JP2012120498A - トウモロコシ食品およびその製造方法 - Google Patents

トウモロコシ食品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 食用時において一本のトウモロコシを手で簡単に分割可能なトウモロコシ食品、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシ10の長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みを設ける切込み工程P1と、切込み工程P1により得られた切込み済みトウモロコシ20を密封包装する包装工程P2と、包装工程P2により得られた包装済みトウモロコシ30を加熱処理する加熱工程P3とを経て、トウモロコシ食品80が得られる。切込みは、切断してしまわない所定の深さにて設けられる。
【選択図】 図3

Description

本発明はトウモロコシ食品およびその製造方法に係り、特に食用時において、一本のトウモロコシを手で簡単に分割可能なものとするトウモロコシ食品、およびその製造方法に関する。
スイートコーンは、一本まるごと軸付きのまま茹でて、あるいは焼いて食することも多いが、一人で食する場合は一本まるごとでは分量が多過ぎ、食べ残すこともある。また、一本のスイートコーンを何人かで分け合って食べたい場合もある。しかし、スイートコーンは素手では容易に分割しづらく、また包丁等でカットしようとしても、スイートコーンの軸は思いの外硬くてカットしにくく、特に高齢者等の非力な者にとっては困難なこともある。
このような場合、一本まるごとではなくて適宜に分割された状態で提供されていれば便利であり、また経済的でもある。実際に、適宜の幅で輪切りにプレカットされた商品が、従来から市販されている。また、皮剥きや余分な軸のカット等の調製がなされた上で、消費者がそのまま、あるいは必要に応じて温め直すだけでそのまま食べることができる加熱調理済みのスイートコーンも、従来から販売されている。
なお、一本まるごとの加熱調理済みスイートコーンを含め、トウモロコシ食品に関しては、技術的提案も従来なされている。このうち後掲特許文献1に開示されているものは、軸を有する丸ごとのトウモロコシのレトルト加工方法におけるトウモロコシの表面部分の変質・変色低下を防止するために、殺菌温度115℃未満と115℃以上の2段階の加圧加熱殺菌工程を設ける技術である。
また後掲特許文献2に開示されているものは、保存性が良く食べ易い焼きトウモロコシの提供を目的として、トウモロコシ粒に直火で焼き目を入れた後急速凍結し、これにしょうゆ味ベースの調味料微粉末により調味して密封包装し、加熱処理して製品とするという技術である。
特開平2−255051号公報「軸付とうもろこしのレトルト加工方法」 特開2002−306108号公報「焼きとうもろこしの製造方法」
小原哲二郎著(昭和56年)、「雑穀 −その科学と利用−」、樹村房刊
さて、従来から市販されている輪切りにプレカットされたスイートコーンは、皮などの不要部が除去されていて便利であり、必要数を使用できることから経済的である。また、これが加熱調理済み(その後の冷凍品を含む)である場合には、生のものや未加熱冷凍品よりもさらに利便性が高い。しかしスイートコーンは従来、一本まるごとの形状で流通・提供されるのが通例であり、購入時等においては、一本まるごとのままである方が、心理的には受け入れやすい。これは、食用トウモロコシの主たる品種であるスイートコーンに限らず、広くトウモロコシ全般に共通することである。
以上のようなことから、開封すれば即食べることのできる加熱調理済みの一本まるごとのスイートコーンを、必要な場合は利用者が自分の手により軸方向上で容易に分割可能なものとすることができれば、かかる問題を解決することができる。そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、特に食用時において一本のトウモロコシを手で簡単に分割可能なトウモロコシ食品、およびその製造方法を提供することである。
上記課題について検討した結果、本願発明者は、生の軸付きスイートコーンに隠し包丁的に切込みを入れる手法を基礎として、この課題を解決できることに想到した。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
(1) 剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシが一本以上密封包装されてなるトウモロコシ食品であって、該トウモロコシの長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みが設けられている、トウモロコシ食品。
(2) 加熱処理済みであることを特徴とする、(1)に記載のトウモロコシ食品。
(3) 前記切込みは、本トウモロコシ食品の包装を解いた状態で該切込み箇所での人手による本トウモロコシの折り切りが可能で、かつ密封包装作業時には容易に破断されない程度の深さにて形成されていることを特徴とする、(1)または(2)に記載のトウモロコシ食品。
(4) 前記切込みは、該切込み箇所におけるトウモロコシ直径の45%以上65%以下の深さにて形成されていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
(5) 前記切込みは、該切込み箇所における軸直径の30%以上70%未満の深さにて形成されていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
(6) 前記切込みは、軸の髄に達する深さにて形成されていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
(7) 前記切込みは二以上設けられ、その間隔が1cm以上であることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
(8) 剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシの長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みを設ける切込み工程と、該切込み工程により得られた切込み済みトウモロコシを密封包装する包装工程と、該包装工程により得られた包装済みトウモロコシを加熱処理する加熱工程とを備えてなる、トウモロコシ食品の製造方法。
本発明のトウモロコシ食品およびその製造方法は上述のように構成されるため、加熱処理済みの密封包装のスイートコーンを含むトウモロコシ食品において、利用者がこれを食用する際、一本のトウモロコシを手で簡単に分割することができる。
従来、輪切り状のプレカット製品や粒に分離した状態で加工された製品はあるが、上述のとおりスイートコーンなどは一本まるごとの形状で流通・提供されるのが通例である。したがって購入時・食用時においては、本発明のように一本まるごとのままである方が、心理的には受け入れやすい。そしてこれを分割して食する場合にも、プレカット製品のような出来合いの分割ではない上、利用者自身の自由意志に基づき分割の有無を選択可能であり、さらに、切込み数や位置の仕様によっては分割する場合の位置を選択することもできる。
また本発明トウモロコシ食品によれば、これを分割して食する場合にも、テクスチャーや食感のみならず、手や口唇における触覚、耳や骨振動を通した聴覚などの感覚も、本来のまるごと一本に近いものを得ることができ、味覚のみではない総合的な感覚による食の楽しみを、より充実した形で提供することができる。
なお、本発明の主たる想定適用対象はスイートコーン食品である。本発明によれば、皮や軸両端などの非食用部分は必要に応じて除去されている他は軸付きの形状のままで、食用時に必要に応じて容易に輪切状に分割可能な調理済みスイートコーンを提供することができる。
本発明トウモロコシ食品の基本的構成を示す説明図である。 本発明トウモロコシ食品の切込みの深さを示す説明図である。 本発明トウモロコシ食品の製造方法を示すフロー図である。 スイートコーンの断面形態の概要を示す説明図である。 切込み深度試験の方法の概要を示す説明図である。 本実施例によるトウモロコシ食品の外観示す写真である。 本実施例によるトウモロコシ食品を切込みにおいて破断した状態の断面写真である。
本発明について、図面を用いて、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明トウモロコシ食品の基本的構成を示す説明図である。図示するように本トウモロコシ食品8は、剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシ1が、包装材5によって一本以上密封包装されてなるものであって、トウモロコシ1の長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込み3が設けられていることを、主たる構成とする。トウモロコシのサイズ、スイートコーンを含む品種の如何などは特に限定されず、トウモロコシである限り本発明は適用可能である。
また本トウモロコシ食品8においては、既に加熱処理がなされた状態である。なお図において本トウモロコシ食品8は、トウモロコシ1は一本のみが包装されている構成例を示しているが、図の例に限定されず、二本以上が包装されたものであってもよい。また、同様に切込み3は、二箇所に設けられた構成例を示しているが、これも、一箇所でも、また三箇所以上であってもよい。また包装材5としては、密封包装に用いることのできるものである限り、いかなる材質・サイズ・仕様のものであっても使用可能であるが、後述するように真空包装に適したものであることが、より望ましい。
本トウモロコシ食品8の切込み3は、技術的意義を有する特定の深さにて形成される。すなわち、本トウモロコシ食品8の包装を解いた状態で切込み3の箇所での人手による本トウモロコシの折り切りが可能であり、かつ密封包装作業時においては容易に破断されない程度の深さである。
以上の構成を備えることにより本発明のトウモロコシ食品8においては、利用者(食用する喫食者)によってトウモロコシ食品8の包装材5が解かれただけの状態では、切込み3による破断は容易には発生しない。そして、利用者自身の手によって本トウモロコシ1が取られ、両手を使うなどして、切込み3の箇所においてこれを折り切る動作が行われることによって、切込み3における本トウモロコシ1の折り切りがなされる。折り切られたトウモロコシ1は、利用者の食用に供することができる。
一方、利用者による折り切り動作は、利用者によるまるごと一本のトウモロコシ1の喫食が開始された後になされてもよい。つまり、喫食開始後に食べきれない場合や、後に取っておきたい等の理由により喫食を中断したい場合、適宜の切込み3の部分まで食し、そこで折り切り動作を行うことができる。なおまた本トウモロコシ食品8は、開封後にこれを折り切らず、そのまま喫食することも可能である。つまり、利用者が意思をもって折ろうとしない限りは、そのまるごとの形態を維持することができる。
本発明トウモロコシ食品8はまた、これが製造される過程や、密封包装された状態で流通し利用者による喫食時に至る過程においては、容易に破断されないため、まるごと一本の状態が保持されることが可能である。つまり切込み3は、トウモロコシ1を切断してしまわない深さで設けられており、外見上はまるごと一本同様の形状をとどめているものである。
なお、本発明において「まるごと一本」という時は、包装材5の中に密封包装された剥皮され可食部が露出した状態のトウモロコシ軸付き子実の一本全体が、切断されていない状態、いわば「whole」の状態であることをいう。したがって、包装材5中に当該軸付き子実が一本のみ包装されている場合のみならず、かかるwholeの状態で二本以上包装されている場合も「まるごと一本」である。
本発明トウモロコシ食品8のように切込み3を入れたトウモロコシ1は、喫食時においては利用者にとって折りやすく便利なものであるが、反面そのままでは、ボイル等の加工時や流通段階において折れやすくなってしまうおそれがある。本発明では、切込み3が設けられた上に、袋等の包装材5によってトウモロコシ1全体が密封包装されることにより、あたかも骨折した骨がテーピングによって固定されるが如く、切込み3入りのトウモロコシ1は容易には折れにくくなっており、折れや切断のないまるごと一本の状態が、製造過程、流通過程を通じて安定的に維持される。なお密封は、後述する加熱処理の点からも、真空包装であることがより望ましい。
上述のとおり本トウモロコシ食品8は、既に加熱処理がなされた状態である。具体的には、切断することなく切込み3が設けられて包装材5により密封包装された状態にて加熱処理が施されたものである。トウモロコシ1に切込み3が設けられる際には、必然的に、外側にある実(子実)の部分を傷つけることとなり、その傷から乳液が滲み出てくるため、これをこのまま放置するとカビや腐敗の原因となる。したがって切込み3を入れた後は、可及的速やかに適切な殺菌処理のなされることが求められる。
そこで本発明では、真空包装等による密封包装状態のままで、これを加熱処理することをもって、殺菌処理とする。かかる加熱処理はまた同時に、調理手段も兼ねることになる。したがって本発明トウモロコシ食品8において既になされている加熱処理は、これが密封包装後になされていることによって、殺菌効果、殺菌後の微生物による再汚染防止効果、およびトウモロコシ1の調理効果を実現しているものである。
なお、本トウモロコシ食品8は、生のトウモロコシ1に切込み3が設けられた後にこれをそのまま密封包装して加熱処理に供することにより調理処理ともすることとしてもよいが、密封包装の前に食塩水その他適宜の調味料、調味手段を用いて調味しておいた上で密封包装し、加熱処理に供することとしてもよい。また具体的な加熱処理としては、熱水や水蒸気を用いるなど従来公知の加熱方法を特に制限なく適宜に用いることができる。
なおまた、本トウモロコシ食品8における切込み3の深さは上述のとおり、包装を解いた状態で切込み3の箇所での人手(素手)による本トウモロコシ1の折り切りが可能な程度の深さであって、かつ、密封包装作業時においては容易に破断(切断)されない程度の深さである。ここで「人手(素手)」とは、概ね、特段の介護や世話を要せずに自分自身の手を用いて通常の食事を行うことのできる程度の人の人手(素手)のことをいうものとする。
また「密封包装作業時」とは、当該作業が人力でなされるにせよ機械で自動的になされるにせよ、まるごと一本のトウモロコシを真空包装等の密封包装作業する際に、当該作業過程において、トウモロコシに対して最低限なされるであろう程度の瞬間的な加力や累積的な加力が発生するような、密封包装作業時のことをいう。
ところで本発明トウモロコシ食品8においては、密封包装作業時においてのみ容易な破断が防止されればよいのではなく、製品の流通段階においても、また利用者の手元に届いた後の開封後の喫食時においても、容易に破断されないことが必要である。したがって本トウモロコシ食品8の切込み3は、かかる場合においても容易に破断されない程度の深さにて設けられる。
図2は、本発明トウモロコシ食品の切込みの深さを示す説明図である。図示するように本トウモロコシ食品に係るトウモロコシ1においては、切込みは、切込み箇所3Xにおける子実4および軸2を合わせたトウモロコシ1全体の直径の、45%以上65%以下程度の深さにて形成されたものとすることができる。かかる範囲の深さであれば、上述した、包装を解いた状態での人手による折り切りと、密封包装作業時における容易な破断防止の双方を、かかる深さ範囲外の場合に比べて良好に実現できるからである。なお深さ範囲は、トウモロコシ1直径の50%以上60%以下の深さにて形成されたものとすることが、より望ましい。この範囲にすると一層良好な結果が得られるからである。
なお切込みの深さを軸2を基準とすれば、切込みは、切込み箇所3Xにおける軸直径の30%以上70%未満程度の深さにて形成されたものとすることができる。これは、スイートコーンの一般的な断面構成から算出されるものである。かかる範囲の深さであれば、上述した、包装を解いた状態での人手による折り切りと、密封包装作業時における容易な破断防止の双方を、かかる深さ範囲外の場合に比べて良好に実現できるからである。なおより望ましくは、深さ範囲は、切込み箇所3Xにおける軸直径の35%以上50%以下の深さにて形成されたものとすることができる。この範囲にすると一層良好な結果が得られるからである。
なおまた、本トウモロコシ食品に係るトウモロコシ1における切込みは、軸2を構成する木質繊維と髄のうち、より深部であるところの髄に達する深さにて形成されたものとすることができる。ここで「達する深さ」とは、切込みの尖端部が初めて髄の最外部に達した深さを含み、それよりも深い深さも含む。ただし、髄の反対側の最外部にまでは達しないことが極めて望ましい。その深さまで切込みが設けられると、切り込まれていない部分は切込み箇所3Xの反対側の子実4のみとなり、本トウモロコシ1が破断しやすくなってしまうからである。
トウモロコシ1全体の直径の45%以上65%以下程度の深さなど、上述した数値により規定する切込み深さの範囲はいずれも、髄に達する深さである。つまり、切込みを髄に達する深さで設けることによって、包装を解いた状態での人手による折り切りと、密封包装作業時における容易な破断防止の双方を、良好に実現することができる。
本トウモロコシ食品8では、切込み3は二箇所以上設けるものとし、その間隔を1cm以上とすることができる。間隔が1cm未満の場合は、手を用いての折り切りの際に、2つの切込みを区別して折り切ることが相当困難である上、その程度の間隔で切込みを設ける実際上の意義は、ほとんど認められないからである。なお、切込み3は一箇所のみとしてももちろんよい。
図3は、本発明トウモロコシ食品の製造方法を示すフロー図である。図示するように本製法は、剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシ10の長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みを設ける切込み工程P1と、切込み工程P1により得られた切込み済みトウモロコシ20を包装材25により密封包装する包装工程P2と、包装工程P2により得られた包装済みトウモロコシ30を加熱処理する加熱工程P3とを備えてなることを、主たる構成とする。
かかる構成により本製法によれば、まず切込み工程P1において、剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシ10の長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みが設けられて切込み済みトウモロコシ20が得られ、包装工程P2において、切込み済みトウモロコシ20が包装材25により密封包装されて包装済みトウモロコシ30が得られ、加熱工程P3において、包装済みトウモロコシ30が加熱処理されて、最終的にトウモロコシ食品80が得られる。各工程P1〜P3における具体的な処理例や付加的な処理例については、本発明トウモロコシ食品に関する説明において上述したとおりである。
以上説明した本発明の意義について、さらに付言する。
古来、食品を食べやすくする工夫として、箸などで容易に食品を切断できるように隠し包丁と称する切込みを入れることはある。また、棒状の物体を用途に応じた寸法に容易に切断する工夫として切込を入れることもある。さらに、必要に応じて分割しやすくした食品例としては、凸形状を配列した固形状の即席カレールーや板チョコレートなどが従来存在する。一方、スイートコーンなどの生ものを真空(あるいは脱気)包装した上で、包装状態のまま熱水や蒸気を用いて中身を加熱する処理方法も、食品加工分野において従来から実施されている殺菌・調理方法のひとつである。
しかしトウモロコシに限定すれば、「隠し包丁的切込み」と「生ものの包装後加熱」という従来技術の組合せが、上述したような格段の利便性をもたらすことについては、これまで発想されたことがなかった。特に「隠し包丁的切込み」については、従来この処理は箸で食べる際等の補助的役割であるところ、本発明のように食品を手で折り切って、折った食品をそのまま喫食するための補助手段として利用することには、相当の発想の飛躍があるといえる。
すなわち、従来であれば、食べやすくするためには、わざわざ中途半端な切込みなどにせずにカットしてしまうことを発想するのが通常であったと考えられる。上述した市販の輪切りスイートコーンは、その好例である。つまり本発明は、カットしてしまわない、いわば中途半端な切り方にによる切込みを設けて、利用者が手を用いて、つまり素手で折って分割することを前提としたものであり、切込みの深さも数値的に規定するなどして、利便性の高い新規の発明として完成させたものである。
以下、スイートコーンを用いた実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、本発明完成のために行った実験とその結果の説明をもって、実施例とする。
<I スイートコーンの形態的特徴>
図4は、スイートコーンの断面形態の概要を示す説明図である。これは、前掲非特許文献1の記載、および実物観察から作成したものである。なお、スイートコーンは未熟トウモロコシであるため、図中の木質部は完全に木質化していないが、説明の便宜上、木質部と記述する。また図には、直径、あるいは層の厚さの概数を併せて記載したが、スイートコーンは天然物であることから、当然ながら個々の数字には変動がある。図は、最太部直径約50mmのスイートコーンの例を想定して、概ねの長さを記載したものである。
<II 実施例1 好適切込み深度の条件検討試験>
図5は、切込み深度試験の方法の概要を示す説明図である。図示するように、厚さ5.5mmのゴムシートを切断して試験用ゴムスペーサ57とし、このスペーサ57を適宜枚数積み重ねることによって、段階的に異なる厚み(高さ)の台56を形成できるようにした。皮を剥いた生スイートコーン51を同じ高さの2つの台56、56の間に挟み、刃先が台56の最上面すなわち最上部のスペーサ57の表面に接触するまで、包丁59を用いてスイートコーン51に切込みを入れた。この操作により得られた種々の深度の切込みをもったスイートコーンについて、素手による折り切り(破断)の容易性等を検討した。表1は、試験結果をまとめたものである。なお折り切りは、健康な成人男性の手により行った。
その結果、スペーサ6枚(厚さ33.0mm)およびそれ以上のものは破断が困難であり、切込みの効果が認められなかった。スペーサ5枚(27.5mm)のものは、切込みの効果が認められるものの、破断にはやや力を要し、高齢者等の非力な者であれば破断困難な場合もあると推定された。スペーサ4枚(22.0mm)のものは素手で容易に破断でき、かつ調味や袋詰めに支障のない強度を持っていた。スペーサ3枚(16.5mm)のものは素手で容易に破断はできるももの、比較的もろいため、調味や袋詰めの作業中や、消費者の開封・取出時に破断してしまう懸念がもたれた。スペーサ2枚(11.0mm)またはそれ以下ものは、スイートコーンを手で持ち上げただけで破断(切断)してしまった。
以上の試験結果から、切込み深度としては、直径50mmのスイートコーンの場合、22mm〜34mm(非切込み部:16mm〜28mm)で本発明としての効果が得られた。特に、切込み深度25〜30mm(非切込み部:20mm〜25mm)においては、より好ましい結果が得られた。
以上の結果を一般化すると、下記のようになる。
スイートコーンの場合、切込みの深さをスイートコーン直径の44〜68%(非切込み部:32〜56%)とすることによって、本発明としての効果が得られる。特に、切込み深度50〜60%(非切込み部:40〜50%)とすることによって、一層好ましい結果が得られる。なおまた、スイートコーン以外のトウモロコシにおいても、以上の結果に準じて取り扱うことが充分可能であると考えられた。
<III 実施例2 好適切込み深度確認試験>
実施例1の結果に基づき、スペーサ4枚(22mm厚相当)で切込み(切込み深度約28mm)を設けることとした。切込みを入れた軸付きスイートコーンは、次のように調製した。すなわち、スペーサ4枚を用いた切込み深度、3cm間隔で、切込みを複数入れた。調製したスイートコーンを2.5%(w/v)食塩水に1分間浸けて調味し、食塩水をざるで切ったものを、一本毎に真空包装(古川製作所 FVCIII−G)した。真空包装したスイートコーンを、袋詰めのまま95℃に設定したスチームオーブン(北沢産業 PALUX)で15分間加熱し、加熱終了後流水で冷却した。
得られた袋詰加熱調理済みスイートコーンを開封し、その性状を確認した。その結果、従来通りに一本丸ごとでも喫食することができ、また分割しようと思えば、素手で容易に分割した上で喫食することができた。本スイートコーンは、従来のようにスイートコーンを袋詰めせずに湯で直接茹でる場合のスイートコーンと異なり、甘み・旨味成分が湯の中に流亡することがないため、良好な食味を呈するものであった。
図6は、本実施例によるトウモロコシ食品の外観示す写真である。また、
図7は、本実施例によるトウモロコシ食品を切込みにおいて破断した状態の断面写真である。図示するように、包装された状態ではスイートコーンは、まるごと一本のままの風姿を保っていた。また切込みは包装材による密封によって、いわばギプス固定されたような状態であり、製造・流通過程においては容易には破断しないことが外観からもうかがえるものであった。また図7に示すように、切込みにおける折り切りは、子実をいたずらに損傷することもなく、問題なくスムーズになされた。
本実施例において、調味は食塩によって実施したが、適宜に、あるいは必要に応じて、調味材料の変更や省略は可能である。また調味方法も、密封前に実施するのであれば任意である。また本実施例では、過度の加熱で茶色く変色(褐変)するというスイートコーンの品種特性を考慮して上述の条件で加熱したが、耐熱性のあるスイートコーンやその他のトウモロコシを材料とした場合は、100℃以上の調理・殺菌(レトルト)も可能である。すなわち、食味を初めとする諸品質を良好に維持できる範囲内において、調理・加熱条件は任意に選択可能である。
本実施例で得られた袋詰めスイートコーンを一旦冷凍し、解凍後に開封し、その品質について検討した。その結果、諸性質は冷凍前のものと略同様であった。したがって本袋詰めスイートコーンは、冷凍食品としても好適であることが確認できた。
本発明のトウモロコシ食品およびその製造方法によれば、トウモロコシの風姿を保ったままで密封包装、加熱処理されたスイートコーンを含むトウモロコシ食品において、利用者がこれを食用する際に、まるごと一本のトウモロコシを手で簡単に分割することができる。その利便性は従来とは比較にならないほど高いものである。したがって、食品製造産業分野および関連産業分野において利用性の高い発明である。
1、10…トウモロコシ
2…軸
3…切込み
3X…切込み箇所
4…子実
5、25…包装材
8、80…トウモロコシ食品
20…切込み済みトウモロコシ
30…包装済みトウモロコシ
51…スイートコーン
52…軸
54…子実
56…台
57…スペーサ
59…包丁
500…基板
P1…切込み工程
P2…包装工程
P3…加熱工程

Claims (8)

  1. 剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシが一本以上密封包装されてなるトウモロコシ食品であって、該トウモロコシの長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みが設けられている、トウモロコシ食品。
  2. 加熱処理済みであることを特徴とする、請求項1に記載のトウモロコシ食品。
  3. 前記切込みは、本トウモロコシ食品の包装を解いた状態で該切込み箇所での人手による本トウモロコシの折り切りが可能で、かつ密封包装作業時には容易に破断されない程度の深さにて形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のトウモロコシ食品。
  4. 前記切込みは、該切込み箇所におけるトウモロコシ直径の45%以上65%以下の深さにて形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
  5. 前記切込みは、該切込み箇所における軸直径の30%以上70%未満の深さにて形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
  6. 前記切込みは、軸の髄に達する深さにて形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
  7. 前記切込みは二以上設けられ、その間隔が1cm以上であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のトウモロコシ食品。
  8. 剥皮されたまるごと一本の状態のトウモロコシの長手方向の一箇所以上に軸心方向上の切込みを設ける切込み工程と、該切込み工程により得られた切込み済みトウモロコシを密封包装する包装工程と、該包装工程により得られた包装済みトウモロコシを加熱処理する加熱工程とを備えてなる、トウモロコシ食品の製造方法。
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