JP2012111956A - 冷凍機油 - Google Patents

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Abstract

【課題】HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化の双方を実現可能な冷凍機油を提供する。
【解決手段】本発明の冷凍機油は、%Cが2以下、%C/%Cが6以上35以下、ヨウ素価が2.5以下であり、硫黄分が50質量ppm以下であるパラフィン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油及びイソパラフィン系基油から選ばれる少なくとも1種である潤滑油基油を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は冷凍機油に関する。
近年のオゾン層破壊の問題から、冷凍空調機器の冷媒として従来使用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)及びHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに変わってHFC(ハイドロフルオロカーボン)が冷媒として使用されつつある。
また、上記HFC冷媒においても、地球温暖化能が高い等の問題がある。そこで、これらのフロン系冷媒の代替冷媒として、二酸化炭素(CO)冷媒や炭化水素冷媒などの自然系冷媒の使用も検討されている。
HFC冷媒用冷凍機油としては、従来、PAG(ポリアルキレングリコール)、POE(ポリオールエステル)、PVE(ポリビニルエーテル)などのHFC冷媒と相溶する含酸素系合成油が使用されているが、これら含酸素系合成油はいずれも冷凍機油としての特性に一長一短がある。一方、分岐型アルキルベンゼンなどのアルキルベンゼンは、HFC冷媒に対して非相溶ではあるが、冷媒存在下での耐摩耗性及び摩擦特性が含酸素系合成油よりも優れるという特徴を有している(例えば、下記特許文献1、2を参照。)。
また、自然冷媒用冷凍機油としては、様々な冷凍機油の使用が提案されている。例えば、二酸化炭素冷媒用冷凍機油として、下記特許文献3にはアルキルベンゼンやポリα−オレフィン等の炭化水素系基油を用いたもの、下記特許文献4にはポリアルキレングリコールやポリビニルエーテル等のエーテル系基油を用いたもの、下記特許文献5〜7にはエステル系基油を用いたものがそれぞれ開示されている。
特開平8−27478号公報 特開平8−27479号公報 特開平10−46168号公報 特開平10−46169号公報 特開2000−104084号公報 特開2000−169868号公報 特開2000−169869号公報
しかしながら、従来のHFC冷媒用冷凍機油に用いられている分岐型アルキルベンゼンは、生分解性に乏しい等の理由により世界的に需要が減退しており、それに伴って供給量が激減している状況にある。そのため、アルキルベンゼンに代わる冷凍機油の開発が渇望されている。
また、炭化水素冷媒は冷凍機油への溶解性が高いものであり、また、二酸化炭素冷媒はそれ自体の粘度が小さいものであるため、これらの冷媒が上記従来の冷凍機油に溶解すると、冷凍機油の粘度低下の度合いが大きくなって実効粘度を確保できなくなり、冷媒圧縮機の摺動部材等が摩耗しやすくなる。特に、近年、冷凍空調機器の分野では、省エネルギー化の観点から、撹拌抵抗や配管抵抗の低減に有利な低粘度の冷凍機油が求められているが、このように冷凍機油を低粘度化した場合には実効粘度の確保が一層困難となり、摩耗の発生がより顕著となる。
なお、冷凍機油の潤滑性を改善する手段としては、極圧剤等の摩耗防止剤を冷凍機油に添加する方法が考えられるが、十分な耐摩耗性を得るためには摩耗防止剤をある程度多量に添加する必要があり、冷凍機油の安定性が損なわれるおそれがある。また、極圧剤による耐摩耗性向上効果は極圧剤に由来する皮膜が摺動部材表面に形成されることに起因するものであるが、かかる皮膜の形成により摺動部材間の摩擦係数が高くなるため、省エネルギー化の観点からは望ましいとはいえない。
また、冷凍機油の潤滑性を改善する別の手段としては、粘度指数が高いポリα−オレフィン等の合成系基油を使用し、冷凍機油の実効粘度の低下の度合いをできるだけ小さくする方法が考えられる。しかし、そのような合成系基油を用いる場合であっても、炭化水素冷媒や二酸化炭素冷媒の存在下で十分な耐摩耗性を得ることは非常に困難である。また、ポリα−オレフィン等の合成系基油は高価であるため、その使用は冷凍空調機器全体としてのコストアップに繋がる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化の双方を実現可能な冷凍機油を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、%Cが2以下、%C/%Cが6以上35以下、ヨウ素価が2.5以下であり、硫黄分が50質量ppm以下である潤滑油基油を含有することを特徴とする冷凍機油を提供する。
上記潤滑油基油は、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄又は白土処理のいずれかの精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油及びイソパラフィン系基油から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の冷凍機油に含まれる潤滑油基油は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が耐摩耗性、摩擦特性及び粘度−温度特性に優れる。そして、かかる潤滑油基油を含む本発明の冷凍機油によれば、HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在下で冷媒圧縮機の摺動部材等の摩耗を十分に抑制することができ、その一方で、摺動部材間の摩擦係数及び冷凍機油の撹拌抵抗を十分に低減することができる。更に、上記潤滑油基油は十分な熱・酸化安定性を有しているため、上述した耐摩耗性向上効果、摩擦係数低減効果及び撹拌抵抗低減効果を長期にわたって安定的に得ることができる。したがって、本発明の冷凍機油をHFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などが用いられた冷凍空調機器に使用することによって、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化の双方が実現可能となる。
本発明によれば、HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化の双方を実現可能な冷凍機油が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明では、%Cが2以下、%C/%Cが6以上、ヨウ素価が2.5以下である潤滑油基油(以下、単に「本発明にかかる潤滑油基油」という。)が用いられる。
本発明にかかる潤滑油基油の%Cは、上述の通り2以下であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下である。潤滑油基油の%Cが上記上限値を超えると、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する。また、本発明にかかる潤滑油基油の%Cは0であってもよいが、%Cを0.1以上とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油における%Cと%Cとの比率(%C/%C)は、上述の通り6以上であり、7以上であることがより好ましい。%C/%Cが上記下限値未満であると、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下し、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する。また、%C/%Cは、35以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、14以下であることが更に好ましく、13以下であることが特に好ましい。%C/%Cを上記上限値以下とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油の%Cは、好ましくは80以上、より好ましくは82〜99、更に好ましくは85〜95、特に好ましくは87〜93である。潤滑油基油の%Cが上記下限値未満の場合、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。また、潤滑油基油の%Cが上記上限値を超えると、添加剤の溶解性が低下する傾向にある。
また、本発明にかかる潤滑油基油の%Cは、好ましくは19以下、より好ましくは5〜15、更に好ましくは7〜13、特に好ましくは8〜12である。潤滑油基油の%Cが上記上限値を超えると、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にある。また、%Cが上記下限値未満であると、添加剤の溶解性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう%C、%C及び%Cとは、それぞれASTM D 3238−85に準拠した方法(n−d−M環分析)により求められる、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率、及び芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率を意味する。つまり、上述した%C、%C及び%Cの好ましい範囲は上記方法により求められる値に基づくものであり、例えばナフテン分を含まない潤滑油基油であっても、上記方法により求められる%Cが0を超える値を示すことがある。
また、本発明にかかる潤滑油基油のヨウ素価は、前述の通り2.5以下であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.8以下であり、また、0.01未満であってもよいが、それに見合うだけの効果が小さい点及び経済性との関係から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.5以上である。潤滑油基油のヨウ素価を2.5以下とすることで、熱・酸化安定性を飛躍的に向上させることができる。なお、本発明でいう「ヨウ素価」とは、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、ヨウ素価、水酸基価及び不ケン化価」の指示薬滴定法により測定したヨウ素価を意味する。
本発明にかかる潤滑油基油は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであれば特に制限されない。具体的には、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あるいはノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油などのうち、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものが挙げられる。これらの潤滑油基油は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明にかかる潤滑油基油の好ましい例としては、以下に示す基油(1)〜(8)を原料とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる1種又は2種以上の混合油及び/又は当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(5)基油(1)〜(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の脱れき油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(8)基油(1)〜(7)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸又はアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
更に、本発明にかかる潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(9)又は(10)が特に好ましい。
(9)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油
(10)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
また、上記(9)又は(10)の潤滑油基油を得るに際して、好都合なステップで、必要に応じて溶剤精製処理及び/又は水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
また、上記水素化分解・水素化異性化に使用される触媒は特に制限されないが、分解活性を有する複合酸化物(例えば、シリカアルミナ、アルミナボリア、シリカジルコニアなど)又は当該複合酸化物の1種類以上を組み合わせてバインダーで結着させたものを担体とし、水素化能を有する金属(例えば周期律表第VIa族の金属や第VIII族の金属などの1種類以上)を担持させた水素化分解触媒、あるいはゼオライト(例えばZSM−5、ゼオライトベータ、SAPO−11など)を含む担体に第VIII族の金属のうち少なくとも1種類以上を含む水素化能を有する金属を担持させた水素化異性化触媒が好ましく使用される。水素化分解触媒及び水素化異性化触媒は、積層又は混合などにより組み合わせて用いてもよい。
水素化分解・水素化異性化の際の反応条件は特に制限されないが、水素分圧0.1〜20MPa、平均反応温度150〜450℃、LHSV0.1〜3.0hr−1、水素/油比50〜20000scf/bとすることが好ましい。
本発明にかかる潤滑油基油の製造方法の好ましい例としては、以下に示す製造方法Aが挙げられる。
すなわち、本発明にかかる製造方法Aは、
NH脱着温度依存性評価においてNHの全脱着量に対する300〜800℃でのNHの脱着量の分率が80%以下である担体に、周期律表第VIa族金属のうち少なくとも1種類と、第VIII族金属のうち少なくとも1種類とが担持された水素化分解触媒を準備する第1工程と、
水素化分解触媒の存在下、スラックワックスを50容量%以上含む原料油を、水素分圧0.1〜14MPa、平均反応温度230〜430℃、LHSV0.3〜3.0hr−1、水素油比50〜14000scf/bで水素化分解する第2工程と、
第2工程で得られた分解生成油を蒸留分離して潤滑油留分を得る第3工程と、
第3工程で得られた潤滑油留分を脱ろう処理する第4工程と
を備える。
以下、上記製造方法Aについて詳述する。
(原料油)
上記製造方法Aにおいては、スラックワックスを50容量%以上含有する原料油が用いられる。なお、本発明でいう「スラックワックスを50容量%以上含有する原料油」とは、スラックワックスのみからなる原料油と、スラックワックスと他の原料油との混合油であってスラックワックスを50容量%以上含有する原料油との双方が包含される。
スラックワックスは、パラフィン系潤滑油留分から潤滑油基油を製造する際、溶剤脱ろう工程で副生するワックス含有成分であり、本発明においては該ワックス含有成分をさらに脱油処理したものもスラックワックスに包含される。スラックワックスの主成分はn−パラフィン及び側鎖の少ない分岐パラフィン(イソパラフィン)であり、ナフテン分や芳香族分は少ない。原料油の調製に使用するスラックワックスの動粘度は、目的とする潤滑油基油の動粘度に応じて適宜選定することができるが、本発明にかかる潤滑油基油として低粘度基油を製造するには、100℃における動粘度が2〜25mm/s程度、好ましくは2.5〜20mm/s程度、より好ましくは3〜15mm/s程度の、比較的低粘度のスラックワックスが望ましい。また、スラックワックスのその他の性状も任意であるが、融点は、好ましくは35〜80℃、より好ましくは45〜70℃、さらに好ましくは50〜60℃である。また、スラックワックスの油分は、好ましくは質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。また、スラックワックスの硫黄分は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、また、好ましくは0.001質量%以上である。
ここで、十分に脱油処理されたスラックワックス(以下、「スラックワックスA」という。)の油分は、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。また、スラックワックスAの硫黄分は、好ましくは0.001〜0.2質量%、より好ましくは0.01〜0.15質量%、さらに好ましくは0.05〜0.12質量%である。一方、脱油処理されないか、あるいは脱油処理が不十分であるスラックワックス(以下、「スラックワックスB」という。)の油分は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは12〜50質量%、さらに好ましくは15〜25質量%である。また、スラックワックスBの硫黄分は、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%、さらに好ましくは0.15〜0.25質量%である。なお、これらスラックワックスA、Bは、水素化分解/異性化触媒の種類や特性に応じて、脱硫処理が施されたものであってもよく、その場合の硫黄分は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
上記製造方法Aにおいては、上記スラックワックスAを原料として用いることで、%C、%C/%C及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たす本発明にかかる潤滑油基油を好適に得ることができる。また、上記製造方法Aによれば、油分や硫黄分が比較的高く、比較的粗悪で安価なスラックワックスBを原料として用いても、粘度指数が高く、低温特性及び熱・酸化安定性に優れた付加価値の高い潤滑油基油を得ることができる。
原料油がスラックワックスと他の原料油との混合油である場合、当該他の原料油としては、混合油全量に占めるスラックワックスの割合が50容量%以上であれば特に制限されないが、原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油の混合油が好ましく用いられる。
また、原料油がスラックワックスと他の原料油との混合油である場合、高粘度指数の基油を製造するという観点から、混合油に占めるスラックワックスの割合は、70容量%以上がより好ましく、75容量%以上が更により好ましい。当該割合が50容量%未満では、得られる潤滑油基油において芳香族分、ナフテン分などの油分が増大し、潤滑油基油の粘度指数が低下する傾向にある。
一方、スラックワックスと併用される原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油は、製造される潤滑油基油の粘度指数を高く保つため、300〜570℃の蒸留温度範囲に60容量%以上の留出成分を有する留分であることが好ましい。
(水素化分解触媒)
上記製造方法Aでは、NH脱着温度依存性評価においてNHの全脱着量に対する300〜800℃でのNHの脱着量の分率が80%以下である担体に、周期律表第VIa族金属のうち少なくとも1種類と、第VIII族金属のうち少なくとも1種類とが担持された水素化分解触媒が用いられる。
ここで、「NH脱着温度依存性評価」とは、文献(Sawa M., Niwa M., Murakami Y., Zeolites 1990,10,532、Karge H. G., Dondur V.,J.Phys.Chem. 1990,94,765など)に紹介されている方法であり、以下のようにして行われる。先ず、触媒担体を、窒素気流下400℃以上の温度で30分以上前処理し、吸着分子を除去した後に、100℃でNHを飽和するまで吸着させる。次いで、その触媒担体を100〜800℃まで10℃/分以下の昇温速度で昇温してNHを脱着させ、脱着により分離されたNHを所定温度ごとにモニターする。そして、NHの全脱着量(100〜800℃での脱着量)に対する、300℃〜800℃でのNHの脱着量の分率を求める。
上記製造方法Aで用いられる触媒担体は、上記のNH脱着温度依存性評価においてNHの全脱着量に対する300〜800℃でのNHの脱着量の分率が80%以下のものであり、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。かかる担体を用いて水素化分解触媒を構成することで、分解活性を支配する酸性質が十分に抑制されるので、水素化分解により原料油中のスラックワックス等に由来する高分子量n−パラフィンの分解異性化によるイソパラフィンの生成を効率よく且つ確実に行うことができ、且つ、生成したイソパラフィン化合物の過度の分解を充分に抑制することができるようになる。その結果、適度に枝分かれした化学構造を有する粘度指数の高い分子を、適度な分子量範囲で十分量与えることができる。
このような担体としては、アモルファス系であり且つ酸性質を有する二元酸化物が好ましく、例えば、文献(「金属酸化物とその触媒作用」、清水哲郎、講談社、1978年)などに例示されている二元酸化物が挙げられる。
中でも、アモルファス系複合酸化物であってAl、B、Ba、Bi、Cd、Ga、La、Mg、Si、Ti、W、Y、ZnおよびZrから選ばれる元素の酸化物2種類の複合による酸性質二元酸化物を含有することが好ましい。これらの酸性質二元酸化物の各酸化物の比率などを調整することにより、前記のNH吸脱着評価において、本目的に適した酸性質の担体を得ることができる。なお、当該担体を構成する酸性質二元酸化物は上記のうちの1種類であっても2種類以上の混合物であってもよい。また、当該担体は、上記酸性質二元酸化物からなるものであってもよく、あるいは当該酸性質二元酸化物をバインダーで結着させた担体であってもよい。
さらに、当該担体は、アモルファス系シリカ・アルミナ、アモルファス系シリカ・ジルコニア、アモルファス系シリカ・マグネシア、アモルファス系シリカ・チタニア、アモルファス系シリカ・ボリア、アモルファス系アルミナ・ジルコニア、アモルファス系アルミナ・マグネシア、アモルファス系アルミナ・チタニア、アモルファス系アルミナ・ボリア、アモルファス系ジルコニア・マグネシア、アモルファス系ジルコニア・チタニア、アモルファス系ジルコニア・ボリア、アモルファス系マグネシア・チタニア、アモルファス系マグネシア・ボリアおよびアモルファス系チタニア・ボリアから選ばれる少なくとも1種類の酸性質二元酸化物を含有することが好ましい。当該担体を構成する酸性質二元酸化物は上記のうちの1種類であっても2種類以上の混合物であってもよい。また、当該担体は、上記酸性質二元酸化物からなるものであってもよく、あるいは当該酸性質二元酸化物をバインダーで結着させた担体であってもよい。かかるバインダーとしては、一般に触媒調製に使用されるものであれば特に制限はないが、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、クレーから選ばれるかまたはそれらの混合物などが好ましい。
上記製造方法Aにおいては、上記の担体に、周期律表第VIa族の金属(モリブデン、クロム、タングステンなど)のうち少なくとも1種類と、第VIII族の金属(ニッケル、コバルト、パラジウム、白金など)のうち少なくとも1種類とが担持されて水素化分解触媒が構成される。これらの金属は、水素化能を担うものであり、酸性質担体によってパラフィン化合物が分解または枝分かれする反応を終結させ、適度な分子量と枝分かれ構造を有するイソパラフィンの生成に重要な役割を担っている。
水素化分解触媒における金属の担持量としては、第VIa族金属の担持量が金属1種類当たり5〜30質量%であり、第VIII族金属の担持量が金属1種類当たり0.2〜10質量%であることが好ましい。
さらに、上記製造方法Aで用いられる水素化分解触媒においては、第VIa族金属の1種類以上の金属としてモリブデンを5〜30質量%の範囲で含み、また、第VIII族金属の1種類以上の金属としてニッケルを0.2〜10質量%の範囲で含むことがより好ましい。
上記の担体と第VIa族金属の1種類以上と第VIII属金属の1種類以上の金属とで構成される水素化分解触媒は、硫化した状態で水素化分解に用いることが好ましい。硫化処理は公知の方法により行うことができる。
(水素化分解工程)
上記製造方法Aにおいては、上記の水素化分解触媒の存在下、スラックワックスを50容量%以上含む原料油を、水素分圧が0.1〜14MPa、好ましくは1〜14MPa、より好ましくは2〜7MPa;平均反応温度が230〜430℃、好ましくは330〜400℃、より好ましくは350〜390℃;LHSVが0.3〜3.0hr−1、好ましくは0.5〜2.0hr−1;水素油比が50〜14000scf/b、好ましくは100〜5000scf/bで水素化分解する。
かかる水素化分解工程においては、原料油中のスラックワックスに由来するn−パラフィンを分解する過程でイソパラフィンへの異性化を進行させることにより、流動点が低く、かつ粘度指数の高いイソパラフィン成分を生ぜしめるのであるが、同時に、原料油に含まれている高粘度指数化の阻害因子である芳香族化合物を単環芳香族化合物、ナフテン化合物及びパラフィン化合物に分解し、また、高粘度指数化の阻害因子である多環ナフテン化合物を単環ナフテン化合物やパラフィン化合物に分解することができる。なお、高粘度指数化の点からは、原料油中に高沸点で粘度指数の低い化合物が少ない方が好ましい。
また、反応の進行度合いを評価する分解率を下記式:
(分解率(容量%))=100−(生成物中の沸点が360℃以上の留分の割合(容量%))
のように定義すると、分解率は3〜90容量%であることが好ましい。分解率が3容量%未満では、原料油中に含まれる流動点の高い高分子量n−パラフィンの分解異性化によるイソパラフィンの生成や、粘度指数の劣る芳香族分や多環ナフテン分の水素化分解が不十分となり、また、分解率が90容量%を超えると潤滑油留分の収率が低くなり、それぞれ好ましくない。
(蒸留分離工程)
次いで、上記の水素化分解工程により得られる分解生成油から潤滑油留分を蒸留分離する。この際、軽質分として燃料油留分も得られる場合がある。
燃料油留分は脱硫、脱窒素が十分に行われ、また、芳香族の水素化も十分に行われた結果得られる留分である。このうち、ナフサ留分はイソパラフィン分が多く、灯油留分は煙点が高く、また、軽油留分はセタン価が高い等、燃料油としていずれも高品質である。
一方、潤滑油留分における水素化分解が不十分である場合には、その一部を再度水素化分解工程に供してもよい。また、所望の動粘度の潤滑油留分を得るため、潤滑油留分を更に減圧蒸留してもよい。なお、この減圧蒸留分離は次に示す脱ろう処理後に行ってもよい。
蒸発分離工程において、水素化分解工程で得られる分解生成油を減圧蒸留することにより、70Pale、SAE10、SAE20と呼ばれる潤滑油基油を好適に得ることができる。
原料油としてより低粘度のスラックワックスを使用した系は、70PaleやSAE10留分を多く生成するのに適しており、原料油として上記範囲で高粘度のスラックワックスを使用した系はSAE20を多く生成するのに適している。しかし、高粘度のスラックワックスを用いても、分解反応の進行程度によっては70Pale、SAE10を相当量生成する条件を選ぶこともできる。
(脱ろう工程)
上記の蒸留分離工程において、分解生成油から分留した潤滑油留分は流動点が高いので、所望の流動点を有する潤滑油基油を得るために脱ろうする。脱ろう処理は溶剤脱ろう法又は接触脱ろう法などの通常の方法で行うことができる。このうち、溶剤脱ろう法は一般にMEK、トルエンの混合溶剤が用いられるが、ベンゼン、アセトン、MIBK等の溶剤を用いてもよい。脱ろう油の流動点を−10℃以下にするために溶剤/油比1〜6倍、ろ過温度−5〜−45℃、好ましくは−10〜−40℃の条件で行うことが好ましい。なお、ここで除去されるろう分は、スラックワックスとして、水素化分解工程に再び供することができる。
上記製造方法においては、脱ろう処理に溶剤精製処理及び/又は水素化精製処理を付加してもよい。これらの付加する処理は潤滑油基油の紫外線安定性や酸化安定性を向上させるために行うもので、通常の潤滑油精製工程で行われている方法で行うことができる。
溶剤精製の際には、溶剤として一般にフルフラール、フェノール、N−メチルピロリドン等を使用し、潤滑油留分中に残存している少量の芳香族化合物、特に多環芳香族化合物を除去する。
また、水素化精製はオレフィン化合物や芳香族化合物を水素化するために行うもので、特に触媒を限定するものではないが、モリブデン等の第VIa族金属のうち少なくとも1種類と、コバルト、ニッケル等の第VIII族金属のうち、少なくとも1種類を担持したアルミナ触媒を用いて、反応圧力(水素分圧)7〜16MPa、平均反応温度300〜390℃、LHSV0.5〜4.0hr−1の条件下で行うことができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油の製造方法の好ましい例としては、以下に示す製造方法Bが挙げられる。
すなわち、本発明にかかる製造方法Bは、
触媒の存在下、パラフィン系炭化水素を含有する原料油を水素化分解及び/又は水素化異性化する第5工程と、
第5工程で得られる生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分を脱ろう処理する第6工程と、
を備える。
以下、上記製造方法Bについて詳述する。
(原料油)
上記製造方法Bにおいては、パラフィン系炭化水素を含有する原料油が用いられる。なお、本発明でいう「パラフィン系炭化水素」とは、パラフィン分子の含有率が70質量%以上の炭化水素をいう。パラフィン系炭化水素の炭素数は特に制限されないが、通常、10〜100程度のものが用いられる。また、パラフィン系炭化水素の製法は特に制限されず、石油系及び合成系の各種パラフィン系炭化水素を用いることができるが、特に好ましいパラフィン系炭化水素としては、ガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、GTLワックス等)が挙げられ、中でもFTワックスが好ましい。また、合成ワックスは、炭素数が好ましくは15〜80、より好ましくは20〜50のノルマルパラフィンを主成分として含むワックスが好適である。
原料油の調製に使用するパラフィン系炭化水素の動粘度は、目的とする潤滑油基油の動粘度に応じて適宜選定することができるが、本発明にかかる潤滑油基油として低粘度基油を製造するには、100℃における動粘度が2〜25mm/s程度、好ましくは2.5〜20mm/s程度、より好ましくは3〜15mm/s程度の、比較的低粘度のパラフィン系炭化水素が望ましい。また、パラフィン系炭化水素のその他の性状も任意であるが、パラフィン系炭化水素がFTワックス等の合成ワックスである場合、その融点は、好ましくは35〜80℃、より好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは60〜80℃である。また、合成ワックスの油分は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。また、合成ワックスの硫黄分は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、さらに好ましくは0.0001質量%以下である。
原料油が上記合成ワックスと他の原料油との混合油である場合、当該他の原料油としては、混合油全量に占める合成ワックスの割合が50容量%以上であれば特に制限されないが、原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油の混合油が好ましく用いられる。
また、原料油が上記合成ワックスと他の原料油との混合油である場合、高粘度指数の基油を製造するという観点から、混合油に占める合成ワックスの割合は、70容量%以上がより好ましく、75容量%以上が更により好ましい。当該割合が70容量%未満では、得られる潤滑油基油において芳香族分、ナフテン分などの油分が増大し、潤滑油基油の粘度指数が低下する傾向にある。
一方、合成ワックスと併用される原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油は、製造される潤滑油基油の粘度指数を高く保つため、300〜570℃の蒸留温度範囲に60容量%以上の留出成分を有する留分であることが好ましい。
(触媒)
製造方法Bで用いられる触媒は特に制限されないが、アルミノシリケートを含有する担体に、活性金属成分として周期律表第VI属b金属及び第VIII属金属から選ばれる1種以上が担持された触媒が好ましく用いられる。
アルミノシリケートとは、アルミニウム、珪素及び酸素の3元素で構成される金属酸化物をいう。また、本発明の効果を妨げない範囲で他の金属元素を共存させることもできる。この場合、他の金属元素の量はその酸化物としてアルミナ及びシリカの合計量の5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。共存可能な金属元素としては、例えばチタン、ランタン、マンガン等を挙げることができる。
アルミノシリケートの結晶性は、全アルミニウム原子中の4配位のアルミニウム原子の割合で見積もることができ、この割合は27Al固体NMRにより測定することができる。本発明で用いられるアルミノシリケートとしては、アルミニウム全量に対する4配位アルミニウムの割合が50質量%以上のものが好ましく、70質量%以上のものがより好ましく、80質量%以上のものがさらに好ましい。以下、アルミニウム全量に対する4配位アルミニウムの割合が50質量%以上のアルミノシリケートを「結晶性アルミノシリケート」という。
結晶性アルミノシリケートとしては、いわゆるゼオライトを使用することができる。好ましい例としては、Y型ゼオライト、超安定性Y型ゼオライト(USY型ゼオライト)、β型ゼオライト、モルデナイト、ZSM−5などが挙げられ、中でもUSYゼオライトが特に好ましい。本発明では結晶性アルミノシリケートの1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性アルミノシリケートを含有する担体の調製方法としては、結晶性アルミノシリケート及びバインダーの混合物を成型し、その成型体を焼成する方法が挙げられる。使用するバインダーについては特に制限はないが、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシアが好ましく、中でもアルミナが特に好ましい。バインダーの使用割合は特に制限されないが、通常、成型体全量基準で5〜99質量%が好ましく、20〜99質量%がより好ましい。結晶性アルミノシリケート及びバインダーを含有する成型体の焼成温度は、430〜470℃が好ましく、440〜460℃がより好ましく、445〜455℃がさらに好ましい。また、焼成時間は特に制限されないが、通常1分〜24時間、好ましくは10分から20時間、より好ましくは30分〜10時間である。焼成は空気雰囲気下で行ってもよいが、窒素雰囲気下などの無酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
また、上記担体に担持される第VI属b金属としてはクロム、モリブデン、タングステン等が、第VIII属金属としては、具体的には、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等がそれぞれ挙げられる。これらの金属は、1種類を単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の金属を組み合わせる場合、白金、パラジウム等の貴金属同士を組み合わせてもよく、ニッケル、コバルト、タングステン、モリブデン等の卑金属同士を組み合わせてもよく、あるいは貴金属と卑金属とを組み合わせてもよい。
また、金属の担体への担持は、金属を含む溶液への担体の含浸、イオン交換等の情報により行うことができる。金属の担持量は、適宜選択することができるが、触媒全量基準で、通常0.05〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1質量%である。
(水素化分解/水素化異性化工程)
上記製造方法Bにおいては、上記触媒の存在下、パラフィン系炭化水素を含有する原料油を水素化分解/水素化異性化する。かかる水素化分解/水素化異性化工程は、固定床反応装置を用いて行うことができる。水素化分解/水素化異性化の条件としては、例えば温度は250〜400℃、水素圧は0.5〜10MPa、原料油の液空間速度(LHSV)は0.5〜10h−1がそれぞれ好ましい。
(蒸留分離工程)
次いで、上記の水素化分解/水素化異性化工程により得られる分解生成油から潤滑油留分を蒸留分離する。なお、製造方法Bにおける蒸留分離工程は製造方法Aにおける蒸留分離工程と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(脱ろう工程)
次いで、上記の蒸留分離工程において分解生成油から分留した潤滑油留分を脱ろうする。かかる脱ろう工程は、溶剤脱ろう又は接触脱ろう等の従来公知の脱ろうプロセスを用いて行うことができる。ここで、分解/異性化生成油中に存在する沸点370℃以下の物質が脱ろうに先立ち高沸点物質から分離されていない場合、分解/異性化生成油の用途に応じて、全水素化異性化物を脱ろうしてもよく、あるいは沸点370℃以上の留分を脱ろうしてもよい。
溶剤脱ろうにおいては、水素化異性化物を冷却ケトン及びアセトン、並びにMEK、MIBKなどのその他の溶剤と接触させ、さらに冷却して高流動点物質をワックス質固体として沈殿させ、その沈殿をラフィネートである溶剤含有潤滑油留分から分離する。さらに、ラフィネートをスクレープトサーフィス深冷器で冷却してワックス固形分を除去することができる。また、プロパン等の低分子量炭化水素類も脱ろうに使用可能であるが、この場合は分解/異性化生成油と低分子量炭化水素とを混合し、少なくともその一部を気化して分解/異性化生成油をさらに冷却してワックスを沈殿させる。ワックスは、ろ過、メンブランまたは遠心分離等によりラフィネートから分離する。その後、溶剤をラフィネートから除去し、ラフィネートを分留して、目的の潤滑油基油を得ることができる。
また、接触脱ろう(触媒脱ろう)の場合は、分解/異性化生成油を、適当な脱ろう触媒の存在下、流動点を下げるのに有効な条件で水素と反応させる。接触脱ろうでは、分解/異性化生成物中の高沸点物質の一部を低沸点物質へと転化させ、その低沸点物質をより重い基油留分から分離し、基油留分を分留し、2種以上の潤滑油基油を得る。低沸点物質の分離は、目的の潤滑油基油を得る前に、あるいは分留中に行うことができる。
脱ろう触媒としては、分解/異性化生成油の流動点を低下させることが可能なものであれば特に制限されないが、分解/異性化生成油から高収率で目的の潤滑油基油を得ることができるものが好ましい。このような脱ろう触媒としては、形状選択的分子篩(モレキュラーシーブ)が好ましく、具体的には、フェリエライト、モルデナイト、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−22(シータワン又はTONとも呼ばれる)、シリコアルミノホスフェート類(SAPO)などが挙げられる。これらのモレキュラーシーブは、触媒金属成分と組み合わせて使用することが好ましく、貴金属と組み合わせることがより好ましい。好ましい組合せとしては、例えば白金とH−モルデナイトとを複合化したものが挙げられる。
脱ろう条件は特に制限されないが、温度は200〜500℃が好ましく、水素圧は10〜200バール(1MPa〜20MPa)がそれぞれ好ましい。また、フロースルー反応器の場合、H2処理速度は0.1〜10kg/l/hrが好ましく、LHSVは0.1〜10−1が好ましく、0.2〜2.0h−1がより好ましい。また、脱ろうは、分解/異性化生成油に含まれる、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下の、初留点が350〜400℃である物質をこの初留点未満の沸点を有する物質へと転換するように行うことが好ましい。
以上、本発明にかかる潤滑油基油の好ましい製造方法である製造方法A及び製造方法Bについて説明したが、本発明にかかる潤滑油基油の製造方法はこれらに限定されない。例えば、上記製造方法Aにおいて、スラックワックスの代わりにFTワックス、GTLワックス等の合成ワックスを用いてもよい。また、上記製造方法Bにおいて、スラックワックス(好ましくはスラックワックスA、B)を含有する原料油を用いてもよい。さらに、製造方法A、Bのそれぞれにおいて、スラックワックス(好ましくはスラックワックスA、B)と、合成ワックス(好ましくはFTワックス、GTLワックス)とを併用してもよい。
なお、本発明にかかる潤滑油基油を製造する際に使用される原料油が、上記のスラックワックス及び/又は合成ワックスと、これらのワックス以外の原料油との混合油である場合、スラックワックス及び/又は合成ワックスの含有量は原料油全量基準で50質量%以上であることが好ましい。
また、本発明にかかる潤滑油基油を製造するための原料油としては、スラックワックス及び/又は合成ワックスを含有する原料油であって、油分が好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である原料油が好ましい。
また、本発明にかかる潤滑油基油における飽和分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、また、当該飽和分に占める環状飽和分の割合は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは0.1〜40質量%、更に好ましくは2〜30質量%、一層好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは10〜21質量%である。飽和分の含有量及び当該飽和分に占める環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件を満たすことにより、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性をより高水準で達成することができ、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合には、当該添加剤を潤滑油基油中に十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能をより高水準で発現させることができる。更に、潤滑油基油自体の摩擦特性を改善することができ、その結果、摩擦低減効果の向上、ひいては省エネルギー性の向上を達成することができる。
なお、飽和分の含有量が90質量%未満であると、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が不十分となる傾向にある。また、飽和分に占める環状飽和分の割合が40質量%を超えると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。更に、飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1質量%未満であると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に、当該添加剤の溶解性が低下して潤滑油基油中に溶解保持される当該添加剤の有効量が低下し、当該添加剤の機能を有効に得ることができなくなる傾向にある。また、飽和分の含有量は100質量%でもよいが、製造コストの低減及び添加剤の溶解性の向上の点から、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99質量%以下、特に好ましくは98.5質量%以下である。
本発明にかかる潤滑油基油において、その飽和分に占める環状飽和分の割合が40質量%以下であることは、飽和分に占める非環状飽和分が60質量%以上であることと等価である。ここで、非環状飽和分には直鎖パラフィン分及び分枝パラフィン分の双方が包含される。本発明にかかる潤滑油基油に占める各パラフィン分の割合は特に制限されないが、分枝パラフィン分の割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましくは55〜99質量%、より好ましくは57.5〜96質量%、更に好ましくは60〜95質量%、一層好ましくは70〜92質量%、特に好ましくは80〜90質量%である。潤滑油基油に占める分枝パラフィン分の割合が前記条件を満たすことにより、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性をより向上させることができ、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合には、当該添加剤を十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能を一層高水準で発現させることができる。また、潤滑油基油に占める直鎖パラフィン分の割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。直鎖パラフィン分の割合が上記条件を満たすことで、より低温粘度特性に優れた潤滑油基油を得ることができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油において、飽和分に占める1環飽和分及び2環以上の飽和分の含有量は特に制限されないが、飽和分に占める2環以上の飽和分の割合は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましく、また、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましく、11質量%以下であることが特に好ましい。また、飽和分に占める1環飽和分の割合は0質量%であってもよいが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、特に好ましくは4質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは11質量%以下である。
また、本発明にかかる潤滑油基油において、環状飽和分に含まれる1環飽和分の質量(M)と2環以上の飽和分の質量(M)との比(M/M)は、好ましくは20以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。また、M/Mは0であってもよいが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上である。M/Mが上記条件を満たすことにより、粘度−温度特性と熱・酸化安定性とを一層高水準で両立することができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油において、環状飽和分に含まれる1環飽和分の質量(M)と2環飽和分の質量(M)との比(M/M)は、好ましくは3以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下、特に好ましくは1.2以下である。また、M/Mは0であってもよいが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上である。M/Mが上記条件を満たすことにより、粘度−温度特性と熱・酸化安定性とを一層高水準で両立することができる。
なお、本発明でいう飽和分の含有量とは、ASTM D 2007−93に準拠して測定される値(単位:質量%)を意味する。
また、本発明でいう飽和分に占める環状飽和分、1環飽和分、2環以上の飽和分及び非環状飽和分の割合とは、それぞれASTM D 2786−91に準拠して測定されるナフテン分(測定対象:1環〜6環ナフテン、単位:質量%)及びアルカン分(単位:質量%)を意味する。
また、本発明でいう潤滑油基油中の直鎖パラフィン分とは、前記ASTM D 2007−93に記載された方法により分離・分取された飽和分について、以下の条件でガスクロマトグラフィ分析を行い、当該飽和分に占める直鎖パラフィン分を同定・定量したときの測定値を、潤滑油基油全量を基準として換算した値を意味する。なお、同定・定量の際には、標準試料として炭素数5〜50の直鎖パラフィンの混合試料が用いられ、飽和分に占める直鎖パラフィン分は、クロマトグラムの全ピーク面積値(希釈剤に由来するピークの面積値を除く)に対する各直鎖パラフィンに相当に相当するピーク面積値の合計の割合として求められる。
(ガスクロマトグラフィ条件)
カラム:液相無極性カラム(長さ25mm、内径0.3mmφ、液相膜厚さ0.1μm)昇温条件:50℃〜400℃(昇温速度:10℃/min)
キャリアガス:ヘリウム(線速度:40cm/min)
スプリット比:90/1
試料注入量:0.5μL(二硫化炭素で20倍に希釈した試料の注入量)
また、潤滑油基油中の分枝パラフィン分の割合とは、前記飽和分に占める非環状飽和分と前記飽和分に占める直鎖パラフィン分との差を、潤滑油基油全量を基準として換算した値を意味する。
なお、飽和分の分離方法、あるいは環状飽和分、非環状飽和分等の組成分析の際には、同様の結果が得られる類似の方法を使用することができる。例えば、上記の他、ASTM D 2425−93に記載の方法、ASTM D 2549−91に記載の方法、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による方法、あるいはこれらの方法を改良した方法等を挙げることができる。
また、本発明にかかる潤滑油基油における芳香族分は、%C、%C/%C、及びヨウ素価が上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であり、また、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。芳香族分の含有量が上記上限値を超えると、粘度−温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。また、本発明にかかる潤滑油基油は芳香族分を含有しないものであってもよいが、芳香族分の含有量を上記下限値以上とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
なお、本発明でいう芳香族分とは、ASTM D 2007−93に準拠して測定された値を意味する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン及びこれらのアルキル化物、更にはベンゼン環が四環以上縮合した化合物、ピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ原子を有する芳香族化合物などが含まれる。
また、本発明にかかる潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは110以上である。粘度指数が前記下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性が低下する傾向にある。なお、本発明にかかる潤滑油基油の粘度指数の好ましい範囲は潤滑油基油の粘度グレードによるため、その詳細については後述する。
本発明にかかる潤滑油基油のその他の性状は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、本発明にかかる潤滑油基油は以下に示す各種性状を有することが好ましい。
本発明にかかる潤滑油基油における硫黄分の含有量は、その原料の硫黄分の含有量に依存する。例えば、フィッシャートロプシュ反応等により得られる合成ワックス成分のように実質的に硫黄を含まない原料を用いる場合には、実質的に硫黄を含まない潤滑油基油を得ることができる。また、潤滑油基油の精製過程で得られるスラックワックスや精ろう過程で得られるマイクロワックス等の硫黄を含む原料を用いる場合には、得られる潤滑油基油中の硫黄分は通常100質量ppm以上となる。本発明にかかる潤滑油基油においては、熱・酸化安定性の更なる向上及び低硫黄化の点から、硫黄分の含有量が100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、5質量ppm以下であることが特に好ましい。
また、コスト低減の点からは、原料としてスラックワックス等を使用することが好ましく、その場合、得られる潤滑油基油中の硫黄分は50質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましい。なお、本発明でいう硫黄分とは、JIS K 2541−1996に準拠して測定される硫黄分を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油における窒素分の含有量は、特に制限されないが、好ましくは5質量ppm以下、より好ましくは3質量ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下である。窒素分の含有量が5質量ppmを超えると、熱・酸化安定性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう窒素分とは、JIS K 2609−1990に準拠して測定される窒素分を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油の動粘度は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たす限りにおいて特に制限されないが、その100℃における動粘度は、好ましくは1.5〜20mm/s、より好ましくは2.0〜11mm/sである。潤滑油基油の100℃における動粘度が1.5mm/s未満の場合、蒸発損失の点で好ましくない。また、100℃における動粘度が20mm/sを超える潤滑油基油を得ようとする場合、その収率が低くなり、原料として重質ワックスを用いる場合であっても分解率を高めることが困難となるため好ましくない。
本発明においては、100℃における動粘度が下記の範囲にある潤滑油基油を蒸留等により分取し、使用することが好ましい。
(I)100℃における動粘度が1.5mm/s以上3.5mm/s未満、より好ましくは2.0〜3.0mm/sの潤滑油基油
(II)100℃における動粘度が3.0mm/s以上4.5mm/s未満、より好ましくは3.5〜4.1mm/sの潤滑油基油
(III)100℃における動粘度が4.5〜20mm/s、より好ましくは4.8〜11mm/s、特に好ましくは5.5〜8.0mm/sの潤滑油基油。
また、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは6.0〜80mm/s、より好ましくは8.0〜50mm/sである。本発明においては、40℃における動粘度が下記の範囲にある潤滑油留分を蒸留等により分取し、使用することが好ましい。
(IV)40℃における動粘度が6.0mm/s以上12mm/s未満、より好ましくは8.0〜12mm/sの潤滑油基油
(V)40℃における動粘度が12mm/s以上28mm/s未満、より好ましくは13〜19mm/sの潤滑油基油
(VI)40℃における動粘度が28〜50mm/s、より好ましくは29〜45mm/s、特に好ましくは30〜40mm/sの潤滑油基油。
上記潤滑油基油(I)及び(IV)は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、特に、低温粘度特性に優れ、粘性抵抗や撹拌抵抗を著しく低減することができる。また、流動点降下剤を配合することにより、−40℃におけるBF粘度を2000mPa・s以下とすることができる。なお、−40℃におけるBF粘度とは、JPI−5S−26−99に準拠して測定された粘度を意味する。
また、上記潤滑油基油(II)及び(V)は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、特に、低温粘度特性、揮発防止性及び潤滑性に優れる。例えば、潤滑油基油(II)及び(V)においては、−35℃におけるCCS粘度を3000mPa・s以下とすることができる。
また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)は、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、低温粘度特性、揮発防止性、熱・酸化安定性及び潤滑性に優れる。
更に、本発明にかかる潤滑油基油の動粘度は、冷凍機油が適用される冷凍空調機器の種類や冷媒の種類に応じて適宜選定することが好ましい。例えば、HFC冷媒が使用される冷凍空調機器に本発明の冷凍機油を適用する場合、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、耐摩耗性の点から、好ましくは12mm/s以上、より好ましくは15mm/s以上、更に好ましくは22mm/s以上であり、また、撹拌抵抗を低減できる点から、好ましくは500mm/s以下、より好ましくは320mm/s以下、更に好ましくは220mm/s以下、特に好ましくは150mm/s以下である。
炭化水素冷媒としてイソブタンが使用される冷蔵庫に本発明の冷凍機油を適用する場合、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、エネルギー効率の点から、好ましくは32mm/s以下、より好ましくは22mm/s以下、更に好ましくは12mm/s以下であり、また、耐摩耗性の点から、好ましくは4mm/s以上、より好ましくは6mm/s以上、更に好ましくは8mm/s以上である。
また、炭化水素冷媒としてプロパンが使用されるエアーコンディショナーに本発明の冷凍機油を適用する場合、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、耐摩耗性の点から、好ましくは12mm/s以上、より好ましくは22mm/s以上、更に好ましくは32mm/s以上である。また、撹拌抵抗を低減できる点から、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは450mm/s以下、より好ましくは320mm/s以下、更に好ましくは220mm/s以下、特に好ましくは150mm/s以下である。
また、二酸化炭素冷媒が使用される給湯器に本発明の冷凍機油を適用する場合、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、シール性の点から、好ましくは22mm/s以上、より好ましくは32mm/s以上、更に好ましくは40mm/s以上である。また、撹拌抵抗を低減できる点から、本発明にかかる潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは450mm/s以下、より好ましくは320mm/s以下、更に好ましくは220mm/s以下、特に好ましくは150mm/s以下である。
本発明にかかる潤滑油基油の粘度指数は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油(I)及び(IV)の粘度指数は、好ましくは105〜130、より好ましくは110〜125、さらに好ましくは120〜125である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の粘度指数は、好ましくは125〜160、より好ましくは130〜150、更に好ましくは135〜150である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の粘度指数は、好ましくは135〜180、より好ましくは140〜160である。粘度指数が前記下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性が低下する傾向にある。また、粘度指数が前記上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油の20℃における屈折率は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の20℃における屈折率は、好ましくは1.455以下、より好ましくは1.453以下、更に好ましくは1.451以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の20℃における屈折率は、好ましくは1.460以下、より好ましくは1.457以下、更に好ましくは1.455以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の20℃における屈折率は、好ましくは1.465以下、より好ましくは1.463以下、更に好ましくは1.460以下である。屈折率が前記上限値を超えると、その潤滑油基油の粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
また、本発明にかかる潤滑油基油の流動点は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−12.5℃以下、更に好ましくは−15℃以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下、更に好ましくは−17.5℃以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−12.5℃以下、更に好ましくは−15℃以下である。流動点が前記上限値を超えると、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう流動点とは、JIS K 2269−1987に準拠して測定された流動点を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油の−35℃におけるCCS粘度は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の−35℃におけるCCS粘度は、好ましくは1000mPa・s以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の−35℃におけるCCS粘度は、好ましくは3000mPa・s以下、より好ましくは2400mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の−35℃におけるCCS粘度は、好ましくは15000mPa・s以下、より好ましくは10000mPa・s以下である。−35℃におけるCCS粘度が前記上限値を超えると、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう−35℃におけるCCS粘度とは、
JIS K 2010−1993に準拠して測定された粘度を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油の15℃における密度(ρ15、単位:g/cm)は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、下記式(1)で表されるρの値以下であること、すなわちρ15≦ρであることが好ましい。
ρ=0.0025×kv100+0.820 (1)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘度(mm/s)を示す。]
なお、ρ15>ρとなる場合、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のρ15は、好ましくは0.825g/cm3以下、より好ましくは0.820g/cm以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)のρ15は、好ましくは0.835g/cm以下、より好ましくは0.830g/cm以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のρ15は、好ましくは0.840g/cm以下、より好ましくは0.835g/cm以下である。
なお、本発明でいう15℃における密度とは、JIS K 2249−1995に準拠して15℃において測定された密度を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油のアニリン点(AP(℃))は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、下記式(2)で表されるAの値以上であること、すなわちAP≧Aであることが好ましい。
A=4.1×kv100+97 (2)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘度(mm/s)を示す。]
なお、AP<Aとなる場合、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のAPは、好ましくは108℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは112℃以上である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)のAPは、好ましくは113℃以上、より好ましくは116℃以上、更に好ましくは118℃以上、特に好ましくは120℃以上である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のAPは、好ましくは125℃以上、より好ましくは127℃以上、更に好ましくは128℃以上である。なお、本発明でいうアニリン点とは、JIS K 2256−1985に準拠して測定されたアニリン点を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油のNOACK蒸発量は、特に制限されないが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のNOACK蒸発量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは42質量%以下である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)のNOACK蒸発量は、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは14質量%以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のNOACK蒸発量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。NOACK蒸発量が前記下限値の場合、低温粘度特性の改善が困難となる傾向にある。また、NOACK蒸発量がそれぞれ前記上限値を超えると、潤滑油基油を内燃機関用潤滑油等に用いた場合に、潤滑油の蒸発損失量が多くなり、それに伴い触媒被毒が促進されるため好ましくない。なお、本発明でいうNOACK蒸発量とは、ASTM D 5800−95に準拠して測定された蒸発損失量を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油の蒸留性状は、ガスクロマトグラフィ蒸留で、初留点(IBP)が290〜440℃、終点(FBP)が430〜580℃であることが好ましく、かかる蒸留範囲にある留分から選ばれる1種又は2種以上の留分を精留することにより、上述した好ましい粘度範囲を有する潤滑油基油(I)〜(III)及び(IV)〜(VI)を得ることができる。
例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)の蒸留性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは260〜360℃、より好ましくは300〜350℃、更に好ましくは310〜350℃である。また、10%留出温度(T10)は、好ましくは320〜400℃、より好ましくは340〜390℃、更に好ましくは350〜380℃である。また、50%留出点(T50)は、好ましくは350〜430℃、より好ましくは360〜410℃、更に好ましくは370〜400℃である。また、90%留出点(T90)は、好ましくは380〜460℃、より好ましくは390〜450℃、更に好ましくは400〜440℃である。また、終点(FBP)は、好ましくは420〜520℃、より好ましくは430〜500℃、更に好ましくは440〜480℃である。また、T90−T10は、好ましくは50〜100℃、より好ましくは55〜85℃、更に好ましくは60〜70℃である。また、FBP−IBPは、好ましくは100〜250℃、より好ましくは110〜220℃、更に好ましくは120〜200℃である。また、T10−IBPは、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜60℃、更に好ましくは20〜50℃である。また、FBP−T90は、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは20〜60℃である。
また、上記潤滑油基油(II)及び(V)の蒸留性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは300〜380℃、より好ましくは320〜370℃、更に好ましくは330〜360℃である。また、10%留出温度(T10)は、好ましくは340〜420℃、より好ましくは350〜410℃、更に好ましくは360〜400℃である。また、50%留出点(T50)は、好ましくは380〜460℃、より好ましくは390〜450℃、更に好ましくは400〜460℃である。また、90%留出点(T90)は、好ましくは440〜500℃、より好ましくは450〜490℃、更に好ましくは460〜480℃である。また、終点(FBP)は、好ましくは460〜540℃、より好ましくは470〜530℃、更に好ましくは480〜520℃である。また、T90−T10は、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃、更に好ましくは80〜90℃である。また、FBP−IBPは、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜180℃、更に好ましくは130〜160℃である。また、T10−IBPは、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜60℃、更に好ましくは20〜50℃である。また、FBP−T90は、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃、更に好ましくは25〜35℃である。
また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)の蒸留性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは320〜480℃、より好ましくは350〜460℃、更に好ましくは380〜440℃である。また、10%留出温度(T10)は、好ましくは420〜500℃、より好ましくは430〜480℃、更に好ましくは440〜460℃である。また、50%留出点(T50)は、好ましくは440〜520℃、より好ましくは450〜510℃、更に好ましくは460〜490℃である。また、90%留出点(T90)は、好ましくは470〜550℃、より好ましくは480〜540℃、更に好ましくは490〜520℃である。また、終点(FBP)は、好ましくは500〜580℃、より好ましくは510〜570℃、更に好ましくは520〜560℃である。また、T90−T10は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは55〜100℃、更に好ましくは55〜90℃である。また、FBP−IBPは、好ましくは100〜250℃、より好ましくは110〜220℃、更に好ましくは115〜200℃である。また、T10−IBPは、好ましくは10〜100℃、より好ましくは15〜90℃、更に好ましくは20〜50℃である。また、FBP−T90は、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃、更に好ましくは25〜35℃である。
潤滑油基油(I)〜(VI)のそれぞれにおいて、IBP、T10、T50、T90、FBP、T90−T10、FBP−IBP、T10−IBP、FBP−T90を上記の好ましい範囲に設定することで、低温粘度の更なる改善と、蒸発損失の更なる低減とが可能となる。なお、T90−T10、FBP−IBP、T10−IBP及びFBP−T90のそれぞれについては、それらの蒸留範囲を狭くしすぎると、潤滑油基油の収率が悪化し、経済性の点で好ましくない。
なお、本発明でいう、IBP、T10、T50、T90及びFBPとは、それぞれASTM D 2887−97に準拠して測定される留出点を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油における残存金属分は、製造プロセス上余儀なく混入する触媒や原料に含まれる金属分に由来するものであるが、かかる残存金属分は十分除去されることが好ましい。例えば、Al、Mo、Niの含有量は、それぞれ1質量ppm以下であることが好ましい。これらの金属分の含有量が上記上限値を超えると、潤滑油基油に配合される添加剤の機能が阻害される傾向にある。
なお、本発明でいう残存金属分とは、JPI−5S−38−2003に準拠して測定される金属分を意味する。
また、本発明にかかる潤滑油基油によれば、%C、%C/%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすことにより、優れた熱・酸化安定性を達成することができるが、その動粘度に応じて以下に示すRBOT寿命を示すことが好ましい。例えば、上記潤滑油基油(I)及び(IV)のRBOT寿命は、好ましくは300min以上、より好ましくは320min以上、更に好ましくは330min以上である。また、上記潤滑油基油(II)及び(V)のRBOT寿命は、好ましくは350min以上、より好ましくは370min以上、更に好ましくは380min以上である。また、上記潤滑油基油(III)及び(VI)のRBOT寿命は、好ましくは400min以上、より好ましくは410min以上、更に好ましくは420min以上である。RBOT寿命がそれぞれ前記下限値未満の場合、潤滑油基油の粘度−温度特性及び熱・酸化安定性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合には当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
なお、本発明でいうRBOT寿命とは、潤滑油基油にフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール;DBPC)を0.2質量%添加した組成物について、JIS K 2514−1996に準拠して測定されたRBOT値を意味する。
本発明の冷凍機油においては、上記本発明にかかる潤滑油基油を単独で用いてもよく、また、本発明にかかる潤滑油基油を他の基油の1種又は2種以上と併用してもよい。なお、本発明にかかる潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める本発明にかかる潤滑油基油の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
本発明にかかる潤滑油基油と併用される他の基油としては、特に制限されないが、鉱油系基油としては、例えば100℃における動粘度が1〜100mm/sの溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化精製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる。
また、合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオールから選ばれる少なくとも1種と、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等、及びこれらの2種以上の混合物)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でも、ポリα−オレフィンが好ましい。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1−オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水素化物が挙げられる。
ポリα−オレフィンの製法は特に制限されないが、例えば、三塩化アルミニウム又は三フッ化ホウ素と、水、アルコール(エタノール、プロパノール、ブタノール等)、カルボン酸またはエステルとの錯体を含むフリーデル・クラフツ触媒のような重合触媒の存在下、α−オレフィンを重合する方法が挙げられる。
本発明の冷凍機油は、上記の潤滑油基油のみからなるものであってもよいが、その各種性能を一層向上させるために、以下に示す各種添加剤を更に含有することができる。
本発明の冷凍機油は、耐摩耗性を一層向上できる点から、リン系極圧剤を更に含有することが好ましい。リン系極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスフォロチオネートなどが挙げられる。
上記リン系極圧剤のうち、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル及び亜リン酸エステルは、リン酸又は亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等が挙げられる。
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等が挙げられる。
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等、が挙げられる。
ホスフォロチオネートとしては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2012111956
〜Rで示される炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)が挙げられる。
アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
上記R〜Rで示される炭素数1〜24の炭化水素基は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基であることが好ましく、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数7〜24のアルキルアリール基、フェニル基がより好ましい。
一般式(4)で表されるホスフォロチオネートとしては、具体的には、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
上記のリン系極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ホスフォロチオネートと該ホスフォロチオネート以外のリン系極圧剤とを組み合わせて用いると、本発明の冷凍機油の潤滑性を一層向上させることができる。
本発明の冷凍機油におけるリン系極圧剤の含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。リン系極圧剤の含有量が0.01質量%未満の場合、リン系極圧剤の使用による潤滑性向上効果が不十分となる傾向にある。また、リン系極圧剤の含有量は、冷凍機油全量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。リン系極圧剤の含有量が5質量%を超えても、含有量に見合う潤滑性向上効果が得られない傾向にあり、また、冷凍機油の安定性が損なわれるおそれがある。
また、本発明の冷凍機油は、油性剤を更に含有してもよい。かかる油性剤としては、アルコール油性剤、カルボン酸油性剤、エステル油性剤などが挙げられる。
本発明の冷凍機油においては、油性剤として、アルコール油性剤、カルボン酸油性剤及びエステル油性剤のうちの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性剤の含有量は任意であるが、耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果に優れる点から、合計組成物全量を基準として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。また、当該含有量は、冷媒雰囲気下及び低温下での析出防止性、並びに冷凍機油の熱・酸化安定性により優れる点から、組成物全量を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
また、本発明の冷凍機油は、エポキシ化合物を更に含有してもよい。エポキシ化合物を冷凍機油に含有せしめることにより、冷凍機油の安定性を向上することができる。
エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、アリルオキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル及びエポキシ化植物油から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を用いることが好ましい。
フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル等が好ましいものとして例示できる。
アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が例示できる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012111956
上記式(5)中、Rで示される炭素数1〜18の炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。この中でも、炭素数5〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基、フェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基が好ましい。
グリシジルエステル型エポキシ化合物の中でも、好ましいものとしては、具体的には例えば、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジル−tert−ブチルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が例示できる。
アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレン等が例示できる。
アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサン等が例示できる。
脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(6)で表される化合物のように、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している化合物が挙げられる。
Figure 2012111956
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等が例示できる。
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステル等が例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物等が例示できる。
これらのエポキシ化合物の中でも、より熱・酸化安定性を向上させることができることから、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステルが好ましく、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。
本発明においては、上記のエポキシ化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のエポキシ化合物を本発明の冷凍機油に含有させる場合、その含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。エポキシ化合物の含有量が0.01質量%未満の場合、冷凍機油の熱・酸化安定性向上効果が不十分となる傾向にある。また、エポキシ化合物の含有量は、冷凍機油全量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物の含有量が5質量%を超えると、冷凍機油の吸湿性が高められて冷凍システム内に水分が混入しやすくなり、エポキシ化合物の使用による安定性向上効果が有効に発揮されない傾向にある。
さらに、本発明の冷凍機油において、その性能をさらに高めるため、必要に応じて、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて含有させることも可能である。これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、それらの含有量の合計は、冷凍機油全量基準で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の冷凍機油の体積抵抗率は特に限定されないが、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましい。特に、密閉型冷凍機に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。なお、ここでいう体積抵抗率とは、JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値[Ω・cm]を意味する。
さらに、本発明の冷凍機油の水分含有量は特に限定されないが、冷凍機油全量基準で好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、冷凍機油の熱・酸化安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
さらにまた、本発明の冷凍機油の酸価は特に限定されないが、冷凍空調機器又は配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.5mgKOH/g以下、より好ましくは0.3mgKOH/g以下、更に好ましくは0.1mgKOH/g以下、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、ここでいう酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した値[mgKOH/g]を意味する。
さらにまた、本発明の冷凍機油の灰分は特に限定されないが、本発明の冷凍機油の熱・加水分解安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した値[ppm]を意味する。
上記構成を有する本発明の冷凍機油は、冷媒の存在下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化の双方を実現可能とするものである。ここで、本発明の冷凍機油と共に使用される冷媒は、HFC冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル等の非フッ素含有エーテル系冷媒及び二酸化炭素や炭化水素等の自然系冷媒と共に好適に使用される。これらの冷媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
HFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)等のHFC、又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物等が好ましい例として挙げられる。さらに具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)等が挙げられる。
また、自然系冷媒としては、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒、アンモニア等が挙げられる。炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
本発明の冷凍機油は、通常、冷凍機(例えば、冷凍空調機器)中においては上述したような冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。この流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100質量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500質量部、より好ましくは2〜400質量部である。
本発明の冷凍機油は、潤滑性、冷媒相溶性、低温流動性、安定性などの要求性能全てをバランスよく十分に満足させるものであり、往復動式あるいは回転式の開放型や半密閉型又は密閉型圧縮機を有する冷凍機あるいはヒートポンプなどに好適に使用することができる。特に、鉛含有軸受を用いた冷凍機に用いた場合には、鉛含有軸受からの鉛の溶出の抑制と熱・化学的安定性との双方を高水準で両立することが可能となる。かかる冷凍機器として、より具体的には、自動車用エアコン、除湿器、冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラントなどの冷却装置、住宅用エアコン、パッケージエアコン、給湯用ヒートポンプ等が挙げられる。さらに、本発明の冷凍機油は、往復動式、回転式、遠心式等のいずれの形式の圧縮機にも使用可能である。
本発明の冷凍機油を好適に用いることのできる冷媒循環システムの構成としては、代表的には、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器がこの順でそれぞれ流路を介して接続されており、必要に応じて該流路中に乾燥器を具備するものが例示される。
冷媒圧縮機としては、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモータと、回転子に嵌着された回転軸と、回転軸受(鉛含有軸受)と、回転軸を介してモータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器内に滞留する高圧容器方式の圧縮機、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子からなるモータと、回転子に嵌着された回転軸と、回転軸受(鉛含有軸受)と、回転軸を介してモータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが密閉容器外へ直接排出される低圧容器方式の圧縮機、等が例示される。
モータ部の電機絶縁システム材料である絶縁フィルムとしては、ガラス転移点50℃以上の結晶性プラスチックフィルム、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド群から選ばれる少なくとも一種の絶縁フィルム、あるいはガラス転移温度の低いフィルム上にガラス転移温度の高い樹脂層を被覆した複合フィルムが、引っ張り強度特性、電気絶縁特性の劣化現象が生じにくく、好ましく用いられる。また、モータ部に使用されるマグネットワイヤとしては、ガラス転移温度120℃以上のエナメル被覆、例えば、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド及びポリアミドイミド等の単一層、あるいはガラス転移温度の低い層を下層に、高い層を上層に複合被覆したエナメル被覆を有するものが好ましく用いられる。複合被覆したエナメル線としては、ポリエステルイミドを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/EI)、ポリエステルを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの(AI/PE)等が挙げられる。
乾燥器に充填する乾燥剤としては、細孔径3.3オングストローム以下、25℃の炭酸ガス分圧250mmHgにおける炭酸ガス吸収容量が、1.0%以下であるケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩よりなる合成ゼオライトが好ましく用いられる。具体的には、ユニオン昭和(株)製の商品名XH−9,XH−10,XH−11,XH−600等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[潤滑油基油の製造]
(基油1〜3)
溶剤精製基油を精製する工程において減圧蒸留で分離した留分を、フルフラールで溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤で溶剤脱ろうした。かかる溶剤脱ろうの際に除去されたワックス分(以下、「WAX1」という)を、潤滑油基油の原料として用いた。WAX1の性状を表1に示す。
Figure 2012111956
次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧5MPa、平均反応温度340℃、LHSV0.8hr−1の条件下で、WAX1の水素化分解を行った。水素化分解触媒としては、アモルファス系シリカ・アルミナ担体にニッケル及びモリブデンが担持された触媒を硫化した状態で用いた。
次に、上記の水素化分解で得られた分解生成物を減圧蒸留することにより原料油に対して20容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤を用いて、溶剤/油比2倍、ろ過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行い、粘度グレードの異なる3種類の潤滑油基油(以下、「基油1」、「基油2」及び「基油3」という。)を得た。
(基油4〜6)
ゼオライト700gとアルミナバインダー300gとを混合混練し、直径1/16インチ(約1.6mm)、高さ8mmの円柱状に成型した。得られた成型体を480℃で2時間焼成して担体を得た。この担体に、白金換算値で担体の1.0質量%となる量のジクロロテトラアミン白金(II)の水溶液を含浸し、125℃で2時間乾燥させ、380℃で1時間焼成することにより、目的の触媒を得た。
次に、得られた触媒を固定床流通式反応器に充填し、この反応器を用いて、パラフィン系炭化水素を含む原料油の水素化分解/水素化異性化を行った。本工程では、原料油として、パラフィン含量が95質量%であり、20から80までの炭素数分布を有するFTワックス(以下、「WAX2」という。)を用いた。WAX2の性状を表2に示す。また、水素化分解の条件は、水素圧3.5MPa、反応温度340℃、LHSV1.5h−1とし、原料に対し沸点370℃以下の留分(分解生成物)が25質量%(分解率25%)となる分解/異性化生成油を得た。
Figure 2012111956
次に、上記の水素化分解/水素化異性化工程で得られた分解/異性化生成油を減圧蒸留することにより、潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤を用いて、溶剤/油比3倍、ろ過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行い、粘度グレードの異なる3種類の潤滑油基油(以下、「基油4」、「基油5」及び「基油6」という。)を得た。
(基油7〜9)
溶剤精製基油を精製する工程において減圧蒸留で分離した留分を、フルフラールで溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤で溶剤脱ろうした。かかる溶剤脱ろうの際に除去されたスラックワックスをさらに脱油して得られたワックス分(以下、「WAX3」という。)を、潤滑油基油の原料として用いた。WAX3の性状を表3に示す。
Figure 2012111956
次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧5.5MPa、平均反応温度340℃、LHSV0.8hr1の条件下で、WAX3の水素化分解を行った。水素化分解触媒としては、アモルファス系シリカ・アルミナ担体にニッケル及びモリブデンが担持された触媒を硫化した状態で用いた。
次に、上記の水素化分解で得られた分解生成物を減圧蒸留することにより原料油に対して20容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤を用いて、溶剤/油比2倍、ろ過温度−30℃の条件で溶剤脱ろうを行い、粘度グレードの異なる3種類の潤滑油基油(以下、「基油7」、「基油8」及び「基油9」という。)を得た。
基油1〜9の各種性状及び性能評価試験結果を表4〜6に示す。
また、後述する比較例に用いる基油として、表7に示す基油10〜12(いずれも鉱油系基油)及び以下に示す基油13〜15及びを準備した。表7には基油7〜9の各種性状及び性能評価試験結果を示した。
(基油)
基油13:ポリα−オレフィン(40℃における動粘度:9.5mm/s)
基油14:ポリα−オレフィン(40℃における動粘度:21.5mm/s)
基油15:ポリα−オレフィン(40℃における動粘度:45.5mm/s)。
Figure 2012111956
Figure 2012111956
Figure 2012111956
Figure 2012111956
[実施例1〜9、比較例1〜3;イソブタン冷媒用冷凍機油]
実施例1〜9においては、表4に示した基油1、表5に示した基油4又は表6に示した基油7、並びに以下に示す添加剤を用いて、表8〜9に示す組成を有する冷凍機油を調製した。また、比較例1〜3においては、表7に示した基油10又は上記の基油13、並びに以下に示す添加剤を用いて、表9に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
(添加剤)
添加剤1:トリクレジルホスフェート
添加剤2:フェニルグリシジルエーテル。
次に、実施例1〜9及び比較例1〜3の冷凍機油について、以下のようにして性能評価試験を実施した。
(潤滑性試験A)
FALEX試験機(ASTM D2670)を用い、試料容器底部より冷媒(イソブタン)を吹き込みながら下記条件にてFALEX試験を実施した。この試験において、試験片であるピンとVブロックとの間の平均摩擦係数及び摩耗量を求め、冷凍機油の摩擦特性及び耐摩耗性を評価した。平均摩擦係数は試験時間中、1秒毎に摩擦力を測定し、得られた摩擦力を荷重で除し算出した。また、摩耗量は、FALEX試験終了前後のピン及びブロックの重量を測定し、重量の減少量として求めた。得られた結果を表8〜9に示す。
試験開始温度:25℃
試験時間:30分
荷重:200lbf(1078N)
冷媒吹き込み量:10L/h。
(安定性試験A)
容量200mlのオートクレーブに、冷凍機油80g、並びに触媒としての鉄線、銅線及びアルミニウム線(いずれも1.6mmφ×100mmのもの)を入れて密栓した。このオートクレーブをドライアイスエタノール溶液で十分に冷却した後、減圧ポンプによりオートクレーブ内の空気を除去し、次いでイソブタン冷媒10gを充填した。このオートクレーブを225℃で2週間保持し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた結果を表8〜9に示す。
Figure 2012111956
Figure 2012111956
[実施例10〜18、比較例4〜6;プロパン冷媒用冷凍機油]
実施例10〜18においては、表4に示した基油2、3、表5に示した基油5、6又は表6に示した基油8、9、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表10〜11に示す組成を有する冷凍機油を調製した。また、比較例4〜6においては、表7に示した基油11、12又は上記の基油14、15、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表11に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
次に、実施例10〜18及び比較例4〜6の冷凍機油について、以下のようにして性能評価試験を実施した。
(潤滑性試験B)
イソブタン冷媒の代わりにプロパン冷媒を用いたこと以外は潤滑性試験Aと同様にして、FALEX試験を実施し、平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。得られた結果を表10〜11に示す。
(安定性試験B)
イソブタン冷媒の代わりにプロパン冷媒を用いたこと以外は安定性試験Aと同様にして、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた結果を表10〜11に示す。
Figure 2012111956
Figure 2012111956
[実施例19〜27、比較例7〜9;二酸化炭素冷媒用冷凍機油]
実施例19〜27においては、表4に示した基油3、表5に示した基油6又は表6に示した基油9、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表12〜13に示す組成を有する冷凍機油を調製した。また、比較例7〜9においては、表7に示した基油12又は上記の基油15、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表13に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
次に、実施例19〜27及び比較例7〜9の冷凍機油について、以下のようにして性能評価試験を実施した。
(潤滑性試験C)
高圧摩擦試験機を用いて各冷凍機油の潤滑性を評価した。使用した試験機は、摺動部が高圧容器内に収容されたもので、高圧の二酸化炭素冷媒雰囲気下で摩擦試験を行うことが可能なものである。試験条件は、二酸化炭素冷媒の圧力を5MPa、試験温度を120℃、荷重を2000N、滑り速度を1m/sとした。また、試験片にはSUJ2の円筒状部材及びSUJ2のディスクを用い、円筒状部材の端面とディスクとを摺動させたときの平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。平均摩擦係数は試験時間中、1秒毎に摩擦力を測定し、得られた摩擦力を荷重で除し算出した。また、摩耗量は、試験終了前後のディスクの重量を測定し、重量の減少量として求めた。得られた結果を表12〜13に示す。
(安定性試験C)
イソブタン冷媒の代わりに二酸化炭素冷媒を用いたこと以外は安定性試験Aと同様にして、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた結果を表12〜13に示す。
Figure 2012111956
Figure 2012111956
[実施例28〜36、比較例10〜12;HFC冷媒用冷凍機油]
実施例28〜36においては、表4に示した基油1、表4に示した基油4又は表5に示した基油7、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表14〜15に示す組成を有する冷凍機油を調製した。また、比較例10〜12においては、表7に示した基油10又は上記の基油13、並びに上記の添加剤1、2を用いて、表15に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
次に、実施例28〜36及び比較例10〜12の冷凍機油について、以下のようにして性能評価試験を実施した。
(潤滑性試験D)
イソブタン冷媒の代わりにHFC134a冷媒を用いたこと以外は潤滑性試験Aと同様にして、FALEX試験を実施し、平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。得られた結果を表14〜15に示す。
(安定性試験D)
イソブタン冷媒の代わりにHFC134a冷媒を用いたこと以外は安定性試験Aと同様にして、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた結果を表14〜15に示す。
Figure 2012111956
Figure 2012111956

Claims (2)

  1. %Cが2以下、%C/%Cが6以上35以下、ヨウ素価が2.5以下であり、硫黄分が50質量ppm以下である潤滑油基油を含有することを特徴とする冷凍機油。
  2. 前記潤滑油基油が、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄又は白土処理のいずれかの精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油及びイソパラフィン系基油から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍機油。
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