JP6048477B2 - 非水電解質電池の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は非水電解質電池の製造方法に関し、特に、外装材にラミネートフィルムを用いて作製した大容量の非水電解質電池の製造方法に関する。
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder)、携帯電話あるいは携帯用コンピューターなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池の開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現できるものとして注目されている。
また、近年では、電池外装材であるアルミニウムや鉄製の金属製の電池缶に替えて、ラミネートフィルム等を使用することにより、電池の更なる小型化や軽量化、薄型化が進められている。
しかしながら、ラミネートフィルムのように剛性が低い材料を外装材に使用した場合、電池素子を押さえつける力が弱く、振動や落下などの衝撃を加えられた際、電池素子が内部で移動しやすい。このため、電池外部に取り出されるリードと電池素子の接続部が破損し、内部抵抗が増加してしまうという問題があった。特に、車載用途などの大型で高出力のラミネート外装電池では重量もサイズも大きいため、その問題が大きかった。
ここで、以下の特許文献1には、電極群の一端部からセパレータが張り出して外装部材の内面に融着固定する構造とすることで、振動衝撃を受けた後の電圧低下と内部抵抗増加を抑制する効果があることが開示されている。
また、以下の特許文献2には、発電要素と袋状容器との間に樹脂を入れて発電要素を固定することで、衝撃や変形圧力を受けても損傷を抑制できる効果があることが開示されている。
特開2007−87652号公報 特開2003−109667号公報
しかしながら、特許文献1で示された方法では、セパレータでは強度が小さく、電池素子の移動を抑えるのに十分ではない。また、特許文献2で示された方法では、樹脂の形状、厚みを制御することが難しいため電池のサイズが大きくなってしまい、結果としてエネルギー密度が上げられないという問題があった。
この発明では上記問題点に鑑み、外装材内部での電池素子の移動を抑制し、リードと電池素子の接続部の破損を抑制して高い電池特性を実現した非水電解質電池の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するために、この発明の非水電解質電池の製造方法は、正極および負極がセパレータを介して対向してなる電池素子と、非水電解質と、金属層と、金属層の外面に形成された外側樹脂層と、金属層の内面に形成された内側樹脂層とが積層されてなり、熱融着により電池素子と非水電解質とを外装し内部に収容するラミネートフィルムと、正極と電気的に接続される正極リードと、負極と電気的に接続される負極リードとを備える非水電解質電池の製造方法であって、正極から引き出された複数の正極タブと負極から引き出された複数の負極タブをそれぞれ重ね、正極リードと複数の正極タブ、負極リードと複数の負極タブをそれぞれ固着して接続し、正極リードが接続された複数の正極タブおよび負極リードが接続された複数の負極タブを、それぞれ折り曲げ、正極リードおよび負極リードのそれぞれを、ラミネートフィルムの熱融着され合わせ目から外部に導出し、ラミネートフィルムと電池素子との間には、無機粒子を混合したフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層を形成することを含み、複数重ねられた正極タブおよび複数重ねられた負極タブのそれぞれを、予め折り曲げて曲げ部分を形成し、正極リードが接続された複数の正極タブおよび負極リードが接続された複数の負極タブを折り曲げる際には、曲げ部分に沿って折り曲げることを特徴とする。
また、上述の非水電解質電池においては、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層が、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンを成分として含む共重合体の少なくとも一種からなり、多孔性重合体層の厚さが1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。また、多孔性重合体層に、さらにアルミナ等の無機粒子を含むことも好ましい。
この発明では、電池素子とラミネートフィルムの間に設けたフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層により、ラミネートフィルム内での電池素子の移動を抑制することができる。
この発明によれば、電極リードと電池素子との接続部が破損して電池特性が低下することを抑制できる。
この発明を適用した電池を構成する電池素子の一例を示す略線図である。 この発明を適用した電池に用いる正極および負極の一構成例を示す斜視図である。 この発明を適用した電池の電池素子の一構成例を示す斜視図である。 この発明の電池素子を外装する外装材の構成を示す断面図である。 この発明の電池素子の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 この発明の電池素子の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 この発明の電池素子の電極タブと電極リードとの接続工程を示す工程図である。 この発明の電池素子と接続した電極リードの折り曲げ工程を示す工程図である。 この発明の第2の実施の形態における電池素子の構成を示す斜視図および断面図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットの構成を示す分解斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 この発明の非水電解質電池に用いる他の電池素子の構造を示す斜視図および断面図である。 この発明の非水電解質電池に用いる他の電池素子の構造を示す斜視図および断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(この発明の非水電解質電池の構成を示す例)
2.第2の実施の形態(他の構成の電池素子を用いる例)
3.第3の実施の形態(多孔性重合体層をゲル電解質と一体とせずに形成する例)
4.第4の実施の形態(この発明の非水電解質電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリモジュールの例)
5.他の実施の形態(変形例)
1.第1の実施の形態
(1−1)非水電解質電池の構成
図1Aは、この発明の一実施の形態にかかる非水電解質電池1の外観を示す斜視図であり、図1Bは、非水電解質電池1の構成を示す斜視分解図である。また、図1Cは、図1Aに示す非水電解質電池1の下面の構成を示す斜視図であり、図1Dは、図1Aの非水電解質電池1のa−a’断面を示す断面図である。なお、下記の説明では、非水電解質電池1のうち、正極リード3が導出される部分をトップ部、トップ部に対向し、負極リード4が導出される部分をボトム部、トップ部とボトム部とに挟まれた両辺をサイド部とする。また、電極、電極リード等について、サイド部−サイド部方向を幅として説明する。
この発明の非水電解質電池1は、電池素子10がラミネートフィルム2にて外装されたものであり、ラミネートフィルム2同士が封止された部分からは、電池素子10と接続された正極リード3および負極リード4が電池外部に導出されている。正極リード3および負極リード4は、互いに対向する辺から導出されている。
電池素子10の厚みは、5mm以上20mm以下であることが好ましい。5mm未満であると、薄型であるため、蓄熱の影響が少なく、セル表面に凹凸がなくとも熱が逃げやすい傾向がある。一方、20mmを超えると、電池表面から電池中央部までの距離が大きくなりすぎて、電池表面からの放熱だけでは電池内に温度差ができてしまい、寿命性能に影響がでる傾向がある。
また、電池素子10の放電容量は、3Ah以上50Ah以下であることが好ましい。3Ah未満であると、電池容量が小さいため、集電箔の厚みを厚くするなど電池容量を下げて抵抗を落とすなど他の手法でも発熱を抑えることができる傾向がある。50Ahを超えると、電池熱容量が大きくなり、放熱しにくくなってしまい、電池内での温度ばらつきも大きくなる傾向がある。ここで、上述の電池素子10の放電容量は、非水電解質電池1の公称容量であり、公称容量は、充電条件が上限電圧3.6V、充電電流0.2Cの定電圧定電流充電、放電条件が放電終止電圧2.0V、放電電流0.2Cの定電流放電の場合における放電容量から算出したものである。
非水電解質電池1に収容される電池素子10は、図2Aまたは図2Bに示す矩形状の正極11と、図2Cまたは図2Dに示す矩形状の負極12とが、セパレータ13を介して積層された構成である。具体的には、例えば図3Aおよび図3Bに示すように、正極11および負極12がつづら折りに折り曲げられたセパレータ13を介して交互に積層された構成である。
[電池素子]
電池素子10は、矩形状の正極11と、矩形状の負極12とがセパレータ13を介して交互に積層された積層型電極構造を有している。第1の実施の形態では、電池素子の最表層がセパレータ13となるように、セパレータ13、負極12、セパレータ13、正極11、・・・負極12、セパレータ13のように順に積層された電池素子を用いる。この発明では、電池素子10とラミネートフィルム2との間には、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14が備えられている。すなわち、電池素子10の最表層であるセパレータ13の表面には、上述の多孔性重合体層14が形成されている。
電池素子10からは、複数枚の正極11からそれぞれ延出される正極タブ11Cと、複数枚の負極12からそれぞれ延出される負極タブ12Cとが導出されている。複数枚重ねられた正極タブ11Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた正極タブ11Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極リード3が接続されている。
また、正極11と同様に、負極タブ12Cは、複数枚重ねられた上で、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた負極タブ12Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極リード4が接続されている。
以下、電池素子10を構成する各部について説明する。
[正極リード]
正極タブ11Cと接続する正極リード3は、例えばアルミニウム(Al)等からなる金属リード体を用いることができる。この発明の大容量の非水電解質電池1では、大電流を取り出すために、従来に比して正極リード3の幅を太く、厚みを厚く設定する。
正極リード3の幅は任意に設定可能であるが、大電流を取り出せるという点で、正極リード3の幅waが正極11の幅Waに対して50%以上100%以下であることが好ましい。また、正極リード3および負極リード4を同一辺から導出する場合には、正極リード3の幅waが正極11の幅Waの50%未満である必要がある。正極リード3が、負極リード4と接触しない位置に設ける必要があるためである。また、この場合、ラミネートフィルム2の封止性と高電流充放電とを両立するために、正極リード3の幅waは正極11の幅Waの15%以上40%以下であることが好ましく35%以上40%以下であることがより好ましい。
正極リード3の厚みは、150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード3の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード3の厚みが250μmを超える場合、正極リード3が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム2の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
なお、正極リード3の一部分には、ラミネートフィルム2と正極リード3との接着性を向上させるための密着フィルムであるシーラント5が設けられる。シーラント5は、金属材料との接着性の高い樹脂材料により構成され、例えば正極リード3が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
シーラント5の厚みは、70μm以上130μm以下とすることが好ましい。70μm未満では正極リード3とラミネートフィルム2との接着性に劣り、130μmを超えると熱融着時における溶融樹脂の流動量が多く、製造工程上好ましくない。
[負極リード]
負極タブ12Cと接続する負極リード4は、例えばニッケル(Ni)等からなる金属リード体を用いることができる。この発明の大容量の非水電解質電池1では、大電流を取り出すために、従来に比して負極リード4の幅を太く、厚みを厚く設定する。負極リード4の幅は、後述する負極タブ12Cの幅と略同等とすることが好ましい。
負極リード4の幅は任意に設定可能であるが、大電流を取り出せるという点で、負極リード4の幅wbが負極12の幅Wbに対して50%以上100%以下であることが好ましい。また、正極リード3および負極リード4を同一辺から導出する場合には、負極リード4の幅wbが負極12の幅Wbの50%未満である必要がある。負極リード4が、正極リード3と接触しない位置に設ける必要があるためである。また、この場合、ラミネートフィルム2の封止性と高電流充放電とを両立するために、負極リード4の幅wbは負極12の幅Wbの15%以上40%以下であることが好ましく35%以上40%以下であることがより好ましい。
負極リード4の厚みは、正極リード3と同様に150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード3の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード3の厚みが250μmを超える場合、正極リード3が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム2の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
負極リード4の一部分には、正極リード3と同様に、ラミネートフィルム2と負極リード4との接着性を向上させるための密着フィルムであるシーラント5が設けられる。
なお、正極リード3の幅waと負極リード4の幅wbは通常同等の幅w(以下、正極リード3幅waおよび負極リード4幅wbが同等の場合には、正極リード3幅waおよび負極リード4幅wbを区別せずに電極リード幅wと適宜称する)とされる。そして、電極リード幅wは、正極11の幅Waと負極12の幅Wbが異なる場合には、正極11の幅Waと負極12の幅Wbのうち広い方の電極幅Wに対して50%以上100%以下であることが好ましい。また、正極リード3および負極リード4を同一辺から導出する場合には、電極リードの幅wが電極の幅Wに対して15%以上40%以下であることが好ましく、35%以上40%以下であることがより好ましい。
[正極]
図2Aに示すように、正極11は、正極活物質を含有する正極活物質層11Bが、正極集電体11Aの両面上に形成されてなる。正極集電体11Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔が用いられる。
また、正極集電体11Aから一体に正極タブ11Cが延出されている。複数枚重ねられた正極タブ11Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極リード3と接続される。
正極活物質層11Bは、正極集電体11Aの矩形状の主面部上に形成される。正極集電体11Aが露出した状態の延出部は、正極リード3を接続するための接続タブである正極タブ11Cとしての機能を備える。正極タブ11Cの幅は任意に設定可能である。特に、正極リード3および負極リード4を同一辺から導出する場合には、正極タブ11Cの幅は正極11の幅の50%未満とする必要がある。このような正極11は、矩形状の正極集電体11Aの一辺に、正極集電体露出部を設けるようにして正極活物質層11Bを形成し、不要な部分を切断することで得られる。
正極活物質層11Bは、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1-zCoz2(z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi(1-v-w)CovMnw2(v+w<1))、またはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)あるいはリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2-tNit4(t<2))などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnuPO4(u<1))などが挙げられる。
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。
更にまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上記リチウム含有化合物のいずれかより成る芯粒子の表面を、他のリチウム含有化合物のいずれかより成る微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化バナジウム(V25)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化マンガン(MnO2)などの酸化物、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などの二硫化物、二セレン化ニオブ(NbSe2)等のリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、ならびに、硫黄、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレンあるいはポリピロールなどの導電性高分子も挙げられる。もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
また、導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびこれらを主体とする共重合体等が用いられる。
[負極]
負極12は、負極活物質を含有する負極活物質層が、負極集電体の両面上に形成されてなる。負極集電体としては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔により構成されている。
また、負極集電体12Aから一体に負極タブ12Cが延出されている。複数枚重ねられた負極タブ12Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極リード4が接続される。
負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの矩形状の主面部上に形成される。負極集電
体12Aが露出した状態の延出部は、負極リード4を接続するための接続タブである負極
タブ12Cとしての機能を備える。負極タブ12Cの幅は任意に設定可能である。特に、
正極リード3および負極リード4を同一辺から導出する場合には、負極タブ12Cの幅は
負極12の幅の50%未満とする必要がある。このような負極12は、矩形状の負極集電
体12Aの一辺に、負極集電体露出部を設けるようにして負極活物質層12Bを形成し、
不要な部分を切断することで得られる。
負極活物質層12Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。この際、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量は、正極の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。なお、結着剤および導電剤に関する詳細は、正極と同様である。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
上述の炭素材料の他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
特に、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、スズ(Sn)を第1の構成元素とし、そのスズ(Sn)に加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。勿論、この負極材料を上記した負極材料と共に用いてもよい。第2の構成元素は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を構成元素として含み、炭素(C)の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、スズ(Sn)およびコバルト(Co)の合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下の範囲内であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)などが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量特性またはサイクル特性がさらに向上するからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化が抑制されるからである。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物とは、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどであり、高分子化合物とは、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
なお、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記の負極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
負極活物質層12Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。負極活物質層12Bを気相法、液相法、溶射法若しくは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成する場合には、負極活物質層12Bと負極集電体12Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体12Aの構成元素が負極活物質層12Bに拡散し、あるいは負極活物質層12Bの構成元素が負極集電体12Aに拡散し、またはそれらの構成元素が互いに拡散し合っていることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層12Bの膨張および収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層12Bと負極集電体12Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD; Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が用いられる。
[セパレータ]
セパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されている。具体的には、例えばポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料からなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極11と負極12との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。
第1の実施の形態では、セパレータ13の両面に予めフッ化ビニリデンを含む高分子材料が付着されている。これにより、後にフッ化ビニリデンを含む高分子材料と非水電解液とが反応して、非水電解液を保持してゲル状となった多孔性重合体層14が形成される。フッ化ビニリデンを含む高分子材料は、電池素子10の最表層となるセパレータ13の両端部に正極11および負極12よりもやや広い幅で付着させる。また、セパレータ13の両端部にフッ化ビニリデンを含む高分子材料を付着させ、セパレータ13の他の部分には非水電解液をゲル化させるための他の高分子材料であるマトリクスポリマを付着させるようにしてもよい。また、セパレータ13の両端以外には高分子材料を付着させず、正極11および負極12に挟まれたセパレータ13では非水電解液が含浸されるようにしてもよい。これにより、後に電池素子10を作製した際に、電池素子10の最表層に位置するセパレータ13上にフッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層14が形成される。
この発明の大容量の非水電解質電池において、セパレータの厚みは5μm以上25μm以下が好適に使用可能であり、7μm以上20μm以下がより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、膜の機械的強度が低下する。
[非水電解質電池の構成]
非水電解質電池1は、上述の様な電池素子10が非水電解質とともにラミネートフィルム2に封入されたものであり、電池素子10とラミネートフィルム2との間には、フッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層14が形成されている。フッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層14の厚さは、1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。多孔性重合体層14の厚さが1.0μm以下の場合、振動による電池素子10と電極リードとの接合部の破損を抑制することができず、電池の内部抵抗の上昇等が生じてしまう。多孔性重合体層14の厚さが5.0μmを超えると、発電要素ではない多孔性重合体層14の体積が大きくなり、電池の体積効率が低下してしまう。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒に電解質塩が溶解されたものであり、電池素子10とともにラミネートフィルム2内に封入される。非水電解質は、非水溶媒に電解質塩が溶解された非水電解液や、非水電解液をマトリクスポリマに取り込むことで形成されるゲル状電解質を用いることができる。なお、第1の実施の形態におけるフッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層14は、セパレータ13の両面全面にフッ化ビニリデンを含む高分子を付着させることによりセパレータ13の両面全面に形成したゲル状非水電解質の一部である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩の1種あるいは2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)がより好ましい。非水電解質の抵抗が低下するからである。特に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)と一緒に四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を用いるのが好ましい。高い効果が得られるからである。
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。非水電解質を備えた、電池などの電気化学デバイスにおいて、優れた容量、サイクル特性および保存特性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、溶媒としては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。十分な効果が得られるからである。この場合には、特に、高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)である炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンと、低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)である炭酸ジメチル、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルとを混合して含むものを用いることが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
ゲル状の電解質層を形成する場合、マトリクスポリマとして、一般的に非水溶媒に相溶可能な性質を有する高分子材料を用いる。このようなマトリクスポリマとしては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が用いられる。また、フッ素系ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン(TFE)およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の少なくとも一種とを繰り返し単位に含む共重合体等のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層]
第1の実施の形態の非水電解質電池1に設けられる多孔性重合体層14は、セパレータ13に上述のマトリクスポリマとしての機能を有する高分子材料を付着させ、非水電解液を保持することにより構成されている。すなわち、ゲル電解質層と多孔性重合体層14とを一体に形成している。この実施の形態におけるセパレータ13の表面には、マトリクスポリマとしてフッ化ビニリデンを成分として含む高分子材料を用いる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等が好適に用いられる。
多孔性重合体層14を構成する高分子材料としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いる場合には、重量平均分子量が50万以上150万以下のポリフッ化ビニリデンを用いることが好ましい。電池素子10の移動の抑制効果が高いためである。
また、多孔性重合体層14には、無機粒子が混合されていてもよい。多孔性重合体層14の強度が向上するとともに、多孔性重合体層14に凹凸が生じ、電池素子10とラミネートフィルム2とのずれをさらに抑制することができる。このため、内部抵抗の上昇をさらに抑制することができる。
無機粒子としては、電気絶縁性を有する金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等を挙げることができる。金属酸化物としては、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等を好適に用いることができる。金属窒化物としては、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)、窒化チタン(TiN)等を好適に用いることができる。金属炭化物としては、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(B4C)等を好適に用いることができる。これら耐熱性粒子の粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、無機粒子は耐熱性、耐酸化性に優れるため、電池温度の上昇時にも電池素子10の移動抑制効果を損なわないため好ましい。
なお、例えば、電池素子10の最表層となるセパレータ13の片面部にのみフッ化ビニリデンを成分として含む高分子材料を付着させるようにしてもよい。
[ラミネートフィルム]
電池素子10を外装する外装材であるラミネートフィルム2は、金属箔からなる金属層2aの両面に樹脂層を設けた構成とされている。ラミネートフィルムの一般的な構成は、外側樹脂層2b/金属層2a/内側樹脂層2cの積層構造で表すことができ、内側樹脂層2cが電池素子10に対向するように形成されている。外側樹脂層2bおよび内側樹脂層2cと、金属層2aとの間には、厚さ2μm以上7μm以下程度の接着層を設けても良い。外側樹脂層2bおよび内側樹脂層2cは、それぞれ複数層で構成されてもよい。
金属層2aを構成する金属材料としては、耐透湿性のバリア膜としての機能を備えていれば良く、アルミニウム(Al)箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケル(Ni)箔およびメッキを施した鉄(Fe)箔などを使用することができる。なかでも、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることが好ましい。特に、加工性の点から、例えば焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)、(JIS A8079P−O)または(JIS A1N30−O)等を用いるのが好ましい。
金属層2aの厚みは、30μm以上150μm以下とすることが好ましい。30μm未満の場合、材料強度に劣ってしまう。また、150μmを超えた場合、加工が著しく困難になるとともに、ラミネートフィルム2の厚さが増してしまい、非水電解質電池の体積効率の低下につながってしまう。
内側樹脂層2cは、熱で溶けて互いに融着する部分であり、ポリエチレン(PE)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が使用可能であり、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
内側樹脂層2cの厚みは、20μm以上50μm以下とすることが好ましい。20μm未満では接着性が低下するとともに、圧力緩衝作用が不十分となってしまい、短絡が発生しやすくなる。また、50μmを超えると、内側樹脂層2cを通じて水分が浸入しやすくなっていまい、電池内部でのガス発生およびそれに伴う電池膨れ、ならびに電池特性の低下が生じるおそれがある。なお、内側樹脂層2cの厚みは、電池素子10に外装前の状態における厚みである。電池素子10に対してラミネートフィルム2を外装し、封止した後は、2層の内側樹脂層2cが互いに融着されるため、内側樹脂層2cの厚みは上記範囲から外れる場合もある。
なお、内側樹脂層2cは、例えば型押し等により表面に凹凸を付けても良い。これにより、多孔性重合体層14とラミネートフィルム2間での滑り性が悪くなり、更に電池素子10の移動抑制効果を高くすることができる。
外側樹脂層2bとしては、外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル等が用いられる。具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が用いられ、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
なお、内側樹脂層2c同士を熱融着により溶融させてラミネートフィルム2を接着するため、外側樹脂層2bは、内側樹脂層2cよりも高い融点を有することが好ましい。熱融着時に内層樹脂層21cのみを溶融させるためである。このため、外側樹脂層2bは、内側樹脂層2cとして選択された樹脂材料によって使用可能な材料を選択可能である。
外側樹脂層2bの厚みは、25μm以上35μm以下とすることが好ましい。25μm未満では保護層としての機能に劣り、35μmを超えると非水電解質電池の体積効率の低下につながってしまう。
上述の様な電池素子10は、上述のラミネートフィルム2にて外装される。このとき、正極タブ11Cと接続された正極リード3および負極タブ12Cと接続された負極リード4がラミネートフィルム2の封止部から電池外部に導出される。図1Bに示されるように、ラミネートフィルム2には、予め深絞り加工により形成された電池素子収納部7が設けられている。電池素子10は、電池素子収納部7に収納される。
この発明では、電池素子10の周辺部をヒータヘッドによって加熱することにより、電池素子10を両面から覆うラミネートフィルム2同士を熱融着させて封止する。特に、リード導出辺においては、正極リード3および負極リード4を避ける形状に切り欠きが設けられたヒータヘッドによってラミネートフィルム2を熱融着することが好ましい。正極リード3および負極リード4にかかる負荷を小さくして電池を作製することができるためである。この方法により、電池作製時のショートを防ぐことができる。
この発明の非水電解質電池1は、熱融着によるラミネートフィルム2の封止後におけるリード導出部の厚みを制御することにより、高い安全性および電池特性を備えている。
(1−2)非水電解質電池の製造方法
上述のような非水電解質電池は、以下のような工程で作製することができる。
[正極の作製]
正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを帯状の正極集電体11Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層11Bを形成し、正極シートとする。この正極シートを所定の寸法に切断し、正極11を作製する。このとき、正極集電体11Aの一部を露出するようにして正極活物質層11Bを形成する。この正極集電体11A露出部分を正極タブ11Cとする。また、必要に応じて正極集電体露出部の不要な部分を切断して正極タブ11Cを形成してもよい。これにより、正極タブ11Cが一体に形成された正極11が得られる。
[負極の作製]
負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2
−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤ス
ラリーを負極集電体12Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧
縮成型して負極活物質層12Bを形成し、負極シートとする。この負極シートを所定の寸
法に切断し、負極12を作製する。このとき、負極集電体12Aの一部を露出するように
して負極活物質層12Bを形成する。この負極集電体12A露出部分を負極タブ12Cと
する。また、必要に応じて負極集電体露出部の不要な部分を切断して負極タブ12Cを形
成してもよい。これにより、負極タブ12Cが一体に形成された負極12が得られる。
[セパレータの作製]
セパレータ13としては、表面にフッ化ビニリデンを含む高分子材料を付着させた微多孔性樹脂フィルムを用いる。このようなセパレータは、フッ化ビニリデンを含む高分子材料をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に溶解した高分子溶液を微多孔性樹脂フィルムの表面に塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより得られる。
[積層工程]
次いで、図3Aおよび図3Bに示すように、正極11と負極12とを、つづら折りにしたセパレータ13間に交互に挿入し、例えば、セパレータ13、負極12、セパレータ13、正極11、セパレータ13、負極12・・・セパレータ13、負極12、セパレータ13となるように重ね合わせて所定数の正極11および負極12を積層する。続いて、正極11、負極12およびセパレータ13が密着するように押圧した状態で固定し、電池素子10を作製する。電池素子10をより強固に固定するには、例えば接着テープ等の固定部材6を用いることができる。固定部材6を用いて固定する場合には、例えば電池素子10の両サイド部に固定部材6を設ける。
次に、複数枚の正極タブ11Cおよび複数枚の負極タブ12Cを断面U字状となるように折り曲げる。電極タブは、例えば下記のようにして折り曲げられる。
[第1のタブU字曲げ工程]
積層した正極11から引き出された複数の正極タブ11Cおよび積層した負極12から引き出された複数の負極タブ12Cを、断面略U字形状となるように折り曲げる。第1のU字曲げ工程は、予め正極タブ11Cおよび負極タブ12Cに最適なU字曲げ形状を持たせるための工程である。予め最適なU字曲げ形状を持たせることにより、後に正極リード3および負極リード4と接続後の正極タブ11Cおよび負極タブ12Cを折り曲げてU字曲げ部を形成する際に正極タブ11Cおよび負極タブ12Cに引張り応力などのストレスがかからないようにすることができる。
図5は、負極タブ12Cの第1のU字曲げ工程を説明する側面図である。図5においては、負極タブ12Cについて行われる各工程を説明する。なお、正極集電体11Aについても同様にして第1のU字曲げ工程が行われる。
まず、図5Aに示すように、U字曲げ用薄板31を有するワークセット台30aの上部に電池素子を配設する。U字曲げ用薄板31は、電池素子10の厚みよりもやや小さい分だけ、具体的には、少なくとも複数の負極タブ12C1〜負極タブ12C4の総厚分小さい分だけ、ワークセット台30aから突出するように設置されている。このような構成とすることにより、負極タブ12C4の曲げ外周側が電池素子10の厚みの範囲内に位置するため、非水電解質電池1の厚みの増大や外観不良が生じるのを防止することができる。
続いて、図5Bに示すように、電池素子10を下降させるか、もしくはワークセット台30aを上昇させる。このとき、電池素子10とU字曲げ用薄板31との間隙が小さいほど非水電解質電池1のスペース効率が向上するため、例えば電池素子10とU字曲げ用薄板31との間隙が徐々に小さくなるようにする。
図5Cに示すように、電池素子10がワークセット台30a上に載置され、負極タブ12Cに曲げ部を形成した後、図5Dおよび図5Eに示すようにローラ32を下降させて負極タブ12CがU字形状に折り曲げられる。
U字曲げ用薄板31は、厚みが1mm以下、例えば0.5mm程度が好ましい。U字曲げ用薄板31には、このような薄さでも複数の正極タブ11Cまたは負極タブ12Cに曲げ形状を形成するために必要な強度を有する材料を用いることができる。U字曲げ用薄板31に必要な強度は、正極11および負極12の積層枚数や、正極タブ11Cおよび負極タブ12Cに用いる材料の硬度等によって変わる。U字曲げ用薄板31が薄いほど、曲げ最内周の負極タブ12C1の曲率を小さくすることができ、負極タブ12Cの折り曲げに必要なスペースを小さくすることができるため好ましい。U字曲げ用薄板31としては、例えばステンレス(SUS)、強化プラスティック材およびめっきを施した鋼材などを用いることができる。
[集電体露出部切断工程]
次に、U字曲げ部を形成した負極タブ12Cの先端を切り揃える。集電体露出部切断工程では、予め最適な形状を有するU字曲げ部を形成し、そのU字曲げ形状に合わせて正極タブ11Cおよび負極タブ12Cの余剰分を切断する。図6は、負極タブ12Cの切断工程を説明する側面図である。なお、正極タブ11Cについても同様にして集電体露出部切断工程が行われる。
図6Aに示すように、第1のU字曲げ工程においてU字曲げ部が形成された電池素子10の上面と底面を反転させ、集電体たるみ用逃げ部33を有するワークセット台30b上に電池素子10を固定する。
次に、図6Bに示すように、U字曲げ部が形成された負極タブ12C1〜負極タブ12C4のU字曲げ部から先端に至る先端部分がワークセット台30bに沿って略L字形状となるように先端部分を変形させる。このとき、再度U字曲げ部を形成するために必要な形状を維持することにより、曲げ外周側の負極タブ12C4ほど大きなたるみが生じる。このようなたるみがワークセット台30bの集電体たるみ用逃げ部33に入り込むことにより、負極タブ12C1〜負極タブ12C4をストレスなく変形させることができる。なお、負極タブ12C1〜負極タブ12C4の先端部分を固定した状態で負極タブ12C1〜負極タブ12C4を変形させるようにしてもよい。
続いて、図6Cに示すように、集電体押さえ34にて負極タブ12C1〜負極タブ12C4をワークセット台30bに押さえつけた後、図6Dおよび図6Eに示すように、例えば集電体押さえ34に沿うように設けられた切断用刃35で負極タブ12C1〜負極タブ12C4の先端を切り揃える。負極タブ12C1〜負極タブ12C4の切断箇所は、後に再度U字曲げを行った際に負極タブ12C1〜負極タブ12C4の先端が電池素子10の厚みの範囲内に位置するように、負極タブ12C1〜負極タブ12C4の先端の余剰分を少なくとも切断するようにする。
[電極リード接続工程]
続いて、負極タブ12C1〜負極タブ12C4と、負極リード4との接続を行う。タブ接続工程では、第1のU字曲げ工程で形成した最適なU字曲げ形状を維持しながら正極タブ11Cおよび負極タブ12Cと、正極リード3および負極リード4を固着する。これにより、正極タブ11Cおよび正極リード3と、負極タブ12Cおよび負極リード4が電気的に接続される。図7は、負極タブ12C1〜負極タブ12C4と、負極リード4との接続工程を説明する側面図である。なお、図示はしないが、負極リード4にはあらかじめシーラント5が設けられているものとする。正極タブ11Cと正極リード3についても同様にして接続工程が行われる。
図7Aに示すように、電極端子切断工程において負極タブ12C1〜負極タブ12C4の先端余剰分を切断した電池素子10の上面と底面を再度反転させる。次に、図7Bに示すように、集電体形成維持用板36を有するワークセット台30c上に電池素子10を固定する。負極タブ12C1の曲げ内周側には集電体形成維持用板36の先端が位置しており、負極タブ12C1〜負極タブ12C4の曲げ形状を維持するとともに、固着装置から発生する例えば超音波振動などの外的要因による影響を防止する。
続いて、図7Cに示すように、例えば超音波溶着により負極タブ12C1〜負極タブ12C4と負極リード4とを固着する。超音波溶着には、例えば、負極タブ12C1〜負極タブ12C4の下部に備えられたアンビル37aと、負極タブ12C1〜負極タブ12C4の上部に備えられたホーン37bが用いられる。アンビル37aには予め負極タブ12C1〜負極タブ12C4がセットされ、ホーン37bが下降してアンビル37aとホーン37bとで負極タブ12C1〜負極タブ12C4および負極リード4が挟持される。そして、アンビル37aとホーン37bとにより、負極タブ12C1〜負極タブ12C4および負極リード4に超音波振動が与えられる。これにより、負極タブ12C1〜負極タブ12C4および負極リード4が互いに固着される。
なお、タブ接続工程においては、図7Cを参照して上述した内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード4を負極タブ12Cに接続するとよい。なお、内周側曲げしろRiは、正極リード3および負極リード4の厚み以上とする。
次に、負極タブ12C1〜負極タブ12C4と固着した負極リード4を所定の形状に折り曲げる。図8A〜図8Cは、負極リード4のタブ折り曲げ工程を説明する側面図である。また、正極タブ11Cと正極リード3についても同様にしてタブ折り曲げ工程・電極リード接続工程が行われる。
図8Aに示すように、接続工程において負極タブ12C1〜負極タブ12C4と負極リード4とが固着された電池素子10の上面と底面を再度反転させて、集電体たるみ用逃げ部33を有するワークセット台30d上に電池素子10を固定する。負極タブ12C1〜負極タブ12C4と負極リード4との接続部分は、タブ折り曲げ台38a上に載置する。
続いて、図8Bに示すように、負極タブ12C1〜負極タブ12C4と負極リード4との接続部分をブロック38bにて押さえ、図8Cに示すようにローラ39を降下させることにより、タブ折り曲げ台38aおよびブロック38bから突出した負極リード4を折り曲げる。
[第2のタブU字曲げ工程]
続いて、図8Dに示すように、電池素子10と、負極タブ12C1〜負極タブ12C4とを押さえるブロック38bとの間に介在するようにU字曲げ用薄板31を配置する。続いて、図8Eに示すように、負極タブ12C1〜負極タブ12C4を図5に示す第1のU字曲げ工程で形成したU字曲げ形状に沿って90°折り曲げ、電池素子10を作製する。このとき、上述したように、図7Cのように内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード4と負極タブ12Cとを接続しておく。これにより、第2のタブU字曲げ工程において、負極リード4が積層された正極11および負極12に当接することなく負極タブ12Cを電極面と略垂直の方向にまで折り曲げることができる。
このとき、負極リード4は予め熱溶着されたシーラント5と一緒に折り曲げるのが好ましい。負極リード4の折り曲げ部をシーラント5が被覆することになり、負極リード4とラミネートフィルム2とが直接接触しない構造とすることができる。この構造により、長期的な振動、衝撃などによるラミネートフィルム2内部の樹脂層と負極リード4との擦れ、ラミネートフィルム2の破損、ラミネートフィルム2の金属層との短絡の危険性を大幅に低減することができる。このようにして、電池素子10が作製される。
[外装工程]
このあと、作製した電池素子10をラミネートフィルム2で外装し、サイド部の一方と、トップ部およびボトム部をヒータヘッドで加熱して熱融着する。正極リード3および負極リード4が導出されたトップ部およびボトム部は、例えば切り欠きを有するヒータヘッドで加熱して熱融着する。
続いて、熱融着していない他のサイド部の開口から、非水電解液を注液する。最後に、注液を行ったサイド部のラミネートフィルム2を熱融着し、電池素子10をラミネートフィルム2内に封止する。この後、ラミネートフィルム2の外部から、電池素子10を加圧するとともに加熱し、非水電解液をフッ化ビニリデンを含む高分子材料に保持させる。これにより、正極11および負極12間に、ゲル電解質層が形成される。また、電池素子10の最表面のセパレータ13表面にゲル電解質層が形成されることにより、電池素子10とラミネートフィルム2との間にフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14が同時に形成される。
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる構成の電池素子10、および第1の実施の形態と異なる多孔性重合体層14の形成方法を用いた場合について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態とやや異なる電池素子10の構成と、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14の形成に関わる部分のみ説明する。
(2−1)非水電解質電池の構成
[電池素子]
非水電解質電池1に収容される電池素子10は、第1の実施の形態と同様に、図2Aまたは図2Bに示す矩形状の正極11と、図2Cまたは図2Dに示す矩形状の負極12とが、セパレータ13を介して積層された構成である。具体的には、例えば図9Aおよび図9Bに示すように、正極11および負極12が、矩形状のセパレータ13を介して交互に積層された構成である。
電池素子10は、正極11と負極12とが矩形状のセパレータ13を介して交互に積層された積層型電極構造を有している。第2の実施の形態では、電池素子の最表層が例えば負極12となるように、負極12、セパレータ13、正極11、セパレータ13・・・セパレータ13、負極12のように順に積層された電池素子を用いる。第2の実施の形態における非水電解質電池1は、電池素子10とラミネートフィルム2との間にフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14が備えられている。すなわち、電池素子10の最表層である負極12の表面には、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14が形成されている。なお、第2の実施の形態の電池素子10においては、正極11および負極12の両面に、予め図示しないゲル電解質層が形成されている。また、電池素子10の最表層に設けられたゲル電解質層は、この発明の多孔性重合体層14の機能も有する。このため、ゲル電解質層は、多孔性重合体層14と同様の成分で構成される。
電池素子10からは、複数枚の正極11からそれぞれ延出される正極タブ11Cと、複数枚の負極12からそれぞれ延出される負極タブ12Cとが導出されている。複数枚重ねられた正極タブ11Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた正極タブ11Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極リード3が接続されている。
また、正極11と同様に、負極タブ12Cは、複数枚重ねられた上で、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた負極タブ12Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極リード4が接続されている。
(2−2)非水電解質電池の製造方法
上述のような非水電解質電池は、以下のような工程で作製することができる。
[正極および負極の作製]
正極11および負極12は、第1の実施の形態と同様の方法により作製することができる。なお、第2の実施の形態では、正極11および負極12の両面に、予めゲル電解質層を形成しておく。上述の様に、第2の実施の形態では電池素子10の最表層に設けられたゲル電解質層が、この発明の多孔性重合体層14の機能も有する。このため、ゲル電解質は、第1の実施の形態と同様の非水電解液と、マトリクスポリマとしても機能するフッ化ビニリデンを含む高分子材料を混合した前駆体溶液を正極11および負極12の両面に塗布し、不要な溶媒を揮発させることにより形成する。
[セパレータの作製]
第2の実施の形態におけるセパレータ13は、第1の実施の形態と異なり、微多孔性樹脂フィルムの表面にはフッ化ビニリデンを含む高分子材料を付着させない。予め正極11および負極12の両面に多孔性重合体層14としての機能も有するゲル電解質層が形成されているためである。
[積層工程]
図9Aおよび図9Bに示すように、両面にゲル電解質層が形成された正極11と負極12とを、矩形状のセパレータ13を介して積層する。例えば、負極12、セパレータ13、正極11セパレータ13・・・セパレータ13、負極12となるように重ね合わせて所定数の正極11および負極12を積層する。続いて、正極11、負極12およびセパレータ13が密着するように押圧した状態で固定し、電池素子10を作製する。固定には、接着テープ等の固定部材6を用いる。固定部材6は、図1Bに示す第1の実施の形態の場合と同様に、例えば電池素子10の両サイド部に設ける。これにより、電池素子10が形成される。
なお、正極タブ11Cおよび負極タブ12CのU字曲げや、正極リード3および負極リード4の接続、ラミネートフィルム2の外装は、第1の実施の形態と同様にして行うことができる。
なお、第2の実施の形態では、予めゲル電解質層およびフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14を形成しているため、電池素子10を収容したラミネートフィルム2の外部からの加熱は必要ない。なお、ゲル電解質層と正極11と負極12とを密着させるための加圧は、必要に応じて行っても良い。
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態では、電池素子10の表面に、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14を単独で形成、すなわち、多孔性重合体層14をゲル電解質層と一体とせずに形成する方法について説明する。なお、第3の実施の形態における多孔性重合体層形成方法は、第1の実施の形態および第2の実施の形態のいずれの電池素子10にも適用可能であるが、以下では第2の実施の形態の電池素子10に対する形成方法を説明する。また、電池素子10の形成方法は第2の実施の形態とほぼ同様であるため、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層14の形成に関わる部分のみ説明する。
(3−1)非水電解質電池の製造方法
上述のような非水電解質電池は、以下のような工程で作製することができる。
[正極および負極の作製]
正極11および負極12は、第2の実施の形態と同様の方法により作製することができる。なお、第3実施の形態では、正極11および負極12の両面に、予めゲル電解質層を形成せず、セパレータ13に非水電解液が含浸された構成としても良く、また、正極11および負極12の両面に、予めゲル電解質層を形成しておいてもよい。さらに、正極11および負極12と対向するセパレータの両面にマトリクスポリマを付着させ、ラミネートフィルム2の封止後に非水電解液とフッ化ビニリデンを含む高分子材料を反応させてゲル電解質層を形成しても良い。
[積層工程]
上述の様にして作製した正極11と負極12とを、例えば負極12、セパレータ13、正極11セパレータ13・・・セパレータ13、負極12となるように矩形状のセパレータ13を介して重ね合わせて所定数の正極11および負極12を積層する。続いて、正極11、負極12およびセパレータ13が密着するように押圧した状態で固定し、電池素子10を作製する。
このようにして作製した電池素子10は、第2の実施の形態と同様の方法により正極タブ11Cおよび負極タブ12CのU字曲げがなされる。
ここで、第3の実施の形態のラミネートフィルム2は、内側樹脂層2c表面の電池素子10と対向する位置に、フッ化ビニリデンを含む高分子層が予め形成されている。フッ化ビニリデンを含む高分子層は、フッ化ビニリデンを含む高分子材料を極性が高い溶媒に溶解させた塗工溶液をラミネートフィルム2の所定の領域に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させることにより形成される。このような溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等を用いることができる。
電池素子10は、内側樹脂層2cの所定領域にフッ化ビニリデンを含む高分子層が形成されたラミネートフィルム2によって外装される。このとき、電池素子10と、ラミネートフィルム2に形成されたフッ化ビニリデンを含む高分子層とが対向する。ラミネートフィルム2の封止前には、非水電解液が電池内部に注液される。これにより、セパレータ13が非水電解液を含浸するか、もしくは後に電池外部から加熱及び加圧を行うことによりセパレータ13表面に付着させたマトリクスポリマと非水電解液とが反応して、セパレータ13の表面にゲル電解質層が形成される。
なお、第3の実施の形態では、非水電解液もしくは非水電解液を含むゲル電解質層が電池内部に存在する。このため、フッ化ビニリデンを含む高分子層は、電池内部において非水溶媒および電解質塩を吸収したフッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層14となっている。これにより、第1および第2の実施の形態と同様に、ラミネートフィルム2内における電池素子10の移動を抑制し、正極リード3および負極リード4と電池素子10との接続部の破損に起因する電池特性の低下を抑制することができる。
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態では、上述の非水電解質電池1を用いたバッテリユニットおよびバッ
テリユニットが組み合わされたバッテリモジュールについて説明する。なお、第4の実施
の形態では、第1の実施の形態の正極リード3と負極リード4とが異なる辺から導出され
た非水電解質電池1を用いた場合について説明する。
[バッテリユニット]
図10は、この発明を適用したバッテリユニットの構成例を示す斜視図である。図10Aおよび図10Bには、それぞれ異なる側から見たバッテリユニット100が示されており、図10Aに主に示されている側をバッテリユニット100の正面側とし、図10Bに主に示されている側をバッテリユニット100の背面側とする。図10に示すように、バッテリユニット100は、非水電解質電池1−1および1−2、ブラケット110、並びに、バスバー120−1および120−2を備えて構成される。非水電解質電池1−1および1−2は上述した第1〜第3の実施形態のいずれかの構成を採用した非水電解質電池である。
ブラケット110は、非水電解質電池1−1および1−2の強度を確保するための支持具であり、ブラケット110の正面側に非水電解質電池1−1が装着され、ブラケット110の背面側に非水電解質電池1−2が装着される。なお、ブラケット110は、正面側および背面側のどちらから見ても、ほぼ同じ形状をしているが、下側の一方の角部分に面取り部111が形成されており、面取り部111が右下に見える側を正面側とし、面取り部111が左下に見える側を背面側とする。
バスバー120−1および120−2は、略L字形状をした金属の部材であり、非水電解質電池1−1および1−2のタブに接続される接続部分がブラケット110の側面側に配置され、バッテリユニット100の外部と接続されるターミナルがブラケット110の上面に配置されるように、ブラケット110の両側面にそれぞれ装着される。
図11は、バッテリユニット100が分解された状態を示す斜視図である。図11の上側をバッテリユニット100の正面側とし、図11の下側をバッテリユニット100の背面側とする。以下、非水電解質電池1−1において内部に電池素子10が収容された凸状部分を電池本体1−1Aと称する。同様に、非水電解質電池1−2において内部に電池素子が収容された凸状部分を電池本体1−2Aと称する。
そして、非水電解質電池1−1および1−2は、凸形状となっている電池本体1−1Aおよび1−2A側を互いに向い合せた状態で、ブラケット110に装着される。つまり、非水電解質電池1−1は正極リード3−1および負極リード4−1が設けられる面が正面側を向き、非水電解質電池1−2は正極リード3−2および負極リード4−2が設けられる面が背面側を向くように、ブラケット110に装着される。
ブラケット110は、外周壁112およびリブ部113を有している。外周壁112は、非水電解質電池1−1および1−2の電池本体1−1Aおよび1−2Aの外周よりも若干広く、即ち、非水電解質電池1−1および1−2が装着された状態で電池本体1−1Aおよび1−2Aを囲うように形成される。リブ部113は、外周壁112の内側の側面に外周壁112の厚み方向の中央部分から内側に向かって伸びるように形成される。
図11の構成例では、非水電解質電池1−1および1−2が、ブラケット110の正面側および背面側から外周壁112内に挿入され、両面に粘着性を有する両面テープ130−1および130−2により、ブラケット110のリブ部113の両面に貼着される。両面テープ130−1および130−2は、非水電解質電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅の略ロ字形状をしており、ブラケット110のリブ部113は、両面テープ130−1および130−2が貼着する面積だけ設けられていればよい。
このように、リブ部113は、非水電解質電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅だけ、外周壁112の内側の側面から内側に向かって伸びるように形成されており、リブ部113よりも内側は、開口部となっている。従って、ブラケット110の正面側から両面テープ130−1によりリブ部113に貼着される非水電解質電池1−1と、ブラケット110の背面側から両面テープ130−2によりリブ部113に貼着される非水電解質電池1−2との間では、この開口部によって隙間が生じている。
即ち、ブラケット110の中央部分に開口部が形成されていることで、非水電解質電池1−1および1−2は、リブ部113の厚みと両面テープ130−1および130−2の厚みとを合計した寸法の隙間を有してブラケット110に装着される。例えば、非水電解質電池1−1および1−2には、充放電やガスの発生などにより多少の膨らみが生じることがあるが、この開口部により設けられる間隙が、非水電解質電池1−1および1−2の膨らみを逃がす空間となる。従って、非水電解質電池1−1および1−2が膨らんだ部分によってバッテリユニット100全体の厚みが増加するなどの影響を排除することができる。
また、非水電解質電池1−1および1−2をリブ部113に接着する際に、接着面積が広い場合にはかなりの圧力が必要となるが、リブ部113の接着面を外周端に限定することにより、効率よく圧力をかけて、容易に接着することができる。これにより、製造時に非水電解質電池1−1および1−2にかかるストレスを軽減することができる。
図11に示すように、1つのブラケット110に2つの非水電解質電池1−1および1−2を取り付けることにより、例えば、1つのブラケットに1つの非水電解質電池を取り付ける場合よりも、ブラケット110の厚みと空間を削減することができる。これにより、エネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100の厚み方向の剛性を、2枚の非水電解質電池1−1および1−2を貼り合わせる相乗効果により得られるため、ブラケット110のリブ部113を薄肉化することができる。即ち、例えば、リブ部113の厚みを1mm以下(樹脂成型の限界の厚み程度)にしても、非水電解質電池1−1および1−2をリブ部113の両側から貼り合わせることで、バッテリユニット100全体として十分な剛性を得ることができる。そして、リブ部113の厚みを薄くすることにより、バッテリユニット100の厚みが薄くなり容積が縮小することになる結果、バッテリユニット100のエネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100は、外的なストレスに対する耐性を高めるため、非水電解質電池1−1および1−2の外周面(両側面および上下面)が、ブラケット110の外周壁112の内周面と接触しない構造とし、非水電解質電池1−1および1−2が有する広い面でリブ部113に貼り合わされる構造となっている。
このような構成により、エネルギー密度が高く、かつ、外的なストレスに強いバッテリユニット100を実現することができる。
[バッテリモジュール]
次に、図12〜図15を参照して、バッテリユニット100が組み合わされたバッテリモジュール200の構成例について説明する。バッテリモジュール200は、モジュールケース210、ゴムシート部220、電池部230、電池カバー240、固定シート部250、電気パーツ部260、およびボックスカバー270を備えて構成されている。
モジュールケース210は、バッテリユニット100を収納して使用機器に搭載するためのケースであり、図12の構成例では、24個のバッテリユニット100が収納可能なサイズとされている。
ゴムシート部220は、バッテリユニット100の底面に敷かれて、衝撃などを緩和するためのシートである。ゴムシート部220では、3個のバッテリユニット100ごとに1枚のゴムシートが設けられ、24個のバッテリユニット100に対応するために8枚のゴムシートが用意される。
電池部230は、図12の構成例では、24個のバッテリユニット100が組み合わされて構成されている。また、電池部230では、3個のバッテリユニット100が並列に接続されて並列ブロック231を構成し、8個の並列ブロック231が直列に接続される接続構成となっている。
電池カバー240は、電池部230を固定するためのカバーであり、非水電解質電池1のバスバー120に対応した開口部が設けられている。
固定シート部250は、電池カバー240の上面に配置され、ボックスカバー270がモジュールケース210に固定されたときに、電池カバー240およびボックスカバー270に密着して固定するシートである。
電気パーツ部260は、バッテリユニット100の充放電を制御する充放電制御回路などの電気的な部品を有する。充放電制御回路は、例えば、電池部230において2本の列をなすバスバー120の間の空間に配置される。
ボックスカバー270は、モジュールケース210に各部が収納された後に、モジュールケース210を閉鎖するためのカバーである。
ここで、バッテリモジュール200では、3個のバッテリユニット100が並列に接続された並列ブロック231が直列に接続されて電池部230が構成されており、この直列の接続が、電気パーツ部260が有する金属板材で行われる。従って、電池部230では、並列ブロック231ごとに端子の向きが交互になるように、即ち、隣り合う並列ブロック231どうしでプラスの端子とマイナスの端子とが並ぶように、並列ブロック231がそれぞれ配置される。そこで、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロック231で同極の端子が並ぶことを回避させるような工夫が必要である。
例えば、図13に示すように、バッテリユニット100−1〜100−3により構成される並列ブロック231−1と、バッテリユニット100−4〜100−6により構成される並列ブロック231−2とでは、プラスの端子とマイナスの端子とが隣り合うような配置で、モジュールケース210に収納される。このような配置となるように規制するために、バッテリユニット100のブラケット110の下側の一方の角部分に形成されている面取り部111が利用される。
例えば、図14および図15に示すように、並列ブロック231では、バッテリユニット100−1〜100−3は、それぞれの面取り部111−1〜111−3が同じ向きとなるように組み合わされており、面取り領域280を形成する。そして、モジュールケース210には、面取り領域280の傾斜に応じた傾斜部290が形成されており、傾斜部290は、非水電解質電池1の3個分の厚みに応じた長さで、交互に配置されている。
このように、並列ブロック231の面取り領域280と、モジュールケース210の傾斜部290とにより、並列ブロック231を間違った向きでモジュールケース210に収納しようとした場合には、並列ブロック231の底側の角部がモジュールケース210の傾斜部290に当接することになる。この場合、並列ブロック231がモジュールケース210の底面から浮き上がった状態となるため、並列ブロック231がモジュールケース210に完全に収納されなくなる。これにより、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロック231で同極の端子が隣り合って並ぶことが回避される。
このようにしてこの発明に係る非水電解質電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリモジュールが構成されている。なお、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
5.他の実施の形態
第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明した電池素子の構造およびフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層の形成方法は一例であり、これらに限定されるものではない。
例えば、第1の実施の形態では最外層がセパレータ13であり、第2の実施の形態では最外層が負極12であるが、第1の実施の形態において最外層を正極11または負極12のいずれかの電極とし、第2の実施の形態において最外層をセパレータ13としてもよい。最外層をセパレータとする場合、最外層を電極とするいずれの場合であっても、予めフッ化ビニリデンを含む高分子材料を最外層に付着させておき、後に非水電解液と反応させて多孔性重合体層を形成する方法、もしくは予め塗布により多孔性重合体層を形成してから積層を行う方法、電極およびセパレータの積層後に、電池素子10の表面に塗布等により多孔性重合体層を形成する方法等、電池素子10の表面にフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層が形成される方法であればいずれの方法も用いることができる。
また、フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層は、電池素子10の表面に第2の実施の形態のように塗布にて形成し、正極11と負極12とに挟まれたセパレータ13は、非水電解液が含浸されるようにしても良い。
電池素子10の構造は、例えば図16Aに示す第1の実施の形態の構造の他、セパレータ13の折り曲げ方向を変えた図16Bのような構成としても良い。また、正極タブ11Cおよび負極タブ12Cを電極の半分未満の幅とし、正極タブ11Cおよび負極タブ12Cが同一方向に延出されるようにしてもよい。また、また、電池素子の構造10は、セパレータを介して積層された帯状の正極および負極が巻回された巻回電極体構造であっても良い。
なお、この発明の非水電解質電池1および非水電解質電池1を組み合わせたバッテリモジュール200は、電動工具、電気自動車やハイブリッド電気自動車および電動アシスト自転車、ならびに住宅もしくはビル等に用いる蓄電システム等に用いることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。なお、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、正極リードおよび負極リードの導出部における熱融着後の厚みを変化させて非水電解質二次電池を作製し、電池特性を確認した。
<実施例1−1>
[正極の作製]
カーボンで被覆されたオリビン構造を有するリチウムリン酸化合物(LiFePO4)97重量部と、カーボンブラック3重量部とを混合して第2の混合材料とし、ボールミルを用いて第2の混合材料に対する乾式混合を10時間行った。
次に、ボールミルにて混合した第2の混合材料を、550℃の窒素(N2)雰囲気下において焼成した。これにより、カーボンで被覆されたオリビン構造を有するリチウムリン酸化合物(LiFePO4)を正極活物質として得た。
続いて、得られた正極活物質95質量部と、導電剤である黒鉛1質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン4質量部とを混合して正極合剤を調製し、さらにこれを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。続いて、この正極合剤スラリーを厚み15μmのアルミニウム(Al)箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成形して正極活物質層を形成し、正極シートを作製した。なお、このとき、正極集電体の一部を露出させて正極活物質を作製した。最後に、正極シートを所定のサイズに切断して、矩形上の一辺に正極集電体露出部が形成された正極を作製した。
[負極の作製]
粉砕した黒鉛粉末を負極活物質として用意した。この黒鉛粉末92質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合して負極合剤を調製し、さらにこれを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させ負極合剤スラリーとした。次に、この負極合剤スラリーを厚み12μmの銅(Cu)箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成形して負極活物質層を形成し、負極シートを作製した。なお、このとき、負極集電体の一部を露出させて負極活物質を作製した。最後に、負極シートを所定のサイズに切断して、矩形上の一辺に負極集電体露出部が形成された負極を作製した。
[重合体が表面に形成されたセパレータの作製]
N−メチル−2−ピロリドン溶液に、重量平均分子量を100万のポリフッ化ビニリデン(PVdF)重合体が8質量%となるように溶解したポリマー溶液を作製し、このポリマー溶液を厚み16μmの微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ両面にコーティング装置を用いて塗布した。次に、ポリマー溶液を塗布したポリエチレンフィルムを脱イオン水に浸漬し、その後乾燥することで、厚み3μmの多孔性ポリフッ化ビニリデンからなる重合体層をポリエチレンフィルムの両面に作製した。
[非水電解質電池の組み立て]
以上のようにして作製した正極および負極を、多孔性ポリフッ化ビニリデンからなる重合体層が形成されたセパレータを介して積層し、電池素子を作製した。このとき、セパレータをつづら状に折り曲げ、正極および負極をセパレータ間に順に挿入していくことにより、正極および負極がセパレータを介して積層されるようにした。また、このとき、最外層がセパレータに形成された多孔性重合体層になるように正極および負極を挿入した。続いて、正極、負極およびセパレータがずれないように保護テープで固定し、電池素子とした。
さらに、作製した電池素子を、外装材で挟み、一方のサイド部を残した3辺を熱融着した。なお、外装材には、最外層から順に25μm厚のナイロンフィルムと40μm厚のアルミニウム箔と30μm厚のポリプロピレンフィルムとが積層されてなる防湿性のアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、熱融着していないサイド部の開口から非水電解液を注入し、減圧下で残りの1辺を熱融着して密封した。最後に、ラミネートフィルムで外装された電池素子を鉄板に挟んで90℃で3分間加熱することで、多孔性重合体層を介して、正極および負極にセパレータを接着させた。これにより、容量10Ah、厚さ8.0mmの非水電解質電池を作製した。
<実施例1−2>
N−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解する重合体として、フッ化ビニリデン90質量部と、ヘキサフルオロプロピレン10質量部とを共重合させた共重合体を用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例1−3>
N−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解する重合体として、フッ化ビニリデン97質量部と、ヘキサフルオロプロピレン4質量部と、クロロトリフルオロエチレン3質量部とを共重合させた共重合体を用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例1−4>
N−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解する重合体として、フッ化ビニリデン99.5質量部と、モノメチルマレイン酸エステル0.5質量部とを共重合させた共重合体を用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例1−5>
セパレータの端部のみに多孔性重合体層を形成し、負極とラミネートフィルムに挟まれる最外層以外には多孔性重合体層が形成されていないセパレータを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<比較例1−1>
多孔性重合体層を形成していないセパレータを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<比較例1−2>
N−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解する重合体として、メタクリル酸メチルを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<比較例1−3>
N−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解する重合体として、ポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
[非水電解質電池の評価]
(a)放電容量の測定
上述の各実施例および比較例の非水電解質電池について、23℃の環境下で2Aの定電流充電を上限3.6Vまで行い、続いて、3.6Vでの定電圧充電を総充電時間が7時間になるまで行った。次に2Aの定電流放電を終止電圧2.0Vまで行い、初回放電容量を求めた。各実施例および比較例ごとに20個の非水電解質電池の試験を行い、その平均値を表1に示した。
(b)振動試験
各実施例および比較例の非水電解質電池について、初回放電容量を求めた後の非水電解質電池を3.6Vまで充電した。この後、3軸方向(x軸、y軸、z軸)それぞれで、振幅0.8mm、周波数10〜55Hz、掃引速度1Hz/分の条件で振動試験を各90分間行ったあと、内部抵抗(1kHz)を測定した。各実施例および比較例ごとに20個の非水電解質電池の試験を行い、その平均値を表1に示した。
上述の評価結果を表1に示す。
Figure 0006048477
表1から分かるように、電池素子と外装材との間に多孔性ポリフッ化ビニリデンを成分として含む重合体層が形成されている各実施例1−1〜1−5は、内部抵抗値が10mΩ以下であり、また初回放電容量が低下することもなかった。電池素子表面とセパレータの間にのみ多孔性ポリフッ化ビニリデンを成分として含む重合体層を形成した実施例1−5でも、内部抵抗値の上昇がほとんど見られなかった。
これに対して、重合体層が一切形成されていないセパレータを用いた比較例1−1と、ポリフッ化ビニリデンを成分として含まない重合体層を形成したセパレータを用いた比較例1−2および比較例1−3は、内部抵抗が14.6〜16.1mΩと顕著に向上することが確認された。
すなわち、電池素子の外表面と外装材との間に多孔性のポリフッ化ビニリデンを成分として含む重合体層が形成されていれば、振動が加えられた際の内部抵抗の上昇を抑制できることが分かった。
[実施例2]
実施例2では、セパレータ表面に形成される多孔性のポリフッ化ビニリデンを成分として含む重合体層の厚みを変化させて、電池特性を確認した。
<実施例2−1>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みを5μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例2−2>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みを3μmと実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例2−3>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みを1μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例2−4>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みを0.5μmとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<比較例2−1>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層を形成していないセパレータを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
[非水電解質電池の評価]
(a)放電容量の測定
(b)振動試験
各実施例および比較例の非水電解質電池について、実施例1と同様に放電容量の測定および振動試験を行った。
上述の評価結果を表2に示す。
Figure 0006048477
表2から分かるように、電池素子の外表面と外装材との間の多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層を形成した実施例2−1〜実施例2−4は、多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層を形成しないセパレータを用いた比較例2−1と比較して初回放電容量が高く、かつ内部抵抗が小さかった。特に、多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みを1μm以上とした実施例2−1〜実施例2−3は、多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みが0.5μmの実施例2−4よりもさらに内部抵抗が小さくなることが分かった。また、多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の厚みが1μm以上となると、内部抵抗の顕著な低下が見られないことが分かった。
[実施例3]
実施例3では、多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の形成に用いるポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を変化させて、電池特性を確認した。
<実施例3−1>
ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を40万とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例3−2>
ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を50万とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例3−3>
ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を80万とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例3−4>
実施例1−1と同様に、ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を100万として非水電解質電池を作製した。
<実施例3−5>
ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を150万とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例3−6>
ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を180万とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<比較例3−1>
多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層を形成していないセパレータを用いた以外は実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
[非水電解質電池の評価]
(a)放電容量の測定
(b)振動試験
各実施例および比較例の非水電解質電池について、実施例1と同様に放電容量の測定および振動試験を行った。
上述の評価結果を表3に示す。
Figure 0006048477
表3から分かるように、セパレータに形成する多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の形成に用いるポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量が40万の実施例3−1およびポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量が180万の実施例3−6は、内部抵抗が11.1〜11.7mΩであった。これに対して、ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を50〜150万とした実施例3−2〜実施例3−5は、内部抵抗値が10mΩ以下と顕著に向上した。
すなわち、電池素子の外表面と外装材との間に設ける多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層の形成に用いるポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量を50〜150万とした場合、振動が加えられた際の内部抵抗の上昇を抑制できる効果が大きいことが分かった。
[実施例4]
実施例4では、無機酸化物粒子を混合した多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層を形成して電池特性を確認した。
<実施例4−1>
実施例1−1と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例4−2>
無機酸化物粒子として平均粒径0.5μmのアルミナ(Al23)用いた。無機酸化物粒子を含む多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体層は、以下のようにして形成した。
N−メチル−2−ピロリドン溶液に、重量平均分子量を100万のポリフッ化ビニリデン(PVdF)重合体が8質量%となるように溶解したポリマー溶液を作製した。このポリマー溶液に、上述のアルミナ微粉末をポリフッ化ビニリデンの添加量に対して2倍の量となるように添加し、十分に攪拌した。
アルミナを添加したポリマー溶液を厚み16μmの微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ両面にコーティング装置を用いて塗布した。次に、ポリマー溶液を塗布したポリエチレンフィルムを脱イオン水に浸漬し、その後乾燥することで、厚み3μmの多孔性ポリフッ化ビニリデンからなる重合体層をポリエチレンフィルムの両面に作製した。
<実施例4−3>
無機酸化物粒子として平均粒径0.5μmのシリカ(SiO2)を用いた以外は実施例4−2と同様にして非水電解質電池を作製した。
<実施例4−4>
無機酸化物粒子として平均粒径0.5μmのチタニア(TiO2)を用いた以外は実施例4−2と同様にして非水電解質電池を作製した。
[非水電解質電池の評価]
(a)放電容量の測定
(b)振動試験
各実施例および比較例の非水電解質電池について、実施例1と同様に放電容量の測定および振動試験を行った。
上述の評価結果を表4に示す。
Figure 0006048477
表4から分かるように、電池素子の外表面と外装材との間の多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体に無機酸化物粒子を混合させた実施例4−2〜4−4では、無機酸化物粒子を混合しない実施例4−1よりもさらに内部抵抗の上昇が小さいことが分かった。したがって、電池素子の外表面と外装材との間の多孔性ポリフッ化ビニリデン重合体に無機酸化物粒子を混合させることがより好ましい。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述した一実施形態では、電池として正極と負極とを積層してなる積層型電極体を用いた場合や、巻回せずにいわゆるつづら折りにされたつづら折り型電極体を用いた場合を例に挙げて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、帯状の正極と帯状の負極とをセパレータを介して積層し、さらに長手方向に巻回されてなる電極巻回体を用いた場合も適用可能である。
1・・・非水電解質電池
2・・・ラミネートフィルム
3・・・正極リード
4・・・負極リード
5・・・シーラント
6・・・固定部材
7・・・電池素子収納部
10・・・電池素子
11・・・正極
11A・・・正極集電体
11B・・・正極活物質層
11C・・・正極タブ
12・・・負極
12A・・・負極集電体
12B・・・負極活物質層
12C・・・負極タブ
13・・・セパレータ
14・・・多孔性重合体層
100・・・バッテリユニット
200・・・バッテリモジュール

Claims (9)

  1. 正極および負極がセパレータを介して対向してなる電池素子と、
    非水電解質と、
    金属層と、該金属層の外面に形成された外側樹脂層と、該金属層の内面に形成された内側樹脂層とが積層されてなり、熱融着により上記電池素子と上記非水電解質とを外装し内部に収容するラミネートフィルムと、
    上記正極と電気的に接続される正極リードと、
    上記負極と電気的に接続される負極リードと
    を備える非水電解質電池の製造方法であって、
    上記正極から引き出された複数の正極タブと上記負極から引き出された複数の負極タブをそれぞれ重ね、
    上記正極リードと上記複数の正極タブ、上記負極リードと上記複数の負極タブをそれぞれ固着して接続し、
    上記正極リードが接続された上記複数の正極タブおよび上記負極リードが接続された上記複数の負極タブを、それぞれ折り曲げ、
    上記正極リードおよび上記負極リードのそれぞれを、上記ラミネートフィルムの熱融着され合わせ目から外部に導出し、
    上記ラミネートフィルムと上記電池素子との間には、無機粒子を混合したフッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層を形成する
    ことを含み、
    複数重ねられた上記正極タブおよび複数重ねられた上記負極タブのそれぞれを、予め折り曲げて曲げ部分を形成し、
    上記正極リードが接続された上記複数の正極タブおよび上記負極リードが接続された上記複数の負極タブを折り曲げる際には、上記曲げ部分に沿って折り曲げる非水電解質電池の製造方法。
  2. 上記曲げ部分を、略U字状に形成する請求項1に記載の非水電解質電池の製造方法。
  3. 上記フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層が、上記非水電解質の一部となるように形成する請求項1〜2の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  4. 上記正極リードおよび上記負極リードのそれぞれに、シーラントを溶着し、
    上記シーラントを、上記正極リードが接続された上記複数の正極タブおよび上記負極リードが接続された上記複数の負極タブと一緒に折り曲げる請求項1〜3の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  5. 非水電解液を注入し、該非水電解液をフッ化ビニリデンを含む高分子材料に保持させることにより、上記フッ化ビニリデンを含む多孔性重合体層を形成する請求項1〜4の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  6. 上記フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層が、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンを成分として含む共重合体の少なくとも一種からなる請求項1〜5の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  7. 上記ラミネートフィルムの上記内側樹脂層を粗面化する請求項1〜6の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  8. 上記電池素子を、上記セパレータが最表層となるように上記正極と上記負極とが該セパレータを介して交互に積層して形成する請求項1〜7の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
  9. 上記フッ化ビニリデンを成分として含む多孔性重合体層を、上記セパレータの両面に形成する請求項1〜8の何れか一項に記載の非水電解質電池の製造方法。
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