JP2012105191A - 弾性波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の変形を抑制すること。
【解決手段】タンタル酸リチウムからなる支持基板10と、前記支持基板の上面に配置され、下面が前記支持基板10の上面と接合されたタンタル酸リチウムからなる素子基板12と、前記素子基板の上面に形成された櫛型電極とを具備し、前記素子基板の弾性波における伝搬方向はX軸であり、前記支持基板の上面の法線方向はX軸であり、前記弾性波の伝搬方向は前記支持基板のZ軸と平行ではない弾性波デバイス。
【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波デバイスに関し、タンタル酸リチウム(LiTaO)からなる素子基板上に櫛型電極を備えてなる弾性波デバイスに関する。
弾性波を利用した弾性波デバイスの1つとして、弾性表面波デバイスが知られている。弾性表面波デバイスは、圧電基板の表面に形成された櫛型電極を備える。櫛型電極は、金属ストリップから構成され、金属ストリップは、弾性表面波を励受振、共振或いは反射する。弾性表面波デバイスは、小型軽量で且つ所定の周波数帯域外の信号に対する高減衰量を得られることから、例えば携帯電話端末などの無線機器のフィルタとして用いられている。
携帯電話端末などの高性能化に伴い、弾性表面波デバイスにおいても温度特性の向上が求められ、フィルタの通過帯域及び/或いは共振器の共振周波数などの周波数の温度依存性を小さくすることが求められている。しかしながらタンタル酸リチウム(LiTaO)のように電気機械結合係数が大きな圧電単結晶材料は、温度安定性に欠ける。
特許文献1には、サファイア基板からなる支持基板上に、弾性表面波素子が形成される素子基板としてタンタル酸リチウム基板を結合する技術が記載されている。
一方、特許文献2には、支持基板および素子基板をタンタル酸リチウム基板から構成し、弾性表面波素子の弾性波が伝搬する方向を素子基板のX軸方向とし、弾性波が伝搬する方向と平行な支持基板の軸方向をZ軸とする技術が記載されている。
特開2004−343359号公報 特開2002−9584号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術においては、サファイア基板とタンタル酸リチウム基板との界面においてバルク波の反射が生じ、スプリアス応答が発生する場合がある。これは、サファイア基板とタンタル酸リチウム基板との音響インピーダンスの相違により生ずる。音響インピーダンスは、それぞれの基板に於ける音速と基板密度に関係している。
一方、特許文献2に開示される技術においても、弾性波が伝搬する方向の支持基板と素子基板との線熱膨張係数の差が大きいため、熱応力に起因して基板が変形してしまう。その0008段落の記載のように、ファンデルワース力により支持基板と素子基板12とを結合させた場合、支持基板と素子基板との結合が弱い。よって、支持基板の影響により、素子基板上に形成された表面弾性波素子の温度依存性を抑制することが難しい。さらに、支持基板と素子基板との結合を強固にするために、その0009段落に記載のように、250℃において熱処理すると、X軸とZ軸の線熱膨張係数との差により、基板が大きく変形してしまう。
また、当該特許文献2のように、支持基板のZ軸を弾性波の伝搬方向と平行とすると、線熱膨張係数の差が大きくなってしまう。このため、素子基板上に弾性表面波素子を形成する際の熱処理に起因して基板が変形し、基板に反りを生じてしまう。当該基板が変形した状態で弾性表面波素子を形成すると、基板面内の複数の弾性表面波素子の特性を均一なものとすることができない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、製造工程中に於ける基板の変形を防止・抑制し、またスプリアスの発生を招来せず、且つ十分な周波数温度特性を有する弾性波デバイスを得ることを目的とする。
本発明は、タンタル酸リチウム(LiTaO)からなる支持基板と、前記支持基板の上面上に設けられ、下面が前記支持基板の上面と接合し、タンタル酸リチウム(LiTaO)からなる素子基板と、前記素子基板の上面に形成され、弾性波を励振する櫛型電極とを具備し、前記素子基板に於ける弾性波の伝搬方向はX軸であり、前記支持基板の上面の法線方向はX軸又はY軸であり、前記弾性波の伝搬方向は前記支持基板のZ軸と平行ではないことを特徴とする弾性波デバイスである。
本発明によれば、スプリアス応答の発生がなく、また基板の変形を抑制することができる。
上記構成において、前記支持基板の上面(被接合面)と前記素子基板の下面(被接合面)との間にはアモルファス層を具備する構成とすることができる。かかる構成によれば、当該アモルファス層により、支持基板と素子基板との結合をより強固にすることができる。よって、弾性波デバイスの周波数の温度依存性を小さくすることができる。
上記構成において、前記素子基板の下面が前記支持基板の上面に常温接合されている構成とすることができる。かかる構成によれば、基板の変形をより抑制することができる。
上記構成において、前記弾性波の伝搬方向は前記支持基板のY軸又はX軸と平行ではない構成とすることができる。かかる構成によれば、弾性波デバイスの周波数の温度依存性を小さくすることができる。
上記構成において、前記素子基板の上面の法線方向は、X軸を中心にY軸からZ軸方向に36°〜48°回転した方向である構成とすることができる。
上記構成において、前記弾性波の伝搬方向に平行な方向の前記支持基板の線熱膨張係数を、前記組織版のX軸の線熱膨張係数より小さい構成とすることができる。かかる構成によれば、弾性波デバイスの周波数の温度依存性をより抑制することができる。
上記構成において、前記素子基板の厚さを前記支持基板の厚さよりも薄い構成とすることができる。かかる構成によれば、弾性波デバイスの周波数の温度依存性をより抑制することができる。
上記構成において、個片化されたチップにおいて、側壁に段差が無い構成とすることができる。
本発明によれば、基板の変形を防止・抑制し、またスプリアスの発生を招来せず、且つ十分な周波数温度特性を有する弾性波デバイスを得ることができる。
図1は、実施例1に係る弾性波デバイスの外観を示す斜視模式図である。 図2(a)および図2(b)は、それぞれ素子基板12および支持基板10の結晶方位を示す図である。 図3(a)から図3(e)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。 図4は、支持基板に素子基板が接合された状態を示す斜視図である。 図5(a)から図5(b)は、支持基板と素子基板との接合方法を説明する図(その1)である。 図6(a)から図6(b)は、支持基板と素子基板との接合方法を説明する図(その2)である。 図7は、実施例2に係る弾性波デバイスの構成を示す平面図である。 図8(a)は、サンプルAの通過特性を示す図、図8(b)および図8(c)は、それぞれ通過帯域の高周波数端および低周波数端の周波数変化率の温度依存性を示す図である。 図9(a)は、サンプルBの通過特性を示す図、図9(b)および図9(c)は、それぞれ通過帯域の高周波数端および低周波数端の周波数変化率の温度依存性を示す図である。 図10(a)は、サンプルCの通過特性を示す図、図10(b)および図10(c)は、それぞれ通過帯域の高周波数端および低周波数端の周波数変化率の温度依存性を示す図である。 図11(a)は、サンプルDの通過特性を示す図、図11(b)および図11(c)は、それぞれ通過帯域の高周波数端および低周波数端の周波数変化率の温度依存性を示す図である。 図12は、実施例3に於ける弾性波デバイスの構成を示す平面図である。
以下、図面を参照し、本発明による弾性波デバイスの構成ならびにその製造方法について、実施例をもって説明する。
本発明による弾性波デバイスの第1の実施例を、図1に示す。当該図1に示されるように、本発明による弾性波デバイスは、膜厚T1の支持基板10の上面上に膜厚T2の素子基板12が配置され、素子基板12の下面が支持基板10の上面と接合されている。支持基板10および素子基板12は、共にタンタル酸リチウム(LiTaO)からなる。
支持基板10の上面と素子基板12の下面との間にアモルファス層14が形成されている。
当該アモルファス層14の厚さは非常に薄いため、基板の厚さT1およびT2に対して無視することができるが、当該図1にあっては、当該アモルファス層14の厚さを含めて基板の厚さT1およびT2を表示している。
素子基板12の上面には、弾性波表面素子として一端子対共振子18が形成されている。
当該一端子対共振子18は、素子基板12上に形成されたアルミニウム(Al)等の金属層16からなるIDT(Interdigital Transducer)17aと反射電極17bとを有している。IDT17aは、2つの櫛型電極から形成されている。一方、反射電極17bは、IDT17aの両側に配設されている。
IDT17aの櫛型電極は弾性波を励振する。励振された弾性波は、反射電極17bにより反射される。当該弾性波の伝搬方向は、素子基板12のX軸方向である。
尚、櫛型電極を有する弾性波素子として、一端子対共振子18を例示したが、弾性波素子は、共振子を複数含むラダー型フィルタまたは多重モード型フィルタなどが該当する。
前記第1の実施例に於ける弾性波デバイスに於ける素子基板12ならびに支持基板10の結晶方位を図2に示す。図2(a)に示されるように、素子基板12において、弾性波の伝搬方向はX軸であり、上面の法線方向は、X軸を中心にY軸からZ軸方向に角度θ2回転した方向である。これを、θ2°YカットX伝搬のタンタル酸リチウム基板という。また、図2(b)に示されるように、支持基板10において、上面の法線方向は、X軸方向であり、弾性波の伝搬方向と平行な方向は、Y軸から、Z軸へθ1°回転した方向である。これを、Xカットθ1°Yのタンタル酸リチウム基板という。
前記第1の実施例に於ける弾性波デバイスの製造方法を、図3に示す。
先ず、所謂ウエハ状を呈するタンタル酸リチウム(LiTaO)支持基板10の下面に金属膜20を、また同様にウエハ状を呈するタンタル酸リチウム(LiTaO)素子基板12の上面に金属膜22を形成する(図3(a)参照)。
当該金属膜20および22は、基板接合装置に於ける静電チャックステージに前記基板を固定する為の導電膜として用いられるものであり、例えばチタン(Ti)或いはアルミニウム(Al)が適用される。
次いで、支持基板10の下面(金属膜非形成面)と素子基板12の上面(金属膜非形成面)とを常温接合する(図3(b)参照)。当該常温接合処理によって、支持基板10と素子基板12はアモルファス層14を介して接合される。当該アモルファス層14の厚さは、例えば1〜8nmである。
かかる常温接合法により一体化された支持基板10と素子基板12との外観を、図4に示す。
次いで、前記素子基板12の上面にある金属膜22を除去し、更に素子基板12を研磨して、当該素子基板12を所定の厚さとする(図3(c)参照)。
次いで、当該素子基板12の上面に対し、スパッタリング法或いは蒸着法などの成膜技術、ならびにフォト・エッチング法などのパターニング技術を適用して、金属層16からなるIDT17a,反射1電極17bを形成する(図3(d)参照)。
当該金属層16は、例えばアルミニウム(Al)を主体として形成され、例えば銅(Cu)を含んでもよい。また、IDT17a,反射電極17bの形成方法として、所謂リフトオフ法を適用することも可能である。
しかる後、一体化されている素子基板12および支持基板10を、例えば所謂ダイシング法を用いて切断し、個々の弾性波デバイスに分離する(図3(e)参照)。素子基板12および支持基板10は同じ材料なので、ダイシングは同じダイシングブレードにより1度で切断することができる。素子基板の熱膨張係数を打ち消す方向の膨張係数を有する別の材料の支持基板を接合した場合、サファイアのように支持基板の硬度が高いとダイシングを2回に分けて行う必要があり、素子側壁に段差が生じ素子面積を小さくできない問題があったが、実施例1では1度のダイシングで素子を切断しチップに個片化できるので、チップ側壁に段差がなく素子面積を小さくすることができる。
前記支持基板10と素子基板12との常温接合処理について、図を用いて説明する。
尚、当該接合処理の実施に先行して、被接合面の汚れならびにパーティクルの除去の為、前処理を行う。当該前処理として、例えばスクラブ処理(ブラシを用いた表面洗浄)およびメガソニック(超音波)洗浄が実行される。
前処理が行われた支持基板10ならびに素子基板12を、処理装置内に於いて、被接合面が対向した状態をもって、且つ相当距離離間させて配置する。(図5(a)参照)
尚、図に於いて、26はそれぞれの基板を構成する材料の分子を模式的に示している。
かかる状態に於いて、支持基板10の上面(被接合面)および素子基板12の下面(被接合面)に対して、不活性ガスのイオンビームまたは中性ビーム、或いはプラズマを照射する(図5(b)参照)。
尚、当該図5(b)にあっては、支持基板10に対する照射状態を示しているが、素子基板12に対しても、同時に照射処理が実行される。
これにより、支持基板10の上面(被接合面)および素子基板12の下面(被接合面)に於ける表面層(酸化物層など)24を除去し、更に当該支持基板10の上面(被接合面)および素子基板12の下面(被接合面)を活性化させる。
かかる表面活性化の手段として、一つに、前記不活性ガスとしてアルゴン(Ar)を用い、当該アルゴンのイオンを支持基板10の上面(被接合面)、および素子基板12の下面(被接合面)に照射する。アルゴンイオンの照射条件としては、減圧された状態に於いて、例えば以下の条件が選択される。
Arガス流量:20〜30sccm
電流値: 15〜150mA
照射時間: 30〜120秒
当該活性化処理により、支持基板10の上面(被接合面)および素子基板12の下面(被接合面)に、それぞれアモルファス層14が生成される(図6(a)参照)。
当該アモルファス層14の膜厚は数nm以下であって、その表面には未結合の結合手28が生成される。当該未結合の結合手28の存在により、支持基板10の上面(被接合面)および素子基板12の下面(被接合面)は活性化された状態となる。
この様にそれぞれの被接合面が活性化された状態において、支持基板10の上面と素子基板12の下面とを対向させて貼り合わせ、接合する(図6(b)参照)。
当該貼り合わせ・接合処理は、前記不活性ガスイオンの照射処理が実施された装置内において実施される。
このとき、支持基板10の上面(被接合面)と素子基板12の下面(被接合面)はそれぞれ活性化されているため、支持基板10の上面(被接合面)と素子基板12の下面(被接合面)とに於ける未結合の結合手28同士が結合する。即ち、支持基板10と素子基板12は、常温(例えば100℃以下の温度)に於いて接合される。
接合された支持基板10と素子基板12との間には、前記アモルファス層14が、一体化した状態をもって配設される。一体化されたアモルファス層14は、例えば1〜8nmの厚さを有する。
当該実施例1によれば、支持基板10および素子基板12はいずれもタンタル酸リチウム基板である。即ち、同一材料であることから、密度は同じである。また当該支持基板10および素子基板12中の音速もほぼ同じである。アモルファス層14は、支持基板10および素子基板12と同じ材料であるタンタル酸リチウムであり、密度も同じであり、結晶構造が異なるのみであるので、実質的に支持基板10および素子基板12と同じ音速になっている。
前述の如く、音響インピーダンスは、音速と基板密度に関係している。従って、支持基板10と素子基板12との音響インピーダンスの差は殆ど無い。これによりバルク波は支持基板10と素子基板12との界面に於いて反射され難く、スプリアスの発生を防止・抑制することができる。
前記タンタル酸リチウム結晶の方位の中で、X軸の線熱膨張係数が最も大きく、Z軸の線熱膨張係数が最も小さい。X軸、Y軸およびZ軸方向の線熱膨張係数は、X軸およびY軸は、16.1ppm/℃であり、Z軸は4.1ppm/℃である。
前述の如く、素子基板12に於ける弾性波の伝搬方向は、弾性表面波素子の性能の観点から、X軸が選択されている。一方、支持基板10の上面の法線方向は、X軸又はY軸である。これにより、当該支持基板10における素子基板12のX軸と平行な方向は、X軸方向よりも線熱膨張係数を小さくすることが可能となる。よって、素子基板12を支持基板10上に接合させることにより、当該素子基板12に形成された弾性表面波素子の温度依存性を低下せしめることができる。なお、本発明では、伝搬方向がX軸方向から±2〜3°程度ずれていても、実質的にX軸方向であると定義する。また、支持基板10の上面の法線方向もX軸又はY軸からの多少のずれを許容し、±2〜3°程度ずれていても実質的にX軸又はY軸であると定義する。
そして、かかる実施例1においては、素子基板12の弾性波の伝搬方向は支持基板10のZ軸と平行とされない。これにより、スプリアス応答の発生は無くなる。
また、当該素子基板12の弾性波の伝搬方向(X軸方向)と、支持基板10の弾性波の伝搬方向に平行な方向との線熱膨張係数の差を小さくすることができる。従って、基板の変形を抑制することができる。
このように、実施例1にあっては、素子基板12の弾性波の伝搬方向と、支持基板10の弾性波の伝搬方向に平行な方向との線熱膨張係数の差を、弾性表面波素子の温度依存性が抑制でき、かつ、熱処理に起因した基板の変形を抑制できるように設定する。これにより、弾性表面波素子の温度依存性が抑制し、かつ、熱処理に起因した基板の変形を抑制することができる。
また、当該実施例1にあっては、支持基板10の上面(被接合面)と素子基板12の下面(被接合面)のそれぞれにアモルファス層14が形成され、当該アモルファス層が活性化されている状態において、当該支持基板10と素子基板12とを結合する。
かかる活性化されたアモルファス層の存在により、支持基板10と素子基板12とを比較的低温において、強固に結合せしめることができる。即ち、素子基板12の下面(被接合面)と支持基板10の上面(被接合面)とは、例えば100℃以下の温度、所謂常温接合が実現し、これにより両基板の接合面において、熱応力が生じない、強固な接合が可能となる。
また、Y軸方向とX軸方向との線熱膨張係数は同じである。よって、弾性波の伝搬方向は支持基板のY軸と平行ではないことが好ましい。これにより、表面弾性波素子の温度依存性を抑制することができる。
素子基板12の上面の法線方向を、任意の方向とすることもできるが、弾性波デバイスの性能向上のため、素子基板12の上面の法線方向は、X軸を中心にY軸からZ軸方向に36°〜48°回転した方向であることが好ましい。
また、弾性波の伝搬方向に平行な方向の支持基板10の線熱膨張係数は、素子基板12のX軸の線熱膨張係数より小さいことが好ましい。これにより、弾性波デバイスの温度依存性をより抑制することができる。
さらに、素子基板12は、支持基板10より薄いことが好ましい。これにより、弾性波素子のTCF(動作周波数の温度依存性)を抑制することができる。
前記実施例1に示した構造、製造方法を適用して形成した弾性波デバイスを、実施例2として、図7に示す。尚、図7に於いては、電極指(IDT)の本数等を省略して図示している。
図7に示す弾性波デバイスにあっては、基板30上に多重モード型の弾性波フィルタ40が形成されている。当該断線波デバイスに於いて、フィルタ40は、3IDT構造を有する入力側フィルタ32および34と、4IDT構造を有する出力側フィルタ36とを具備している。
入力側フィルタ32および34のそれぞれの中心のIDTには、それぞれ入力端子Inが設けられている。当該入力端子Inには、不平衡入力信号が入力される。フィルタ32および34のそれぞれの両端のIDTは、出力側フィルタ36の両端のIDTに接続されている。フィルタ32および34の出力は平衡信号である。フィルタ36の中央の2つのIDTにはそれぞれ出力端子OUT1およびOUT2が設けられている。当該出力端子OUT1およびOUT2からは平衡出力信号が出力される。
なお、フィルタ32および34の出力を不平衡信号とし、フィルタ36において平衡信号を生成してもよい。
前記図7に示す構成を有する弾性波デバイスとして、前記基板30の構成を次のように異ならせて4つのサンプルを作製した。
即ち、サンプルAにおいては、膜厚が300μmの42°YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板単体を基板30とした。
また、サンプルB乃至Dにおいては、前記実施例1に於いて示したところの支持基板10上に当該支持基板とは異なる材料からなる素子基板12を配置してなる基板30を用いた。
即ち、サンプルBにおいては、支持基板10を膜厚270μmのサファイア基板とし、素子基板12を膜厚が40μmの42°YカットX伝搬のタンタル酸リチウム基板とした。
一方、サンプルCにおいては、支持基板10を膜厚が300μmのXカット112°Y伝搬のタンタル酸リチウム基板とし、これに接合される素子基板12を膜厚15μmの42°YカットX伝搬のタンタル酸リチウム基板とした。
更に、サンプルDにおいては、支持基板10を膜厚300μmのXカット112°Y伝搬のタンタル酸リチウム基板とし、これに接合される素子基板12を膜厚25μmの42°YカットX伝搬のタンタル酸リチウム基板とした。
尚、サンプルCならびにサンプルDを形成する際の、常温接合処理におけるアルゴン(Ar)イオンの照射条件は、前記実施例において示した条件から選択している。
前記サンプルAに於ける通過特性を、図8に示す。
図8(a)において、−20℃のときの通過特性を破線、25℃のときの通過特性を実線、80℃における通過帯域を点線で示している。図8(b)および図8(c)においては、通過帯域の高周波数端および低周波数端は、減衰量が−20dBの周波数とした。周波数変化率は、25℃のときを0とした。後述する図9(a)から図11(c)においても同様である。
図8(a)に示されるように、サンプルAにあっては、通過帯域にスプリアスは観察されない。図8(b)および図8(c)から、高周波数端および低周波数端の温度係数は、それぞれ−37.0ppm/℃、−32.2ppm/℃である。
前記サンプルBに於ける通過特性を、図9に示す。
図9(a)に示されるように、サンプルBにあっても、通過帯域にスプリアスが観察される。図9(b)および図9(c)から、高周波数端および低周波数端の温度係数は、それぞれ−24.5ppm/℃、−17.9ppm/℃である。
前記サンプルCに於ける通過特性を、図10に示す。
図10(a)に示されるように、サンプルCにあっては、通過帯域にスプリアスは観察されない。
一方、図10(b)および図10(c)から、高周波数端および低周波数端の温度係数は、それぞれ−26.9ppm/℃、−20.8ppm/℃である。
前記サンプルDに於ける通過特性を、図11に示す。
図11(a)に示されるように、サンプルDにあっては、通過帯域にスプリアスは観察されない。
一方、図11(b)および図11(c)から、高周波数端および低周波数端の温度係数は、それぞれ−28.6ppm/℃、−23.0ppm/℃である。
上記サンプルA乃至サンプルDの特性をまとめ、表1に示す。
Figure 2012105191
表1に示されるように、基板30としてタンタル酸リチウム基板単体を用いたサンプルAに比較して、サファイア基板上にタンタル酸リチウム基板を配設したサンプルBは、通過帯域端の温度依存性が0(ゼロ)に近づく。しかしながら、通過帯域内に於いて、バルク波に起因したスプリアスが発生する(図9(a)参照)。
一方、サンプルCならびにサンプルDのように、タンタル酸リチウムからなる支持基板上にタンタル酸リチウムからなる素子基板を配設することにより、通過帯域端の温度依存性は前記サンプルBより若干悪化するものの、通過帯域内にバルク波に起因したスプリアスの発生を招来しない。また、通過帯域端の温度係数の絶対値は、前記サンプルAよりも小さい。
また、当該サンプルCとサンプルDとを比較すると、素子基板が薄いほど、通過帯域端の温度係数は0(ゼロ)に近づく。
以上のように、タンタル酸リチウムからなる支持基板上にタンタル酸リチウムからなる素子基板を配設してなるサンプルCおよびサンプルDによれば、バルク波に起因したスプリアスの発生を抑制し、かつ周波数の温度係数を0(ゼロ)に近づけることができる。
さらに、素子基板12を薄くすることにより、周波数の温度係数をより0(ゼロ)に近づけることができる。
尚、素子基板12は、その厚さを支持基板10よりも薄くすることができ、当該素子基板12の厚さは、支持基板10の厚さの1/20以上〜1/10以下の厚さとすることができる。
前記実施例1に示した構造、製造方法を適用して形成した弾性波デバイスを、実施例3として、図12に示す。
尚、図12に於いて、弾性波フィルタ40は、3IDT構造を有する入力側フィルタ38と、4IDT構造を有する出力側フィルタ36とを備えている。入力側フィルタ38の中心のIDTには、入力端子Inが設けられている。当該入力端子Inには、不平衡入力信号が入力する。入力側フィルタ38の両端のIDTは、出力側フィルタ36の両端のIDTに接続される。出力側フィルタ36の中央の2つのIDTにはそれぞれ出力端子OUT1およびOUT2が設けられている。当該出力端子OUT1およびOUT2からは平衡出力信号が出力される。
このように、弾性波デバイスは、複数の多重モードフィルタを組み合わせたフィルタであってもよい。また、1つの多重モードフィルタであってもよい。また、ラダー型フィルタであってもよい。また、共振子であってもよい。更に、弾性表面波デバイス以外の弾性波デバイスであってもよい。
本発明について実施例をもって詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 支持基板
12 素子基板
14 アモルファス層
17a IDT
17b 反射電極
18 共振子

Claims (8)

  1. タンタル酸リチウムからなる支持基板と、
    前記支持基板の上面上に配置され、下面が前記支持基板の上面と接合されたタンタル酸リチウムからなる素子基板と、
    前記素子基板の上面に形成され、弾性波を励振する櫛型電極と、
    を具備し、
    前記素子基板の前記弾性波の伝搬方向はX軸であり、
    前記支持基板の上面の法線方向はX軸又はY軸であり、前記弾性波の伝搬方向は前記支持基板のZ軸と平行ではないことを特徴とする弾性波デバイス。
  2. 前記支持基板の上面と前記素子基板の下面との間に形成されたアモルファス層を具備することを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
  3. 前記素子基板の下面は前記支持基板の上面と常温接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の弾性波デバイス。
  4. 前記弾性波の伝搬方向は前記支持基板のY軸又はX軸と平行ではないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  5. 前記素子基板の上面の法線方向は、X軸を中心にY軸からZ軸方向に36°〜48°回転した方向であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  6. 前記弾性波の伝搬方向に平行な方向の前記支持基板の線熱膨張係数は、前記支持基板のX軸の線熱膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  7. 前記素子基板は前記支持基板より薄いことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  8. 個片化されたチップにおいて、側壁に段差が無いことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
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