JP2012110457A - 便蓋および便座の開閉機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構造により、一定のトルク以上のトルクが付加された場合でも、開閉機構内部のギアの破損または便蓋および便座の損傷を防止する。
【解決手段】モータにより歯車列12を回転させ、歯車列12に歯合された便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aを回転させ、便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aの回転軸1b、2bに接続された便蓋1または便蓋1と便座2とを開閉する便蓋および便座の開閉機構に、回転軸1bの便蓋開閉歯車1aと便蓋1との間および回転軸2bの便座開閉歯車2aと便座2との間に便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aの各々の回転軸1b、2bに一定のトルク以下において便蓋1と回転軸1bおよび便座2と回転軸2bとが伴回り、便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aの回転軸1b、2bに一定のトルクを超えるトルクが付加された際に便蓋1が回転軸1bおよび便座2が回転軸2bを支点に空転させる緩衝部材4を介在した。
【選択図】図1

Description

本発明は、人感センサーまたは開閉ボタンなどにより、自動的に便蓋や便座を開閉するための開閉機構に関するものである。
近年、図7に示すような便蓋1および便座2を備えた便座器3として、便座器3に人が近接した際に、人を感知するセンサにより、また、使用者が便座器3に設けられた開閉スイッチを操作することにより、便座器3の開閉ユニット3aに設けられているモータが駆動し、便蓋1および便座2の開閉機構を作動させて、便蓋1および便座2がその回転支軸1c、2cを支点に回動し、自動的に開閉するものが開発されている。
このような開閉機構を備えた便座器3においては、その使用形態によって、便蓋1のみを開閉する場合や、便蓋1および便座2を共に開閉する場合がある。このため、この開閉機構は、便蓋1および便座2を駆動するDCモータが、1つ以上設けられ、上記使用形態に応じて、適宜上記モータの駆動を制御して、便蓋1および便座2の開閉を行っている。
ところで、上記開閉機構を備えた便座器3においては、便蓋1または便座2が自動的に開閉している際に、便蓋1または便座2を手で押さえたり、また、便蓋1または便座2が自動的に開閉している際に、無理に手で便蓋1または便座2の開閉を行った場合に、モータの出力トルクが規定のトルク以上になるために、上記開閉機構内部のギアの破損、または便蓋1や便座2の損傷に繋がってしまうという問題がある。
そこで、上記問題を解決するための一般的な方法として、モータの回転をセンサによって検知することにより、モータの駆動中に外部から負荷を受けて、モータが停止またはロックされた場合に、制御装置によりモータの回転を反転させて、外部からの負荷をモータで受けながら、便座や便蓋を動作させて、開閉機構内部のギアの破損や便蓋および便座の損傷を防ぐものが提案されている。
ところが、上記従来の解決方法では、上記モータの回転を検知する上記センサと、このセンサの信号を受信してモータの回転を制御する上記制御装置を備える必要がある。また、人が便座や便蓋を押す際のトルクが、概ね20N・m以上と高いために、ギアの強度を増すために高価な金属ギア、または、この金属ギアの径寸法より大きな樹脂ギアを用いる必要がある。そのため、上記開閉機構が複雑になるとともに、上記開閉機構自体が大型になり、製造コストが嵩むとともに、便座器自体も大型化してしまうという問題がある。
また、下記特許文献1においては、モータと、該モータの駆動力を減速して出力するための動力伝達輪列とを有する歯車付きモータ装置であって、前記動力伝達輪列は、前記モータの側に太陽歯車が機械的に接続されて、当該太陽歯車の回転を遊星歯車を介して出力歯車に向けて出力する遊星歯車機構を備え、前記太陽歯車には、トルクリミッタが組み込まれた便蓋および便座の開閉機構が提案されている。
この従来の便蓋および便座の開閉機構は、遊星歯車機構の太陽歯車に、トルクリミッタが組み込まれているため、便蓋や便座に外部からの衝撃などが加わった際に、トルクリミッタが作動してトルクを制御し、歯車の破損を防止している。また、トルクリミッタで制御するトルクが、遊星歯車機構で減速する前の比較的に低いトルクであり、また、トルクに大きなばらつきがないことから、径寸法の小さい樹脂製歯車を用いることができる。
特開2006−183468号公報
しかしながら、上記従来の便蓋および便座の開閉機構においては、上記開閉機構に用いられる上記太陽歯車内にトルクリミッタを組み込むため、上記開閉機構自体が複雑になるとともに、外部の衝撃などの過大トルクを上記太陽歯車でも受けることになり、故障に繋がり易い。また、トルクリミッタが破損した場合には、上記開閉機構を分解して修理および交換する必要がある。これにより、製造コストやメンテナンスコストが嵩むという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡便な構造により、一定のトルク以上のトルクが付加された場合でも、開閉機構内部のギアの破損または便蓋および便座の損傷を防止する便蓋および便座の開閉記憶を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータの駆動により、歯車列を回転させるとともに、この歯車列に歯合された便蓋開閉歯車および便座開閉歯車を回転させ、この便蓋開閉歯車および便座開閉歯車の各々の回転軸に接続された便蓋または当該便蓋と便座とを開閉する便蓋および便座の開閉機構において、上記回転軸の上記便蓋開閉歯車と上記便蓋との間および上記回転軸の上記便座開閉歯車と上記便座との間に、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車の各々の上記回転軸に一定のトルク以下において、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の上記回転軸とが各々伴回りするとともに、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車の各々の上記回転軸に上記一定のトルクを超えるトルクが付加された際に、上記便蓋が上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座が上記便座開閉歯車の上記回転軸を支点に各々空転させる緩衝部材を介在したことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記緩衝部材は、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車および上記便座と上記便座開閉歯車との各々の接続部において、上記一定のトルクのしきい値を粘性摩擦力により調整するオイルダンパであることを特徴とするものである。
そして、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、上記オイルダンパには、上記粘性摩擦力を調整する緩衝翼が設けられていることを特徴とするものである。
請求項1〜3に記載の本発明によれば、回転軸の便蓋開閉歯車と便蓋との間および回転軸の便座開閉歯車と便座との間に介在する緩衝部材が、一定のトルク以下において、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の上記回転軸とが各々伴回りするとともに、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車の上記回転軸に上記一定のトルクを超えるトルクが付加された際に、上記便蓋が上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座が上記便座開閉歯車の上記回転軸を支点に各々空転するため、モータの駆動が歯車列を介して、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車に伝達されることにより、上記便蓋および上記便座をスムーズに開閉することができるとともに、上記便蓋および上記便座の開閉中に、人が強制的に開閉したとしても、この強制開閉による過大なトルクが、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車に伝達されることを防止することができる。これにより、上記便蓋開閉歯車および便座開閉歯車または歯車列の破損、さらには上記便蓋および上記便座の損傷を防ぐことができる。
また、上記緩衝部材を、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の回転軸との間に介在させるため、取り付けや取り外しが容易に行えるとともに、上記便蓋や上記便座の取付部の形状または大きさに合わせて製造することができる。この結果、上記歯車列を解体することなく、修理や補修などのメンテナンスを容易に行うことができるとともに、製造コストを抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、上記緩衝部材が、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車および上記便座と上記便座開閉歯車との接続部のトルクを粘性摩擦力により調整するオイルダンパであるため、構造を簡素化することができるとともに、製造コストを抑えることができる。
また、上記オイルダンパが、上記粘性摩擦力におけるせん断応力の作用によりトルクを調整するため、上記オイルダンパに内包されている油の粘性を変更することにより、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の回転軸を伴回りまたは空転されるためのトルクのしきい値を調整することができる。
請求項3に記載の発明によれば、上記オイルダンパに、上記粘性摩擦力のせん断応力の作用を調整する緩衝翼が設けられているため、この緩衝翼の枚数や形状を変更することにより、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の上記回転軸を伴回りまたは空転させるためのトルクのしきい値を調整することができる。
本発明の便蓋および便座の開閉機構の一実施形態を示す概略構成図である。 上記実施形態における駆動機構を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態における歯車の配置を示す概略構成図である。 第1中間歯車の主歯車の係合凸部を示し、(a)は側面図、(b)は当該係合凸部と第2中間歯車のピニオンとの係合状態を示す断面図である。 図1の一実施形態に用いるオイルダンパを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 図1の便蓋および便座の開閉機構の歯車列の一動作を示す概略構成図である。 一般的な便蓋および便座を有する便座器の斜視図である。
図1に示すように、本発明の便蓋および便座の開閉機構5の一実施形態は、便蓋1および便座2と、便蓋開閉歯車2aおよび便座開閉歯車2aと、一方側が便蓋1に接続されているとともに、他方側が便蓋開閉歯車1aの回転軸1bに接続されたオイルダンパ(緩衝部材)4および一方側が便座2に接続されているとともに、他方側が便座開閉歯車2aの回転軸2bに接続されたオイルダンパ4と、モータからの回転を便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aに伝達する歯車列12とにより概略構成され、開閉ユニット3a内に配設されている。
また、図2に示すように、本発明の便蓋および便座の開閉機構5の一実施形態に用いられる駆動機構6は、DCモータの出力歯車17と、この出力歯車17に歯合される駆動歯車16と、この駆動歯車16の回動により直線方向に可動するラック15とにより概略構成されている。なお、便座器3の構成については、図7に示したものと同様であるために、同一符号を付してその説明を簡略化する。
ここで、駆動歯車16は、円弧の一部がカットされ、このカット部に、駆動歯車16の回転により揺動する揺動軸16aが、径方向に延在し一体に設けられている。この揺動軸16aには、長孔16bが穿設されている。また、ラック15は、長孔16bに係合するピン15aが、ラック15の側面の中央部に形成されている。このピン15aが、揺動軸16aの長孔16bに係合されることにより、駆動歯車11の回動運動が、ラック15の直線運動に変換されるように構成されている。
そして、ラック15は、その上面側に、長手方向の両端部を除いて歯15bが形成されているとともに、歯15bの形成されていない両端部分15cに、それぞれ便蓋駆動歯車7および便座駆動歯車8が回転自在に配置されている。
さらに、図3に示すように、上記実施形態では、第2中間歯車9のピニオン9bには、周方向の所定の中心角度の範囲に歯の欠落領域9cが形成されているとともに、第2中間歯車9の主歯車9aには、周方向の所定の中心角度の範囲に歯の欠落領域9dが形成されている。そして、主歯車9aは、その欠落領域9dを便蓋開閉歯車1aに臨ませて配置されている。また、ピニオン9bは、その欠落領域9cを便座開閉歯車2aに臨ませるとともに、欠落領域9cによって形成される歯の回転方向始端9eを、主歯車9aにおける歯の回転方向始端9fよりもその回転方向の後方側に位置させて配置されている。
また、歯車列12は、モータの駆動側に便蓋駆動歯車7が配置されている。この便蓋駆動歯車7は、ピニオン7aが一体に形成されている。また、このピニオン7a側に第1中間歯車10が配置されている。この第1中間歯車10は、軸10aの両端部に、主歯車10bと幅歯車10cとが一体に設けられているとともに、軸受け13a、13bによって回転自在に設けられている。
そして、この第1中間歯車10の幅歯車10cが、便蓋駆動歯車7のピニオン7aと歯合されているとともに、主歯車10bが、便蓋開閉歯車1aに歯合されている。この便蓋開閉歯車1aは、回転軸1bの一方側と一体に設けられている。
他方、便座駆動歯車8に一体形成されたピニオン8aには、アイドル歯車11が歯合されている。このアイドル歯車11は、第2中間歯車9と歯合されるように配置されている。この第2中間歯車9は、ピニオン9bと主歯車9aとが一体に形成されている。また、第2中間歯車9は、その中心部に穿設された孔部に、第1中間歯車10の軸10aが緩く挿通されることにより、第1中間歯車10に相対的に回転自在かつ軸方向に移動自在に設けられている。
また、主歯車9aは、第1中間歯車10の主歯車10bと同一の径寸法に形成されている。そして、第2中間歯車9の主歯車9aと、便座器3の開閉ユニット3a内部に設けられた壁部3bとの間には、第2中間歯車9を第1中間歯車10側に付勢するスプリング14が介装されている。
そして、図4(a)および図4(b)に示すように、第2中間歯車9と対向する第1中間歯車10の主歯車10bの側面には、第2中間歯車9側に向けて突出するとともに、先端面に傾斜面18aが形成された係合凸部18が形成されている。この係合凸部18は、中心角θが40°となる円弧状に形成されており、周方向に180°間隔をおいた2カ所に形成されている。
さらに、第2中間歯車9のピニオン9bの対向する側面には、係合凸部18が係合するとともに、底部に上記傾斜面18aに沿う傾斜面19aが形成された凹部19が形成されている。
また、第2中間歯車9のピニオン9b側に、これと歯合して便座2を開閉するための便座開閉歯車2aが配置されている。この便座開閉歯車2aは、回転軸2bの一方側と一体に設けられている。また、第2中間歯車9の主歯車9aは、便蓋1を開閉するための便蓋開閉歯車1aと歯合する位置に配置されている。
そして、便蓋開閉歯車1aの回転軸1bの他方側および便座開閉歯車2aの回転軸2bの他方側には、各々オイルダンパ4が接続されている。このオイルダンパ4は、図5(a)および図5(b)に示すように、平面視において円形状に形成され、内側に空洞部4gが形成されているとともに、断面形状が凸状の上蓋部4bと、この蓋部4bの開口側に配設される下蓋部4cと、一端部が上蓋部4bの中心部に支承されるとともに、他端部が下蓋部4cの中心部を貫通して支承される支軸4eにより構成されている。なお、上蓋部4bおよび下蓋部4cとの間には、各々外周部近郷に円環状のパッキン4dが周設されている。また、図中番号4jは、係止突起である。
また、支軸4eは、軸線方向の中央部に、円板状のフランジ部が形成されているとともに、このフランジ部より下蓋部4c側に、支軸4eを最大静止摩擦力により嵌合するブラケット4fが配設されている。このブラケット4fは、パッキンの役割も兼ねている。また、上記フランジ部の上蓋部4b側には、支軸4eの径方向に突出するとともに、空洞部4g内に延在する緩衝翼4aが周設(図では2箇所)されている。
そして、上蓋部4bと下蓋部4cとの外周部には、外方に突出した締結部4hが3箇所間隔を置いて形成されている。この締結部4hは、下蓋部4c側の締結部4hが貫通するとともに、上蓋部4b側の締結部4hが穿設され、その内面にネジ山が螺設されている。そして、上蓋部4bと下蓋部4cとに形成された締結部4hに、ボルトpの螺合により、パッキン4dと、支軸4eに嵌合するブラケット4fにより、空洞部4gが密閉されている。また、この3箇所の締結部4hの間には、外方に突出した取付部4iが3箇所形成されている。この取付部4iは、上蓋部4b側と下蓋部4c側とが貫通して形成されている。
さらに、空洞部4gには、油が内包されている。この油は、粘性を変更することにより、緩衝翼4aに周設されている緩衝翼4aとの粘性摩擦力を調整して、支軸4eのトルクのしきい値を調整することができる。また、緩衝翼4aの枚数を形状を変更することにより、上記トルクのしきい値を調整することもできる。
そして、オイルダンパ4の上蓋部4b側に、便蓋1および便座2の回転支軸1c、2cが配設され、オイルダンパ4の取付部4iにボルトが挿通されて、回転支軸1c、2cに螺合されて取り付けられている。また、オイルダンパ4の下蓋部4c側に、便蓋開閉歯車1aの回転軸1bおよび便座開閉歯車2aの回転軸2bが配設され、各々回転軸1b、2bを、オイルダンパ4の下蓋部4cから突出した支軸4eに嵌合されて取り付けられている。
以上の構成による便蓋および便座の開閉機構5を便座器3に用いるには、まず、図7に示すように、人感センサーまたは開閉ボタン等により、自動的に便蓋や便座を開閉する便座器3などを使用する。そして、図1に示すように、便蓋開閉歯車1aの回転軸1bと便蓋1の回転支軸1cとの間、および便座開閉歯車2aの回転軸2bと便座2の回転支軸2cとの間に、オイルダンパ4を介在させる。
そして、便蓋1のみを開く場合には、図2に示す駆動機構6において、モータの出力歯車17を反時計回り方向に回転させる。この回転により、モータの出力歯車17が回転し、駆動歯車16が時計回り方向に回動して、揺動軸16aが図中右方に揺動する。そして、ラック15が同方向に移動することにより、ラック15の歯15bと歯合した便蓋駆動歯車7が回転する。
この結果、図1および図3に示すように、便蓋駆動歯車7のピニオン7aと歯合する第1中間歯車10の幅歯車10c、および軸10aを介して、主歯車10bが回転することにより、主歯車10bと歯合する便蓋開閉歯車1aが回転して、その回転が回転軸1bに伝わり、オイルダンパ4を介在して接続された便蓋1の回転支軸1cが回転するとともに、便蓋1が開く。このときに、オイルダンパ4には、便蓋1を持ち上げるための2.5N・m程度のトルクが付加されるが、空洞部4gに内包された油と支軸4eに周設された緩衝翼4aとの粘性摩擦力によりせん断応力が働き、支軸4eが回転すると、上記油とともにオイルダンパ4自体が回転する。これにより、モータの回転を便蓋1に伝達することができる。
このとき、便蓋1を無理に人の力で押された場合に、オイルダンパ4には、例えば、20N・m以上のトルクが付加される。この際には、付加されたトルクにより、支軸4eの緩衝翼4aと上記油との粘性摩擦力が低減しせん断応力が働かなくなるため、支軸4eが回転しても、空洞部4g内の上記油は流動しない。これにより、支軸4eは、オイルダンパ4内で空転することになり、過大なトルクが便蓋開閉歯車1aに伝達されない。
また、便蓋開閉歯車1aに臨む第2中間歯車9の主歯車9aは、その欠落領域9dを便蓋開閉歯車1aに臨ませて配置されているため、第2中間歯車9における摩擦と、スプリング14による摩擦とによって回転することがない。
さらに、図4および図6に示すように、第1中間歯車10の主歯車10bが、40°回転すると、第2中間歯車9は、そのピニオン9bの凹部19の傾斜面19aが、主歯車10bの係合凸部18の傾斜面18aによって押圧され、スプリング14を圧縮しながら、図5中右方に移動する。この結果、第2中間歯車9は、そのピニオン9aおよび主歯車9aが、各々便座開閉歯車2aおよび便蓋開閉歯車1aとの対向位置から外れた位置に置かれる。このようにして、便蓋1が開いて行き、モータの回転数が便蓋1の開方向停止位置に対応する値に達すると、これを検知したセンサーからの信号により当該モータが停止する。
他方、便蓋1および便座2を共に開く場合には、図2に示す駆動機構6において、モータ時計回り方向に回転させる。これにより、モータの出力歯車17が回転し、駆動歯車16が反時計回り方向に回動して、揺動軸16aが図中左方に揺動する。そして、ラック15が同方向に移動することにより、ラック15の歯15bと歯合した便座駆動歯車8が回転する。
そして、図1および図3に示すように、便座駆動歯車8と歯合するアイドル歯車11を介して、第2中間歯車9の主歯車9asおよびピニオン9bが回転する。これにより、主歯車9aが所定の角度を回転して欠落領域9dから、歯の回転方向始端9fに至った際に、便蓋開閉歯車1aが歯合して回転を開始することにより、その回転が回転軸1bに伝わり、オイルダンパ4を介在して接続された便蓋1の回転支軸1cが回転するとともに、便蓋1が先に開き始める。
次いで、第2中間歯車9がさらに回転すると、ピニオン9bの欠落領域9cから歯の回転方向始端9eに至ることにより、便座開閉歯車2aと歯合する。そして、便座開閉歯車2aの回転が回転軸2bに伝わり、オイルダンパ4を介在して接続された便蓋1の回転支軸1cが回転する。これにより、便蓋1の開きに対して、一定の遅れを持って便座2が開いて行く。このときに、オイルダンパ4には、便座2を持ち上げるための2.5N・m程度のトルクが付加されるが、空洞部4gに内包された油と支軸4eに周設された緩衝翼4aとの粘性摩擦力によりせん断応力が働き、支軸4eが回転すると、上記油とともにオイルダンパ4自体が回転する。これにより、モータの回転を便座2に伝達することができる。
このとき、便蓋1と同様に、便座2を無理に人の力で押された場合に、オイルダンパ4には、例えば、20N・m以上のトルクが付加される。この際には、付加されたトルクにより、支軸4eの緩衝翼4aと上記油との粘性摩擦力が低減しせん断応力が働かなくなるため、支軸4eが回転しても、空洞部4g内の上記油は流動しない。これにより、支軸4eは、オイルダンパ4内で空転することになり、過大なトルクが便座開閉歯車2aに伝達されない。
そして、便蓋1がその開方向の停止位置まで達すると、同様にこれを検知したセンサーからの信号によりモータが停止する。また、モータの電源を切ることにより、第1中間歯車10および第2中間歯車9における回転摩擦等により、自重を利用して便蓋1および便座2を閉めることができる。
上述の実施形態による便蓋および便座の開閉機構5によれば、オイルダンパ4が、2.5N・m程度のトルク以下において、便蓋1と便蓋開閉歯車1aおよび便座2と便座開閉歯車2aとを、各々伴回りさせるとともに、オイルダンパ4に2.5N・mを超えるトルクが付加された際に、便蓋1と便蓋開閉歯車1aの回転軸1bおよび便座2と便座開閉歯車2aの回転軸2bとを、オイルダンパ4の支軸4eを支点に空転させるため、
モータの駆動が駆動機構6を介して、便蓋駆動歯車7または便座駆動歯車8を回転させることにより、便蓋駆動歯車7または便座駆動歯車8に歯合された第1または第2中間歯車を介して、便蓋開閉歯車1aまたは上記便座開閉歯車を回転させることにより、便蓋1および便座2をスムーズに開閉することができるとともに、便蓋1および便座2の開閉中に、人が強制的に開閉したとしても、この強制開閉による過大なトルクが便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aに伝達されることを防止することができる。これにより、便蓋開閉歯車1aおよび便座開閉歯車2aまたは歯車列12の破損、さらには便蓋1および便座2の損傷を防ぐことができる。
また、オイルダンパ4を、便蓋1と便蓋開閉歯車1aの回転軸1bおよび便座2と便座開閉歯車2aの回転軸2bとの間に介在させるため、取り付けや取り外しが容易に行えるとともに、便蓋1や便座2の回転支軸1c、2cの形状または大きさに合わせて製造することができる。この結果、歯車列12を解体することなく、修理や補修などのメンテナンスを行うことができるとともに、製造コストを抑えることができる。
そして、オイルダンパ4が、粘性摩擦力におけるせん断応力の作用により、便蓋1と便蓋開閉歯車1aおよび便座2と便座開閉歯車2aとの接続部のトルクを調整するため、オイルダンパ4に内包されている油の粘性を変更することにより、便蓋1の回転支軸1cと便蓋開閉歯車1aの回転軸1bおよび便座2の回転支軸2cと便座開閉歯車2aの回転軸1bを伴回りまたは空転されるためのトルクのしきい値を調整することができる。
さらに、オイルダンパ4に、上記粘性摩擦力のせん断応力の作用を調整する緩衝翼4aが設けられているため、この緩衝翼4aの枚数や形状を変更することにより、便蓋1の回転支軸1cと便蓋開閉歯車1aの回転軸1bおよび便座2の回転支軸2cと便座開閉歯車2aの回転軸1bを伴回りまたは空転されるためのトルクのしきい値を調整することができる。
なお、上記実施の形態において、緩衝部材4を流体圧力によりトルクを調整するオイルダンパ4を用いる場合のみ説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、静止摩擦力を利用した緩衝部材4でも対応可能である。この場合に、トルクの調整は、最大静止摩擦力を調整することにより、トルクのしきい値を決定することになる。
また、この開閉機構における駆動機構として、図2に示したように、駆動歯車16とラック15とを組み合わせたものを使用した場合についてのみ説明したが、これに限るものではなく、例えばモータの出力歯車17に、内周面に一方向にのみ回転を許容するラッチェットタイプの係合部を有する便蓋駆動歯車7と便座駆動歯車8とを、互いの許容回転方向を逆にして取り付ける機構などの他の駆動機構を用いることもできる。
自動的に開閉する便蓋および便座の開閉機構に用いることができる。
1 便蓋
1a 便蓋開閉歯車
1a 回転軸
2 便座
2a 便座開閉歯車
2b 回転軸
3 便座器
3a 開閉ユニット
4 オイルダンパ(緩衝部材)
4a 緩衝翼
5 便蓋および便座の開閉機構
6 駆動機構
7 便蓋駆動歯車
8 便座駆動歯車
12 歯車列

Claims (3)

  1. モータの駆動により、歯車列を回転させるとともに、この歯車列に歯合された便蓋開閉歯車および便座開閉歯車を回転させ、この便蓋開閉歯車および便座開閉歯車の各々の回転軸に接続された便蓋または当該便蓋と便座とを開閉する便蓋および便座の開閉機構において、
    上記回転軸の上記便蓋開閉歯車と上記便蓋との間および上記回転軸の上記便座開閉歯車と上記便座との間に、上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車の各々の上記回転軸に一定のトルク以下において、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座と上記便座開閉歯車の上記回転軸とが各々伴回りするとともに、
    上記便蓋開閉歯車および上記便座開閉歯車の各々の上記回転軸に上記一定のトルクを超えるトルクが付加された際に、上記便蓋が上記便蓋開閉歯車の上記回転軸および上記便座が上記便座開閉歯車の上記回転軸を支点に各々空転させる緩衝部材を介在したことを特徴とする便蓋および便座の開閉機構。
  2. 上記緩衝部材は、上記便蓋と上記便蓋開閉歯車および上記便座と上記便座開閉歯車との各々の接続部において、上記一定のトルクのしきい値を粘性摩擦力により調整するオイルダンパであることを特徴とする請求項1に記載の便蓋および便座の開閉機構。
  3. 上記オイルダンパには、上記粘性摩擦力を調整する緩衝翼が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の便蓋および便座の開閉機構。
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