、食品、化粧料の成分として一般的に用いられているものであり、安全性が高い。

＜各成分の説明＞
＜成分（Ａ）＞
本発明の成分（Ａ）として用いられる炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸としては、特に限定されず、例えばミリスチン酸、ペンタ
デシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α－リノレン酸、γ－リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、エイコサジエン酸、ミード酸、ジホモ－γ－リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、これらを１種又は２種以上組み合わせても良い。
これら脂肪酸のうち、炭素数が１８であるステアリン酸、リノール酸、α－リノレン酸が好ましい。

また、前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルとしては、特に限定されず、脂肪酸とグリセリンとの脂肪酸エステルである植物油を使用することができる。
植物油は特に限定されないが、例えばローズヒップ油、亜麻仁油、エゴマ油、カカオ脂、ククイナッツ油、クルミ油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、コーン油、サンフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、綿実油、ルリジサ種子油、などが挙げられ、これらを１種又は２種以上組み合わせても良い。
これら植物油のうち、亜麻仁油、エゴマ油、ブドウ種子油、ククイナッツ油、ローズヒップ油が好ましい。
本発明の頭皮頭髪用化粧料における成分（Ａ）の総含有量は、好ましくは０．０００００００１～１質量％、より好ましくは０．００００００１～０．１質量％、さらにより好ましくは０．０００００１～０．００１質量％である。総含有量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると含有量に見合った作用が得られない傾向がありコスト的に不利である。

＜成分（Ｂ）＞
本発明の成分（Ｂ）としては、ＧＡＢＡ、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、α－グルコシルグリセロールが好ましい。
本発明の頭皮頭髪用化粧料における成分（Ｂ）の総含有量は、好ましくは０．００００１～１０質量％、より好ましくは０．０００１～５質量％、さらにより好ましくは０．００１～３質量％である。総含有量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると含有量に見合った作用が得られない傾向がありコスト的に不利である。

＜成分（Ｃ）＞
本発明の成分（Ｃ）に用いられる植物抽出物としては、エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物が好ましく、これらを１種又は２種以上組み合わせても良い。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるエンジュ抽出物とは、マメ科クララ属エンジュ（ＳｏｐｈｏｒａｊａｐｏｎｉｃａＬｉｎｎｅ）の花および／又は蕾から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるハブソウ抽出物とは、マメ科センナ属ハブソウ（Ｓｅｎｎａｏｃｃｉｄｅｎｔａｌｉｓ又はＳｅｎｎａｔｏｒｏｓａ）又はマメ科カワラケツメイ属ハブソウ（Ｃａｓｓｉａｏｃｃｉｄｅｎｔａｌｉｓ又はＣａｓｓｉａｔｏｒｏｓａ）の葉および／又は種子から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるルイボス抽出物とは、マメ科アスパラトゥス属ルイボス（Ａｓｐａｌａｔｈｕｓｌｉｎｅａｒｉｓ）の葉から得られる抽出物であり、同
属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるチモ抽出物とは、キジカクシ科ハナスゲ属ハナスゲ（ＡｎｅｍａｒｒｈｅｎａａｓｐｈｏｄｅｌｏｉｄｅｓＢｕｎｇｅ）の根および／又は根茎から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるクワ抽出物とは、クワ科クワ属マグワ（Ｍｏｒｕｓａｌｂａ）および／又はクワ科クワ属ヤマグワ（Ｍｏｒｕｓａｕｓｔｒａｌｉｓ）の葉および／又は根および／又は根皮から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるシャクヤク抽出物とは、ボタン科ボタン属シャクヤク（ＰａｅｏｎｉａｌａｃｔｉｆｌｏｒａＰａｌｌａｓ）の根から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるシナニッケイ抽出物とは、クスノキ科ニッケイ属シナニッケイ（ＣｉｎｎａｍｏｍｕｍｃａｓｓｉａＢｌｕｍｅ）の樹皮および／又は周皮から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるキキョウ抽出物とはキキョウ科キキョウ属キキョウ（ＰｌａｔｙｃｏｄｏｎｇｒａｎｄｉｆｌｏｒｕｓＡ．ＤｅＣａｎｄｏｌｌｅ）の根から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるタケ抽出物とはイネ科マダケ属（ＢａｍｂｕｓａｔｅｘｔｉｌｉｓＭｃＣｌｕｒｅ，ＢａｍｂｕｓａｐｅｒｖａｒｉａｂｉｌｉｓＭｃＣｌｕｒｅ，ＢａｍｂｕｓａｂｅｅｃｈｅｙａｎａＭｕｎｒｏ，ＢａｍｂｕｓａｔｕｌｄｏｉｄｅｓＭｕｎｒｏ，ハチクＰｈｙｌｌｏｓｔａｃｈｙｓｎｉｇｒａＭｕｎｒｏｖａｒ．ｈｅｎｏｎｉｓＳｔａｐｆｅｘＲｅｎｄｌｅ）又はイネ科マダケ属マダケ（ＰｈｙｌｌｏｓｔａｃｈｙｓｂａｍｂｕｓｏｉｄｅｓＳｉｅｂｏｌｄｅｔＺｕｃｃａｒｉｎｉ）の稈の内層から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられるケイガイ抽出物とはシソ科イヌハッカ属ケイガイ（ＳｃｈｉｚｏｎｅｐｅｔａｔｅｎｕｉｆｏｌｉａＢｒｉｑｕｅｔ）の花穂から得られる抽出物であり、同属植物から得られる抽出物も含まれる。

本発明の成分（Ｃ）として用いられる上記植物抽出物としては従来の抽出方法により抽出したものを用いても良いし、市販のものを用いても良い。

抽出方法としては例えば、植物の各部位を適当な溶媒に浸漬して抽出する方法が挙げられる。

抽出の際は、使用する植物をそのまま用いても良いし、粉砕や乾燥を施して用いても良いが、粉砕して用いることが好ましく、乾燥させたものを用いることがさらに好ましい。また、抽出溶媒に浸漬している間、攪拌していても良く、静置していても良い。本発明の植物抽出物は抽出操作を繰り返して高濃度の植物抽出物とすることもできる。

抽出に使用する溶媒に特に制限はなく、水；メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級1価アルコール類；プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類；酢酸メチル、酢酸エチル等の
エステル類；アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類；ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類；クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類；ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、等を用いることができる。
またこれらのうち1種を単独で用いても2種以上からなる混合溶媒を用いても良い。特に、極性溶媒を用いることが好ましく、水、エタノールを用いることがより好ましい。

抽出手順は特に制限はなく、例えば、抽出に使用する植物を０～１２０℃の前記溶媒中に１時間～７日間浸漬し、濾過する手順が挙げられる。

また、得られた抽出液は、そのまま植物抽出物として用いても良いし、希釈、濃縮、凍結乾燥、精製等を行ったものを植物抽出物として用いることもできる。
本発明の頭皮頭髪用化粧料における成分（Ｃ）の総含有量は、好ましくは０．００００００１～１質量％、より好ましくは０．０００００１～０．１質量％、さらにより好ましくは０．００００１～０．０５質量％である。総含有量が前記下限未満であると本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超えると含有量に見合った作用が得られない傾向がありコスト的に不利である。

＜各成分の組合せ比率＞成分（Ａ）と成分（Ｂ）とを組み合わせる場合、その割合としては育毛効果や頭髪のボリュームアップ効果がより優れるという観点から、それぞれの質量比で１０：１～１：１０００が好ましく、５：１～１：５００がより好ましく、１:１～１：５００がさらにより好ましい。

成分（Ａ）と成分（Ｃ）とを組み合わせる場合、その割合としては育毛効果や頭髪のボリュームアップ効果がより優れるという観点から、それぞれの質量比で５０：１～１：１０００が好ましく、１０：１～１：１００がより好ましく、１０：１～１：５０がさらにより好ましい。

成分（Ａ）、成分（Ｂ）、および成分（Ｃ）とを組み合わせる場合、育毛効果や頭髪のボリュームアップ効果がより優れるという観点から、質量比で５０：５：１～１：１０００：１０００が好ましく、１０：２：１～１：５００：１００がより好ましく、１０：１０：１～１：５００：５０がさらにより好ましい。

＜他成分を入れる場合＞
本発明の頭皮頭髪用化粧料は、成分（Ａ）炭素数１４～２４の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸および前記脂肪酸と炭素数１～２４のアルコール又は多価アルコールとの脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも１種、成分（Ｂ）ＧＡＢＡ、Ｌ－テアニン、５－アミノ吉草酸、およびα－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、並びに／又は、成分（Ｃ）エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、シナニッケイ抽出物、キキョウ抽出物、タケ抽出物、および、ケイガイ抽出物のいずれかの植物抽出物より選ばれる少なくとも１種、との混合物をそのまま本発明の頭皮頭髪用化粧料としても良いし、以下に示すほかの成分をさらに含んでいても良い。

本発明の頭皮頭髪用化粧料に使用可能な他の成分としては、例えば、水、賦形剤、増粘剤、溶剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、細胞賦活化剤、抗炎症剤、抗菌剤、過酸化物抑制剤、界面活性剤、コンディショニング剤、紫外線吸収剤、キレート剤、香料、着色剤、育毛養毛効果を有する成分、上記以外の植物や動物や微生物由来の各種抽出物等が挙げられる。

具体的には、水；乳糖、白糖等の賦形剤；天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸
重合体等の増粘剤；アルコール類、グリコール類、動植物油類等の溶剤；リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの緩衝剤；パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、安息香酸等の防腐剤；亜硫酸塩、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン（ＢＨＴ）、ジブチルヒドロキシアニソール（ＢＨＡ）、酢酸トコフェロール、アルブチン等の抗酸化剤；グリセリン、尿素、アミノ酸、ヒアルロン酸、スクワラン、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油、シリコン油等の保湿剤；ビタミンＥ類、トウガラシチンキ等の血行促進剤；核酸等の細胞賦活化剤；グリチルリチン、アラントイン、ピロクトンオラミン等の抗炎症剤；ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩等の抗菌剤；スーパーオキシドジスムターゼ（ＳＯＤ）等の過酸化物抑制剤；ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオ騎士エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、コカミドモノエタノールアミド、ココイルメチルタウリンナトリウム、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド等の界面活性剤；ポリオクタニウム‐１０等のコンディショニング剤；メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等の紫外線吸収剤；ＥＤＴＡ－２Ｎａ等のキレート剤；香料；カラメル等の着色剤；アロエ、ショウキョウ等の生薬およびこれらの抽出物や、パントテニルエチルエーテル、酢酸トコフェロール、フォルスコリン等の化合物等の育毛養毛効果を有する成分；イチョウエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物等の上記以外の植物や動物や微生物由来の各種抽出物等が挙げられる。

本発明の頭皮頭髪用化粧料は、医薬品、医薬部外品、薬用又は化粧用の製剤類をはじめとする各種の外用剤に配合することが可能であるが、優れた育毛効果が得られるため、頭皮頭髪に適用する頭皮頭髪用化粧料に配合することが好適である。

＜用途＞
本発明の頭皮頭髪用化粧料としては、例えば整髪料、ヘアトニック、シャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアリンス、養毛剤、育毛剤等が挙げられる。

＜濃度(合計含有量)＞
本発明の頭皮頭髪用化粧料における成分（Ａ）、および、成分（Ｂ）、並びに／又は、成分（Ｃ）、との総含有量は、特に限定されないが、製剤化する場合、剤形や使用回数、配合する賦形剤や添加剤の種類などに応じて適宜選択され得る。

例えば、成分（Ａ）より選ばれる少なくとも１種、および、成分（Ｂ）より選ばれる少なくとも１種、並びに／又は成分（Ｃ）より選ばれる少なくとも１種、とをヘアトニックとして用いた場合、該成分の総含有量として、例えば０．００００００１～１０質量％を挙げることができる。

本発明の頭皮頭髪用化粧料においては、有効成分の総含有量が前記のような範囲となるように適宜、成分（Ａ）、成分（Ｂ）、および、成分（Ｃ）の配合量を調節すれば良い。

総含有量が前記下限未満である場合は本発明の作用が得られない恐れがあり、前記上限を超える場合は含有量に見合った作用が得られない傾向があり、コスト的に不利である。

＜使用方法＞
本発明の頭髪用化粧料の効果を得るために有効な成分（Ａ）、成分（Ｂ）、および、成分（Ｃ）の総量は、例えば通常成人１日当たり０．０００００１～０．１ｇである。この範囲の量（好ましくは０．０００００１～０．０５ｇ／１回）の頭皮用化粧料を１日数回（好ましくは１～２回）頭皮全体に塗布し、揉みこむ。また、頭皮頭髪用化粧料は、毛髪量、使用回数、剤形に応じて使用することが好ましい。

以下、本発明をさらに詳しく説明するために実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。

（1）製造方法
（原料製造例１）エンジュ抽出物
エンジュの花を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、エンジュ抽出物１１．３ｇ得た。

（原料製造例２）ハブソウ抽出物
ハブソウの葉を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、ハブソウ抽出物を４．８ｇ得た。

（原料製造例３）ルイボス抽出物
ルイボスの葉を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、ルイボス抽出物を６．２ｇ得た。

（原料製造例４）チモ抽出物
ハナスゲの根を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、９．７ｇ得た。

（原料製造例５－１）クワ（根）抽出物
マグワの根を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、クワ（根）抽出物を５．１ｇ得た。

（原料製造例５―２）クワ（葉）抽出物
ヤマグワの葉を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、４．３ｇ得た。

（原料製造例６）シャクヤク抽出物
シャクヤクの根を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、７．４ｇ得た。

（原料製造例７）シナニッケイ抽出物
シナニッケイの樹皮を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、８．１ｇ得た。

（原料製造例８）キキョウ抽出物
キキョウの根を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減
圧留去後、凍結乾燥し、１０．６ｇ得た。

（原料製造例９）タケ抽出物
マダケの稈の内層を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、１．９ｇ得た。

（原料製造例１０）ケイガイ抽出物
ケイガイの花穂を５０ｇ採取し、３７５ｍＬの５０質量％エタノール水溶液に室温（約２５℃）下で浸漬した。２４時間後これをろ過し、得られた抽出物から水、エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、４．２ｇ得た。

＜試験方法＞
（２）ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進試験
（２－１）細胞培養
細胞はヒト頭皮毛乳頭細胞（東洋紡（株）社製）を使用した。サブコンフルエント状態の毛乳頭細胞をトリプシン処理で剥離し、２４ウェルプレートの各ウェルに播種し、１０％胎仔ウシ血清含有ダルベッコ改変イーグル培地で、３７℃、５％ＣＯ₂条件下でサブコンフルエントになるまで培養した。乾燥物換算で表２に記載の濃度となるように同培地にそれぞれ添加し、４８時間培養した。培養後、培地を除去し毛乳頭細胞にＩＳＯＧＥＮII（（株）ニッポンジーン社製）を添加し付属のプロトコルに従って、トータルＲＮＡを得た。

（２－２）リアルタイムＲｅｖｅｒｓｅｔｒａｎｓｃｒｉｐｔｉｏｎ‐ｐｏｌｙｍｅｒａｓｅｃｈａｉｎｒｅａｃｔｉｏｎ（ＲＴ－ＰＣＲ）によるＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂのｍＲＮＡ発現量の定量
精製したトータルＲＮＡをもとにＯｎｅＳｔｅｐＴＢＧｒｅｅｎR ＰｒｉｍｅＳｃｒｉｐｔＴＭＲＴ－ＰＣＲＫｉｔ II（ＰｅｒｆｅｃｔＲｅａｌＴｉｍｅ）（タカラバイオ（株）社製）を用い、添付のマニュアルに従って全量１０μＬの反応液（ＦｏｒｗａｒｄおよびＲｅｖｅｒｓｅｐｒｉｍｅｒ各０．４μＭ）をＰＣＲ用９６ウェルプレートの各ウェルに調製し、ＴｈｅｒｍａｌＣｙｃｌｅｒＤｉｃｅＲｅａｌＴｉｍｅＳｙｓｔｅｍＳｏｆｔｗａｒｅ（タカラバイオ（株）社製）を用いてリアルタイムＲＴ－ＰＣＲ測定を行った。
リアルタイムＲＴ－ＰＣＲの反応は、９５℃で３０秒の初期変性、９５℃で５秒の変性、６０℃で３０秒のアニーリング・伸長反応からなるサイクルを４０回行った。表１にＦＧＦ－７増幅用プライマー、Ｗｎｔ１０ｂ増幅用プライマー、およびハウスキーピング遺伝子として使用したグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素（ＧＡＰＤＨ）の増幅用プライマー（インビトロジェン社製）の配列を示す。

増幅過程の蛍光強度からＴｈｒｅｓｈｏｌｄｃｙｃｌｅ値（一定の蛍光強度に到達するのに要したサイクル数）を解析し、ΔΔＣｔ法によりＦＧＦ-７、Ｗｎｔ１０ｂ、およびＧＡＰＤＨのｍＲＮＡ発現強度を算出した。ＦＧＦ-７およびＷｎｔ１０ｂの発現強度をＧＡＰＤＨの発現強度で補正し、ＦＧＦ-７およびＷｎｔ１０ｂのｍＲＮＡ発現量を求めた。
実施例１～９６と比較例１～４０において、ＦＧＦ-７およびＷｎｔ１０ｂのｍＲＮＡ発現量を（ａ）、比較例１である未添加物（ブランク）のＦＧＦ-７あるいはＷｎｔ１０ｂのｍＲＮＡ発現量を（ｂ）とし、（ａ）／（ｂ）で表される値をｍＲＮＡ発現量比とした。
それぞれのｍＲＮＡ発現量比に関して、以下に示す評価点基準に従い点数付けしたものを評価点とし、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの評価点、並びにそれらの評価点の合計
点を算出し、各サンプルのＦＧＦ－７およびＷｍｔ１０ｂ産生促進効果を評価した。

（評価点基準）
７点：発現量比が２以上
６点：発現量比が１．５以上２未満
５点：発現量比が１．２以上１．５未満
４点：発現量比が１．０５以上１．２未満
３点：発現量比が０．９５以上１．０５未満
２点：発現量比が０．８以上０．９５未満
１点：発現量比が０．８未満

（判定）
ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの評価点がいずれも３以上（阻害効果を及ぼさない）、かつ、ＦＧＦ－７又はＷｎｔ１０ｂの少なくともいずれかの評価点が４以上、であるサンプルを合格とした。
評価結果等を表２に示す。

（３）育毛作用試験
本発明のＦＧＦ－７産生促進剤、Ｗｎｔ１０ｂ産生促進剤、または、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂ産生促進剤を頭皮頭髪用化粧料（ヘアトニック）に配合して育毛効果を評価した。

（３－１）頭皮頭髪用化粧料の調製
試験用頭皮頭髪用化粧料として、ヘアトニックを以下の表３に示す組成で調製した。なお、配合量の単位は質量部で、精製水の残量とは全量を１００の質量部にするのに要する量である。

（３－２）評価方法
頭皮頭髪用化粧料（ヘアトニック）について、３０～６０代の男女５グループを被験者とした。
スプレーボトルに充填した表３に示す特定のヘアトニックを毎日、就寝前と起床後に頭皮全体に毎回約８プッシュ（約２．４ｇ）塗布し、頭皮のマッサージを行い揉みこんだ。
このモニター試験を３か月間継続し、試験開始前と終了後の各３日間において１日１回の洗髪時の抜け毛を回収した。なお、この期間中前記以外の頭皮頭髪用化粧料については通常使用しているものをそのまま使用した。使用期間中に皮膚や身体の異常を訴えた者はいなかった。

（Ｉ）育毛効果
試験開始前と終了後の各３日間において、それぞれ１日当たりの抜け毛数を平均抜け毛数とし、試験開始前の平均抜け毛数に対する終了後の平均抜け毛数の減少率を算出し、下記の評価点基準に従って点数をつけた。次に各被験者の評価点の平均値を算出し、平均点が高いほど育毛効果が高いと判定した。

（育毛効果の評価点基準）
７点：６０％以上の減少
６点：４０％以上～６０％未満の減少
５点：２０％以上～４０％未満の減少
４点：５％以上～２０％未満の減少
３点：５％未満の減少～５％以下の増加
２点：５％超過～２０％以下の増加
１点：２０％超過の増加

（ＩＩ）太毛化
被験者ごとに回収した抜け毛を白の台紙に貼付し、実体顕微鏡で撮影した。画像計測ソフトを用いて撮影した抜け毛の直径を計測し、平均毛径を算出した。試験開始前の平均毛径に対する試験終了後の平均毛径の増加率を算出し、下記の評価点基準に従って点数をつけた。次に各被験者の評価点の平均値を算出し、平均点が高いほど育毛効果が高いと判定した。

（太毛化の評価点基準）
７点：５０％以上の増加
６点：３０％以上～５０％未満の増加
５点：１５％以上～３０％未満の増加
４点：５％以上～１５％未満の増加
３点：５％未満の増加～５％以下の減少
２点：５％超過～１５％以下の減少
１点：１５%超過の減少

（判定）
育毛効果および太毛化効果の評価点がいずれも３以上、（阻害効果を及ぼさない）、かつ、育毛効果または太毛化効果のいずれかの評価点が４以上、であるサンプルを合格とした。
評価結果を表４に示す。

表２．ＦＧＦ‐７およびＷｎｔ１０ｂのｍＲＮＡ発現量比の評価点

（４）総合評価
成分（Ａ）と成分（Ｂ）および／又は成分（Ｃ）とを組み合わせた場合、ＦＧＦ－７および／又はＷｎｔ１０ｂ産生促進効果が認められた（実施例１～９６）。
一方、本発明に用いられる各種成分について単品で試験を行ったところ、いずれの成分もＦＧＦ－7およびＷｎｔ１０ｂの発現を亢進させる効果を示さず不合格の判定となり（比較例２～２５）、また、請求項の組合せ範囲外である成分（Ｂ）と成分（Ｃ）の組合せ
も同様に、ＦＧＦ－7およびＷｎｔ１０ｂの発現を亢進させる効果を示さず不合格の判定となった（比較例２９～３６）。
請求項に記載の成分の組合せであっても、成分（Ａ）として請求項の範囲外の成分を用いた場合は、ＦＧＦ－7およびＷｎｔ１０ｂの発現を亢進させる効果を示さず不合格の判定となった（比較例３７～４０）。
センキュウ抽出物（比較例２６）はＷｎｔ１０ｂの発現を亢進する効果が認められたもののＦＧＦ－７の発現を抑制する効果が認められたことから不合格の判定となり、また、マキベリー抽出物（比較例２７）やアデノシン（比較例２８）はＦＧＦ－７の発現を亢進する効果が認められたもののＷｎｔ１０ｂの発現を抑制する効果が認められ不合格の判定となった。
本発明のＦＧＦ－７および／またはＷｎｔ１０ｂ産生促進剤を含有する頭皮頭髪用化粧料は育毛効果において実施例９７、９８、９９のいずれも全員が評価点３以上で、平均抜け毛減少率約２０％であった。
太毛化効果においても実施例９７、９８、９９のいずれも全員が評価点３以上で、平均毛径は約１０％増加した。すなわち実施例９７、９８、９９は育毛効果と太毛化効果の結果から全員が合格の判定となった。
これに対し、比較例４１、４２は育毛効果および太毛化効果のいずれかで評価点３点未満、または、いずれかの評価点で４以上にならなかったことから、全員が不合格の判定となった。
以上の結果から明らかな通り、本発明のＦＧＦ－７および／またはＷｎｔ１０ｂ産生促進剤を含有する頭皮頭髪用化粧料は、顕著な育毛効果および太毛化効果を発揮した。

本発明の頭皮頭髪用化粧料は、ＦＧＦ－７およびＷｎｔ１０ｂの少なくともいずれかの発現を亢進させることにより、優れた頭皮状態の改善効果および育毛効果、及び脱毛抑制効果を発揮する。そのため、細毛、薄毛などの老化現象の防止、改善を目的とした化粧料をはじめとする各種の皮膚外用剤への利用を可能とする。

Claims

成分（Ａ）として、ステアリン酸、リノール酸、ローズヒップ油、亜麻仁油、エゴマ油、および、ククイナッツ油より選ばれる少なくとも１種と、
成分（Ｂ）として、γ－アミノ酪酸（以下、「ＧＡＢＡ」と表記）、および、α－グルコシルグリセロールより選ばれる少なくとも１種、及び／又は、
成分（Ｃ）成分として、エンジュ抽出物、ハブソウ抽出物、ルイボス抽出物、チモ抽出物、クワ抽出物、シャクヤク抽出物、および、ケイガイ抽出物より選ばれる少なくとも１種、
とを含有する、ＦＧＦ－７産生促進剤。
上記請求項１に記載の、ＦＧＦ－７産生促進剤を含む、頭皮頭髪用化粧料。