JP2012116043A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも大気圧下で表面をプラズマ処理した基材と、その処理表面にカルボキシル基を有する微細セルロースからなる層を接触させた層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層の3層を積層してなることを特徴とする積層体。基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層上に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備する積層体の製造方法。
【選択図】なし
Description
さらに特許文献1に記載の発明では、微細セルロース水分散液の基材への塗工性に今だ改善する余地があり、はじき等の問題が解決されていない。
具体的には本発明は、基材に対する微細セルロース水分散液の塗工性が良好であり、微細セルロースからなる層の経時的な劣化を抑制し、ガスバリア性を高めた積層体およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、基材に対する微細セルロース水分散液の塗工性が良好であり、微細セルロースからなる層の経時的な劣化を抑制し、ガスバリア性を高めた積層体が提供される。
また本発明によれば、基材のプラズマ処理、微細セルロースの塗工、熱可塑性樹脂の積層を連続処理することができるため、上記の種々の劣化を抑制することが可能になる。
本発明の積層体における基材はポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等)、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セルロース系(セルロース、トリアセチルセルロース等)、ポリアミド系(ナイロン等)、アクリル系(ポリアクリルニトリル等)、ポリスチレン系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、紙系のいずれかもしくはそれらの誘導体や複合材料等が挙げられる。
本発明の基材表面へのプラズマ処理は大気圧下で施される。ここでの基材表面は微細セルロースからなる層(以下、微細セルロース層という)を形成する塗工面である。プラズマ処理を大気圧下で行うことで、大掛かりな真空系の装置が不要であり、設備コストを削減することが可能になる。さらに後の塗工工程やラミネート工程とインラインで連続的に処理することが可能になるため製造コストを削減することも可能になる。
本発明の微細セルロースはカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下が好ましい。0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。カルボキシル基量が0.1mmol/g未満であると、静電的な反発が起こらずに微細セルロースを均一に分散させることは難しい。また、3.0mmol/gを超えると、微細セルロースの結晶性が低下してしまうおそれがある。また、本発明の微細セルロースは数平均繊維幅が1nm以上50nm以下であり、且つ数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍以上10000倍以下であることが好ましい。数平均繊維幅が1nm未満ではセルロースがナノファイバー状態にならず、50nmを超えると分散液の透明性が損なわれてしまう。また、数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍未満の場合、セルロース膜の強度が低下してしまうおそれがあり、10000倍を超えると分散液の粘度が非常高くなり、塗工性に問題が生じる可能性がある。
酸化されるセルロースの原料としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、コットン、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、微細セルロース、微結晶セルロース等を用いることができる。
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースを分散媒として水に浸漬してから分散液のpHを調整する。例えば、酸洗浄した酸化パルプを水に分散させたときは分散液のpHは4〜6程度であるため、アルカリを用いてpHを4〜12に調製する。pHを低くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は大きくなり、pHを高くした際には得られるセルロースナノファイバーの分子量は小さくなる。用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、さらには水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アルカリなどが挙げられる。コストや入手のしやすさなどから水酸化ナトリウムが好ましい。
無機層状化合物は、水性分散液に直接配合してもよく、予め水等の水性媒体に分散させてから配合してもよい。
無機層状鉱物は、微細セルロースに対し、0.1〜50質量%の範囲で添加することが好ましい。
本発明のセルロース分散液の塗布方法としては、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、マイクログラビアコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、ブレードコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター等を用いた塗布方法を用いることができる。
微細セルロース層は、ドライ膜厚として、0.1μm〜30μmが好ましい。
本発明のヒートシール可能な熱可塑性樹脂は、例えば未延伸ポリプロピレンフィルム等のポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖上低密度ポリエチレンフィルム等のポリエチレンフィルム等が挙げられる。熱可塑性樹脂は通常接着剤層を介して積層される。
<セルロースのTEMPO酸化>
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを3とした。その後0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
<酸化パルプの微細化>
(製造例1)
(製造例2)
上記微細セルロースの形状観察は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。1000倍に希釈した1%微細セルロース水分散液をマイカへき開面上にキャストし乾燥させ、タッピングAFMで観察し、その繊維高さを10点計測し平均を数平均繊維幅とした。また、繊維長さについては同様にタッピングAFMで観察し、繊維の長方向の長さを10点計測し、平均を数平均繊維長さとした。数平均繊維幅は3.5nm、数平気繊維長さは1.3μmであった。
(実施例1〜9)
(比較例1〜3)
(比較例4〜6)
自動接触角計(協和界面科学(株) CA−V)を用いて蒸留水で各基材における表面処理前後の接触角を測定した。なお、接触角の値は蒸留水滴下後20秒後の値とした。結果を表2に示す。
各基材表面において、微細セルロース水分散液の塗布性について微細セルロース塗布後のはじきの穴の数で評価を行った。結果を表2に示す。
上記実施例1〜9および比較例1〜6で作製した各積層体について酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN 2/21)を用いて、酸素透過度(cm3/m2・day)を30℃−70%RH雰囲気下で測定した。結果を表2に示す。
Claims (8)
- 少なくとも大気圧下で表面をプラズマ処理した基材と、その処理表面にカルボキシル基を有する微細セルロースからなる層を接触させた層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層の3層を積層してなることを特徴とする積層体。
- 前記プラズマ処理のガス種が窒素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスの複合ガス、窒素ガスおよび水素ガスの複合ガスのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記基材がポリエステル系、ポリオレフィン系、セルロース系、ポリアミド系、アクリル系、ポリスチレン系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、紙系のいずれかもしくはそれらの誘導体や複合材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- 前記微細セルロースはN−オキシル化合物を用いた酸化反応により結晶表面にカルボキシル基が導入されており、該微細セルロースのカルボキシル基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記微細セルロースは数平均繊維幅が1nm以上50nm以下であり、且つ数平均繊維長が数平均繊維幅の100倍以上10000倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記微細セルロース層が無機層状鉱物を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層上に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を製造する方法。
- 前記基材を大気圧下でプラズマ処理する工程と、その処理面にカルボキシル基を有する微細セルロース層をコーティングする工程と、その微細セルロース層に熱可塑性樹脂層を積層する工程とを具備する積層体の製造方法であって、すべての工程をインラインで行うことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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