JP2012097147A - 二軸延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主たる成分として熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂を用いた二軸延伸フィルムにおいて、1質量%減量温度が280℃以上の酸化防止剤を特定量配合する。
【選択図】なし
Description
(1)熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)を主たる成分とし、1質量%減量温度が280℃以上である酸化防止剤(B)を0.5質量%以上8質量%以下含有する二軸延伸フィルム
である。
(2)23℃における絶縁破壊電圧(BDV23)が330kV/mm以上であること、
(3)130℃における絶縁破壊電圧(BDV130)と23℃における絶縁破壊電圧との比(BDV130/BDV23)が0.85以上であること、
(4)厚み方向の屈折率が、1.570以上1.640以下であること、
(5)温度150℃で30分間熱処理した後の縦方向および横方向の熱収縮率の絶対値がそれぞれ1.0%以下であること、
(6)フィルム厚みが0.4μm以上6.5μm未満であること、
のうち、少なくともいずれか1つの態様を具備することによってさらに優れた二軸延伸フィルムを得ることができる。
(7)電気絶縁用として用いられる、
(8)コンデンサー用として用いられる、
態様を包含する。
[二軸延伸フィルム]
本発明の二軸延伸フィルムは、熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂を主たる成分とするものである。ここで「主たる」とは、二軸延伸フィルムを基準として51質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは92質量%以上、特に好ましくは97質量%以上が熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂であることを表わす。
本発明における熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)は、構成単位
また、本発明における熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂は、温度380℃、見かけの剪断速度1000sec−1の条件における見かけの溶融粘度が500〜10000ポイズ、さらには1000〜5000ポイズの範囲にあるものが、製膜性に優れるため好ましい。
本発明においては、前記熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)を主たる構成成分とする二軸延伸フィルムが特定の量の酸化防止剤(B)を含有することによって、電気的特性を高いものとすることができる。
ができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、フィルムの取り扱い性を向上させるため、発明の効果を損なわない範囲で不活性粒子を含有することが好ましい。フィルムが不活性粒子を含有する態様とするためには、例えば熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂にあらかじめ不活性粒子を含有することが挙げられ、好ましい。その他、熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂を溶融押出する工程において不活性粒子を添加するなど、公知の方法を採用することができる。
本発明における熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂には、流動性改良などの目的でポリアリーレンポリエーテル、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂をブレンドしても良い。また、耐熱性、他の特性向上などの目的で、後述するガラス転移温度(Tg)の高い樹脂成分、例えばポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂等をブレンドしても良い。また、安定剤、紫外線吸収剤等の如き添加剤を含有させても良い。
本発明においては、ガラス転移温度(Tg)の高い、好ましくはTgが180℃以上である樹脂成分を含有することが好ましい。このような高Tg樹脂成分を添加することによって、耐熱性および電気絶縁性の向上効果を高くすることができる。また、高温環境下における絶縁破壊電圧の向上効果を高くすることができる。Tgが180℃未満である場合は、電気絶縁性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、樹脂成分のTgは、190℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、210℃以上であることがさらに好ましい。また樹脂成分のTgは、高くなりすぎると熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)のTgとの差が大きくなりすぎる傾向にあり、溶融時の相溶性・混錬性が悪くなる傾向にある。このような観点からは、樹脂成分のTgは、300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、230℃以下であることがさらに好ましい。また、相溶性・混錬性の観点からは、かかる樹脂成分は非結晶性であることが好ましい。
また、ポリイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
本発明の二軸延伸フィルムは、機械軸方向(以下、縦方向またはMDと呼称する場合がある。)と、機械軸方向に垂直な方向(以下、横方向またはTDと呼称する場合がある。)の二軸方向に延伸されたものであるが、このように二軸延伸することにより機械特性(破断強度、破断伸度、ヤング率等)が向上し、また電気絶縁用、とりわけコンデンサー用の電気絶縁用としての高い耐熱性および電気絶縁性を発現することができ、高温環境下において高い絶縁破壊電圧を発現することができる。かかる二軸延伸は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸の何れでも良いが、厚み斑をより良好にできるという観点から、逐次二軸延伸が好ましく、延伸の順序は、先に縦延伸を実施し、次いで横延伸を実施するのが、厚み斑をより良好にでき、また生産性の点からも好ましい。
<押出工程>
熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂のペレットを押出機に投入し、(Tm+20)℃以上(Tm+90)℃以下の温度で加熱溶融し、シート状に押し出した後、冷却ロールに接触させる等により冷却固化して未延伸フィルムを得る。ここでTmは、示差走査熱量計(DSC)により求められる熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)の樹脂の融点(単位:℃)を表わす。
次いで、得られた未延伸フィルムを縦方向および横方向の二軸に延伸する。
縦方向の延伸(以下、縦延伸と呼称する場合がある。)は、温度(Tg−10)℃以上(Tg+45)℃以下、倍率1.5倍以上5.0倍以下で延伸する。延伸温度は、好ましくは(Tg)℃以上(Tg+30)℃以下であり、延伸倍率は、好ましくは2.0倍以上4.0倍以下、さらに好ましくは2.4倍以上3.5倍以下である。
次いで、上記にて二軸延伸されたフィルムに熱処理を施し、熱固定する。かかる熱固定は、(Tg+27)℃以上(Tm)℃以下、好ましくは(Tg+60)℃以上(Tm−20)℃以下、さらに好ましくは(Tg+90)℃以上(Tm−30)℃以下の温度で、1秒〜10分、好ましくは2秒〜5分、好ましくは3〜120秒、さらに好ましくは5〜60秒の時間行う。熱固定は、二軸延伸フィルム製膜時の延伸工程の後に連続して行われる熱処理と、二軸延伸フィルム製膜後、別途に行われる熱処理とに分けるなど、2回以上に分離して実施してもよい。
次いで、上記にて熱固定されたフィルムについて、熱収縮率を調整するために幅方向に熱弛緩処理を行うことが好ましく、具体的には温度180℃以上320℃以下で、弛緩率1%以上7%以下の熱弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩率が高すぎると、熱収縮率は低くなる傾向にあるが、フィルムの平面性に劣る傾向にある。他方、低すぎると、熱収縮率が高くなる傾向にある。このような観点から、弛緩率は、さらに好ましくは2%以上6%以下である。
かくして本発明の二軸延伸フィルムを得ることができる。
<フィルム厚み>
本発明の二軸延伸フィルムの厚みは、好ましくは0.3μm以上250μm以下である。フィルム厚みが薄すぎる場合は、製膜時に破断が生じ易くなり生産効率が悪くなる傾向にある。他方、フィルム厚みが厚すぎる場合は、延伸応力が高くなる傾向にあり、延伸倍率を高くすることが困難となる傾向にあり、その結果厚み斑が悪くなる傾向にある。また、耐熱性および電気絶縁性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、フィルム厚みの下限は、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.2μm以上である。他方、フィルム厚みの上限は、好ましくは128μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは13μm以下、特に好ましくは5.5μm以下である。また、コンデンサー用途に用いる場合は、0.4〜6.5μmが好ましく、0.5〜3.5μmが好ましく、良好な電気特性とすることができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、厚み斑が10%以下であることが好ましく、電気絶縁性の向上効果を高くできる。厚み斑が悪くなると電気絶縁性の面内バラツキが大きくなる傾向にあり、結果的に電気絶縁性、絶縁破壊電圧特性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、厚み斑は、好ましくは9%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは3%以下である。厚み斑の下限は小さいほど好ましく、理想的には厚み斑が0%であるが、実際には0.1%以上程度である。
厚み斑を上記数値範囲とするためには、延伸条件を前述した態様とすれば良い。とりわけ横延伸条件を上記した態様、すなわち複数の温度領域に分けて実施することが重要である。
本発明の二軸延伸フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が130℃以上165℃未満であることが好ましい。Tgが上記数値範囲にあると、高温環境下においてもフィルムの剛性を維持することが容易となり、自動車用のコンデンサー用としてより好適に用いることができる。また、耐熱性の向上効果が高くなり、結果として高温環境下における絶縁破壊電圧を高くすることができる。このような観点から、Tgは、好ましくは140℃以上155℃以下である。
本発明の二軸延伸フィルムは、23℃における絶縁破壊電圧(BDV23)が330kV/mm以上であることが好ましい。BDV23が上記数値範囲にあると、ハイブリッド型自動車のコンデンサー用として好適に用いることができる。BDV23が低い場合は、ハイブリッド型自動車のコンデンサー用として用いた場合において、大電流によりコンデンサー内における短絡が生じ、コンデンサーが破壊されるなどの問題が生じ易くなる。このような観点から、BDV23は、350kV/mm以上がより好ましく、380kV/mm以上がさらに好ましく、410kV/mm以上が特に好ましい。
上記のようなBDV23およびBDV130は、熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)に、本発明が規定する量の酸化防止剤(B)を添加し、特定条件において延伸することにより達成することができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、縦方向および横方向のそれぞれにおいて、23℃における破断伸度(破断伸度23)が100%以上であることが好ましい。破断伸度23が上記数値範囲にあるとフィルムの屈曲性が良くなり、加工性が向上し、コンデンサー用等の電気絶縁用としてより好適に用いることができる。このような観点から破断伸度23は、110%以上がより好ましく、120%以上がさらに好ましく、140%以上が特に好ましい。
上記比を上記数値範囲とするためには、延伸条件(延伸倍率、延伸温度など)を調整することにより達成することができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、縦方向および横方向のそれぞれにおいて、23℃における破断強度(破断強度23)が200MPa以上であることが好ましい。破断強度23が上記数値範囲にあるとフィルムの腰が強くなり屈曲性が良くなり、コンデンサー用等の電気絶縁用としてより好適に用いることができる。このような観点から破断強度23は、220MPa以上がより好ましく、250MPa以上がさらに好ましく、270MPa以上が特に好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムは、温度150℃で30分間熱処理した後の縦方向および横方向の熱収縮率の絶対値がいずれも1.0%以下であることが好ましい。熱収縮率の絶対値は、さらに好ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.5%以下である。すなわちかかる熱収縮率は、0に近い程好ましい。熱収縮率が上記数値範囲にあると、熱寸法安定性に優れ、加工時に反り、カールなどが起りにくいなど、加工性に優れ、また取り扱い性も良好となる。
本発明の二軸延伸フィルムは、厚み方向の屈折率が1.570以上1.640以下であることが好ましい。屈折率が上記数値範囲にあると、絶縁性の向上効果を高くすることができる。厚み方向の屈折率は、低すぎるとフィルムの延伸性に劣る傾向にあり、他方高すぎると絶縁性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、厚み方向の屈折率は、1.580以上1.630以下がより好ましく、1.590以上1.620以下がさらに好ましく、1.600以上1.610以下が特に好ましい。厚み方向の屈折率は、延伸条件等の製膜条件を調整することで達成することができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、耐熱性および電気絶縁性に優れ、高温環境下においても優れた絶縁破壊電圧特性が要求される電気絶縁用として好適に用いることができる。特に移動体用、特にハイブリッド自動車用、電気自動車用、燃料自動車用等のコンデンサー用のごとく、より高い耐熱性および電気絶縁特性(絶縁破壊電圧)が要求される用途に好適に使用することができる。
フィルムを150mm長×10mm幅に切り出した試験片を用い、オリエンテック社製テンシロンUCT−100型を用いて、温度23℃、湿度60%RHに調節された室内において、チャック間100mm、引張速度20mm/分、チャート速度50mm/分で引張試験を実施し、破断時の伸度から23℃における破断伸度(破断伸度23)、破断時の応力から23℃における破断応力(破断応力23)を求めた。なお、縦方向の破断伸度および破断応力とはフィルムの縦方向(MD)を測定方向としたものであり、横方向の破断伸度および破断応力とはフィルムの横方向(TD)を測定方向としたものである。各破断伸度および破断応力はそれぞれ10回測定し、その平均値を用いた。
また、130℃の温度雰囲気下における破断伸度(破断伸度130)および破断応力(破断応力130)は、130℃の温度雰囲気に設定されたチャンバー内に試験片及びテンシロンのチャック部分をセットし、2分間静置後、上記の引張試験を行うことによって求めた。
樹脂サンプルにおいてはサンプル約10mgを、フィルムサンプルにおいてはサンプル約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で370℃まで昇温させ、370℃で3分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
温度150℃に設定されたオーブン中に、フィルムの縦方向および横方向がマーキングされ、あらかじめ正確な長さを測定した長さ30cm四方のフィルムを無荷重で入れ、30分間保持処理した後取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読み取る。熱処理前の長さ(L0)と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、下記式(1)から縦方向および横方向の熱収縮率をそれぞれ求めた。
熱収縮率(%)=(ΔL/L0)×100 ・・・(1)
JIS C 2151に示される方法に従って測定した。23℃相対湿度50%の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、100V/秒の昇圧速度で昇圧し、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。得られた電圧をフィルム厚みで除して、23℃における絶縁破壊電圧(BDV23、単位:kV/mm)とした。
測定は41回実施し、大きい方の値10点、および小さい方の値10点を除き、21点の値の中央値を絶縁破壊電圧の測定値とした。
130℃における絶縁破壊電圧(BDV130)の測定は、熱風オーブンに電極、サンプルをセットし、耐熱コードで電源に接続し、130℃のオーブンにサンプルを投入後1分で昇圧を開始して、上記と同様にして測定した。
二軸延伸フィルムを100万m製膜する間に破断の発生する回数により、以下の如く判断した。
延伸性◎ : 10万mの製膜当り 破断が1回未満
延伸性○ : 10万mの製膜当り 破断が1回〜2回未満
延伸性△ : 10万mの製膜当り 破断が2回〜4回未満
延伸性× : 10万mの製膜当り 破断が4回〜8回未満
延伸性××: 10万mの製膜当り 破断が8回以上
フィルムの厚みを、縦方向および横方向に電子マイクロメーターを用いて0.5mの長さを測定し、かかる測定長のうち最高厚さ(単位:μm)と最低厚さ(単位:μm)との差の、平均厚み(単位:μm)に対する比(百分率)を求め、厚み斑(単位:%)として求めた。 縦方向および横方向の厚み斑を各々10ヶ所測定し、最高値と最低値とを除いてから平均を求め、各々の測定値とした。
ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用いて23℃65%RHにて測定し、厚み方向の屈折率をnZとした。
各実験例の製膜中に、ダイリップより樹脂1000kgを溶融押出した後に、押出機系のダイリップ部を観察し、その汚れ状況により下記の如く分類した。
◎:ダイリップ部に汚れ物、劣化物の付着が見られず、非常に優れて合格レベル。
○:ダイリップ部に汚れ物、劣化物の付着が若干見られ、優れて合格レベル。
△:ダイリップ部に汚れ物、劣化物の付着が見られたが、実用可能で合格レベル。
×:ダイリップ部に多量の汚れ物、劣化物の付着が見られ、実用に適しないレベル。
熱重量分析計を用いて、窒素ガス中、昇温20℃/分の条件で室温から600℃まで昇温し、質量減少量が1質量%に達した時の温度を、1質量%減量温度とした。
熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)としてのポリエーテルエーテルケトン樹脂(ビクトレックス社製:ポリエーテルエーテルケトン381G、Tg:142℃、Tm:343℃)と、酸化防止剤(B)としての3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピリオ[5−5]ウンデカン(住友化学社製:商品名SUMILIZER GA-80、1質量%減量温度348℃、融点120℃、下記式[化8]で表わされる化合物)との混合組成物(混合比率は表1中に示す)に、不活性粒子として平均粒径1.0μm、粒径比1.05の球状シリカ粒子を、得られる二軸延伸フィルムの質量に対して0.2質量%となるように、および平均粒径0.5μm、粒径比1.05の球状シリカ粒子を、得られる二軸延伸フィルムの質量に対して0.15質量%となるようにそれぞれ添加し、160℃で4時間乾燥した後、押出機により380℃で溶融押出し、80℃に保持したキャスティングドラム上へキャストして、未延伸フィルムを作成した。次いで、表1に示す条件で縦方向、次いで横方向に逐次二軸延伸を行い、更に熱固定および熱弛緩処理することにより、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIRGANOX 1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、1質量%減量温度310℃、融点120℃、下記式[化9]で表わされる化合物)を用いた以外は、実施例2と同様にして、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
酸化防止剤(B)を用いず、製膜条件を表1に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
酸化防止剤(B)として2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)(住友化学社製:商品名SUMILIZER MDP-S、1質量%減量温度205℃、融点128℃、下記式[化10]であらわされる化合物)を用いた(混合比率は表1中に示す)以外は実施例2と同様にして、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例2において得られた未延伸フィルムを、表1に示す製膜条件に従い、延伸を行わずに熱固定を施し、厚さ19μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Claims (8)
- 熱可塑性ポリエーテルケトン樹脂(A)を主たる成分とし、1質量%減量温度が280℃以上である酸化防止剤(B)を0.5質量%以上8質量%以下含有する二軸延伸フィルム。
- 23℃における絶縁破壊電圧(BDV23)が330kV/mm以上である請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
- 130℃における絶縁破壊電圧(BDV130)と23℃における絶縁破壊電圧との比(BDV130/BDV23)が0.85以上である請求項1または2に記載の二軸延伸フィルム。
- 厚み方向の屈折率が、1.570以上1.640以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルム。
- 温度150℃で30分間熱処理した後の縦方向および横方向の熱収縮率の絶対値がそれぞれ1.0%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルム。
- フィルム厚みが0.4μm以上6.5μm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルム。
- 電気絶縁用として用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルム。
- コンデンサー用として用いられる請求項7に記載の二軸延伸フィルム。
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