本発明は、車両用平行軸式変速機の変速操作機構に係り、特に、その変速操作機構の操作性の低下を抑制する技術に関するものである。
シフトおよびセレクトの一方の操作に関連して軸心方向に予め定められた複数の軸心方向位置のいずれか1に位置させられ、シフトおよびセレクトの他方の操作に関連して軸心まわりに予め定められた複数の回動位置のいずれか1に位置させられるシフトセレクトシャフトを備え、そのシフトセレクトシャフトを操作することで車両用平行軸式変速機の変速段を切り換える変速操作機構が知られている。例えば、特許文献1乃至3に記載されたものがそれである。
上記変速操作機構には、例えば、前記シフトセレクトシャフトを軸心方向に位置決めするためにそのシフトセレクトシャフトの軸心に交差する第2軸心方向に駆動される出力ロッドを有するアクチュエータと、係合突部を有して前記シフトセレクトシャフトの軸心および前記第2軸心にそれぞれ直角に交差する第3軸心まわりに回動可能に設けられると共に、その第3軸心まわりに回動することで前記シフトセレクトシャフトを軸心方向に移動可能にそのシフトセレクトシャフトに連結された操作方向変換レバーとを備え、前記第2軸心方向において前記係合突部を挟んで相対向しその係合突部に摺接する一対の摺接面を有して側方に開口してその係合突部を受け入れる係合溝が形成された係合部が前記出力ロッドに設けられ、その出力ロッドの直線運動が前記操作方向変換レバーの前記第3軸心まわりの回動運動に変換されて、前記シフトセレクトシャフトが前記複数の軸心方向位置に操作される形式のものが考えられる。
特開2001−208178号公報
特開2004−308678号公報
特開2005−201394号公報
ところで、上記形式の変速操作機構においては、前記アクチュエータの出力ロッドが例えば振動等に起因してその軸心まわりに回動させられた場合に、操作方向変換レバーがその出力ロッドの係合部の一部と干渉し、その変速操作性が低下する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速操作性の低下を抑制することができる車両用平行軸式変速機の変速操作機構を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a−1)シフトおよびセレクトの一方の操作に関連して軸心方向に予め定められた複数の軸心方向位置のいずれか1に位置させられ、シフトおよびセレクトの他方の操作に関連して軸心まわりに予め定められた複数の回動位置のいずれか1に位置させられるシフトセレクトシャフトと、(a−2)そのシフトセレクトシャフトを軸心方向に位置決めするためにそのシフトセレクトシャフトの軸心に交差する第2軸心方向に駆動される出力ロッドを有するアクチュエータと、(a−3)係合突部を有して前記シフトセレクトシャフトの軸心および前記第2軸心にそれぞれ直角に交差する第3軸心まわりに回動可能に設けられると共に、その第3軸心まわりに回動することで前記シフトセレクトシャフトを軸心方向に移動可能にそのシフトセレクトシャフトに連結された操作方向変換レバーとを備え、(a−4)前記第2軸心方向において前記係合突部を挟んで相対向しその係合突部に摺接する一対の摺接面を有して側方に開口してその係合突部を受け入れる係合溝が形成された係合部が前記出力ロッドに設けられ、その出力ロッドの直線運動が前記操作方向変換レバーの前記第3軸心まわりの回動運動に変換されて、前記シフトセレクトシャフトが前記複数の軸心方向位置に操作される形式の車両用平行軸式変速機の変速操作機構であって、(b)前記出力ロッドの前記第2軸心方向の移動を許容しつつその第2軸心まわりの回動を規制する規制部材を備えていることにある。
このようにすれば、アクチュエータの出力ロッドが例えば振動等に起因して軸まわりに回動させられようとする場合であっても、規制部材によりその出力ロッドの回動が止められるので、出力ロッドの係合部が操作方向変換レバーと干渉して変速操作性が低下することを抑制することができる。
ここで、好適には、前記規制部材は、前記操作方向変換レバーを前記第3軸心まわりの回動可能に支持するレバー支持部材を、非回転部材に固定するためのボルトにより構成される。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち前記ボルトによりアクチュエータの出力ロッドの回動を規制することができる。
また、好適には、前記規制部材は、前記変速操作機構を収容するケースの内壁面から突設された突起により構成される。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち前記ケースによりアクチュエータの出力ロッドの回動を規制することができる。
また、好適には、前記規制部材は、前記操作方向変換レバーを前記第3軸心まわりの回動可能に支持するレバー支持部材がボルトにより固定される、非回転部材のボルト締付ボス部により構成される。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち前記ボルト締付ボス部によりアクチュエータの出力ロッドの回動を規制することができる。
また、好適には、前記規制部材は、前記操作方向変換レバーの先端から突設された突起により構成される。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち前記操作方向変換レバーによりアクチュエータの出力ロッドの回動を規制することができる。
また、好適には、前記係合部は、前記第2軸心方向において前記係合突部を挟んで相対向する一対の側壁部と、それら一対の側壁部を互いに接続する接続部とを有して構成され、前記操作方向変換レバーは、前記第2軸心まわりの周方向において前記接続部と当接することで前記規制部材として機能させられる。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち操作方向変換レバーによりアクチュエータの出力ロッドの回動を規制することができる。
本発明が適用された車両用平行軸式変速機の変速操作機構の要部を示す図であって、シフトセレクトシャフトの横断面を示す図である。
本発明が適用された車両用平行軸式変速機の変速操作機構の要部を示す図であって、シフトセレクトシャフトの縦断面を示す図である。
図2のIII-III矢視部断面を示す図である。
図3のIV-IV矢視部を示す断面図である。
図3のV-V矢視部を示す断面図である。
第1カム係合部材が、図3に示す状態から例えば振動等に起因して第3軸心まわりに回動させられた場合に、ボルトの先端部が第3軸心まわりの周方向において第1カム係合部材と当接させられた状態を示す断面図である。
第2ピストンロッドおよび第1カム係合部材が、第1セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動した状態を示す図である。
第2ピストンロッドおよび第1カム係合部材が、第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動した状態を示す図である。
本発明の他の実施例の変速操作機構の要部を示す断面図であって、実施例1における図3に相当する図である。
図9のX-X矢視部を示す断面図である。
本発明の他の実施例の変速操作機構の要部を示す断面図であって、実施例1における図3に相当する図である。
図11のXII-XII矢視部を示す断面図である。
本発明の他の実施例の変速操作機構の要部を示す断面図であって、実施例1における図3に相当する図である。
図13XIV-XIV矢視部を示す断面図である。
本発明の他の実施例の変速操作機構の要部を示す断面図であって、実施例1における図3に相当する図である。
図15のXVI-XVI矢視部を示す断面図である。
本発明の他の実施例の変速操作機構の要部を示す断面図であって、実施例1における図3に相当する図である。
図17のXVIII-XVIII矢視部を示す断面図である。
ボルトがボルト締付ボス部を貫通するように設けられていない変速操作機構の要部を示す図であって、第2ピストンロッドおよび第1カム係合部材が第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動させられた状態を示す図である。
図17のXX-XX矢視部を示す断面図である。
図19の状態から、第1カム係合部材が振動等により第3軸心まわりの約90度程度回動させられた状態を示す図である。
図21のXXII-XXII矢視部を示す断面図である。
図21の状態から、第2ピストンロッドおよび第1カム係合部材が第2セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動させられようとする途中の状態を示す図である。
図21のXXIV-XXIV矢視部を示す断面図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1および図2は、本発明が適用された車両用平行軸式変速機の変速操作機構10の要部を示す図である。図1は、シフトセレクトシャフト14の横断面を示す図であり、また、図2は、シフトセレクトシャフト14の縦断面を示す図である。上記車両用平行軸式変速機は、例えば、相互に平行に設けられた入力軸および出力軸と、それら軸間に設けられたギヤ比が異なり且つ常時噛み合う複数対のギヤ対と、それらギヤ対のいずれか1を介して為される上記軸間の動力伝達状態を選択的に切り換えるための複数の同期噛合クラッチとを備える良く知られた所謂常時噛合型平行軸式の変速機構を備えている。本実施例では、その変速機構は、例えば、5対の前進用ギヤ対および1対の後進用ギヤ対と、それらギヤ対にそれぞれ設けられた6つの同期噛合クラッチとを備えて構成されている。そして、その変速機構においては、それらギヤ対の何れを介して上記入力軸と出力軸との間で動力伝達を行うかが、上記複数の同期噛合クラッチの係合状態を切り換えることによって変更されるようになっている。すなわち、上記変速機構においては、それら複数の同期噛合クラッチの係合状態を切り換えることによって変速が行われるようになっている。変速操作機構10は、それら複数の同期噛合クラッチの係合状態を切り換えて上記変速機構の変速を行うものである。
図1および図2に示すように、変速操作機構10は、変速機ケース12内において、その変速機ケース12により軸方向すなわち第1軸心C1方向の移動可能且つその第1軸心C1まわりの回動可能に支持されたシフトセレクトシャフト14と、第1軸心C1に平行な方向に直交する方向にそれぞれ長手状を為して軸方向に移動可能にそれぞれ設けられた第1シフトフォークシャフト16、第2シフトフォークシャフト18、および第3シフトフォークシャフト20とを備えている。
シフトセレクトシャフト14の長手方向すなわち第1軸心C1方向の一部には、そのシフトセレクトシャフト14の外周側に嵌合されて固定ピン24により固定された円筒状部材22が設けられている。その円筒状部材22は、シフトセレクトシャフト14にスプライン嵌合された円筒状のボス部22aと、そのボス部22aの外周面の一部から外周側へ突設され、シフトフォークシャフト16、18、および20と係合可能とされた係合アーム部22bとを有している。シフトフォークシャフト16、18、および20は、それらの軸心に平行な方向において係合アーム部22aを挟んで相対向する各一対の係合突起26、28、および30を一体的に備えている。
シフトセレクトシャフト14は、その長手方向すなわち第1軸心C1方向においては、セレクト操作に関連して第1軸心C1方向に予め定められた複数の軸心方向位置すなわちセレクト操作位置のいずれか1に位置させられる。具体的には、シフトセレクトシャフト14は、係合突起26と係合可能な第1セレクト操作位置、係合突起28と係合可能な第2セレクト操作位置、および係合突起30と係合可能な第3セレクト操作位置のいずれか1にセレクト操作される。なお、図2は、シフトセレクトシャフト14が上記第2セレクト操作位置に位置させられた状態を示している。
また、シフトセレクトシャフト14は、第1軸心C1まわりの周方向においては、シフト操作に関連して第1軸心C1まわりに予め定められた複数の回動位置すなわちシフト操作位置のいずれか1に位置させられる。具体的には、シフトセレクトシャフト14は、前記変速操作機構を動力伝達遮断状態とする中立位置、シフトセレクトシャフト16、18、および20のいずれか1を介して前記複数の同期噛合クラッチのいずれか1を係合状態とするための第1シフト位置、またはシフトセレクトシャフト16、18、および20のいずれか1を介して前記複数の同期噛合クラッチのいずれか1を係合状態とするための第2シフト位置にセレクト操作される。なお、図1は、シフトセレクトシャフト14が上記中立位置に位置させられた状態を示している。
さらに、変速操作機構10は、シフトセレクトシャフト14を第1軸心C1まわりの周方向において位置決めするためのシフトアクチュエータ36と、シフトセレクトシャフト14を第1軸心C1方向において位置決めするためのセレクトアクチュエータ38とを備えている。セレクトアクチュエータ38は、本発明におけるアクチュエータに相当するものである。
シフトアクチュエータ36は、前記変速機ケース12に図示しないボルト等により結合された非回転部材である変速操作機構ケース40に一体に設けられた第1シリンダボデー42と、その第1シリンダボデー42内においてその第1シリンダボデー42の円筒状内壁面に軸方向の摺動可能に設けられた第1ピストン44と、その第1ピストン44に連結されて第1シリンダボデー42外まで延出させられた第1ピストンロッド46とを備える油圧シリンダから成る。第1ピストンロッド46は、シフトセレクトシャフト14の第1軸心C1に立体的に交差する方向に駆動される。
シフトセレクトシャフト14の一端部には、その一端部の外周面から外周側に突設され、先端部に第1軸心C1に平行な方向に突設された棒状のハンドル48aを有するシフト操作レバー48が固設されている。また、第1ピストンロッド46の第1ピストン44とは反対側の一端部には、その第1ピストンロッド46の軸方向においてハンドル48aの円筒状側面と係合可能なU字状のハンドル係合部46aが設けられている。シフトアクチュエータ36による第1ピストンロッド46の軸方向の推力は、その第1ピストンロッド46の軸方向の直線運動がシフト操作レバー48の第1軸心C1まわりの回動運動に変換されることによって、シフトセレクトシャフト14に第1軸心C1まわりのトルクとして伝達され、そのシフトセレクトシャフト14を第1軸心C1まわりに回動させるようになっている。
セレクトアクチュエータ38は、変速操作機構ケース40に一体に設けられた第2シリンダボデー50と、その第2シリンダボデー50内においてその第2シリンダボデー50の円筒状内壁面に軸方向の摺動可能に設けられた第2ピストン52と、その第2ピストン52に連結されて第2シリンダボデー50外まで延出させられた第2ピストンロッド54とを備える油圧シリンダから成る。その第2ピストンロッド54は、シフトセレクトシャフト14の第1軸心C1に直角に立体的に交差する第2軸心C2方向に駆動されるものであり、本発明における出力ロッドに相当するものである。また、第2ピストンロッド54は、その第2ピストンロッド54の外周側において変速操作機構ケース40の円筒状内壁面56に嵌め入れられたピストンロッドホルダ58により、軸受部材たとえばブッシュ60を介して軸方向の移動可能に支持されている。
セレクトアクチュエータ38による第2ピストンロッド54の軸方向の推力は、相互に直角を成した状態で固定された第1セレクト操作レバー62および第2セレクト操作レバー64をそれぞれ介してシフトセレクトシャフト14に伝達されるようになっている。第1セレクト操作レバー62は、先端部に円形の第1係合突部62aを有し、基端部において第1軸心C1および第2軸心C2にそれぞれ直角に立体的に交差する第3軸心C3まわりの回動可能に設けられると共に、その第3軸心C3まわりに回動することでシフトセレクトシャフト14を第1軸心C1方向に移動可能に第2セレクト操作レバー64を介してそのシフトセレクトシャフト14に連結された部材である。また、第2セレクト操作レバー64は、先端部に円形の第2係合突部64aを有し、基端部において第3軸心C3まわりに回動可能に設けられると共に、その第3軸心C3まわりに回動することでシフトセレクトシャフト14を第1軸心C1方向に移動可能にそのシフトセレクトシャフト14に連結された部材である。第1係合突部62aは、本発明における係合突部に相当するものである。また、第1セレクト操作レバー62および第2セレクト操作レバー64は、本発明における操作方向変換レバーに相当するものである。
図3は、図2のIII-III矢視部断面を示す図である。図3に示すように、第1セレクト操作レバー62および第2セレクト操作レバー64は、ボス部62bおよび64bにそれぞれ挿入されて例えば図示しない一対の固定ピンによりそれらボス部62bおよび64bとそれぞれ固定された回転軸66を介して、変速操作機構ケース40およびその変速操作機構ケース40に一体的に固定されたレバー支持部材68により第3軸心C3まわりの回動可能に支持されている。レバー支持部材68は、そのレバー支持部材68の貫通穴70に通されて変速操作機構ケース40に締め付けられた複数本のボルト72(1本しか図示せず)により変速操作機構ケース40に一体的に結合されている。
図4は、図3のIV-IV矢視部を示す断面図であり、図5は、図3のV-V矢視部を示す断面図である。なお、図4にはレバー支持部材68が2点鎖線で示されている。図3乃至図5に示すように、第2ピストンロッド54の第2ピストン52とは反対側の一端部には、第2ピストンロッド54の軸方向すなわち第2軸心C2方向において第1セレクト操作レバー62の第1係合突部62aを挟んで相対向しその第1係合突部62aの円形カム面74に摺接可能な一対の摺接面76を有するU字状の第1カム係合部材78が固設されている。一対の摺接面76は、第1カム係合部材78の側方に開口して第1係合突部62aを受け入れる係合溝80のうちの、第2軸心C2方向に相対向する一対の対向面から成る。第1カム係合部材78は、本発明における係合部に相当するものである。セレクトアクチュエータ38の作動により発生する第2ピストンロッド54の軸方向の推力は、第2ピストンロッド54の軸方向の直線運動が第1セレクト操作レバー62の第3軸心C3まわりの回動運動に変換されることによって、第2セレクト操作レバー64に第3軸心C3まわりのトルクとして伝達されるようになっている。
図2に戻って、シフトセレクトシャフト14の軸方向の一部には、その軸方向において第2セレクト操作レバー64の第2係合突部64aを挟んで相対向する一対の円板状突起82aを有する円筒状の第2カム係合部材82が設けられている。セレクトアクチュエータ38の作動により第1セレクト操作レバー62から伝達された第2セレクト操作レバー64の第3軸心C3まわりのトルクは、その第2セレクト操作レバー64の第3軸心C3まわりの回動運動が第2カム係合部材82の第1軸心C1方向の直線運動に変換されることによって、シフトセレクトシャフト14に軸方向の推力として伝達されるようになっている。
以上のように構成された変速操作機構10においては、セレクトアクチュエータ38の作動によりシフトセレクトシャフト14がセレクト操作されて、シフトアクチュエータ36の作動によりシフトセレクトシャフト14がシフト操作されることによって、前記変速機構の変速が行われる。
以下では、第1カム係合部材78の第2軸心C2まわりの回動の規制に関して説明する。
図3乃至図5に示すように、第1カム係合部材78は、第2ピストンロッド54の軸方向すなわち第2軸心C2方向において第1係合突部62aを挟んで相対向する一対の側壁部78aと、それら一対の側壁部78aの一端部同士を互いに接続する接続部78bとを有して構成されている。第1カム係合部材78および第2ピストンロッド54を変速操作機構ケース40内に組み付けた状態においては、第1カム係合部材78は、図3に示すように第3軸心C3に平行な方向において接続部78bが一対の側壁部78aに対してレバー支持部材68とは反対側に位置させられる。すなわち、第1カム係合部材78および第2ピストンロッド54は、第1カム係合部材78の接続部78bが第3軸心C3に平行な方向において一対の側壁部78aに対してレバー支持部材68とは反対側に位置するように、変速操作機構ケース40内に組み付けられる。
変速操作機構ケース40は、その内壁面84から一体に突設されてボルト72に螺合されたボルト締付ボス部40aを有している。ボルト72は、そのボルト締付ボス部40aを貫通して設けられている。そして、ボルト72は、図6に矢印aで示すように、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、そのボルト72の先端部が第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接する位置まで突き出して設けられている。本実施例のボルト72は、第1カム係合部材78および第2ピストンロッド54の第2軸心C2方向の移動を許容しつつ第1カム係合部材78の第2軸心C2まわりの回動を規制する規制部材としての機能を有するものであり、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、ボルト72は、例えば、第1カム係合部材78が図6に2点鎖線で示す状態から矢印a方向に第2軸心C2まわりの約25度程度回動させられて実線で示す状態となったときに、その第1カム係合部材78と当接し、その第1カム係合部材78のそれ以上の矢印a方向の回動を防止するように設けられている。
第1カム係合部材78の第2軸心C2に平行な方向の長手寸法Lは、第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78が、前記第2セレクト操作位置に対応する図4に示す軸方向位置から、前記第1セレクト操作位置に対応する図7に示す軸方向位置および前記第3セレクト操作位置に対応する図8に示す軸方向位置にそれぞれ移動したときであっても、ボルト72の先端部が第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78に当接するように予め設定されている。なお、長手寸法Lは、第1係合突部62aの円形カム面74と一対の摺接面76とが摺動することでそれらが摩耗することにより、図7および図8に示す軸方向位置にそれぞれ移動させられた第1カム係合部材78とボルト72との相対的な位置関係が経年変化することも考慮して予め設定されている。
本実施例の車両用平行軸式変速機の変速操作機構10によれば、セレクト操作に関連して第1軸心C1方向に予め定められた複数のセレクト操作位置のいずれか1に位置させられ、シフト操作に関連して第1軸心C1まわりに予め定められた複数のシフト操作位置のいずれか1に位置させられるシフトセレクトシャフト14と、そのシフトセレクトシャフト14を軸方向に位置決めするためにそのシフトセレクトシャフト14の第1軸心C1に交差する第2軸心C2方向に駆動される第2ピストンロッド(出力ロッド)54を有するセレクトアクチュエータ(アクチュエータ)38と、一端部に第1係合突部62aを有して第1軸心C1および第2軸心C2に交差する第3軸心C3まわりに回動可能に設けられると共に、その第3軸心C3まわりに回動することでシフトセレクトシャフト14を第1軸心C1方向に移動可能にそのシフトセレクトシャフト14に連結された第1セレクト操作レバー(操作方向変換レバー)62とを備え、第2軸心C2方向において第1係合突部62aを挟んで相対向しその第1係合突部62aの円形カム面74に摺接する一対の摺接面76を有して側方に開口してその第1係合突部62aを受け入れる係合溝80が形成された第1カム係合部材(係合部)78が第2ピストンロッド54に設けられ、その第2ピストンロッド54の直線運動が第1セレクト操作レバー62および第2セレクト操作レバー64の第3軸心C3まわりの回動運動に変換されつつ、その第2セレクト操作レバー64の第3軸心C3まわりの回動運動がシフトセレクトシャフト14の直線運動に変換されることで、そのシフトセレクトシャフト14が複数の軸心方向位置にセレクト操作される形式の車両用平行軸式変速機の変速操作機構10であって、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接することによってその第1カム係合部材78の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能するボルト72を備えている。このようにすれば、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、ボルト72によりその第1カム係合部材78の回動が止められるので、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材78が第1セレクト操作レバー62と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構10によれば、前記規制部材は、第1セレクト操作レバー62を第3軸心C3まわりの回動可能に支持するレバー支持部材68を、非回転部材としての変速操作機構ケース40に固定するためのボルト72により構成されている。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構10の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわちボルト72により第1カム係合部材78の回動を規制することができる。
因みに、図19に示すように、ボルト140がボルト締付ボス部40aを貫通するように設けられておらず、本実施例の変速操作機構10のように第2軸心C2まわりに回動する第1カム係合部材78と当接するように設けられていない変速操作機構142を考える。このような変速操作機構142においては、第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78が例えば図19および図20に示すように前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動させられた状態において、第1カム係合部材78が振動等により例えば図中矢印fで示す方向に第2軸心C2まわりの約90度程度回動させられて、図21および図22に示す状態とされたときに問題が生じる。それは、その状態から、セレクトアクチュエータ38が第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78を図中矢印gで示す方向に移動させて前記第2セレクト操作位置に対応する軸方向位置に位置させようとしても、その移動途中で図23および図24に示すように第1カム係合部材78の接続部78bと第1セレクト操作レバー62の第1係合突部62aとが干渉してしまい、それ以上軸方向に移動させることができないという問題である。
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、本発明の他の実施例の変速操作機構90の要部を示す断面図であり、前述の実施例1における図3に相当する図である。図10は、図9のX-X矢視部を示す断面図である。図9および図10に示すように、本実施例ではボルト92がボルト締付ボス部40aを貫通するように設けられていない。そして、変速操作機構90の一部を収容する本実施例の変速操作機構ケース94は、その変速操作機構ケース94の内壁面84から、第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78の接続部78bに対向する位置に向けて突設された突起94aを有している。図9において第2軸心C2を中心とする2点鎖線の円Dは、前記円筒状内壁面56および前記第2シリンダボデー50の円筒状内周面等を加工するに際して変速操作機構ケース94内に第2軸心C2に平行な方向に挿入される加工具たとえばドリルの外形を仮想的に表したものである。突起94aは、そのドリルと干渉しない位置に設けられている。変速操作機構ケース94は、本発明におけるケースに相当するものである。
また、突起94aは、図9に矢印bで示すように、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、その突起94aの先端部が第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接するように設けられている。突起94aは、第1カム係合部材78の第2軸心C2まわりの回動を規制する規制部材としての機能を有するものであり、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、突起94aは、例えば、第1カム係合部材78が図9に実線で示す状態から矢印b方向に第2軸心C2まわりの約5度程度回動させられて2点鎖線で示す状態となったときに、その第1カム係合部材78と当接し、その第1カム係合部材78のそれ以上の矢印b方向の回動を防止するように設けられている。
第1カム係合部材78の第2軸心C2に平行な方向の長手寸法Lは、第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78が、前記第2セレクト操作位置に対応する軸方向位置から、前記第1セレクト操作位置に対応する軸方向位置および前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動したときであっても、突起94aの先端部が第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78に当接するように予め設定されている。なお、長手寸法Lは、第1係合突部62aの円形カム面74と一対の摺接面76とが摺動することでそれらが摩耗することにより、前記第1セレクト操作位置または前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動させられた第1カム係合部材78と突起94aとの相対的な位置関係が経年変化することも考慮して予め設定されている。
変速操作機構ケース94は、上記突起94aが形成されている以外は実施例1の変速操作機構ケース40と同様な構成である。
本実施例の変速操作機構90によれば、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接することによってその第1カム係合部材78の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能する突起94aを備えている。このようにすれば、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、突起94aによりその第1カム係合部材78の回動が止められるので、実施例1と同様に、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材78が第1セレクト操作レバー62と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構90によれば、前記規制部材は、前記変速操作機構90を収容する変速操作機構ケース94の内壁面84から突設された突起94aにより構成されている。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構90の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち変速操作機構ケース94により第1カム係合部材78の回動を規制することができる。
図11は、本発明の他の実施例の変速操作機構100の要部を示す断面図であり、前述の実施例1における図3に相当する図である。図12は、図11のXII-XII矢視部を示す断面図である。図11および図12に示すように、変速操作機構100の一部を収容する本実施例の変速操作機構ケース102は、その内壁面84から一体に突設され、第2セレクト操作レバー64および第1セレクト操作レバー62を第2軸心C2まわりの回動可能に支持するレバー支持部材68がボルト72により固定されたボルト締付ボス部102aを有している。図11において第2軸心C2を中心とする2点鎖線の円Dは、前記円筒状内壁面56および前記第2シリンダボデー50の円筒状内周面等を加工するに際して変速操作機構ケース102内に第2軸心C2に平行な方向に挿入される加工具たとえばドリルの外形を仮想的に表したものである。ボルト締付ボス部102aは、そのドリルと干渉しない位置に設けられている。変速操作機構ケース102は、本発明における非回転部材に相当するものである。
第1カム係合部材78および第2ピストンロッド54は、第1カム係合部材78の接続部78bが第3軸心C3に平行な方向において一対の側壁部78aに対してレバー支持部材68側に位置するように、変速操作機構ケース102内に組み付けられる。そして、ボルト締付ボス部102aは、図11に矢印cで示すように、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、そのボルト締付ボス部102aが第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接するように設けられている。ボルト締付ボス部102aは、第1カム係合部材78の第2軸心C2まわりの回動を規制する規制部材としての機能を有するものであり、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、ボルト締付ボス部102aは、例えば、第1カム係合部材78が図11に実線で示す状態から矢印c方向に第2軸心C2まわりの約5度程度回動させられて2点鎖線で示す状態となったときに、その第1カム係合部材78と当接し、その第1カム係合部材78のそれ以上の矢印c方向の回動を防止するように設けられている。
第1カム係合部材78の第2軸心C2に平行な方向の長手寸法Lは、第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78が、前記第2セレクト操作位置に対応する軸方向位置から、前記第1セレクト操作位置に対応する軸方向位置および前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動したときであっても、ボルト締付ボス部102aが第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78に当接するように予め設定されている。なお、長手寸法Lは、第1係合突部62aの円形カム面74と一対の摺接面76とが摺動することでそれらが摩耗することにより、前記第1セレクト操作位置または前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動させられた第1カム係合部材78とボルト締付ボス部102aとの相対的な位置関係が経年変化することも考慮して予め設定されている。
変速操作機構ケース102は、上記ボルト締付ボス部102aの形状以外は実施例1の変速操作機構ケース40と同様な構成である。
本実施例の変速操作機構100によれば、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接することによってその第1カム係合部材78の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能するボルト締付ボス部102aを備えていることから、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、ボルト締付ボス部102aによりその第1カム係合部材78の回動が止められるので、実施例1と同様に、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材78が第1セレクト操作レバー62と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構100によれば、前記規制部材は、第1セレクト操作レバー62を第3軸心C3まわりの回動可能に支持するレバー支持部材68がボルト92により固定される、変速操作機構ケース(非回転部材)102のボルト締付ボス部102aにより構成されている。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構100の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち変速操作機構ケース102により第1カム係合部材78の回動を規制することができる。
図13は、本発明の他の実施例の変速操作機構110の要部を示す断面図であり、前述の実施例1における図3に相当する図である。図14は、図13のXIV-XIV矢視部を示す断面図である。図13および図14に示すように、本実施例の第2セレクト操作レバー(操作方向変換レバー)112は、その先端から一体に突設された突起112aを有している。
突起112aは、図13に矢印dで示すように、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、その突起112aが第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接するように設けられている。突起112aは、第1カム係合部材78の第2軸心C2まわりの回動を規制する規制部材としての機能を有するものであり、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、突起112aは、例えば、第1カム係合部材78が図13に実線で示す状態から矢印d方向に第2軸心C2まわりの約20度程度回動させられて2点鎖線で示す状態となったときに、その第1カム係合部材78と当接し、その第1カム係合部材78のそれ以上の矢印d方向の回動を防止するように設けられている。
また、突起112aは、第2ピストンロッド54および第1カム係合部材78が、前記第2セレクト操作位置に対応する軸方向位置から、前記第1セレクト操作位置に対応する軸方向位置および前記第3セレクト操作位置に対応する軸方向位置に移動したときであっても、突起112aが第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材78に当接するように予め設定されている。
第2セレクト操作レバー112は、上記突起112aが形成されている以外は実施例1の第1セレクト操作レバー62と同様な構成である。
本実施例の変速操作機構110によれば、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材78と当接することによってその第1カム係合部材78の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能する突起112aを備えていることから、第1カム係合部材78が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、突起112aによりその第1カム係合部材78の回動が止められるので、実施例1と同様に、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材78が第1セレクト操作レバー112と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構110によれば、前記規制部材は、第2セレクト操作レバー112の先端から突設された突起112aにより構成されている。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構110の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち第2セレクト操作レバー112により第1カム係合部材78の回動を規制することができる。
図15は、本発明の他の実施例の変速操作機構120の要部を示す断面図であり、前述の実施例1における図3に相当する図である。図16は、図15のXVI-XVI矢視部を示す断面図である。図15および図16に示すように、本実施例の第1カム係合部材122は、第2ピストンロッド54の軸方向すなわち第2軸心C2に平行な方向において第1係合突部62aを挟んで相対向する一対の側壁部122aと、それら一対の側壁部122aのうちの、第1係合突部62aに対してレバー支持部材68とは反対側の端部同士を互いに接続する第1接続部122bと、それら一対の側壁部122aのうちの、第1係合突部62aに対して回転軸66とは反対側の端部同士を互いに接続する第2接続部122cとを有して構成されている。第1カム係合部材122および第2ピストンロッド54は、第1カム係合部材122の接続部122bが第3軸心C3に平行な方向において一対の側壁部122aに対してレバー支持部材68とは反対側に位置するように、変速操作機構ケース40内に組み付けられる。
第2接続部122cは、図15に矢印eで示すように、第1カム係合部材122が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、その第2接続部122cの内側が第2軸心C2まわりの周方向において第1セレクト操作レバー62と当接するように形成されている。本実施例では、第1セレクト操作レバー62は、第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材122の第2接続部122cを当接することでその第1カム係合部材122の回動を規制する規制部材として機能させられ、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、第1カム係合部材122は、例えば、その第1カム係合部材122が図15に実線で示す状態から矢印e方向に第2軸心C2まわりの約15度程度回動させられて2点鎖線で示す状態となったときに、第2接続部122cが第1セレクト操作レバー62の第1係合突部62aと当接し、その第1カム係合部材122のそれ以上の矢印e方向の回動が防止させられるように形成されている。
本実施例の変速操作機構120によれば、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材122と当接することによってその第1カム係合部材122の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能する第1セレクト操作レバー62を備えていることから、第1カム係合部材122が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、第1セレクト操作レバー62によりその第1カム係合部材122の回動が止められるので、実施例1と同様に、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材122が第1セレクト操作レバー62と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構120によれば、第1カム係合部材122は、その第1カム係合部材122の軸方向において第1係合突部62aを挟んで相対向する一対の側壁部122aと、それら一対の側壁部122aのうちの、第1係合突部62aに対してレバー支持部材68とは反対側の端部同士を互いに接続する第1接続部122bと、それら一対の側壁部122aのうちの、第1係合突部62aに対して回転軸66とは反対側の端部同士を互いに接続する第2接続部122cとを有して構成され、第1セレクト操作レバー62は、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材122と当接することで前記規制部材として機能させられる。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構120の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち第1セレクト操作レバー62により第1カム係合部材122の回動を規制することができる。
図17は、本発明の他の実施例の変速操作機構130の要部を示す断面図であり、前述の実施例1における図3に相当する図である。図18は、図17のXVIII-XVIII矢視部を示す断面図である。図17および図18に示すように、本実施例の第1カム係合部材132は、第2ピストンロッド54の軸方向すなわち第2軸心C2に平行な方向において第1係合突部62aを挟んで相対向する一対の側壁部132aと、それら一対の側壁部132aのうちの、第1係合突部62aに対してレバー支持部材68側の端部同士およびそのレバー支持部材68とは反対側の端部同士をそれぞれ互いに接続する一対の接続部132bとを有して構成されている。
上記一対の接続部132bは、第1カム係合部材132が例えば振動等に起因して第2ピストンロッド54の軸まわり即ち第2軸心C2まわりに回動させられた場合に、一方の接続部132cの内側が第2軸心C2まわりの周方向において第1セレクト操作レバー62と当接するように形成されている。本実施例では、第1セレクト操作レバー62は、第2軸心C2まわりの周方向において第1カム係合部材132の接続部132bを当接することでその第1カム係合部材132の回動を規制する規制部材として機能させられ、本発明における規制部材に相当するものである。
本実施例では、第1カム係合部材132は、例えば、その第1カム係合部材132が図17に実線で示す状態から第2軸心C2まわりの約3度程度回動させられたときに、一方の接続部132cが第1セレクト操作レバー62の第1係合突部62aと当接し、その第1カム係合部材132のそれ以上の回動が防止させられるように形成されている。
本実施例の変速操作機構130によれば、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材132と当接することによってその第1カム係合部材132の軸まわりの回動を規制する規制部材として機能する第1セレクト操作レバー62を備えていることから、第1カム係合部材132が例えば振動等に起因して第2ピストン52および第2ピストンロッド54と共にその第2ピストンロッド54の軸まわりに回動させられようとする場合であっても、第1セレクト操作レバー62によりその第1カム係合部材132の回動が止められるので、実施例1と同様に、第2ピストンロッド54の第1カム係合部材132が第1セレクト操作レバー62と干渉することによる変速操作性の低下を抑制することができる。
また、本実施例の変速操作機構130によれば、第1カム係合部材132は、その第1カム係合部材132の軸方向において第1係合突部62aを挟んで相対向する一対の側壁部122aと、それら一対の側壁部132aのうちの、第1係合突部62aに対してレバー支持部材68側の端部同士およびそのレバー支持部材68とは反対側の端部同士をそれぞれ互いに接続する一対の接続部132bとを有して構成され、第1セレクト操作レバー62は、第2ピストンロッド54の軸まわりの周方向において第1カム係合部材132と当接することで前記規制部材として機能させられる。このようにすれば、規制部材を設けるために新たに部材を追加する必要がないので、変速操作機構130の部品点数を増加させることなく既存の部材すなわち第1セレクト操作レバー62により第1カム係合部材132の回動を規制することができる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
例えば、本発明は、セレクトアクチュエータ38に限らずシフトアクチュエータ36にも適用され得る。すなわち、前述の実施例では、セレクトアクチュエータ38の第2ピストンロッド54に固設された第1カム係合部材78(122、132)の回動を規制するために各種規制部材が設けられていたが、シフトアクチュエータ36の第1ピストンロッド46の回動を規制するためにも同様な規制部材が設けられ得る。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10,90,100,110,120,130:変速操作機構
14:シフトセレクトシャフト
38:セレクトアクチュエータ(アクチュエータ)
40,94,102:変速操作機構ケース(ケース、非回転部材)
54:第2ピストンロッド(出力ロッド)
62,112:第1セレクト操作レバー(操作方向変換レバー、規制部材)
62a:第1係合突部(係合突部)
64:第2セレクト操作レバー(操作方向変換レバー)
68:レバー支持部材
72:ボルト(規制部材)
76:摺接面
78,122,132:第1カム係合部材(係合部)
84:内壁面
94a:突起(規制部材)
102a:ボルト締付ボス部(規制部材)
112a:突起(規制部材)
122a,132a:側壁部
122b:第1接続部
122c:第2接続部
132b:接続部
C1:第1軸心(シフトセレクトシャフトの軸心)
C2:第2軸心
C3:第3軸心