JP2012121581A - 蒸器及び蒸器の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 本発明は、安価に製造することができ、中華饅頭や焼売等の食品を収納して販売し、更に電子レンジを用いて食品を加熱蒸気中で温めることが可能な蒸器を提供することを課題とするものである。
【解決手段】 本発明の蒸器は、熱可塑性樹脂発泡シートからなる外側容器と、熱可塑性樹脂発泡シートからなる内側容器とが重合しており、且つ一体として同時に熱シート成形された蒸器であって、外側容器を構成する熱可塑性樹脂と内側容器とを構成する熱可塑性樹脂とが同系統の樹脂からなり、複数の孔が内側容器を貫通するように形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は蒸器に関し、詳しくは中華饅頭や焼売等の食品を収納して販売し、更に電子レンジを用いて食品を加熱蒸気中で温めることが可能な蒸器に関する。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売されている中華饅頭や焼売、餃子、おこわ、温野菜等の食品は、購入した消費者が自宅に持ち帰って、電子レンジで暖めてから食されるのが通常である。その場合、食品を蒸器に入れて販売し、蒸器の底に水を入れてから電子レンジで加熱することができれば、食品が蒸気で蒸されながら加熱されるので、柔らかく温かいものを食すことができる。
前記のような電子レンジで加熱可能な蒸器として、特許文献1に開示されたものがある。該蒸器は、上面側が開放された樹脂からなる容器本体と、容器本体内に配設される物品を載置するための樹脂製の網からなる仕切りとを具備し、容器本体の底面と網との間には空間が形成されており、該空間に水が充填されて加熱される容器であって、容器本体の側壁には段部が設けられていて、この段部の上面に前切りの周縁部が配置され、仕切りが容器本体に対して溶着されてなる、というものである。
しかし、特許文献1の蒸器を用いると、蒸気雰囲気中で食品を加熱できるものの、該蒸器は、容器本体と網状の樹脂製仕切りとを別々に製造しなければならない上に、容器本体に仕切りを配置して、溶着するという作業が必要であることから、工程数が増え、高価なものとなってしまう問題を有するものである。
特許第3896385号公報
本発明は、安価に製造することができ、中華饅頭や焼売等の食品を収納して販売し、更に電子レンジを用いて食品を加熱蒸気中で温めることが可能な蒸器を提供することを課題とするものである。
本発明によれば、以下に示す蒸器が提供される。
[1]
熱可塑性樹脂発泡シートからなる外側容器と、熱可塑性樹脂発泡シートからなる内側容器とが重合しており、且つ一体として同時に熱シート成形された蒸器であって、
外側容器を構成する熱可塑性樹脂と内側容器とを構成する熱可塑性樹脂とが同系統の樹脂からなり、複数の孔が内側容器を貫通するように形成されていることを特徴とする蒸器。
[2]
底部に蒸器内側に向かう凸部及び該凸部の周りの凹部が形成されており、更に少なくとも二つの凸部の上面又は凹部の底が平坦な真空吸上げ用の平坦部として形成されている、前記1に記載の蒸器。
[3]
前記外側容器の底部に凸部及び該凸部の周りの凹部が形成されており、該凹部と内側容器との間が空間として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸器。
[4]
前記孔の径が0.3〜4mmである、前記1〜3のいずれかに記載の蒸器。
[5]
前記同系統の樹脂が、耐熱性ポリスチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂から選択される、前記1〜4のいずれかに記載の蒸器。
[6]
熱可塑性樹脂からなる蓋が被されており、該蓋が蒸器の開口部外側周縁に嵌合可能である、前記1〜5のいずれかに記載の蒸器。
[7]
前記蓋が、耐熱性延伸ポリスチレン系樹脂シート、延伸ポリスチレン系樹脂シート、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂シート及びポリプロピレン系樹脂発泡シートのいずれかからなる、前記6に記載の蒸器。
[8]
前記蓋が、孔が形成された熱可塑性樹脂発泡シートと、孔が形成されていない熱可塑性樹脂発泡シート又は孔が形成されていない熱可塑性樹脂フィルムとの積層体からなり、孔が形成された発泡シートが内側に位置しており、該熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂又は耐熱性ポリスチレン系樹脂である、前記6に記載の蒸器。
[9]
加熱ゾーンと成形ゾーンとを有し、成形ゾーンには蒸器形状を賦形可能な雌型と雄型が取り付けられている熱成形装置を用い、
熱可塑性樹脂からなる外側発泡シートと、熱可塑性樹脂からなると共にシートを貫通する孔が形成された内側発泡シートとを重ね合わせると共に、外側発泡シートを雌型側に向けて加熱ゾーンに搬送して重ね合わされたシートを加熱軟化させ、次に該シートを成形ゾーンに搬送し、雌型成形面より真空吸引をすると共に雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込んで賦形し、次に真空吸引を停止して成形品を取り出すことにより、前記1、2、4、5のいずれかに記載の蒸器を得ることを特徴とする蒸器の製造方法。
[10]
加熱ゾーンと成形ゾーンとを有し、成形ゾーンには蒸器形状を賦形可能な雌型と雄型が取り付けられ、雌型の蒸器底部を賦形する部分に凸部及び凹部を形成可能な金型凸部及び金型凹部が設けられている熱成形装置を用い、
熱可塑性樹脂からなる外側シートと、熱可塑性樹脂からなると共にシートを貫通する孔が形成された内側シートとを重ね合わせると共に、外側シートを雌型側に向けて加熱ゾーンに搬送して重ね合わされたシートを加熱軟化させ、次に該シートを成形ゾーンに搬送し、雌型成形面より真空吸引をすると共に雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込んで賦形し、次に真空吸引を停止して成形品を取り出すことにより、前記3〜5のいずれかに記載の蒸器を得ることを特徴とする蒸器の製造方法。
図1は本発明の蒸器の一例を示す斜視図である。 図2(a)は図1に示す蒸器の平面図である。図2(b)は裏面図である。 図3(a)は図2のa−a線に沿う断面図である。図3(b)は図2のb−b線に沿う断面図である。 図4は本発明の蒸器の他の例を示す斜視図である。 図5(a)は図4のA−A線に沿う断面図である。図5(b)は図4のB−B線に沿う断面図である。図5(c)は裏面図である。 図6は本発明の蒸器の他の例を示す平面図である。 図7(a)は、図6のC−C線に沿う断面図である。図7(b)は、図6のD−D線に沿う断面図である。図7(c)は裏面図である。 図8(a)〜(d)は本発明の蒸器の製造工程の一例を示す模式図である。
1 蒸器
2 外側容器
3 内側容器
4 孔
5 空間
6 外側容器に形成された凸部
7 外側容器に形成された凹部
8 外側容器に形成された凸部の上面と内側容器の底部が接している部分
9 容器の内側底部に形成された凸部
9a 容器の内側底部に形成された平坦部
10 容器の内側底部に形成された凸部9の周りに形成された凹部
11 蓋
12 フランジ部
13 水切り凹部
21 雄型
22 外側発泡シート
23 内側発泡シート
24 重ね合わせたシート
25 雌型
25a 金型凸部25a
25b 金型凹部25b
26 雌型成形面
28 真空孔
29 排気孔
以下、本発明の蒸器及びその製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の蒸器は、熱可塑性樹脂発泡シートからなる外側容器と、熱可塑性樹脂発泡シートからなる内側容器とが一体として同時に熱シート成形(以下、単に熱成形ともいう。)された、上面側が開放された容器である。
本発明の蒸器は、二枚の発泡シートを重ねて一体として同時に熱成形されたものであることから、外側容器と内側容器とが重合しているものである。しかし、底部の全てが必ずしも重合していなければならということはなく、本発明においては、両容器が底部を含む全体が重合している第一の態様の他に、底部に両容器が重合していない空間を設けることもできる(第二の態様)。
なお、外側容器2と内側容器3とが一体として同時に熱成形されてさえいれば、両者が完全に熱融着していてもよければ、一部だけが熱融着していてもよければ、両者が熱融着していないで別体として分離することができてもよい。
図1〜図3に第一の態様の蒸器の例を、図4〜7に第二態様の蒸器の例を示す。
なお、図1〜図7において、1は本発明の蒸器を、2は外側容器を、3は内側容器を、4は内側容器に形成された孔を、12はフランジをそれぞれ示す。また、図4〜図7において、5は蒸器底部に形成された空間を、6は外側容器底部に形成された凸部を、7は凸部6の周りに形成された外側容器底部の凹部を、8は凸部6の上面と内側容器の底部が接している部分をそれぞれ示す。また、図1〜図3において、9は蒸器の内側底部に蒸器内部に向かって形成された凸部を、9aは凸部9の上面に形成された平坦部を、10は凸部9の周りの凹部をそれぞれ示す。また、図1及び図4において、11は蒸器の蓋を示す。
なお、本明細書において、「本発明の蒸器」という用語は、前記第一の態様の蒸器と第二の態様の蒸器が含まれる意味で用いられる。
本発明の蒸器の水平断面形状に制限はないが、通常長方形、正方形、円形、楕円形である。
本発明の蒸器において、前記外側容器2及び内側容器3は、共に熱可塑性樹脂発泡シートからなるものである。該発泡シートを構成する熱可塑性樹脂としては、スチレンの単独重合体樹脂、スチレンと他のモノマーとから製造されたスチレン系共重合体樹脂などのポリスチレン系樹脂;エチレンの単独重合体樹脂、エチレンと他のモノマーとから製造されたエチレン系共重合体樹脂;プロピレンの単独重合体樹脂、プロピレンと他のモノマーとから製造されたプロピレン系共重合体樹脂;熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;あるいは上記した樹脂の2以上の混合物等が例示される。
これらの中では、発泡シートの製造が容易である上に、熱成形が容易であることからポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、孔4の形成が容易であることからポリスチレン系樹脂がより好ましい。ポリスチレン系樹脂の中では、耐熱性に優れることから、耐熱性ポリスチレン系樹脂がより好ましい。耐熱性ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン系共重合体樹脂、例えばスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン−マレイミド共重合樹脂、ポリパラメチルスチレン樹脂、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが挙げられる。
本発明の蒸器においては、熱成形が容易であることから、外側容器2と内側容器3とを構成するそれぞれの樹脂は、同系統の熱可塑性樹脂であることを要し、熱成形がより容易であるという観点からは、同じ熱可塑性樹脂からなることが好ましい。なお、外側容器2と内側容器3とが同系統の熱可塑性樹脂であるとは、両樹脂を構成するモノマー成分比率が完全に一致しているか又は完全には一致していなくとも、両基材樹脂を構成するモノマー成分比率の50重量%以上が一致していることを意味し、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは100重量%である。
同系統の熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、前記ポリスチレン系樹脂と耐熱性ポリスチレン系樹脂の組み合わせ、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂、ポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレン単独重合体樹脂から選択された組合せが挙げられる。
本発明の蒸器においては、複数の孔4が内側容器3全体にわたって、内側容器3を貫通するように形成されている。孔4の形状に制限はないが、通常、円形、楕円形、正方形、長方形である。但し、厳密な円形、楕円形、正方形、長方形である必要はなく、それに近い形状が含まれる。
孔4の大きさは、水をその中に保持することができ、更に後述する底部の空間が設けられた第二の態様の蒸器の場合には、水が容易に流れ込むことができることから、孔径が0.3mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、2.5mm以上である。
その上限は4mmが好ましく、より好ましくは3.5mm、3mmである。
孔径が小さすぎると、水が孔に流れ込み難くなり、大きすぎるとシートの強度が弱くなる虞がある。
なお、前記孔が円形でない場合には、最も小さい孔径と最も大きい孔径の平均値を10の孔について求め、得られた測定値の平均を孔径とする。
孔4の数は、内側容器1cm当り1〜25個形成されていることが好ましく、より好ましくは3〜20個、更に好ましくは5〜17個、特に好ましくは7〜15個である。孔の数が少なすぎると、孔に流れ込む水の量が少なくなり、更に後記空間5に水が流れ込み難くなり、多すぎると孔の形成や熱成形が難しくなる虞がある。
孔4が形成された内側容器は、孔が形成された熱可塑性樹脂発泡シートを熱成形することにより得られるものである。孔が形成された熱可塑性樹脂シートは、例えば、所望される径の孔を形成可能なピンが多数植え付けられたロールと、ピンの植え付けられていないロールとの間に、発泡シートを通すことにより得ることができる。
この場合、発泡シートに安定して孔を形成するために、ロール表面及び針の温度をシートを構成する熱可塑性樹脂のビカット軟化点(JIS K7206 A50法)より高く設定し、発泡シートの引取速度が速くなるほど該温度を高くすることが好ましい。具体的には、ビカット軟化点より0〜200℃高い温度範囲内に設定することが好ましい。
第一の態様の蒸器の内側底部には、波状、柱状、突起状などの凸部9が形成され、その周りが凹部10として形成されていることが好ましい。該凹部が設けられていると、孔4に入りきらなかった水が凹部10に溜まり、食品は凸部9に上に載置されるので、食品が水で濡れることが防止される。
なお、本明細書において、凸部の周りの凹部とは、底部に凸部が形成されることにより、その斜面により形成された窪みをいう。但し、縦断面図において、外側底面より凹部の先端が飛び出している形状の凹部を形成することもできる。
また、前記凸部は、5〜20列形成されていることが好ましく、より好ましくは7〜15列である。また、1列の凸部が分断されている場合や小さな凸部が集合している場合には、5〜100個形成されていることが好ましく、より好ましくは10〜70個である。
更に、一部の凸部9の上面を平坦な形状の平坦部9aとして成形することが好ましい。蒸器底部に凸部9が形成されていると、熱成形後に真空吸上げ機の吸引口を接触させる部分がないので、得られた蒸器を積み揃えることが容易ではないことから、生産性が低下してしまう。しかし、平坦部9aが設けられていると、該吸引口を凸部9aに接触させて吸引して持ち上げることにより生産性を向上させることができる。真空吸上げ用の凸部9aの上面の面積は、4〜20cmが好ましく、より好ましくは9〜13cm又は12〜16cmである。
また、平坦部9aを有する凸部9は、蒸器1をバランスよく持ち上げることができることから、少なくとも二つ設けられていることが好ましい。 なお、平坦部9aは凸部9の上面にも形成することに限定されるものではなく、凹部10の底に形成することもできる。
本発明の蒸器の壁部の厚みは、1〜8mmが好ましく、3〜5mmがより好ましい。シートの厚みが薄すぎると蒸器の強度が弱くなり、厚すぎると熱成形が難しくなると共に、取り扱いの難しい蒸器になる虞がある。
該蒸器の発泡倍率は、断熱性と熱成形性のバランスの観点から、発泡倍率は2〜25倍が好ましく、より好ましくは5〜20、更に好ましくは7〜15倍である。
外側容器の外側や内側容器の内側には、熱可塑性樹脂フィルムを積層することができる。該フィルムは、各容器を構成する熱可塑性樹脂と同系統のものでもよければ、熱成形さえ可能ならば異なる系統の樹脂、例えば、ポリスチレン系樹脂に対してポリオレフィン系樹脂フィルムやポリエステル系樹脂フィルム等を用いることもできる。蒸器を形成する発泡シートとフィルムが接着しない場合には、例えば、接着剤を用いて張り合わすことができる。
本発明の蒸器の深さに制限はないが、通常10〜70mmであり、好ましくは15〜50mmである。
また、蒸器の展開倍率(成形部分の面積を(A)、該成形部分の面積(A)に対応する部分の成形後の面積を(B)とした場合の(A)に対する(B)の比:(B)/(A))は、1.2〜4が好ましく、より好ましくは1.3〜3、更に好ましくは1.4〜2である。但し、該展開倍率は外側容器について算出するものとし、底部に凹凸が形成されている場合には、凹凸部が平らであると仮定して算出するものとする。
本発明の第二の態様の蒸器においては、図4〜図7に示すように、蒸器の底部を構成する外側容器2と内側容器3との間に空間5が形成されている。
空間5が設けられていると、蒸器の底部に水を注げば、注がれた水が孔4を通って空間5に流れ込むので多量の水を蓄えることができる。収納された食品を電子レンジで加熱する際には、多量の蒸気が発生することにより、食品を柔らかくしながら加熱することができる。
第二の態様の蒸器においては、図4〜図7に示すように、外側容器2の底部に凸部6及びその周辺の凹部7を形成し、凸部6の上面と内側容器3の底部とが接するようにすることにより、内側容器3の底部と凹部10との間が空間5として形成される。
なお、図4、5及び図6、7には図示していないが、凸部6の上面と内側容器の底部が接している部分8を広い面積に成形することが好ましい。そうすれば、熱成形時に真空吸引機の吸引口を該広い部分8に接触させて吸引して持ち上げることにより生産性を向上させることができる。
また、該広い部分8には、前記図1、2に示す凸部9を形成することができる。
凸部6及び凹部7の形状に制限はなく、図4、図5に示すように、細長い凸部6と凹部7が繰返す波状にすることもできれば、図6、図7に示すように凸部6を横断面が矩形の先細りの横断面矩形の柱状にし、凸部6と凸部6の間を凹部7にすることもできる。また、図示はしないが、凸部の横断面が円形の先細りの柱状、横断面が円形の柱状などにすることもでき、蒸器底部全体の形状(円形や矩形)に相似する凸部及び凹部が内側に向かって繰返す形状等にすることもできる。
前記空間5の幅(凹部の幅)は、最も広い部分で3〜30mmが好ましく、より好ましくは5〜30mm、更に好ましくは10〜20mmである。凹部の幅が短すぎても、長すぎても空間5を形成できないおそれがある。
前記空間5の高さは、最も高い部分で0.1〜20mmが好ましく、より好ましくは1.5〜10mm、更に好ましくは2〜5mmである。該高さが低すぎると空間5を設ける意味がなく、高すぎると蒸器の収納性が低下してしまう。
空間5が設けられる面積は、底部の面積の20〜80%が好ましく、より好ましくは40〜60%である。該面積が狭すぎると空間5を設ける意味がなく、広すぎると空間5の形成が困難になるおそれがある。
本発明の蒸器1には、蒸気が充満した雰囲気内で食品を加熱するため、更に収納された食品の汚れを防ぐために、蓋11を被せることができる。その場合、蓋11が蒸器1の開口部外周縁に嵌合するようにすることが、加熱時に蒸気を閉じ込め易い上に、内部の食品の汚れを確実に防止できるので好ましい。
蓋11は、熱可塑性樹脂からなるシートを熱成形することにより製造することが好ましく、該熱可塑性樹脂としては、前記蒸器を構成するものと同じものが挙げられる。その中でも、耐熱性延伸ポリスチレン系樹脂シート、延伸ポリスチレン系樹脂シート、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂シート及びポリプロピレン系樹脂発泡シートのいずれかを用いることが好ましい。
蓋11としては、保温性が要求される場合には発泡シートを使用することができ、収納された食品を外部からみることができることが要求される場合には、透明な非発泡シートを使用することができる。
更に、蓋11として、孔が形成された熱可塑性樹脂発泡シートと、孔が形成されていない熱可塑性樹脂発泡シート又は孔が形成されていない熱可塑性樹脂フィルムとの積層体であって、孔が形成された発泡シートが蓋の内側になるように熱成形されたものを用いることができる。この蓋は、電子レンジで食品を加熱する際に、蒸気が水滴となっても蓋の孔に付着したまま落ちてこないので、食品が水で濡れることを防止できる。
該積層体からなる蓋は、一体同時成形により得ることができ、また、孔が形成された発泡シートに熱可塑性樹脂フィルムを貼り合せてから熱成形することによっても得ることができる。
該蓋を構成する、孔が形成された発泡シートと、孔が形成されていない発泡シート及び孔が形成されていないフィルムとは同系統の前記熱可塑性樹脂からなることが好ましく、その中でも、ポリスチレン系樹脂又は耐熱性ポリスチレン系樹脂がより好ましい。
本発明の蒸器の周縁には、フランジ部12を設けることが好ましい。このようにすれば、前記蓋11を蒸器1に嵌合させ易くなる。更に、フランジ部12には水切り凹部13を形成することが好ましい。このようにすれば、食品を加熱する前に容器底部に水を注ぎ、孔4からあふれ出た余分な水分を排水することができる。なお、食品を加熱する際に必要な蒸気量は、孔4に溜まっている水分から発生する程度の量の蒸気量で十分であり、孔4の大きさ(即ち、孔4の深さ及び/又は断面積)を調整することにより、蒸気の発生量を制御することができる。
次に、本発明の蒸器の製造方法について説明する。
該蒸器は、通常の熱成形装置を用いて、図1〜3に示す態様の蒸器はマッチモールド法により、図4〜6に示す態様の蒸器はマッチモールド法に準じた方法により製造することができる。金型のクリアランスや蒸器形状に表れる角度は、2枚の発泡シートの合計厚みと同じ厚みのシートを成形する場合に準じて設計すればよい。
まず、熱可塑性樹脂からなる外側容器成形用の外側発泡シートと、熱可塑性樹脂からなる内側容器成形用の内側発泡シートとを準備する。内側発泡シートには、シートを貫通する複数の孔をシート全面に形成する。この場合、外側発泡シートと内側発泡シートとは構成する樹脂が同系統の範囲内で異なる樹脂であっても、同じ樹脂であってもよく、厚み、坪量、発泡倍率などは同じでも、異なっていてもよい。
第二の態様の底部に空間が設けられた蒸器を製造する場合、雄型21と雌型25とからなる金型であって、雌型25の蒸器底部を賦形する部分に凸部及びその周辺の凹部を形成可能な金型凸部25a及び金型凹部25bが設けられている金型が取付けられている熱成形装置を用いる。
まず、前記熱可塑性樹脂からなる外側発泡シートと、前記熱可塑性樹脂からなる内側発泡シートとを重ね合わせたシートを、外側発泡シートが雌型側を向くように成形機の加熱ゾーンに搬送して、重ね合わされたシートを共に加熱軟化させる(図示せず)。次に、図8(a)に示すように、外側発泡シート22と内側発泡シート23とが重ね合わされたシート24を成形ゾーンに搬送し、図8(b)に示すように、雄型21を下降させて内側発泡シート23に接触させると共に雌型25を上昇させて外側発泡シート22に接触させ、雌型成形面26より真空孔28を通して真空吸引をすると共に、図8(c)に示すように、内側発泡シート23側から、雄型21を降下させて内側発泡シート23と外側発泡シート22とを雌型25に押込んでシート24に蒸器形状を賦形する。
次に、真空吸引を停止し、図8(d)に示すように、金型を開いて成形体を取り出し、蒸器1を重ね合わされたシート24から切り出す(トリミング)ことにより(図示せず)、本発明の蒸器を得ることができる。
なお、第一の態様の、底部に空間が設けられていない蒸器を製造する場合、雌型の蒸器底部を賦形する部分の形状が、雄型の蒸器底部を賦形する部分の形状に対応した相似形の金型を用いること以外は、前記底部に空間が設けられた蒸器と同様に成形が行なわれる。
次に、実施例により本発明の蒸器について説明する。但し、本発明は実施例に限定するものではない。
実施例1
坪量200g/m、発泡倍率12倍、厚み2mmの株式会社ジェイエスピー製の耐熱性ポリスチレン樹脂発泡シートを外側発泡シート及び内側発泡シートとして用いた。
表面に針が植え付けられたロールを用いて、前記の方法により内側発泡シートの全面に、径2mm、9個/cmの貫通孔を形成した。
次に、雄型と、底部を賦形する部分に凸部と凹部(凹部の幅10mm、凸部の幅10mm)が波状に設けられた雌型とからなる金型が取り付けられた熱成形装置を用いてマッチモールド法に準じた熱成形を行なった。
前記外側発泡シートと内側発泡シートとを重ね、外側発泡シートを雌型に向けて加熱ゾーンに供給して、加熱を行なって両シートを加熱軟化させてから、両シートを成形ゾーンに搬送し、雄型を下降させると共に、雌型を上昇させて、内側発泡シート側から雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込むと共に、雌型成形面より真空吸引をして賦形し、真空吸引を停止して成形体を取り出し、蒸器部分をトリミングすることにより、図4、5に示す態様の蒸器を得た。
該蒸器の高さは55mm、開口面の幅150mm、長さ215mm、底部の幅115mm、長さ180mm、容器の深さ20mm、底部空間の高さ2mm、空間の面積10×95×11=10450 mm(底部面積の 50 %)である。
デンカポリマー株式会社製の耐熱性OPSシート(厚み0.3mm)を用いて熱成形により、上記蒸器の開口部外周縁に嵌合可能な、内部高さ15mmの透明蓋を製造した。
実施例1で得た蒸器に水10mlを注ぎ、その中に中華饅頭6個をいれてから、上記蓋を被せて、電子レンジで700kw、90秒加熱したところ、中華饅頭を柔らかくしながら加熱することができた。
実施例2
坪量200g/m、発泡倍率12倍、厚み2mmの株式会社ジェイエスピー製の耐熱性ポリスチレン樹脂発泡シートを外側発泡シート及び内側発泡シートとして用いた。
表面に針が植え付けられたロールを用いて、前記の方法により内側発泡シートの全面に、径2mm、9個/cmの貫通孔を形成した。
次に、雄型と、底部を賦形する部分に断面矩形の円柱状凸部(高さ5mm)が12個均等に設けられ、該凸部の周囲が凹部として形成された雌型からなる金型を用いた以外は、実施例1と同様にマッチモールド法に準じた熱成形を行ない、図6、7に示す形状の蒸器を得た。
坪量200g/m、発泡倍率12倍、厚み2mmの株式会社ジェイエスピー製の耐熱性ポリスチレン樹脂発泡シートを用いて熱成形することにより、上記蒸器の開口部外周縁に嵌合可能な、内部高さ15mmの断熱蓋を製造した。
実施例2で得た蒸器に水10mlを注ぎ、その中に中華饅頭6個をいれてから、実施例2の蓋を被せて、電子レンジで700kw、90秒加熱したところ、中華饅頭を柔らかくしながら加熱することができた。実施例1のOPSシート製の蓋に比べると、饅頭をより温かく暖めることができた。
実施例3
実施例1と同様に蒸器を得た。
坪量100g/m、発泡倍率12倍、厚み1.2mmの耐熱性ポリスチレン樹脂発泡シートに前記の方法で径0.9mm、9個/cmの孔を形成した後、20g/mのOPSフィルムを熱ラミネートした複合発泡シート(株式会社ジェイエスピー製)を用いて熱成形することにより、上記蒸器の開口部外周縁に嵌合可能な、内部高さ15mmの断熱蓋を製造した。
実施例3で得た蒸器に水10mlを注ぎ、その中に中華饅頭6個をいれてから、実施例3の蓋を被せて、電子レンジで700kw、90秒加熱したところ、中華饅頭を柔らかくしながら加熱することができた。実施例2の断熱蓋と同程度に饅頭を温かく暖めることができた上に、水滴化した蒸気が断熱蓋の孔に捉えられたことにより、実施例2の断熱蓋に比べると饅頭の水滴による濡れが少なくて済んだ。
実施例4
坪量200g/m、発泡倍率12倍、厚み2mmの株式会社ジェイエスピー製の耐熱性ポリスチレン樹脂発泡シートを外側発泡シート及び内側発泡シートとして用いた。
表面に針が植え付けられたロールを用いて、前記の方法により内側発泡シートの全面に、径2mm、9個/cmの貫通孔を形成した。
次に、底部を賦形する部分に凸部と凹部が設けられた雄型と、底部を賦形する部分に雄型の凸部と凹部に対応する凸部と凹部が設けられた雌型とからなる金型が取り付けられた熱成形装置を用いてマッチモールド法による熱成形を次のように行なった。
前記外側発泡シートと内側発泡シートとを重ね、外側発泡シートを雌型に向けて加熱ゾーンに供給して、加熱を行なって両シートを加熱軟化させてから、両シートを成形ゾーンに搬送し、雄型を下降させると共に、雌型を上昇させて、内側発泡シート側から雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込むと共に、雌型成形面より真空吸引をして賦形し、真空吸引を停止して成形体を取り出し、蒸器部分をトリミングすることにより、図1〜3に示す蒸器を得た。
該蒸器の高さは55mm、開口面の幅150mm、長さ215mm、底部の幅115mm、長さ180mm、深さ20mmである。
実施例4で得た蒸器に水10mlを注ぎ、その中に中華饅頭6個をいれてから、実施例1の蓋を被せて、孔4からあふれ出た余分な水分を排水してから、電子レンジで700kw、90秒加熱したところ、中華饅頭を柔らかくしながら加熱することができた。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂発泡シートからなる外側容器と、熱可塑性樹脂発泡シートからなる内側容器とが重合しており、且つ一体として同時に熱シート成形された蒸器であって、
    外側容器を構成する熱可塑性樹脂と内側容器とを構成する熱可塑性樹脂とが同系統の樹脂からなり、複数の孔が内側容器を貫通するように形成されていることを特徴とする蒸器。
  2. 底部に蒸器内側に向かう凸部及び該凸部の周りの凹部が形成されており、更に少なくとも二つの凸部の上面又は凹部の底が平坦な真空吸上げ用の平坦部として形成されている、請求項1に記載の蒸器。
  3. 前記外側容器の底部に凸部及び該凸部の周りの凹部が形成されており、該凹部と内側容器との間が空間として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸器。
  4. 前記孔の径が0.3〜4mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸器。
  5. 前記同系統の樹脂が、耐熱性ポリスチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の蒸器。
  6. 熱可塑性樹脂からなる蓋が被されており、該蓋が蒸器の開口部外側周縁に嵌合可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の蒸器。
  7. 前記蓋が、耐熱性延伸ポリスチレン系樹脂シート、延伸ポリスチレン系樹脂シート、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂シート及びポリプロピレン系樹脂発泡シートのいずれかからなる、請求項6に記載の蒸器。
  8. 前記蓋が、孔が形成された熱可塑性樹脂発泡シートと、孔が形成されていない熱可塑性樹脂発泡シート又は孔が形成されていない熱可塑性樹脂フィルムとの積層体からなり、孔が形成された発泡シートが内側に位置しており、該熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂又は耐熱性ポリスチレン系樹脂である、請求項6に記載の蒸器。
  9. 加熱ゾーンと成形ゾーンとを有し、成形ゾーンには蒸器形状を賦形可能な雌型と雄型が取り付けられている熱成形装置を用い、
    熱可塑性樹脂からなる外側発泡シートと、熱可塑性樹脂からなると共にシートを貫通する孔が形成された内側発泡シートとを重ね合わせると共に、外側発泡シートを雌型側に向けて加熱ゾーンに搬送して重ね合わされたシートを加熱軟化させ、次に該シートを成形ゾーンに搬送し、雌型成形面より真空吸引をすると共に雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込んで賦形し、次に真空吸引を停止して成形品を取り出すことにより、請求項1、2、4、5のいずれかに記載の蒸器を得ることを特徴とする蒸器の製造方法。
  10. 加熱ゾーンと成形ゾーンとを有し、成形ゾーンには蒸器形状を賦形可能な雌型と雄型が取り付けられ、雌型の蒸器底部を賦形する部分に凸部及び凹部を形成可能な金型凸部及び金型凹部が設けられている熱成形装置を用い、
    熱可塑性樹脂からなる外側シートと、熱可塑性樹脂からなると共にシートを貫通する孔が形成された内側シートとを重ね合わせると共に、外側シートを雌型側に向けて加熱ゾーンに搬送して重ね合わされたシートを加熱軟化させ、次に該シートを成形ゾーンに搬送し、雌型成形面より真空吸引をすると共に雄型で重ね合わされたシートを雌型に押込んで賦形し、次に真空吸引を停止して成形品を取り出すことにより、請求項3〜5のいずれかに記載の蒸器を得ることを特徴とする蒸器の製造方法。
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