JP2012114047A - 多孔層付セパレータシートの巻き取り方法及び巻き取り装置 - Google Patents

多孔層付セパレータシートの巻き取り方法及び巻き取り装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耳立ちが生じることなくセパレータシートにシワや波打ちが発生しにくい多孔層付セパレータシートの巻き取り方法を提供する。
【解決手段】本発明によって提供される巻き取り方法は、セパレータシート30の表面に多孔層32が形成された多孔層付セパレータシート30を巻芯42の軸周りに巻き取るための巻き取り方法である。この巻き取り方法は、多孔層付セパレータシート30を巻芯42の軸周りに巻き取る途中において、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向Aにおける巻き取り位置を変更する。
【選択図】図5

Description

本発明は、セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取るための巻き取り方法及び該巻き取り方法に用いられる装置に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。この種のリチウム二次電池の一つの典型的な構成では、正極シートと負極シートの間にセパレータシートが介在しており、正負極間の短絡を防止している。かかるセパレータシートとしては、正負極間のイオン透過性を確保するため、多数の細孔が形成されたポリオレフィン系多孔質フィルムが使用されている。
しかし、ポリオレフィン系の多孔質フィルムは、電池内が高温になると熱収縮したり破断したりしやすく、それにより内部短絡(ショート)が発生することが想定される。そのような短絡発生を防止するため、セパレータシートの表面に耐熱性多孔層を形成することが検討されている。例えば特許文献1には、基材層(セパレータシート)の少なくとも一主面上に無機物が担持された多孔性に富む樹脂層(多孔層)が形成された非水電解質二次電池が開示されている。この種の多孔層付セパレータシートに関する他の従来技術としては特許文献2が挙げられる。
特開2007−188777号公報 特開2008−123988号公報
ところで、この種の多孔層付セパレータシートは、通常、溶媒および無機物からなるスラリー(多孔層形成用組成物)をセパレータシートの表面に塗布し乾燥させた後で、ロール状に巻き取られることにより製造されている。しかしながら、セパレータシートの表面にスラリー(多孔層形成用組成物)を塗布し乾燥させると、図10に示すように、表面張力により塗布層端部が厚くなってしまい、多孔層3の両端部に中央よりも膜厚が大きい盛り上がり部分4が形成される。
このように多孔層3の両端部に盛り上がり部分4が形成されていると、図11に示すように、多孔層付セパレータシートをロール状に巻き取った場合に、盛り上がり部分4の累積によって巻回体6の両端部が径方向に突出し、耳立ち7が発生する。かかる耳立ち7は、後工程においてセパレータシートを使用する際に、セパレータシートの幅方向の両端部にシワや弛み(典型的には波打ち)を生じさせ、生産不良の要因になるため好ましくない。また、このような盛り上がり部分の累積による耳立ちは、多孔層付セパレータシートの巻き径を大きくすればするほど増大する。そのため、多孔層付セパレータシートを大きな巻き径に巻き取ることができず、その後の製造工程において捲回電極体の捲回工程の生産稼働率を上げることができないという問題があった。本発明者は、800m以上の多孔層付セパレータシートを巻回して大径化することで、捲回電極体の捲回工程を連続して効率よく行いたいと考えている。しかし、現状では、耳立ちを考慮せずに巻回できる多孔層付セパレータシートの長さは50m程度であり、本発明者が求めるような大径化は達成できない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、多孔層付セパレータシートの巻き径が大きくなっても耳立ちが生じることなく、セパレータシートにシワや波打ちが発生しにくい多孔層付セパレータシートの巻き取り方法を提供することである。また、他の目的は、そのような多孔層付セパレータシートの巻き取り方法に好適に用いられる巻き取り装置を提供することである。
本発明により提供される巻き取り方法は、セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取るための巻き取り方法である。この巻き取り方法は、前記多孔層付セパレータシートを前記巻芯に巻き取る途中において、前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置を変更することを特徴とする。
本発明の巻き取り方法によれば、多孔層付セパレータシートを巻芯に巻き取る途中において、巻芯に対する多孔層付セパレータシートの巻き取り位置を変更するので、巻き取り開始から終了まで同じ巻き取り位置で巻き取る場合に比べて、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちが解消または緩和される。そのため、該耳立ちに起因するセパレータシート両端部のシワや波打ちが適切に抑制され、その後の製造工程において品質の良い電池を安定して製造することができる。また、多孔層付セパレータシートの巻き径が大きくなっても耳立ちが生じないことから、巻回体を大径化でき、その後の製造工程において電池(特に捲回電極体)を連続して効率よく形成することができる。
ここに開示される巻き取り方法の好ましい一態様では、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの総巻き数をNとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き数がN/12〜N/2に達した時点で、前記巻き取り位置を変更する。これにより、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちをより確実に抑制できる。この場合、多孔層付セパレータシートの総巻き数Nは600ターン以上にすることが好ましい。これにより、多孔層付セパレータシートの巻回体を大径化でき、その後の製造工程において電池(特に捲回電極体)を連続して効率よく形成できる。
ここに開示される巻き取り方法の好ましい一態様では、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの全長をLとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き取り長さがL/20〜L/2に達した時点で、前記巻き取り位置を変更する。これにより、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちをより確実に抑制できる。この場合、多孔層付セパレータシートの全長Lは200m以上にすることが好ましい。これにより、多孔層付セパレータシートの巻回体を大径化でき、その後の製造工程において捲回電極体を連続して効率よく形成できる。
ここに開示される巻き取り方法の好ましい一態様では、前記巻き取り位置を1mm〜4mmの範囲内で変更する。この範囲よりも小さすぎる場合は、巻き取り位置を変更したことによる耳立ち防止効果が十分に得られないことがあり、この範囲よりも大きすぎる場合は、その後の製造工程において巻回体から多孔層付セパレータシートを繰り出すときに位置ずれが発生し易くなり、電池(特に捲回電極体)の製造に支障をきたすことがある。
また、本発明によると、ここに開示される巻き取り方法を好適に実施し得る巻き取り装置が提供される。この巻き取り装置は、セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取るための巻き取り装置である。この巻き取り装置は、多孔層付セパレータシートを巻き取るための巻芯と、前記巻芯をその軸周りに回転させる回転手段と、前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置を変更する位置変更手段とを備える。前記位置変更手段は、前記多孔層付セパレータシートを前記巻芯に巻き取る途中において、前記巻き取り位置を変更し得るように構成されている。
本発明の巻き取り装置によれば、多孔層付セパレータシートを巻芯に巻き取るときの耳立ちが解消または緩和され、該耳立ちに起因してセパレータシートの両端部にシワや弛み(波打ち)が生じるのを防止することができる。そのため、その後の製造工程において品質の良い電池(特に電極体)を安定して製造し得る最適な多孔層付セパレータシートの巻回体を得ることができる。
ここに開示される巻き取り装置の好ましい一態様では、前記位置変更手段は、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの総巻き数をNとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き数がN/12〜N/2に達した時点で、前記巻き取り位置を変更するように構成されている。好ましくは、前記位置変更手段は、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの全長をLとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き取り長さがL/20〜L/2に達した時点で、前記巻き取り位置を変更するように構成されている。また好ましくは、前記位置変更手段は、前記巻き取り位置を1mm〜4mmの範囲内で変更し得るように構成されている。
また、本発明によると、ここに開示される巻き取り方法もしくは巻き取り装置を用いて形成された多孔層付セパレータシートの巻回体を提供する。この巻回体は、セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートが巻芯の軸周りに巻き取られてなる多孔層付セパレータシートの巻回体であって、前記巻回体の巻回方向において、前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置が、巻回中心部と巻回外周部とで異なることを特徴とする。
かかる多孔層付セパレータシートの巻回体は、巻芯に対する多孔層付セパレータシートの巻き取り位置が巻回中心部と巻回外側部とで異なるので、巻き取り開始から終了まで同じ巻き取り位置で巻き取られる場合に比べて、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちが解消または緩和されたものとなる。そのため、該耳立ちに起因してセパレータシートの両端部にシワや弛み(波打ち)が生じるのが防止され、その後の製造工程において品質の良い電池(特に捲回電極体)を安定して製造し得る最適な多孔層付セパレータシートの巻回体となり得る。
本発明の巻き取り方法及び巻き取り装置は、電池の製造を行うために好ましく用いることができる。即ち、本発明は、ここに開示される巻き取り方法もしくは巻き取り装置を使用することを特徴とする電池の製造方法を提供する。この電池製造方法は、セパレータシートの表面に、スラリー状に調製された多孔層形成用組成物を塗布し乾燥させることにより多孔層を形成することを包含する。また、前記多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取ることにより、多孔層付セパレータシートの巻回体を得ることを包含する。さらに、前記多孔層付セパレータシートの巻回体を用いて電池を構築することを包含する。そして、前記多孔層付セパレータシートの巻芯への巻き取りを、ここに開示される巻き取り方法もしくは巻き取り装置を使用して行う。
この電池製造方法によれば、多孔層付セパレータシートの巻回体の両端部に耳立ちが生じるのが抑制され、該耳立ちに起因してセパレータシートの両端部にシワや弛み(波打ち)が生じるのが防止される。そのため、該巻回体を用いて品質の良い電池を安定して製造することができる。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る多孔層付セパレータシートの要部を模式的に示す断面図である。 従来の巻き取り装置により巻き取られた多孔層付セパレータシートを模式的に説明するための図であり、(a)側面図、(b)正面図である。 本発明の一実施形態に係る巻き取り装置を模式的に説明するための図であり、(a)側面図、(b)正面図である。 本発明の一実施形態に係る巻き取り装置を模式的に説明するための図であり、(a)側面図、(b)正面図である。 本発明の一実施形態に係る巻き取り装置の制御フローを示す図である。 本発明の一実施形態に係る捲回電極体を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を搭載した車両を模式的に示す側面図である。 多孔層付セパレータシートの要部を模式的に示す断面図である。 従来の巻き取り装置により巻き取られた多孔層付セパレータシートを模式的に説明するための図であり、(a)側面図、(b)正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記の実施形態は本発明の実施の一形態を例示するに過ぎず、本発明は下記の実施形態には限定されない。
本実施形態に係る巻き取り方法を用いた巻き取り工程を含む電池の製造方法により得られたリチウム二次電池の一例を示す。以下、リチウム二次電池(より具体的には該電池に備えられる多孔層付セパレータシート)の製造方法に用いられる巻き取り工程に本発明を適用する場合を例として説明するが、本発明の適用対象をリチウム二次電池に限定する意図ではない。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池は、図1に示すように、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20が長尺状のセパレータシート30を介して積層した構造を有する電極体80を備えている。電極体80は、典型的なリチウム二次電池と同様、所定の電池構成材料(正負極それぞれの活物質、正負極それぞれの集電体、セパレータシート等)から構成されている。この実施形態では、正極シート10には、正極集電体(ここでは箔状のアルミニウム)12の上に、正極活物質を含む正極活物質層14が形成されている。また、負極20には、負極集電体22(ここでは箔状の銅)の上に、負極活物質を含む負極活物質層24が形成されている。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池に用いられるセパレータシート30としては、従来のリチウム二次電池のセパレータシートと同様でよく特に制限はない。例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。多孔質ポリオレフィン系樹脂の好適例として、多孔質ポリエチレン(PE)の単層構造のものや、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の3層構造のものが例示される。セパレータシート30は、多数の細孔が形成されており、その細孔の繋がりによって電解液及びイオンが通過し得るようになっている。また、セパレータシートは、過充電等により電池が発熱した場合に細孔が塞がって無孔質化(シャットダウン)し、正負極間の電気的接触を防止し得るようになっている。セパレータシートの厚みとしては特に制限されないが、概ね10μm〜40μm程度が適当であり、好ましくは12μm〜25μm程度であり、特に好ましくは15μm〜25μm程度である。また、セパレータシートの多孔度としては、概ね30%〜70%程度が適当であり、好ましくは40%〜68%程度であり、特に好ましくは40%〜60%程度である。
また、セパレータシート30の少なくとも一方の表面には多孔層32が形成されている。この実施形態では、多孔層32は、セパレータシート30の負極シート20に対向する面に形成されている。多孔層32は、無機フィラーとバインダとを含有し、バインダにより無機フィラー間や無機フィラーとセパレータシート30との間が結合されている。多孔層32は、バインダで結合されていない部位に多数の細孔を有しており、その細孔の繋がりによって多孔層32内を電解液及びイオンが通過し得るようになっている。また、多孔層32は、セパレータシート30の融点よりも高い温度域(例えば150℃以上)において融解しない程度の耐熱性を有しており、電池発熱時にセパレータシート30が変形(熱収縮や溶融)した場合でも、多孔層32の存在によって正負極間の電気的接触を回避し得るようになっている。上記多孔層32の厚みとしては特に制限されないが、概ね0.5μm〜20μm程度が適当であり、好ましくは1μm〜15μm程度であり、特に好ましくは3μm〜10μm程度である。
次に、本実施形態に係る多孔層32の形成方法について説明する。多孔層32を形成するための多孔層形成用組成物は、無機フィラー、バインダおよび溶媒を混合分散したスラリー状(ペースト状またはインク状を含む。以下同じ。)のものが用いられる。このスラリー状多孔層形成用組成物を、セパレータシートの少なくとも一方の表面に適当量塗布しさらに乾燥することによって、多孔層を形成することができる。
多孔層形成用組成物に用いられる溶媒としては、N‐メチルピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクサヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等の有機系溶媒またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、水または水を主体とする混合溶媒であってもよい。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。多孔層形成用組成物における溶媒の含有率は特に限定されないが、スラリー全体の30質量%〜60質量%程度が好ましい。
上記多孔層形成用組成物に含まれる無機フィラー(典型的には粉末状)としては、耐熱性があり、かつ電池の使用範囲内で電気化学的に安定であるものが好ましい。そのような無機フィラーとしては、アルミナ(Al)、アルミナ水和物(例えばベーマイト(Al・HO))、マグネシア(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)、等の金属化合物が例示される。これらの金属化合物の一種又は二種以上を用いることができる。中でもアルミナ(Al)、マグネシア(MgO)等のセラミック材料を用いることが好ましい。かかる無機フィラー粒子の平均粒径は特に制限されないが、例えば一般的な市販の粒度計(レーザ回折式粒度分布測定装置等)を用いて測定される体積基準の平均粒径(D50)は、アルミナの場合、概ね0.1μm〜2μmが適当であり、好ましくは0.2μm〜1.5μmである。また、マグネシアの場合、概ね0.05μm〜1.5μmが適当であり、好ましくは0.1μm〜0.8μmである。
上記多孔層形成用組成物に含まれるバインダを構成する材料自体は特に限定されず種々のものを幅広く使用することができる。
例えば、多孔層形成用塗料の溶媒が有機系溶媒の場合には、有機系溶媒に分散または溶解するポリマーを用いることができる。有機系溶媒に分散または溶解するポリマーとしては、例えばアクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、メタアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーを1種類で重合した単独重合体が好ましく用いられる。また、アクリル系樹脂は、2種以上の上記モノマーを重合した共重合体であってもよい。さらに、上記単独重合体及び共重合体の2種類以上を混合したものであってもよい。上述したアクリル系樹脂のほかに、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、等を用いることもできる。
また、多孔層形成用塗料の溶媒が水系溶媒の場合には、上記バインダとして、水に分散または溶解するポリマーを好ましく採用し得る。水に分散または溶解するポリマーとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリアクリル酸(PAA)、等が例示される。
上記多孔層形成用組成物は、無機フィラー及びバインダのほかに、必要に応じて使用され得る一種または二種以上の材料を含有することができる。そのような材料の例として、多孔層形成用組成物の増粘剤として機能するポリマーが挙げられる。特に水系溶媒を使用する場合、上記増粘剤として機能するポリマーを含有することが好ましい。該増粘剤として機能するポリマーとしてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やポリエチレンオキサイド(PEO)が好ましく用いられる。
上記のような多孔層形成用組成物をセパレータシート30に塗布する操作は、従来公知のいずれの塗布プロセスにおいて用いられる各種の方法を採用することができる。例えば、適当な塗布装置(グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、ディップコート等)を使用して、上記セパレータシート30の長手方向に所定量の上記多孔層形成用組成物を層状にコーティングすることにより塗布され得る。上記多孔層形成用組成物をセパレータシートの長手方向に層状に塗布した後、適当な乾燥装置を用いて、上記多孔層形成用組成物が塗布されたセパレータシートを乾燥することにより、セパレータシート30の表面に多孔層32が形成された多孔層付セパレータシートが得られる。
このようにして多孔層をセパレータシートの表面に形成した後、本実施形態に係る巻き取り方法を用いて、上記多孔層32が形成された多孔層付セパレータシート30を巻芯の軸周りにロール状に巻き取る。この実施形態では、セパレータシート30の表面に多孔層32を連続的に形成した後、連続して同じ製造ラインで巻芯に巻き取る。
ここで、図2は、上述した製造方法により得られた多孔層付セパレータシート30の幅方向に沿った断面構成の一部を模式的に示すものである。また、図3(a)及び(b)は、上記多孔層付セパレータシート30を、一般的な巻き取り装置を用いてロール状に巻き取った状態を示すものである。
図2に示すように、セパレータシート30の表面に多孔層形成用組成物を塗付し乾燥させると、表面張力により塗布層端部が厚くなってしまい、多孔層32の両端部に中央よりも膜厚が大きい盛り上がり部分34が形成される。かかる盛り上がり部分34の厚みは、多孔層の形成条件によっても異なり得るが、通常は0.1μm〜2μm程度であり、例えば0.8μm〜1.2μm程度(典型的には1μm程度)である。このように多孔層32の両端部に盛り上がり部分34が形成されていると、図3に示すように、多孔層付セパレータシート30を巻芯42に巻き取った場合に、盛り上がり部分34の累積によって巻回体36の両端部が径方向に突出し、耳立ち37が発生する。かかる耳立ち37は、後工程においてセパレータシート30を使用する際に、セパレータシート30の幅方向の両端部にシワや弛み(典型的には波打ち)を生じさせ、生産不良の要因になるため好ましくない。また、このような盛り上がり部分34の累積による耳立ち37は、多孔層付セパレータシート30の巻き径を大きくすればするほど増大する。そのため、多孔層付セパレータシート30を大きな巻き径に巻き取ることができず、生産稼働率を上げることが困難になる。
これに対し、本実施形態の巻き取り方法では、多孔層付セパレータシート30を巻芯42の軸周りに巻き取る途中において、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向における巻き取り位置を変更する。すなわち、図4(a)及び(b)に示すように、先ず、多孔層付セパレータシート30を巻き取り位置Pにて所定の巻き取り量となるまで巻芯42の軸周りに巻き取る。その後、図5(a)及び(b)に示すように、多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向Aにおける巻き取り位置をP→Pにずらし、変更後の巻き取り位置Pにて多孔層付セパレータシート30の残り部分を巻芯42の軸周りに巻き取る。
このように多孔層付セパレータシート30を巻芯42に巻き取る途中において、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置を変更(P→P)することによって、巻き取り開始から終了まで同じ巻き取り位置Pで巻き取る場合に比べて、多孔層32の盛り上がり部分34の累積による耳立ちが解消または緩和され、該耳立ちに起因するセパレータシート30の両端部のシワや波打ちが防止される。そのため、その後の製造工程において品質の良い電池(特に捲回電極体)を安定して製造することができる。また、多孔層付セパレータシート30の巻き径が大きくなっても耳立ちが生じないことから、多孔層付セパレータシート30の巻回体36を大径化でき、その後の製造工程において電池(特に捲回電極体)を連続して効率よく製造することができる。
上記巻き取り位置を変更する量(ずらし量Y)は、概ね0.5mm〜10mmの範囲が適当であり、好ましくは1mm〜8mmの範囲であり、特に好ましくは1mm〜4mmの範囲である。この範囲よりも小さすぎる場合は、巻き取り位置を変更したことによる耳立ち防止効果が十分に得られないことがあり、この範囲よりも大きすぎる場合は、その後の製造工程において巻回体から多孔層付セパレータシートを繰り出すときに位置ずれが発生し易くなり、電池(特に捲回電極体)の製造に支障をきたすことがある。
上記巻き取り位置を変更するタイミングとしては特に限定されないが、例えば巻き数でカウントする場合、巻芯42に巻き取られる多孔層付セパレータシート30の総巻き数をNとして、多孔層付セパレータシート30の巻き数がN/12〜N/2に達した時点で、巻き取り位置を変更することが好ましい。例えば、多孔層付セパレータシートの総巻き数Nが600ターンの場合、多孔層付セパレータシート30を巻芯42に50ターン〜300ターン巻き取った時点で、巻き取り位置を変更するとよい。この範囲よりも上記巻き数が多すぎると、巻き取り位置を変更したことによる耳立ち防止効果が十分に得られないことがあり、この範囲よりも上記巻き数が少なすぎると、変更後の巻き取り位置Pにおいて耳立ちが生じる場合があり得る。したがって、巻き取り位置を変更するときの巻き数としては、概ねN/12〜N/2の範囲内が適当であり、好ましくはN/10〜N/3であり、特に好ましくはN/5〜N/3である。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、巻芯42に巻き取られる多孔層付セパレータシート30の総巻き数Nが、600ターン以上(例えば600ターン〜6000ターン)であり、好ましくは1500ターン以上(例えば1500ターン〜4500ターン)である。本構成によれば、多孔層付セパレータシートの巻き径が大きくなっても耳立ちが生じないことから、上記のように多孔層付セパレータシート30の総巻き数Nを600ターン以上と大きくしても耳立ちが生じない。そのため、多孔層付セパレータシートの巻回体を大径化でき、その後の製造工程において電池(特に捲回電極体)を連続して効率よく製造することが可能になる。
なお、上記耳立ちをより確実に抑制するために、上記巻き取り位置の変更を複数回繰り返してもよい。すなわち、巻き取り開始から終了までに巻き取り位置を変更する回数は上述した1回に限らず、複数回(2回またはそれ以上)であってもよい。例えば、多孔層付セパレータシートを所定の巻き数で巻き取るごとに、巻き取り位置をP→P→P→・・・と巻芯軸方向Aに一定量Yでずらしながら、多孔層付セパレータシート30を巻芯42の軸周りに巻き取ることもできる。このように巻き取り位置の変更を複数回(2回またはそれ以上)繰り返すことにより、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちをより効果的に抑制することができる。
次に、図4(a)及び(b)を参照しながら、本実施形態に係る多孔層付セパレータシートを巻芯に巻き取る巻き取り装置40について説明する。
本実施形態に係る巻き取り装置40は、図4(a)及び(b)に模式的に示すように、多孔層付セパレータシート30を巻き取るための巻芯42と、該巻芯42をその軸方向に回転させる回転手段44と、該巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向における巻き取り位置Pを変更する位置変更手段46とを備える。
巻芯42は、多孔層付セパレータシート30を巻き取るためのものであり、この実施形態では、回転軸44aに装着されている。回転手段44は、巻芯42をその軸周りに回転させるためのものであり、この実施形態では、回転軸44aと、該回転軸44aを回転駆動する回転用モータ44bとから構成されている。回転手段44は、回転用モータ44bにより回転軸44aを回転駆動し、それにより回転軸44aに装着された巻芯42をその軸周りに回転させるようになっている。
位置変更手段46は、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置Pを変更するためのものであり、この実施形態では、巻芯42をその軸方向に移動させるようになっている。この実施形態では、位置変更手段46は、駆動用モータ46aと、センサ46bと、中央処理演算装置(CPU)46cとから構成されている。駆動用モータ46aは、回転軸44aに連結され、回転軸44a及び回転軸44aに装着された巻芯42をその軸方向Aに移動駆動する。
また、巻芯42の近傍には、巻芯42に巻き取られた多孔層付セパレータシート30の巻き数をカウントするためのセンサ(例えば、電子カウンタLC4H−W(パナソニック電工株式会社))46bが設けられている。このセンサ46bは、中央処理演算装置(CPU)46cに電気的に接続されており、このセンサ46cによりカウントされる巻き数のデータがCPU46cに送信されるようになっている。また、駆動用モータ46aもCPU46cに電気的に接続されており、CPU46cからの指令により回転軸44a及び回転軸44aに装着された巻芯42をその軸方向に移動制御し、それにより巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向における巻き取り位置を任意の位置に変更可能になっている。
また、CPU46cには、巻き取り条件が設定される条件設定部48が電気的に接続されている。条件設定部48には、多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置の変更を開始するための「設定巻き数n」が設定されている。また、条件設定部48には、巻き取り位置を巻芯軸方向にどの程度移動させるかを決定する「ずらし量Ymm」が設定されている。これらのデータは、例えばコンピュータで読み出し可能な記録媒体(例えば、HDD、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、フラッシュメモリなど)に記録することができる。CPU46cは、センサ46bにより検知した巻き数が設定巻き数nに到達したら、所定のずらし量Ymmとなるように駆動用モータ46aに指令信号を発し、回転軸44a及び回転軸44aに装着された巻芯42をその軸方向に移動させることにより、多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置をYmmずらすようになっている。
次に、図6を加えて、この巻き取り装置40の作動につき説明する。図6は、巻き取り装置40の制御フローを示す図である。
巻き取り装置40を作動する際には、まず多孔層付セパレータシート30に図示しないテンションローラでテンションを加えながら巻芯42を回転(例えば1回転)させて巻き付けて固定する。そして、回転用モータ44bにより回転軸44a及び回転軸44aに装着された巻芯42を回転させることにより、多孔層付セパレータシート30の巻き取りを開始する(ステップS10)。
巻き取り装置40は、は、多孔層付セパレータシート30の巻き取りが開始されると、ステップS20において、巻き取り開始時から巻芯42に巻き取られた多孔層付セパレータシート30の巻き数をセンサ46bにより検知する。そして、センサ46bにより検知した巻き数が設定巻き数nに達したか否かを判断する。センサ46bにより検知した巻き数が設定巻き数nに達しない場合(「No」の場合)は、そのまま巻き取り操作を続行する。そして、センサ46bにより検知した巻き数が設定巻き数nに到達したら(「Yes」の場合)、ステップS30において、所定のずらし量Ymmとなるように駆動用モータ46aに指令信号を発し、回転軸44a及び回転軸44aに装着された巻芯42をその軸方向Aに移動制御することにより、巻き取り位置をYmmだけ移動させる。このことによって、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置を変更することができる。
その後、巻き取り装置40は、ステップS40において、変更後の巻き取り位置において巻き取り操作を続行し、残りの部分の巻き取りを行う。そして、センサ46bにより検知した巻き数が目標とする総巻き数Nに達したら、巻き取り操作を完了する。
このようにして捲き取られた多孔層付セパレータシート30の巻回体36は、図5(a)及び(b)に示すように、巻回体36の巻回方向Rにおいて、多孔層付セパレータシート30の巻芯軸方向における巻き取り位置が、巻回中心部36aと巻回外側部36bとで異なる。そのため、巻き取り開始から終了まで同じ巻き取り位置で巻き取られる場合に比べて、多孔層の盛り上がり部分の累積による耳立ちが適切に解消または緩和されたものとなる。これにより、該耳立ちに起因してセパレータシートの両端部にシワや弛み(波打ち)が生じるのが防止され、その後の製造工程において品質の良い電池(特に電極体)を安定して製造し得る最適な多孔層付セパレータシートの巻回体となり得る。
なお、上述した例では、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置を変更する場合に、巻芯42をその軸方向に移動させる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、多孔層付セパレータシート30側を巻芯軸方向Aに移動させることによって、巻芯42に対する多孔層付セパレータシート30の巻き取り位置を変更してもよい。
このようにして得られた多孔層付セパレータシート30の巻回体36は、次の捲回電極体形成工程に供される。捲回電極体形成工程では、巻回体36から連続的に繰り出された2枚の多孔層付セパレータシート30と、別途用意した正極用のシート状電極と負極用のシート状電極とを、図7に示すように重ね合わせて捲回型のリチウム二次電池用電極体を作製する。而して、図8に示すように、当該作製した電極体を容器に収容し、所定の電解液を充填することにより、目的とする二次電池(ここではリチウム二次電池)を製造することができる。
以下、前述した巻き取り装置を使用して巻き取られた多孔層付セパレータシートを用いて構築されるリチウム二次電池の一実施形態につき、図7及び図8に示す模式図を参照しつつ説明する。
図8に示すように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース50を備える。このケース(外容器)50は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極10と電気的に接続する正極端子72および該電極体の負極20と電気的に接続する負極端子74が設けられている。ケース50の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)10および長尺シート状の負極(負極シート)20を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)30とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体80が収容される。
上記構成の捲回電極体80を構成する材料および部材自体は、従来のリチウム二次電池の電極体と同様でよく、特に制限はない。本実施形態に係る捲回電極体80は、図7に示すように、捲回電極体80を組み立てる前段階において長尺状(帯状)のシート構造を有している。
正極シート10は、長尺シート状の箔状の正極集電体12の両面に正極活物質層14が付着されて形成されている。ただし、正極活物質層14はシート状電極体の幅方向の端辺に沿う一方の側縁には付着されず、正極集電体12を一定の幅にて露出させている。正極集電体12には、アルミニウム箔(本実施形態)その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。正極活物質層14は、正極活物質と、必要に応じて使用される他の正極活物質層形成成分(例えば導電助剤やバインダ等)とから構成されている。正極活物質としては、例えばリチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするものが好ましく用いられる。好適例として、LiMn、LiCoO、LiNiO(本実施形態)等が挙げられる。
負極シート20も正極シート10と同様に、長尺シート状の箔状の負極集電体22の両面に負極活物質層24が付着されて形成されている。ただし、負極活物質層24はシート状電極体の幅方向の端辺に沿う一方の側縁には付着されず、負極集電体22を一定の幅にて露出させている。負極集電体22には、銅箔(本実施形態)その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質層24は、負極活物質と、必要に応じて使用される他の負極活物質層形成成分(例えばバインダ等)とから構成されている。負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料(本実施形態では黒鉛)、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等が挙げられる。正負極シート10、20間に使用される多孔層付セパレータシート30としては、先に説明したものと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記捲回電極体を構築する際には、セパレータシート30の表面に形成された多孔層32と負極シート20の負極活物質層24とが対向するように配置し、且つ、正極シート10の正極活物質層非形成部分と負極シート20の負極活物質層非形成部分とがセパレータシート30の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート10と負極シート20とを幅方向にややずらして重ね合わせる。次いで得られた積層体を捲回することにより捲回電極体80が構築される。かかる捲回電極体80の構築は、巻回体36(図5)から多孔層付セパレータシート30を連続的に繰り出しながら行われる。
かかる捲回電極体80の捲回方向に対する横方向において、正極シート10および負極シート20の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート10の正極活物質層形成部分と負極シート20の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート30とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合剤層の非形成部分)10Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極合剤層の非形成部分)20Aには、正極リード端子76および負極リード端子78がそれぞれ付設されており、上述の正極端子72および負極端子74とそれぞれ電気的に接続される。
そして、ケース本体52の上端開口部から該本体52内に捲回電極体80を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体52内に配置(注液)する。電解質は例えばLiPF等のリチウム塩である。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)のような非水電解液に溶解して電解液として使用することができる。
その後、上記開口部を蓋体54との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウム二次電池100の組み立てが完成する。ケース50の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウム二次電池100の構築が完成する。
このようにして構築されたリチウム二次電池100は、多孔層付セパレータシート30を巻芯に巻き取ったときの耳立ちが解消または緩和され、セパレータシートの両端部におけるシワや弛み(波打ち)が防止されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記多孔層付きセパレータを用いて電池(例えばリチウム二次電池)を構築することにより、生産安定性に優れる、生産効率が高い、のうちの少なくとも一方(好ましくは全部)を満たす電池を提供することができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(実施例1)
<多孔層付セパレータシートの作製>
実施例1では、無機フィラーとしてのαアルミナ粉末と、アクリル系バインダ水溶液(固形分率45質量%)と、増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CMC)粉末とを用意し、無機フィラーとバインダと増粘剤との質量比が98.2:1.1:0.7となり固形分率が約38質量%となるように混合し、多孔層形成用組成物を調製した。これを長尺状のセパレータシート(ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の三層構造のものを使用した。)の片面にグラビアロールにより長手方向に層状に塗布、乾燥することにより多孔層付セパレータシート30を作製した。本例では、セパレータシートの厚みを24μmとし、多孔層の厚みを1.3μmとした。
<多孔層付セパレータシートの巻き取り工程>
上記得られた多孔層付セパレータシート30を、図4(a)及び(b)に示す巻き取り装置40を用いて巻芯(外径90.2mm)の軸周りに巻き取った。その際、多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取る途中で、多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置を変更した。本例では、巻芯42に巻き取られる多孔層付セパレータシート30の総巻き数Nを600ターンとし、その全長を200mとした。そして、巻き取り開始から巻き数が173ターン、巻き取り長さが51mに到達した時点で、巻芯42への巻き取り位置を変更した。その際、ずらし量Yは2mmとした。
(実施例2〜11)
実施例2〜11では、実施例1と同様にして、ただし、多孔層の厚み、巻き取り位置変更時の巻き数、巻き取り長さ、及びずらし量Yを下記の表1のように変更して多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取った。
(比較例1〜5)
比較例1〜5では、巻き取り位置を変更せずに同じ巻き取り位置で多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取った。多孔層の厚みは下記の表1に示す通りである。
Figure 2012114047
得られた実施例1〜11及び比較例1〜5の巻回体の耳立ちの有無、及びセパレータシートの両端部の波打ち(弛み)の有無を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、巻き取り開始から終了まで同じ巻き取り位置で巻き取った比較例1〜5に係る巻回体は、巻回体の両端部に耳立ちが発生し、また巻回体から多孔層付セパレータシートを繰り出したところ、セパレータシートの幅方向の両端部に波打ち(弛み)が生じていた。これに対し、多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取る途中で巻き取り位置を変更した実施例1〜11に係る巻回体は、両端部に耳立ちが生じることなく、セパレータシートの両端部の波打ち(弛み)も抑制されていた。このことから、多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取る途中において、多孔層付セパレータシートの巻芯への巻芯軸方向における巻き取り位置を変更することによって、巻回体の耳立ち及び該耳立ちに起因するセパレータシートのシワや波打ちを改善できることが確認できた。
なお、ここで供試した巻回体の場合、ずらし量Yを1mm〜4mmに設定した実施例1〜5,8〜11では、実施例6,7に比べて、セパレータシート端部の波打ちがさらに改善されていた。この理由としては、セパレータシートの巻き取り位置をずらしたことによりフリー状態(テンションの抜けた状態)となった部位が巻き内側に押し込まれることで波打ちの発生度合いが変わることが考えられる。セパレータシートの波打ちをより確実に防止する観点からは、ずらし量Yを1mm〜4mmの範囲内に設定することが好ましい。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上述した実施形態では、巻芯に巻き取られた多孔層付セパレータシートの巻き数に応じて(所定の巻き数に到達した時点で)巻き取り位置を変更する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、巻芯に巻き取られた多孔層付セパレータシートの巻き取り長さに応じて(所定の巻き取り長さに到達した時点で)巻き取り位置を変更するように構成してもよい。この場合、巻芯に巻き取られる多孔層付セパレータシートの全長をLとして、多孔層付セパレータシートの巻き取り長さがL/20〜L/2に達した時点で、巻き取り位置を変更するとよい。この場合、多孔層付セパレータシートの全長Lは200m以上にすることが適当であり、好ましくは800m以上であり、より好ましくは2000m〜3000mである。本構成によれば、多孔層付セパレータシートの巻き径が大きくなっても耳立ちが生じないことから、上記のように多孔層付セパレータシート30の巻き取り長さの全長を200m以上と大きくしても耳立ちが生じない。そのため、多孔層付セパレータシートの巻回体を大径化でき、その後の製造工程において電池(特に捲回電極体)を連続してさらに効率よく製造できる。
10 正極シート
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート
20 負極シート
22 負極集電体
24 負極活物質層
30 セパレータシート
32 多孔層
36 巻回体
36a 巻回中心部
36b 巻回外側部
40 巻き取り装置
42 巻芯
44 回転手段
44a 回転軸
44b 回転用モータ
46 位置変更手段
46a 駆動用モータ
46b センサ
48 条件設定部
50 ケース
52 ケース本体
54 蓋体
72 正極端子
74 負極端子
76 正極リード端子
78 負極リード端子
80 捲回電極体
100 リチウム二次電池





Claims (13)

  1. セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取るための巻き取り方法であって、
    前記多孔層付セパレータシートを前記巻芯の軸周りに巻き取る途中において、前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置を変更することを特徴とする、多孔層付セパレータシートの巻き取り方法。
  2. 前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの総巻き数をNとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き数がN/12〜N/2に到達した時点で、前記巻き取り位置を変更する、請求項1に記載の巻き取り方法。
  3. 前記多孔層付セパレータシートの総巻き数Nは600ターン以上である、請求項2に記載の巻き取り方法。
  4. 前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの全長をLとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き取り長さがL/20〜L/2に到達した時点で、前記巻き取り位置を変更する、請求項1〜3の何れか一つに記載の巻き取り方法。
  5. 前記多孔層付セパレータシートの全長Lは200m以上である、請求項4に記載の巻き取り方法。
  6. 前記巻き取り位置を1mm〜4mmの範囲内で変更する、請求項1〜5の何れか一つに記載の巻き取り方法。
  7. セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取るための巻き取り装置であって、
    多孔層付セパレータシートを巻き取るための巻芯と、
    前記巻芯をその軸方向に回転させる回転手段と、
    前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置を変更する位置変更手段と
    を備える、多孔層付セパレータシートの巻き取り装置。
  8. 前記位置変更手段は、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの総巻き数をNとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き数がN/12〜N/2に到達した時点で、前記巻き取り位置を変更するように構成されている、請求項7に記載の巻き取り装置。
  9. 前記位置変更手段は、前記巻芯に巻き取られる前記多孔層付セパレータシートの全長をLとして、前記多孔層付セパレータシートの巻き取り長さがL/20〜L/2に到達した時点で、前記巻き取り位置を変更するように構成されている、請求項7または8に記載の巻き取り装置。
  10. 前記位置変更手段は、前記巻き取り位置を1mm〜4mmの範囲内で変更し得るように構成されている、請求項7〜9の何れか一つに記載の巻き取り装置。
  11. セパレータシートの表面に多孔層が形成された多孔層付セパレータシートが巻芯の軸周りに巻き取られてなる巻回体であって、
    前記巻回体の巻回方向において、前記巻芯に対する前記多孔層付セパレータシートの巻芯軸方向における巻き取り位置が、巻回中心部と巻回外周部とで異なることを特徴とする、多孔層付セパレータシートの巻回体。
  12. 前記巻回中心部と前記巻回外周部との巻き取り位置の差が1mm〜4mmである、請求項11に記載の巻回体。
  13. 電池の製造方法であって、
    セパレータシートの表面に、スラリー状に調製された多孔層形成用組成物を塗布し乾燥させることにより多孔層を形成すること、
    前記多孔層が形成された多孔層付セパレータシートを巻芯の軸周りに巻き取ることにより、多孔層付セパレータシートの巻回体を得ること、および、
    前記多孔層付セパレータシートの巻回体を用いて電池を構築すること
    を包含し、
    ここで前記多孔層付セパレータシートの巻芯への巻き取りを、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の巻き取り方法もしくは請求項7〜10のうちのいずれか一項に記載の巻き取り装置を使用して行うことを特徴とする、電池の製造方法。



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