JP2012102313A - 吸音アンダーコート組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂粉末、可塑剤、発泡剤、充填剤を含有してなるプラスチゾル組成物を加熱硬化することにより得られる吸音アンダーコート組成物において、上記熱可塑性樹脂粉末として、重合度1000〜1500の範囲にある酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂を主成分とし、または前記主成分に加えて前記主成分とは重合度が異なる酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂を併用することを特徴とする吸音アンダーコート組成物。
【選択図】図1
Description
図1は現在のタイヤノイズの発生を示す図で、タイヤと路面との接触によって直接発生するものばかりでなく、ホイルハウスに反射して外部に出るものがある。一方、ホイルハウス側からすれば、タイヤノイズのみではなく、エンジンノイズ及び排気ノイズの一部を反射し、車外騒音の発生源となっている。
また、特許文献2は、複数の開口部を持つ板状体と、その板状体上に配置される薄膜からなる複合膜吸音材と、その複合膜吸音材に配置される多孔質吸音材とを有する吸音構造体とし、前記薄膜は厚みが2〜50μmであり、弾性率が1×106〜5×109Paとしたものであるから、実施する場合には、板状体面に形成する薄膜、当該薄膜に形成する複合膜吸音材の接合が必要となり、それらを張り合わせる多層構造の接着工程が必要となり、生産性が良くなかった。
そして、特許文献3の騒音防止用アンダーコート剤は、ロードノイズの吸音を行うため、ロードノイズの吸音特性が満足されるまでその発泡を行うと強度、剛性が低下し、チッピング性能が極端に満足しなくなる。
また、上記可塑剤は、具体的には、スルホン酸フェニルエステル、フタル酸ポリエステル、オクチルベンジルフタレート、安息香酸エステル等のゲル化溶融性の良好な可塑剤等が用いられる。
そして、前記発泡剤は、有機発泡剤、無機発泡剤、マイクロカプセル、水和無機フィラー(高温で水放出)等の使用ができる。
更に、充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、マイカ、ワラスト、グラファイト等のフィラー、その他の樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリブタジエン、イソプレン、NBR、クロロプレン、EVA等の吸音、耐チッピング性を良好にする目的を補助する樹脂等を添加することができる。また、その他の添加剤としては、PVC安定剤、吸湿剤、難燃剤、防錆剤等も添加できる。
ここで、可塑剤は主に、酸とアルコールから合成される化合物(エステル)で、酸としては、フタル酸、トリメリット酸、アジピン酸、また、アルコールとしては、オクタノール、ノナノール、高級混合アルコール等が主なものである。
ここで、加熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)及び、炭酸水素ナトリウム(重曹)が挙げられるが、特に、本実施の形態では、材料を限定するものではない。
したがって、例えば、主成分とする酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂の重合度が1500以上の場合においては耐チッピング性能を確保し易いが、効果的な吸音性を確保することが困難となる。また、重合度1000を下回る場合は吸音性を確保し易いが、耐チッピング性能を確保することが困難となる。即ち、吸音性を重視する場合は、ゲル化が早く、熱溶融時の粘度が低いことから、重合度の低いものが有利である。しかし、主成分の重合度を1000〜1500の範囲とすることにより、発泡によって強度及び剛性の低下が見られず、また、振動音等の音を吸収し、周囲に対する騒音源となり難くする吸音アンダーコートが得られる。
吸音アンダーコートによって振動によって発生する音(騒音)を吸収または干渉(共鳴)して、周囲に対する騒音の拡散を抑制することができる振動音等の音を吸収し、周囲に対する騒音源となり難くすることができるから、生産性がよく廉価になる。
本発明の実施の形態にかかる吸音アンダーコート組成物は、少なくとも熱可塑性樹脂粉末、可塑剤、発泡剤、その他の充填剤を含有してなるプラスチゾル組成物を加熱硬化する吸音アンダーコートにおいて、前記熱可塑性樹脂粉末として、重合度1000〜1500の範囲にある酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂を主成分としたものである。また、重合度1000〜1500の範囲にある酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂はそれのみ1種類を使用する場合だけでなく、主成分とした重合度1000〜1500の範囲にある酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂に重合度が異なる酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂をさらに添加して併用して使用することも可能である。
加熱時に発泡するガスを封じて、連通構造を形成できる粘度特性を持つ液状樹脂であれば、表面に形成された微細孔から連通路を流通する表層部の空気の流体抵抗値を高め、これに続く音響空孔を流通する空気の流体抵抗値を弱めることができ、振動によって発生した音の伝播を吸音特性構造物の内部に取り入れて減衰させる吸音メカニズムが形成できるからである。また、大きな容積を持った音響空孔の中で、前記微細孔及び前記連通路に連通しないで、直接表層に接している部分では、振動によって発生した音が伝播すると前記表層が共鳴振動することで、伝播した音の振動が吸収される。これによっても音の伝播が減衰する。そして、音響空孔は多孔質層になっていることから伝播した音がこの多孔質層を移動する際に多孔質層が共振し、この共振によっても音は減衰する。更に、多孔質層の音響空孔は複数でランダムな容積を有している。故に、幅広い周波数域の吸音(遮音)が可能となり高い吸音特性を持たせることができる。よって、振動によって発生する音(騒音)を吸収または干渉(共鳴)して、周囲に対する騒音の拡散を抑制することができる吸音特性構造体となる。(別出願:特願2010−160368)このように酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂は上述したような吸音特性を得やすい特性を持った樹脂であり、主成分としてそれのみ1種類で、または重合度の異なる2種以上で使用する。
そこで、主成分とする酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂の重合度は1000〜1500の範囲とした。
また、前記可塑剤は、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィンと併用することもできる。これらはPVC100重量部に対して、好ましくは150〜350重量部、より好ましくは200〜300重量部添加するのが望ましい。この際可塑剤は発泡に影響を与えるゲル化時の溶融性を制御するために1種類または2種類以上を組み合わせて使用する。
また、アゾ系としてADCA(アゾジカルボンアミド)、ヒドラジド系としてOBSH(オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)、ニトロソ系としてDPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)等の熱分解型有機発泡剤及び炭酸水素ナトリウムなどの無機発泡剤を単独または併用で用いることができる。ADCA、OBSH等の発泡剤の量は、PVC樹脂に対する重量比で3%〜30%が好ましく、5%〜10%がより好ましい。
また、その他の添加剤としては、PVC安定剤、吸湿剤、難燃剤、防錆剤等も添加できる。
発明者等は、熱可塑性樹脂粉末としてゲル化溶融性の良い可塑剤と重合度が800〜1900のPVCと酢ビコポリマーを併用して用いた。
まず、「PVC A」は重合度800のPVC及びペーストレジン(酢ビコポリマー8%)を併用したもので、以下、「PVC B」は重合度1000のPVC及びペーストレジン(酢ビコポリマー5%)、「PVC C」は重合度1400のPVC及びペーストレジン(酢ビコポリマー5%)、「PVC D」は重合度1900のPVC及びペーストレジン(酢ビコポリマー8%)をそれぞれ用意した。
「可塑剤 A」はDINP(ジイソノニルフタレート)、「可塑剤 B」はスルホン酸フェニルエステル、「可塑剤 C」はフタル酸ポリエステル、「可塑剤 D」はオクチルベンジルフタレート、「可塑剤 E」は安息香酸エステルで、実施例では「可塑剤 A」〜「可塑剤 D」の1つまたは2つを100重量部、150重量部、200重量部の何れかとし、比較例では「可塑剤 A」〜「可塑剤 D」の2つを、75重量部、100重量部の何れかとしている。詳しくは、表1及び表2の「PVC重合度と添加量による耐チップ性、吸音性比較(添加量;重量部)」の表を参照されたい。
また、耐チッピング測定は、70×150×0.8mmの電着塗装鋼板に対し、吸音アンダーコート組成物の被測定物を1.0mmの厚みで塗布し、130℃で20分焼付けた。その後、20℃に冷却して、この鋼板を60°の角度に固定した。鋼板の上2mの高さから、M4真鍮ナットを、直径2cmのパイプを通して落下させ、PVC塗膜の素地に達する穴があいた時の落下させたナットの総重量を測定し規定の重量以上を○とした。
更に、発泡倍率測定は、70×150×0.8mmの電着鋼板に1.0mmの厚みで塗布し、130℃で20分焼付け加熱硬化させて発泡させた後の被測定物の厚みtmmを測定し、発泡前後の厚みの比から求めた。即ち以下に示す数式から求めた。
発泡倍率=t(発泡後の被測定物の厚み)/1.0(発泡前の被測定物の厚み)
また、目標とする耐チッピング性と吸音性能を両立するためには、熱時粘度の域値を設定することもできる。
そして、本実施の形態の吸音アンダーコート組成物は、2液ではなく1液として使用できるので、取り扱いが容易である。また、加熱するまでは形状調整等が可能であるから、任意の塗布形状を選択できる。当然、塗装ロボットの使用或いは刷毛塗りが可能であり、密閉型に入れて成形させる必要がないから、開放型として膜形成でき、吸音アンダーコートとして使用できる。
Claims (4)
- 少なくとも熱可塑性樹脂粉末、可塑剤、発泡剤、充填剤を含有してなるプラスチゾル組成物を加熱硬化することにより得られる吸音アンダーコート組成物において、
上記熱可塑性樹脂粉末として、重合度1000〜1500の範囲にある酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂を主成分とし、または前記主成分に加えて前記主成分とは重合度が異なる酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂を併用することを特徴とする吸音アンダーコート組成物。 - 前記可塑剤は、ゲル化溶融性の良い可塑剤を2種以上配合したことを特徴とする請求項1記載の吸音アンダーコート組成物。
- 上記吸音アンダーコート組成物の発泡倍率は、1.6倍以上、7.0倍未満であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音アンダーコート組成物。
- 上記吸音アンダーコート組成物の発泡剤は、加熱分解型発泡剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の吸音アンダーコート組成物。
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