JP3896385B2 - 容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品、特に食材を蒸気で加熱調理するのに用いられる容器に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
これまで、冷凍食材や乾燥食材の加熱調理(蒸気加熱)には、主に、せいろうが用いられてきた。しかしながら、せいろうは、使用するに当たって面倒な準備作業が不可欠で、使い勝手がよくないという欠点があった。そこで、最近になって、せいろうに替わる簡便な調理器具として、図4に断面を示す容器(蒸し器)が提案された。
【0003】
この提案に係る容器は、概して、容器本体11と仕切り板12とからできている。このうち、食材F’が載置される仕切り板12は、それと容器本体11の底面との間に空間が形成されるよう、容器本体11内に設けられている。また、この仕切り板12には、数箇所に孔12aが形成されている。
【0004】
したがって、水を適量充填した状態で、容器全体を電子レンジにて加熱すると、仕切り板12の下方で発生する水蒸気は、孔12aを経て、食材F’が存在する仕切り板12の上方空間に供給される。この水蒸気によって、仕切り板12に載置された食材F’は蒸され、一定時間経過後には、食するのに程よい状態となる。
【0005】
このように、図4に示す容器は、面倒な準備作業をすることなく、電子レンジによって食材を手軽に加熱調理できる、といった優れた特長がある。しかしながら、この従来型容器にも改善を要する点があることがわかってきた。すなわち、従来型の容器を用いて食材を加熱調理した場合、食材のある特定の部位には水蒸気がよく当たり、その一方で、食材の別の部位には水蒸気が十分に当たらないといった状況が生じることがある。そして、こうした理由から、食材に加熱むらが発生し、蒸し上がり具合が不均一になることがあった。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、収納された物品を手軽に加熱することができ、しかも物品に加熱むらが生じない簡便な容器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、上面側が開放された容器本体と、この容器本体の底面との間に空間が形成されるよう前記容器本体内に配設される物品を載置するための仕切りとを具備し、前記容器本体の底面と前記仕切りとの間の空間に水が充填されて加熱される容器であって、
前記容器本体は樹脂で構成されたものであり、
前記仕切りは樹脂製の網で構成されたものであり、
前記容器本体の側壁には段部が設けられていて、この段部の上面に前記仕切りの周縁部が配置されてなり、
前記仕切りが前記容器本体に対して溶着されてなる
ことを特徴とする容器によって解決される。
【0008】
すなわち、本発明に係る容器は、構造が簡素な上、せいろうの如く鍋や釜の上に載せる必要はなく、液体を適量充填するだけで、収納された物品を電子レンジによって手軽に加熱(蒸気加熱)できるので極めて簡便なものである。そして、更に、本発明では、物品を載置するための仕切りとして、これまでの有孔板に替えて、メッシュ状の網を用いた。このため、仕切り下方の空間にて発生する蒸気は、ある特定の位置からのみ噴出するのではなく、仕切りのほぼ全面から噴出し、仕切り上方の空間、すなわち物品が存在する空間に供給される。したがって、加熱しようとする物品に対して、蒸気がまんべんなく行き渡るようになる。更には、物品との接触面積が小さく、仕切り部材により物品が大きな領域に亘って覆われることが無い。この結果、本発明に係る容器を用いた場合には、物品のある特定の部位にのみ蒸気がよく当たり、別の部位には十分に蒸気が当たらないといった好ましくない状況が引き起こされることはなくなり、物品には加熱むらが生じなくなる。
【0009】
本発明に係る容器は、容器本体の側壁に段部を設け、仕切りの周縁部が、この段部の上面に取り付けられてなるような構造とした。この為、仕切りの位置安定性を大幅に高めることができる。また、容器本体への仕切りの取り付け作業も容易なものとなる。
【0010】
また、本発明に係る容器は、容器本体および仕切りが、ともに合成樹脂から構成されたものであって、仕切りは容器本体に対して溶着、特に超音波溶着されてなることが好ましい。すなわち、本発明の容器を例えば食材の収納に用いる場合、仕切りの取り付けには、接着剤を使用しない溶着法を採用するのが望ましい。なかでも超音波方式が、容器本体にひずみを生じさせないことから最適である。
【0011】
更に、容器本体の底面には、仕切りの下面に当接して、この仕切りを支持する役割を果たす凸部が設けられてなる(特に、容器本体に対して一体的に設けられてなる)ことが好ましい。容器本体に、こうした凸部を付加することで、仕切りの湾曲が効果的に抑えられ、この結果、仕切りの上に載置した物品が、その中央に寄り集まってしまうといった不具合を効果的に回避できるようになる。
【0012】
なお、上述したように本発明に係る容器は、電子レンジ、正確にはマイクロ波加熱装置を用いた、物品の蒸気加熱に使用されるものとして好適である。すなわち本発明に係る容器の内部(容器本体の底面と仕切りとの間の空間)には、適量の液体、例えば水が充填される。そして、仕切りの上に物品を載置した状態で、電子レンジを用いて容器全体を加熱すると、この液体が蒸気となり、更にこの蒸気は仕切りのほぼ全面を透過して、仕切り上方の空間に供給される。この結果、仕切りの上に載置された物品は良好な具合に、言い換えれば、加熱むらが生じないよう均一に蒸される。
【0013】
本発明に係る容器は、殊に、食材を蒸して加熱調理するのに好適なものであるが、言うまでもなく、収納対象物品は食材に限定されない。すなわち、本明細書で言う「物品」には、食材以外の、蒸気加熱して使用される様々な物資も含まれる。
【0014】
本発明に係る容器を構成する容器本体および仕切りは、どのような素材から構成されていてもよい。しかしながら、電子レンジにて加熱されることを前提とする場合には、その素材は、プラスチックや紙、あるいはその複合材などの非金属材に限定されることになる。ちなみに、好適なプラスチックとして具体的には、ポリプロピレンやポリエチレンなどが挙げられる。
【0015】
更に言えば、仕切りとしては、射出成型やその他の成型方法によって、ちょうど規定の寸法・形状となるように構成されたものを用いることができる。あるいは、網材を規定の大きさにカットして得たものを使用することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態を具体的に説明する。なお、図1は本実施形態に係る容器の斜視図、図2は図1におけるX−X線での断面図、図3は本実施形態に係る容器の使用状態を示す概略図である。
【0017】
本実施形態に係る容器(以下、本容器と言う)は、電子レンジ、すなわちマイクロ波加熱装置を用いた、物品の蒸気加熱、特に冷凍食材や乾燥食材などを蒸気で加熱調理するのに用いられるものである。また、本容器は、小売店などにおいて、商品である食材を棚やケース内に陳列する際にも使用される。
【0018】
本容器は、図1に加えて図2からもわかるように、概して、上面側が開放された容器本体1と、その内部に配設された、食材(物品)を載置するための仕切り2とからできている。これら二つの構成要素は、共に、樹脂材料を用いて得た成型品である。特に、仕切り2はメッシュ状(ネット状)のものであって、ここではこの仕切り2として、射出成型によって、ちょうど規定の寸法・形状となるよう構成された、適度な剛性を有するものを用いた。
【0019】
仕切り2は、容器本体1の底面との間に、水を充填するための空間が形成されるよう、この容器本体1内に配置されているわけであるが、本実施形態では、この仕切り2の配置に、容器本体1に形成した段部1aを用いている。すなわち、容器本体1の側壁には、環状の段部1aが設けられており、仕切り2の周縁部は、この段部1aの上面に取り付けられている。更に詳しく言うと、上述したように容器本体1および仕切り2は、共に合成樹脂から構成されたものであるので、本実施形態では、仕切り2の周縁部(段部1aの上面と重なる部分)を、その全周にわたって容器本体1に超音波溶着している。
【0020】
更に言えば、容器本体1の底面中央には凸部1bが存在している。この凸部1bは、容器本体1に対して一体的に設けられており、仕切り2の下面中央に当接して、この仕切り2を支持する役割を、言い換えれば、仕切り2の湾曲を抑止する役割を果たす。
【0021】
なお、容器本体1における、水が充填されることになる空間の高さ(容器本体1の底面から仕切り2までの距離)は、容器本体1の全高の1/10〜1/2程度である。この比率は、容器本体1に充填される水の量に応じて、適切な値に設定される。また本実施形態では、上記仕切り2として、開孔率〔(開口の総面積/仕切りの全面積)×100〕が50〜90%程度のものを用いたが、これも、収納対象物品の大きさや性状に応じて適切な値が選定される。
【0022】
本容器は、次のようにして使用される(図3参照)。まず、容器本体1内(容器本体1の底面と仕切り2との間の空間)に適量の水Wを充填する。続いて、仕切り2の上に食材Fを載置し、更に、容器開口を透明な合成樹脂製の蓋3によって閉塞する。あとは、この状態で、電子レンジを用いて容器全体を加熱すればよい。こうすることで、充填されていた水Wが沸騰して水蒸気となり、更にこの水蒸気は仕切り2のほぼ全面を透過して、同仕切り2の上方の空間に供給される。この結果、仕切り2の上に載置された食材Fは、加熱むらが生じないよう均一に蒸される。
【0023】
さて、本容器は、構造が簡素なうえ、せいろうの如く鍋や釜の上に載せる必要はなく、水を適量充填するだけで、収納された食材Fを電子レンジにて手軽に加熱調理(蒸気加熱)できるので、極めて簡便なものである。そして、更に、本容器では、食材Fを載置するための仕切り2として、メッシュ状のものが用いられている。このため、仕切り2の下方の空間にて発生する水蒸気は、ある特定の位置からのみ噴出するのではなく、仕切り2のほぼ全面から噴出し、仕切り2の上方の空間すなわち食材Fが存在する空間に供給される。したがって、加熱しようとする食材Fに対して、蒸気がまんべんなく行き渡るようになる。この結果、本容器を用いた場合には、食材Fのある特定の部位にのみ水蒸気がよく当たり、別の部位には十分に水蒸気が当たらない、といった好ましくない状況が引き起こされることはなく、上述したように食材Fには加熱むらが生じなくなる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の容器によれば、収納された物品を手軽に加熱することができ、しかも物品には加熱むらが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る容器の斜視図
【図2】図1におけるX−X線での断面図
【図3】本発明の実施形態に係る容器の使用状態を示す概略図
【図4】従来型容器の使用状態での断面図
【符号の説明】
1 容器本体
1a 容器本体の段部
1b 容器本体の凸部
2 仕切り
3 蓋
F 食材(物品)
W 水(液体)
Claims (4)
- 上面側が開放された容器本体と、この容器本体の底面との間に空間が形成されるよう前記容器本体内に配設される物品を載置するための仕切りとを具備し、前記容器本体の底面と前記仕切りとの間の空間に水が充填されて加熱される容器であって、
前記容器本体は樹脂で構成されたものであり、
前記仕切りは樹脂製の網で構成されたものであり、
前記容器本体の側壁には段部が設けられていて、この段部の上面に前記仕切りの周縁部が配置されてなり、
前記仕切りが前記容器本体に対して溶着されてなる
ことを特徴とする容器。 - 容器本体および仕切りは、共に、合成樹脂で構成されたものであって、前記仕切りは前記容器本体に対して超音波溶着されてなることを特徴とする請求項1の容器。
- 容器本体の底面には、仕切りの下面に当接して、この仕切りを支持する役割を果たす凸部が設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2の容器。
- マイクロ波加熱装置を用いた物品の蒸気加熱に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの容器。
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