JP2012116043A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材に対する微細セルロース水分散液の塗工性が良好であり、微細セルロースからなる層の経時的な劣化を抑制し、ガスバリア性を高めた積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも大気圧下で表面をプラズマ処理した基材と、その処理表面にカルボキシル基を有する微細セルロースからなる層を接触させた層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層の3層を積層してなることを特徴とする積層体。基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層上に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備する積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体およびその製造方法に関する。
食品やトイレタリー製品、薬品、医療品、電子部材などの容器や包材には内容物の保護のため、高いガスバリア性が要求される。現在用いられているガスバリア剤はポリ塩化ビニリデンなどの塩素系から製造されるものや、無機物の蒸着により製造されるものが大半を占めているため、製造時や廃棄時に莫大な二酸化炭素や熱が排出されている。さらに塩素系の材料においてはダイオキシンを発生してしまう問題があり、また無機物の蒸着膜においては、焼却時に焼却炉を傷つけたり、リサイクルの際にはフィルムを剥がす必要があるなどの問題もあった。そのため、ガスバリア材料においてもこれらの諸問題を抑制する環境配慮型の材料への転換が進められている。
環境配慮型として注目されている材料にセルロースがある。セルロースは植物の細胞壁や微生物の体外分泌物、ホヤの外套膜などに含まれており、地球上でもっとも多く存在する多糖類で、生分解性を有し、結晶性が高く、安定性や安全性に優れている。そのため様々な分野へ応用展開が期待されている。
セルロースは分子内の水素結合が強く、結晶性が高いため、水や一般的な溶剤にはほとんど不溶であるが、溶解性を向上させる研究が盛んに行われた。中でもTEMPO触媒系を用いてセルロースのもつ3つの水酸基のうち、C6位の一級水酸基のみを酸化し、アルデヒド基あるいはケトン基を経てカルボキシル基に変換する手法は選択的に一級水酸基のみを酸化することができ、また水系や常温下などの温和な条件下で反応を行うことが可能であるため、近年非常に注目されている。また、天然のセルロースを用いてTEMPO酸化を行うと、セルロースの結晶性を保ちつつナノオーダーの結晶表面のみを酸化させることができ、軽微な機械的処理を加えるだけで微細セルロースを水分散させることができることが知られている。さらにこの水分散微細セルロースを乾燥させて成膜したフィルムはその微細な構造と高い結晶性からガスバリア性を有していることが知られている。
特許文献1には、ポリ乳酸等のバイオマスプラスチック及び生分解性樹脂からなる基材の表面に窒素ガスによるプラズマ処理を施し、その塗布性を向上させる製造方法が開示されている。
特開2010−179579号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、セルロース表面が最表面にあり、キズや水蒸気による膨潤などによって劣化してしまう可能性がある。例えば、微細セルロース膜は吸湿性が高く経時的に吸湿してしまい、膨潤によりガスバリア性が劣化してしまうという問題点がある。また、プラズマのガス種を窒素のみで行う場合、用いる基材によっては親水性の官能基を充分に導入することができず、目的の効果を得られないおそれがある。さらには随時大気圧のプラズマ処理を行わないと、基材のプラズマ処理、微細セルロース塗布、熱可塑性樹脂の積層が連続的にインラインで行えないため、プラズマ処理して官能基を導入した表面の効果が失活してしまう、微細セルロース層が劣化してしまう、製造コストが高くなるなどの種々の問題を引き起こすおそれがある。
さらに特許文献1に記載の発明では、微細セルロース水分散液の基材への塗工性に今だ改善する余地があり、はじき等の問題が解決されていない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、任意の基材においても親水性を高めることができ、各工程を連続的に処理することによって種々の弊害を抑制する積層体およびその製造方法を提供することを課題とする。
具体的には本発明は、基材に対する微細セルロース水分散液の塗工性が良好であり、微細セルロースからなる層の経時的な劣化を抑制し、ガスバリア性を高めた積層体およびその製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、少なくとも大気圧下で表面をプラズマ処理した基材と、その処理表面にカルボキシル基を有する微細セルロースからなる層を接触させた層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層の3層を積層してなることを特徴とする積層体である。
請求項2に記載の発明は、前記プラズマ処理のガス種が窒素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスの複合ガス、窒素ガスおよび水素ガスの複合ガスのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
請求項3に記載の発明は、前記基材がポリエステル系、ポリオレフィン系、セルロース系、ポリアミド系、アクリル系、ポリスチレン系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、紙系のいずれかもしくはそれらの誘導体や複合材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体である。
請求項4に記載の発明は、前記微細セルロースはN−オキシル化合物を用いた酸化反応により結晶表面にカルボキシル基が導入されており、該微細セルロースのカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体である。
請求項5に記載の発明は、前記微細セルロースは数平均繊維幅が1nm以上50nm以下であり、且つ数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍以上10000倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体である。
請求項6に記載の発明は、前記微細セルロース層が無機層状鉱物を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体である。
請求項7に記載の発明は、基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層上に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を製造する方法である。
請求項8に記載の発明は、前記基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備する積層体の製造方法であって、すべての工程をインラインで行うことを特徴とする請求項7に記載の製造方法である。
本発明の積層体は、基材のプラズマ処理、微細セルロースの塗工、熱可塑性樹脂の積層を連続処理することができるため、種々の劣化を抑制することが可能になる。
本発明によれば、基材に対する微細セルロース水分散液の塗工性が良好であり、微細セルロースからなる層の経時的な劣化を抑制し、ガスバリア性を高めた積層体が提供される。
また本発明によれば、基材のプラズマ処理、微細セルロースの塗工、熱可塑性樹脂の積層を連続処理することができるため、上記の種々の劣化を抑制することが可能になる。
以下、本発明の詳細を説明する。
(積層体の基材について)
本発明の積層体における基材はポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等)、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セルロース系(セルロース、トリアセチルセルロース等)、ポリアミド系(ナイロン等)、アクリル系(ポリアクリルニトリル等)、ポリスチレン系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、紙系のいずれかもしくはそれらの誘導体や複合材料等が挙げられる。
基材の形状は特に限定されず、フィルムやシートとして用いる場合は、厚みは10μm以上1000μm以下であればよい。特に包装材料として用いる場合は、10μm以上100μm以下が好ましい。
(基材の表面処理について)
本発明の基材表面へのプラズマ処理は大気圧下で施される。ここでの基材表面は微細セルロースからなる層(以下、微細セルロース層という)を形成する塗工面である。プラズマ処理を大気圧下で行うことで、大掛かりな真空系の装置が不要であり、設備コストを削減することが可能になる。さらに後の塗工工程やラミネート工程とインラインで連続的に処理することが可能になるため製造コストを削減することも可能になる。
処理ガスとしては、窒素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスの複合ガス、窒素ガスおよび水素ガスの複合ガスのいずれかが好ましい。これらのガス種や配合比は目的の基材や基材表面と放電部のギャップ等によって任意に選択することができる。大気圧下で処理を行うため、処理部周囲から空気が混入しやすい。そこで、表面に窒素化合物の官能基を多く導入したい場合は、窒素ガスおよび水素ガスの複合ガスが好ましい。配合比としては窒素ガスが、80%以上が好ましい。また、表面に酸素化合物の官能基を多く導入したい場合は、窒素ガスおよび酸素ガスの複合ガスが好ましい。配合比としては窒素ガスが、70%以上が好ましい。
基材と放電部のギャップとしては、ガスの種類や流量、出力によって決定する必要があるが、一般的に0.5mm以上50mm以下が好ましい。空気の混入等を考慮すると、0.5mm以上10mm以下がより好ましい。
処理出力としては、基材の構造や耐熱性等によって決定する必要があるが、0.01kW以上100kW以下が好ましい。基材へのダメージを考慮すると0.1kW以上10kW以下がより好ましい。
(積層体の微細セルロース層とその製造方法)
本発明の微細セルロースはカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下が好ましい。0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。カルボキシル基量が0.1mmol/g未満であると、静電的な反発が起こらずに微細セルロースを均一に分散させることは難しい。また、3.0mmol/gを超えると、微細セルロースの結晶性が低下してしまうおそれがある。また、本発明の微細セルロースは数平均繊維幅が1nm以上50nm以下であり、且つ数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍以上10000倍以下であることが好ましい。数平均繊維幅が1nm未満ではセルロースがナノファイバー状態にならず、50nmを超えると分散液の透明性が損なわれてしまう。また、数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍未満の場合、セルロース膜の強度が低下してしまうおそれがあり、10000倍を超えると分散液の粘度が非常高くなり、塗工性に問題が生じる可能性がある。
本発明のカルボキシル基を有する微細セルロース層を製造する方法について説明する。
本発明で用いられるカルボキシル基を有する微細セルロースは、セルロースを酸化する工程、微細化する工程、塗工する工程により得られる。
(セルロースを酸化する工程)
酸化されるセルロースの原料としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、コットン、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、微細セルロース、微結晶セルロース等を用いることができる。
セルロースを改質する方法としては、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、一級水酸基の酸化に対する選択性が高い、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法が望ましい。前記のN−オキシル化合物としては、N−オキシル化合物としては、TEMPOのほか、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンジルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アクリロイルオキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シンナモイルオキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセチルアミノピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アクリロイルアミノピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メタクリロイルアミノピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルアミノピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シンナモイルアミノピペリジン−1−オキシル、4−プロピオニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、ジtert−ブチルアミン−N−オキシル、ポリ[(6−[1,1,3,3−テトラメチルブチル]アミノ)−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ等が挙げられる。2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルなどが好ましく用いられる。
また、前記の共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
さらに、臭化物やヨウ化物の共存下で行うと、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を改善することができる。
N−オキシル化合物としてはTEMPOが好ましく、触媒として機能する量があれば十分である。また臭化物としては臭化ナトリウムまたは臭化リチウムを用いた系が好ましく、コストや安定性から臭化ナトリウムがより好ましい。共酸化剤、臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進することができる量があれば十分である。反応はpH9〜11がより望ましいが、酸化が進行するにつれて、カルボキシル基が生成されて系内のpHが低下してしまうため、系内をpH9〜11に保つ必要がある。
系内をアルカリ性に保つためにはpHを一定にスタットしながらアルカリ水溶液を添加していくことで調製することができる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが用いられるが、コストなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
酸化反応を終了させるためには系内のpHを保ちながら他のアルコールを添加し共酸化剤を完全に反応し終える必要がある。添加するアルコールとしては反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが望ましい。反応により生成される副産物の安全性などからエタノールがより好ましい。
酸化し終わった酸化パルプの洗浄方法としては、アルカリと塩を形成したまま洗浄する方法、酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法、有機溶剤を添加して不要化して洗浄する方法等がある。ハンドリング性や収率等から酸を添加してカルボン酸にして洗浄する方法が好ましい。なお洗浄溶媒としては水が好ましい。
(セルロースを微細化する工程)
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースを分散媒として水に浸漬してから分散液のpHを調整する。例えば、酸洗浄した酸化パルプを水に分散させたときは分散液のpHは4〜6程度であるため、アルカリを用いてpHを4〜12に調製する。pHを低くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は大きくなり、pHを高くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は小さくなる。用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが挙げられる。コストや入手のしやすさなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
続いて物理的に解繊する方法としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などを用いることで微細化することができる。これらのような微細化処理を任意の時間や回数行うことでC6位にカルボキシル基を有する改質微細セルロース分散水溶液を得ることができる。
微細セルロース分散液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、特に限定されず、当該微細セルロース層の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、レベリング剤、消泡剤、水溶性高分子、合成高分子、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。これらのうち、無機層状化合物は、膜の面配向を促進する上、耐水性、耐湿性、ガスバリア性等を向上させるため好ましい。
無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。無機層状化合物として具体的には、たとえば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物が挙げられる。これらのうち、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等が挙げられる。これらの中でも、組成物中での分散安定性、組成物の塗工性等の点から、モンモリロナイトが好ましい。
無機層状化合物は、水性分散液に直接配合してもよく、予め水等の水性媒体に分散させてから配合してもよい。
無機層状鉱物は、微細セルロースに対し、0.1〜50質量%の範囲で添加することが好ましい。
(微細セルロースを塗工する工程)
本発明のセルロース分散液の塗布方法としては、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、マイクログラビアコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、ブレードコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター等を用いた塗布方法を用いることができる。
微細セルロース層は、ドライ膜厚として、0.1μm〜30μmが好ましい。
(熱可塑性樹脂を積層する工程)
本発明のヒートシール可能な熱可塑性樹脂は、例えば未延伸ポリプロピレンフィルム等のポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖上低密度ポリエチレンフィルム等のポリエチレンフィルム等が挙げられる。熱可塑性樹脂は通常接着剤層を介して積層される。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<セルロースのTEMPO酸化>
針葉樹晒クラフトパルプ30gを蒸留水1800gに懸濁し、蒸留水200gにTEMPOを0.3g、臭化ナトリウムを3g溶解させた溶液を加え、15℃まで冷却した。ここに2mol/l、密度1.15g/mlの次亜塩素酸ナトリウム水溶液172gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが2.85mmol/gになったところで十分量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、pH3になるまで塩酸を添加した後、蒸留水で十分洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
・酸化パルプのカルボキシル基測定
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを3とした。その後0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
<酸化パルプの微細化>
(製造例1)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10に調製した。調製した分散液をジューサーミキサーで60分間微細化処理し、1%微細セルロース水分散液を得た。
(製造例2)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ0.7gと無機層状鉱物(モンモリロナイト)0.3gを99gの蒸留水に分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10に調製した。調製した分散液をジューサーミキサーで60分間微細化処理し、1%微細セルロース+無機層状鉱物水分散液を得た。
・形状観察
上記微細セルロースの形状観察は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。1000倍に希釈した1%微細セルロース水分散液をマイカへき開面上にキャストし乾燥させ、タッピングAFMで観察し、その繊維高さを10点計測し平均を数平均繊維幅とした。また、繊維長さについては同様にタッピングAFMで観察し、繊維の長方向の長さを10点計測し、平均を数平均繊維長さとした。数平均繊維幅は3.5nm、数平気繊維長さは1.3μmであった。
(実施例1〜9)
基材としてポリ乳酸二軸延伸フィルム(PLA)を用い、大気圧プラズマ処理装置((株)イー・スクエア製 ADMASTER−350d)を用いて表面処理を施した。次に表面処理を施した基材上に上記製造例1または2で作製した水分散液を、バーコーターでドライ膜厚1μmになるように塗工し、充分乾燥させた。その後、塗工面側にウレタンポリオール系接着剤を用いて、ドライラミネートにより膜厚70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合せ、積層体を作製した。各実施例の詳細な条件を表1に示す。また、実施例3、6、9に関しては3層積層をインラインで連続的な処理で行った。
(比較例1〜3)
基材としてPLAを用い、表面処理を施さないで、基材上に上記製造例1または2で作製した水分散液を、バーコーターでドライ膜厚1μmになるように塗工し、充分乾燥させた。その後、塗工面側にウレタンポリオール系接着剤を用いて、ドライラミネートにより膜厚70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合せ、積層体を作製した。各比較例の詳細な条件を表1に示す。また、比較例3に関しては3層積層をインラインで連続的な処理で行った。
(比較例4〜6)
基材としてPLAを用い、コロナ放電処理装置(春日電機(株)製 CG−102型)を用いて表1に記載の処理条件で表面処理を施した。次に表面処理を施した基材上に上記製造例1または2で作製した水分散液を、バーコーターでドライ膜厚1μmになるように塗工し、充分乾燥させた。その後、塗工面側にウレタンポリオール系接着剤を用いて、ドライラミネートにより膜厚70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を貼り合せ、積層体を作製した。各比較例の詳細な条件を表1に示す。また、比較例6に関しては3層積層をインラインで連続的な処理で行った。
Figure 2012116043
・基材処理面の接触角測定
自動接触角計(協和界面科学(株) CA−V)を用いて蒸留水で各基材における表面処理前後の接触角を測定した。なお、接触角の値は蒸留水滴下後20秒後の値とした。結果を表2に示す。
・塗工性の評価
各基材表面において、微細セルロース水分散液の塗布性について微細セルロース塗布後のはじきの穴の数で評価を行った。結果を表2に示す。
・酸素透過度の測定
上記実施例1〜9および比較例1〜6で作製した各積層体について酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN 2/21)を用いて、酸素透過度(cm/m・day)を30℃−70%RH雰囲気下で測定した。結果を表2に示す。
Figure 2012116043
表2の結果から、大気圧窒素プラズマ処理を基材上に施すことで、微細セルロース水分散液の塗工性を向上させることが可能になった。また、ガスの種類を窒素+酸素、窒素+水素に変えることでより塗工性を向上させることが可能になり、さらに連続的に層構成を作製することで、微細セルロース層の吸湿を抑制することができ、ガスバリア性を向上させることが可能になった。

Claims (8)

  1. 少なくとも大気圧下で表面をプラズマ処理した基材と、その処理表面にカルボキシル基を有する微細セルロースからなる層を接触させた層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層の3層を積層してなることを特徴とする積層体。
  2. 前記プラズマ処理のガス種が窒素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスの複合ガス、窒素ガスおよび水素ガスの複合ガスのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材がポリエステル系、ポリオレフィン系、セルロース系、ポリアミド系、アクリル系、ポリスチレン系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、紙系のいずれかもしくはそれらの誘導体や複合材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記微細セルロースはN−オキシル化合物を用いた酸化反応により結晶表面にカルボキシル基が導入されており、該微細セルロースのカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記微細セルロースは数平均繊維幅が1nm以上50nm以下であり、且つ数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍以上10000倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記微細セルロース層が無機層状鉱物を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層上に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を製造する方法。
  8. 前記基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備する積層体の製造方法であって、すべての工程をインラインで行うことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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