JP2005030682A - 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 - Google Patents
乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005030682A JP2005030682A JP2003196365A JP2003196365A JP2005030682A JP 2005030682 A JP2005030682 A JP 2005030682A JP 2003196365 A JP2003196365 A JP 2003196365A JP 2003196365 A JP2003196365 A JP 2003196365A JP 2005030682 A JP2005030682 A JP 2005030682A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- drying
- coating
- coating film
- support
- photosensitive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Photographic Developing Apparatuses (AREA)
- Drying Of Solid Materials (AREA)
Abstract
【課題】乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法の提供。
【解決手段】連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜より溶媒を蒸発させるため、乾燥雰囲気温度が個別に制御可能な複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、該乾燥室の乾燥雰囲気温度は、該支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度よりも5〜50℃高く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【選択図】 図1
【解決手段】連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜より溶媒を蒸発させるため、乾燥雰囲気温度が個別に制御可能な複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、該乾燥室の乾燥雰囲気温度は、該支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度よりも5〜50℃高く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層(以下、保護層ともいう)を含む塗布膜より、溶媒を蒸発させることができる乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらの装置を用いた熱現像感光材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点から、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる画像形成材料として、熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像感光材料が採用される様になって来た。
【0003】
このような熱現像感光材料は、還元可能な銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)及び還元剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有する画像形成層を有しており、常温で安定であるが、露光後高温に加熱した場合に還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対象をなし、画像の形成がなされる。
【0004】
各構成層を塗布する方法としては、例えばスライド型ダイコータを使用しスライド塗布法、エクストルージョン型ダイコータを使用したエクストルージョン塗布法、カーテン型ダイコータを使用しカーテン塗布法等の前計量タイプの塗布法が広く用いられている。この塗布では、均一な塗布膜厚を得るために、支持体の平面性を保持すること及び塗布液吐出位置と支持体との距離であるコータギャップを安定に保持するため塗布位置で支持体をバックロールで支持することが広く行われている。
【0005】
熱現像感光材料は、一般的に各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を支持体に塗布した後、支持搬送させながら、支持体上の液状の塗布膜を乾燥工程で溶媒を除去し、乾燥終了後巻き取り製造されている。
【0006】
乾燥工程は、塗布直後の塗布膜面を加熱した雰囲気、加熱風が当たる雰囲気にさらすために、塗布膜面の性状に影響を与える重要な工程となっている。一般的に乾燥工程における塗布膜面に与える問題として加熱風が当たることにより塗膜表面が乱され、表面の平滑度を失い、所謂まだらムラが生じたり、乾燥工程内の温度、加熱風の風量等のバラツキにより乾燥ムラが生じたりすることが知られている。特に、塗布液の溶媒に有機溶剤を使用している場合は、この様な傾向が強いことが知られている。
【0007】
この様な故障が発生しては、生産効率を上げることが困難となるため、乾燥条件に対してはいろいろの対策が取られてきた。例えば、支持体上に塗布した塗膜を乾燥する乾燥工程で、塗布後10秒以内はマイクロウェーブによる加熱により乾燥を行い、10秒から20秒までは温度を制御した乾燥風を風速が0.1〜10m/秒で塗布面へ吹き付けることによりふかれムラを防止した乾燥を行う方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0008】
塗布膜面に吹き付ける風の角度を規定することによりふかれムラを防止した乾燥を行う方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0009】
乾燥工程の温度にバラツキによる乾燥ムラを防止するために初期の乾燥温度を室温より高く、且つ後期乾燥時の乾燥温度よりも低く設定する方法が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0010】
しかしながら、これらの方法を熱現像感光材料用の乾燥装置、製造装置及びこれらを使用して熱現像感光材料を製造した場合、ある程度までは改良はされるのであるが、未だ充分とはならないため、本来の性能を充分に引き出せない状態で製造を行っているのが現状である。この様な状況から、乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法の開発が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−329463号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平10−68587号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭50−20355号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、その目的は、乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0016】
1)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は、該支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度よりも5〜50℃高く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0017】
2)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、該塗布膜が最初に入る前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は塗布時の塗布液温度と比較し0〜3℃高く、且つ乾燥室の入り口は、前記塗布膜の表面より0.1〜1mの高さを有していることを特徴とする乾燥装置。
【0018】
3)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは各乾燥室の溶媒濃度が、該支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも0〜5vol%低く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0019】
4)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の入り口から前記乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、支持体の搬送速度に対して50〜100%で、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、該支持体の搬送速度よりも5〜50%高いことを特徴とする乾燥装置。
【0020】
5)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の塗布膜面の垂直方向の距離1〜20mmでの上方から下方への風速が、支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室より2〜50%高くなる様に制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0021】
6)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する主乾燥装置と、該乾燥装置より下流に副乾燥装置とを有する乾燥装置において、
該主乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該副乾燥装置は乾燥雰囲気温度と該支持体の支持ロールの温度とが制御可能で、且つ、該支持ロールへの支持体の接触面積が調整可能であることを特徴とする乾燥装置。
【0022】
7)前記副乾燥装置は、出口での塗布膜の温度が外部雰囲気温度に対して0〜1℃高いことを特徴とする6)に記載の乾燥装置。
【0023】
8)前記乾燥室は、各々少なくとも1箇所のイナートガス供給部および少なくとも1箇所のガス排気部を有していることを特徴とする1)〜7)の何れか1項に記載の乾燥装置。
【0024】
9)前記乾燥ゾーンは、塗布膜が最初に入る乾燥室の天井は入り口よりも高いことを特徴とする1)〜8)の何れか1項に記載の乾燥装置。
【0025】
10)1)〜9)の何れか1項に記載の乾燥装置を使用して熱現像感光材料を製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0026】
11)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の個別に制御可能な複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する第1乾燥装置と、
該乾燥装置より下流に第2乾燥装置と、
該第2乾燥装置より下流で該非感光性保護層の上に湿潤状態で0.5〜3μmの厚さで最外層を設ける塗布装置と、
該塗布装置の下流側に第3乾燥装置とを有していることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0027】
12)前記塗布装置が、インクジェットヘッドもしくはスプレーガンであることを特徴とする11)に記載の熱現像感光材料製造装置。
【0028】
13)11)に記載の第1乾燥装置は、1)〜7)の何れか1項に記載されている乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0029】
14)11)に記載の第2乾燥装置は、6)〜9)の何れか1項に記載されている副乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0030】
15)11)〜14)の何れか1項に記載の熱現像感光材料製造装置を使用して製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0031】
16)11)に記載の熱現像感光材料製造装置を用いて、有機銀成分を含有する感光層と、その上に非感光性保護層と、最外層とを有する熱現像感光材料の製造方法において、
該最外層用の塗布液は感光層用の塗布液に含まれる合成高分子化合物および溶媒とは異なる合成高分子化合物および溶媒を含有していることを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態を図1〜図3を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
図1は本発明の乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。図1の(a)は複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。図1の(b)は図1の(a)のPで示される部分の拡大概略図である。
【0034】
図中、1はバックロール2で塗布位置が保持され、連続搬送する帯状支持体3に有機銀成分を含有する感光層及びその上に保護層を形成する塗布液を塗布するコータを示す。4a〜4cは感光層及びその上に保護層を形成した塗布膜(以下、単に塗布膜とも言う)を有する帯状支持体3aを搬送(図中の矢印方向)する搬送ロールを示す。5は塗膜を有する帯状支持体3aを乾燥する乾燥装置を示す。乾燥装置5は加熱空気により乾燥するエアーモード乾燥方式の乾燥装置(以下、エアーモード乾燥装置ともいう)、加熱不活性ガスにより乾燥するイナート乾燥方式の乾燥装置(以下、イナート乾燥装置ともいう)のいずれでもかまわない。乾燥装置5は乾燥条件を個別に制御することが可能となっている乾燥室501a〜501eを連続的に繋げた乾燥ゾーンを有している。更に詳しくは、本発明では乾燥室501aの塗布膜を有する帯状支持体3aの入り口506から乾燥室501eの出口507の間を乾燥ゾーンという。乾燥室の数は特に限定はなく、乾燥する塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜厚、搬送速度、乾燥温度、乾燥風量等により適宜変更が可能である。本図では乾燥室が5室の場合を示している。
【0035】
502a〜502eは塗布膜を有する帯状支持体3aに加熱風の吹き付け手段である吹き付け装置を示す。503a〜503eは加熱風の取り入れ口を示し、504a〜504eは出口を示す。505は塗布膜を有する帯状支持体3aへの加熱風の吹き出し口を示す。吹き出し口505の角度は特に限定はなく、例えば塗布膜を有する帯状支持体3aの塗膜面に対して、垂直に吹き出しても良いし、搬送方向に沿って平行となるように吹き出しても良いし、搬送方向と逆に向流として吹き出しても良い。吹き出し口505の角度は使用した塗布液の性質や設備上の都合により選択することが可能である。本図では塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面に対して、垂直に吹き出す場合を示している。Hは入り口506の高さを示す。
【0036】
以下に本図に示される乾燥装置5に適応する本発明の乾燥条件につき説明する。1)乾燥室501a〜501eの各乾燥室の温度は、一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度より5〜50℃高くなるように制御されている。5℃未満の場合は、乾燥が進まなくなり、結露を生じるため好ましくない。50℃を越えた場合は、乾燥が進みすぎ、塗布膜が乱れるため好ましくない。
【0037】
各乾燥室の温度制御は各室に配設された温度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の温度を制御することで行うことが可能である。
【0038】
2)塗布膜を有する帯状支持体3aが最初に入る乾燥室501aの温度は、塗布時の塗布液の温度と比較して0〜3℃高く、且つ乾燥室501aの入り口506は、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜の表面より0.1〜1mの高さを有している。尚、0〜3℃高くとは、塗布時の塗布液の温度と比較し塗布液の温度と同じ温度から3℃以内の範囲で高いことを意味する。
【0039】
乾燥室501aの温度が塗布時の塗布液の温度より低い場合は、乾燥が進まなくなり、塗布膜面に結露等が生じ故障の原因となるためため好ましくない。3℃を越えた場合は、乾燥が進みすぎ、塗布膜が乱れるため好ましくない。入り口506の塗布膜面からの高さは、0.1m未満の場合は、塗布膜に近接しすぎ、塗布膜の状態によっては風速により、故障が発生する危険があるため好ましくない。1mを越えた場合は、外部との導通が広がりすぎ、乾燥室の雰囲気を保持することが困難となるため好ましくない。
【0040】
3)乾燥室501a〜501eの各乾燥室の溶媒濃度は、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも0〜5vol%低くなるように制御されている。尚、0〜5vol%とは、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度と同じ溶媒濃度から5vol%以内で低いことを意味する。
【0041】
一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも低い場合は、使用している溶媒の種類によっては乾燥の遅れが生じる可能性があるため好ましくない。5vol%を越えた場合は、使用している溶媒の種類によっては乾燥が進み過ぎて、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0042】
各乾燥室の溶媒濃度制御は各室に配設された溶媒濃度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の温度、風量を制御することで行うことが可能である。
【0043】
4)乾燥室501a〜501eを有する乾燥装置5の乾燥ゾーンの風速は、乾燥室501aの入り口506から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室(本図では乾燥室501cが該当する)では、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面上の1〜20mmで、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度に対して50〜100%となっている。50%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。100%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0044】
又、残りの区間の乾燥室(本図では乾燥室501d、501eが該当する)では、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面上の1〜20mmで、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも5〜50%高くなっている。5%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。50%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0045】
5)乾燥室501a〜501eにおける塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面の垂直方向の距離1〜20mmでの上方から下方への風速が、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、一つ前の乾燥室より2〜50%高くなる様に制御する。2%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。50%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0046】
各乾燥室の風速の制御は、各室に配設された風速センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の風速を制御することで可能である。
【0047】
本図に示される乾燥装置5の乾燥条件を1)〜5)に示したが、これらの条件は単独でも良いし、少なくとも2つを組み合わせた乾燥条件とすることも可能である。
【0048】
図1に示される本発明の乾燥装置を使用することによる効果を以下に示す。
1)乾燥装置内部の乾燥ゾーンの塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口の乾燥雰囲気温度に傾斜をつけることにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、これにより乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0049】
2)塗布膜を有する帯状支持体が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度を塗布液温度より高くすることで、塗布膜面上の結露等を防止し、且つ溶媒蒸発速度を抑えることができるため、乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。又、入り口の高さを大きくすることで湿潤状態の塗布膜へ当たる乾燥風の影響を少なくすることができるため、乾燥風によるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0050】
3)乾燥装置内部の乾燥ゾーンの溶媒濃度が、塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの間で傾斜をつける様に乾燥を行うことにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、これにより乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0051】
4)塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの乾燥ゾーン内での乾燥風の風速を前半と後半とで変化することで、前半乾燥ムラを抑え、後半で確実に塗布膜を乾燥させ、未乾燥状態の発生を防止することが可能となった。
【0052】
5)塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの乾燥ゾーン内での塗布膜面上の乾燥風の風速に傾斜をつけることにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0053】
図2は本発明の主乾燥装置と副乾燥装置とを用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【0054】
図中、6は副乾燥装置を示し、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量が仕上がった製品の機能に影響を与える場合、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を調整する機能を有している。副乾燥装置6は主乾燥装置5aと離しても良いし、連続して設けても良い。本図では離した場合を示している。主乾燥装置5aは図1に示す乾燥装置5と同じ機能を有している。
【0055】
601は副乾燥装置6の外壁を示し、602は塗膜を有する帯状支持体3aの入り口を示し、603は出口を示す。604は温風の取り入れ口を示し、605は温風の出口を示す。温風の温度及び風量は調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。入り口602から出口603を副乾燥ゾーンといい、副乾燥ゾーンの長さは調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。
【0056】
副乾燥装置6は、乾燥後の塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を主乾燥装置5aのみで調整するのが困難の場合にのみ使用しても良く、また、予め、副乾燥装置6を使用して、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を調整するように主乾燥装置5aの乾燥条件を設定してもかまわない。
【0057】
607は副乾燥装置6内で塗布膜を有する帯状支持体3aを支持搬送する上側の支持ロールを示し、606は下側の支持ロールを示し、上側の支持ロール607及び下側の支持ロール606は温度の制御が可能な加熱ロールとなっている。
又、副乾燥装置6の副乾燥ゾーンの温度も制御が可能となっている。副乾燥装置6の乾燥温度は、副乾燥装置6の出口での塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜の温度を外部雰囲気温度に対して0〜1℃高くすることが好ましい。尚、0〜1℃高くとは、外部雰囲気温度と同じ温度から1℃以内で高くすることを意味する。外部雰囲気温度より低い場合は、外部雰囲気の湿度により、塗布膜面に結露が生じ故障の原因となる場合がある。1℃を越えた場合は、巻き取り装置の位置により、巻き取られた状態の塗布膜を有する帯状支持体の温度が一定とならず変動し故障の原因となる場合がある。
【0058】
副乾燥装置6は加熱空気により乾燥するエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。
【0059】
副乾燥ゾーン、上側の支持ロール607及び下側の支持ロール606の温度の制御は、副乾燥装置内に配設された温度センサ(不図示)、支持ロールに配設された温度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され、加熱風の温度及び支持ロールの加熱温度を制御することで可能である。
【0060】
上側の支持ロール607又は下側の支持ロール606は上下方向(図中の矢印方向)への移動が可能となっている。これにより塗布膜を有する帯状支持体3aの接触面積を調整することで、支持ロールの温度制御と合わせることでより精度良く、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量の調整が可能となっている。残留溶媒量とは塗布膜中に含まれる有機溶剤又は水の量を言う。他の符号は図1と同義である。
【0061】
図2に示される本発明の主乾燥装置及び副乾燥装置を備えた乾燥装置を使用することにより、図1に示される乾燥装置の効果に加えて次の効果が挙げられる。
【0062】
1)副乾燥装置を配設し、雰囲気温度、支持ロールの温度、支持ロールと塗布膜を有する帯状支持体との接触面積を調整することで残留溶媒量を最適化することが容易になり、品質の向上・安定化が可能となった。
【0063】
2)副乾燥装置により、残留溶媒量を最適化することが容易になったため、主乾燥装置の乾燥条件の管理を幅広く行うことが出来、主乾燥装置の管理が容易になった。
【0064】
3)副乾燥装置からでる塗布膜を有する帯状支持体の温度を制御することが可能となったため、塗布膜面上に結露の防止及び巻き取られた後の温度変動が少なくすることで出来、収縮、膨張等による故障の発生を防止することが可能となった。
【0065】
図3は非感光性保護層の上に最外層を塗設する塗布装置を有する熱現像感光材料製造装置の概略図である。
【0066】
図中、7は塗膜を有する帯状支持体3aを乾燥する第1乾燥装置を示す。第1乾燥装置7はエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。第1乾燥装置7は乾燥条件を個別に制御することが可能となっている乾燥室701a〜701dを連続的に繋げた乾燥ゾーンを有している。更に詳しくは、本発明では乾燥室701aの塗布膜を有する帯状支持体3aの入り口705から乾燥室701aの出口706の間を乾燥ゾーンという。乾燥室の数は特に限定はなく、乾燥する塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜厚、搬送速度、乾燥温度、乾燥風量等により適宜変更が可能である。本図では乾燥室が4室の場合を示している。
【0067】
702a〜702dは塗布膜を有する帯状支持体3aに加熱風の吹き付け手段である吹き付け装置を示す。703a〜703dは加熱風の取り入れ口を示し、704a〜704dは出口を示す。707は塗布膜を有する帯状支持体3aへの加熱風の吹き出し口を示す。吹き出し口707の角度は図1に示す乾燥装置5の吹き付け装置と同じである。
【0068】
第1乾燥装置7は図1に示す乾燥装置5と同じ機能と構造を有しており、乾燥装置5に適応する乾燥条件1)〜5)を適応することが可能となっている。
【0069】
8は図2に示す副乾燥装置6と同じ機能と構造を有している第2乾燥装置を示す。第2乾燥装置8は第1乾燥装置7と離しても良いし、連続して設けても良い。本図では離した場合を示している。
【0070】
801は第2乾燥装置8の外壁を示し、802は塗膜を有する帯状支持体3aの入り口を示し、803は出口を示す。804は温風の入り口を示し、805は温風の出口を示す。温風の温度及び風量は調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。入り口802から出口803を乾燥ゾーンといい、乾燥ゾーンの長さは調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。
【0071】
807は第2乾燥装置8内で塗布膜を有する帯状支持体3aを支持搬送する上側の支持ロールを示し、806は下側の支持ロールを示し、上側の支持ロール807及び下側の支持ロール806は温度の制御が可能な加熱ロールとなっている。又、第2乾燥装置8の乾燥ゾーンの温度も制御が可能となっている。第2乾燥装置8の乾燥条件は、図2に示す副乾燥装置6と同じとなっている。
【0072】
第2乾燥装置8はエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。第2乾燥装置8の乾燥ゾーンの上側の支持ロール807及び下側の支持ロール806の温度の制御は、図2に示す副乾燥装置6の支持ロールと同じ方法で行うことが可能である。
【0073】
上側の支持ロール807又は下側の支持ロール806は上下方向(図中の矢印方向)への移動が可能となっている。これにより塗布膜を有する帯状支持体3aの接触面積を調整することで、支持ロールの温度制御と合わせることでより精度良く、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量(残留水分量)の調整が可能となっている。
【0074】
9は非感光性保護層の上に最外層を設ける塗布装置を示す。塗布装置9としては、インクジェットヘッドもしくはスプレーガンが好ましい。最外層の厚さは、湿潤状態で0.5〜3μmである。0.5μm未満の場合は、塗布膜としての形成が困難となり、膜厚分布が不良となるため好ましくない。3μmを越える場合は、最外層の種類によっては乾燥不足となるため好ましくない。
【0075】
最外層は、表面状態の改質のために非感光性保護層の上に設けられている。最外層を形成するのに使用する塗布液としては、感光層用の塗布液に含まれる合成高分子化合物および溶媒とは異なる合成高分子化合物および溶媒を含有している。合成高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等がが挙げられる。溶媒としては、例えば純水、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの溶媒に0.1〜5質量%になるように合成高分子化合物を溶解し、塗布液として使用される。
【0076】
10は最外層を乾燥するために配設された第3乾燥装置を示す。第3乾燥装置10は、エアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもよく、使用する溶媒の種類により適宜選択が可能となっている。
【0077】
10aは第3乾燥装置の外壁を示し、10bは最外層を有する帯状支持体3bの入り口を示し、10cは出口を示す。10dは温風の入り口を示し、10eは温風の出口を示す。温風の温度及び風量は最外層を有する帯状支持体3b溶媒量により決めることが可能である。入り口10bから出口10cを乾燥ゾーンといい、乾燥ゾーンの長さは最外層を有する帯状支持体3b溶媒量により決めることが可能である。10fは搬送用の支持ローラを示す。
【0078】
第3乾燥装置の温度は、外部温度と同じか100℃以内で高くなるように制御が可能となっている。制御方法は第1乾燥装置の温度制御と同じ方法で行うことが可能である。他の符号は図1と同義である。
【0079】
本図に示される熱現像感光材料製造装置を使用することによる効果を以下に示す。図1及び図2に示される乾燥装置の効果に、更に最外層を塗設することが出来ることで、平滑性を上げ外気との接触を防止することで品質向上・安定化が可能となった。
【0080】
図1〜図3に示す乾燥装置で蒸発した溶剤は、加熱風と共に回収装置(不図示)へ導入され回収される。又、加熱風が不活性ガスの場合は再度加熱され循環して乾燥に使用することが好ましい。乾燥装置は乾燥温度を安定に保ち、乾燥効率を上げるため乾燥装置の外壁は断熱パネル等で覆われていることが好ましい。
【0081】
コータから乾燥装置の入り口までは、塗膜面が未乾燥であり、塗膜面に付着した異物は塗膜面に接着してしまい故障の原因の一つにもなることから周辺のクリーン度は高く保つ必要がある。乾燥装置内のクリーン度は製造する製品の性格にもよるが、クラス1000以下、好ましくはクラス100以下とすることが好ましい。
【0082】
本発明に係る熱現像感光材料は、支持体上に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子、還元剤を有する有機溶媒を30質量%以上含有する塗布液を塗布して形成された感光層と、感光層の上に非感光性保護層とを有し、更に非感光性保護層の上に最外層を有していても良い。
【0083】
感光層に有機溶媒を30質量%以上、好ましくは30〜98質量%含有する塗布液を塗布して形成された層を有する場合、水分の吸脱湿が早く、現像処理の環境湿度で性能が大きく変動してしまうことがあるが、マイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスを含有するアクリル系疎水性樹脂層を有することにより、湿度依存性が著しく改善されることが知られている。
【0084】
本発明に係るマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスとしては、日本精蝋(株)製のEMUSTAR−0001、EMUSTAR−0135等を挙げることが出来る。
【0085】
本発明に係る熱現像感光材料は、アクリル系疎水性樹脂層に、フタラジン化合物、ポリエチレンイミンを含有することが好ましい。好ましく用いられるフタラジン化合物としては、例えば、特開2000−10232号に記載の一般式(I)で表される化合物(例示化合物I−1〜I−84)等が挙げられる。ポリエチレンイミンとしては通常市販されているものが使用可能であり、例えば、Lapasol(BASF社製)、エポミン(日本触媒社製)等が挙げられる。
【0086】
感光層に含有される有機銀粒子(有機銀塩または有機銀塩粒子ともいう)は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは5〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環カルボン酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下RD)第17029及び29963に記載されている。
【0087】
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。
例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0088】
本発明に係る熱現像感光材料の感光層に含有されるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01〜0.03μmの範囲である。尚、本発明の熱現像感光材料のハロゲン化銀粒子は前記有機銀塩調製時に同時に作製されるか、又は前記有機銀塩調製時に該ハロゲン化銀粒子を混在させて調製することにより、有機銀塩に融着した状態でハロゲン化銀粒子を形成させて微小粒子のいわゆるin situ銀とするのが好ましい。尚、上記ハロゲン化銀粒子の平均粒子径の測定方法は、電子顕微鏡により50000倍で撮影し、それぞれのハロゲン化銀粒子の長辺と短辺を実測し、100個の粒子を測定し、平均したものを平均粒径とする。
【0089】
ここで、上記粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0090】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子は平均粒径0.01〜0.03μmで、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0091】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0092】
又もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3以上、50以下である。又粒径は0.03μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.03μmが好ましい。これらの製法は米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
【0093】
ハロゲン化銀粒子の組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0094】
ハロゲン化銀粒子には、照度不軌改良や階調調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0095】
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0096】
ハロゲン化銀粒子は、化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0097】
本発明においては熱現像感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3〜2.2gであり、0.5〜1.5gがより好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0098】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は350〜450μmに光の極大吸収を有し、特に増感色素を有してなくてもよいが、必要に応じて含有させてもよい。
【0099】
本発明に係る熱現像感光材料の感光層、非感光性保護層、最外層にはバインダーを用いる。用いられるバインダーは親水性バインダー(水に溶解するバインダー若しくはラテックス類)又は疎水性バインダー(有機溶剤に溶解するバインダー)の何れでもよいが、感光層、非感光性保護層のバインダーが互いに同一の溶剤系に溶解するバインダーであるのが好ましく、最外層は感光層、非感光性保護層と異なるバインダー及び溶剤が使用されている。
【0100】
各層に用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然高分子化合物や高分子化合物、その他フィルムを形成する媒体となるものが用いられる。
【0101】
本発明に係る熱現像感光材料には、一般に熱現像感光材料に用いられるカブリ防止剤、色調剤、硬膜剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤、フィルター染料、マット剤、滑り剤、塗布助剤、界面活性剤等を用いても良い。
【0102】
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため及び現像処理後の画像の変形を防ぐために、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0103】
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチックの支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0104】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などである。
【0105】
感光層、非感光性保護層の塗布方式としては、リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、ワイヤーバーコータ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ或いはスプレーコータ、エクストルージョンコータがあるが、エクストルージョン方式のエクストルージョンコータによりウェット−オン−ウェット方式の重層塗布を行うのがより好ましい。
【0106】
尚、ウェット−オン−ウェット方式における重層塗布においては、下側の層が湿潤状態になったままで上側の層を塗布するので、上下層間の接着性が向上するとともに、塗布を一度で終了させるので塗布面に傷が入り難く、平滑性が良いため現像むらが出にくく、更に歩留まりを向上させることができる。
【0107】
以下に、本発明の効果を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
【実施例】
実施例1
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0109】
〈感光層塗布液〉
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10−6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10−6モルを含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し、NaOHでpHを5に調整して、平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理を行った後、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに、得られたハロゲン化銀乳剤に、塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行いハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0110】
上記単分散度及び投影直径面積の変動係数は、下式により算出した。
単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
投影直径面積の変動係数(%)=(投影直径面積の標準偏差)/(投影直径面積の平均値)×100
《ベヘン酸Na溶液の調製》
945mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
(プレフォーム乳剤の調製)
上記のベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1モル/Lの硝酸銀溶液147mlを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。出来たベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させ、次に、ポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544gとトルエン107gを徐々に添加して混合した後に、メディア分散機により27.6MPaで分散させプレフォーム乳剤を調製した。
【0111】
〈感光層塗布液の調製〉
【0112】
【化1】
【0113】
〈非感光性保護層塗布液〉
《非感光性保護層塗布液の調製》
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表1に示す様に図1に示す乾燥装置の各乾燥室の乾燥雰囲気温度を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料101〜105とした。
【0114】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)を0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。
乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。各乾燥室の乾燥雰囲気温度の()内の数値は一つ前の乾燥室との温度差を示す。
【0115】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0116】
〈評価〉
作製した試料101〜105につき、塗布膜面を目視により観察し、以下の評価ランクにより評価を行い、その結果を表1に示す。
【0117】
評価ランク
○:乾燥ムラがない
△:性能に悪影響を与えないが僅かに部分的に認められる
×:性能に悪影響を与える乾燥ムラが部分的に認められる
【0118】
【表1】
【0119】
実施例2
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0120】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0121】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表2に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度及び乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料201〜211とした。
【0122】
尚、他の乾燥条件として、各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。
【0123】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0124】
〈評価〉
作製した試料201〜211につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表2に示す。
【0125】
尚、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度は塗布液との温度差を示す。
【0126】
【表2】
【0127】
実施例3
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0128】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0129】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表3に示す様に図1に示す乾燥装置の支持体の走行方向に対する各乾燥室の溶媒濃度を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料301〜304とした。
【0130】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。
【0131】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0132】
〈評価〉
作製した試料301〜304につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表3に示す。
【0133】
【表3】
【0134】
実施例4
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0135】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0136】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表4に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜面から垂直方向の距離と風速を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料401〜412とした。図1に示す乾燥装置の各乾燥室501a〜501eの内、501a〜501cが乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室を示す。
【0137】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の風速より2%高くなる様に制御した。
【0138】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0139】
〈評価〉
作製した試料401〜412につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
実施例5
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0142】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0143】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表5に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜面から垂直方向の距離と塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して各乾燥室の風速を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料501〜509とした。
【0144】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、入り口の乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。又、乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%以上50%以内で低くし、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも5%以上30%以下で高くした。
【0145】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0146】
〈評価〉
作製した試料501〜509につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表5に示す。
【0147】
【表5】
【0148】
実施例6
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0149】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0150】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図2に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表6に示す様に図2示す副乾燥装置の支持ロールの塗布膜を有する帯状支持体との接触面積を変化した乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料601〜603とした。副乾燥装置の乾燥温度は外部雰囲気温度より0.5℃高くし、乾燥風の風速は0.5m/secとした。
【0151】
尚、図2に示す乾燥装置は、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとし、各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。た。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。
各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より0%大きくなる様に制御した。
【0152】
〈評価〉
作製した試料601〜603につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表6に示す。
【0153】
【表6】
【0154】
実施例7
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液、非感光性保護層塗布液及び最外層塗布液を調製した。
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
〈最外層塗布液の調製〉
純水1Lにポリビニルアルコール30gを溶解し最外層塗布液とした。
【0155】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を図3に示す熱現像感光材料製造装置を使用して、実施例1と同じ条件で塗布した後、実施例6の試料No.603と同じ条件で乾燥した後、調製した最外層塗布液をインクジェットヘッドを使用して表7に示す様に塗布膜厚の変化を行い非感光性保護層上に塗設・乾燥し熱現像感光材料を作製し試料701〜706とした。
【0156】
尚、最外層塗設後の乾燥は、80℃で、風速0.5m/secで行った。
〈評価〉
作製した試料701〜706につき、目視により塗布膜表面の状態を観察し、以下に示す評価ランクにより評価を行い、その結果を表7に示す。
【0157】
○:故障がない
△:実質的に問題とならない故障が見られる
×:未塗布部及びスポット故障等があり実用化は困難と判断
【0158】
【表7】
【0159】
【発明の効果】
乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法を提供することができ、製品の品質向上と安定化及び収率向上が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【図2】本発明の主乾燥装置と副乾燥装置とを用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【図3】非感光性保護層の上に最外層を塗設する塗布装置を有する熱現像感光材料製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1 コータ
2 バックロール
3 帯状支持体
5 乾燥装置
5a 主乾燥装置
501a〜501e 乾燥室
502a〜502e、702a〜702d 吹き付け装置
505 吹き出し口
6 副乾燥装置
606、607、807、806 支持ロール
7 第1乾燥装置
8 第2燥装置
9 塗布装置
10 第3乾燥装置
【発明の属する技術分野】
本発明は連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層(以下、保護層ともいう)を含む塗布膜より、溶媒を蒸発させることができる乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらの装置を用いた熱現像感光材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点から、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる画像形成材料として、熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像感光材料が採用される様になって来た。
【0003】
このような熱現像感光材料は、還元可能な銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)及び還元剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有する画像形成層を有しており、常温で安定であるが、露光後高温に加熱した場合に還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対象をなし、画像の形成がなされる。
【0004】
各構成層を塗布する方法としては、例えばスライド型ダイコータを使用しスライド塗布法、エクストルージョン型ダイコータを使用したエクストルージョン塗布法、カーテン型ダイコータを使用しカーテン塗布法等の前計量タイプの塗布法が広く用いられている。この塗布では、均一な塗布膜厚を得るために、支持体の平面性を保持すること及び塗布液吐出位置と支持体との距離であるコータギャップを安定に保持するため塗布位置で支持体をバックロールで支持することが広く行われている。
【0005】
熱現像感光材料は、一般的に各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を支持体に塗布した後、支持搬送させながら、支持体上の液状の塗布膜を乾燥工程で溶媒を除去し、乾燥終了後巻き取り製造されている。
【0006】
乾燥工程は、塗布直後の塗布膜面を加熱した雰囲気、加熱風が当たる雰囲気にさらすために、塗布膜面の性状に影響を与える重要な工程となっている。一般的に乾燥工程における塗布膜面に与える問題として加熱風が当たることにより塗膜表面が乱され、表面の平滑度を失い、所謂まだらムラが生じたり、乾燥工程内の温度、加熱風の風量等のバラツキにより乾燥ムラが生じたりすることが知られている。特に、塗布液の溶媒に有機溶剤を使用している場合は、この様な傾向が強いことが知られている。
【0007】
この様な故障が発生しては、生産効率を上げることが困難となるため、乾燥条件に対してはいろいろの対策が取られてきた。例えば、支持体上に塗布した塗膜を乾燥する乾燥工程で、塗布後10秒以内はマイクロウェーブによる加熱により乾燥を行い、10秒から20秒までは温度を制御した乾燥風を風速が0.1〜10m/秒で塗布面へ吹き付けることによりふかれムラを防止した乾燥を行う方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0008】
塗布膜面に吹き付ける風の角度を規定することによりふかれムラを防止した乾燥を行う方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0009】
乾燥工程の温度にバラツキによる乾燥ムラを防止するために初期の乾燥温度を室温より高く、且つ後期乾燥時の乾燥温度よりも低く設定する方法が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0010】
しかしながら、これらの方法を熱現像感光材料用の乾燥装置、製造装置及びこれらを使用して熱現像感光材料を製造した場合、ある程度までは改良はされるのであるが、未だ充分とはならないため、本来の性能を充分に引き出せない状態で製造を行っているのが現状である。この様な状況から、乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法の開発が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−329463号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平10−68587号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭50−20355号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、その目的は、乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0016】
1)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は、該支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度よりも5〜50℃高く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0017】
2)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、該塗布膜が最初に入る前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は塗布時の塗布液温度と比較し0〜3℃高く、且つ乾燥室の入り口は、前記塗布膜の表面より0.1〜1mの高さを有していることを特徴とする乾燥装置。
【0018】
3)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは各乾燥室の溶媒濃度が、該支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも0〜5vol%低く制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0019】
4)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の入り口から前記乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、支持体の搬送速度に対して50〜100%で、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、該支持体の搬送速度よりも5〜50%高いことを特徴とする乾燥装置。
【0020】
5)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の塗布膜面の垂直方向の距離1〜20mmでの上方から下方への風速が、支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室より2〜50%高くなる様に制御されていることを特徴とする乾燥装置。
【0021】
6)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する主乾燥装置と、該乾燥装置より下流に副乾燥装置とを有する乾燥装置において、
該主乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該副乾燥装置は乾燥雰囲気温度と該支持体の支持ロールの温度とが制御可能で、且つ、該支持ロールへの支持体の接触面積が調整可能であることを特徴とする乾燥装置。
【0022】
7)前記副乾燥装置は、出口での塗布膜の温度が外部雰囲気温度に対して0〜1℃高いことを特徴とする6)に記載の乾燥装置。
【0023】
8)前記乾燥室は、各々少なくとも1箇所のイナートガス供給部および少なくとも1箇所のガス排気部を有していることを特徴とする1)〜7)の何れか1項に記載の乾燥装置。
【0024】
9)前記乾燥ゾーンは、塗布膜が最初に入る乾燥室の天井は入り口よりも高いことを特徴とする1)〜8)の何れか1項に記載の乾燥装置。
【0025】
10)1)〜9)の何れか1項に記載の乾燥装置を使用して熱現像感光材料を製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0026】
11)連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の個別に制御可能な複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する第1乾燥装置と、
該乾燥装置より下流に第2乾燥装置と、
該第2乾燥装置より下流で該非感光性保護層の上に湿潤状態で0.5〜3μmの厚さで最外層を設ける塗布装置と、
該塗布装置の下流側に第3乾燥装置とを有していることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0027】
12)前記塗布装置が、インクジェットヘッドもしくはスプレーガンであることを特徴とする11)に記載の熱現像感光材料製造装置。
【0028】
13)11)に記載の第1乾燥装置は、1)〜7)の何れか1項に記載されている乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0029】
14)11)に記載の第2乾燥装置は、6)〜9)の何れか1項に記載されている副乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
【0030】
15)11)〜14)の何れか1項に記載の熱現像感光材料製造装置を使用して製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0031】
16)11)に記載の熱現像感光材料製造装置を用いて、有機銀成分を含有する感光層と、その上に非感光性保護層と、最外層とを有する熱現像感光材料の製造方法において、
該最外層用の塗布液は感光層用の塗布液に含まれる合成高分子化合物および溶媒とは異なる合成高分子化合物および溶媒を含有していることを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態を図1〜図3を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
図1は本発明の乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。図1の(a)は複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。図1の(b)は図1の(a)のPで示される部分の拡大概略図である。
【0034】
図中、1はバックロール2で塗布位置が保持され、連続搬送する帯状支持体3に有機銀成分を含有する感光層及びその上に保護層を形成する塗布液を塗布するコータを示す。4a〜4cは感光層及びその上に保護層を形成した塗布膜(以下、単に塗布膜とも言う)を有する帯状支持体3aを搬送(図中の矢印方向)する搬送ロールを示す。5は塗膜を有する帯状支持体3aを乾燥する乾燥装置を示す。乾燥装置5は加熱空気により乾燥するエアーモード乾燥方式の乾燥装置(以下、エアーモード乾燥装置ともいう)、加熱不活性ガスにより乾燥するイナート乾燥方式の乾燥装置(以下、イナート乾燥装置ともいう)のいずれでもかまわない。乾燥装置5は乾燥条件を個別に制御することが可能となっている乾燥室501a〜501eを連続的に繋げた乾燥ゾーンを有している。更に詳しくは、本発明では乾燥室501aの塗布膜を有する帯状支持体3aの入り口506から乾燥室501eの出口507の間を乾燥ゾーンという。乾燥室の数は特に限定はなく、乾燥する塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜厚、搬送速度、乾燥温度、乾燥風量等により適宜変更が可能である。本図では乾燥室が5室の場合を示している。
【0035】
502a〜502eは塗布膜を有する帯状支持体3aに加熱風の吹き付け手段である吹き付け装置を示す。503a〜503eは加熱風の取り入れ口を示し、504a〜504eは出口を示す。505は塗布膜を有する帯状支持体3aへの加熱風の吹き出し口を示す。吹き出し口505の角度は特に限定はなく、例えば塗布膜を有する帯状支持体3aの塗膜面に対して、垂直に吹き出しても良いし、搬送方向に沿って平行となるように吹き出しても良いし、搬送方向と逆に向流として吹き出しても良い。吹き出し口505の角度は使用した塗布液の性質や設備上の都合により選択することが可能である。本図では塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面に対して、垂直に吹き出す場合を示している。Hは入り口506の高さを示す。
【0036】
以下に本図に示される乾燥装置5に適応する本発明の乾燥条件につき説明する。1)乾燥室501a〜501eの各乾燥室の温度は、一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度より5〜50℃高くなるように制御されている。5℃未満の場合は、乾燥が進まなくなり、結露を生じるため好ましくない。50℃を越えた場合は、乾燥が進みすぎ、塗布膜が乱れるため好ましくない。
【0037】
各乾燥室の温度制御は各室に配設された温度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の温度を制御することで行うことが可能である。
【0038】
2)塗布膜を有する帯状支持体3aが最初に入る乾燥室501aの温度は、塗布時の塗布液の温度と比較して0〜3℃高く、且つ乾燥室501aの入り口506は、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜の表面より0.1〜1mの高さを有している。尚、0〜3℃高くとは、塗布時の塗布液の温度と比較し塗布液の温度と同じ温度から3℃以内の範囲で高いことを意味する。
【0039】
乾燥室501aの温度が塗布時の塗布液の温度より低い場合は、乾燥が進まなくなり、塗布膜面に結露等が生じ故障の原因となるためため好ましくない。3℃を越えた場合は、乾燥が進みすぎ、塗布膜が乱れるため好ましくない。入り口506の塗布膜面からの高さは、0.1m未満の場合は、塗布膜に近接しすぎ、塗布膜の状態によっては風速により、故障が発生する危険があるため好ましくない。1mを越えた場合は、外部との導通が広がりすぎ、乾燥室の雰囲気を保持することが困難となるため好ましくない。
【0040】
3)乾燥室501a〜501eの各乾燥室の溶媒濃度は、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも0〜5vol%低くなるように制御されている。尚、0〜5vol%とは、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度と同じ溶媒濃度から5vol%以内で低いことを意味する。
【0041】
一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも低い場合は、使用している溶媒の種類によっては乾燥の遅れが生じる可能性があるため好ましくない。5vol%を越えた場合は、使用している溶媒の種類によっては乾燥が進み過ぎて、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0042】
各乾燥室の溶媒濃度制御は各室に配設された溶媒濃度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の温度、風量を制御することで行うことが可能である。
【0043】
4)乾燥室501a〜501eを有する乾燥装置5の乾燥ゾーンの風速は、乾燥室501aの入り口506から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室(本図では乾燥室501cが該当する)では、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面上の1〜20mmで、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度に対して50〜100%となっている。50%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。100%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0044】
又、残りの区間の乾燥室(本図では乾燥室501d、501eが該当する)では、塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面上の1〜20mmで、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも5〜50%高くなっている。5%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。50%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0045】
5)乾燥室501a〜501eにおける塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜面の垂直方向の距離1〜20mmでの上方から下方への風速が、塗布膜を有する帯状支持体3aの搬送方向(図中の矢印方向)に対して、一つ前の乾燥室より2〜50%高くなる様に制御する。2%未満の場合は、乾燥風の供給が少なくなり、乾燥の遅れが生じる危険があるため好ましくない。50%を越えた場合は、乾燥風の供給が過剰となり、塗布膜が乱れる危険があるため好ましくない。
【0046】
各乾燥室の風速の制御は、各室に配設された風速センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され加熱風の風速を制御することで可能である。
【0047】
本図に示される乾燥装置5の乾燥条件を1)〜5)に示したが、これらの条件は単独でも良いし、少なくとも2つを組み合わせた乾燥条件とすることも可能である。
【0048】
図1に示される本発明の乾燥装置を使用することによる効果を以下に示す。
1)乾燥装置内部の乾燥ゾーンの塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口の乾燥雰囲気温度に傾斜をつけることにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、これにより乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0049】
2)塗布膜を有する帯状支持体が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度を塗布液温度より高くすることで、塗布膜面上の結露等を防止し、且つ溶媒蒸発速度を抑えることができるため、乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。又、入り口の高さを大きくすることで湿潤状態の塗布膜へ当たる乾燥風の影響を少なくすることができるため、乾燥風によるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0050】
3)乾燥装置内部の乾燥ゾーンの溶媒濃度が、塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの間で傾斜をつける様に乾燥を行うことにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、これにより乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0051】
4)塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの乾燥ゾーン内での乾燥風の風速を前半と後半とで変化することで、前半乾燥ムラを抑え、後半で確実に塗布膜を乾燥させ、未乾燥状態の発生を防止することが可能となった。
【0052】
5)塗布膜を有する帯状支持体の入り口から出口までの乾燥ゾーン内での塗布膜面上の乾燥風の風速に傾斜をつけることにより、乾燥進行に伴う溶媒蒸発速度を(急激な上昇ではなく)階段状に上昇させることができ、乾燥ムラによるムラ状欠陥を防止することが可能となった。
【0053】
図2は本発明の主乾燥装置と副乾燥装置とを用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【0054】
図中、6は副乾燥装置を示し、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量が仕上がった製品の機能に影響を与える場合、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を調整する機能を有している。副乾燥装置6は主乾燥装置5aと離しても良いし、連続して設けても良い。本図では離した場合を示している。主乾燥装置5aは図1に示す乾燥装置5と同じ機能を有している。
【0055】
601は副乾燥装置6の外壁を示し、602は塗膜を有する帯状支持体3aの入り口を示し、603は出口を示す。604は温風の取り入れ口を示し、605は温風の出口を示す。温風の温度及び風量は調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。入り口602から出口603を副乾燥ゾーンといい、副乾燥ゾーンの長さは調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。
【0056】
副乾燥装置6は、乾燥後の塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を主乾燥装置5aのみで調整するのが困難の場合にのみ使用しても良く、また、予め、副乾燥装置6を使用して、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量を調整するように主乾燥装置5aの乾燥条件を設定してもかまわない。
【0057】
607は副乾燥装置6内で塗布膜を有する帯状支持体3aを支持搬送する上側の支持ロールを示し、606は下側の支持ロールを示し、上側の支持ロール607及び下側の支持ロール606は温度の制御が可能な加熱ロールとなっている。
又、副乾燥装置6の副乾燥ゾーンの温度も制御が可能となっている。副乾燥装置6の乾燥温度は、副乾燥装置6の出口での塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜の温度を外部雰囲気温度に対して0〜1℃高くすることが好ましい。尚、0〜1℃高くとは、外部雰囲気温度と同じ温度から1℃以内で高くすることを意味する。外部雰囲気温度より低い場合は、外部雰囲気の湿度により、塗布膜面に結露が生じ故障の原因となる場合がある。1℃を越えた場合は、巻き取り装置の位置により、巻き取られた状態の塗布膜を有する帯状支持体の温度が一定とならず変動し故障の原因となる場合がある。
【0058】
副乾燥装置6は加熱空気により乾燥するエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。
【0059】
副乾燥ゾーン、上側の支持ロール607及び下側の支持ロール606の温度の制御は、副乾燥装置内に配設された温度センサ(不図示)、支持ロールに配設された温度センサ(不図示)からの情報をCPUとメモリとを有する制御部(不図示)により演算処理され、加熱風の温度及び支持ロールの加熱温度を制御することで可能である。
【0060】
上側の支持ロール607又は下側の支持ロール606は上下方向(図中の矢印方向)への移動が可能となっている。これにより塗布膜を有する帯状支持体3aの接触面積を調整することで、支持ロールの温度制御と合わせることでより精度良く、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量の調整が可能となっている。残留溶媒量とは塗布膜中に含まれる有機溶剤又は水の量を言う。他の符号は図1と同義である。
【0061】
図2に示される本発明の主乾燥装置及び副乾燥装置を備えた乾燥装置を使用することにより、図1に示される乾燥装置の効果に加えて次の効果が挙げられる。
【0062】
1)副乾燥装置を配設し、雰囲気温度、支持ロールの温度、支持ロールと塗布膜を有する帯状支持体との接触面積を調整することで残留溶媒量を最適化することが容易になり、品質の向上・安定化が可能となった。
【0063】
2)副乾燥装置により、残留溶媒量を最適化することが容易になったため、主乾燥装置の乾燥条件の管理を幅広く行うことが出来、主乾燥装置の管理が容易になった。
【0064】
3)副乾燥装置からでる塗布膜を有する帯状支持体の温度を制御することが可能となったため、塗布膜面上に結露の防止及び巻き取られた後の温度変動が少なくすることで出来、収縮、膨張等による故障の発生を防止することが可能となった。
【0065】
図3は非感光性保護層の上に最外層を塗設する塗布装置を有する熱現像感光材料製造装置の概略図である。
【0066】
図中、7は塗膜を有する帯状支持体3aを乾燥する第1乾燥装置を示す。第1乾燥装置7はエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。第1乾燥装置7は乾燥条件を個別に制御することが可能となっている乾燥室701a〜701dを連続的に繋げた乾燥ゾーンを有している。更に詳しくは、本発明では乾燥室701aの塗布膜を有する帯状支持体3aの入り口705から乾燥室701aの出口706の間を乾燥ゾーンという。乾燥室の数は特に限定はなく、乾燥する塗布膜を有する帯状支持体3aの塗布膜厚、搬送速度、乾燥温度、乾燥風量等により適宜変更が可能である。本図では乾燥室が4室の場合を示している。
【0067】
702a〜702dは塗布膜を有する帯状支持体3aに加熱風の吹き付け手段である吹き付け装置を示す。703a〜703dは加熱風の取り入れ口を示し、704a〜704dは出口を示す。707は塗布膜を有する帯状支持体3aへの加熱風の吹き出し口を示す。吹き出し口707の角度は図1に示す乾燥装置5の吹き付け装置と同じである。
【0068】
第1乾燥装置7は図1に示す乾燥装置5と同じ機能と構造を有しており、乾燥装置5に適応する乾燥条件1)〜5)を適応することが可能となっている。
【0069】
8は図2に示す副乾燥装置6と同じ機能と構造を有している第2乾燥装置を示す。第2乾燥装置8は第1乾燥装置7と離しても良いし、連続して設けても良い。本図では離した場合を示している。
【0070】
801は第2乾燥装置8の外壁を示し、802は塗膜を有する帯状支持体3aの入り口を示し、803は出口を示す。804は温風の入り口を示し、805は温風の出口を示す。温風の温度及び風量は調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。入り口802から出口803を乾燥ゾーンといい、乾燥ゾーンの長さは調整を必要とする塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量により決めることが可能である。
【0071】
807は第2乾燥装置8内で塗布膜を有する帯状支持体3aを支持搬送する上側の支持ロールを示し、806は下側の支持ロールを示し、上側の支持ロール807及び下側の支持ロール806は温度の制御が可能な加熱ロールとなっている。又、第2乾燥装置8の乾燥ゾーンの温度も制御が可能となっている。第2乾燥装置8の乾燥条件は、図2に示す副乾燥装置6と同じとなっている。
【0072】
第2乾燥装置8はエアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもかまわない。第2乾燥装置8の乾燥ゾーンの上側の支持ロール807及び下側の支持ロール806の温度の制御は、図2に示す副乾燥装置6の支持ロールと同じ方法で行うことが可能である。
【0073】
上側の支持ロール807又は下側の支持ロール806は上下方向(図中の矢印方向)への移動が可能となっている。これにより塗布膜を有する帯状支持体3aの接触面積を調整することで、支持ロールの温度制御と合わせることでより精度良く、塗布膜を有する帯状支持体3aの残留溶媒量(残留水分量)の調整が可能となっている。
【0074】
9は非感光性保護層の上に最外層を設ける塗布装置を示す。塗布装置9としては、インクジェットヘッドもしくはスプレーガンが好ましい。最外層の厚さは、湿潤状態で0.5〜3μmである。0.5μm未満の場合は、塗布膜としての形成が困難となり、膜厚分布が不良となるため好ましくない。3μmを越える場合は、最外層の種類によっては乾燥不足となるため好ましくない。
【0075】
最外層は、表面状態の改質のために非感光性保護層の上に設けられている。最外層を形成するのに使用する塗布液としては、感光層用の塗布液に含まれる合成高分子化合物および溶媒とは異なる合成高分子化合物および溶媒を含有している。合成高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等がが挙げられる。溶媒としては、例えば純水、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの溶媒に0.1〜5質量%になるように合成高分子化合物を溶解し、塗布液として使用される。
【0076】
10は最外層を乾燥するために配設された第3乾燥装置を示す。第3乾燥装置10は、エアーモード乾燥装置又はイナート乾燥装置のいずれでもよく、使用する溶媒の種類により適宜選択が可能となっている。
【0077】
10aは第3乾燥装置の外壁を示し、10bは最外層を有する帯状支持体3bの入り口を示し、10cは出口を示す。10dは温風の入り口を示し、10eは温風の出口を示す。温風の温度及び風量は最外層を有する帯状支持体3b溶媒量により決めることが可能である。入り口10bから出口10cを乾燥ゾーンといい、乾燥ゾーンの長さは最外層を有する帯状支持体3b溶媒量により決めることが可能である。10fは搬送用の支持ローラを示す。
【0078】
第3乾燥装置の温度は、外部温度と同じか100℃以内で高くなるように制御が可能となっている。制御方法は第1乾燥装置の温度制御と同じ方法で行うことが可能である。他の符号は図1と同義である。
【0079】
本図に示される熱現像感光材料製造装置を使用することによる効果を以下に示す。図1及び図2に示される乾燥装置の効果に、更に最外層を塗設することが出来ることで、平滑性を上げ外気との接触を防止することで品質向上・安定化が可能となった。
【0080】
図1〜図3に示す乾燥装置で蒸発した溶剤は、加熱風と共に回収装置(不図示)へ導入され回収される。又、加熱風が不活性ガスの場合は再度加熱され循環して乾燥に使用することが好ましい。乾燥装置は乾燥温度を安定に保ち、乾燥効率を上げるため乾燥装置の外壁は断熱パネル等で覆われていることが好ましい。
【0081】
コータから乾燥装置の入り口までは、塗膜面が未乾燥であり、塗膜面に付着した異物は塗膜面に接着してしまい故障の原因の一つにもなることから周辺のクリーン度は高く保つ必要がある。乾燥装置内のクリーン度は製造する製品の性格にもよるが、クラス1000以下、好ましくはクラス100以下とすることが好ましい。
【0082】
本発明に係る熱現像感光材料は、支持体上に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子、還元剤を有する有機溶媒を30質量%以上含有する塗布液を塗布して形成された感光層と、感光層の上に非感光性保護層とを有し、更に非感光性保護層の上に最外層を有していても良い。
【0083】
感光層に有機溶媒を30質量%以上、好ましくは30〜98質量%含有する塗布液を塗布して形成された層を有する場合、水分の吸脱湿が早く、現像処理の環境湿度で性能が大きく変動してしまうことがあるが、マイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスを含有するアクリル系疎水性樹脂層を有することにより、湿度依存性が著しく改善されることが知られている。
【0084】
本発明に係るマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスとしては、日本精蝋(株)製のEMUSTAR−0001、EMUSTAR−0135等を挙げることが出来る。
【0085】
本発明に係る熱現像感光材料は、アクリル系疎水性樹脂層に、フタラジン化合物、ポリエチレンイミンを含有することが好ましい。好ましく用いられるフタラジン化合物としては、例えば、特開2000−10232号に記載の一般式(I)で表される化合物(例示化合物I−1〜I−84)等が挙げられる。ポリエチレンイミンとしては通常市販されているものが使用可能であり、例えば、Lapasol(BASF社製)、エポミン(日本触媒社製)等が挙げられる。
【0086】
感光層に含有される有機銀粒子(有機銀塩または有機銀塩粒子ともいう)は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは5〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環カルボン酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下RD)第17029及び29963に記載されている。
【0087】
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。
例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0088】
本発明に係る熱現像感光材料の感光層に含有されるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01〜0.03μmの範囲である。尚、本発明の熱現像感光材料のハロゲン化銀粒子は前記有機銀塩調製時に同時に作製されるか、又は前記有機銀塩調製時に該ハロゲン化銀粒子を混在させて調製することにより、有機銀塩に融着した状態でハロゲン化銀粒子を形成させて微小粒子のいわゆるin situ銀とするのが好ましい。尚、上記ハロゲン化銀粒子の平均粒子径の測定方法は、電子顕微鏡により50000倍で撮影し、それぞれのハロゲン化銀粒子の長辺と短辺を実測し、100個の粒子を測定し、平均したものを平均粒径とする。
【0089】
ここで、上記粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0090】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子は平均粒径0.01〜0.03μmで、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0091】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0092】
又もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3以上、50以下である。又粒径は0.03μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.03μmが好ましい。これらの製法は米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
【0093】
ハロゲン化銀粒子の組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0094】
ハロゲン化銀粒子には、照度不軌改良や階調調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0095】
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0096】
ハロゲン化銀粒子は、化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0097】
本発明においては熱現像感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3〜2.2gであり、0.5〜1.5gがより好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0098】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は350〜450μmに光の極大吸収を有し、特に増感色素を有してなくてもよいが、必要に応じて含有させてもよい。
【0099】
本発明に係る熱現像感光材料の感光層、非感光性保護層、最外層にはバインダーを用いる。用いられるバインダーは親水性バインダー(水に溶解するバインダー若しくはラテックス類)又は疎水性バインダー(有機溶剤に溶解するバインダー)の何れでもよいが、感光層、非感光性保護層のバインダーが互いに同一の溶剤系に溶解するバインダーであるのが好ましく、最外層は感光層、非感光性保護層と異なるバインダー及び溶剤が使用されている。
【0100】
各層に用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然高分子化合物や高分子化合物、その他フィルムを形成する媒体となるものが用いられる。
【0101】
本発明に係る熱現像感光材料には、一般に熱現像感光材料に用いられるカブリ防止剤、色調剤、硬膜剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤、フィルター染料、マット剤、滑り剤、塗布助剤、界面活性剤等を用いても良い。
【0102】
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため及び現像処理後の画像の変形を防ぐために、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0103】
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチックの支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0104】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などである。
【0105】
感光層、非感光性保護層の塗布方式としては、リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、ワイヤーバーコータ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ或いはスプレーコータ、エクストルージョンコータがあるが、エクストルージョン方式のエクストルージョンコータによりウェット−オン−ウェット方式の重層塗布を行うのがより好ましい。
【0106】
尚、ウェット−オン−ウェット方式における重層塗布においては、下側の層が湿潤状態になったままで上側の層を塗布するので、上下層間の接着性が向上するとともに、塗布を一度で終了させるので塗布面に傷が入り難く、平滑性が良いため現像むらが出にくく、更に歩留まりを向上させることができる。
【0107】
以下に、本発明の効果を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
【実施例】
実施例1
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0109】
〈感光層塗布液〉
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10−6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10−6モルを含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し、NaOHでpHを5に調整して、平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理を行った後、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに、得られたハロゲン化銀乳剤に、塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行いハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0110】
上記単分散度及び投影直径面積の変動係数は、下式により算出した。
単分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
投影直径面積の変動係数(%)=(投影直径面積の標準偏差)/(投影直径面積の平均値)×100
《ベヘン酸Na溶液の調製》
945mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
(プレフォーム乳剤の調製)
上記のベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1モル/Lの硝酸銀溶液147mlを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。出来たベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させ、次に、ポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544gとトルエン107gを徐々に添加して混合した後に、メディア分散機により27.6MPaで分散させプレフォーム乳剤を調製した。
【0111】
〈感光層塗布液の調製〉
【0112】
【化1】
【0113】
〈非感光性保護層塗布液〉
《非感光性保護層塗布液の調製》
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表1に示す様に図1に示す乾燥装置の各乾燥室の乾燥雰囲気温度を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料101〜105とした。
【0114】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)を0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。
乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。各乾燥室の乾燥雰囲気温度の()内の数値は一つ前の乾燥室との温度差を示す。
【0115】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0116】
〈評価〉
作製した試料101〜105につき、塗布膜面を目視により観察し、以下の評価ランクにより評価を行い、その結果を表1に示す。
【0117】
評価ランク
○:乾燥ムラがない
△:性能に悪影響を与えないが僅かに部分的に認められる
×:性能に悪影響を与える乾燥ムラが部分的に認められる
【0118】
【表1】
【0119】
実施例2
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0120】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0121】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表2に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度及び乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料201〜211とした。
【0122】
尚、他の乾燥条件として、各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。
【0123】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0124】
〈評価〉
作製した試料201〜211につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表2に示す。
【0125】
尚、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥雰囲気温度は塗布液との温度差を示す。
【0126】
【表2】
【0127】
実施例3
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0128】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0129】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表3に示す様に図1に示す乾燥装置の支持体の走行方向に対する各乾燥室の溶媒濃度を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料301〜304とした。
【0130】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも20%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より10%大きくなる様に制御した。
【0131】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0132】
〈評価〉
作製した試料301〜304につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表3に示す。
【0133】
【表3】
【0134】
実施例4
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0135】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0136】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、非感光性保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表4に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜面から垂直方向の距離と風速を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料401〜412とした。図1に示す乾燥装置の各乾燥室501a〜501eの内、501a〜501cが乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室を示す。
【0137】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の風速より2%高くなる様に制御した。
【0138】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0139】
〈評価〉
作製した試料401〜412につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
実施例5
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0142】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0143】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図1に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表5に示す様に図1に示す乾燥装置の塗布膜面から垂直方向の距離と塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して各乾燥室の風速を変化させた乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料501〜509とした。
【0144】
尚、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとした。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、入り口の乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。又、乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%以上50%以内で低くし、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも5%以上30%以下で高くした。
【0145】
粘度測定は、ハーケ社 ロトビスコRV−12を使用して各剪断における粘度を測定した。
【0146】
〈評価〉
作製した試料501〜509につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表5に示す。
【0147】
【表5】
【0148】
実施例6
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を調製した。
【0149】
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
【0150】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.05Pa・s、非感光性保護層塗布液の粘度μ(Pa・s)を0.1Pa・sに調整し、厚さ100μm、幅150mmの帯状支持体(PETを使用)10000mを使用し、図2に示すコータ(エクストルージョン型ダイコーターを使用)により、バックロールに保持された帯状支持体に、塗布液温度25℃、塗布速度を80m/分、塗布幅100mm、湿潤状態での感光層の膜厚100μm、保護層の膜厚30μmとなるように塗布を行った後、表6に示す様に図2示す副乾燥装置の支持ロールの塗布膜を有する帯状支持体との接触面積を変化した乾燥条件で乾燥を行い熱現像感光材料を作製し試料601〜603とした。副乾燥装置の乾燥温度は外部雰囲気温度より0.5℃高くし、乾燥風の風速は0.5m/secとした。
【0151】
尚、図2に示す乾燥装置は、乾燥室の入り口の高さ(塗布膜の表面からの高さ)は0.8mとし、各乾燥室の乾燥雰囲気温度は一つ前の乾燥室の温度より30℃高くなるように制御した。た。乾燥温度以外の他の乾燥条件として、塗布膜が最初に入る乾燥室の乾燥温度は27℃(塗布液温度より2℃高くした)とした。
各乾燥室の排気口での溶媒濃度を一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも2vol%低くなるように制御した。乾燥室の入り口から乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%小さく、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離10mmで上方から下方への方向の風速が、塗布膜を有する帯状支持体の搬送速度よりも30%大きくした。又、各乾燥室の風速は塗布膜を有する帯状支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室より0%大きくなる様に制御した。
【0152】
〈評価〉
作製した試料601〜603につき、塗布膜面を目視により観察し、実施例1と同じ評価ランクにより評価を行い、その結果を表6に示す。
【0153】
【表6】
【0154】
実施例7
以下に示す方法に従って、有機銀を含有した感光層塗布液、非感光性保護層塗布液及び最外層塗布液を調製した。
〈感光層塗布液、非感光性保護層塗布液の調製〉
実施例1で調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を使用した。
〈最外層塗布液の調製〉
純水1Lにポリビニルアルコール30gを溶解し最外層塗布液とした。
【0155】
〈塗布・乾燥〉
上記、調製した感光層塗布液及び非感光性保護層塗布液を図3に示す熱現像感光材料製造装置を使用して、実施例1と同じ条件で塗布した後、実施例6の試料No.603と同じ条件で乾燥した後、調製した最外層塗布液をインクジェットヘッドを使用して表7に示す様に塗布膜厚の変化を行い非感光性保護層上に塗設・乾燥し熱現像感光材料を作製し試料701〜706とした。
【0156】
尚、最外層塗設後の乾燥は、80℃で、風速0.5m/secで行った。
〈評価〉
作製した試料701〜706につき、目視により塗布膜表面の状態を観察し、以下に示す評価ランクにより評価を行い、その結果を表7に示す。
【0157】
○:故障がない
△:実質的に問題とならない故障が見られる
×:未塗布部及びスポット故障等があり実用化は困難と判断
【0158】
【表7】
【0159】
【発明の効果】
乾燥工程における乾燥ムラ、まだらムラ等を無くし、本来の熱現像感光材料の性能を引き出すことが出来る乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法を提供することができ、製品の品質向上と安定化及び収率向上が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置を用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【図2】本発明の主乾燥装置と副乾燥装置とを用い、塗布から乾燥までを示す概略図である。
【図3】非感光性保護層の上に最外層を塗設する塗布装置を有する熱現像感光材料製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1 コータ
2 バックロール
3 帯状支持体
5 乾燥装置
5a 主乾燥装置
501a〜501e 乾燥室
502a〜502e、702a〜702d 吹き付け装置
505 吹き出し口
6 副乾燥装置
606、607、807、806 支持ロール
7 第1乾燥装置
8 第2燥装置
9 塗布装置
10 第3乾燥装置
Claims (16)
- 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は、該支持体の走行方向に対して一つ前の乾燥室の乾燥雰囲気温度よりも5〜50℃高く制御されていることを特徴とする乾燥装置。 - 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、該塗布膜が最初に入る前記乾燥室の乾燥雰囲気温度は塗布時の塗布液温度と比較し0〜3℃高く、且つ乾燥室の入り口は、前記塗布膜の表面より0.1〜1mの高さを有していることを特徴とする乾燥装置。 - 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは各乾燥室の溶媒濃度が、該支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室の排気口での溶媒濃度よりも0〜5vol%低く制御されていることを特徴とする乾燥装置。 - 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の入り口から前記乾燥ゾーンの全長の60%の区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、支持体の搬送速度に対して50〜100%で、乾燥ゾーンの残りの区間の乾燥室では、塗布膜面から垂直方向の距離1〜20mmで上方から下方への方向の風速が、該支持体の搬送速度よりも5〜50%高いことを特徴とする乾燥装置。 - 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する乾燥装置において、
該乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該乾燥ゾーンは、前記乾燥室の塗布膜面の垂直方向の距離1〜20mmでの上方から下方への風速が、支持体の走行方向に対して、一つ前の乾燥室より2〜50%高くなる様に制御されていることを特徴とする乾燥装置。 - 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する主乾燥装置と、該乾燥装置より下流に副乾燥装置とを有する乾燥装置において、
該主乾燥室は個別に乾燥雰囲気温度が制御可能であり、
該副乾燥装置は乾燥雰囲気温度と該支持体の支持ロールの温度とが制御可能で、且つ、該支持ロールへの支持体の接触面積が調整可能であることを特徴とする乾燥装置。 - 前記副乾燥装置は、出口での塗布膜の温度が外部雰囲気温度に対して0〜1℃高いことを特徴とする請求項6に記載の乾燥装置。
- 前記乾燥室は、各々少なくとも1箇所のイナートガス供給部および少なくとも1箇所のガス排気部を有していることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の乾燥装置。
- 前記乾燥ゾーンは、塗布膜が最初に入る乾燥室の天井は入り口よりも高いことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の乾燥装置。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の乾燥装置を使用して熱現像感光材料を製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
- 連続的に走行している支持体上に形成された、有機銀成分を含有する感光層及びその上に非感光性保護層を含む塗布膜の乾燥用の個別に制御可能な複数の乾燥室を連続的に繋げた乾燥ゾーンを有する第1乾燥装置と、
該乾燥装置より下流に第2乾燥装置と、
該第2乾燥装置より下流で該非感光性保護層の上に湿潤状態で0.5〜3μmの厚さで最外層を設ける塗布装置と、
該塗布装置の下流側に第3乾燥装置とを有していることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。 - 前記塗布装置が、インクジェットヘッドもしくはスプレーガンであることを特徴とする請求項11に記載の熱現像感光材料製造装置。
- 請求項11に記載の第1乾燥装置は、請求項1〜7の何れか1項に記載されている乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
- 請求項11に記載の第2乾燥装置は、請求項6〜9の何れか1項に記載されている副乾燥装置であることを特徴とする熱現像感光材料製造装置。
- 請求項11〜14の何れか1項に記載の熱現像感光材料製造装置を使用して製造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
- 請求項11に記載の熱現像感光材料製造装置を用いて、有機銀成分を含有する感光層と、その上に非感光性保護層と、最外層とを有する熱現像感光材料の製造方法において、
該最外層用の塗布液は感光層用の塗布液に含まれる合成高分子化合物および溶媒とは異なる合成高分子化合物および溶媒を含有していることを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003196365A JP2005030682A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003196365A JP2005030682A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005030682A true JP2005030682A (ja) | 2005-02-03 |
Family
ID=34206882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003196365A Pending JP2005030682A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005030682A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007100732A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Oji Engineering Kk | 断熱被覆用パネルユニットとこれを用いた断熱被覆構造 |
US7637272B2 (en) | 2005-05-26 | 2009-12-29 | Semes Co., Ltd. | Method and apparatus for cleaning and drying substrates |
NL1037193A (nl) * | 2009-08-11 | 2011-02-14 | Edward Bok | Semiconductor tunnel-opstelling, bevattende in het boventunnelblok ervan een medium-toevoerinrichting. |
NL1037192A (nl) * | 2009-08-11 | 2011-02-14 | Edward Bok | Semiconductor tunnel-opstelling, bevattende in het boventunnelblok ervan meerdere inrichtingen ten behoeve van het daarmede opbrengen van een nanometer hoge vloeibare hecht-substantie op de opvolgende, ononderbroken erdoorheen verplaatsende semiconductor substraat-gedeeltes. |
JP2012097917A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Toyota Motor Corp | 乾燥装置と該装置を用いる二次電池用電極の製造方法 |
WO2014188849A1 (ja) * | 2013-05-22 | 2014-11-27 | 日東電工株式会社 | 塗工装置、塗工方法および粘着シート |
JP2016061473A (ja) * | 2014-09-17 | 2016-04-25 | 株式会社豊田自動織機 | 乾燥装置及び電極の製造方法 |
JP2017042704A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 株式会社Screenホールディングス | 塗工装置および塗工方法 |
-
2003
- 2003-07-14 JP JP2003196365A patent/JP2005030682A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7637272B2 (en) | 2005-05-26 | 2009-12-29 | Semes Co., Ltd. | Method and apparatus for cleaning and drying substrates |
JP2007100732A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Oji Engineering Kk | 断熱被覆用パネルユニットとこれを用いた断熱被覆構造 |
JP4685579B2 (ja) * | 2005-09-30 | 2011-05-18 | 王子エンジニアリング株式会社 | 断熱被覆用パネルユニットとこれを用いた断熱被覆構造 |
NL1037193A (nl) * | 2009-08-11 | 2011-02-14 | Edward Bok | Semiconductor tunnel-opstelling, bevattende in het boventunnelblok ervan een medium-toevoerinrichting. |
NL1037192A (nl) * | 2009-08-11 | 2011-02-14 | Edward Bok | Semiconductor tunnel-opstelling, bevattende in het boventunnelblok ervan meerdere inrichtingen ten behoeve van het daarmede opbrengen van een nanometer hoge vloeibare hecht-substantie op de opvolgende, ononderbroken erdoorheen verplaatsende semiconductor substraat-gedeeltes. |
JP2012097917A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Toyota Motor Corp | 乾燥装置と該装置を用いる二次電池用電極の製造方法 |
WO2014188849A1 (ja) * | 2013-05-22 | 2014-11-27 | 日東電工株式会社 | 塗工装置、塗工方法および粘着シート |
JP2014228195A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | 日東電工株式会社 | 塗工装置、塗工方法および粘着シート |
JP2016061473A (ja) * | 2014-09-17 | 2016-04-25 | 株式会社豊田自動織機 | 乾燥装置及び電極の製造方法 |
JP2017042704A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 株式会社Screenホールディングス | 塗工装置および塗工方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005030682A (ja) | 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法 | |
JP2001314798A (ja) | 塗布乾燥装置、塗布乾燥方法及び其れにより造られた塗布物 | |
JP2000015173A (ja) | 重層塗布方法及びそれを用いる熱現像感光材料の製造方法 | |
JP2003112105A (ja) | イナート乾燥装置、シール装置、乾燥方法及び画像形成材料の製造方法 | |
JP4035936B2 (ja) | 熱現像材料、熱現像材料の製造方法 | |
JP2003241335A (ja) | 熱現像写真感光材料 | |
JP2003181350A (ja) | 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法 | |
JP2006047820A (ja) | 熱現像写真感光材料及びその製造方法 | |
JP2005338660A (ja) | 熱現像写真感光材料 | |
JP2005148270A (ja) | 熱現像写真感光材料 | |
JP2002214750A (ja) | 熱現像感光材料の露光方法 | |
JP2003162022A (ja) | 熱現像感光材料およびマスク材料 | |
JP2004286795A (ja) | 熱現像写真感光材料 | |
JP2001276707A (ja) | 塗布装置及び塗布方法 | |
JP2005275025A (ja) | 熱現像写真感光材料および該熱現像写真感光材料の製造方法 | |
JP2000221629A (ja) | 多軸延伸熱可塑性支持体および熱現像写真感光材料 | |
JP2004233634A (ja) | 熱現像写真感光材料及び酸化珪素薄膜の形成方法 | |
JP2001192365A (ja) | 新規なフェノール化合物およびこれを含む画像記録材料 | |
JPH10133329A (ja) | ハロゲン化銀写真感光材料の製造方法 | |
JP2004333813A (ja) | 熱現像記録媒体とその製造方法 | |
JP2004287106A (ja) | 熱現像記録媒体 | |
JP2000131792A (ja) | 熱現像写真感光材料、その製造方法及び画像形成方法 | |
JP2004012579A (ja) | 熱現像感光材料及びその製造方法 | |
JP2001133929A (ja) | 熱現像感光材料及びその製造方法 | |
JP2000171940A (ja) | 熱現像写真感光材料およびその熱現像方法 |