JP2012103414A - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電部材の回転安定性の低下に伴う異常放電に起因するポチ状画像及び横スジ状画像を抑制した帯電部材を提供する。また、電子写真感光体の削れムラに起因する縦スジ状画像の発生を長期にわたって抑制する帯電部材を提供する。
【解決手段】導電性基体と、導電性樹脂層31とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子61とを含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部54とを有し、かつ、該ボウル形状の樹脂粒子の内壁が式(1)で示される構造を有する高分子化合物のライニング層33を有する帯電部材。
Figure 2012103414

【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真装置に用いられる帯電部材およびそれを用いたプロセスカートリッジ等に関する。
電子写真装置において、接触帯電方式に用いる帯電部材の硬度が高い場合には、帯電部材の回転時のトルクが上がり、電子写真感光体との従動回転性が低下する。これに伴い、帯電部材と電子写真感光体の周速が異なる状態が不規則に出現する現象(以下、「スティックスリップ」と称す)が発生してしまうことがあった。このような課題に対して、特許文献1においては、帯電部材の表面の樹脂を柔軟化し、帯電部材の回転時のトルクの上昇を抑えることで、スティックスリップを抑制する技術が開示されている。
しかしながら、帯電部材の表面を柔軟化した場合、電子写真感光体と帯電部材の従動回転性は維持できるものの、帯電部材の長手方向全域にわたる回転安定性を維持することができない場合があった。例えば、帯電部材の長手方向における形状や当接圧力にムラがある場合、帯電部材の周速は、帯電部材の長手位置により異なり、帯電部材に歪みが発生する。この帯電部材の歪みが開放される際、帯電部材の従動回転性が変化し、異常放電が発生する。この場合、画像の一部分に、異常放電に起因するポチ状及び横スジ状の画像(以下、「ポチ状画像」及び「横スジ状画像」と称す)が発生する。
特許文献1のように、帯電部材の表面の樹脂を柔軟化した場合、帯電部材の摩擦係数が、使用環境により異なる。低温低湿環境と比較し、高温高湿環境において大きくなる。これにより、帯電部材に加わる歪みは大きくなり、異常放電がより発生しやすい。また、帯電部材の従動回転性の変化による帯電部材の電子写真感光体に対する異常放電や接触状態の変化により、電子写真感光体の削れムラが発生する場合があった。電子写真感光体の削れムラが進行すると、長期使用中に、縦スジ状の画像(以下、「縦スジ状画像」と称す)が発生する。更に、電子写真装置における高速化、高耐久化及び高画質化等に伴い、以前には発生しなかった前記画像が、顕在化する場合がある。帯電部材の長手方向全域にわたる回転安定性を向上することは、より安定した電子写真性能を得るために解決すべき課題であると、本発明者らは認識した。
特開2003−223027号公報
本発明の目的は、帯電部材の回転安定性の低下に伴う異常放電に起因するポチ状画像及び横スジ状画像を抑制した帯電部材を提供することにある。加えて、電子写真感光体の削れムラに起因する縦スジ状画像の発生を抑制した帯電部材を提供することにある。また、本発明の目的は、前記帯電部材を使用したプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明は、導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、かつ、該ボウル形状の樹脂粒子は、その内壁が下記式(1)で示される構造を有する高分子化合物を含むライニング層を有することを特徴とする帯電部材である。
Figure 2012103414
式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に以下の式(2)〜(5)のいずれかを示す。
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
式(2)〜(5)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25、R26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24、R29〜R32は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27、R28は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1〜8の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4〜12の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。*および**は、各々、式(1)中のケイ素原子及び酸素原子への結合部位を示す。
また、本発明は、上記帯電部材が電子写真感光体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。さらに、本発明は、上記帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明によれば、使用する環境によらず、長期にわたって、帯電部材の長手全域にわたる回転安定性が向上される。帯電部材の長手全域にわたる回転安定性の低下に伴う異常放電に起因したポチ状画像及び横スジ状画像、電子写真感光体の削れムラに起因した縦スジ状画像の発生が抑制される。
本発明の帯電部材(ローラ形状)の断面図である。 本発明の帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明の帯電部材の表面近傍の部分断面図である。 本発明のボウル形状の樹脂粒子の形状の説明図である。 本発明の帯電ローラの電気抵抗値の測定装置の図である。 本発明の電子写真装置の一例を表す概略断面図である。 帯電ローラの製造に用いるクロスヘッド押出機の断面図である。
<帯電部材>
本発明の帯電部材は、導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、かつ、該ボウル形状の樹脂粒子の内壁が特定の高分子化合物によるライニング層を有することを特徴としている。
図1(1a)は本発明に係る帯電部材の断面を示しており、帯電部材は導電性基体1と、その周面を被覆している導電性樹脂層3とを有する。そして、導電性樹脂層3は、バインダー、導電性微粒子及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。図1(1b)に示すように、導電性樹脂層3は、第1の導電性樹脂層31と第2の導電性樹脂層32で形成してもよい。また、図1(1c)及び(1d)に示すように、導電性基体1と導電性樹脂層3との間に、導電性弾性層2を形成してもよい。
図2に、導電性樹脂層3の表面近傍の部分拡大断面図を示す。帯電部材の表面には、前記ボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52(以下「凹部」と称す)と、前記ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ53に由来する凸部54(以下「凸部」と称す)が形成されている。図2(2a)及び(2b)に示すように、前記凹部の内壁が、上記式(1)で表される構造を有する化合物によりライニングされている部分(以下、「ライニング層33」と称す)を形成する。また、ライニング層33は、図2(2c)及び(2d)に示すように、エッジ部を含む帯電部材の表面全体を覆うように形成されていてもよい。
まず、本発明者らは、帯電部材と電子写真感光体との接触及び回転状態を詳細に観察した。電子写真感光体と帯電部材とのニップ内において、凸部は、電子写真感光体と接触しており、凹部は、電子写真感光体と接触することなく、空隙を形成していた。即ち、本発明の帯電部材と電子写真感光体は、点接触していることが確認できた。電子写真感光体と帯電部材の接触状態を点接触とすることにより、電子写真感光体と帯電部材との従動回転に伴うトルクを低減することができる。これにより、スティックスリップ及び電子写真感光体の削れ量を抑制することが可能となる。
また、従動回転に伴い帯電部材の凸部は凹部方向に変形しながら電子写真感光体と接触し、電子写真感光体との接触が終了すると、凸部の変形は速やかに元の状態に回復することを確認できた。以下、この変形特性と変形からの回復特性を「変形―復元性」と称す。接触状態が凸部のみの点接触であり、凸部が変形―復元性を有する。このため、接触に伴う変形が凸部のみとなり、歪み量を抑制する。同時に、凸部の速やかな復元により、歪みの開放も最小限に抑えることができる。従って、帯電部材の長手方向全域にわたる回転安定性を維持することができ、前記の異常放電及び電子写真感光体の削れムラを抑制することができると考察している。
〔ライニング層〕
本発明の帯電部材におけるボウル形状の樹脂粒子の凹部の内壁は、下記式(1)の高分子化合物によるライニング層を有する。
Figure 2012103414
式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に以下の式(2)〜(5)のいずれかを示す。
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
式(2)〜(5)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25、R26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24、R29〜R32は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27、R28は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1〜8の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4〜12の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。*および**は、各々、式(1)中のケイ素原子及び酸素原子への結合部位を示す。
式(1)の高分子化合物は、シロキサン結合とオキシアルキレン結合を有する架橋構造を形成しており、高弾性かつ低脆性という特徴を発現している。凹部に前記高分子化合物によるライニング層が形成されていない場合は、電子写真感光体との接触において、凸部の変形が大きくなり、電子写真感光体と帯電部材の接触が点接触とならない場合が発生する。また、凸部の変形を速やかに復元できない場合が発生する。更には、帯電部材を長期に使用した場合に、変形―復元性を維持できない場合が発生する。
ライニング層のシロキサン結合は、温度や湿度に対して物性の変化が小さく、低温低湿から高温高湿の環境にわたって、高弾性という特徴を付与することができる。この、高弾性という特徴により、上記点接触状態の維持と変形―復元性という特徴を十分に発現することができる。更に、シロキサン結合は、低摩擦性を有し、これにより、電子写真感光体と帯電部材の回転に伴うトルクを低減することが可能となり、帯電部材の長手方向全域にわたる回転安定性を維持する効果をより高めることができると考えている。
ライニング層を構成する高分子化合物のオキシアルキレン結合は、低脆性という性質を高めている。これにより、帯電部材を長期使用し、凸部の変形と復元が繰り返された場合においても、凸部の変形―復元性を維持することができると考察している。
即ち、式(1)の高分子化合物によりライニング層を形成することで、電子写真感光体と帯電部材の接触において、点接触状態を維持し、同時に前記凸部の変形―復元性を維持することが可能となる。これにより、帯電部材の長手方向全域にわたる回転安定性を維持し、前記の異常放電を抑制できると考察している。
ここで、前記ライニング層の高弾性かつ低脆性という特性を十分に発揮するために、以下のように結合状態を制御することが好ましい。
ライニング層のシロキサン結合の状態を示す指標として、硬化膜の縮合率DCを用いることができる。DCとは、Si原子全ての結合に対する縮合度合いを表す指標であり、DCは30%を超え75%以下であることが好ましい。本範囲は、高温高湿から低温低湿にわたり、高弾性という特性を安定的に付与できるという観点から好ましい。DCは、以下の数式(1)を用いて算出する。
Figure 2012103414
ここで、nは、加水分解性シラン化合物の加水分解可能な官能基数、例えばアルコキシ基の数であり、1〜4の整数を示す。αはn=1の場合:M、n=2の場合:D、n=3の場合:T、n=4の場合:Qを示す。アルコキシ基を3個有する、つまり3官能の加水分解性シラン化合物を用いる場合は、n=3である。n=3の場合のDCを算出する(数式2)を以下に示す。
Figure 2012103414
ここでT〜Tの0〜3の数値は、加水分解性シラン化合物の縮合した加水分解部の数を示す。T〜Tは、それぞれの縮合した加水分解部の数を有する加水分解性シラン化合物の成分量を示す。これは、nが1、2および4の場合でも同様である。
また、オキシアルキレンによる結合状態を表す指標として、オキシアルキレン結合割合を用いることができる。ここで、オキシアルキレン結合割合とは、加水分解性シラン化合物中のオキシアルキレン結合を形成している加水分解性シラン化合物の割合に相当する値である。本発明においては、本値が5%以上90%以下であることが好ましい。本範囲とすることにより、長期使用による変形と復元の繰り返しの変形に対しても、変形−復元性をより安定して付与できる。この値を制御する方法の詳細については、後述する。
上述の凸部の変形―復元性をより安定して付与するために、ボウル形状の樹脂粒子を用いて凹凸形状を下記のように制御することが好ましい。
図3に示す、前記凸部54の頂点55と、前記凹部52の底部56との高低差57は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。より好ましくは8μm以上80μm以下である。本範囲とすることにより、より確実に上述した凸部の変形−復元性を発揮することができる。
前記凹凸形状の形成により、導電性樹脂層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。十点平均表面粗さRzは、5μm以上65μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。表面の凹凸平均間隔Smは、30μm以上200μm以下が好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましい。本範囲とすることにより、上述した凸部の変形−復元性をより確実にムラなく発揮することができる。なお、表面の十点平均粗さRz及び表面の凹凸平均間隔Smの測定法については、後に詳述する。
ライニング層の膜厚は、0.01〜0.1μmが好ましく、更には0.02〜0.09μmが好ましい。好ましい範囲にあることで、ライニング層の高弾性と低脆性という特性による変形−復元性を安定して付与することができる。
〔ボウル形状の樹脂粒子〕
本発明のボウル形状の樹脂粒子の一例を図4に示す。本発明において、ボウル形状とは、開口部71を有し、開口部に丸みのある凹部72を有する形状を意味する。開口部は、(4a)に示すように、平坦であってもよいし、(4c)に示すように、凹凸が形成されていても良い。
ボウル形状の樹脂粒子の最大径58は、5μm以上150μm以下であることが好ましい。より好ましくは8μm以上120μm以下である。また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径58と、開口部の最小径74の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の最大径/開口部の最小径は、1.1以上4.0以下であることがより好ましい。
ボウル形状の樹脂粒子の開口部周囲の縁の外径と内径の差は0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.2μm以上2μm以下である。また、上記外径と内径の差が粒子全域にわたり、略均一に形成されていることが更に好ましい。略均一とは、平均値の±50%以内の範囲内であることを意味する。
(樹脂粒子の形状測定)
一例として、導電性樹脂層に含まれるボウル形状の樹脂粒子の形状の測定方法を以下に示す。導電性樹脂層の任意の点を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして同じボウル形状の樹脂粒子を撮影した画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出する。立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の最大径58と、開口径の最小径74を算出する。また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の5点において、外径と内径の差を算出する。このような作業を視野内の樹脂粒子10個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向10点について行い、得られた計100個の値の平均値を算出する。
<導電性樹脂層>
〔バインダー〕
本発明の導電性樹脂層に用いるバインダーは、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。
合成ゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム等。
樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
導電性樹脂層を、第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層で形成する場合、第1の導電性樹脂層に用いるバインダーは、ゴムを使用することが好ましい。これは、ボウル形状の樹脂粒子にかかる圧力が、より緩和されやすくなる傾向にあるためである。第1の導電性樹脂層に用いるバインダーにゴムを使用した場合、第2の導電性樹脂層に用いるバインダーは、樹脂を使用することが好ましい。これは、電子写真感光体との密着性及び摩擦性の制御を、より容易に行うことができるためである。
導電性樹脂層は、プレポリマー化したバインダーの原料に架橋剤等を添加し、硬化または架橋することによって形成してもよい。本発明においては、上記混合物についても、以下、バインダーと称して説明する。
〔導電性微粒子〕
本発明の導電性樹脂層は、導電性を発現するため、公知の導電性微粒子を含有する。導電性微粒子としては以下のものが挙げられる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維。酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物。前記の金属系微粒子、繊維及び金属酸化物の表面を、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子。カーボンブラック、及び、カーボン系微粒子。
カーボンブラックとしては、ブラックファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを例示することができる。ファーネスブラックとしては、以下のものが挙げられる。SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、FEF−HS等。サーマルブラックとしては、FT、MTを例示することができる。カーボン系微粒子としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン粒子、ピッチ系カーボン粒子を例示することができる。
また、これらの導電性微粒子を、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電性微粒子は、平均粒径が0.01μmから0.9μmがより好ましく、0.01μmから0.5μmであることが更に好ましい。この範囲であれば、導電性樹脂層の体積抵抗率の制御が容易になる。
導電性樹脂層に添加する導電剤の添加量は、バインダー100質量部に対して2質量部から200質量部、好ましくは5質量部から100質量部の範囲が適当である。
導電性微粒子は、その表面を表面処理してもよい。表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の如き有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物が使用可能である。これらは一種で使用しても、二種以上を用いても良い。好ましくは、アルコキシシラン、ポリシロキサン等の如き有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系又はジルコネート系の各種カップリング剤であり、更に好ましくは、有機ケイ素化合物である。
第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層に使用するバインダー及び導電性微粒子は、同じであっても、異なっていてもよい。尚、導電性樹脂層が、ボウル形状の樹脂粒子を非露出な状態で含有するためには、第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層は、密着性及び親和性を有することが好ましい。
<導電性樹脂層の形成方法>
導電性樹脂層を形成する方法として、方法1(中空形状の樹脂粒子を用いる方法)と方法2(ボウル形状の樹脂粒子を用いる方法)を以下に例示する。
〔方法1〕
方法1では、まず、導電性基体上に、バインダーに、導電性微粒子及び中空形状の樹脂粒子を分散させた被覆層(以下、「予備被覆層」とも称す)を作製する。その後、表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。これにより、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する(以下、「ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状」とも称す)。この様にして、まず、第1の導電性樹脂層を形成する。
(予備被覆層への樹脂粒子の分散)
まず、予備被覆層に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。
第1の方法としては、粒子の内部に気体を含有している中空形状の粒子を、バインダー及び導電性微粒子にとともに分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物によって導電性基体の外周部を被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行う方法を例示することができる。中空形状の樹脂粒子に用いる材料としては、前述した公知の樹脂を使用することができる。
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、いわゆる熱膨張マイクロカプセル使用する方法を例示することができる。熱膨張マイクロカプセルを、バインダー及び導電性微粒子とともに分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物によって導電性基体の外周部を被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用するバインダーの乾燥、硬化、または架橋時の熱で、内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。この際、温度条件等を制御することにより、粒径等を制御することもできる。
熱膨張マイクロカプセルを用いる場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類等。この中でも、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これら熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の単量体を共重合させ、共重合体として用いても良い。
熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体等。
上記の熱膨張マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法といった公知の製法により製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。なお、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラー等を添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル。メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル。スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート等。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤等を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、特に好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルである。重合開始剤を用いる場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度1〜100)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度1〜100)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等)、カチオン性界面活性剤(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等)、ノニオン性界面活性剤(アジピン酸ジエタノールアミン縮合物、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩等)、両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)等。更に、高分子型分散剤(ポリビニルアルコール、デンプン、及び、カルボキシメチルセルロース等)も使用することができる。界面活性剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
分散安定剤としては、以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子等)、シリカ(コロイダルシリカ等)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機等で懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁させてもよい。重合温度は、50℃〜120℃がより好ましい。重合は、大気圧下で行ってもよいが、上記熱膨張カプセルに内包させる物質を気体状にさせないようにするため加圧下(大気圧に0.1〜1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過等によって、固液分離及び洗浄等を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕してもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサー等を使用できる。また、乾燥及び粉砕は粉砕乾燥機等によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過等を繰り返すことにより除去することができる。
(予備被覆層の形成)
続いて、予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布、所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆する方法、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法等が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。
この後、乾燥、硬化、または、架橋等を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機等を例示することができる。
(a)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合
予備被覆層の厚みが中空粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子の凸部の一部を削除して、ボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に帯電部材にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨を使用することがより好ましい。
一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。研磨テープは、研磨砥粒を樹脂に分散させ、それを、シート状基材に塗布している。研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、珪石、窒化珪素、炭化珪素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化珪素等が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、30μm以下である。なお、上記、研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法で測定されたメジアン径D50である。上記好ましい範囲の研磨砥粒を有する研磨テープの番手の好ましい範囲は、500以上、20000以下であり、より好ましくは、1000以上、10000以下である。本発明に用いられる研磨テープの例を以下に挙げる。MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ(商品名、レフライト社製)、ラピカ(商品名、KOVAX社製)、マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム(商品名、住友3M社製)、ミラーフィルム、ラッピングフィルム(商品名、三共理化学社製)、ミポックス(商品名、日本ミクロコーティング社製)等。
研磨テープの送り速度は、10mm/min以上、500mm/min以下が好ましく、50mm/min以上、300mm/min以下がより好ましい。研磨テープの予備被覆層への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、予備被覆層には、研磨テープを介してバックアップローラ等を当接させてもよい。また、所望の形状を得るために、複数回にわたり、研磨処理をおこなってもよい。予備被覆層を形成した部材が回転可能な形状である場合(例えば、ローラ形状の場合)、回転数を、10rpm以上、1000rpm以下に設定することが好ましく、50rpm以上、800rpm以下に設定することがより好ましい。
上記の条件とすることで、第1の導電性樹脂層表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。なお、予備被覆層の厚みが、上記範囲であっても、下記に記載する(b)の方法を使用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することも可能である。
(b)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍超の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的低い反発弾性を有し、かつ、伸びの小さなゴムまたは樹脂を選択する。これにより、予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成することができる。上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子の一部のみを削除したボウル形状とすることができ、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を形成することができる。
この方法は、中空形状の樹脂粒子との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用するバインダーには、ゴムを使用することが好ましい。この中でも、低反発弾性、かつ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが、特に好ましい。
中空形状の樹脂粒子に使用する樹脂としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記式(8)示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に、研磨性を制御しやすいという観点から、式(8)に示すユニットと、式(12)に示すユニットを両方有することが、更に好ましい。
Figure 2012103414
式(8)中、Aは、下記式(9)、(10)、(11)から選択される少なくとも1種である。R31は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基である。
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
32は、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基であり、R33は、水素原子、もしくは、炭素数1から10のアルキル基である。R32とR33は、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
(研磨方法)
研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件とすることが好ましい。この観点から、円筒研磨方法を使用することがより好ましい。円筒研磨法のなかでも、長手を同時研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。
また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)を、できるだけ短時間とする、もしくは行わないことが好ましい。
一例として、プランジカット方式の円筒研磨機を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。
円筒研磨砥石の回転数は、1000rpm以上、4000rpm以下が好ましく、更に、2000rpm以上がより好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5mm/min以上30mm/min以下が好ましく、10mm/min以上がより好ましい。侵入工程最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1以上0.2以下mm/minの侵入速度で2秒以内とすることが必要である。スパークアウト工程(侵入速度0mm/minでの研磨工程)は、3秒以下が好ましい。予備被覆層を形成した部材が回転可能な形状の場合(例えば、ローラ形状の場合)は、回転数を、50rpm以上、500rpm以下に設定することが好ましく、更には、200rpm以上に設定することがより好ましい。
上記の条件とすることで、第1の導電性樹脂層表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することができる。
(第2の導電性樹脂層の形成)
次いで、第1の導電性樹脂層の表面に、導電性樹脂組成物を被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行うことにより、第2の導電性樹脂層を形成する。被覆方法としては、前記の方法を使用することができる。第1の導電性樹脂層表面に作製したボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を反映した表面とすることが必要であるため、第2の導電性樹脂層は、比較的薄いことが好ましい。具体的には、50μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましい。従って、上記被覆方法の中でも、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布等により第2の導電性樹脂層を形成する方法がより好ましい。
これらの塗布法を使用する場合、バインダーに、導電性微粒子を分散した導電性樹脂組成物の塗布液を作製し、塗布を行う。塗布液の粘度を調整するため、更に、溶剤を使用しても良い。溶剤としては、バインダーを溶解することができる溶剤であればよい。具体的には、以下のものが挙げられる。メタノール、エタノール、イソプロパノールの如きアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの如きアミド類、ジメチルスルホキシドの如きスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルの如きエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル類、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの如き芳香族化合物等。
塗布液に、バインダー、導電性微粒子等を分散する方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如き分散手段を用いることができる。
第1の導電性樹脂層における、上記中空形状の樹脂粒子の含有量は、バインダー100質量部に対して、2質量部以上、100質量部以下が好ましく、5質量部以上、50質量部以下が更に好ましい。本範囲とすることで、上記ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することが可能になる。なお、各層の膜厚は、帯電部材の断面を鋭利な刃物で切り出して光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察して測定することができる。
〔方法2〕
バインダーに、導電性微粒子及びボウル形状の樹脂粒子を分散させた導電性樹脂組成物を作製する。その組成物によって導電性基体の外周部を被覆し、乾燥、硬化、または、架橋等を行うことにより、導電性樹脂層を形成する。この際、更に、バインダーの一部を研磨しても良い。
(ボウル形状の樹脂粒子)
まず、ボウル形状の樹脂粒子について説明する。ボウル形状の樹脂粒子は、前述した中空形状の樹脂粒子の一部を、あらかじめ削除して作製してもよいし、樹脂粒子の重合段階から、ボウル形状となるように重合しても良い。
樹脂粒子の重合段階から、ボウル形状の樹脂粒子を得る方法としては、重合性単量体を、架橋剤、疎水性液体及び重合開始剤の存在下、水中で撹拌しながら懸濁重合させ、疎水性液体を重合体の重合膜中に内包する粒子を調製する方法を挙げることができる。疎水性物質は重合時に形成される重合体の粒子中に内包され、重合時に重合体が変形してボウル形状の粒子となる。
重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、イソプレン、ブタジエン、アクロレイン、アクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、安息香酸ビニル、安息香酸アリルおよびこれらの混合物等。
架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレン、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等が例示できる。このうちの2種以上を併用しても良い。重合性単量体100質量%に対する架橋剤の量は0.1質量%以上、30質量%以下が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。架橋剤の量が少ないと変形の度合いが低くなり、0.1重量%未満である場合には粒子は変形せずに球形となる場合がある。また架橋剤が多すぎる場合には、内包される疎水性物質が溶出され易くなってしまう。
疎水性液体としては炭化水素油、動物油、植物油、エステル類、エーテル類、シリコーン類等が、例示できる。炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン、動物油としては、スクワラン、ミンク油、植物油としては、アボガド油、マカデミア油、オリーブ油、エステル類としては、ジグリセライド、が例示できる。エーテル類としては、高分子量ポリプロピレングリコール、ジブチルエーテル、ブチルセルソルブ、アニソール、フェネトール、シリコーン類としては、例えばオクタメチルシロキサン、種々のシリコーン油等が例示できる。重合性単量体100質量%に対する疎水性液体の量は、15質量%以上、100質量%以下が好ましい。疎水性液体の量を上記の範囲内とすることで樹脂粒子はボウル形状になり易い。
重合開始剤としては、ラジカル触媒、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル等が好適に使用できる。
水中には、懸濁安定剤、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、リン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ベントナイト、酸化アルミニウム等を添加しても良い。また粒子が乾燥時に凝結しないように、凝結防止剤、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、炭酸マグネシウム等を添加しても良い。
重合時の温度は一般に50〜95℃が好ましい。微粒子の粒径は撹拌速度によって支配されるため、好適な撹拌は50〜500rpmであり、特に100〜300rpmとするのが好ましい。重合時間は3〜24時間が好ましい。粒子は、濾過等によって水中から取り出した後、乾燥することが好ましく、乾燥は、重合体の軟化温度より低い温度、即ち、30〜90℃で行うことが好ましい。
(導電性樹脂層の形成)
上記で得られたボウル形状の樹脂粒子を、バインダー及び導電性微粒子とともに混合し、導電性樹脂組成物を作製する。この導電性樹脂組成物を、導電性基体上に被覆し、導電性樹脂層を形成する。
被覆方法としては、前述した方法を使用することができる。ボウル形状の樹脂粒子の開口により由来する凹部を形成し、開口のエッジに由来する凸部を形成するためには、導電性樹脂層の膜厚を、ボウル形状の樹脂粒子の最大径の5倍以下に制御することが好ましい。より好ましくは3倍以下である。
上記形状を形成するためには、バインダーと、導電性微粒子及びボウル形状の樹脂粒子を混合した導電性樹脂塗布液を準備する。導電性樹脂塗布液を用いて、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布、リング塗布等を行い、乾燥または加熱する工程を有する方法を使用することが好ましい。
この場合、被覆した塗膜の乾燥工程においては、塗膜の乾燥温度を高めることが好ましく、または、塗膜中の固形分濃度を小さくすることが好ましい。乾燥工程において、塗膜からの揮発成分の揮発速度が高まり、高速で揮発する揮発成分の流動によって、ボウル形状の樹脂粒子の開口部を、導電性樹脂層の表面側に向け、前記凹凸形状を形成することが可能になる。揮発速度を制御するため、塗布液には、前述した溶剤を使用することがより好ましい。
本方法における、具体的な一例を下記に示す。まず、バインダーにボウル形状の樹脂粒子以外の分散成分、例えば導電性微粒子等を、直径0.8mmのガラスビーズとともに混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて12時間から36時間かけて分散する。次いで、ボウル形状の樹脂粒子を添加して分散する。分散時間としては2分以上、30分以内が好ましい。ここで、ボウル形状の樹脂粒子が粉砕してしまうことがないような条件であることが必要である。その後、粘度3〜30mPa、より好ましくは3〜20mPaになるように調整して塗布液を得る。次いで、ディッピング等により導電性基体等の上に、乾燥膜厚が1〜50μm、より好ましくは5〜30μmとなるような塗料の塗膜を形成する。この塗膜を、温度20〜50℃、特には温度30〜50℃で乾燥させる。この後、硬化、または、架橋等の処理を行ってもよい。なお、塗布液に、バインダー、導電性微粒子等を分散する方法としては、前記の分散手段を用いることができる。なお、膜厚は、前記の方法で測定することができる。
上記ボウル形状の樹脂粒子の導電性樹脂層中の含有量は、バインダー100質量部に対して、2質量部以上、120質量部以下が好ましく、5質量部以上、100質量部以下が更に好ましい。本範囲とすることで、上記ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸形状を、より容易に形成することが可能になる。
〔導電性樹脂層中のその他の成分〕
本発明の導電性樹脂層は、前記の導電性微粒子に加え、イオン導電剤、絶縁性粒子を含有してもよい。導電性樹脂層の体積抵抗率は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、1×10Ω・cm以上、1×1016Ω・cm以下であることが好ましい。本範囲とすることで、電子写真感光体を放電により適切に帯電することがより容易になる。
導電性樹脂層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、帯電部材から、導電性樹脂層を、縦5mm、横5mm、厚さ1mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミシートの上に導電性樹脂層形成用の導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、アドバンテスト社製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。導電性樹脂層の体積抵抗率は、前述した導電性微粒子及びイオン導電剤により調整することができる。
導電性樹脂層には、更に、離型性を向上させるために、離型剤を含有させても良い。導電性樹脂層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
<導電性基体>
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。
<導電性弾性層>
本発明の帯電部材には、導電性基体と導電性樹脂層との間に、導電性弾性層を形成してもよい。導電性弾性層に使用するバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を使用することができる。帯電部材と感光体との間で十分なニップを確保するという観点から、比較的低い弾性を有することが好ましく、ゴムを使用することがより好ましい。ゴムとしては、前述したゴムを例示することができる。導電性弾性層は、その体積抵抗率が、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、10Ω・cm以上、1010Ω・cm以下であることが好ましい。
導電性弾性層の体積抵抗率は、バインダー中に、カーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等の導電剤を適宜添加して、調整することができる。バインダーが極性ゴムである場合は、特に、アンモニウム塩を用いることが好ましい。また、導電性弾性層には、導電性微粒子の他に硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤や、上述の絶縁性粒子を含有させてもよい。導電性弾性層は、導電性基体、導電性樹脂層間等に接着剤により接着して設けることもできる。接着剤としては導電性のものを用いることが好ましい。
〔ライニング層の形成方法〕
作製した導電性樹脂層の表面の凹部内壁に、更に上記式(1)で示される構造を有する高分子化合物によるライニング層を形成する。凹部内壁にライニング層を形成することにより、電子写真感光体と帯電部材の接触において、点接触状態を維持し、帯電部材表面の凸部に加わる変形を解放するのに十分な凸部の変形―復元性を発揮できる。ここで、凹部内壁のみに限定されるものではなく、凹部内壁以外にも帯電部材の表面がライニング層により覆われていてもよい。
続いて、ライニング層の形成方法について説明する。上記式(1)で示される構造を有する化合物は、例えば、次の(1)〜(2)工程を経て合成される。尚、成分(A)は、カチオン重合可能なエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物であって、下記式(13)で表される化合物である。成分(B)は、アルキル、アリール置換もしくは未置換の加水分解性シラン化合物であって、下記式(14)で表される化合物である。成分(C)は、金属アルコキシドである。
(1):成分(A)と成分(B)を混合し、成分(D)の水、成分(E)のアルコールを添加した後、加熱還流により加水分解・縮合を行う工程。
(2):成分(F)の光重合開始剤を添加し、適当な濃度に成分(E)のアルコールで希釈する工程。
また、結合による架橋状態の緻密性を制御するために、Zr、Hf、Ta、Ti等の金属アルコキシドを含有しても良い。金属アルコキシドを含有させる場合には、例えば、次の(1)〜(3)工程を経て合成される。
(1):成分(A)と成分(B)を混合し、成分(D)の水、成分(E)のアルコールを添加した後、加熱還流により加水分解・縮合を行う工程。
(2):前記加水分解・縮合を行った溶液に成分(C)を添加し加水分解・縮合を行う工程。
(3):成分(F)の光重合開始剤を添加し、適当な濃度に成分(E)のアルコールで希釈する工程。
尚、前記の工程(2)において成分(A)、(B)、(C)を同時に添加してもよい。
Figure 2012103414
ここで、加水分解性シラン化合物は成分(A)のみでもよく、また成分(A)を2種類以上、もしくは成分(A)に加えて成分(B)を2種類以上併用しても良い。また、金属アルコキシドの成分(C)も同様に、2種類以上併用しても良い。
前述したように、ライニング層の特性をより安定して発揮するために、オキシアルキレン結合割合を5%以上90%以下にすることが好ましい。加水分解性シラン化合物の成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)が、0.1以上10以下の範囲になるように配合することで、オキシアルキレン結合割合を上記範囲に制御することができる。本範囲であれば、長期使用による変形と復元の繰り返しの変形に対しても、変形−復元性をより安定して発現できる。
式(13)中のR34はエポキシ基を有する炭化水素基を示す。R35〜R37の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、更にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がより好ましい。
式(13)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物としては、以下のものが挙げられる。4−(1,2−エポキシブチル)トリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、8−オキシラン−2−イルオクチルトリメトキシシラン、8−オキシラン−2−イルオクチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
また、式(13)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物に加えて、以下に挙げるケイ素以外の金属によるエポキシ基を有する加水分解性化合物を用いても良い。3−グリシドキシプロピルトリメトキシチタン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシチタン、3−グリシドキシプロピルトリ(n−プロポキシ)チタン、3−グリシドキシプロピルトリ(i−プロポキシ)チタン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシチタン、3−グリシドキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)チタン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシチタン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシチタン、3−グリシドキシプロピルメチルジ(n−プロポキシ)チタン、3−グリシドキシプロピルメチルジ(i−プロポキシ)チタン、3−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシチタン、3−グリシドキシプロピルメチルビス(2−メトキシエトキシ)チタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシチタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシチタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ(n−プロポキシ)チタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ(i−プロポキシ)チタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアセトキシチタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリス(2−メトキシエトキシ)チタン等。
式(14)中のR38のアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基が好ましく、更には炭素数6〜10のものが好ましい。R38のアリール基としては、フェニル基が好ましい。R39〜R41の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基がより好ましい。
式(14)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物としては、以下のものが挙げられる。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン等。
金属アルコキシド(C)としては、以下のものが挙げられる。チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムn−プロポキシド、チタニウムi−プロポキシド、チタニウムn−ブトキシド、チタニウムt−ブトキシド、チタニウムn−ノニロキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムビス(トリエタノールアミン)−ジイソプロポキシド、チタニウム2−エチルヒキソキシド、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタn−プロポキシド、タンタルペンタi−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルt−ブトキシド、タンタルフェノキシド、テトラエトキシハフニウム、テトラi−プロポキシハフニウム、テトラn−ブトキシハフニウム、テトラt−ブトキシハフニウム、2−エチルヘキソキシハフニウム、2−メトキシメチル−2−プロポキシハフニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラi−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウム、テトラ2−エチルヘキサノアートジルコニウム、テトラ2−メチル−2−ブトキシジルコニウム等。
また成分(D)の水の添加量は、成分(A)、成分(B)のモル数に対して、(D)/{(A)+(B)}が、0.3以上6.0以下が好ましい。更に1.2以上3.0以下が好ましい。0.3以上であれば、縮合が十分進行して未反応のモノマーが残存し難く、緻密性が十分となる。原料の有効使用の観点からもモノマーが残存しない系が望ましい。また6.0以下であれば縮合の進行が速すぎることも無く、白濁化や沈殿が生じ難くなる。
また成分(E)のアルコールとして、第1級アルコール、もしくは第2級アルコール、もしくは第3級アルコール、もしくは第1級アルコールと第2級アルコールの混合系、もしくは第1級アルコールと第3級アルコールの混合系を用いることが好ましい。特にエタノール、メタノールと2−ブタノールの混合液、エタノールと2−ブタノールの混合液の使用が好ましい。
また成分(G)の光重合開始剤は、ルイス酸あるいはブレンステッド酸のオニウム塩を用いることが好ましい。その他のカチオン重合開始剤としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物が挙げられる。光重合開始剤はコーティング剤との相溶性を向上させるために事前にアルコールやケトンなどの溶媒に希釈しても良い。
各種カチオン重合開始剤の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、式(15)で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業社製)や、式(16)で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)が好ましい。
Figure 2012103414
Figure 2012103414
以上のように合成された化合物を実際塗布する適当な濃度に調整する。このとき塗布性向上のために、加水分解性縮合物以外に、適当な溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノールおよび2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチルや、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。特にエタノールと2−ブタノールの混合溶媒が好ましい。
このように調整されたライニング層用塗布液は、ディッピング塗布、ロール塗布、リング塗布などによって導電性樹脂層の外周部に塗布される。塗布した後に、活性化エネルギー線を照射すると、加水分解縮合物中のカチオン重合可能なエポキシ基が開裂・重合する。これによって、該加水分解縮合物同士が架橋し硬化する。
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。ライニング層の硬化を紫外線で行うことで、余分な熱が発生しにくく、熱硬化のような溶剤の揮発中における相分離が生じにくく、均一な膜状態が得られる。このため、感光体への均一で安定した電位を与えることができる。また、架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による導電性樹脂層の劣化を抑制することができるため、導電性樹脂層の電気的特性の低下を抑制することもできる。
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150nm以上480nm以下の光を豊富に含む紫外線源が用いられる。なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量(mJ/cm)=紫外線強度(mW/cm)×照射時間(s)
紫外線の積算光量の調節は、照射時間やランプ出力、ランプと被照射体との距離で行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、紫外線積算光量計(商品名:UIT−150−AやUVD−S254、ウシオ電機社製)を用いて測定することができる。また、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、紫外線積算光量計(商品名:UIT−150−AやVUV−S172、ウシオ電機社製)を用いて測定することができる。
ライニング層の膜厚は、0.01〜0.1μmが好ましい。
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、上記導電性基体と導電性樹脂層を有するものであればよく、その形状も、ローラ状、平板状等いずれであってもよい。以下において、帯電部材の一例としての、帯電ローラを使用して詳細に説明する。
本発明の帯電ローラは、電子写真感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗値が、温度23℃、相対湿度50%の環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。
一例として、図5に帯電ローラの電気抵抗値の測定法を示す。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33、33により電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電ローラの抵抗を計算する。本発明において、荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径φ30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとする。
本発明の帯電ローラは、電子写真感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなるクラウン形状が好ましい。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30μm以上200μm以下であることが好ましい。
<電子写真装置>
本発明の帯電部材は、電子写真装置の構成部品として使用することができる。この電子写真装置は、該帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有する。本発明の帯電部材を備える電子写真装置の一例の概略構成を図6に示す。電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
電子写真感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、電子写真感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体を所定の電位に帯電する。
電子写真感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。現像装置は、電子写真感光体4に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ6を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙の如き転写材7に転写する。尚、転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器14を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
<プロセスカートリッジ>
本発明に係るプロセスカートリッジは、本発明にかかる帯電部材と、該帯電部材に接触して配置された電子写真感光体とが一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。まず、本発明における評価方法の一部を下記に記載する。
〔1.帯電部材表面形状の測定〕
帯電部材表面をレーザ顕微鏡(商品名:LXM5 PASCAL、カール・ツアイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、視野0.5mm×0.5mmで観察する。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得る。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部を有していることを確認できる。更に、前記凸部54の頂点55と、前記凹部の底部56との高低差57を算出する。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行う。そして、同様の測定を帯電部材の長手方向50点について行い、得られた計100個の平均値を算出する。
〔2.表面粗さRz及び平均凹凸間隔Smの測定〕
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、小坂研究所社製)を用いて行う。Rzは、帯電部材を無作為に6箇所測定し、その平均値である。また、Smは、帯電部材を無作為に6箇所選び、そこにおける各10点の凹凸間隔を測定しその平均を測定箇所のSmとし、当該帯電部材のSmとして、6箇所の平均値である。なお、カットオフ値0.8mmであり、評価長さは8mmである。
〔3.ライニング層のSiの縮合率の測定〕
ライニング層の組成として、前述したSiの縮合率DCを以下のように求める。帯電ローラ表面から適当量のライニング層を採取し、これを粉砕し、測定試料とする。この試料を29Si−NMR(商品名:JMN−EX400、JEOL社製)により固体測定し、Siの縮合度を測定する。検出されたスペクトルの−46〜−40ppmをT成分、−55〜−47ppmをT成分、−61〜−54ppmをT成分、−71〜−61ppmをT成分とする。DCは前述の数式に従って算出する。
<製造例>
以下製造例1〜63について説明するが、製造例の内訳は次の通りである。
製造例1〜32は樹脂粒子の製造例である。製造例33〜34はボウル形状の樹脂粒子の製造例である。製造例35〜38は樹脂粒子を含む導電性ゴム組成物の製造例である。この組成物は実施例において導電性樹脂層用として使用されており、ここで使用されているゴム成分がバインダー材料である。また製造例39は樹脂粒子を含まない導電性ゴム組成物の製造例である。
製造例40は複合導電性微粒子の製造例である。製造例41は表面処理酸化チタン粒子の製造例である。製造例42〜43は、導電性樹脂塗布液1〜2の製造例である。これらの製造例ではアクリルウレタン樹脂がバインダー材料である。製造例44はエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物の製造例である。製造例45〜63は、ライニング層用塗布液1〜19の製造例である。
<製造例1>〔樹脂粒子1の作製〕
イオン交換水4000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部及びポリビニルピロリドン0.15質量部を添加し、水性混合液を調製した。
次いで、重合性単量体として、アクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部及び、メチルメタクリレート5質量部と、内包物質としてノルマルヘキサン12.5質量部と、重合開始剤としてジクミルパーオキシド0.75質量部からなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、200rpmの撹拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥して樹脂粒子1を作製した。得られた樹脂粒子1の体積平均粒径は、音波式分級機により解砕して分級して12μmとした。
<製造例2>〔樹脂粒子2の作製〕
コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法で体積平均粒径50μmの樹脂粒子2を作製した。
<製造例3〜32>〔樹脂粒子3〜32の作製〕
各製造例の樹脂粒子に使用した重合性単量体の種類と添加部数、及び、内包物質の種類と部数、及び、コロイダルシリカの添加部数、及び攪拌条件、及び分級後の樹脂粒子の体積平均粒径を表1に記載した。表1に記載した項目以外は、製造例1と同様の方法により樹脂粒子3〜32を作製した。
Figure 2012103414
<製造例33>〔ボウル形状の樹脂粒子1の作製〕
イオン交換水250質量部と、コロイダルシリカ(固形分20質量%)12.5質量部及びアジピン酸−ジエタノールアミン縮合物(50%縮合物)0.8質量部を添加し、pH3.3の水性混合液を調製した。pHは、硫酸により調整した。
次いで、原料モノマーとしてメチルメタクリレート90質量部、エチレングリコールジメタクリレート10質量部及び、内包物質として流動パラフィン25質量部と、2,2’−アゾビスブチロニトリル0.8質量部からなる油性混合液を調製した。前記水性混合液と油性混合液を混合し、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、3分間高速撹拌を行った。この後、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、200rpmの撹拌下、65℃で5時間反応させた。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥してボウル形状の樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級して平均粒径22μmのボウル形状の樹脂粒子1を得た。
<製造例34>〔ボウル形状の樹脂粒子2の作製〕
重合反応時の撹拌速度を、300rpmとした以外は、製造例33と同様にして、平均粒径5.0μmのボウル形状の樹脂粒子2を作製した。
<製造例35>〔アクリロニトリルブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物の作製〕
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV、JSR社製)100質量部に対し下記の4成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製):48質量部、
・ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業社製):1質量部、
・酸化亜鉛(商品名:亜鉛華2種、堺化学工業社製):5質量部、
・炭酸カルシウム(商品名:シルバーW、白石工業社製):20質量部。
これに、樹脂粒子1〜32のいずれか(所定の質量部、適宜、表4参照)、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)(商品名:パーカシットTBzTD、フレキシス社製)4.5質量部を添加した。これを、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物を作製した。
<製造例36>〔スチレンブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物の作製〕
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:SBR1500、JSR社製)100質量部に対し下記の6成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・酸化亜鉛(製造例35と同様):5質量部、
・ステアリン酸亜鉛(製造例35と同様):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製):8質量部、
・カーボンブラック(商品名:シーストS、東海カーボン社製):40質量部、
・炭酸カルシウム(製造例35と同様):15質量部、
・パラフィンオイル(商品名:PW380、出光興産社製):20質量部。
これに、樹脂粒子1〜32のいずれか(所定の質量部、適宜、表4参照)、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業社製)1質量部を添加した。これを、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物を作製した。
<製造例37>〔ブタジエンゴムを用いた導電性ゴム組成物の作製〕
アクリロニトリルブタジエンゴムをブタジエンゴム(BR)(商品名:JSR BR01、JSR社製)に変更し、カーボンブラックを30質量部に変更したこと以外は、製造例35と同様にして、導電性ゴム組成物を作製した。
<製造例38>〔クロロプレンゴムを用いた導電性ゴム組成物の作製〕
クロロプレンゴム(商品名:ショープレンWRT、昭和電工社製)75質量部に対し下記の3成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・NBR(商品名:ニッポール401LL、日本ゼオン社製):25質量部、
・ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A−2、協和化学工業社製):3質量部、
・第4級アンモニウム塩(商品名:KS−555、花王社製):5質量部。
これに、樹脂粒子30を10質量部(または樹脂粒子31を5質量部)、加硫剤として硫黄0.5質量部、加硫促進剤としてエチレンチオウレア(商品名:アクセル22−S、川口化学工業社製)1.4質量部を添加した。これを、温度20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練し、導電性ゴム組成物を作製した。
<製造例39>〔エピクロルヒドリンゴムを用いた導電性ゴム組成物の作製〕
エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGC三元共重合体、EO/EP/AGE=73モル%/23モル%/4モル%)100質量部に対して、下記の7成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した。
・炭酸カルシウム:60質量部、
・脂肪族ポリエステル系可塑剤:5質量部、
・ステアリン酸亜鉛:1質量部、
・2−メルカプトベンズイミダゾール(MB)(老化防止剤):0.5質量部、
・酸化亜鉛:5質量部、
・四級アンモニウム塩(商品名:アデカサイザーLV70、旭電化工業社製):2質量部、
・カーボンブラック(商品名:サーマックスフローフォームN990、カナダCancarb社製):5質量部。
次いで、上記未加硫ゴム組成物178.5質量部に対して、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加した。これを、温度20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、導電性ゴム組成物を作製した。
<製造例40>〔複合導電性微粒子の作製〕
シリカ粒子(平均粒子径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。この時の攪拌速度は22rpmであった。その中に、カーボンブラック「#52」(商品名、三菱化学社製)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行った。このようにしてメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆したシリカ粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、複合導電性微粒子を作製した。この時の攪拌速度は22rpmであった。なお、得られた複合導電性微粒子は、平均粒径が15nmであり、体積抵抗率は1.1×10Ω・cmであった。
<製造例41>〔表面処理酸化チタン粒子の作製〕
針状ルチル型酸化チタン粒子(平均粒径15nm、縦:横=3:1、体積抵抗率2.3×1010Ω・cm)1000gに、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110g及び溶媒としてトルエン3000gを配合してスラリーを調製した。このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得たスラリーを、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、120℃で2時間、表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理した粒子を室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕して、表面処理酸化チタン粒子を作製した。
<製造例42>〔導電性樹脂塗布液1の作製〕
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業社製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が10質量%となるように調製した。この溶液1000質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して、下記の4成分を加え、混合溶液を調製した。
・複合導電性微粒子(製造例40で作製した粒子):45質量部、
・表面処理酸化チタン粒子(製造例41で作製した粒子):20質量部、
・変性ジメチルシリコーンオイル(*1):0.08質量部、
・ブロックイソシアネート混合物(*2):80.14質量部。
このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
(*1)変性ジメチルシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、
(*2)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物。
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液200gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。24時間分散後、アクリルポリオール固形分100質量部に対して、ボウル形状の樹脂粒子1を20質量部加え、5分間分散し、ガラスビーズを除去して導電性樹脂塗布溶液1を作製した。
<製造例43>〔導電性樹脂塗布液2の作製〕
ボウル形状の樹脂粒子2を用いた以外は、製造例42と同様にして、導電性樹脂塗布液2を作製した。
<製造例44>〔エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物の作製〕
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた四口丸底フラスコ反応器内の気体を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−メチル−4−イソプロペニル−1,2−エポキシシクロヘキサン152.2g(1.0モル)、白金原子を2質量%含有するSpeier触媒0・06g(1−メチル−4−イソプロペニル−1,2−エポキシシクロヘキサン1モルに対して6.0×10−6モルの白金原子となる量)、アセトニトリル2.2g(0.05モル)及びメタノール2.3g(0.07モル)を添加した。ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。
次いで、上記内容物にトリメトキシシラン122.2g(1.0モル)を7時間かけて滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に2時間撹拌して、反応を完結させた。この反応溶液を単蒸留し、下記式(17)に示す2−(4−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)2−メチルエチルトリメトキシシラン(以下、「EP−5」と称す)を得た。
Figure 2012103414
<製造例45>〔ライニング層用塗布液1の作製〕
まず以下の4成分を混合した後、室温で30分攪拌した。
・EP−1(加水分解性シラン化合物(A)、表3参照):10.62g(0.045モル)、
・HeTMS(加水分解性シラン化合物(B)、表3参照):26.82g(0.13モル)、
・エタノール:40.50g、
・イオン交換水:9.45g。
続いてオイルバスを用い、120℃で20時間加熱還流を行うことによって、縮合物1を得た。この縮合物1の理論固形分(加水分解性シラン化合物が全て脱水縮合したと仮定した時のポリシロキサン重合物の、溶液全質量に対する質量比率)は28.0質量%である。またこのときの(D)/{(A)+(B)}の値は3.0であった。
25gの縮合物1に光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業社製)をメタノールで10質量%に希釈したものを0.7g添加し縮合物1−2を得た。縮合物1−2を固形分が3.0質量%になるようにエタノールと2−ブタノールの混合液(エタノール:2−ブタノール=1:1)で希釈し、ライニング層用塗布液1を調製した。
<製造例46〜61>〔ライニング層用塗布液2〜17の作製〕
製造例45において、成分(A)及び成分(B)の材料及びモル数を表2の条件に変更した以外は、製造例45の場合と同様にして、ライニング層用塗布液2〜17を作製した。
<製造例62>〔ライニング層用塗布液18の作製〕
まず製造例45と同様にして、縮合物1を作製した。
次に、室温に冷却した縮合物1の87.39gに対し、金属アルコキシド(C)として、タンタルペンタエトキシド(Gelest社製)92.49g(0.175モル)を添加し、室温で3時間攪拌し縮合物Aを得た。一連の攪拌は750rpmで行った。Ta/Si=1.0である。
25gの縮合物1に光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業社製)をメタノールで10質量%に希釈したものを0.7g添加し縮合物A−2を得た。縮合物A−2を固形分が3.0質量%になるようにエタノールと2−ブタノールの混合液(エタノール:2−ブタノール=1:1)で希釈し、ライニング層用塗布液18を調製した。
<製造例63>〔ライニング層用塗布液19の作製〕
製造例62において、成分(C)の材料を表2の条件に変更した以外は、製造例62の場合と同様にして、ライニング層用塗布液19を作製した。
Figure 2012103414
ここで、表2中の各成分の記号は、以下の表3に示す材料(商品)である。
Figure 2012103414
<実施例1>
〔導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
〔導電性樹脂層の形成〕
製造例35において樹脂粒子1を12質量部加えることで導電性ゴム組成物を作製した。図7に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に作製した導電性ゴム組成物を被覆した。被覆したゴム組成物の厚みは、1.75mmに調整した。なお、図7において、36は導電性基体、37は送りローラ、38は押出機、40はクロスヘッド、41は押出後のローラを示している。
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加熱したのち、被覆層の端部を除去して、長さが224.2mmとし、更に、160℃で1時間2次加熱を行い、層厚3.5mmの予備被覆層を有するローラを作製した。
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥石としてビトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。ローラの回転方向と研磨砥石の回転方向は、同方向(従動方向)とした。切込み速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性樹脂層を有する弾性ローラA1を作製した。樹脂層の厚みは、3mmに調整した。なお、このローラのクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
〔ライニング層の形成〕
作製した弾性ローラA1の外周部に製造例45で作製したライニング層用塗布液1を、リング塗布した。これに、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射し、ライニング層用塗布液1を架橋反応により硬化させることによってライニング層を形成し、帯電ローラA1を得た。紫外線の照射には低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング社製)を用いた。ここで、リング塗布の条件は以下の通りである。吐出量0.120ml/s、リング部のスピード85mm/s、総吐出量0.130mlとして行った。作製した帯電ローラA1を評価し以下の結果を得た。
Rzは32μmであり、Smは80μmであった。帯電ローラA1の表面には、ボウル形状の樹脂粒子由来の凸部及び凹部が形成されており、凸部の頂点と凹部の底部との高低差は、37μmであった。ライニング層のDCは60%であった。これらの結果を表5に示す。
〔耐久評価1〕
図6に示す構成を有する電子写真装置であるモノクロレーザープリンタ(商品名:LaserJet P4515n、日本ヒューレットパッカート社製)を使用し、外部より、帯電部材に電圧を印加した。印加する電圧は、交流電圧として、ピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を2930Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度は、600dpiで出力した。なお、プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジを用いた。
上記プロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、作製した帯電ローラA1をセットした。また、帯電ローラ1は、電子写真感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた。このプロセスカートリッジを温度15℃/湿度10%RH環境(環境1)、温度23℃/湿度50%RH環境(環境2)及び温度32.5℃/湿度80%RH環境(環境3)に24時間馴染ませた。その後、それぞれの環境にて、耐久評価を行った。
具体的には、電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔176ドットの横線画像を2枚間欠耐久試験(2枚ごとにプリンタの回転を3秒停止して耐久)を行った。その途中(初期画出し時、12000枚終了時、24000枚終了時、36000枚終了時)で、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を、出力し、評価した。なお、評価は、ハーフトーン画像を目視にて観察し、前述したポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像を、下記基準で判定した。評価結果を表6に示す。
ランク1;ポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像は発生しない。
ランク2;軽微なポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像が認められるのみである。
ランク3;一部に、ポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像が帯電ローラのピッチで確認されるが、実用画像上問題無い。
ランク4;ポチ状画像、横スジ状画像、及び縦スジ状画像が目立ち、画質の低下が認められる。
〔耐久評価2〕
図6に示す構成を有する電子写真装置であるヒューレットパッカート社製モノクロレーザープリンタ(「LaserJet P4014n」(商品名))を使用し、外部より、帯電部材に電圧を印加した。1次帯電の出力は直流電圧−1100V、画像の解像度は、600dpiとした。プロセスカートリッジとして、上記プリンタ用のプロセスカートリッジを用いた。その途中(初期画出し時、4000枚終了時、8000枚終了時、12000枚終了時)での画像を出力とした以外は、耐久評価1と同様にして、評価を行った。評価結果を表7に示す。
<実施例2>
製造例35において、樹脂粒子1を用い、添加部数を10質量部として、導電性ゴム組成物を作製した。ライニング層形成時、製造例46で作製したライニング層用塗布液2を使用した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラA2を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例3〜14>
バインダー材料(製造例35〜37のゴム成分)の種類、樹脂粒子の種類と添加部数、研磨条件及びライニング層用塗布液の種類(塗布液の番号で表示)を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラA3〜帯電ローラA14を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例15>
実施例1と同様にして作製した帯電ローラの表面を以下の条件により、テープ研磨し、帯電ローラA15を作製した。テープ研磨により、ライニング層は、帯電ローラ表面のボウル形状の樹脂粒子由来の凹部内壁のみを覆っている状態であった。
テープ研磨の条件として、研磨装置は、フィルム方式超仕上げ装置(商品名:スーパーフィニッシャーSP100型、松田精機社製)を使用した。研磨テープとしては、ラッピングフィルム(住友スリーエム社製、研磨砥粒:酸化アルミニウム、平均粒径:12μm(#1200))を使用した。研磨テープのローラ長手移動速度を200mm/min、ローラの回転数を500rpm、研磨テープの押し当て圧を0.2MPa、研磨テープの送り速度を40mm/min、揺動速度(オシレーション)を500サイクル/minとした。研磨テープとローラの回転方向は反対方向(カウンターの方向)とした。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例16〜36>
バインダー材料(製造例35〜37のゴム成分)の種類、樹脂粒子の種類と添加部数、研磨条件及びライニング層用塗布液の種類(塗布液の番号で表示)を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラA16〜帯電ローラA36を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例37>
実施例16と同様にして作製した帯電ローラの表面を実施例15と同様の条件により、テープ研磨し、帯電ローラA37を作製した。テープ研磨により、ライニング層は、帯電ローラ表面のボウル形状の樹脂粒子由来の凹部内壁のみを覆っている状態であった。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例38〜50>
バインダー材料(製造例35〜37のゴム成分)の種類、樹脂粒子の種類と添加部数、研磨条件及びライニング層用塗布液の種類(塗布液の番号で表示)を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラA38〜帯電ローラA50を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例51>
実施例38と同様にして作製した帯電ローラの表面を実施例15と同様の条件により、テープ研磨し、帯電ローラA51を作製した。テープ研磨により、ライニング層は、帯電ローラ表面のボウル形状の樹脂粒子由来の凹部内壁のみを覆っている状態であった。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例52>
製造例39で作製した樹脂粒子を添加していない導電性ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、予備被覆層を有するローラを作製した。このとき、予備被覆層の厚みは、3.25mmとなるように調整した。
この予備被覆層を有するローラに対して、製造例42で作製したボウル形状の樹脂粒子1を含む導電性樹脂塗布液1を1回ディッピング塗布した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度80℃で1時間、更に温度160℃で1時間乾燥し、予備被覆層上に導電性樹脂層を有する弾性ローラA52を作製した。ここで、ディッピング塗布は以下の通りである。浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。
この弾性ローラA52に、実施例1と同様にして、ライニング層用塗布液1を塗布することで、帯電ローラA52を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<実施例53>
導電性樹脂塗布液として、製造例43で作製したボウル形状の樹脂粒子2を含む導電性樹脂塗布液2を用いた以外は、実施例52と同様にして、帯電ローラA53を作製した。評価結果を表6及び表7に示す。
<比較例1>
この比較例は、ライニング層を有しない帯電ローラを用いた例である。
導電性ゴム組成物を、製造例38において作製した樹脂粒子30を10質量部含む導電性ゴム組成物に変更し、実施例50と同様にして、弾性ローラA54を作製した。この際、切込み速度は、砥石が未研磨ローラに接してから直径12mmに成形されるまでに10mm/minから0.1mm/minまで段階的に変化する条件に変更し、スパークアウト時間は10秒に変更した。この弾性ローラA54をそのまま帯電ローラA54として使用した。帯電ローラA54は、ローラ表面に凸部を有していなかった。評価結果を表6及び表7に示す。
<比較例2>
導電性ゴム組成物を、樹脂粒子31を5質量部含む導電性ゴム組成物に変更した以外は比較例1と同様にして、弾性ローラA55を作製した。実施例50と同様にして、ライニング層を形成し、帯電ローラA55を作製した。帯電ローラA55は、ローラ表面に凸部を有していなかった。評価結果を表6及び表7に示す。
<比較例3>
樹脂粒子を添加せず、発泡剤(ADCA(アゾジカルボンアミド))15質量部を添加した以外は実施例49と同様にして、帯電ローラA56を作製した。帯電ローラA56は、ローラ表面に凸部を有していなかった。評価結果を表6及び表7に示す。
<比較例4>
この比較例は、ライニング層を有しない帯電ローラを用いた例である。実施例50と同様にして作製した弾性ローラA57を、帯電ローラA57として使用した。評価結果を表6及び表7に示す。
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
Figure 2012103414
31 導電性樹脂層
33 ライニング層
51 ボウル形状の樹脂粒子の開口
52 ボウル形状の樹脂粒子に由来する凹部
53 ボウル形状の樹脂粒子のエッジ
54 ボウル形状の樹脂粒子のエッジに由来する凸部
61 ボウル形状の樹脂粒子

Claims (3)

  1. 導電性基体と、導電性樹脂層とを有する帯電部材であって、該導電性樹脂層は、バインダーと導電性微粒子とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、該帯電部材の表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、該ボウル形状の樹脂粒子は、その内壁が下記式(1)で示される構造を有する高分子化合物を含むライニング層を有することを特徴とする帯電部材:
    Figure 2012103414
    [式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に下記式(2)〜(5)のいずれかを示す:
    Figure 2012103414
    Figure 2012103414
    Figure 2012103414
    Figure 2012103414
    [式(2)〜(5)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25、R26は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24、R29〜R32は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基を示す。R21、R22、R27、R28は、各々独立して水素、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1〜8の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4〜12の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0もしくは1を示す。*および**は、各々、式(1)中のケイ素原子及び酸素原子への結合部位を示す。]]。
  2. 請求項1に記載の帯電部材が電子写真感光体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  3. 請求項1に記載の帯電部材、露光装置及び現像装置を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置。
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