JP2012109125A - 非水電解質電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大容量電池においてラミネートフィルムの金属層とリード間またはリード同士の短絡を抑制するとともに、電池内部への水分浸入による電池特性の低下を抑制する。
【解決手段】 放電容量が3Ah以上50Ah以下かつ厚さが5mm以上20m以下であり、電池素子がラミネートフィルムで外装された非水電解質電池において、熱融着前のラミネートフィルムの厚さをt、熱融着前のラミネートフィルムの内面樹脂層の厚さをp、正極リードおよび負極リードの厚さをLとした場合、正極リードおよび負極リードがラミネートフィルムで挟まれ、熱融着された熱融着部の厚さTを、(t×2−p×2+5+L<T<t×2−5+L)の範囲の厚さとする。
【選択図】図8

Description

この発明は非水電解質電池に関し、特に、外装材にラミネートフィルムを用いて作製した大容量の非水電解質電池に関する。
近年、ラミネートフィルムで外装された大容量の二次電池を単独で、もしくは複数組み合わせたバッテリユニットとして用いる大型機器が多く登場している。
従来、ラミネートフィルムの用途としては、食品、医薬品の外装材およびフィルムなどが主であり、外装材として用いる場合の内容物は賞味期限、使用期限等が有るため、長期の信頼性は必ずしも必要でないものが多かった。一方、特に二次電池においては充放電を繰り返して使用することから、長期の信頼性が必要となる。
図1に、ラミネートフィルムを外装材として用いた電池の構成を示す。参照符号1で示されるのはラミネートフィルム10で外装した電池である。ラミネートフィルム10には導電性がないため、リード2をフィルムの貼り合わせ部分に挟み込むようにして導出する必要がある。この状態でラミネートフィルム10の内側樹脂フィルム同士を向かい合わせ、電池素子周辺部分を熱融着することにより密封封止される。このとき、熱融着によるシール幅を細くすることで内部の電池素子を大きく設計することができ、電池の高容量化を図ることが可能である
図2に、ラミネートフィルム10の主な構成の一例を示す。ラミネートフィルム10は、金属層11が外側樹脂層12および内側樹脂層13に挟まれた、防湿性、絶縁性を有する多層フィルムからなる。外側樹脂層12には外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからナイロン、またはポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。金属層11は水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を守る最も重要な役割を担っており、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウム(Al)が最もよく使われる。内側樹脂層13は熱や超音波で溶け、互いに融着する部分であるため、ポリオレフィンが適切であり、無延伸ポリプロピレン(CPP)が多用される。金属層11と外側樹脂層12または内側樹脂層13との間には、必要に応じて接着層14を設ける。
電池素子をラミネートフィルム10にて外装し熱融着する際、内側樹脂層13が溶融して互いに接着される。ところが、電池素子から導出したリード2の導出部においては、金属からなるリード2と内側樹脂層13が対向しているものの、リード2を構成する金属と内側樹脂層13を構成する例えばCPP等の樹脂との接着性が乏しい。そこで、図1および図3に示すように、リード2と内側樹脂層13との接着性を向上させるため、リード2の両面には金属との接着性に優れる樹脂材料が接着されている。これをシーラント3という。
ところで、ラミネートフィルムを外装材として用いた場合の問題点として、内部に水分が浸入し易く、浸入した水分が電池内部で望ましくない電気化学反応を起こすことにより、電池特性が低下するという問題が挙げられる。水分は金属層を通ることはできず、封止がきちんとなされていない部分から、もしくは内側樹脂層13を浸透することにより電池内に水分が浸入する。
内側樹脂層13から水分が浸入する場合、水分の浸入量は浸入経路断面積(内側樹脂層13の断面積)に比例し、浸入経路長さ(シール幅)に反比例する。そこで、内側樹脂層13を薄くして浸入経路断面積を小さくする、もしくはシール幅を広く取り、浸入経路長さを大きくして水分の浸入を防ぐ必要があるが、電池の高容量化という観点から、内側樹脂層13を薄くすることで経路を狭くし、浸入水分量を抑える方が好適である。この場合、ラミネートフィルム自体が薄くなるため、全体的に電池を大きく設計し、高容量化を図ることができる。
このとき、シール幅を狭くすることにより、シール部分の強度の確保が難しくなるという問題が生じる。この問題を解決するために、熱容量の大きい金属ブロックヒータを用いて熱融着をする必要がある。従来の厚さのラミネートフィルムを用いた場合、内側の内側樹脂層13にある程度の厚さが有り、熱融着時にリード2をかみ込んでも内側樹脂層13が金属ブロックヒータの圧力を吸収することができる。しかし、内側の内側樹脂層13が薄い場合、リード2が挟まれている部分に局所的に大きな圧力がかかり、リード2がせん断されてしまったり、リード2が内側樹脂層13を突き破って金属層11と短絡してしまうおそれがある。
そこで、以下の特許文献1に記載されているように、金属ブロックヒータ20のリード2に対応する部分に凹み21を形成し、位置合わせを行いながら熱融着することにより、上述のような問題を解決することが可能である(図4)。
また、さらに、下記の特許文献2に記載されているように、封止部のうちリード2を挟むリード導出部分の厚み、リード導出部分のラミネートフィルム端部の厚み、封止部のうちリードを挟まない部分の厚みの関係性を規定することにより、さらにリード2−金属層11間、もしくは正負極リード間の短絡を抑制することができる。
特開2000−348695号公報 特開2006−164868号公報
ところが、電池が大型化し、大容量の電池を作製するに当たり、特許文献1の規定のみでは十分に水分浸入を抑制することができないという問題が生じることが確認された。また、特許文献2で用いられる電池は本願が対象とする大容量電池ではなく、電池を構成する各部の厚み等の好適な範囲が異なる。このため、特許文献2の規定を本願が対象とする大容量電池に当てはめても、好適な厚さ範囲が得られない。
そこで、この発明では上記問題点に鑑み、大容量電池においてラミネートフィルムの金属層とリード間またはリード同士の短絡、ならびに水分浸入による電池特性の低下を抑制し、高安全性および高電池特性を実現する非水電解質電池を提供することを目的とする。
課題を解決するために、この発明の非水電解質電池は、正極および負極がセパレータを介して対向してなる電池素子と、
非水電解質と
金属層と、金属層の外面に形成された外側樹脂層と、金属層の内面に形成された内側樹脂層とが積層されてなり、熱融着により電池素子と非水電解質とを外装し内部に収容するラミネートフィルムと、
正極と電気的に接続され、ラミネートフィルムの熱融着された合わせ目から外部に導出される正極リードと、
負極と電気的に接続され、ラミネートフィルムの熱融着された合わせ目から外部に導出される負極リードと、
ラミネートフィルムと正極リードおよび負極リードとの間に設けられる密着部材と
を備え、
放電容量が3Ah以上50Ah以下かつ厚さが5mm以上20m以下であり、
熱融着前のラミネートフィルムの厚さをt、熱融着前のラミネートフィルムの内面樹脂層の厚さをp、正極リードおよび負極リードの厚さをLとした場合、
正極リードおよび負極リードがラミネートフィルムで挟まれ、熱融着された熱融着部の厚さTが、
t×2−p×2+5+L<T<t×2−5+L
であることを特徴とする。
なお、上述の放電容量は、非水電解質電池の公称容量であり、公称容量は、充電条件が上限電圧3.6V、充電電流0.5Cの定電圧定電流充電、放電条件が放電終止電圧2.5V、放電電流0.2Cの定電流放電の場合における放電容量から算出したものである。
また、上述の非水電解質電池においては、ラミネートフィルムの熱融着部が、内側樹脂層と密着部材とが互いに溶融して一体となった内面樹脂層が正極リードおよび負極リードの両面に形成されており、
ラミネートフィルムの熱融着前の内側樹脂層の厚さをp、密着部材の厚さをS、内面樹脂層の総厚をPとした場合、
0.05≦P/(p+s)×2≦0.25
であることを特徴とする。
この発明では、容量が3Ah以上50Ah以下の非水電解質電池において、電池外部に露出するラミネートフィルムの内側樹脂層からの水分浸入、ならびにラミネートフィルム−リード間またはリード同士の短絡を抑制することができる。
この発明によれば、電池内部への水分浸入によるガス発生や、短絡による抵抗上昇を抑制し、高い電池特性と高い安全性とを得ることができる。
ラミネートフィルムを外装材として用いた電池を示す斜視図である。 ラミネートフィルムの主な構成の一例を示す断面図である。 ラミネートフィルムとの接触を防ぐためのシーラントを接着したリードを用いて作製した電池を示す断面図である。 リードに大きな圧力がかかることを防ぐ熱融着方法を示す略線図である。 この発明を適用した非水電解質電池を構成する積層電極体の一例を示す略線図である。 この発明を適用した非水電解質電池に用いる正極および負極の一構成例を示す斜視図である。 この発明を適用した非水電解質電池の積層電極体の一構成例を示す斜視図である。 この発明を適用した電池のリード導出辺の断面図である。 この発明のを適用した非水電解質電池の外装材の一構成例を示す断面図である。 この発明の電池素子の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 この発明の電池素子の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 この発明の電池素子の電極タブと電極リードとの接続工程を示す工程図である。 この発明の電池素子のと接続した電極リードの折り曲げ工程を示す工程図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットの構成を示す分解斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(この発明の非水電解質電池の構成を示す例)
2.第2の実施の形態(他の構成の電池素子を用いる例)
3.第3の実施の形態(この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリモジュールの例)
1.第1の実施の形態
(1−1)非水電解質電池の構成
図5Aは、この発明の一実施の形態である非水電解質電池30の外観を示す斜視図であり、図5Bは、非水電解質電池30の構成を示す斜視分解図である。また、図5Cは、図5Aに示す非水電解質電池30の下面の構成を示す斜視図であり、図5Dは、図5Aの非水電解質電池30のa−a’断面を示す断面図である。なお、下記の説明では、非水電解質電池のうち、正極リード32および負極リード33が導出される部分をトップ部、トップ部に対向する部分をボトム部、トップ部とボトム部とに挟まれた両辺をサイド部とする。また、電極、電極リード等について、サイド部−サイド部方向を幅として説明する。
この発明の非水電解質電池30は、積層電極体40がラミネートフィルム31にて外装されたものであり、ラミネートフィルム31同士が封止された部分からは、積層電極体40と接続された正極リード32および負極リード33が電池外部に導出されている。
積層電極体40の厚みは、5mm以上20mm以下であることが好ましい。5mm未満であると、薄型であるため、蓄熱の影響が少なく、セル表面に凹凸がなくとも熱が逃げやすい傾向がある。一方、20mmを超えると、電池表面から電池中央部までの距離が大きくなりすぎて、電池表面からの放熱だけでは電池内に温度差ができてしまい、寿命性能に影響がでる傾向がある。
また、積層電極体40の放電容量は、3Ah以上50Ah以下であることが好ましい。3Ah未満であると、電池容量が小さいため、集電箔の厚みを厚くするなど電池容量を下げて抵抗を落とすなど他の手法でも発熱を抑えることができる傾向がある。50Ahを超えると、電池熱容量が大きくなり、放熱しにくくなってしまい、電池内での温度ばらつきも大きくなる傾向がある。ここで、上述の積層電極体40の放電容量は、非水電解質電池30の公称容量であり、公称容量は、充電条件が上限電圧3.6V、充電電流0.2Cの定電圧定電流充電、放電条件が放電終止電圧2.0V、放電電流0.2Cの定電流放電の場合における放電容量から算出したものである。
非水電解質電池30に収容される積層電極体40は、図6Aに示す矩形状の正極41と、図6Bに示す矩形状の負極42とが、セパレータ43を介して積層された構成である。具体的には、例えば図7Aおよび図7Bに示すように、正極41および負極42がつづら折りに折り曲げられたセパレータ43を介して交互に積層された構成である。また、図8は、この発明の非水電解質電池のリード導出辺における断面図(図5Aのb−b'断面)である。図9は、非水電解質電池30の外装材であるラミネートフィルム31の構造を示す断面図である。
[電池素子]
積層電極体40は、矩形状の正極41と、矩形状の負極42とがセパレータ43を介して交互に積層された積層型電極構造を有している。正極41および負極42の表面には、図示しないゲル電解質層が設けられていても良い。
積層電極体40からは、複数枚の正極41からそれぞれ延出される正極タブ41Cと、複数枚の負極42からそれぞれ延出される負極タブ42Cとが導出されている。複数枚重ねられた正極タブ41Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた正極タブ41Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接正極等の方法により正極リード32が接続されている。
また、正極41と同様に、負極タブ42Cは、複数枚重ねられた上で、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた負極タブ42Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接正極等の方法により負極リード33が接続されている。
[正極リード]
正極タブ41Cと接続する正極リード32は、例えばアルミニウム(Al)等からなる金属リード体を用いることができる。この発明の大容量の非水電解質電池30では、大電流を取り出すために、従来に比して正極リード32の幅を太く、厚みを厚く設定する。
図8に示す正極リード32の幅waは任意に設定可能であるが、正極リード32および負極リード33を同一辺から導出する場合には、正極41の幅Waの50%未満とする必要がある。正極リード32が、負極リード33と接触しない位置に設ける必要があるためである。また、ラミネートフィルム31の封止性と高電流充放電とを両立するために、正極リード32の幅waは正極41の幅Waの15%以上40%以下、すなわち0.15≦wa/Wa≦0.40とすることが好ましい。また、正極リード32の幅waは、大電流を取り出せるという点で、正極41の幅Waに対して35%以上40%以下、すなわち0.35≦wa/Wa≦0.40とすることがより好ましい。
正極リード32の厚みは、150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード32の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード32の厚みが250μmを超える場合、正極リード32が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム31の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
なお、正極リード32および負極リード33の一部分には、ラミネートフィルム31と正極リード32および負極リード33との接着性を向上させるための密着フィルムであるシーラント34がそれぞれ設けられる。シーラント34は、金属材料との接着性の高い樹脂材料により構成され、例えば正極リード32および負極リード33が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
シーラント34の厚みは、70μm以上130μm以下とすることが好ましい。70μm未満では正極リード32および負極リード33とラミネートフィルム31との接着性に劣り、130μmを超えると熱融着時における溶融樹脂の流動量が多く、製造工程上好ましくない。
[負極リード]
負極タブ42Cと接続する負極リード33は、例えばニッケル(Ni)等からなる金属リード体を用いることができる。この発明の大容量の非水電解質電池30では、大電流を取り出すために、従来に比して負極リード33の幅を太く、厚みを厚く設定する。負極リード33の幅は、後述する負極タブ42Cの幅と略同等とすることが好ましい。
図8に示す負極リード33の幅wbは任意に設定可能であるが、正極リード32および負極リード33を同一辺から導出する場合には、負極42の幅Wbの50%未満とする必要がある。負極リード33が、正極リード32と接触しない位置に設ける必要があるためである。また、ラミネートフィルム31の封止性と高電流充放電とを両立するために、負極リード33の幅wbは負極42の幅Wbの15%以上40%以下、すなわち0.15≦wb/Wb≦0.40とすることが好ましい。また、負極リード33の幅wbは、大電流を取り出せるという点で、負極42の幅Wbに対して35%以上40%以下、すなわち0.35≦wb/Wb≦0.40とすることがより好ましい。
負極リード33の厚みは、正極リード32と同様に150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード32の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード32の厚みが250μmを超える場合、正極リード32が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム31の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
なお、正極リード32の幅waと負極リード33の幅wbは通常同等の幅w(以下、正極リード32幅waおよび負極リード33幅wbが同等の場合には、正極リード32幅waおよび負極リード33幅wbを区別せずに電極リード幅wと適宜称する)とされる。そして、電極リード幅wは、正極41の幅Waと負極42の幅Wbが異なる場合には、正極41の幅Waと負極42の幅Wbのうち広い方の電極幅Wに対して15%以上40%以下、すなわち0.15≦w/W≦0.40とすることが好ましい。さらに、電極タブ幅wは、大電流を取り出せるという点で、電極幅Wに対して35%以上40%以下、すなわち0.35≦w/W≦0.40とすることがより好ましい。また、正極リード32および負極リード33を異なる辺から導出する場合には、大電流充放電の観点から電極タブ幅wは電極幅Wに対して50%以上100%以下であることが好ましい。
以下、正極41および負極42の構成について説明する。
[正極]
図6Aに示すように、正極41は、正極活物質を含有する正極活物質層41Bが、正極集電体41Aの両面上に形成されてなる。正極集電体41Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
正極集電体41Aは矩形状の主面部から延出する延出部を備えており、矩形状の主面部上に正極活物質層41Bが形成される。正極集電体41Aが露出した状態の延出部は、正極リード32を接続するための接続タブである正極タブ41Cとしての機能を備える。正極タブ41Cの幅は任意に設定可能である。特に、正極リード32および負極リード33を同一辺から導出する場合には、正極タブ41Cの幅は正極41の幅の50%未満とする必要がある。このような正極41は、矩形状の正極集電体41Aの一辺に、正極集電体露出部を設けるようにして正極活物質層41Bを形成し、不要な部分を切断することで得られる。
正極活物質層41Bは、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1-zCoz2(z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi(1-v-w)CovMnw2(v+w<1))、またはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)あるいはリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2-tNit4(t<2))などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnuPO4(u<1))などが挙げられる。
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。
更にまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上記リチウム含有化合物のいずれかより成る芯粒子の表面を、他のリチウム含有化合物のいずれかより成る微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化バナジウム(V25)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化マンガン(MnO2)などの酸化物、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などの二硫化物、二セレン化ニオブ(NbSe2)等のリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、ならびに、硫黄、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレンあるいはポリピロールなどの導電性高分子も挙げられる。もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
また、導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびこれらを主体とする共重合体等が用いられる。
[負極]
負極42は、負極活物質を含有する負極活物質層が、負極集電体の両面上に形成されてなる。負極集電体としては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔により構成されている。
負極集電体42Aは矩形状の主面部から延出する延出部を備えており、矩形状の主面部上に負極活物質層42Bが形成される。負極集電体42Aが露出した状態の延出部は、負極リード33を接続するための接続タブである負極タブ42Cとしての機能を備える。負極タブ42Cの幅は任意に設定可能である。特に、正極リード32および負極リード33を同一辺から導出する場合には、負極タブ42Cの幅は負極42の幅の50%未満とする必要がある。このような負極42は、矩形状の負極集電体42Aの一辺に、負極集電体露出部を設けるようにして負極活物質層42Bを形成し、不要な部分を切断することで得られる。
負極活物質層42Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。この際、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量は、正極の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。なお、結着剤および導電剤に関する詳細は、正極と同様である。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
上述の炭素材料の他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
特に、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、スズ(Sn)を第1の構成元素とし、そのスズ(Sn)に加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。勿論、この負極材料を上記した負極材料と共に用いてもよい。第2の構成元素は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を構成元素として含み、炭素(C)の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、スズ(Sn)およびコバルト(Co)の合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下の範囲内であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)などが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量特性またはサイクル特性がさらに向上するからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化が抑制されるからである。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物とは、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどであり、高分子化合物とは、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
なお、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記の負極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
負極活物質層42Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。負極活物質層42Bを気相法、液相法、溶射法若しくは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成する場合には、負極活物質層42Bと負極集電体42Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体42Aの構成元素が負極活物質層42Bに拡散し、あるいは負極活物質層42Bの構成元素が負極集電体42Aに拡散し、またはそれらの構成元素が互いに拡散し合っていることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層42Bの膨張および収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層42Bと負極集電体42Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD; Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が用いられる。
[セパレータ]
セパレータ43は、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されている。具体的には、例えばポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料からなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極41と負極42との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。の多孔質フィルムが最も有効である。
この発明の大容量の非水電解質電池において、セパレータの厚みは5μm以上40μm以下が好適に使用可能であり、10μm以上25μm以下がより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、膜の機械的強度が低下する。
[非水電解質電池の構成]
非水電解質電池30は、上述の様な積層電極体40が非水電解質とともにラミネートフィルム31に封入されたものであり、積層電極体40と電気的に接続された正極リード32および負極リード33がラミネートフィルム31の封止部から電池外部に導出される。まず、非水電解質およびラミネートフィルム31について説明する。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒に電解質塩が溶解されたものであり、積層電極体40とともにラミネートフィルム31内に封入される。非水電解質は、非水溶媒に電解質塩が溶解された非水電解液や、非水電解液をマトリクスポリマに取り込むことで形成されるポリマー電解質を用いることができる。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩の1種あるいは2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)がより好ましい。非水電解質の抵抗が低下するからである。特に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)と一緒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を用いるのが好ましい。高い効果が得られるからである。
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。非水電解質を備えた、電池などの電気化学デバイスにおいて、優れた容量、サイクル特性および保存特性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、溶媒としては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。十分な効果が得られるからである。この場合には、特に、高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)である炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンと、低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)である炭酸ジメチル、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルとを混合して含むものを用いることが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
ポリマー電解質を用いる場合、マトリクスポリマとして、非水溶媒に相溶可能な性質を有する高分子材料を用いる。このようなマトリクスポリマとしては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が用いられる。また、フッ素系ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[ラミネートフィルム]
積層電極体40を外装する外装材であるラミネートフィルム31は、図9に示すように、金属箔からなる金属層31aの両面に樹脂層を設けた構成とされている。ラミネートフィルムの一般的な構成は、外側樹脂層31b/金属層31a/内側樹脂層31cの積層構造で表すことができ、内側樹脂層31cが積層電極体40に対向するように形成されている。外側樹脂層31bおよび内側樹脂層31cと、金属層31aとの間には、厚さ2μm以上7μm以下程度の接着層を設けても良い。外側樹脂層31bおよび内側樹脂層31cは、それぞれ複数層で構成されてもよい。
金属層31aを構成する金属材料としては、耐透湿性のバリア膜としての機能を備えていれば良く、アルミニウム(Al)箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケル(Ni)箔およびメッキを施した鉄(Fe)箔などを使用することができる。なかでも、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることが好ましい。特に、加工性の点から、例えば焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)、(JIS A8079P−O)または(JIS A1N30−O)等を用いるのが好ましい。
金属層31aの厚みは、30μm以上100μm以下とすることが好ましい。30μm未満の場合、材料強度に劣ってしまう。また、100μmを超えた場合、加工が著しく困難になるとともに、ラミネートフィルム31の厚さが増してしまい、非水電解質電池の体積効率の低下につながってしまう。
内側樹脂層31cは、熱で溶けて互いに融着する部分であり、ポリエチレン(PE)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が使用可能であり、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
内側樹脂層31cの厚みは、20μm以上90μm以下とすることが好ましい。20μm未満では接着性が低下するとともに、圧力緩衝作用が不十分となってしまい、短絡が発生しやすくなる。また、90μmを超えると、内側樹脂層31cを通じて水分が浸入しやすくなっていまい、電池内部でのガス発生およびそれに伴う電池膨れ、ならびに電池特性の低下が生じるおそれがある。なお、内側樹脂層31cの厚みは、積層電極体40に外装前の状態における厚みである。積層電極体40に対してラミネートフィルム31を外装し、封止した後は、2層の内側樹脂層31cが互いに融着されるため、内側樹脂層31cの厚みは上記範囲から外れる場合もある。
外側樹脂層31bとしては、外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル等が用いられる。具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が用いられ、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
なお、内側樹脂層31c同士を熱融着により溶融させてラミネートフィルム31を接着するため、外側樹脂層31bは、内側樹脂層31cよりも高い融点を有することが好ましい。熱融着時に内側樹脂層31cのみを溶融させるためである。このため、外側樹脂層31bは、内側樹脂層31cとして選択された樹脂材料によって使用可能な材料を選択可能である。
外側樹脂層31bの厚みは、25μm以上50μm以下とすることが好ましい。25μm未満では保護層としての機能に劣り、50μmを超えると非水電解質電池の体積効率の低下につながってしまう。
上述の様な積層電極体40は、上述のラミネートフィルム31にて外装される。このとき、正極タブ41Cと接続された正極リード32および負極タブ42Cと接続された負極リード33がラミネートフィルム31の封止部から電池外部に導出される。図5Bに示されるように、ラミネートフィルム31には、予め深絞り加工により形成された電極体収納部36が設けられている。積層電極体40は、電極体収納部36に収納される。
この発明では、積層電極体40の周辺部をヒータヘッドによって加熱することにより、積層電極体40を両面から覆うラミネートフィルム31同士を熱融着させて封止する。特に、リード導出辺においては、正極リード32および負極リード33を避ける形状に切り欠きが設けられたヒータヘッドによってラミネートフィルム31を熱融着することが好ましい。正極リード32および負極リード33にかかる負荷を小さくして電池を作製することができるためである。この方法により、電池作製時のショートを防ぐことができる。
この発明の非水電解質電池30は、熱融着によるラミネートフィルム31の封止後におけるリード導出部の厚みを制御することにより、高い安全性および電池特性を備えている。
図8に、この発明の非水電解質電池のリード導出辺における断面図(図5Aのb−b'断面)を示す。正極リード32と負極リード33には、正極リード32および負極リード33とラミネートフィルム31の内側樹脂層31cとの接着性をよくするために、シーラント34が被覆されている。しかしながら、シーラント34は熱融着時に溶融して内側樹脂層31cと一体化するため、図8Bの熱融着部の断面図においては図示しない。
ここで、ラミネートフィルム31の厚さをt、ラミネートフィルム31の内面樹脂層の厚さをp、シーラント34の厚さをS、正極リード32および負極リード33の厚さをLとすると、リード導出部における熱融着前の厚さは(t×2+S×2+L)で表すことができる。ここで、ラミネートフィルム31の内面樹脂層とは、ラミネートフィルム31の金属層31aよりも電池内面側にある層の厚みであり、例えば熱融着前の内側樹脂層31cの総厚を示す。また、金属層31aと内側樹脂層31cとの間に接着層を設ける場合には、内側樹脂層31cの厚みと接着層の厚みの合計の厚みとする。
そして、第1の実施の形態の非水電解質電池において、正極リード32または負極リード33導出部における熱融着部の厚さTは、
t×2−p×2+5+L < T < t×2−5+L
を満たす関係にある。また、好ましくは、
t×2−p×2+10+L < T < t×2−10+L
を満たす関係にある。
リード導出部は熱融着時にヒータヘッドで加熱・加圧され、内側樹脂層31cの溶融樹脂が非加圧部に流れるため、熱融着後において熱融着部の厚さTはもとの厚さ(ラミネートフィルム2枚重ねた厚さ+シーラント2枚分の厚さ+リードの厚さ)よりも小さくなる。ただし、熱融着時にあまりにも強力な圧力をかけると溶融樹脂の流動量が多く、熱融着を行う樹脂が不足してしまい、封止性が損なわれて水分浸入する。この場合、水が電池内部で還元されてガス発生し、電池が膨らむ。また、金属層31aと正極リード32および負極リード33間において絶縁性を有する樹脂が不足すると、金属層31aと正極リード32または負極リード33、もしくは正極リード32および負極リード33の短絡が生じるおそれがある。
熱融着後における熱融着部の厚さTが(t×2−p×2+5+L)μmより大、すなわちラミネートフィルム31の金属層31aと、正極リード32および負極リード33との間の樹脂層の厚さが5μmより大であれば融着に関わる樹脂が不足せず、水分の浸入を十分に抑えるとともに、短絡を抑制することができる。
また、熱融着後における熱融着部の厚さTが(t×2−5+L)μmより小、すなわちラミネートフィルム31の金属層31aと、正極リード32および負極リード33との間の樹脂層の厚さが、熱融着前の内側樹脂層31cの厚さと比較して5μm以上の減少であればラミネートフィルム31同士の封止性が高く、水分浸入を抑制して高いサイクル特性を維持することができる。なお、シーラント34は、溶融してほとんどの樹脂が流動してしまう。
熱融着後における熱融着部の厚さTが(t×2−p×2+5+L)μm以下の場合、熱融着が十分になされず、電池内部に水分が浸入するおそれがある。また、例えば正極リード32および負極リード33のいずれかの切断面にバリがあった場合には、内面樹脂層を突き破って、バリとラミネートフィルム31の金属層31aとが短絡するおそれがある。また、熱融着部の厚さTが(t×2−5+L)μm以上の場合、十分に樹脂の溶融および内側樹脂層26cの同士の封止が行われていない可能性がある。この場合、電池内部に水分が浸入するおそれがある。また、封止が十分に行われた場合であっても、熱融着後の内面樹脂層の厚みが厚い場合、水分の浸入経路断面積が大きく、電池内部に水分が浸入しやすくなってしまう。
なお、ラミネートフィルム31の熱融着部は、内側樹脂層31cとシーラント34とが互いに溶融して一体となった内面樹脂層が形成されている。内面樹脂層は、熱融着部において金属層31a同士の間、ならびに、正極リード32および負極リード33と金属層31aとの間に形成されている。熱融着部の内面樹脂層の総厚は、熱融着前の内側樹脂層31cとシーラント34の合計の厚さと比較して5%以上25%以下であることが好ましい。すなわち、ラミネートフィルム31の熱融着前の内側樹脂層31cの厚さをp、シーラント34の厚さをSとし、ラミネートフィルム31の熱融着後における熱融着部の内面樹脂層の総厚をPとした場合、下記の式を満たすことが好ましい。
0.05≦P/(p+S)×2≦0.25
なお、熱融着部の内面樹脂層の総厚Pとは、熱融着部の厚みtから、正極リード32または負極リード33の厚さL、ラミネートフィルム31の金属層31aおよび外側樹脂層31bの厚さを引いたものである。
以上のように、熱融着後における正極リード32導出部分または負極タブ42C導出部分の熱融着部の厚さTを調整することにより、水分浸入経路となる内面樹脂層において高い封止性と水分浸入量の減少を両立することができる。
(1−2)非水電解質電池の製造方法
上述のような非水電解質電池は、以下のような工程で作製することができる。
[正極の作製]
正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを帯状の正極集電体41Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層41Bを形成し、正極シートとする。この正極シートを所定の寸法に切断し、正極41を作製する。このとき、正極集電体41Aの一部を露出するようにして正極活物質層41Bを形成する。そして、正極タブ41Cを形成するために、正極集電体露出部の不要な部分を切断する。これにより、正極タブ41Cが一体に形成された正極41が得られる。
[負極の作製]
負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体42Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層42Bを形成し、負極シートとする。この負極シートを所定の寸法に切断し、負極42を作製する。このとき、負極集電体42Aの一部を露出するようにして負極活物質層42Bを形成する。そして、負極タブ42Cを形成するために、負極集電体露出部の不要な部分を切断する。これにより、負極タブ42Cが一体に形成された負極42が得られる。
[積層工程]
次いで、図7Aおよび図7Bに示すように、正極41と負極42とを、つづら折りにしたセパレータ43間に交互に挿入し、例えば、セパレータ43、負極42、セパレータ43、正極41、セパレータ43、負極42・・・セパレータ43、負極42、セパレータ43となるように重ね合わせて所定数の正極41および負極42を積層する。続いて、正極41、負極42およびセパレータ43が密着するように押圧した状態で固定し、積層電極体40を作製する。固定には、接着テープ等の固定部材35を用いる。固定部材35は、図5Bに示すように、例えば積層電極体40の両サイド部およびボトム部に設ける。
なお、ゲル電解質を用いる場合は、正極41および負極42の両面にゲル電解質層を形成した後、セパレータ43を介して積層する。
また、他のゲル電解質形成方法として、予めセパレータ43の両面にマトリクスポリマを付着させておく方法がある。この場合、ラミネートフィルム31で外装後、非水電解液を注液して封止するとともに、電池外部から加圧・加熱することにより、非水電解液をマトリクスポリマに保持させてゲル電解質を形成することができる。
次に、複数枚の正極タブ41Cおよび複数枚の負極タブ42Cを断面U字状となるように折り曲げる。電極タブは、例えば下記のようにして折り曲げられる。
[第1のタブU字曲げ工程]
積層した正極41から引き出された複数の正極タブ41Cおよび積層した負極42から引き出された複数の負極タブ42Cを、断面略U字形状となるように折り曲げる。第1のU字曲げ工程は、予め正極タブ41Cおよび負極タブ42Cに最適なU字曲げ形状を持たせるための工程である。予め最適なU字曲げ形状を持たせることにより、後に正極リード32および負極リード33と接続後の正極タブ41Cおよび負極タブ42Cを折り曲げてU字曲げ部を形成する際に正極タブ41Cおよび負極タブ42Cに引張り応力などのストレスがかからないようにすることができる。
図10は、負極タブ42Cの第1のU字曲げ工程を説明する側面図である。図10においては、負極タブ42Cについて行われる各工程を説明する。なお、正極集電体41Aについても同様にして第1のU字曲げ工程が行われる。
まず、図10Aに示すように、U字曲げ用薄板51を有するワークセット台50aの上部に積層電極体を配設する。U字曲げ用薄板51は、積層電極体40の厚みよりもやや小さい分だけ、具体的には、少なくとも複数の負極タブ42C1〜負極タブ42C4の総厚分小さい分だけ、ワークセット台50aから突出するように設置されている。このような構成とすることにより、負極タブ42C4の曲げ外周側が積層電極体40の厚みの範囲内に位置するため、非水電解質電池30の厚みの増大や外観不良が生じるのを防止することができる。
続いて、図10Bに示すように、積層電極体40を下降させるか、もしくはワークセット台50aを上昇させる。このとき、積層電極体40とU字曲げ用薄板51との間隙が小さいほど非水電解質電池30のスペース効率が向上するため、例えば積層電極体40とU字曲げ用薄板51との間隙が徐々に小さくなるようにする。
図10Cに示すように、積層電極体40がワークセット台50a上に載置され、負極タブ42Cに曲げ部を形成した後、図10Dおよび図10Eに示すようにローラ52を下降させて負極タブ42CがU字形状に折り曲げられる。
U字曲げ用薄板51は、厚みが1mm以下、例えば0.5mm程度が好ましい。U字曲げ用薄板51には、このような薄さでも複数の正極タブ41Cまたは負極タブ42Cに曲げ形状を形成するために必要な強度を有する材料を用いることができる。U字曲げ用薄板51に必要な強度は、正極41および負極42の積層枚数や、正極タブ41Cおよび負極タブ42Cに用いる材料の硬度等によって変わる。U字曲げ用薄板51が薄いほど、曲げ最内周の負極タブ42C1の曲率を小さくすることができ、負極タブ42Cの折り曲げに必要なスペースを小さくすることができるため好ましい。U字曲げ用薄板51としては、例えばステンレス(SUS)、強化プラスティック材およびめっきを施した鋼材などを用いることができる。
[集電体露出部切断工程]
次に、U字曲げ部を形成した負極タブ42Cの先端を切り揃える。集電体露出部切断工程では、予め最適な形状を有するU字曲げ部を形成し、そのU字曲げ形状に合わせて正極タブ41Cおよび負極タブ42Cの余剰分を切断する。図11は、負極タブ42Cの切断工程を説明する側面図である。なお、正極タブ41Cについても同様にして集電体露出部切断工程が行われる。
図11Aに示すように、第1のU字曲げ工程においてU字曲げ部が形成された積層電極体40の上面と底面を反転させ、集電体たるみ用逃げ部53を有するワークセット台50b上に積層電極体40を固定する。
次に、図11Bに示すように、U字曲げ部が形成された負極タブ42C1〜負極タブ42C4のU字曲げ部から先端に至る先端部分がワークセット台50bに沿って略L字形状となるように先端部分を変形させる。このとき、再度U字曲げ部を形成するために必要な形状を維持することにより、曲げ外周側の負極タブ42C4ほど大きなたるみが生じる。このようなたるみがワークセット台50bの集電体たるみ用逃げ部53に入り込むことにより、負極タブ42C1〜負極タブ42C4をストレスなく変形させることができる。なお、負極タブ42C1〜負極タブ42C4の先端部分を固定した状態で負極タブ42C1〜負極タブ42C4を変形させるようにしてもよい。
続いて、図11Cに示すように、集電体押さえ54にて負極タブ42C1〜負極タブ42C4をワークセット台50bに押さえつけた後、図11Dおよび図11Eに示すように、例えば集電体押さえ54に沿うように設けられた切断用刃55で負極タブ42C1〜負極タブ42C4の先端を切り揃える。負極タブ42C1〜負極タブ42C4の切断箇所は、後に再度U字曲げを行った際に負極タブ42C1〜負極タブ42C4の先端が積層電極体40の厚みの範囲内に位置するように、負極タブ42C1〜負極タブ42C4の先端の余剰分を少なくとも切断するようにする。
[タブ接続工程]
続いて、負極タブ42C1〜負極タブ42C4と、負極リード33との接続を行う。タブ接続工程では、第1のU字曲げ工程で形成した最適なU字曲げ形状を維持しながら正極タブ41Cおよび負極タブ42Cと、正極リード32および負極リード33を接続する。これにより、正極タブ41Cおよび正極リード32と、負極タブ42Cおよび負極リード33が電気的に接続される。図12は、負極タブ42C1〜負極タブ42C4と、負極リード33との接続工程を説明する側面図である。なお、図示はしないが、負極リード33にはあらかじめシーラント34が設けられているものとする。正極タブ41Cと正極リード32についても同様にして接続工程が行われる。
図12Aに示すように、電極端子切断工程において負極タブ42C1〜負極タブ42C4の先端余剰分を切断した積層電極体40の上面と底面を再度反転させる。次に、図12Bに示すように、集電体形成維持用板56を有するワークセット台50c上に積層電極体40を固定する。負極タブ42C1の曲げ内周側には集電体形成維持用板56の先端が位置しており、負極タブ42C1〜負極タブ42C4の曲げ形状を維持するとともに、接続装置から発生する例えば超音波振動などの外的要因による影響を防止する。
続いて、図12Cに示すように、例えば超音波溶着により負極タブ42C1〜負極タブ42C4と負極リード33とを接続する。超音波溶着には、例えば、負極タブ42C1〜負極タブ42C4の下部に備えられたアンビル57aと、負極タブ42C1〜負極タブ42C4の上部に備えられたホーン57bが用いられる。アンビル57aには予め負極タブ42C1〜負極タブ42C4がセットされ、ホーン57bが下降してアンビル57aとホーン57bとで負極タブ42C1〜負極タブ42C4および負極リード33が挟持される。そして、アンビル57aとホーン57bとにより、負極タブ42C1〜負極タブ42C4および負極リード33に超音波振動が与えられる。これにより、負極タブ42C1〜負極タブ42C4および負極リード33が互いに接続される。
なお、タブ接続工程においては、図12Cを参照して上述した内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード33を負極タブ42Cに接続するとよい。なお、内周側曲げしろRiは、正極リード32および負極リード33の厚み以上とする。
次に、負極タブ42C1〜負極タブ42C4と接続した負極リード33を所定の形状に折り曲げる。図13A〜図13Cは、負極リード33のタブ折り曲げ工程を説明する側面図である。また、正極タブ41Cと正極リード32についても同様にしてタブ折り曲げ工程が行われる。
図13Aに示すように、接続工程において負極タブ42C1〜負極タブ42C4と負極リード33とが接続された積層電極体40の上面と底面を再度反転させて、集電体たるみ用逃げ部53を有するワークセット台50d上に積層電極体40を固定する。負極タブ42C1〜負極タブ42C4と負極リード33との接続部分は、タブ折り曲げ台58a上に載置する。
続いて、図13Bに示すように、負極タブ42C1〜負極タブ42C4と負極リード33との接続部分をブロック58bにて押さえ、図13Cに示すようにローラ59を降下させることにより、タブ折り曲げ台58aおよびブロック58bから突出した負極リード33を折り曲げる。
[第2のタブU字曲げ工程]
続いて、図13Dに示すように、積層電極体40と、負極タブ42C1〜負極タブ42C4とを押さえるブロック58bとの間に介在するようにU字曲げ用薄板51を配置する。続いて、図13Eに示すように、負極タブ42C1〜負極タブ42C4を図10に示す第1のU字曲げ工程で形成したU字曲げ形状に沿って90°折り曲げ、積層電極体40を作製する。このとき、上述したように、図12Cのように内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード33と負極タブ42Cとを接続しておく。これにより、第2のタブU字曲げ工程において、負極リード33が積層された正極41および負極42に当接することなく負極タブ42Cを電極面と略垂直の方向にまで折り曲げることができる。
このとき、負極リード33は予め熱溶着されたシーラント34と一緒に折り曲げるのが好ましい。負極リード33の折り曲げ部をシーラント34が被覆することになり、負極リード33とラミネートフィルム31とが直接接触しない構造とすることができる。この構造により、長期的な振動、衝撃などによるラミネートフィルム31内部の樹脂層と負極リード33との擦れ、ラミネートフィルム31の破損、ラミネートフィルム31の金属層との短絡の危険性を大幅に低減することができる。このようにして、積層電極体40が作製される。
[外装工程]
このあと、作製した積層電極体40をラミネートフィルム31で外装し、サイド部の一方と、ボトム部をヒータヘッドで加熱して熱融着する。また、正極リード32および負極リード33が導出されたトップ部も、切り欠きを有するヒータヘッドで加熱して熱融着する。このとき、正極リード32または負極リード33導出部における熱融着部の厚さTが、(t×2−p×2+5+L<T<t×2−5+L)を満たすように熱融着条件を調整する。調整する熱融着条件としては、ヒータヘッドの温度、圧力および加圧時間が挙げられる。
続いて、熱融着していない他のサイド部の開口から、非水電解液を注液する。正極41および負極42の両面に予めゲル電解質層を形成している場合には、非水電解液の注液を必要に応じて行う。最後に、注液を行ったサイド部のラミネートフィルム31を熱融着し、積層電極体40をラミネートフィルム31内に封止する。マトリクスポリマを付着させたセパレータ43を用いた場合には、この後、ラミネートフィルム31の外部から、積層電極体40を加圧するとともに加熱し、非水電解液をマトリクスポリマに保持させてゲル電解質を形成する。
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる構成の積層電極体40を用いた例を説明する。積層電極体40の構成以外は実施例1と同様であるため、第2の実施の形態では積層電極体40の構成についてのみ説明する。
[電池素子]
第2の実施の形態における正極41および負極42は、第1の実施の形態と同様の構成とされる。
積層電極体40は、略矩形状の正極41と、正極41と対向して配された略矩形状の負極42とが、略矩形状のセパレータ43を介して順に積層された構成である。具体的には、負極42、セパレータ43、正極41、セパレータ43・・・セパレータ43、負極42を介して交互に積層された積層型電極構造を有しており、例えば図示しないゲル電解質層が正極41および負極42の両面に形成されていてもよい。
また、積層電極体40からは、複数枚の正極41とそれぞれ電気的に接続された正極端子としての正極タブ41Cと、複数枚の負極42とそれぞれ電気的に接続された負極端子としての負極タブ42Cとが引き出されている。複数枚の正極タブ41Cおよび負極タブ42Cには、それぞれ正極リード32および負極リード33が抵抗溶接、超音波溶着等により接続されている。さらに、複数枚重ねた正極タブ41Cおよび負極タブ42Cの断面が略U字形状となるように折り曲げられて構成されている。正極タブ41Cおよび負極タブ42Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態でU字形状に折り曲げられる。
積層電極体40としては、上述の様な積層構造を有するようにしてもよい。
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態では、上述の非水電解質電池30を用いたバッテリユニットおよびバッテリユニットが組み合わされたバッテリモジュールについて説明する。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態の他の例として、正極リード32と負極リード33とが異なる辺から導出された非水電解質電池30を用いた場合について説明する。
[バッテリユニット]
図14は、この発明を適用したバッテリユニットの構成例を示す斜視図である。図14Aおよび図14Bには、それぞれ異なる側から見たバッテリユニット100が示されており、図14Aに主に示されている側をバッテリユニット100の正面側とし、図14Bに主に示されている側をバッテリユニット100の背面側とする。図14に示すように、バッテリユニット100は、非水電解質電池30−1および30−2、ブラケット110、並びに、バスバー120−1および120−2を備えて構成される。非水電解質電池30−1および30−2は上述した第1〜第2の実施形態のいずれかの構成を採用した二次電池である。
ブラケット110は、非水電解質電池30−1および30−2の強度を確保するための支持具であり、ブラケット110の正面側に非水電解質電池30−1が装着され、ブラケット110の背面側に非水電解質電池30−2が装着される。なお、ブラケット110は、正面側および背面側のどちらから見ても、ほぼ同じ形状をしているが、下側の一方の角部分に面取り部111が形成されており、面取り部111が右下に見える側を正面側とし、面取り部111が左下に見える側を背面側とする。
バスバー120−1および120−2は、略L字形状をした金属の部材であり、非水電解質電池30−1および30−2のタブに接続される接続部分がブラケット110の側面側に配置され、バッテリユニット100の外部と接続されるターミナルがブラケット110の上面に配置されるように、ブラケット110の両側面にそれぞれ装着される。
図15は、バッテリユニット100が分解された状態を示す斜視図である。図15の上側をバッテリユニット100の正面側とし、図15の下側をバッテリユニット100の背面側とする。以下、非水電解質電池30−1において内部に積層電極体40が収容された凸状部分を電池本体30−1Aと称する。同様に、非水電解質電池30−2において内部に電池素子が収容された凸状部分を電池本体30−2Aと称する。
そして、非水電解質電池30−1および30−2は、凸形状となっている電池本体30−1Aおよび30−2A側を互いに向い合せた状態で、ブラケット110に装着される。つまり、非水電解質電池30−1は正極リード32−1および負極リード33−1が設けられる面が正面側を向き、非水電解質電池30−2は正極リード32−2および負極リード33−2が設けられる面が背面側を向くように、ブラケット110に装着される。
ブラケット110は、外周壁112およびリブ部113を有している。外周壁112は、非水電解質電池30−1および30−2の電池本体30−1Aおよび30−2Aの外周よりも若干広く、即ち、非水電解質電池30−1および30−2が装着された状態で電池本体30−1Aおよび30−2Aを囲うように形成される。リブ部113は、外周壁112の内側の側面に外周壁112の厚み方向の中央部分から内側に向かって伸びるように形成される。
図15の構成例では、非水電解質電池30−1および30−2が、ブラケット110の正面側および背面側から外周壁112内に挿入され、両面に粘着性を有する両面テープ130−1および130−2により、ブラケット110のリブ部113の両面に貼着される。両面テープ130−1および130−2は、非水電解質電池30−1および30−2の外周端に沿った所定の幅の略ロ字形状をしており、ブラケット110のリブ部113は、両面テープ130−1および130−2が貼着する面積だけ設けられていればよい。
このように、リブ部113は、非水電解質電池30−1および30−2の外周端に沿った所定の幅だけ、外周壁112の内側の側面から内側に向かって伸びるように形成されており、リブ部113よりも内側は、開口部となっている。従って、ブラケット110の正面側から両面テープ130−1によりリブ部113に貼着される非水電解質電池30−1と、ブラケット110の背面側から両面テープ130−2によりリブ部113に貼着される非水電解質電池30−2との間では、この開口部によって隙間が生じている。
即ち、ブラケット110の中央部分に開口部が形成されていることで、非水電解質電池30−1および30−2は、リブ部113の厚みと両面テープ130−1および130−2の厚みとを合計した寸法の隙間を有してブラケット110に装着される。例えば、非水電解質電池30−1および30−2には、充放電やガスの発生などにより多少の膨らみが生じることがあるが、この開口部により設けられる間隙が、非水電解質電池30−1および30−2の膨らみを逃がす空間となる。従って、非水電解質電池30−1および30−2が膨らんだ部分によってバッテリユニット100全体の厚みが増加するなどの影響を排除することができる。
また、非水電解質電池30−1および30−2をリブ部113に接着する際に、接着面積が広い場合にはかなりの圧力が必要となるが、リブ部113の接着面を外周端に限定することにより、効率よく圧力をかけて、容易に接着することができる。これにより、製造時に非水電解質電池30−1および30−2にかかるストレスを軽減することができる。
図15に示すように、1つのブラケット110に2つの非水電解質電池30−1および30−2を取り付けることにより、例えば、1つのブラケットに1つの二次電池を取り付ける場合よりも、ブラケット110の厚みと空間を削減することができる。これにより、エネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100の厚み方向の剛性を、2枚の非水電解質電池30−1および30−2を貼り合わせる相乗効果により得られるため、ブラケット110のリブ部113を薄肉化することができる。即ち、例えば、リブ部113の厚みを1mm以下(樹脂成型の限界の厚み程度)にしても、非水電解質電池30−1および30−2をリブ部113の両側から貼り合わせることで、バッテリユニット100全体として十分な剛性を得ることができる。そして、リブ部113の厚みを薄くすることにより、バッテリユニット100の厚みが薄くなり容積が縮小することになる結果、バッテリユニット100のエネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100は、外的なストレスに対する耐性を高めるため、非水電解質電池30−1および30−2の外周面(両側面および上下面)が、ブラケット110の外周壁112の内周面と接触しない構造とし、非水電解質電池30−1および30−2が有する広い面でリブ部113に貼り合わされる構造となっている。
このような構成により、エネルギー密度が高く、かつ、外的なストレスに強いバッテリユニット100を実現することができる。
[バッテリモジュール]
次に、図16〜18を参照して、バッテリユニット100が組み合わされたバッテリモジュール200の構成例について説明する。バッテリモジュール200は、モジュールケース210、ゴムシート部220、電池部230、電池カバー240、固定シート部250、電気パーツ部260、およびボックスカバー270を備えて構成されている。
モジュールケース210は、バッテリユニット100を収納して使用機器に搭載するためのケースであり、図16の構成例では、24個のバッテリユニット100が収納可能なサイズとされている。
ゴムシート部220は、バッテリユニット100の底面に敷かれて、衝撃などを緩和するためのシートである。ゴムシート部220では、3個のバッテリユニット100ごとに1枚のゴムシートが設けられ、24個のバッテリユニット100に対応するために8枚のゴムシートが用意される。
電池部230は、図16の構成例では、24個のバッテリユニット100が組み合わされて構成されている。また、電池部230では、3個のバッテリユニット100が並列に接続されて並列ブロック231を構成し、8個の並列ブロック231が直列に接続される接続構成となっている。
電池カバー240は、電池部230を固定するためのカバーであり、非水電解質電池30のバスバー120に対応した開口部が設けられている。
固定シート部250は、電池カバー240の上面に配置され、ボックスカバー270がモジュールケース210に固定されたときに、電池カバー240およびボックスカバー270に密着して固定するシートである。
電気パーツ部260は、バッテリユニット100の充放電を制御する充放電制御回路などの電気的な部品を有する。充放電制御回路は、例えば、電池部230において2本の列をなすバスバー120の間の空間に配置される。
ボックスカバー270は、モジュールケース210に各部が収納された後に、モジュールケース210を閉鎖するためのカバーである。
ここで、バッテリモジュール200では、3個のバッテリユニット100が並列に接続された並列ブロック231が直列に接続されて電池部230が構成されており、この直列の接続が、電気パーツ部260が有する金属板材で行われる。従って、電池部230では、並列ブロック231ごとに端子の向きが交互になるように、即ち、隣り合う並列ブロック231どうしでプラスの端子とマイナスの端子とが並ぶように、並列ブロック231がそれぞれ配置される。そこで、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロック231で同極の端子が並ぶことを回避させるような工夫が必要である。
例えば、図17に示すように、バッテリユニット100−1〜100−3により構成される並列ブロック231−1と、バッテリユニット100−4〜100−6により構成される並列ブロック231−2とでは、プラスの端子とマイナスの端子とが隣り合うような配置で、モジュールケース210に収納される。このような配置となるように規制するために、バッテリユニット100のブラケット110の下側の一方の角部分に形成されている面取り部111が利用される。
例えば、図18および図19に示すように、並列ブロック231では、バッテリユニット100−1〜100−3は、それぞれの面取り部111−1〜111−3が同じ向きとなるように組み合わされており、面取り領域280を形成する。そして、モジュールケース210には、面取り領域280の傾斜に応じた傾斜部290が形成されており、傾斜部290は、非水電解質電池30の3個分の厚みに応じた長さで、交互に配置されている。
このように、並列ブロック231の面取り領域280と、モジュールケース210の傾斜部290とにより、並列ブロック231を間違った向きでモジュールケース210に収納しようとした場合には、並列ブロック231の底側の角部がモジュールケース210の傾斜部290に当接することになる。この場合、並列ブロック231がモジュールケース210の底面から浮き上がった状態となるため、並列ブロック231がモジュールケース210に完全に収納されなくなる。これにより、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロック231で同極の端子が隣り合って並ぶことが回避される。
このようにしてこの発明に係る非水電解質電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリモジュールが構成されている。なお、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
なお、この発明の非水電解質電池30および非水電解質電池30を組み合わせたバッテリモジュール200は、電動工具、電気自動車やハイブリッド電気自動車および電動アシスト自転車、ならびに住宅もしくはビル等に用いる蓄電システム等に用いることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、正極リードおよび負極リードの導出部における熱融着後の厚みを変化させて非水電解質二次電池を作製し、電池特性を確認した。
<実施例1−1>
[正極の作製]
正極活物質としてリン酸鉄リチウム(LiFePO4)95質量部と、導電剤としてグラファイト2質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部とを均一に混合した混合材料を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを得た。次に、得られた正極合剤スラリーを、厚み15μmのアルミニウム(Al)箔上の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、ロールプレス機で圧縮成型して片面当たり40μmの正極活物質層を形成した。なお、正極活物質層形成時には、帯状に連続する正極集電体上に、正極集電体の長手方向の一辺が露出するようにして正極合剤スラリーを塗布した。続いて、正極活物質層が形成された帯状に連続する正極集電体を、短手方向に平行に、幅105mmとなるように切断し、正極シートを形成した。そして、正極集電体露出部が幅40mmの正極タブとなるように切断し、正極とした。なお、正極タブが正極の中心部からずれるようにして形成した。
[負極の作製]
負極活物質として黒鉛95質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部とを均一に混合した混合材料を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤スラリーを得た。次に、得られた負極合剤スラリーを、負極集電体となる厚み8μmの銅箔上の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、ロールプレス機で圧縮成型して片面当たり40μmの負極活物質層を形成した。なお、負極活物質層形成時には、帯状に連続する負極集電体上に、負極集電体の長手方向の一辺が露出するようにして負極合剤スラリーを塗布した。続いて、負極活物質層が形成された帯状に連続する正極集電体を、短手方向に平行に、幅105mmとなるように切断し、負極シートを形成した。そして、負極集電体露出部が幅40mmの負極タブとなるように切断し、負極とした。なお、負極タブが負極の中心部からずれるようにして形成した。
[電池素子の作製]
上述の様にして作製した正極および負極を、つづら形状に折り曲げられたセパレータを介して交互に積層し、正極および負極がセパレータを介して積層されるようにした。このとき、正極タブ同士、負極タブ同士がそれぞれ重なるようにして積層した。セパレータは、両面にポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末を塗布した厚さ16μmのポリエチレン微多孔膜を用いた。また、セパレータは、正極リードおよび負極リードの半分以上を覆わないサイズとした。
続いて、正極、負極およびセパレータがずれないように保護テープで固定した後、積層した全ての正極の正極タブを重ねて抵抗溶接により接続した。そして、正極タブ先端部の余った部分を切断した後、正極タブと、厚さLが200μm、幅Wが40mmのアルミニウム片からなる正極リードとを接続した。また、同様にして積層した全ての負極の負極タブを重ねて接続し、負極タブ先端部の余った部分を切断した後、負極タブと、厚さLが200μm、幅Wが40mmのニッケル片からなる負極リードとを接続した。これにより、正極リードおよび負極リードが接続された電池素子を作製した。正極リードおよび負極リードの外装材と対向する部分には、厚さSが100μm、幅47mmの変性ポリプロピレンからなるシーラント34を、正極リードおよび負極リードの両面にそれぞれ貼り付けた。
[非水電解質二次電池の作製]
非水電解質二次電池の外装材として、厚さtが105μmのラミネートフィルムを用いた。ラミネートフィルムの構造は、外側樹脂層としてナイロン層、アルミニウム層および内側樹脂層としてCPP層が積層されたものとした。また、ラミネートフィルムの各層の厚みは、ナイロン層/接着層/アルミニウム層/接着層/CPP層=25μm/6.5μm/40μm/3.5μm/30μmとした。なお、この厚さtが105μmのラミネートフィルムにおいて、内面樹脂層の厚さpは、接着層とCPP層の厚みの合計である33.5μmとなった。
なお、上述のようなラミネートフィルムを用いた場合、CPPと、アルミニウム層およびCPP層間の接着剤と、シーラント34の全てが溶融して流れたときのリード導出部における熱融着部の厚さは343μmとなる。また、ラミネートフィルムが全く潰れなかったときのリード導出部における熱融着部の厚さは510μm、内面樹脂層の厚みは67μm(シーラント34厚を含めると267μm)、であり、他部分からの樹脂が流れてきた場合はさらに厚くなる。
リード導出部における熱融着部の厚さをT、ラミネートフィルムの厚さをt、内面樹脂層(CPP層+接着層)の厚さをp、リードの厚さをLとすると、リード導出部における熱融着部の厚さTが、
t×2−p×2+5+L<T<t×2−5+L[μm]
を満たす関係にあれば、水分浸入によるガス発生およびサイクル特性の低下を防ぐことができる。したがって、今回用いたラミネートフィルムの場合、リード導出部における熱融着部の厚さTが348μm<T<405μmであれば実用に耐えうる電池を得ることができる。
まず、電池素子の対向する両主面にラミネートフィルムを配置した。そして、電池素子を外装したラミネートフィルムのうち、リード導出辺を含む電池素子周辺部の3辺をヒータブロックにより加熱し、CPP層同士を熱融着させて封止した。また、リード導出辺は、正極リードおよび負極リード導出部においては、ラミネートフィルムと、正極リードおよび負極リードとの間にシーラント34が位置するようにして熱融着を行った。なお、正極リードおよび負極リードの導出部における熱融着後の厚さ(熱融着部の厚さT)が358μmとなるようにヒータブロックの温度、熱融着時の圧力および熱融着時間を調整して熱融着を行った。
次に、ラミネートフィルムの熱融着を行っていない一辺の開口部から、非水電解液を注液した。非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)を6:4の重量比で混合し、1.0mol/kgの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解して作製した。この後、減圧下でラミネートフィルムの残る一辺をヒータブロックにて熱融着して封止した後、電池素子部分を加圧しながら加熱して、セパレータ表面に付着されたポリフッ化ビニリデンに非水電解液を膨潤させ、ゲル電解質層を形成した。これにより、厚さ7.8mm、電池容量10Ahの非水電解質二次電池を作製した。
なお、実施例1−1の非水電解質二次電池のリード導出辺のつぶし率は、リード導出辺の熱融着前における内面樹脂層の厚みおよびシーラント34厚みの合計267μmと、リード導出辺の熱融着後の内面樹脂層の厚み15μmとから、(15μm/267μm)×100=5.6%と算出された。
ここで、リード導出辺の熱融着前における内面樹脂層の厚みは、内側樹脂層および金属層−内側樹脂層間の接着層の厚みの合計であり、{(30+3.5)×2}から算出した。また、リード導出辺の熱融着後の内面樹脂層の厚みは、熱融着後の熱融着部の厚さTから、ラミネートフィルムの外側樹脂層、接着層および金属層の合計の厚さと、リード厚さを引いたものであり、{358−(25+6.5+40)×2−200}から算出した。
<実施例1−2>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを365μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、8.2%と算出された。
<実施例1−3>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを372μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、10.9%と算出された。
<実施例1−4>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを385μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、15.7%と算出された。
<実施例1−5>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを402μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、22.1%と算出された。
<比較例1−1>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを348μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、1.9%と算出された。
<比較例1−2>
熱融着時の条件を調整して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを432μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、熱融着部のつぶし率は、33.3%と算出された。
[非水電解質二次電池の評価]
(a)ショート電池数の確認
各実施例および比較例の非水電解質二次電池を10個ずつ用意し、それぞれの正極リードおよび負極リード間の抵抗を測定し、ショート個数を確認した。作製直後の電池は十分に大きい直流抵抗があるが、ショートしているとmΩオーダーの小さな抵抗値となる。ショートの原因としては、リード部分に大きな圧力がかかり、ラミネートフィルムのアルミニウム層とリードとが接触することが一例として挙げられる。
(b)サイクル試験
上述の試験により、ショートしていないと確認された電池を用いてサイクル特性を確認した。まず、実施例および比較例の電池を1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電した。次に、1Cの定電流で電池電圧が2.0Vに達するまで定電流放電を行い、このときの放電容量を測定して初回容量とした。
このあと、上述の充放電条件で1000サイクルまで充放電を繰り返し、1000サイクル目の放電時おける放電容量を測定して1000サイクル目の放電容量とした。そして、下記式から、1000サイクル後の容量維持率を算出した。
容量維持率[%]=(1000サイクル目の放電容量/初回容量)×100
(c)電池膨れの確認
1000サイクルの充放電を行った電池の厚みを測定し、下記式から電池膨れ量を算出した。
電池膨れ量[mm]=1000サイクル充放電後の電池厚み−電池作製時の厚み(mm)
熱融着を行った部分は、熱融着時に大きな圧力をかけるとCPPが溶融して流動して封止性が損なわれる。これにより、ラミネートフィルムの合わせ目から水分が浸入しやすくなる。電池内部に浸入した水分は、電池内部で還元されてガスが発生し、電池が膨らんでしまう。
上述の評価結果を表1に示す。
Figure 2012109125
表1に示すように、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを348μmとした比較例1−1は、ショートせずに作製できた電池については電池膨れ量が小さく、容量維持率も高かったものの、10個中6個の電池がショートしてしまった。すなわち、ショートせずに作製した電池は、リード導出辺の熱融着後の内面樹脂層の厚みが5μmであり、水分浸入経路断面積が小さく高いサイクル特性を得ることができるが、電池製造工程においてショートする個数が非常に多く、好ましくないことが分かった。
また、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを432μmとした比較例1−2は、電池のショートはなかったものの、電池膨れ量が大きく、サイクル特性が顕著に劣化してしまった。すなわち、実施例および比較例の各電池は、熱融着後の内面樹脂層の厚み以外は全く同じ構成であり、リード導出辺の熱融着後の内面樹脂層の厚みが89μmである比較例1−2では水分浸入経路断面積が大きく水分浸入が多くなって好ましくないことが分かった。
これに対して、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを358μm〜402μmの範囲とした各実施例は、ショートがなく、小さい電池膨れおよび高い容量維持率を得ることができた。ここで、熱融着部の厚さTを358μmとした実施例1−1の電池と、熱融着部の厚さTを348μmとした比較例1−1のショートのなかった電池では、電池膨れ量および容量維持率が略同等となった。このため、実施例1−1よりも熱融着部の厚さTを薄くしても、水分浸入をより向上させることは難しいと考えられる。
そして、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTを(t×2−p×2+5+L)から(t×2−5+L)の範囲とすることにより、ショートおよび水分浸入の防止を両立できることが分かった。
[実施例2]
実施例2では、正極タブ幅および負極タブ幅、ならびに正極幅および負極幅を調整することにより、電極幅に対するタブ幅を変化させて非水電解質二次電池を作製し、電池特性を確認した。なお、正極リードと接続する正極タブは、正極リードと同じ幅とし、負極リードと接続する負極タブは、負極リードと同じ幅とした。正極リードおよび負極リードの幅を変化させた場合には、正極タブおよび負極タブも正極リードおよび負極リードの幅と同等となるように幅を変化させた。
<実施例2−1>
実施例1−1と同様に、正極の電極幅を103mm、負極の電極幅を105mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を40mmとし、リード導出部の熱融着部の厚さt4を358μmとして非水電解質二次電池を作製した。このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ38.10%となった。
<実施例2−2>
正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を30mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ28.57%となった。
<実施例2−3>
正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を16mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ15.24%となった。
<実施例2−4>
正極幅および負極幅を90mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を25mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ27.78%となった。
<実施例2−5>
正極幅および負極幅を90mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を16mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ17.78%となった。
<比較例2−1>
正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を50mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ47.62%となった。
<比較例2−2>
正極幅および負極幅を90mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を40mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ44.44%となった。
<比較例2−3>
正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を10mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ9.52%となった。
<比較例2−4>
正極幅および負極幅を90mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を10mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ11.11%となった。
<比較例2−5>
正極幅および負極幅を90mm、正極リードおよび負極リードのそれぞれの幅を12mmとした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、このときの負極幅に対する正極リード幅割合および負極リード幅割合は、それぞれ13.33%となった。
[非水電解質二次電池の評価]
(b)サイクル試験
実施例1と同様の方法により、1000サイクル充放電後の容量維持率を算出した。
(c)電池膨れの確認
実施例2と同様の方法により、1000サイクル充放電後の電池膨れ量を算出した。
(d)外部短絡試験
各実施例および比較例の電池の正極リードと負極リードとを短絡させ、ラミネートフィルム熱融着部の開裂の有無を確認した。
上述の評価結果を表2に示す。
Figure 2012109125
表2に示すように、リードの幅が負極幅に対して40%を超える比較例2−1および比較例2−2は、外部短絡試験におけるラミネートフィルムの開裂はなかったものの、電池膨れが大きく、容量維持率が低下した。したがって、リード幅が大きくなると、熱融着後のリード導出部における熱融着部の厚さTが同じであっても水分浸入量が多くなることが分かった。
また、リードの幅が負極幅に対して15%未満の比較例2−3〜比較例2−5は、電池膨れ量の顕著な増加および容量維持率の低下は見られなかったものの、外部短絡試験におけるラミネートフィルムの開裂が生じた。ラミネートフィルムの開裂は、外部短絡させた際にリードが高温となるためであり、リードの幅が狭いことによってタブ抵抗が高くなっていることが分かった。
これに対して、リードの幅が負極幅に対して15%以上40%以下の範囲にある各実施例は、電池膨れ量が小さく、容量維持率も高くなるとともに、外部短絡試験においてもラミネートフィルムの開裂が生じなかった。このため、リードの幅が負極幅に対して15%以上40%以下の範囲にある場合に、さらにショートおよび水分浸入の防止を両立できることが分かった。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述した一実施形態では、電池として正極と負極とを積層してなる積層型電極体を用いた場合や、巻回せずにいわゆるつづら折りにされたつづら折り型電極体を用いた場合を例に挙げて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、帯状の正極と帯状の負極とをセパレータを介して積層し、さらに長手方向に巻回されてなる電極巻回体を用いた場合も適用可能である。
30・・・非水電解質電池
31・・・ラミネートフィルム
32・・・正極リード
33・・・負極リード
34・・・シーラント
35・・・固定部材
36・・・電極体収納部
40・・・電池素子
41・・・正極
41A・・・正極集電体
41B・・・正極活物質層
41C・・・正極タブ
42・・・負極
42A・・・負極集電体
42B・・・負極活物質層
42C・・・負極タブ
43・・・セパレータ
100・・・バッテリユニット
200・・・バッテリモジュール

Claims (7)

  1. 正極および負極がセパレータを介して対向してなる電池素子と、
    非水電解質と
    金属層と、該金属層の外面に形成された外側樹脂層と、該金属層の内面に形成された内側樹脂層とが積層されてなり、熱融着により上記電池素子と上記非水電解質とを外装し内部に収容するラミネートフィルムと、
    上記正極と電気的に接続され、上記ラミネートフィルムの熱融着された合わせ目から外部に導出される正極リードと、
    上記負極と電気的に接続され、上記ラミネートフィルムの熱融着された合わせ目から外部に導出される負極リードと、
    上記ラミネートフィルムと上記正極リードおよび上記負極リードとの間に設けられる密着部材と
    を備え、
    放電容量が3Ah以上50Ah以下かつ厚さが5mm以上20m以下であり、
    熱融着前の上記ラミネートフィルムの厚さをt、熱融着前の該ラミネートフィルムの上記内面樹脂層の厚さをp、上記正極リードおよび上記負極リードの厚さをLとした場合、
    上記正極リードおよび上記負極リードが上記ラミネートフィルムで挟まれ、熱融着された熱融着部の厚さTが、
    t×2−p×2+5+L<T<t×2−5+L
    である
    非水電解質電池。
  2. 上記ラミネートフィルムの熱融着部が、上記内側樹脂層と上記密着部材とが互いに溶融して一体となった内面樹脂層が上記正極リードおよび上記負極リードの両面に形成されており、
    上記ラミネートフィルムの熱融着前の上記内側樹脂層の厚さをp、上記密着部材の厚さをS、上記内面樹脂層の総厚をPとした場合、
    0.05≦P/(p+S)×2≦0.25
    である
    請求項1に記載の非水電解質電池。
  3. 上記正極リードおよび上記負極リードの幅をw、上記正極の幅および上記負極の幅のうち広い方の幅をWとした場合、
    0.15≦w/W≦0.40
    である
    請求項2に記載の非水電解質電池。
  4. 上記正極リードおよび上記負極リードの幅をw、上記正極の幅および上記負極の幅のうち広い方の幅をWとした場合、
    0.35≦w/W≦0.40
    である
    請求項3に記載の非水電解質電池。
  5. 上記ラミネートフィルムの厚さをt、該ラミネートフィルムの上記内面樹脂層の厚さをp、上記正極リードおよび上記負極リードの厚さをLとした場合、
    上記正極リードおよび上記負極リードが上記ラミネートフィルムで挟まれ、熱融着された部分の厚さTが、
    t×2−p×2+10+L<T<t×2−10+L
    である
    請求項1に記載の非水電解質電池。
  6. 上記正極と上記負極とが、上記セパレータを介して交互に積層された
    請求項1に記載の非水電解質電池。
  7. 上記セパレータがつづら折りに形成された
    請求項6に記載の非水電解質電池。
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