JP2012097917A - 乾燥装置と該装置を用いる二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイグレーションの発生を防止し得る最適な乾燥装置を提供する。
【解決手段】スラリーが塗布された塗膜12を有する基材10を搬送しながら乾燥する乾燥装置100であって、基材10上の塗膜12を乾燥する乾燥炉20と、乾燥炉20内のガスを乾燥炉20外に排出する排気口22とを備え、乾燥炉20は、基材10の搬送方向に沿って、乾燥雰囲気が互いに異なる複数の乾燥ゾーンZ1〜Z3を有しており、乾燥炉20の排気口22は、複数の乾燥ゾーンZ1〜Z3のうち、最も上流側に位置する乾燥ゾーンZ1よりも下流側に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、乾燥装置に関し、特にペースト状若しくはインク状に調製された組成物スラリーが塗布された塗膜を有するシート状の基材を搬送しながら乾燥する乾燥装置に関する。また、該装置を用いて行う乾燥工程を包含する二次電池(或いは該電池を構成している電極)の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。この種の二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備える。例えば、負極に用いられる電極活物質(負極活物質)の代表例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料が例示される。また、負極に用いられる電極集電体(負極集電体)の代表例としては、銅または銅合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。一方、正極に用いられる電極活物質(正極活物質)の代表例としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物が挙げられる。また、正極に用いられる電極集電体(正極集電体)の代表例としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。
ところで、上記のような構成を有する正極や負極(以下、正負極を総称して「電極」という。)を製造するにあたって負極集電体に負極活物質を保持させる代表的な方法の一つとして、電極活物質粉末とバインダ(結着材)とを適当な媒体に分散させたペースト状若しくはインク状に調製された組成物(以下、このような懸濁液状の組成物を単に「スラリー」という。)、即ち電極活物質層形成用スラリーを電極集電体に塗布し、乾燥させることにより電極活物質を含む層(電極活物質層)を形成する方法が挙げられる。この種の電極活物質層の形成に関する技術文献としては特許文献1〜4が挙げられる。
特開2004−071472号公報 特開2010−064022号公報 特開平11−014250号公報 特開2004−319117号公報
しかしながら、上記電極活物質層の形成工程において、熱風乾燥機を使用してスラリー状に調製された電極活物質層形成用組成物(ペースト)を始めから急激に乾燥させると、乾燥中に対流が発生し、集電体近傍のバインダがスラリー(ペースト)塗布物の表層に浮き上がる(マイグレーション)現象が生じてバインダが偏析することが分かった。マイグレーションによりバインダが偏析すると、活物質層内のバインダ分布が不均一になり、品質の高い電極シートが得られない(例えば集電体と活物質層の密着性が低下する)ため好ましくない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記マイグレーションの発生を防止し得る最適な乾燥装置を提供することである。
本発明によると、スラリーが塗布された塗膜を有する基材を搬送しながら乾燥する乾燥装置が提供される。この乾燥装置は、前記基材上の塗膜を乾燥する乾燥炉と、前記乾燥炉内のガスを乾燥炉外に排出する排気口とを備える。前記乾燥炉は、前記基材の搬送方向に沿って、乾燥雰囲気が互いに異なる複数の乾燥ゾーンを有している。そして、前記乾燥炉の排気口は、前記複数の乾燥ゾーンのうち、最も上流側に位置する乾燥ゾーンよりも下流側に配置されている。
本発明の乾燥装置によれば、乾燥炉の排気口が、最も上流側に位置する乾燥ゾーンよりも下流側に配置されているので、最上流側の乾燥ゾーン(即ち乾燥の初期段階)においては、スラリー塗膜から蒸発した溶媒が排気されず、乾燥炉内における溶媒ガスの濃度が高くなる。乾燥炉内の溶媒ガス濃度が高くなると、飽和蒸気圧に近づくため、溶媒の蒸発が阻害される。このことによって、乾燥初期におけるスラリー塗膜の急激な乾燥が抑制され、乾燥初期においてスラリー塗膜が急激に乾燥されることによってマイグレーションが生じるのを防止することができる。かかる構成によれば、特に、本発明の乾燥装置を、電池用電極の構成成分(活物質、バインダ等)を含むスラリー塗膜を金属基材(集電体)に塗工して乾燥する電極製造用の乾燥装置として使用する場合、スラリー塗膜中のバインダが表層部に浮き上がること(マイグレーション)が有効に防止され、電極内のバインダ分布を均一に形成することができる。したがって、品質の良い電池用電極を製造することができる。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記排気口に連結された回収部を備え、前記回収部は、前記排気口から排出されたガス(排気ガス)の中から前記塗膜の溶媒を回収し得るように構成されている。排気口から排出された排気ガス中の溶媒濃度が低い場合は、排気ガスの風量を大きくして溶媒を回収する必要があったが、排気ガスの風量が大きくなると回収装置が大規模なものとなるだけでなく、膨大なランニングコストが掛かるという問題があった。これに対し、本発明によれば、最上流側の乾燥ゾーンにおいては塗膜から蒸発した溶媒が排気されず、高濃度になった溶媒を含むガスが排気口から一気に排出される。この場合、排気口から排出された排気ガス中の溶媒濃度が高いので、該排気ガスから溶媒を効率よく回収できる(効率のよい回収処理が実現できる)。そのため、排気ガスの風量を少なくして回収装置の小型化が可能となり、設備費やランニングコストを削減できる。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記排気口は、前記基材の搬送経路において、前記基材が搬送される基材入口から1/3(より好ましくは2/5、特に好ましくは1/2)の位置よりも下流側に配置されている。このように排気口を基材入口から1/3の位置よりも下流側に配置することによって、最上流側の乾燥ゾーン内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記最上流側の乾燥ゾーンには、前記基材の上方を覆うカバーが設けられている。このように基材の上方を覆うカバーを設けることによって、カバーと基材との間で溶媒の蒸気がこもるため、スラリー塗膜の表面付近の溶媒ガス濃度を局所的に上げることができる。この場合、最上流側の乾燥ゾーンに排気口が設けられていないことと合わせて、スラリー塗膜の表面付近の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記最上流側の乾燥ゾーンの上部には、熱風の吹出口が設けられており、前記基材の上方を覆うカバーは、前記熱風吹出口と前記基材との間を仕切るように配置されている。この場合、熱風がスラリー塗膜の表面に直接的に吹き付けられないので、熱風によりスラリー塗膜の表面付近にたまっている溶媒の蒸気が吹き飛ばされることを回避できる。したがって、最上流側の乾燥ゾーンに排気口が設けられていないことと合わせて、スラリー塗膜の表面付近の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
好ましくは、前記スラリー塗膜に含まれる溶媒はNMPであり、前記最上流側の乾燥ゾーンにおけるNMPガスの濃度(体積パーセント)が12体積%以上、好ましくは15体積%以上である。NMPガスの濃度が12体積%よりも少ないと、乾燥初期における塗膜の急激な乾燥を十分に抑制できず、マイグレーションが生じるのを適切に防止できないことがある。NMPガスの濃度の上限値は特に限定されないが、例えば25体積%以下が適当であり、好ましくは20体積%以下である。この範囲を超えると、炉内での壁に結露が発生し、電極へ結露が付着する可能性があるので、好ましくない。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記乾燥炉は、前記最上流側の乾燥ゾーンよりも下流側に位置する下流乾燥ゾーンを有しており、前記排気口は、前記下流乾燥ゾーンに配置されている。これにより、乾燥の初期においてスラリー塗膜が急激に乾燥されることによってマイグレーションが生じるのを確実に防止できる。
ここに開示される乾燥装置の好ましい一態様では、前記下流乾燥ゾーンの排気口から排出された前記ガスの一部を、前記最上流側の乾燥ゾーンに循環させる気体流路を有する。この場合、高濃度溶媒を含有する排気ガスの一部が最上流側の乾燥ゾーンに戻されるので、最上流側の乾燥ゾーンに排気口が設けられていないことと合わせて、最上流側の乾燥ゾーン内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。この場合、前記最上流側の乾燥ゾーンに循環させる前記ガスの割合は、前記下流乾燥ゾーンの排気口から排出された前記ガスの全体積を100とした場合に、その30体積%〜60体積%であることが好ましい。
本発明の乾燥装置は、電池用電極の製造を行うために好ましく用いることができる。即ち、本発明は、電池用電極の構成成分(例えば、活物質、バインダ等)を含むスラリー(ペーストともいう。)を基材(集電体)に塗工してペースト層を形成する塗工装置、及び当該塗膜(ペースト膜)を乾燥させる乾燥装置として本発明の乾燥装置を含む電池用電極の製造装置、ならびに該乾燥装置を使用することを特徴とする二次電池(二次電池用電極)の製造方法を提供する。本発明によると、マイグレーションによるバインダの偏析を防止して、電極内のバインダ分布を均一に形成することができる。したがって、品質の良い電池用電極ならびに該電極を備える電池(典型的にはリチウムイオン電池等の二次電池)を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る乾燥装置及び該乾燥装置を備えた電極製造装置を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る捲回電極体を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る電池を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記の実施形態は本発明の実施の一形態を例示するに過ぎず、本発明は下記の実施形態には限定されない。
図1に、本発明の一実施形態に係る乾燥装置100を模式的に示す。この乾燥装置100は、スラリーが塗布された塗膜12を有する基材(ここではシート状基材)10を搬送しながら乾燥する燥装置である。この乾燥装置100は、スラリーが塗布された塗膜12を有するシート状基材10を搬送する搬送手段74、76と、該搬送手段74、76で搬送されている基材10上の塗膜12を乾燥する乾燥炉20と、該乾燥炉内のガスを乾燥炉外に排出する排気口22、24とを備えている。また、乾燥装置100は、排気口22、24に連結された回収部32、34を備えている。この回収部32、34は、排気口22、24から排出されたガスの中から上記塗膜の溶媒を回収し得るように構成されている。
乾燥炉20は、一般的な乾燥炉として常套的に使用されているものから、被処理物の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉、等を使用することができる。熱風乾燥炉は、適当な熱源(例えば加熱ヒータ)により加熱されたガスを吹き付けるものである。吹き付けられるガスの種類は特に制限されず、例えば、空気であってもよいし、Nガス、Heガスのような不活性ガスであってもよい。この実施形態では、乾燥炉20は熱風乾燥炉であり、熱風の吹き出し口26が後述する各乾燥ゾーンZ1〜Z3の上部に設けられている。熱風の吹き出し口26は、乾燥ゾーンZ1〜Z3の上部に限らず、乾燥ゾーンZ1〜Z3の下部に設けることもできる。
また、乾燥炉20は、基材の搬送方向に沿って、乾燥雰囲気が互いに異なる複数の乾燥ゾーンを有している。ここでいう乾燥雰囲気とは、例えば、熱風乾燥炉の場合、熱風の温度(乾燥雰囲気温度)、風速、流量、風向(熱風の流れの向き)等である。乾燥炉20は、図示しない制御部を有しており、各乾燥ゾーンZ1〜Z3は、制御部によってそれぞれ異なる乾燥雰囲気に制御することができる。この実施形態では、乾燥雰囲気が個別に制御可能な3つの乾燥ゾーンZ1〜Z3を有している。乾燥炉20に設けられた3つの乾燥ゾーンを、それぞれ基材が供給される入口側から、第1乾燥ゾーンZ1、第2乾燥ゾーンZ2、第3乾燥ゾーンZ3とする。即ち、乾燥炉20は、基材10の搬送方向において、最も上流側に位置する第1乾燥ゾーンZ1(最上流側の乾燥ゾーン)と、該第1乾燥ゾーンよりも下流側に位置する第2乾燥ゾーンZ2(下流乾燥ゾーン)と、該第2乾燥ゾーンZ2よりも下流側に位置する第3乾燥ゾーンZ3とに区画されている。この実施形態では、各乾燥ゾーンZ1〜Z3は同じ幅であり、基材10を等速で搬送する。
また、乾燥炉20の内部には、各乾燥ゾーンZ1〜Z3で蒸発した溶媒ガスを同伴するガス(以下、同伴ガスという。)が導入されている。乾燥炉20内に導入される同伴ガスの種類は特に制限されず、例えば、空気であってもよいし、Nガス、Heガスのような不活性ガスであってもよい。乾燥炉20は、同伴ガスを乾燥炉内に供給する供給口26と、該同伴ガスを乾燥炉外に排出する排気口22、24とを有している。排気口22、24は、各乾燥ゾーンZ1〜Z3で蒸発した溶媒(気化成分)を同伴ガスとともに乾燥炉外に排出する。また、供給口26は、排気口22、24から排出されたガスの量に相当する同伴ガスを乾燥炉20内に導入する。この実施形態では、供給口26は、熱風乾燥炉における熱風の吹き出し口を兼ねている。
回収部32、34は、上記排気口22、24から排出された同伴ガスの中から上記塗膜の溶媒を回収する装置である。この実施形態では、回収部32は、配管51及び配管52を介して第2乾燥ゾーンの排気口22に連結され、該排気口22から排出された同伴ガスに含まれる溶媒を回収する。このような同伴ガスに含まれる溶媒を回収する装置としては、一般的な回収装置として常套的に採用されているものを任意に使用することができる。この実施形態では、回収部32は冷却回収装置であり、例えば、排気口22から排出された同伴ガスを冷却し、蒸発した溶媒を露点以下の温度にして液化(凝縮)して回収し得るようになっている。好ましくは、冷媒を流動させたコイル状の管に上記同伴ガスを接触させて冷却するとよい。かかる冷却回収装置は、小風量のガスから高濃度の溶媒を回収するのに好適である。
一方、回収部34は、配管55を介して第3乾燥ゾーンZ3の排気口24に連結され、該排気口24から排出された同伴ガスに含まれる溶媒を回収する。このような同伴ガスに含まれる溶媒を回収する装置としては、一般的な回収装置として常套的に採用されているものを任意に使用することができる。この実施形態では、回収部34は吸着回収装置であり、例えば、排気口24から排出された溶媒ガスをゼオライト等の吸着材に吸着して回収し得るようになっている。好ましくは、ハニカム状に加工した構造体に吸着材を担持させたロータを使用するとよい。該ロータは、吸着領域と再生領域とに仕切られており、上記同伴ガスを吸着領域に供給して該同伴ガス中の溶媒を吸着ロータに吸着させる。次いで、ロータを回転し、溶媒を吸着した吸着ロータを再生領域まで移動する。再生領域では、ヒータを利用して吸着ロータに吸着した溶媒を脱着する。脱着した溶媒を冷却液化して回収することができる。かかる吸着回収装置は、大風量のガスから低濃度の溶媒を回収するのに好適である。
なお、回収部32は、配管54を通じて回収部34と連結されており、回収部32で回収しきれなかった溶媒ガスを回収部34で回収し得るように構成されている。また、回収部34は、配管56を通じて熱風発生装置40に連結されている。この熱風発生装置40は、配管57を通じて各乾燥ゾーンZ1〜Z3の上部に設けられた熱風の吹き出し口(供給口)26に連結されている。熱風発生装置40は、図示しない送付ファンとヒータとを内蔵し、回収部34から送られた同伴ガス(回収部32、34で回収しきれなかった溶媒ガスを含む。)を再加熱し、各乾燥ゾーンZ1〜Z3に送り込むようになっている。この場合、回収部32、34で回収しきれなかった溶媒が乾燥炉20内に戻されるので、外部への溶媒の排出を回避することができる。
かかる乾燥装置において、基材10を搬送する搬送装置は特に制限されず、常套的に採用されているものを任意に使用することができる。この実施形態では、基材10を搬送するための搬送装置はローラ74、76である。基材は複数のローラ74、76に順に架け渡され、該基材10にテンションが掛けられている。一部のローラには、ローラを回動させる駆動装置(図示せず)が取り付けられている。このローラ74、76を回動させることにより、基材10を連続的に搬送し得るように構成されている。この実施形態では、乾燥炉の入口から搬送された基材10は、ローラ74、76の回動により乾燥炉20内を連続的に搬送される。そして、第1乾燥ゾーンZ1、第2乾燥ゾーンZ2、第3乾燥ゾーンZ3を経由して、基材10上の塗膜12を乾燥するようになっている。
ここで、上記乾燥ゾーンZ1〜Z3を経由して基材10上の塗膜12を乾燥させる乾燥装置100において、塗膜を乾燥の初期段階から急激に乾燥させると、乾燥中に対流が発生し、塗膜の構成成分の一部が塗膜の表層部に浮き上がる(マイグレーション)現象が生じることがある。特に電池用電極の構成成分(活物質、バインダ等)を含む塗膜を金属基材(集電体)に塗工して乾燥させる場合、マイグレーションが生じると、電極内のバインダの分布が不均一になるため好ましくない。
かかる不都合を避けるために、本実施形態では、乾燥炉20の排気口22、24は、複数の乾燥ゾーンのうち、最も上流側に位置する第1乾燥ゾーンZ1よりも下流側に配置されている。具体的には、排気口22は、第1乾燥ゾーンZ1よりも下流側に位置する第2乾燥ゾーンZ2の上部に設けられている。また、排気口24は、第2乾燥ゾーンZ2よりも下流側に位置する第3乾燥ゾーンZ3の上部に設けられている。排気口22、24は、各乾燥ゾーンの上部に限らず、側部や下部に設けることもできる。
このように乾燥炉の排気口22、24を、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1よりも下流側に配置することによって、最上流側の第1乾燥ゾーン(即ち乾燥の初期段階)Z1においては、塗膜12から蒸発した溶媒が排気されず、乾燥炉20内における溶媒ガスの濃度が高くなる。乾燥炉20内の溶媒ガス濃度が高くなると、飽和蒸気圧に近づくため、溶媒の蒸発が阻害される。このことによって、乾燥初期におけるスラリー塗膜12の急激な乾燥が抑制され、乾燥初期においてスラリー塗膜12が急激に乾燥されることによってマイグレーションが生じるのを防止することができる。かかる構成によれば、特に、本実施形態の乾燥装置を、電池用電極の構成成分(活物質、バインダ等)を含むスラリー塗膜を金属基材(集電体)に塗工して乾燥する電極製造用の乾燥装置100として使用する場合、スラリー塗膜中のバインダが表層部に浮き上がること(マイグレーション)が有効に防止され、電極内のバインダ分布を均一に形成することができる。したがって、品質の良い電池用電極を製造することができる。
また、本実施形態によれば、排気口22から高濃度になった溶媒(溶媒の蒸気)を含む同伴ガスが一気に排出されるので、溶媒を効率よく回収することができる。即ち、排気口22から排出された同伴ガス中の溶媒濃度が低い場合は、同伴ガスの風量を大きくして溶媒を回収する必要があったが、同伴ガスの風量が大きくなると回収装置が大規模なものとなるだけでなく、膨大なランニングコストが掛かるという問題があった。これに対し、本構成によれば、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1においてはスラリー塗膜12から蒸発した溶媒が排気されず、高濃度になった溶媒を含む同伴ガスが排気口22から一気に排出される。この場合、排気口22から排出された同伴ガス中の溶媒濃度が高いので、該同伴ガスから溶媒を効率よく回収できる(効率のよい回収処理が実現できる)。そのため、同伴ガスの風量を少なくして回収装置の小型化が可能となり、設備費やランニングコストを削減できる。
上記排気口22は、基材10の搬送経路Lにおいて、基材10が搬送される基材入口L1から1/3の位置L2よりも下流側に配置されることが好ましい。このように排気口22を基材入口から1/3の位置L2よりも下流側に配置することによって、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。また、上記排気口22は、第1乾燥ゾーンZ1の直近を避けて配置されることが好ましい。ここに開示される技術では、図1に示すように、第1乾燥ゾーンの下流側の端部Z1aと排気口22との間の距離dは、概ね0.5m〜8mであり、通常は1m〜4m程度にすることが好ましい。このように排気口22と第1乾燥ゾーンZ1とを一定の距離をあけて配置することにより、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
なお、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1内の溶媒ガス濃度としては、スラリー塗膜からの
溶媒の急激な蒸発が適度に抑制される程度であればよく、使用する溶媒の種類によっても異なり得るが、例えばスラリー塗膜に含まれる溶媒がN‐メチルピロリドン(NMP)である場合、概ね12体積%以上が適当であり、好ましくは15体積%以上である。NMPガスの濃度が12体積%よりも少ないと、乾燥初期における塗膜の急激な乾燥を十分に抑制できず、マイグレーションが生じるのを適切に防止できないことがある。NMPガスの濃度の上限値は特に限定されないが、例えば25体積%以下が適当であり、好ましくは20体積%以下である。
なお、各乾燥ゾーンZ1〜Z3における乾燥雰囲気は、被処理物に応じて適宜乾燥条件を選択することができるが、通常は、乾燥雰囲気温度が下流側の乾燥ゾーンほど高くなるように設定されることが好ましい。例えば、本実施形態の乾燥装置を、電池用電極の構成成分を含む塗膜を金属基材(集電体)に塗工して乾燥する電極製造用の乾燥装置として使用する場合、乾燥雰囲気温度は、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1が概ね120〜140℃であり、第2乾燥ゾーンZ2が概ね130〜150℃であり、第3乾燥ゾーンZ3が概ね140〜160℃である。このように乾燥雰囲気温度を下流側の乾燥ゾーンほど高くすることによって、マイグレーションをより確実に防止できる。
さらに、本実施形態の乾燥装置100のその他の特徴について説明する。本実施形態の構成では、図1に示すように、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1には、基材10の上方を覆うカバー28が設けられている。このように基材10の上方を覆うカバー28を設けることによって、カバー28と基材10との間で溶媒の蒸気がこもるため、スラリー塗膜12の表面付近の溶媒ガス濃度を局所的に上げることができる。この場合、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1に排気口が設けられていないことと合わせて、スラリー塗膜12の表面付近の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
ここに開示される好ましい技術では、第1乾燥ゾーンZ1の上部には、熱風の吹き出し口26が設けられている。この場合、基材10の上方を覆うカバー28は、熱風の吹出口26と基材10との間を仕切るように配置されることが好ましい。この場合、熱風がスラリー塗膜12の表面に直接的に吹き付けられないので、熱風によりスラリー塗膜12の表面付近にたまっている溶媒の蒸気が吹き飛ばされることを回避できる。したがって、第1乾燥ゾーンZ1に排気口が設けられていないことと合わせて、スラリー塗膜12の表面付近の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
ここで上記基材の上方を覆うカバー28を基材10から遠ざけすぎると、基材10とカバー28との間に溶媒の蒸気がこもらないため、マイグレーションを十分に抑制できないことがある。その一方で、上記カバー28を基材10に近づけすぎると、シート状基材10の搬送の妨げになることがある。したがって、図1に示すように、シート状基材10とカバー28との間の距離hは、概ね0.5〜5cmが適当であり、好ましくは1〜3cmである。これにより、カバー28がシート状基材10の搬送の妨げになることなく、スラリー塗膜12の表面付近の溶媒ガス濃度を適切に高めることができる。なお、カバー28を構成する材料としては、耐熱性が高く、かつ溶媒によって腐食されないものが好ましく、そのような材料としては、例えばフッ素系樹脂(好ましくはフッ化炭素樹脂、特に好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)もしくは該フッ素系樹脂でコーティングされたステンレス(SUS)板などが例示される。
さらに、この実施形態では、第2乾燥ゾーンの排気口22から排出されたガスの一部を、最上流側の第1乾燥ゾーンZ1に循環させる気体流路(配管)53を有する。気体流路53は、図示しない送風ファンを内蔵し、第2乾燥ゾーンの排気口22から排出されたガスの一部を、回収部32を経由せずに第1乾燥ゾーンZ1に送り込む。この場合、高濃度溶媒を含有する同伴ガスの一部が最上流側の第1乾燥ゾーンZ1に戻されるので、第1乾燥ゾーンZ1に排気口が設けられていないことと合わせて、第1乾燥ゾーン内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
最上流側の第1乾燥ゾーンに循環させるガスの割合は、第2乾燥ゾーンの排気口22から排出されたガスの全体積を100とした場合に、その30〜60体積%が適当であり、好ましくは35〜55体積%であり、特に好ましくは40〜50体積%である。これにより、第1乾燥ゾーンZ1内の溶媒ガス濃度が適切に高まり、マイグレーションをより確実に防止できる。
なお、特に限定されるものではないが、乾燥炉20内から排出されるガスの全体積のうち、第2乾燥ゾーンの排気口22から排出されるガスが占める割合は、概ね50〜80体積%が適当であり、好ましくは55〜75体積%であり、特に好ましくは60〜70体積%である。かかる第2乾燥ゾーンの排気口22から排出されるガスは、高濃度の溶媒ガスを含む。そのため、前述した冷却回収装置を用いることによって、かかる高濃度の溶媒を効率よく回収することができる。また、乾燥炉20内から排出されるガスの全体積のうち、第3乾燥ゾーンの排気口24から排出されるガスが占める割合は、概ね20〜50体積%が適当であり、好ましくは25〜45体積%であり、特に好ましくは30〜40体積%である。かかる第3乾燥ゾーンの排気口24から排出されるガスは、低濃度の溶媒ガスを含む。そのため、前述した吸着回収装置を用いることによって、かかる低濃度の溶媒を効率よく回収することができる。
続いて、本実施形態の乾燥装置を組み込んだ電池用電極の製造装置と、該乾燥装置を用いた乾燥工程を含む二次電池用電極の製造方法の一例を説明する。以下、リチウム二次電池(より具体的には該電池に備えられる電極)の製造方法に用いられる乾燥装置に本発明を適用する場合を例として説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池と該電池に用いられる電極の製造方法に用いられる活物質層形成用組成物(前述したスラリーに相当する。)に含まれる活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、負極活物質としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が挙げられる。正極活物質としては、リチウムニッケル酸化物(LiMn)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiNiO)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)等が挙げられる。
上記活物質層形成用組成物は、一般的なリチウム二次電池において活物質層の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、結着剤が挙げられる。該結着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリアクリル酸(PZZ)、等が例示される。あるいは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の樹脂組成物を用いてもよい。
これらの活物質及び結着剤を分散または溶解させる溶媒としては、N‐メチルピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクサヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等の有機系溶剤またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、水または水を主体とする混合溶媒であってもよい。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。活物質層形成用組成物における溶媒の含有率は特に限定されないが、スラリー全体の30〜70質量%程度が好ましい。
上記活物質層形成用組成物が塗布されるシート状集電体(前述したシート状基材に相当する。)としては、従来のリチウム二次電池の電極と同様でよく、特に制限はない。例えば、負極集電体には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。また正極集電体にはアルミニウム箔その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。
上記活物質層形成用組成物をシート状集電体に塗布する操作は、従来の一般的なリチウム二次電池用電極を作製する場合と同様にして行うことができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、上記シート状集電体に所定量の上記活物質層形成用組成物を均一な厚さにコーティングすることにより塗布され得る。
このようにして上記活物質層形成用組成物をシート状集電体に塗布した後、本実施形態に係る乾燥装置を用いて、上記活物質層形成用ペーストが塗布されたシート状集電体を乾燥する。
図1に、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池用電極の製造方法に用いられる電極製造装置200を模式的に示す。この電極製造装置200は、前述のように、塗工装置60と、本実施形態に係る乾燥装置100とを含む。この実施形態では、電極製造装置200は、シート状集電体10を長手方向に搬送するローラ72、74、76、78と、該ローラ上を搬送されるシート状集電体に活物質層形成用組成物を供給することで該シート状集電体の長手方向に活物質層形成用組成物12を塗布する塗工装置60と、該活物質層形成用組成物12が塗布されたシート状集電体10を乾燥炉20内で乾燥する乾燥装置100とを備えている。
ローラ72、74、76、78は、シート状集電体10を搬送するための装置である。この実施形態では、シート状集電体は複数のローラ72、74、76、78に順に架け渡され、該シート状集電体10にテンションが掛けられている。一部のローラには、ローラを回動させる駆動装置(図示せず)が取り付けられている。このローラを回動させることにより、シート状集電体10を搬送し得るように構成されている。
塗工装置60は、シート状集電体10の長手方向に活物質層形成用組成物12を塗布するための装置である。シート状集電体10に活物質層形成用組成物を塗布する装置としては、例えば、図1に示すように、ダイコーター塗工機60が挙げられる。ダイコーター塗工機60は、物質層形成用組成物がタンク62に収容され、ポンプ64によって吸引された活物質層形成用組成物がダイ66に供給される。そして、シート状集電体10をバックアップロール75の回転により搬送しつつ、バックアップロール75とダイ66との隙間(塗工ギャップ)を通過させ、該シート状集電体10にダイ66から活物質層形成用組成物からなる塗膜12を塗布する。かかるダイコーター塗工機60は、活物質層形成用組成物からなる塗膜12の目付量を調製しつつ、シート状集電体10に活物質層形成用組成物を連続して塗工することができる。乾燥装置100については、先に説明したものと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図1に示す電極製造装置200において、シート状集電体10は、ローラ72の回動によって塗工装置(ダイコーター塗工機)60に送られる。塗工装置60は、ポンプ64によって吸引された活物質層形成用組成物をダイ66に供給し、該ダイ66からシート状集電体10に活物質層形成用組成物からなる塗膜12を塗布する。乾燥炉20は、上流側から順に、第1乾燥ゾーンZ1、第2乾燥ゾーンZ2、第3乾燥ゾーンZ3を有する。乾燥炉の排気口22、24は、第1乾燥ゾーンZ1よりも下流側に位置する第2乾燥ゾーンZ2および第3乾燥ゾーンZ3にそれぞれ配置されている。乾燥炉の入口から搬送されたシート状集電体10は、ローラ74、76の回動により乾燥炉20内を連続的に搬送される。そして、第1乾燥ゾーンZ1、第2乾燥ゾーンZ2、第3乾燥ゾーンZ3を経由して、シート状集電体10上の活物質層形成用組成物からなる塗膜12が乾燥される。乾燥された活物質層形成用組成物からなる塗膜(活物質層)12を有するシート状集電体10は、乾燥炉20の出口から乾燥炉20外に搬送される。このようにして、シート状集電体10上に活物質層12が形成されたシート状電極を製造することができる。かかるシート状電極は、集電体の表面上に形成された組成物からなる塗膜12の乾燥を上述した乾燥装置100を使用して行うので、塗膜12中のバインダが表層部に浮き上がること(マイグレーション)が有効に防止され、活物質層12内のバインダ分布を均一に形成することができる。したがって、品質の良い電池用電極を製造することができる。
而して、このようにして製造された正極用のシート状電極と負極用のシート状電極と別途用意した2枚のシート状セパレータとを、図2に示すように重ね合わせて捲回型のリチウム二次電池用電極を作製する。而して、図3に示すように、当該作製した電極を容器に収容し、所定の電解液を充填することにより、目的とする二次電池(ここではリチウム二次電池)を製造することができる。
以下、前述した乾燥装置を使用して製造された正極用のシート状電極と負極用のシート状電極とを用いて構築されるリチウム二次電池の一実施形態につき、図2及び図3に示す模式図を参照しつつ説明する。
図3に示すように、本実施形態に係るリチウム二次電池1000は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース150を備える。このケース(外容器)150は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体152と、その開口部を塞ぐ蓋体154とを備える。ケース150の上面(すなわち蓋体154)には、捲回電極体180の正極110と電気的に接続する正極端子172および該電極体の負極120と電気的に接続する負極端子174が設けられている。ケース150の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)110および長尺シート状の負極(負極シート)120を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)130とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体180が収容される。
捲回電極体180は、図2に示すように、シート状電極体182を捲回することによって形成されている。シート状電極体182は、捲回電極体180を組み立てる前段階における長尺状(帯状)のシート構造を有している。シート状電極体182は、典型的な捲回電極体と同様に正極シート110と負極シート120を計2枚のセパレータシート130と共に積層して形成されている。
正極シート110は、長尺シート状の箔状の正極集電体112の両面に正極活物質層114が付着されて形成されている。ただし、正極活物質層114はシート状電極体の幅方向の端辺に沿う一方の側縁には付着されず、正極集電体112を一定の幅にて露出させている。負極シート120も正極シート110と同様に、長尺シート状の箔状の負極集電体122の両面に負極活物質層124が付着されて形成されている。ただし、負極活物質層124はシート状電極体の幅方向の端辺に沿う一方の側縁には付着されず、負極集電体122を一定の幅にて露出させている。
また、正負極シート110、120間に使用されるセパレータシート130としては、例えば多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。あるいはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の3層構造を有するセパレータであってもよい。
上記捲回電極体を構築する際には、正極シート110の正極活物質層非形成部分と負極シート120の負極活物質層非形成部分とがセパレータシート130の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート110と負極シート120とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体180の捲回方向に対する横方向において、正極シート110および負極シート120の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート110の正極活物質層形成部分と負極シート120の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート130とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合剤層の非形成部分)110Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極合剤層の非形成部分)120Aには、正極リード端子176および負極リード端子178がそれぞれ付設されており、上述の正極端子172および負極端子174とそれぞれ電気的に接続される。
そして、ケース本体152の上端開口部から該本体152内に捲回電極体180を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体152内に配置(注液)する。電解質は例えばLiPF等のリチウム塩である。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)のような非水電解液に溶解して電解液として使用することができる。
その後、上記開口部を蓋体154との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウム二次電池1000の組み立てが完成する。ケース150の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウム二次電池1000の構築が完成する。
このようにして構築されたリチウム二次電池1000は、活物質層内のバインダが表層部に浮き上がること(マイグレーション)が有効に防止された電極を用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記電極を用いて電池(例えばリチウム二次電池)を構築することにより、サイクル耐久性が高い、入出力特性が良好である、生産コストが低い、のうちの少なくとも一方(好ましくは全部)を満たす電池を提供することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上述した例では、本発明の乾燥装置を電極製造用の乾燥装置として使用する場合について説明したが、これに限定されない。本発明の乾燥装置は、マイグレーションを起こさない塗膜の乾燥処理が必要とされる他の製品、例えば、フレキシブルプリント基板、プレコート鋼板、光学フィルタ等の機能性フィルム、フラットパネルディスプレイ等の製造にも好ましく用いることができる。
10 シート状基材
12 塗膜
20 乾燥炉
22、24 排気口
26 供給口(熱風吹出口)
28 カバー
32、34 回収部
40 熱風発生装置
60 塗工装置
62 タンク
64 ポンプ
66 ダイ
72、74 搬送手段(ローラ)
75 バックアップロール
100 乾燥装置
200 電極製造装置

Claims (11)

  1. スラリー塗膜を有する基材を搬送しながら乾燥する乾燥装置であって、
    前記基材上の塗膜を乾燥する乾燥炉と、
    前記乾燥炉内のガスを乾燥炉外に排出する排気口と
    を備え、
    前記乾燥炉は、前記基材の搬送方向に沿って、乾燥雰囲気が互いに異なる複数の乾燥ゾーンを有しており、
    前記乾燥炉の排気口は、前記複数の乾燥ゾーンのうち、最も上流側に位置する乾燥ゾーンよりも下流側に配置されている、乾燥装置。
  2. 前記排気口に連結された回収部を備え、
    前記回収部は、前記排気口から排出されたガスの中から前記スラリー塗膜の溶媒を回収し得るように構成されている、請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 前記排気口は、前記基材の搬送経路において、前記基材が搬送される基材入口から1/3の位置よりも下流側に配置されている、請求項1または2に記載の乾燥装置。
  4. 前記最上流側の乾燥ゾーンには、前記基材の上方を覆うカバーが設けられている、請求項1から3の何れか一つに記載の乾燥装置。
  5. 前記最上流側の乾燥ゾーンの上部には、熱風の吹出口が設けられており、
    前記基材の上方を覆うカバーは、前記熱風吹出口と前記基材との間を仕切るように配置されている、請求項4に記載の乾燥装置。
  6. 前記スラリー塗膜に含まれる溶媒はNMPであり、
    前記最上流側の乾燥ゾーンにおけるNMPガスの濃度が12体積%以上である、請求項1から5の何れか一つに記載の乾燥装置。
  7. 前記乾燥炉は、前記最上流側の乾燥ゾーンよりも下流側に位置する下流乾燥ゾーンを有しており、
    前記排気口は、前記下流乾燥ゾーンに配置されている、請求項1から6の何れか一つに記載の乾燥装置。
  8. 前記下流乾燥ゾーンの排気口から排出された前記ガスの一部を、前記最上流側の乾燥ゾーンに循環させる気体流路を有する、請求項7に記載の乾燥装置。
  9. 前記最上流側の乾燥ゾーンに循環させる前記ガスの割合は、前記下流乾燥ゾーンの排気口から排出された前記ガスの全体積を100とした場合に、その30体積%〜60体積%である、請求項8に記載の乾燥装置。
  10. 二次電池用電極の製造方法であって、
    長尺なシート状の電極集電体の表面に、スラリー状に調製された電極活物質層形成用組成物を塗布すること、および、
    前記集電体の表面上に形成された前記組成物からなる塗膜を乾燥すること、
    を包含し、
    ここで前記塗膜の乾燥を請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の乾燥装置を使用して行うことを特徴とする、二次電池用電極の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法によって製造された二次電池用電極を使用することを特徴とする、二次電池の製造方法。
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