JP7351429B1 - 吸音材及び車両部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することができる、新たな吸音材を提供すること。【解決手段】ゴム発泡体又は樹脂発泡体を含む多孔質層と、多孔質層上に設けられ、多孔質層より開気孔率の低いゴム又は樹脂を含む多孔層と、を備え、多孔層が、複数の孔を有する基部と、少なくとも一部の孔から多孔質層内に延在する中空状のネック部とを備え、多孔質層側を対象部材に向けて配置した時に、孔から入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される、吸音材。【選択図】図1

Description

本発明は、吸音材及び車両部材に関する。
自動車等の車両部材に用いられる、ポリマーフォーム成形品が知られている(例えば、特許文献1参照)。同文献では、ポリマーフォーム成形品が有する表面圧縮層を穿孔することで、吸音特性を向上させる試みがなされている。
特表2003-518538号公報
しかしながら、特許文献1にて開示されるポリマーフォーム成形品には、薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することに関し、依然として改善の余地がある。そのような改善へ期待は、特に自動車等の車両向けの吸音材において顕著である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することができる、新たな吸音材を提供することを目的とする。本発明はまた、当該吸音材を備える車両部材を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、ゴム発泡体又は樹脂発泡体を含む多孔質層と、多孔質層上に設けられ、多孔質層より開気孔率の低いゴム又は樹脂を含む多孔層と、を備え、多孔層が、複数の孔を有する基部と、少なくとも一部の孔から多孔質層内に延在する中空状のネック部とを備え、多孔質層側を対象部材に向けて配置した時に、孔から入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される、吸音材を提供する。
このような吸音材は従来にない構造を有しており、薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することができる。
一態様において、多孔層の開気孔率が0~60%であってよい。
一態様において、基部及びネック部の厚さが50μm~5mmであってよい。
一態様において、多孔層の通気抵抗が1kPa・s/m以上であってよい。
一態様において、多孔質層の開気孔率が65~99%であってよい。
一態様において、多孔質層の気孔径が1mm以下であってよい。
一態様において、ヘルムホルツ共鳴箱構造が、共鳴周波数の異なるヘルムホルツ共鳴箱構造を含んでよい。
一態様において、ヘルムホルツ共鳴箱構造が、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、及び2000Hz以上の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を含んでよい。
一態様において、ネック部の長さが、多孔質層の厚さの5~80%であってよい。
一態様において、基部の開口率が1~20%であってよい。
一態様において、厚さが30mm以下であってよい。
一態様において、多孔質層の側面及び底面の少なくともいずれかが、ゴム発泡体又は樹脂発泡体を構成するゴム又は樹脂を含みかつ多孔質層より開気孔率の低い被覆層で被覆されていてよい。
一態様において、吸音材は、多孔層と、多孔質層と、通気性又は非通気性の材料から構成される裏張層とをこの順に備えてよい。
一態様において、吸音材は、通気性の材料から構成される他の多孔質層と、多孔層と、多孔質層とをこの順に備えてよい。
一態様において、他の多孔質層が、ゴム発泡体若しくは樹脂発泡体を含む層、又は不織布層であってよい。
一態様において、不織布層が撥水添加剤を含んでよい。
本発明の一側面は、上記の吸音材を備える、車両部材を提供する。
本発明によれば、薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することができる、新たな吸音材を提供することができる。また、本発明によれば、当該吸音材を備える車両部材を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る吸音材の模式断面図である。 図2は、他の実施形態に係る吸音材の模式断面図である。 図3は、他の実施形態に係る吸音材の模式断面図である。 図4は、他の実施形態に係る吸音材の模式断面図である。 図5は、吸音材における孔の配置を模式的に表す図である。 図6は、ヘルムホルツ共鳴箱構造の共鳴周波数の算出方法を示す図である。 図7は、一実施形態に係る吸音材の製造方法を示す模式図である。 図8は、吸音率測定結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<吸音材>
図1は、一実施形態に係る吸音材の模式断面図である。吸音材10は、多孔質層2と、多孔質層2上に配置された多孔層1とを備え、多孔層1が、複数の孔hを有する(平面状の)基部1aと、孔hの少なくとも一部の孔から多孔質層2内に延在する中空状のネック部1bとを備える。多孔層1は、全ての孔hから多孔質層2内に延在する中空状のネック部1bを備えていてもよい。多孔質層2は、孔hと連通しかつネック部1bの多孔質層2への延在長さと同じ深さの孔を有している。ネック部1bを有しない孔hの内部の空間は空洞であってよい。
吸音材10は、多孔層1側を音の入射側に、多孔質層2側を吸音対象となる他の部材(対象部材)側に配置して使用することができる。吸音材10と対象部材とは接していてもよく、接していなくともよい。対象部材は非通気性の材料から構成されていてよく、具体的には自動車部材が挙げられ、特にホイールハウスパネル、ドアパネル、フロアパネル等のボディパネル、アンダーカバー、ホイールハウスカバー等カバー部品などが挙げられる。吸音材10が後述の非通気性の裏張層を有する場合は、対象部材は通気性の材料から構成されていてもよい。
吸音材10は、他の部材の吸音特性を向上させる観点から、吸音特性向上部材ということもできる。また、吸音材10及び対象部材を備える構造を、吸音構造体ということもできる。
吸音材10においては、多孔質層2側を対象部材に向けて配置した時に、孔hから入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される。多孔質層2内に延在する中空状のネック部1bにより、その孔hの共鳴周波数を小さくすることができ、低い周波数帯域での吸音特性を得易くなる。吸音材10は、より広い周波数帯域での吸音特性を向上する観点から、共鳴周波数の異なる二種以上のヘルムホルツ共鳴箱構造を有していてよい。多孔層1側から入射した音(音響エネルギー)は、吸音材10内でヘルムホルツ共鳴して、熱エネルギーとして散逸されると考えられる。これにより音の減衰が観察される。
図2~3は、他の実施形態に係る吸音材の模式断面図である。
図2に示す吸音材は、音の入射側と反対面全面に裏張層を備えている。裏張層は、通気性又は非通気性の材料から構成されてよい。裏張層が非通気性の材料から構成される場合、上記のように対象部材を配置しなくとも、単独でヘルムホルツ共鳴箱構造を形成することができる。
図2に示すように、吸音材11は、多孔層1と、多孔質層2と、裏張層3とをこの順に備える。
図3は、他の実施形態に係る吸音材の模式断面図である。図3に示す吸音材は、音の入射側に通気性の材料から構成される他の多孔質層を備えている。これにより、吸音特性向上、孔の被覆、意匠性向上等が図られる。他の多孔質層は表張層と言うことができる。
図3に示すように、吸音材12は、通気性の材料から構成される他の多孔質層4と、多孔層1と、多孔質層2とをこの順に備える。
図4に示す吸音材では、多孔質層の側面及び底面が、多孔質層のゴム発泡体又は樹脂発泡体を構成するゴム又は樹脂を含みかつ多孔質層より開気孔率の低い被覆層で被覆されている。これにより、対象部材を配置しなくとも、単独でヘルムホルツ共鳴箱構造が形成され、また吸音材の意匠性等が向上する。
図4に示すように、吸音材13は、多孔質層2と、多孔質層2上に配置された多孔層1とを備え、多孔質層2の側面及び底面が被覆層5で被覆されている。
吸音材の厚さは、吸音性能の観点から、5mm以上とすることができ、8mm以上であってもよく、また薄厚でも吸音特性に優れることから、30mm以下とすることができ、25mm以下であってもよく、20mm以下であってもよく、15mm以下であってもよく、13mm以下であってもよい。
(多孔質層)
多孔質層はゴム発泡体又は樹脂発泡体を含む。ゴム発泡体又は樹脂発泡体は通気性の材料(多孔質材)である。
多孔質層の開気孔率は、吸音特性向上の観点から65%以上であってよく、99%以下であってよい。この観点から、多孔質層の開気孔率は80~95%とすることができ、80~90%であってもよく、80~85%であってもよい。多孔質層の開気孔率とは、多孔質層を構成する材料の開気孔率である。
開気孔率は三次元計測X線CT装置を用いた構造解析により算出することができる。具体的には、CTスキャン像から得られた構造から試料全体の体積に対する開気孔の比率(%)として開気孔率を算出することができる。三次元計測X線CT装置の例としては、株式会社島津製作所製のinspeXio SMX-225CTSが挙げられる。測定条件は構成材料に応じて調整すればよく、本態様のゴム材料又は樹脂材料であれば、気孔とゴム材料又は樹脂材料との微細構造を観察するために適した条件とすればよい。本態様の場合、例えば、管電圧70kV、管電流40μAで対象をスキャンして解析することで、対象部分(多孔質層又は多孔層)の開気孔率を測定することができる。
多孔質層の気孔径は、吸音特性向上の観点から1mm以下であってよい。内部の中空気孔が緻密であるほど(内部気孔が小さいほど)、多孔質層内に進入した音波を吸音する効果が高くなり易い。この観点から、多孔質層の気孔径は500μm以下とすることができる。ただし、中空気孔が緻密すぎると音が進入し難くなるため、多孔質層の気孔径は、0.1μm以上とすることができる、10μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。多孔質層の気孔径とは、多孔質層を構成する材料の気孔径である。
気孔径は円相当径から求められる。円相当径とは、描画されている図形(内部気孔)の面積に相当する、真円の直径のことである。内部気孔の面積は上記三次元計測X線CT装置により測定するすることができる。多孔質層の任意の断面写真5枚から、それぞれ10個の気孔の断面積を測定して、合計50個の円相当径を算出し、その平均値をとることで気孔径を求めることができる。
多孔質層の密度は、吸音特性向上の観点から10kg/m以上であってよく、200kg/m以下であってよい。この観点から、多孔質層の密度は40~170kg/mとすることができ、70~140kg/mであってもよい。
密度は、常温において試料の重量を見かけの体積で除することにより算出することができる。
ゴム発泡体を構成するゴムとしては、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
樹脂発泡体を構成する樹脂としては、ポリウレタン(PU)が挙げられる。
多孔質層の厚さは、特に低周波における吸音性能の観点から、5mm以上とすることができ、8mm以上であってもよく、また薄厚が要求される自動車部品向けの用途の観点から、15mm以下とすることができ、12mm以下であってもよい。
多孔層の孔に対応するネック部が存在しない場合、多孔質層は、吸音特性調整の観点から、多孔層の孔と連通する孔を有していてもよい。孔を有する場合、孔の深さは吸音性能の観点から、後述のネック部の延在長さと同じであってもよい。
(多孔層)
多孔層は多孔質層上に(多孔質層表面に)存在し、多孔質層表面(上面)を覆うように形成される、ゴム又は樹脂を含む層である。多孔層をスキン層と言うことができる。
多孔層の開気孔率は、ヘルムホルツ共鳴箱を形成させる観点から、0~60%とすることができ、0~30%であってもよく、0~10%であってもよく、0~5%であってもよい。多孔層の開気孔率とは、多孔層を構成する材料の開気孔率であって、多孔層を構成する基部(基部が有する複数の孔を除く)及びネック部の開気孔率である。
多孔層の通気抵抗は、ヘルムホルツ共鳴箱を形成させる観点から、1kPa・s/m以上とすることができ、2kPa・s/m以上であってもよく、3kPa・s/m以上であってもよい。多孔層の通気抵抗の上限は特に制限されず、多孔層は非通気性であってよい。多孔層の通気抵抗とは、多孔層を構成する材料の通気抵抗であって、多孔層を構成する基部(基部が有する複数の孔を除く)及びネック部の通気抵抗である。
通気抵抗は、通気抵抗測定装置(例えば、KES-F8、カトーテック株式会社製)を用いて測定することができる。
多孔層の密度は、ヘルムホルツ共鳴箱を形成させる観点から280kg/m以上であってよく、1400kg/m以下であってよい。この観点から、多孔層の密度は400~1400kg/mとすることができ、400~1100kg/mであってもよく、600~800kg/mでもよい。多孔層の密度とは、多孔層を構成する材料の密度であって、多孔層を構成する基部(基部が有する複数の孔を除く)及びネック部の密度である。
基部の厚さは、通気抵抗、耐久性等の観点から、50μm以上とすることができ、100μm以上であってもよく、500μm以上であってもよい。基部の厚さは、軽量化、薄厚化等の観点から、5mm以下とすることができ、2mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
基部の厚さは、上記三次元計測X線CT装置を用いた構造解析で確認することができる。すなわち、得られたスキャン像から、多孔層表面に垂直となる断面像を得て、基部の厚さを測定することができる。基部の厚さは、基部の5箇所に対する測定値の平均値として求められる。
基部の開口率は、吸音材内に音波を充分に入射させる観点から、1%以上とすることができ、2%以上であってもよく、またヘルムホルツ共鳴を好適に生じさせる観点から20%以下とすることができ、15%以下であってもよい。開口率とは、吸音材の多孔層を厚さ方向から見た時の孔の面積を、孔の面積を含む多孔層(基部)全体の面積で除することで算出することができる。
基部が有する孔の形状は、円形、楕円形、長方形、多角形、不定形等であってよく、開口率の調整及び工法上の都合で適した形状を採用することができる。孔の径及びピッチ等を調整することで、吸音時の共鳴周波数を調整することができる。孔の形状は、加工性の観点から、円形であることが好ましい。孔に対応するネック部が存在しない場合、孔の内部の空間は空洞であってよい。
孔の径(孔径)、すなわち中空状のネック部の内径は、適切な開口率を得る観点から、0.5mm以上とすることができ、2mm以上であってもよく、また吸音材内への異物侵入を抑制する観点から、10mm以下とすることができ、5mm以下であってもよい。
孔の径は、三次元計測X線CT装置を用いた構造解析で確認することができる。孔の径は、5個の孔に対する測定値の平均値として求められる。
吸音材の多孔層を厚さ方向から見た時に、優れた吸音特性を得る観点から、孔は格子状に配置されていてよく、菱形格子状(斜方格子状)、六角格子状(三角格子状)、正方格子状、矩形格子状、歪斜格子状等に配置されていてよい。
孔のピッチは、加工性の観点から、1mm以上とすることができ、5mm以上であってもよく、また開口率向上の観点から、30mm以下とすることができ、20mm以下であってもよい。孔のピッチとは、後述の図5のPに示されるように、隣接する孔の中心間距離を言う。孔のピッチは、5個の孔に対する測定値の平均値として求められる。
ネック部の長さは、吸音特性をより向上する観点から、多孔質層の厚さの5%以上とすることができ、10%以上であってもよく、30%以上であってもよく、50%以上であってもよい。ネック部の長さは、吸音材の裏面(多孔質層の底面であって、音波入射側の反対側表面)とネック部先端との隙間を確保する観点から、多孔質層の厚さの80%以下とすることができる。
ネック部の長さとは、基部と多孔質層との界面からネック部先端までの長さを言う。
ネック部の長さは、多孔質層の厚さ等により変動するため特に限定されないが、1mm以上とすることができ、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。同様に、ネック部の長さは、9mm以下とすることができ、8mm以下であってもよい。
ネック部の厚さ、すなわち中空状の構造の内径及び外径の差(壁面の厚さ)は、ネック部が剛直となり振動に対しより優れた耐久性を得る観点から、50μm以上とすることができ、100μm以上であってもよく、500μm以上であってもよい。ネック部の厚さは、多孔質層の体積を確保し、特に低周波吸音性能の向上させる観点から、5mm以下とすることができ、2mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
ネック部の長さ及び厚さは、前述の基部と同様に三次元計測X線CT装置を用いた構造解析で確認することができる。ネック部の長さ及び厚さは、5個のネック部に対する測定値の平均値として求められる。
各図中、ネック部を多孔質層内に真っ直ぐに延在するように設けているが、吸音特性の観点からネック部を曲げて設けてもよい。
多孔層を構成するゴムとしては、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
多孔層を構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE:例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))等のポリオレフィン、ポリウレタン(PU)、アクリル樹脂、ウレタン系、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマー、又はこれらを複合化した熱可塑性樹脂が挙げられる。
(被覆層)
被覆層は、後述のとおり多孔質層の製造過程において、多孔質層の側面及び底面の少なくともいずれかに形成される。したがって、被覆層を構成するゴム又は樹脂は、多孔質層の項目において例示したものとなる。また、多孔層と共に多孔質層を被覆するものであって、かつ多孔層同様に多孔質層より開気孔率が低い層であることから、多孔質層もスキン層ということができる。
被覆層の開気孔率、通気抵抗、密度は、多孔層に準じるものとすることができる。被覆層の厚さは、ヘルムホルツ共鳴箱構造形成の観点から、50μm以上とすることができ、100μm以上であってもよく、500μm以上であってもよい。被覆層の厚さは、薄厚が要求される自動車部品向けの用途の観点から、3mm以下とすることができ、2mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
(裏張層)
裏張層としては、フィルム、箔等の非通気性の層(非不織布層)、不織布等の通気性の層が挙げられる。多孔質層と裏張層とは接着層を介して接着されていてよい。
裏張層が非通気性の材料から構成される場合、裏張層により、吸音材の耐久性、剛性等を向上させることができる。非通気性の材料としては、例えば、プラスチック、ゴム、金属、これらの複合材料が挙げられる。
プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE:例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))等のポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ABS、AES、ASA、ポリフェニレンエーテル(PPE)などが挙げられる。
ゴムとしては、ウレタンゴム(PU)、シリコーンゴム、天然ゴム(NR)、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。
金属としては、ステンレス、アルミ、銅等が挙げられる。
複合材料としては、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
裏張層が通気性の材料から構成される場合、裏張層により吸音材の吸音特性を向上させることができる。通気性の材料としては、熱可塑性樹脂繊維又は熱硬化性樹脂繊維から構成される不織布が挙げられる。
また、裏張層として、吸音対象に接着させるための接着シート又はフィルム、あるいは制振性付与のための制振シート又はフィルムを用いることもできる。
裏張層を接着するための接着層としては、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、イソブテン・無水マレイン酸共重合樹脂、アクリル共重合樹脂、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、スチレン・ブタジエンゴム、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタン樹脂、シリル化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、水ガラス、シリケート等の接着成分を含む層、あるいは紙、布、樹脂フィルム、金属テープ等から構成される支持体の両面にこれらの接着成分を含む層を備える積層物(例えば両面テープ)などが挙げられる。接着層の厚さは特に限定されないが、0.01~500μmとすることができ、1~250μmであってもよい。
裏張層の厚さは、耐久性、剛性の向上等の観点から、50μm以上とすることができ、100μm以上であってもよく、また薄厚が要求される自動車部品向けの用途の観点から、5mm以下とすることができ、2mm以下であってもよい。
(他の多孔質層)
他の多孔質層は通気性の材料から構成される。音波入射側である多孔層上に他の多孔質層を敷設することで、優れた吸音性能を損なうことなく、孔への異物の混入を防ぐことができる。特に自動車の外装部品(アンダーカバー、ホイールハウスカバー等)に吸音材を適用する場合に有効である。多孔層と他の多孔質層とは、前述の接着層を介して接着されていてよい。
通気性の材料としては不織布、ゴム発泡体、樹脂発泡体等が挙げられる。
不織布としては、熱可塑性樹脂繊維又は熱硬化性樹脂繊維から構成される不織布が挙げられる。不織布には、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物(例えば、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基及び炭素-炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体;含フッ素単量体)に由来する構造を有するフッ素含有重合体)、炭素数7~40の炭化水素基を有する非フッ素化合物(例えば、炭素数7~40の炭化水素基及び炭素-炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体;非フッ素単量体)に由来する構造を有するフッ素非含有重合体)等を有する撥水添加剤が含まれていてもよい。
ゴム発泡体及び樹脂発泡体としては、多孔質層の項目にて説明した材料が挙げられる。
良好な吸音特性を得る観点から、他の多孔質層の気孔率は85~99%とすることができ、密度は10~200kg/mとすることができる。
(ヘルムホルツ共鳴箱構造)
吸音材においては、多孔質層側を対象部材に向けて配置した時に、孔から入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される。上記吸音材によれば、薄厚であっても低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現することができる。
ヘルムホルツ共鳴箱構造は、共鳴周波数の異なるヘルムホルツ共鳴箱構造を含んでよい。すなわち、吸音材においては、共鳴周波数の異なる二種以上のヘルムホルツ共鳴箱構造が形成されてもよい。これにより、吸音材は低周波数側から高周波数側まで広範囲において高い吸音特性を発現することができる。
ヘルムホルツ共鳴箱構造とは、ヘルムホルツ共鳴器の構成要素、すなわち開口部(多孔層の孔)、頸部(多孔層の厚み、又は多孔層厚みとネック部長さ)、胴部(多孔質層)を有し、理論的にヘルムホルツ共鳴箱として機能する構造である。
ヘルムホルツ共鳴箱構造は、低い周波数帯域において優れた吸音特性を発現する観点から、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を有することが好ましい。
ヘルムホルツ共鳴箱構造は、吸音周波数の広域化の観点から、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、及び2000Hz以上の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を含むことが好ましく、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、2000~3000Hzの共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、及び3000Hz超の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を含むことがより好ましい。
この際、隣り合うヘルムホルツ共鳴箱構造が異なる共鳴周波数を有することがさらに好ましい。すなわち、異なる共鳴周波数を発現する孔(吸音周波数区分の異なる孔)同士が隣り合うことで、音波がそれぞれの孔に回折して入射し易くなり、吸音周波数をより広域化し易くなる。
図5は、吸音材における孔の配置を模式的に表す図である。同図は、吸音材の多孔層を厚さ方向から見た時の、異なる共鳴周波数を発現する孔A~Cの好適な配置を示している。図5(a)では、孔A及びCが正方格子状に配置されており、孔A及びCそれぞれに対し異なる共鳴周波数を発現する孔が隣接している。図5(b)では、孔A~Cが三角格子状(正三角格子状)に配置されており、孔A~Cそれぞれに対し異なる共鳴周波数を発現する孔が隣接している。例えば、孔Aの周囲には、孔B及び孔Cが同数で隣接しており、孔A同士は隣接していない。
図6は、ヘルムホルツ共鳴箱構造の共鳴周波数の算出方法を示す図である。同図において、破線で囲われた部分がそれぞれヘルムホルツ共鳴箱単位を示す。各孔から入射した音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造の共鳴周波数は、この算出方法に従い、吸音材の各種寸法から調整することができる。
図6中、Vはヘルムホルツの共鳴箱単位に多孔質層を分割した場合の、多孔質層の体積である。孔が一定の周期をもって格子状に配置された場合、Vは、隣接する孔の中心を起点とし、孔同士の中間点を通る正方形又は長方形(図5の破線部分参照)に、多孔質層の厚さTを乗じた直方体又は立方体の体積として算出される。孔同士の中間点を通る方形を描くときに複数の描画方法がある場合は、隣接する方形同士が重ならないようにかつその面積が最大となるよう描画する。また、孔が一定の周期をもたず不特定のピッチ間隔でランダムに配置される場合、Vは、隣接する孔の中心を起点とし、孔同士の中間点を頂点とする多角形に多孔質層の厚さTを乗じた多角柱の体積として算出される。いずれの場合においても、多孔質層内にネック部が延在している場合は、ネック部の体積を減じた体積をVとする。δは開口端補正であり、例えば孔の形状が円形である場合、δは孔の直径の0.8倍として算出することができる。孔の形状が円形でない場合は、δは孔の面積と同じ面積を有する正円の直径の0.8倍として算出することができる。
<吸音材の製造方法>
以下に吸音材の製造方法を説明するが、吸音材の製造方法に特に制限はない。
図7は、一実施形態に係る吸音材の製造方法を示す模式図である。同図に準じる製造方法は以下のとおりである。
複数の孔を有する平板部と少なくとも一部の孔から延在する中空の延在部とを有する上型20を準備する。
平板部の下面及び延在部の側面に、多孔層形成液L1を付着させる。
延在部の先端に液が付着している場合は、エアブロー等により液を除去する。その後、後述の多孔質層形成液L2が延在部内に浸入しないよう、平板部上面の孔はマスキングテープ等で塞いでおく。これらの措置は、ネック部先端を開放しかつネック部内部を中空となるようにするためである。
下型21を準備して多孔質層形成液L2を流し込む。
上型20と下型21を対向させる(図7の状態)。
下型21の多孔質層形成液L2中に、多孔層形成液L1が付着した上型20を、平板部の下面が多孔質層形成液L2に接するまで沈める。
上型20を沈めた状態で多孔層形成液L1及び多孔質層形成液L2をゲル化させる。ゲル化は、例えば20~40℃で10~30分間放置することにより行うことができる。この際、下型21と接する部分の多孔質層形成液L2は充分な発泡が進まないため、ゲル化物を加熱する際に被覆層(多孔質層より開気孔率の低い層)が形成されることになる。
両液のゲル化物を型から取り出して加熱し、ゲル化物を架橋させる。加熱は、例えば80~120℃で30~240分間行うことができる。
以上の工程により吸音材を得ることができる。
多孔層形成液及び多孔質層形成液は、それぞれ所望の材料を用いて調製すればよい。例えば、多孔層及び多孔質層をゴムで形成する場合、すなわち両層の原料にゴムラテックスを用いる場合は、ゴムラテックス、促進助剤、泡安定剤、ゲル化剤、増粘剤等を含む液を調製する。多孔層形成液及び多孔質層形成液の組成は同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも多孔層(ゴムラテックス層)及び多孔質層(ゴムラテックスフォーム層)が所望の開気孔率を有するよう、それぞれの液の発泡の程度(発泡倍率)を調整する。発泡の程度が調整し易いように各液の組成(例えば増粘剤の種類又は量)を変更してもよい。
以下に、吸音材の製造方法の変形例を示す。
a)多孔層形成液が付着していない上型を、下型の多孔質層形成液中に沈めてもよい。上型と接する部分の多孔質層形成液は充分な発泡が進まないため、多孔質層形成後に多孔質層より開気孔率の低い層が多孔層として形成される。なお、この場合多孔層となる基部及びネック部の厚さが比較的薄くなる傾向があるため、多孔層の耐久性向上の観点からは前述の製造方法を採用することができる。
b)射出成形、三次元造形等の各種成形加工方法により多孔層を予め作製し、これを上記の多孔層形成液が付着した上型に代えて用いてもよい。
c)射出成形、三次元造形等の各種成形加工方法により多孔層を予め作製し、また多孔質層形成液から多孔質層を作製する等して多孔質層を別途準備し、両者を(必要に応じ接着層を介して)貼り合わせてもよい。接着層としては、裏張層の項目にて説明したものが挙げられる。
d)ゴムに代えてPU(軟質及び硬質いずれでもよい)を用いる場合は、ポリオール及びポリイソシアネートと、発泡剤、整泡剤、触媒等とを含む液を調製し、これを多孔層形成液及び多孔質層形成液として用いればよい。
以上例示した方法により、多孔質層の表面及び内部に相対的に通気抵抗の高い緻密な層である基部及びネック部が形成され、ヘルムホルツ共鳴による吸音構造体が得られる。
多孔層上に他の多孔質層を設ける場合、多孔層と他の多孔質層とは前述の接着層を介して接着することができる。
多孔質層下に裏張層を設ける場合、多孔質層と裏張層とは、前述の接着層を介して接着することができる。
製造された吸音材の表面には、輸送時等における外部からの衝撃及び塵埃抑制の観点から、保護カバー等を設けることもできる。保護カバーの材料としては、前述のプラスチック、ゴム、金属、これらの複合材料が挙げられる。保護カバー等は吸音材の両面に設けられていてもよいが、特に多孔層側に設けられていることが好ましい。
このようにして得られる吸音材は、吸音シートとして平板の形状で使用されてもよく、立体成型品として立体の形状で使用されてもよい。上記特徴的なヘルムホルツ共鳴箱構造が形成されるこの吸音材は、薄厚であっても低い周波数帯域の騒音を吸音することができる。そのため、自動車用部材等における吸音材として好適に用いることができ、特に低周波のロードノイズの吸音が求められるフェンダーライナー又はアンダーカバーとしての用途に特に好適に用いることができる。
ここでいう低い周波数帯域とは、周波数が100~3000Hzの帯域とすることができ、上記吸音材は、500~3000Hzの、特に800~2500Hzの周波数帯域において優れた吸音特性を有する。
また、上記吸音材は、孔及びネック部の形成のさせ方により広い周波数帯域(低い~高い周波数帯域)の騒音を吸収することも可能である。ここでいう広い周波数帯域とは、周波数が500~6000Hzの帯域とすることができ、上記吸音材は、800~5000Hzの、特に1000~4000Hzの周波数帯域において優れた吸音特性を有する。
<車両部材>
車両部材は上記の吸音材を備える。車両部材としては、例えば以下の態様が挙げられる。車両部材は自動車部材であってよい。
外装:車両用外装材の吸音部材である車両部材、車両用外装材。
外装としては、(車両用)アンダーカバー又はアンダープロテクター、ホイールハウスカバー、防音カバー、ボディパネル等が挙げられ、具体的にはエンジンアンダーカバー、フロアアンダーカバー、リアアンダーカバー、ミッションカバー、フェンダーライナー/プロテクタ又はマッドガード、ホイールハウスパネル、ドアパネル、フロアパネル等が挙げられる。
内装:車両用内装材の吸音部材である車両部材、車両用内装材。
内装としては、車両用サイレンサー、車両用防音体等が挙げられ、具体的には天井材(ルーフサイレンサー)、ダッシュサイレンサー、フロアサイレンサー、フロアカーペット、フードサイレンサー等が挙げられる。
その他:タイヤ用吸音材、タイヤ。
タイヤ用吸音材としては、車両用カバー、ケース等と上記の吸音材を組み合わせた吸音構造体が挙げられる。
タイヤとしては、タイヤと上記の吸音材(インナータイヤアブソーバー)を組み合わせたものが挙げられる。
<本発明の概要>
[発明1]
ゴム発泡体又は樹脂発泡体を含む多孔質層と、多孔質層上に設けられ、多孔質層より開気孔率の低いゴム又は樹脂を含む多孔層と、を備え、
多孔層が、複数の孔を有する基部と、少なくとも一部の孔から多孔質層内に延在する中空状のネック部とを備え、
多孔質層側を対象部材に向けて配置した時に、孔から入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される、吸音材。
[発明2]
多孔層の開気孔率が0~60%である、発明1記載の吸音材。
[発明3]
基部及びネック部の厚さが50μm~5mmである、発明1又は2に記載の吸音材。
[発明4]
多孔層の通気抵抗が1kPa・s/m以上である、発明1~3のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明5]
多孔質層の開気孔率が65~99%である、発明1~4のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明6]
多孔質層の気孔径が1mm以下である、発明1~5のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明7]
ヘルムホルツ共鳴箱構造が、共鳴周波数の異なるヘルムホルツ共鳴箱構造を含む、発明1~6のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明8]
ヘルムホルツ共鳴箱構造が、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、及び2000Hz以上の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を含む、発明7記載の吸音材。
[発明9]
ネック部の長さが、多孔質層の厚さの5~80%である、発明1~8のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明10]
基部の開口率が1~20%である、発明1~9のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明11]
厚さが30mm以下である、発明1~10のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明12]
多孔質層の側面及び底面の少なくともいずれかが、ゴム発泡体又は樹脂発泡体を構成するゴム又は樹脂を含みかつ多孔質層より開気孔率の低い被覆層で被覆されている、発明1~11のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明13]
多孔層と、多孔質層と、通気性又は非通気性の材料から構成される裏張層とをこの順に備える、発明1~12のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明14]
通気性の材料から構成される他の多孔質層と、多孔層と、多孔質層とをこの順に備える、発明1~13のいずれか一項に記載の吸音材。
[発明15]
他の多孔質層が、ゴム発泡体若しくは樹脂発泡体を含む層、又は不織布層である、発明14に記載の吸音材。
[発明16]
不織布層が撥水添加剤を含む、発明15に記載の吸音材。
[発明17]
発明1~16のいずれか一項に記載の吸音材を備える、車両部材。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<吸音材の作製>
(実施例1)
ポリカップに固形分比率でショウプレン671A(昭和電工株式会社製、クロロプレンゴムラテックス)を100質量部、酸化亜鉛AZ-SW(大崎工業株式会社製、促進助剤)を7.5質量部、アデカノールUH-752(株式会社ADEKA製、増粘剤)を0.2質量部加え、マグネチックスターラーRS-1DN(アズワンアズワン製)を用いて、700rpmで15分攪拌混合した。これをスキン層用ラテックスとした。
ポリカップに固形分比率でショウプレン671Aを100質量部、酸化亜鉛AZ-SWを7.5質量部、アデカノールUH-752を0.1質量部加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで15分攪拌混合した。これを多孔質層用ラテックスとした。
ポリカップに、アンヒトール24B(花王株式会社製、ノニオン界面活性剤)を50質量部、アルスコープLS-30(東邦化学工業株式会社製、アニオン界面活性剤)を40質量部、SN-PW-43(サンノプコ株式会社製、分散剤)を10質量部、水を567質量部加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで10分攪拌混合した。これを泡安定剤とした。
ポリカップに、ヘキサフルオロけい酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、反応助剤)を100質量部、ベントナイト(ZEBIEC製、充填剤)を2質量部、10w/v水酸化カリウム溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製)を5質量部、水を145質量部加え、マグネチックスターラーを用いて、目視で粒子が見えなくなるまで攪拌混合した。これをゲル化剤とした。
ポリカップに、泡安定剤とゲル化剤を加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで10分攪拌混合した。これをスキン層用ラテックスに加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで3分攪拌混合した。これをスキン層(多孔層)形成液とした。
ポリカップに、泡安定剤とゲル化剤を加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで10分攪拌混合した。これを多孔質層用ラテックスに加え、マグネチックスターラーを用いて、700rpmで1分攪拌混合した。混合液を、さらにスウィングクックハンドミキサーMEK-66(Estale製、アタッチメント:ホイッパー、スイッチII(超高速))を用いて、回転速度強で2分攪拌し、発泡倍率が7倍となるように起泡させた。これを多孔質層形成液とした。
図7に示すように、スキン層形成液に上型を浸漬させ、上型表面にスキン層形成液を付着させた。上型として、表3及び図5(b)に示す3種類の孔(孔A~C)及びネック部が形成されるような、孔及び延在部を有するものを用いた。上型上部の孔から中空の延在部内にエアを流し、延在部先端を覆うスキン層形成液を除去した。その後、マスキングテープで上型の孔を塞いだ。
多孔質層形成液を下型へ流し込み、スキン層形成液を付着させた上型を重ねて型締めした。この状態のまま常温(25℃)で10分放置し、各液をゲル化させた。
各液のゲル化物を型から取り出し、120℃の恒温槽で4時間加熱した。加熱後のサンプルを恒温槽から取出し、水で洗浄を行った。
以上のようにして吸音材を作製した。作製した吸音材は、ゴム発泡体を含む多孔質層と、多孔質層上に設けられ、多孔質層より開気孔率の低いゴムを含む多孔層と、を備え、多孔層が、複数の孔を有する基部と、少なくとも一部の孔から多孔質層内に延在する中空状のネック部とを備えるものであった。
(実施例2)
上型として、表3及び図5(a)に示す1種類の孔(孔A)及びネック部が形成されるような、孔及び延在部を有するものを用いた。このこと以外は、実施例1と同様にして吸音材を作製した。
(実施例3)
3Dプリンタ(株式会社キーエンス製、AGILISTA)を用い、アクリル樹脂(同3Dプリンタ用アクリル樹脂AR-M2)を原料として多孔層を造形した。多孔層は、図5(a)の孔Aの位置に、表3に示す1種類のネック部を有していた。
ウレタンフォーム(イノアックコーポレーション株式会社製、カームフレックスF-2)に、造形した多孔層のネック部のサイズに対応する穴を開けた。その穴に多孔層のネック部を嵌合させて吸音材を作製した。
(比較例1)
シンサレート(3M社製、ポリプロピレン・ポリエステル混繊不織布、220g/m)を吸音材として準備した。
(比較例2)
実施例1で使用したスキン層形成液及び多孔質層形成液を用いて、多孔質層と、多孔質層上に孔を有しないスキン層を備える積層体を形成した。多孔質層の厚さ及びスキン層の厚さは、それぞれ実施例1の多孔質層の厚さ及び基部の厚さと同様とした。そして、穿孔部材を用いてスキン層側から積層体を穿孔し、多孔質層内に実施例1のネック部と同じ深さの孔を形成した。このようにして、ネック部を有しないこと以外は、実施例1の吸音材と同様の構成を有する吸音材を作製した。
<各種評価>
(多孔層及び多孔質層の開気孔率)
吸音材を10mm×10mm×10mmのサイズに切断加工し、3次元計測X線CT装置(inspeXio SMX-225CT、株式会社島津製作所製)を用いて開気孔率算出した。具体的にはX線CT装置で得られた3次元モデルから任意の3つの断面を観察し、各層の構成材料が存在しない部分を開気孔として断面の全体の面積に対する開気孔の割合を、装置付属の解析ソフト「Image-Pro Analyzer」を用いて算出した。多孔層と多孔質層の開気孔率の平均値を表1に示す。
Figure 0007351429000002
(基部厚さ、ネック部厚さ、ネック部長さ)
吸音材をネック部全体が含まれるように切断加工し、上記3次元計測X線CT装置を用いて以下のとおり多孔層の形状を計測した。結果を表2に示す。
X線CT装置で得られた3次元モデルから、基部表面から垂直であってかつ孔の中心を通るような断面を切り取る。基部と多孔質層の境界を基準として、基部に垂直な線を多孔質層側に引く。この時に前記基準からネック部端部までの最短距離をネック長さとする。またネック長さを測定した範囲におけるネック部の最小厚さをネック部厚さとする。これらの計測には、装置付属の解析ソフト「image-Pro Analyzer」を用いた。基部厚さは基部の5か所の測定値の平均を、ネック部厚さ及び長さは5つのネック部に対する測定値の平均を取った。
(多孔層の通気抵抗)
吸音材から多孔質層を除去してΦ40mmのサイズに切断加工し、通気抵抗測定装置(KES-F8、カトーテック株式会社製)を用いて以下のとおり通気抵抗を測定した。
具体的には、試料(多孔層)の孔部分に円柱状のピンを差し込んで埋め、この状態で通気抵抗測定装置にサンプルを設置して測定することで、多孔層の通気抵抗を測定した。3回の測定における通気抵抗の平均値は、8.80kPa・s/m(実施例1,2、比較例2)であった。
(多孔質層の気孔径)
吸音材を10mm×10mm×10mmのサイズに切断加工し、上記3次元計測X線CT装置を用いて以下のとおり気孔径を算出した。
具体的には、X線CT装置で得られた3次元モデルから任意の断面を観察して、連通部分を含めた気孔の断面積を測定し、その断面積に相当する円の直径を算出する。この得られた円の直径を気孔径(円相当径)とする。任意の断面5枚からそれぞれ任意の気孔10個を選び気孔径を測定し、計50個の測定値の平均値を算出する。
算出された気孔径の平均値は、475.8μm(実施例1,2、比較例2)であった。
(基部の開口率)
吸音材の基部表面の孔の面積を、孔の面積を含む基部全体の面積で除することで開口率を算出した。開口率は7.68%(実施例1、比較例2)、4.91%(実施例2,3)であった。
(吸音材の厚さ)
吸音材を10mm(縦)×10mm(横)のサイズに切断加工し、上記3次元計測X線CT装置を用いて厚さ測定した。結果を表3に示す。
(ヘルムホルツ共鳴箱構造の確認)
図6に示す計算方法に従い、吸音材のヘルムホルツ共鳴箱構造における共鳴周波数を算出した。結果を表3に示す。
(吸音率測定)
吸音材をΦ29mmのサイズに切断加工し、下記装置を用いて垂直入射吸音率を測定した。実施例1及び比較例2の吸音材は多孔層(スキン層)側から音を入射した。結果を図8に示す。
装置名:4206型インピーダンス管(ブリュエル・ケアー社)
測定方法:垂直入射吸音率(JIS A 1405-1に準拠)
測定範囲:500~6500Hz
測定サンプルサイズ:Φ29mm
1…多孔層、1a…基部、1b…ネック部、2…多孔質層、3…裏張層、4…他の多孔質層、5…被覆層、10,11,12,13…吸音材、20…上型、21…下型。

Claims (17)

  1. ゴム発泡体を含む多孔質層と、前記多孔質層上に設けられ、前記多孔質層より開気孔率の低いゴムを含む多孔層と、を備え、
    前記多孔層が、複数の孔を有し厚さが1mm以下である基部と、少なくとも一部の前記孔から多孔質層内に延在する中空状のネック部とを備え、
    前記多孔質層側を対象部材に向けて配置した時に、前記孔から入射する音に共鳴するヘルムホルツ共鳴箱構造が形成される、車両部材用吸音材。
  2. 前記多孔層の開気孔率が0~60%である、請求項1記載の吸音材。
  3. 前記基部の厚さが50μm~1mmであり、前記ネック部の厚さが50μm~5mmである、請求項1又は2に記載の吸音材。
  4. 前記多孔層の通気抵抗が1kPa・s/m以上である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  5. 前記多孔質層の開気孔率が65~99%である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  6. 前記多孔質層の気孔径が1mm以下である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  7. 前記ヘルムホルツ共鳴箱構造が、共鳴周波数の異なるヘルムホルツ共鳴箱構造を含む、請求項1又は2に記載の吸音材。
  8. 前記ヘルムホルツ共鳴箱構造が、2000Hz未満の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造、及び2000Hz以上の共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴箱構造を含む、請求項7記載の吸音材。
  9. 前記ネック部の長さが、前記多孔質層の厚さの5~80%である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  10. 前記基部の開口率が1~20%である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  11. 厚さが30mm以下である、請求項1又は2に記載の吸音材。
  12. 前記多孔質層の側面及び底面の少なくともいずれかが、前記ゴム発泡体を構成するゴムを含みかつ前記多孔質層より開気孔率の低い被覆層で被覆されている、請求項1又は2に記載の吸音材。
  13. 前記多孔層と、前記多孔質層と、通気性又は非通気性の材料から構成される裏張層とをこの順に備える、請求項1又は2記載の吸音材。
  14. 通気性の材料から構成される他の多孔質層と、前記多孔層と、前記多孔質層とをこの順に備える、請求項1又は2に記載の吸音材。
  15. 前記他の多孔質層が、ゴム発泡体若しくは樹脂発泡体を含む層、又は不織布層である、請求項14に記載の吸音材。
  16. 前記不織布層が撥水添加剤を含む、請求項15に記載の吸音材。
  17. 請求項1又は2に記載の吸音材を備える、車両部材。
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