JP2012102145A - マトリクスを含まない骨形成デバイス、移植片、およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】哺乳動物において、空隙を限定する欠損を充填するのに十分な骨形成を誘導するための方法が本明細書中で提供され、ここで骨形成タンパク質は、単独で提供されるか、または限定された表面を有さない、生体適合性の軟式非晶質キャリア中に分散される。方法およびデバイスは、危険な大きさの欠損を充填するため、ならびに危険でない大きさの欠損における骨形成の速度を加速し、そしてその質を増強するための、注射用処方物を提供する。
【選択図】なし
Description
本願は、先願である1997年2月7日に出願されたU.S.S.N.60/037,327(代理人整理番号第CRP−111PR号)、および1997年5月29日に出願されたU.S.S.N.60/047,909(代理人整理番号第CRP−147PR号)に基づいている。これらの両方の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
本明細書中に開示される本発明は、骨形成タンパク質を用いて骨欠損を修復するための材料および方法に関する。
前駆細胞の、機能的な骨、軟骨、腱および/または靭帯組織への増殖および分化をそれ自体で誘導し得る、真の軟骨形成組織モルフォゲンとして作用する能力がある、あるクラスのタンパク質が現在同定されている。これらのタンパク質は、本明細書中で「骨形成タンパク質」または「形態形成タンパク質」または「モルフォゲン」と呼ばれ、異所性の軟骨内性骨形態形成を誘導するそれらの能力により最初に同定された、骨形態形成タンパク質(BMP)ファミリーのメンバーを含む。骨形成タンパク質は、一般的に、増殖因子のTGF−βスーパーファミリーのサブグループとして当該分野で分類される(非特許文献1)。タンパク質のモルフォゲンファミリーのメンバーは、哺乳動物骨形成タンパク質−1(OP−1、BMP−7およびDrosophilaホモログ60Aとしても知られる)、骨形成タンパク質−2(OP−2、BMP−8としても知られる)、骨形成タンパク質−3(OP−3)、BMP−2(BMP−2AまたはCBMP−2A、およびDrosophilaホモログDPPとしても知られる)、BMP−3、BMP−4(BMP−2BまたはCBMP−2Bとしても知られる)、BMP−5、BMP−6、ならびにそのマウスホモログVgr−1、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、GDF3(Vgr2としても知られる)、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、GDF12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、GDF−5(CDMP−1またはMP52としても知られる)、GDF−6(CDMP−2としても知られる)、GDF−7(CDMP−3としても知られる)、XenopusホモログVglおよびNODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、ならびにNEURALを含む。このファミリーのメンバーは、共通の構造特色を共有し、二量体化する能力がある成熟ポリペプチド鎖を生じるための前駆体「プロ形態」からのプロセシングを含み、そして約97〜106アミノ酸のカルボキシ末端活性ドメインを含む、分泌ポリペプチド鎖をコードする。全てのメンバーは、このドメインにおけるシステインの保存パターンを共有し、そしてこれらのタンパク質の活性形態は、単一のファミリーメンバーのジスルフィド結合ホモ二量体、または2つの異なるメンバーのヘテロ二量体のいずれかであり得る(例えば、非特許文献2;非特許文献3を参照のこと)。特許文献1;特許文献2、非特許文献4、非特許文献5)、(非特許文献6、および特許文献3);(非特許文献7);(非特許文献8)もまた参照のこと。これらの開示は、これらの骨形成タンパク質の、アミノ酸およびDNA配列ならびに化学的および物理的特徴を記載する。非特許文献9);BMP9(特許文献4、1993年1月7日に公開);DPP(非特許文献10);およびVg−1(非特許文献11)もまた参照のこと。
本発明は、骨形成または骨形態形成タンパク質(例えば、OP−1)が、単独で、または適切なキャリアと混合され、そして従来のマトリクス材料と混合されない場合に、臨界サイズの分節性骨欠損を修復するのに十分な軟骨内性骨形成を誘導し得るという発見に基づく。従って、この発見は、これがマトリクス材料の排除を可能にするので、骨欠損を修復するための従来の材料および方法に関連した上記の問題を克服する。さらに、現存する整形外科的および再構成的実施を考慮して、この発見は予期されず、そして骨修復/形成プロセスの当該分野の現在の理解に矛盾する。
(項目1)哺乳動物において、空隙を限定する欠損位置を充填するのに十分な骨形成を誘導するための方法であって、該方法が、限定された表面を有さない生体適合性の軟式非晶質キャリア中に分散された骨形成タンパク質を含む骨形成デバイスを、該位置に提供する工程を包含する、方法。
(項目2)前記欠損位置に提供される前記デバイスの容量が前記空隙を充填するのに不十分である、請求項1に記載の方法。
(項目3)前記デバイスが足場構造を欠く、請求項1に記載の方法。
(項目4)前記欠損位置が、内因性修復が不可能な容量を限定する、請求項1に記載の方法。
(項目5)前記骨形成が軟骨内性骨形成である、請求項1に記載の方法。
(項目6)前記骨形成が膜内骨形成である、請求項1に記載の方法。
(項目7)前記キャリアがゲルを含む、請求項1に記載の方法。
(項目8)前記キャリアが水溶液を含む、請求項1に記載の方法。
(項目9)前記キャリアが、アルキルセルロース;プルロニック;ゼラチン;ポリエチレングリコール(PEG);デキストリン;および植物油からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(項目10)前記キャリアが、カルボキシメチルセルロース;マンニトール;PEG3350;プルロニックF127;およびゴマ油からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(項目11)前記骨形成タンパク質が、OP1;OP2;OP3;BMP2;BMP3;BMP4;BMP5;BMP6;BMP9;BMP−10;BMP−11、BMP−12、BMP−15、BMP−3b、DPP;Vg1;Vgr;60Aタンパク質;GDF−1;GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11;およびそれらのアミノ酸配列改変体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(項目12)前記骨形成タンパク質が、OP1;OP2、BMP2;BMP4;BMP5;BMP6;およびそれらのアミノ酸配列改変体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(項目13)前記の骨形成タンパク質がモルフォゲンであり、該モルフォゲンが、ヒトOP−1の、保存された7つのシステインドメインを含む、C末端102〜106アミノ酸内で少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
(項目14)前記骨形成タンパク質がOP1である、請求項1に記載の方法。
(項目15)前記骨形成タンパク質が、生理食塩水に可溶化された成熟OP−1である、請求項1に記載の方法。
(項目16)空隙を限定する欠損位置を充填するのに十分な骨形成を誘導するためのデバイスであって、該デバイスが、限定された表面を有さない生体適合性の軟式非晶質キャリア中に分散された骨形成タンパク質を含む、デバイス。
(項目17)前記キャリアがゲルを含む、請求項16に記載のデバイス。
(項目18)前記キャリアが水溶液を含む、請求項16に記載のデバイス。
(項目19)前記のキャリアが、アルキルセルロース;プルロニック;ゼラチン;ポリエチレングリコール(PEG);デキストリン;および植物油からなる群より選択される、請求項16に記載のデバイス。
(項目20)前記キャリアが、カルボキシメチルセルロース;マンニトール;PEG3350;プルロニックF127;およびゴマ油からなる群より選択される、請求項16に記載のデバイス。
(項目21)前記骨形成タンパク質が、OP1;OP2;OP3;BMP2;BMP3;BMP4;BMP5;BMP6;BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−15、BMP−3b、BMP9;DPP;Vg1;Vgr;60Aタンパク質;GDF−1;GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11;およびそれらのアミノ酸配列改変体からなる群より選択される、請求項16に記載のデバイス。
(項目22)前記骨形成タンパク質が、OP1;OP2、BMP2;BMP4;BMP5;BMP6;およびそれらのアミノ酸配列改変体からなる群より選択される、請求項16に記載のデバイス。
(項目23)前記の骨形成タンパク質がモルフォゲンであり、該モルフォゲンが、ヒトOP−1の、保存された7つのシステインドメインを含む、C末端102〜106アミノ酸内で少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のデバイス。
(項目24)前記骨形成タンパク質がOP1である、請求項16に記載のデバイス。
(項目25)前記骨形成タンパク質が、生理食塩水に可溶化された成熟OP−1である、請求項16に記載のデバイス。
(項目26)哺乳動物において、空隙を限定する欠損位置を充填するのに十分な骨形成を誘導するための方法であって、該方法が、キャリアまたは足場構造を含まない実質的に純粋な骨形成タンパク質を該位置に提供する工程を包含する、方法。
(項目27)哺乳動物における骨形成欠損位置での仮骨形成の量または質を増強するための方法であって、該方法が、請求項16に記載のデバイスを投与する工程を包含する、方法。
(項目28)前記の骨形成タンパク質がモルフォゲンであり、該モルフォゲンが、ヒトOP−1の、保存された7つのシステインドメインを含む、C末端102〜106アミノ酸内で少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。(項目29)前記骨形成タンパク質がOP1である、請求項27に記載の方法。
(項目30)前記骨形成タンパク質が、OPX(配列番号3);一般配列6(配列番号4);一般配列7(配列番号5);一般配列8(配列番号6);または一般配列9(配列番号7)により定義されるアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
(項目31)骨形成を促進する方法であって、該方法が、請求項16に記載のデバイスを欠損位置に提供する工程を包含する、方法。
(項目32)内因性マトリクス形成を誘導する方法であって、該方法が、請求項16に記載のデバイスを欠損位置に提供する工程を包含する、方法。
(項目33)骨欠損、軟骨欠損、または骨軟骨欠損を修復する方法であって、該方法が、マトリクスを含まない骨形成デバイスを欠損に投与する工程を包含し、ここで損傷後に該デバイスを投与する工程が遅延させられる、方法。
(項目34)前記投与する工程が、損傷後少なくとも6時間遅延させられる、請求項33に記載の方法。
(項目35)軟骨欠損を修復するためのマトリクスを含まないデバイスであって、該デバイスが骨形成タンパク質およびグリコサミノグリカンキャリアを含む、デバイス。
(項目36)前記キャリアがヒアルロン酸である、請求項35に記載のデバイス。
(項目37)軟骨欠損を修復する方法であって、該方法が、請求項35に記載のデバイスを軟骨欠損に投与する工程を包含する、方法。
請求された本発明の主題をより明確におよび簡潔に説明するために、以下の定義は、以下の書かれた説明および添付の請求の範囲において使用される特定の用語の意味についての指針を提供することが意図される。
A.骨形態形成タンパク質の生化学的、構造的、機能的特性
骨形成タンパク質または骨形態形成タンパク質であると本明細書中で同定および/または認識した天然に生じるタンパク質は、TGF−βスーパーファミリーまたはスーパー遺伝子ファミリーとして知られる配列関連タンパク質の緩い進化的グループ分け内の、別個のサブグループを形成する。天然に生じる骨モルフォゲンは、C末端領域(ドメイン)において実質的なアミノ酸配列相同性を共有する。代表的に、上述の天然に生じる骨形成タンパク質は、N末端シグナルペプチド配列(代表的に、約30残基未満)、続いて成熟C末端ドメインを生じるために切断される「プロ」ドメインを有する前駆体として翻訳される。シグナルペプチドは、Von Heijne(1986)Nucleic Acids Research 14:4683−4691の方法を用いて所定の配列において予測され得る切断部位で、翻訳の際に迅速に切断される。プロドメインは、代表的に、完全にプロセシングされた成熟C末端ドメインより約3倍大きい。本明細書中で、モルフォゲンの「プロ」形態は、フォールディングされたポリペプチド対(各々が、モルフォゲンポリペプチドのプロドメインおよび成熟ドメインを含む)を含むモルフォゲンをいう。代表的に、モルフォゲンのプロ形態は、生理学的条件下で成熟形態より可溶性である。プロ形態は、培養された哺乳動物細胞から分泌される主な形態であるらしい。
Cys Xaa Xaa Xaa Xaa
1 5
従って、残基7から始まる一般配列8における各「Xaa」は、一般配列7について記載された各残基数が一般配列8において5だけ移されるという特徴を有する、一般配列7について定義された明記されたアミノ酸である。従って、一般配列7における「残基2のXaa=(TyrまたはLys)」とは、一般配列8における残基7のXaaをいう。一般配列8において、残基2のXaa=(Lys、Arg、Ala、またはGln);残基3のXaa=(Lys、Arg、またはMet);残基4のXaa=(His、Arg、またはGln);および残基5のXaa=(Glu、Ser、His、Gly、Arg、Pro、Thr、またはTyr)である。
凍結乾燥タンパク質
OP−1は、標準的な凍結乾燥プロトコルを用いて、5%マンニトール、ラクトース、グリシン、または他の添加剤または膨張(bulking)剤を含む20mM酢酸緩衝液(pH4.5)から凍結乾燥され得る。この様式において再構成されるOP−1は、4℃または30℃で貯蔵され、少なくとも6ヶ月の間、生物学的に活性であることが観察された。
既に説明されたように、本明細書中で使用する「キャリア」は、本発明のデバイス、移植片、および方法を用いた使用に適した、限定された表面を有さない、生体適合性の、堅くない、不定形の材料を意味する。適切なキャリアは、非粒状および非多孔性である(すなわち、孔がない)。本発明における使用に適したキャリアは足場構造を欠き、そして実質的にマトリクスを含まない。従って、「実質的にマトリクスを含まない」はまた、キャリア含有デバイスが欠損位置に提供される場合、それ自体が足場として作用する能力を有する基質が、外来性供給源(キャリアを含む)から導入されないことを意味することが理解される。レシピエントへの送達およびレシピエントへの移植の前に、キャリアは、その化学的性質により、3次元的足場構造をデバイスに実質的に与え得ないことが認識される。好ましいキャリアは、少なくとも一過的に、組織(例えば、骨、軟骨、および/または筋肉)に接着する。特定の好ましいキャリアは、水溶性であり、粘性であり、および/または不活性である。さらに、好ましいキャリアは、有意な容量をデバイスに与えない。一般的に好ましいキャリアは、アルキルセルロース、プルロニック(Pluronic)、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストリン、植物油、および糖類からなる群より選択される。特に好ましいキャリアは、一般的に、プルロニックF127、カルボキシメチルセルロース(CMC)(例えば、Aqualonからの低粘度CMC)、ラクトース、PEG、マンニトール、ゴマ油、およびヘタスターチ(hetastarch)(Hespan,Dupont)、ならびにその組み合わせを含むが、それらに制限されない。他の好ましいキャリアは、制限なく、酢酸緩衝液(20mM、pH4.5)、生理学的食塩水、およびクエン酸緩衝液を含む。キャリア(例えば、酢酸、プルロニック、およびPBS)を含むデバイスの場合、注射による投与は、投与部位での特定の骨形成タンパク質の沈殿をもたらし得る。
本発明のデバイスは、日常的な方法を用いて処方され得る。必要なことは、キャリアの単位容量あたりの骨形成タンパク質の所望の最終濃度を決定すること、および送達されるデバイス容量が欠損位置の空隙容量より少ないことを留意することである。タンパク質の所望の最終濃度は、タンパク質の比活性、ならびに欠損の型、容量、および/または解剖学的位置に依存する。さらに、所望のタンパク質最終濃度は、レシピエントの年齢、性別、および/または全般的な健康状態に依存し得る。代表的には、長さが少なくとも約2.5cmの危険な大きさの分節性欠損について、0.5〜1.5mgの骨形成タンパク質を含む0.05ml(またはmg)のデバイスは、間隙を修復するのに十分な骨形成を誘導することが観察された。危険でない大きさの欠損である新たな骨折の場合、約0.1〜0.5mgのタンパク質が、間隙または欠損を修復することが観察された。投薬量の最適化は日常的な実験以外を必要とせず、そして当業者の技術レベル内である。
A.骨形成活性の生物学的試験:軟骨内性骨形成および関連特性
以下は、出願人の発明の範囲内で、真正の骨形成タンパク質または骨形態形成タンパク質、ならびに骨形成デバイスを同定および特徴付けるためのプロトコルを示す。
dissection)により調製する。特定の状況において、約25mgの試験サンプルをポケット中深部に移植し、そして切開を、金属の皮膚クリップを用いてふさぐ。異所性(heterotropic)部位は、正常位部位の使用から生じる可能性のある不明瞭さを伴わずに、骨誘導の研究を可能にする。
骨形成デバイスを、25mgのコラーゲンマトリクスを伴って、または伴わないかのいずれかで、62.5μgの凍結乾燥OP−1を用いて作製した。これらのデバイスを、筋肉内部位および皮下部位の両方において、上記のラット異所性骨形成アッセイを用いて、骨形成を支持するそれらの能力について評価した。さらに、形成された骨の塊を、カルシウム含有量および取り出されるデバイスの重さを測定することにより評価した。作製されたデータを、以下の表1および2に要約する。
筋肉内部位
水溶性キャリアと混合されたOP−1もまた、骨形成を支持する。この研究において、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、PEG3350、プルロニックゲル、およびコラーゲンの各々を、0.9%滅菌生理食塩水の添加によりペーストに処方した。水に溶解された10μgのOP−1をペーストに添加して、マトリクスを含まないデバイスを作製し、そしてデバイスを、直ちにラットの筋肉内に移植した。12日後、移植されたデバイスを取り出し、そしてカルシウム含有量および組織学の両方により骨形成について評価した。これらのデータは、コラーゲンマトリクスが容量充填骨形成を誘導することに必須ではないという上記の観察を確証する。評価された水溶性キャリアのうち、マンニトールは全体的に最も良い結果を証明し、他のものは比較的、匹敵すると思われた。
溶液中のマトリクスを含まない骨形成デバイスもまた、筋肉内(IM)または皮内(ID)のいずれかで投与された場合、骨形成を誘導することが証明された。例示的な実験において、マトリクスを含まないOP−1デバイスを、20mM酢酸緩衝液(pH4.5)中で調製した。デバイスを、所望の用量の(5〜50mg)OP−1が100μL注射容量中で送達されるように調製した。投与の両方の形態は、カルシウム含有量、組織学、および移植片の重さにより測定されたように骨形成を誘導した。
一般的に好ましい実験を、マトリクスを含まないOP−1デバイスのプルロニック処方物を用いて開始した。1つの実施態様において、このデバイスは、冷蔵温度で液体であるが、室温まで暖められるとゲル状であるという独特の特性を有する。これは、デバイスを冷却した場合、注射器に引き上げることを可能にし、室温で数分後に容易な注射を可能にする。これは、ゲルが損傷部位でのOP−1含有を可能にするので、このようなOP−1デバイスを骨折部位に注射するために有用である。
A.マトリクスを含まない骨形成デバイスを用いた、イヌにおける危険な大きさの分節性欠損の治癒
実験1
以下の実験は、確立されたイヌ尺骨欠損モデルにおける、危険なおよび危険でない両方の大きさの分節性欠損を治癒するための、rhOP−1の注射用およびフリーズドライされた(freeze−dried)処方物の効力を証明する。マトリクスを含まない骨形成デバイスの3つの処方物(各々がOP−1を含む)を、危険な大きさの欠損(2.5cm)および/または危険でない大きさの欠損(5mm、3mm、1.5mm)において評価した。上記のように、危険な大きさの欠損は、自発的に治癒しない欠損である。評価される3つの処方物は、(1)20mM酢酸緩衝化溶液(pH4.5)、(2)リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、約pH7.5);および(3)凍結乾燥(フリーズドライ)タンパク質単独であった。危険な大きさの欠損に提供されたOP−1量は1.75mgであり;0.35mgのタンパク質は、危険でない大きさの欠損に提供された。創傷閉鎖の直前に、OP−1を酢酸またはPBSと混合し、次いで、計1ml中で欠損部位に注射した。凍結乾燥サンプルを、5つの別々のアリコート中で、欠損の長さに沿った別個の非連続位置で、欠損の長さに沿って置いた。
前肢のX線写真を手術後8週まで隔週で得、次いで手術後12週の屠殺時に再び得た。標準化された暴露時間および明暗度を使用し、そして砂袋を使用して、一致した様式で四肢を配置した。X線写真を評価し、そして欠損治癒の質および速さを認識するためにより初期のX線写真と比較した。
切片化の直後に、治癒が触診により十分であると考えられた場合、標本を、シリンダーアルミニウムスリーブで50mm/分の一定変位速度の前後往復運動制御において操作され、そして製造者のプロトコルを用いてメチルメタクリレートで接着された、MTS閉ループ液圧試験機械(Minneapolis,MIN)において、ねじれにおいて破損するまで試験した。一方の端を厳密に固定し、そして他方を左回りに回転させた。イヌ尺骨はわずかな湾曲を有するので、標本回転を試験デバイスの回転と同軸にしておくために、標本を偏心的に取り付けた。ねじれ力を、自動制御液圧材料試験システムにより6cmのレバーアームを用いて適用した。同時記録を、機械前後往復運動コントローラーにより測定されるように移植片変位とみなし、そして荷重を荷重セル(cell)から記録した。データを、アナログからデジタルへの変換基板、およびパーソナルコンピューター、およびオンラインコンピューター獲得ソフトウェアを介して記録した。力−角変位曲線を作製し、これから破損までのトルクおよび角変形を得、そして破損までのエネルギー吸収を、荷重−変位曲線下の面積としてコンピューターで計算した。
キャリア材料を用いずにrhOP−1を用いて処置された危険な大きさの尺骨欠損の骨治癒特徴、力学的強度、および組織学は、標準的なOP−1デバイスを用いて処置された欠損のものと類似した。簡単には、実験観察は以下の通りであった:マトリクスを伴わずにrhOP−1を用いて処置された欠損においてX線撮影により観察された新骨形成および治癒パターンは、従来のコラーゲン含有OP−1デバイスを用いて以前に観察された治癒パターンと類似した。一般的に、新骨形成は、手術後2週間と同じくらい初期にはっきりわかった。新骨は、手術後12週で屠殺するまで、緻密化し、強化し、そして再造形し続けた。この研究は、機能的な骨癒合が、マトリクスを含まないヒトOP−1デバイスを用いて可能であることを証明した。さらに、おおまかな外観および12週の組織学的特徴は、従来のコラーゲン含有OP−1デバイスを用いて観察されたものに類似した。マトリクスを含まないOP−1デバイスを用いて処置された6つの欠損のうち、4つは、手術後12週で充実した骨癒合を有した。同じ動物における残りの2つの欠損は、X線撮影ではいくらか初期の骨形成を示したが、屠殺時には、新骨で完全に埋められていなかったか、または充填されていなかった。治癒された欠損の破損までの平均ねじれ荷重は、40.05Nであった(これは、以前に試験された、伝統的なコラーゲン含有OP−1デバイスを用いて処置された分節性欠損の約79%、および以前に試験されたインタクトなコントロール尺骨の61%に相当することを示す)。
ウサギ骨折研究
ウサギ骨折修復モデル研究(尺骨中骨幹(midshaft)骨折)はまた、本発明の方法およびデバイスの効力を証明する。この研究は、3つの外形:1)酢酸緩衝液(pH4.5)(可溶性OP−1)、2)PBS(懸濁物OP−1)、および3)プルロニック(pluronic)ゲル中の、マトリクスを含まないOP−1デバイスの投与の効果を比較した。4匹のウサギを、骨折作出の直後に各群において処置し;反対側のコントロールは、欠損のない腕であった。動物を、処置後3週間で屠殺した。要約すると、酢酸またはプルロニックを含むOP−1デバイスを注射された動物は、X線写真試験、全体的な試験、および組織学的試験により、有意により大きな骨折仮骨を示した。OP−1を用いて処置された全ての尺骨についての破損までの平均ねじれ荷重は、8.89±2.99N(平均±標準偏差)(8サンプル)であった。一方、非処置コントロール尺骨についての破損までの平均荷重は、7.9±2.92N(9サンプル)であった。
溶液中のマトリクスを含まないOP−1デバイスを利用した。評価された3つの溶液外形は以下の通りであった:(1)リン酸緩衝化生理食塩水と混合したrhOP−1(8.71mg OP−1/ml)。デバイスを、個々のバイアルにパッケージした。送達されるデバイス容量の概算範囲は、部位あたり30μl〜110μlであった;(2)20mM酢酸緩衝液(pH4.5)と混合したrhOP−1(0.99mg OP−1/ml)。デバイスを、130μを含む個々のバイアルにパッケージした。デバイスを注射器に引き上げた。全ての場合において、100μl未満を各部位に送達した。送達される移植片容量の概算範囲は、部位あたり60μ〜90μlである;および(3)プルロニックゲル中のrhOP−1(0.87mg OP−1/ml)。このデバイスを、注射器にパッケージした。デバイスを、欠損部位への投与まで冷凍保存した(1分未満の時間経過)。全てのThickゲルを、全ての場合において、大きなゲージ(18)の針を用いて送達した。
マトリクスを含まないOP−1デバイスを用いた増強した骨折修復を評価するためのさらに別の動物モデルは、ヤギモデル(脛骨中骨幹急性骨折)である。この研究は、標準的な外科技術を用いた骨折作出直後に注射された、酢酸緩衝液中の0.5mg OP−1、酢酸緩衝液中の1mg OP−1、およびPBSに沈殿された1mg OP−1を比較する。上記のイヌおよびウサギ研究と同様に、動物を観察し、そして動物の世話をし、そして代表的に、処置後2、4、および6週で屠殺する。
ウサギにおける骨軟骨欠損
以下の研究は、マトリクスを含まない骨形成デバイスが、骨の上に重なる関節軟骨の修復を増強し得ること、ならびに下にある骨の修復を増強し得ることの両方を証明する。この研究において、標準的なウサギ骨軟骨欠損モデルを使用して、この種類の欠損を治癒するためのOP−1の種々の注射用形態を評価した。
ヒツジモデル
骨軟骨および軟骨の欠損修復はまた、標準的なヤギまたはヒツジモデルにおいて評価され得る。例えば、標準的な外科技術を用いて、研究における各ヒツジを両方の前膝関節において手術し、そして関節あたり2つの欠損を作出する(外側顆および内側顆上の各々の欠損)。一方の関節は、各顆において2つの標準化された部分的な厚さの軟骨欠損(直径が5mm)を有するが、一方、他方の関節は、2つの類似するが、より深い完全な厚さの骨軟骨欠損(軟骨下骨において約1〜2mm)を有する。一方の関節で動物を、マトリクスを含まない骨形成デバイス処方物を用いて処置し、そして他方の関節を非処置コントロールとした。各群は、8週で初期に屠殺されたサブグループ、および6〜7ヶ月間の長期評価のために保持された別のサブグループを有する。本明細書中に記載される処方物のいずれかを用いるマトリクスを含まないデバイスは、本明細書中上記の結果と一致して、関節軟骨および下にある骨の両方の修復の速さおよび質を実質的に増強することが予測される。
実験2
上記の実験1(節V.A.1を参照のこと)において既に例示されるように、rhOP−1の注射用処方物を使用して、危険でない大きさの(例えば、5mm、3mm、1.5mm)欠損を治癒し得る。後に続く実験は実験1の拡大であり、そして3mm欠損モデルに焦点を合わせる。より詳細に以下に例示されるように、rhOP−1を用いて処置された危険でない大きさの(3mm)欠損は、進んだ治癒およびより広範囲な新骨形成を証明した。以下に証明されるように、3mm欠損は、骨折修復プロセスの促進を評価するための、一致したおよび再現可能なモデルを提供した。
試験サンプルは、注射用送達マトリクス系中の組換えヒト骨形成タンパク質−1(rhOP−1)からなった。2つのrhOP−1処方物および2つのビヒクルのみのコントロールを評価し、そして以前に試験および報告された非処置コントロール欠損と比較した。これらの3つの処方物のうち2つのみをここで報告する。1つの処方物(OP/CMC)は、3つの滅菌注射器において供給される、100μlカルボキシメチルセルロース(CMC)ゲル中の0.35mg rhOP−1からなった。第2の処方物(OP/緩衝液)は、OP−1溶液として供給される、100μl酢酸緩衝液中の0.35mg rhOP−1からなった。ビヒクルのみのコントロールは、3つの滅菌注射器において供給される100μl CMCゲル(CMCコントロール)、およびコントロール溶液として供給される100μl酢酸緩衝液(緩衝液コントロール)からなった。既知の量および含有量のサンプルを、Creative BioMolecules,Inc.(Hopkinton,MA)により滅菌して製作および供給された。
5.0mg/ポンド体重の投薬量でペントタール(pentothal)ナトリウムの静脈内注射により麻酔を投与した。誘導後、気管内管を入れ、そして麻酔をイソフルオラン吸入により維持した。両方の前肢を、滅菌様式で準備し、そしてだらりと伸ばした(draped)。長さが約2センチメートルの横切開を作り、そして尺骨曝露を、鈍いおよび鋭い切開を用いて得た。3.0mmの大きさの欠損を、振動のこぎりを用いて尺骨中央において作出した。橈骨を力学的研究のために維持し、そして内部または外部固定を使用しなかった。骨破片および流出した骨髄細胞を除去するために、この部位を生理食塩水を用いて洗浄した。軟組織を、欠損周囲の層において細部まで正確に閉じた。次いで、適切なサンプル処方物を、処置スケジュールどおりに欠損部位に注射した。次いで、この手順を、適切なサンプルを用いて反対側において繰り返した。
前肢のX線写真を、手術後4週まで毎週得た。標準化された曝露時間および明暗度を使用した。X線写真結果を定量するために、各X線写真に、表5に記載される等級付け尺度に基づいて数値得点を割り当てた。
動物を、静脈内バルビツール酸(barbituate)過量を用いて屠殺した。尺骨および橈骨をすぐにひとまとめにして採集し、そして生理食塩水につかったダイアパー(diaper)に入れた。両方の尺骨の拡大写真を撮り、そして接触X線写真を撮った。軟組織を、欠損部位から注意深く解剖して離した。水冷式のこぎりを使用して、尺骨を9cmの均一な長さに切り、欠損部位を試験標本の中央に集中させた。
切片化の直後に、治癒が手を使った操作により十分であると考えられた場合、標本を、50mm/分の一定変位速度のストローク(stroke)制御において操作されたMTS閉ループ液圧試験機械(Minneapolis,MN)において、ねじれの破損まで試験した。骨セグメントの各末端を、シリンダーアルミニウムスリーブに取り付け、そしてメチルメタクリレートで接着した。一方の端を厳密に固定し、そして他方を左回りに回転させた。イヌ尺骨はわずかな湾曲を有するので、標本回転を試験デバイスの回転と同軸にしておくために、標本を偏心的に取り付けた。ねじれ力を、自動制御液圧物質試験システムにより6cmのレバーアームを用いて適用した。同時記録を、機械ストロークコントローラーにより測定されるように移植片変位から作成し、一方、荷重を荷重セルから記録した。データを、アナログからデジタルへの変換ボアーク(voarch)、パーソナルコンピューター、およびオンラインコンピューター獲得ソフトウェアを介して記録した。力−角変位曲線を作製し、これから破損までのトルクおよび角変形を得、そして破損までのエネルギー吸収を、荷重−変位曲線下の面積としてコンピューターで計算した。
試験標本および非試験標本の両方を、組織学的評価のために調製した。個々の標本を、力学的試験の直後または非試験標本の切片化の後に、10%緩衝化ホルマリン溶液中の浸漬により固定した。水冷式ダイアモンドのこぎりの上で、標本をその長軸下で2等分することにより、標本を分割した。この手順により、異なる組織学的調製物(脱石灰化されていない研削した切片および脱石灰化されていないミクロトーム切片を含む)のための各標本の2つの部分を得た。
X線写真評価
各部位についてのX線写真等級の要約を表7に提供する。手術後4週間で、OP/CMCで処置された欠損は、可能な6点の中から3.0の平均X線写真等級を有した。OP/緩衝液で処置された欠損は、4.0の平均X線写真等級を有した。CMCビヒクルコントロールおよび緩衝液のみのコントロールで処置された欠損では、それぞれの最終的なX線写真等級は平均1.33および1.0であった。両方のOP−1処置群(OP/CMCおよびOP/緩衝液)において、手術後3週間という初期に、欠損においておよび外側欠損縁に沿って形成する放射線不透過性の新骨の徴候があった。4週目で、有意な量の新骨が、欠損内におよび周囲の皮下組織において形成した。OP/CMC欠損は、ほとんど完全に充填され、そして外側尺骨縁に沿って不均一な濃度の骨でつなげられた。新骨は、欠損皮質と有意に統合した。3つのOP/緩衝液処置欠損のうち2つにおいて、宿主皮質は相変わらず目に見えたが、増殖性の新骨が存在した。対照的に、OP/CMCまたはOP/緩衝液欠損のいずれもが、手術後4週間までに完全に架橋または充填されなかった。CMCコントロール群において、初期の新骨は、3週目で宿主骨皮質を不明瞭にし、そして放射線濃度が増大し続けた。重ねて、対照的に、緩衝液コントロール欠損は、4週目で、欠損皮質での放射線濃度のわずかな増加のみを示した。各群のコントロール欠損のいずれもが、骨欠損治癒の証拠を示さなかった。
CMCコントロール=100μl CMCビヒクルのみのゲル
OP/緩衝液=100μl酢酸緩衝液溶液中に0.35mg rhOP−1
緩衝液コントロール=100μl酢酸緩衝液ビヒクルのみの溶液。
手術後1週間では、いずれのOP/CMC欠損のX線写真外観にも変化はなかった。2週間で、放射線不透過性領域の痕跡が、切断骨末端に存在していた。3週間で、欠損内でおよび外側欠損縁に沿って形成する新骨の放射性濃度が増大した。1つの欠損は、初期骨架橋の徴候を示した。4週間で、OP/CMC欠損は、両方の欠損内に有意な量の放射性不透過性の新骨を有した。欠損は、ほとんど完全に充填され、そして外側尺骨縁に沿って不均一な濃度の骨でつなげられた。新骨は、欠損皮質と有意に統合した。OP/CMC処置欠損はいずれも、手術後4週で完全に充填されず、新骨と固く架橋されもしなかった。各欠損についての最終的なX線写真等級は、可能な6点の中から3であった(平均3.0±0.0、n=3)。
手術後2週間で、いずれのCMCコントロール欠損のX線写真外観にも有意な変化はなかった。3週間で、宿主皮質は、3つの欠損のうち2つにおいて新骨により不明瞭になり始めた。4週間で、CMC欠損は、欠損皮質で新骨活性のいくつかの証拠を示したが、骨欠損治癒の証拠を示さなかった。最終的なX線写真等級は、可能な6点の中から1、2、および1であった(平均1.33±0.58、n=3)。
手術後1週間で、いずれのOP/緩衝液処置欠損のX線写真外観にも変化はなかった。手術後2週間で、放射線不透過性領域の痕跡が、OP/緩衝液処置欠損内でおよび欠損縁に沿って存在した。有意な新骨形成もまた、欠損周囲の皮下組織において見られた。3週間で、新骨の斑点が、欠損において、および上に重なる軟組織において形成された新骨において現れた。4週間で、OP−1処置欠損を充填および架橋する放射線不透過性の新骨形成が有意に増加した。3つの欠損のうち2つにおいて、皮質は相変わらず目に見えるが、増殖性の新骨は欠損を充填し、そして埋めた。OP/緩衝液処置欠損のいずれもが、4週間での屠殺時期で新骨で完全に充填されないか、または固く架橋されなかった。最終的なX線写真等級は、それぞれ、可能な6点の中から3、4、および5であった(平均4.0±1.0、n=3)。
手術後3週間で、緩衝液のみのコントロールを用いて処置されたいずれの欠損のX線写真外観にも有意な変化はなかった。4週間で、皮質での放射線濃度の増加が観察されたが、欠損治癒の徴候ははっきりとわからなかった。各部位についての最終的なX線写真等級は、それぞれ、可能な6点の中から1であった(平均1.0±0.0、n=3)。
OP−1欠損:全てのOP/CMCおよびOP/緩衝液処置欠損は、手では安定であり、そして肉眼で、欠損部位での多量の新骨形成を示した。
ビヒクルコントロール欠損:CMCおよび緩衝液のみのコントロール欠損のいずれもが、4週間で手では安定でなかったが、全てを力学的に試験した。
力学的試験結果の要約は表8に示す。
手術後4週間で、OP/CMCを用いて処置された3mm欠損の破損までの平均荷重は、33.08±16.41N(n=3)であった。これは、予め試験したインタクトなコントロールの強さの14%を示す。平均角変形は、33.13±15.32度であった。破損までに吸収された平均エネルギーは、41.64±30.52Nm度であった。
手術後4週間で、CMCコントロールを用いて処置された3mm欠損の破損までの平均荷重は、9.32±16.41N(n=3)であった。これは、予め試験したインタクトなコントロールの強さの14%を示す。平均角変形は、33.36±25.95度であった。破損までに吸収された平均エネルギーは、10.53±8.62Nm度であった。
手術後4週間で、OP/緩衝液を用いて処置された3mm欠損の破損までの平均荷重は、29.03±16.79N(n=3)であった。これは、予め試験したインタクトなコントロールの強さの44%を示す。平均角変形は、36.14±14.71度であった。破損までに吸収された平均エネルギーは、37.87±27.73Nm度であった。
手術後4週間で、緩衝液コントロールを用いて処置された3mm欠損の破損までの平均荷重は、5.62±1.65N(n=3)であった。これは、予め試験したインタクトなコントロールの強さの9%を示す。平均角変形は、24.91±12.03度であった。破損までに吸収された平均エネルギーは、3.94±4.12Nm度であった。
組織学的等級付け結果の要約を、表9に示す。12の合計点の中で、OP/CMCを用いて処置された欠損の平均組織学的等級は、7.00±0.87であった。CMCコントロール欠損の平均組織学的等級は、4.50±0.87であった。OP/緩衝液欠損および緩衝液コントロールの平均組織学的等級は、それぞれ、6.08±0.14および4.0±1.0であった。
処置は、4週間での、鉱化軟骨の領域を伴う初期骨軟骨架橋をもたらした。OP/CMCを用いて処置された欠損において、有意な新骨形成は、尺骨の骨膜領域および骨内膜領域において観察され、そして欠損縁を超えて伸長した。鉱化軟骨およびいくつかの線維組織の領域は、欠損内に存在した。欠損の架橋は、4週間まで完全ではなかった。宿主皮質は相変わらず目に見えたが、新骨の形成および再造形の徴候があった。
完全な骨治癒は、4週で、いずれのCMCコントロール欠損でも観察されなかった。コントロール欠損は、骨架橋の徴候を伴わない線維性癒合をもたらした。欠損を充填し、そして取り囲む線維組織および鉱化軟骨が観察された。非常に少量の新骨は、尺骨骨膜に沿って、および宿主皮質近くの尺骨骨内膜領域で形成した。宿主皮質再吸収の徴候は、欠損末端で観察された。
処置された欠損は、鉱化軟骨および線維組織により充填された。欠損縁近くの尺骨の骨内膜および骨膜領域において形成された新骨、および新骨による架橋の初期徴候ははっきりわかったが、欠損のいずれもが完全にはつながれなかった。宿主骨皮質は、新骨との合体の徴候を示したが、4週までに完全に不明瞭にされなかった。宿主骨皮質のいくつかの再造形および新骨の縁に沿った初期の緻密化が観察された。新骨はまた、欠損部位の上に重なる皮下組織層において形成し、そして欠損縁を超えて伸長した。
完全な骨治癒は、手術後4週で、いずれの緩衝液コントロール欠損でも観察されなかった。非処置欠損は、骨架橋の徴候を伴わない線維性癒合を示し;欠損を充填し、そして取り囲む線維組織が観察された。他の非処置欠損は、線維性癒合または他の癒合の徴候を示さなかった。新骨形成は緩衝液コントロール欠損においてほとんど観察されなかった。骨内膜の新骨は、尺骨骨髄空洞から伸長し、そして骨膜の新骨は、外側欠損縁に沿って形成した。宿主骨末端は、皮質再吸収の徴候と共に目に見えた。
組換えヒト骨形成タンパク質−1(rhOP−1)は、骨コラーゲンマトリクスと組み合せて移植された場合、生物学的および生体力学的の両方で機能的である新骨の形成により、動物における危険な大きさの骨幹の分節性欠損を治癒することが示された。本研究の目的は、イヌの危険でない大きさの欠損モデルにおいて骨治癒を速めるための、rhOP−1のマトリクスを含まない注射可能な処方物の効力を評価することであった。
実験1
上記のものに類似した材料および方法を用いて(D.2の関係部分を参照のこと)、例示的な骨形成タンパク質OP−1が、マトリクスを含まないデバイス中で投与された場合、重みを支える(weight bearing)関節において活性な難骨形成および軟骨欠損修復を誘導し得ることをさらに証明するために、以下の研究を行った。
oducts,Palo Alto,CA)を介して断続的に送達した(2週間持続期間で1時間あたり0.5μL;計200μL)かのいずれかで行った。非常に多くの適切なミニポンプが容易に利用可能であり、そして医薬品および/または治療薬剤の送達のために当業者により日常的に使用され;当業者は、この状況下で送達の好ましい態様および速度を認識する。軟骨欠損の治癒を、標準的な組織学的および組織化学的方法により評価した。
1.実験1:危険でない大きさの欠損の修復に対する、マトリクスを含まない骨形成デバイスの遅延した投与の効果(イヌ)
本研究の目的は、損傷後、種々の遅延した投与時間でマトリクスを含まないOP−1デバイスを用いて処置された危険でない大きさの欠損の治癒を評価することである。以下で例示される特定のデバイスは、マトリクスを含まない骨形成デバイスの注射可能な処方物である。他のデバイスの実施態様は、同様の結果を生じると期待される。
計12匹の成体雑種犬を利用した。始めに記載したように、長さが3.0mmの、左右の尺骨の分節性欠損を全ての動物において創作した。この特定の研究において例示されるように、使用されたOP−1のマトリクスを含まない処方物は、始めに記載したように3.5mg OP−1/mlであり、100μLラクトース/酢酸緩衝液中で送達された。12匹の動物に、種々の損傷後の時点で右欠損においてマトリクスを含まないデバイスを投与し、そしてコントロールデバイスを、種々の損傷後時間点で左欠損に投与した。3匹の動物を欠損創作時(0時間)に処置し、3匹を損傷後6時間で処置し、そして3匹を損傷後48時間で処置した。全ての動物を、手術後4週で屠殺した。毎週、治癒の進行を研究するために、X線写真を撮った。屠殺時に、骨セグメントを、組織応答、新骨形成の質および量、ならびに治癒の程度について組織学により評価した。全ての尺骨をひとまとめにして回収し、そしてねじれについては力学的に試験した。
全ての標本を、手術後4週で力学的に試験した。力学的に、損傷後6時間でマトリクスを含まないOP−1デバイスを受けた欠損は、最も高いねじれ強さを有し;インタクトな尺骨の73%は、48時間での64%および0時間での60%に匹敵した。損傷後0時間、6時間、および48時間でのコントロール欠損は、それぞれ、23%、28%、および24%の強さを有した。
1.実験1:骨形成タンパク質のキャリアとしてのグリコサミノグリカンおよび他のポリマー
前述したように、化合物の特定の好ましいカテゴリーが、本明細書中で意図されるマトリクスを含まないデバイス中のキャリアとして適切である。現在好ましいカテゴリーのうち、潤滑剤(特に、天然に生じ、そして生理学的機能(例えば、ほんの少し例を挙げれば、細胞の保護および潤滑ならびに組織完全性の維持)を天然に行う潤滑剤)として当該分野で認識される化合物である。このような化合物はまた、一般的に、湿潤剤および水分保持剤である。現在好ましい潤滑剤の1つのサブカテゴリーは、グリコサミノグリカンとして知られる生体ポリマーを含む。本発明により意図されるグリコサミノグリカンは、ほんの少し例を挙げれば、ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ケラタンを含むが、それらに制限されない。スルホン化ならびに非スルホン化形態は、本発明において使用され得る。他のグリコサミノグリカンはマトリクスを含まないデバイスを処方するために適し、そして当業者は、せいぜい日常的な実験を用いて他の適切な化合物を確かめることを知っているか、または確かめ得るかのいずれかである。グリコサミノグリカンのより詳細な説明については、Aspinall,Polysaccharides,Pergamon Press,Oxford(1970)を参照のこと。
本発明は、その精神または本質的な特徴を逸脱することなく、他の特定の形態において具体化され得る。従って、前述の実施態様は、全ての点で、本明細書中に記載される本発明に対して制限するよりむしろ例示的であるとみなされるべきである。従って、本発明の範囲は、前述の説明よりむしろ添付の請求の範囲により示され、従って、請求の範囲の同等の意味および範囲内にある全ての変化は、請求の範囲に含まれると意図される。
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