以下、実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態を、図1を参照して説明する。
<構成>
図1には、第1実施形態に係る車両想起音出力制御装置としての車両想起音発生装置700Aの概略的な構成が示されている。この図1に示されるように、車両想起音発生装置700Aは、車両MVに搭載され、音出力部760が接続されるようになっている。
ここで、音出力部760は、車両想起音信号発生部と、音量調整部と、スピーカとを備えて構成される。本第1実施形態では、音出力部760は、車両MVの左前方へ向けて音を出力する左スピーカ、及び、車両MVの右前方へ向けて音を出力する右スピーカの2つのスピーカを備えている。なお、後述する制御部750が、左スピーカ及び右スピーカのそれぞれに対して、互いに独立に音量設定を行うようになっている。
音出力部760は、制御部750からの設定音量を受ける。そして、音出力部760は、車両想起音信号発生部が発生した車両想起音信号を、音量調整部が設定音量に従って音量調整し、スピーカから車両MVの外部へ向けて車両想起音を出力する。
上記の車両想起音発生装置700Aは、記憶部710と、位置検出部720と、取得部730Aとを備えている。また、車両想起音発生装置700Aは、決定部740と、制御部750とを備えている。
上記の記憶部710には、車両想起音発生装置700Aで利用される様々な情報が記憶される。こうした情報には、地図情報が含まれている。この地図情報には、道路の車線数情報を含む車線情報が含まれている。ここで、本第1実施形態では、当該車線情報には、対向車線の有無情報が更に含まれている。
なお、本明細書においては、「車線数」の用語を、対向車線の数を含めて数えられた車線の総数との意味で用いるものとする。
上記の位置検出部720は、車両MVの現在位置を検出する。位置検出部720により検出された現在位置は、取得部730Aへ送られる。
上記の取得部730Aは、位置検出部720から送られた現在位置を受ける。そして、取得部730Aは、当該現在位置をキーにして記憶部710内の地図情報を参照して、走行中の道路の車線情報を取得する。こうして取得された車線情報は、決定部740へ送られる。
上記の決定部740は、取得部730Aから送られた車線情報を受ける。そして、決定部740は、音出力部760が車外へ向けて出力する擬似エンジン音、警告音等の車両想起音の到達すべき範囲(以下、単に「到達範囲」という)を決定する。決定された車両想起音の到達範囲は、制御部750へ送られる。なお、決定部740による決定処理については、後述する。
上記の制御部750は、決定部740から送られた到達範囲を受ける。そして、制御部750は、当該到達範囲を実現するために必要な設定音量を音出力部760へ送る。
<動作>
次に、上記のように構成された車両想起音発生装置700Aの動作について説明する。なお、位置検出部720は、車両MVの現在位置を検出し、検出された現在位置を定期的に取得部730Aへ送っているものとする。
車両MVの現在位置を受けた取得部730Aは、当該現在位置に基づいて記憶部710内の地図情報を参照し、車両MVが現在走行している道路の車線数及び対向車線の有無を取得する。そして、取得部730Aは、取得された車線数及び対向車線の有無を、車線情報として決定部740へ送る。
取得部730Aから送られた車線情報を受けた決定部740は、当該車線情報における車線数情報に基づいて、車線数が「1」であるか否かの第1判定を行う。この第1判定の結果が肯定的であった場合には、決定部740は、車両MVの走行方向に対して左右対称的な所定範囲を到達範囲に決定する。
なお、「所定範囲」は、車線数が「1」の道路の平均的な道路幅を考慮しつつ、道路における両側に存在する歩行者や自転車に車両接近の注意喚起を行うという観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
一方、上述の第1判定の結果が否定的であった場合には、すなわち、車線数が複数であった場合には、決定部740は、当該車線情報における対向車線の有無情報に基づいて、対向車線が存在するか否かの第2判定を更に行う。この第2判定の結果が否定的であった場合には、決定部740は、車両MVの走行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性があることから、歩行者等が存在すると推定される側(例えば、車両が左側通行の法制の国においては左側、車両が右側通行の法制の国においては右側:以下、「歩行者側」とも呼ぶ)に対して、所定範囲の場合よりも広い範囲を車両想起音到達範囲に決定する。これは、複数車線の道路の方が、1車線道路よりも車両MVの走行速度が速くなるため、車両MVの接近に対する注意喚起の必要性が高くなるためである。
一方、第2判定の結果が肯定的であった場合には、決定部740は、歩行者側に対して、所定範囲の場合よりも広く、かつ、車両MVの走行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在する可能性が低いため、歩行者等が存在しないと推定される側について、上述の所定範囲の場合よりも狭い範囲を到達範囲に決定する。例えば、決定部740は、対向車線側の範囲が極小となるような範囲を到達範囲に決定する。
こうして、到達範囲が決定されると、決定部740は、決定された到達範囲を制御部750へ送る。到達範囲を受けた制御部750は、設定音量を算出する。
ここで、到達範囲が所定範囲であった場合には、制御部750は、所定設定音量を左スピーカ及び右スピーカの設定音量として算出する。なお、「所定設定音量」は、上述した所定範囲を到達範囲とするとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
また、歩行者側の範囲を所定範囲よりも広げる場合には、制御部750は、所定設定音量よりも大きな設定音量を、歩行者側のスピーカの設定音量として算出する。
また、対向車線側の到達範囲を所定範囲よりも狭める場合には、所定設定音量よりも小さな設定音量を、対向車線側のスピーカの設定音量として算出する。例えば、対向車線側の範囲を極小とする到達範囲であった場合には、制御部750は、対向車線側のスピーカからは車両想起音が出力されないようにする設定音量とする。
こうして設定音量が算出されると、制御部750は、算出された設定音量を音出力部760へ送る。そして、当該設定音量を受けると、音出力部760は、設定音量に従って音量調整を行いつつ、車両想起音を、スピーカから車両MVの外部へ向けて出力する。
以上説明したように、本第1実施形態では、取得部730Aが、位置検出部720が検出した車両MVの現在位置に基づいて、記憶部710内の地図情報を参照して、車両MVが走行中の道路の車線数情報を含む車線情報を取得する。引き続き、取得部730Aが、取得された車線情報を決定部740へ送る。そして、決定部740が、取得部730Aから送られた車線情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定する。引き続き、制御部750が、決定された到達範囲に基づいて、音出力部760の左右スピーカから出力する車両想起音の設定音量を算出する。この結果、音出力部760の左右スピーカから、設定音量に対応する音量の車両想起音が、車外へ向けて出力される。
したがって、本第1実施形態によれば、走行中の道路種別(車線数)に対応して変化する周囲における報知対象の存在の可能性を考慮した車両想起音の出力制御を行うことができる。
また、本第1実施形態では、決定部740が、車線数が「1」である場合には、車両MVの走行方向に対して左右対称的な所定範囲を到達範囲に決定する。また、決定部740は、車線数が複数である場合には、車両MVの走行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性が高い側に対し、当該所定範囲の場合よりも広い範囲を車両想起音の到達範囲に決定する。さらに、決定部740は、対向車線が存在する場合には、車両MVの走行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在する可能性が低い側の範囲を、所定範囲よりも狭い範囲を到達範囲に決定する。
このため、本第1実施形態によれば、報知対象の存在の可能性を考慮しつつ、合理的な出力音量で車両想起音の出力することができる。
<第1実施形態の変形例>
上記の第1実施形態については、様々な変形が可能である。
上記の第1実施形態では、車両想起音発生装置700Aを構成する要素である記憶部710、位置検出部720、取得部730A、決定部740及び制御部750の全てが車両MVに搭載されるようにした。これに対し、例えば、図2に示される車両想起音発生装置700Bのように、サーバ装置810と、車両想起音出力制御端末装置としての端末装置910とを備える構成とすることもできる。この車両想起音発生装置700Bでは、サーバ装置810が、記憶部710、取得部730A及び決定部740を備え、端末装置910が、位置検出部720及び制御部750を備えるようになっている。車両想起音発生装置700Bでは、位置検出部720で検出された車両MVの現在位置が位置検出部720から取得部730Aへ送られる際、及び、決定部740により決定された車両想起音の到達範囲が決定部740から制御部750へ送られる際に、通信ネットワーク500を利用したデータ通信が行われることが、上記の車両想起音発生装置700Aと異なっている。
また、図3に示される車両想起音発生装置700Cのように、サーバ装置820と、車両想起音出力制御端末装置としての端末装置920とを備える構成とすることもできる。この車両想起音発生装置700Cでは、サーバ装置820が、記憶部710及び取得部730Aを備え、端末装置920が、位置検出部720、決定部740及び制御部750を備えるようになっている。車両想起音発生装置700Cでは、位置検出部720で検出された車両MVの現在位置が位置検出部720から取得部730Aへ送られる際、及び、取得部730Aにより取得された車線情報が取得部730Aから決定部740へ送られる際に、通信ネットワーク500を利用したデータ通信が行われることが、上記の車両想起音発生装置700Aと異なっている。
なお、車両想起音発生装置700B又は車両想起音発生装置700Cのように、サーバ装置及び端末装置を備える構成とする場合には、車両に搭載される端末装置が制御部750を備えることは必須である。しかしながら、記憶部710、取得部730A及び決定部740のそれぞれについては、サーバ装置及び端末装置のいずれが備えるようにしてもよい。
また、車両想起音発生装置700A〜700Cでは、位置検出部720を独自に備えるようにしたが、車両内に存在する位置検出機能付装置(例えば、GPS機能付携帯電話装置)による位置検出結果を取得するようにしてもよい。
また、車両想起音発生装置700A〜700Cでは、地図情報を記憶した記憶部を独自に備えるようにしたが、当該記憶部の機能を他の装置(例えば、ナビゲーション装置)が有しているときには、当該他の装置が有する地図情報にアクセスするようにしてもよい。
また、車両想起音発生装置700A〜700Cでは、車両に搭載される音出力部760を備えない構成としたが、音出力部760を備える構成とすることもできる。
以上の変形例では、車両想起音発生装置700B又は車両想起音発生装置700Cのように、サーバ装置及び端末装置を備える構成とする場合に、取得部730Aが車線情報を取得し、決定部740が、取得された車線情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定するようにした。これに対し、取得部730Aが、車両が走行している道路の道路幅情報を取得し、決定部740が、取得された道路幅情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定するようにすることもできる。かかる変形例の場合には、例えば、次のようにして車両想起音の到達範囲を決定する。
まず、取得部730Aが、位置検出部720が検出した車両MVの現在位置に基づいて、記憶部710内の地図情報を参照して、車両MVが走行中の道路の道路幅情報を取得する。引き続き、取得部730Aが、取得された道路幅情報を決定部740へ送る。そして、決定部740が、取得部730Aから送られた道路幅情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定する。引き続き、制御部750が、決定された到達範囲に基づいて、音出力部760の左右スピーカから出力する車両想起音の設定音量を算出する。この結果、音出力部760の左右スピーカから、設定音量に対応する音量の車両想起音が、車外へ向けて出力される。
こうした道路幅情報に基づく車両想起音の到達範囲の決定に際しては、例えば、取得部730Aから送られた道路幅情報を受けた決定部740が、当該道路幅情報に基づいて、道路幅が所定の閾値以下であるか否かの道路幅判定を行う。この道路幅判定の結果が肯定的であった場合には、決定部740は、車両MVの走行方向に対して左右対称的な所定範囲を到達範囲に決定する。ここで、「所定の閾値」は、車両同士がすれ違うことが容易ではなく、道路の両側を歩行者や自転車が通行する可能性があるという観点から、調査、経験等に基づいて、予め定められる。また、「所定範囲」は、所定の閾値以下の道路における両側の歩行者や自転車に車両接近の注意喚起を行うという観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
一方、上述の道路幅判定の結果が否定的であった場合には、決定部740は、当該現在位置に基づいて記憶部710内の地図情報を参照し、対向車線があると想定される道路を走行中であるか否かの対向車線判定を行う。この対向車線判定の結果が否定的であった場合には、決定部740は、車両MVの進行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性のある側(車両が左側通行の法制の国においては左側、車両が右側通行の法制の国においては右側)に対して、上述した所定範囲の場合よりも広い範囲を到達範囲に決定する。一方、対向車線判定の結果が肯定的であった場合には、決定部740は、車両MVの進行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在する可能性の低い側の面積が極小となるような範囲を到達範囲に決定する。
《交差点までの距離を考慮した車両想起音の到達範囲の制御》
次に、上述の第1実施形態における車線情報に基づく車両想起音の到達範囲の制御と組み合わせることができる「交差点までの距離を考慮した車両想起音の到達範囲の制御」について説明する。
<構成>
図4には、当該制御を行う車両想起音発生装置790の概略的な構成が示されている。この図4に示されるように、車両想起音発生装置790は、上述した車両想起音発生装置700Aと同様に、車両MVに搭載される。
上記の車両想起音発生装置790は、車両想起音発生装置700Aと比べて、取得部730Aを備えていない点、決定部740に代えて決定部745を備える点、走行情報取得部725及び算出部735を更に備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明する。
上記の走行情報取得部725は、車両MVの進行方向を取得する。走行情報取得部725により取得された進行方向は、算出部735へ送られる。
上記の算出部735は、位置検出部720から送られた車両MVの現在位置、及び、走行情報取得部725から送られた車両MVの進行方向を受ける。そして、算出部735は、車両MVの現在位置及び進行方向に基づいて記憶部710内の地図情報を参照し、当該進行方向における車両MVが走行している道路と他の道路との交差位置までの走行距離(以下、「算出距離」とも呼ぶ)を算出する。当該算出距離は、決定部745へ送られる。
上記の決定部745は、算出部735から送られた算出距離及び記憶部710内の地図情報に基づいて、音出力部760が車外へ向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定する。決定された車両想起音の到達範囲は、制御部750へ送られる。なお、決定部745による決定処理については、後述する。
<動作>
次に、上記のように構成された車両想起音発生装置790の動作について説明する。なお、位置検出部720は、車両MVの現在位置を検出し、検出された現在位置を定期的に算出部735へ送っているものとする。また、走行情報取得部725は、車両MVの進行方向を定期的に取得しており、取得された進行方向を算出部735へ送っているものとする。
車両MVの現在位置及び進行方向を受けると、算出部735は、記憶部710内の地図情報を参照し、当該進行方向における車両MVが走行している道路と他の道路との交差位置までの走行距離を算出する。そして、算出部735は、算出距離を決定部745へ送る。
算出部735から送られた算出距離を受けた決定部745は、当該算出距離が所定距離以下であるか否かの交差位置距離判定を行う。この交差位置距離判定の結果が否定的であった場合には、決定部745は、交差点の存在を意識せずに定められた範囲を、車両想起音の到達範囲に決定する。例えば、上述した決定部740の場合と同様に、決定部745に車線情報が供給されている場合には、上述した決定部740と同様にして車両想起音の到達範囲を決定することができる。
一方、交差位置距離判定の結果が肯定的であった場合には、決定部745は、記憶部710の地図情報を参照して、走行中の道路と交差する他の道路が、左側、右側及び左右両側のいずれへ延びているのかを判定する。そして、他の道路が左側へのみ延びる場合には、決定部745は、車両MVの進行方向側及び左側が、交差位置距離判定の結果が否定的であった場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む範囲を到達範囲に決定する。
また、他の道路が右側へのみ延びる場合には、決定部745は、車両MVの進行方向側及び右側が交差位置距離判定の結果が否定的であった場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む範囲を到達範囲に決定する。さらに、他の道路が左右両側へ延びる場合には、決定部745は、車両MVの進行方向に対して対称的であり、かつ、交差位置距離判定の結果が否定的であった場合よりも広い範囲であって、少なくとも車両MVに近い側の交差位置を含む範囲を到達範囲に決定する。
なお、車両想起音発生装置790では、決定部745は、算出距離が短くなるほど到達範囲の広さを狭めていき、算出距離が「0」となった時点においては、交差位置距離判定の結果が否定的であった場合に決定される範囲と同様の範囲となるようにしている。
こうして、到達範囲が決定されると、決定部745は、決定された到達範囲を制御部750へ送る。到達範囲を受けた制御部750は、到達範囲に対応した設定音量を算出する。こうして設定音量が算出されると、制御部750は、算出された設定音量を音出力部760へ送る。そして、当該設定音量を受けると、音出力部760は、音量設定に従って音量調整を行いつつ、車両想起音をスピーカから車両MVの外部へ向けて出力する。
以上説明したように、車両想起音発生装置790によれば、車両MVの現在位置から、車両MVの進行方向における他の道路との交差位置までの距離が、所定距離よりも短くなると、当該交差点付近に存在する歩行者等を考慮した車両想起音の出力制御を適切に行うことができる。
なお、車両想起音発生装置790では、交差位置距離判定において利用される所定距離は、予め定められた一定とすることを想定した。これに対し、車両想起音による車両MVの接近を警告として有効するため適切な交差位置までの所要時間を確保するとの観点から、決定部745が、車速の検出結果に基づいて、検出された車速に対応した距離を、所定距離として算出するようにしてもよい。
また、車両想起音発生装置790についても、上述した車両想起音発生装置700Aに対する車両想起音発生装置700B又は700Cへの変形等と同様の変形を行うことができる。すなわち、サーバ装置及び端末装置を備える構成として、車両MVに搭載される端末装置が制御部750を備えることは必須とし、記憶部710、位置検出部720、走行情報取得部725、算出部735、及び決定部745のそれぞれについては、サーバ装置及び端末装置のいずれが備えるようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を、図5を参照して説明する。
<構成>
<構成>
図5には、第2実施形態に係る車両想起音出力制御装置としての車両想起音発生装置700Dの概略的な構成が示されている。この図5に示されるように、車両想起音発生装置700Dは、上述した車両想起音発生装置700Aと同様に、車両MVに搭載される。
上記の車両想起音発生装置700Dは、車両想起音発生装置700Aと比べて、記憶部710及び位置検出部720に代えて撮影部770を備える点、及び、取得部730Aに代えて取得部730Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
上記の撮影部770は、車両MVの周囲を撮影するカメラデバイスを備えて構成される。この撮影部770による撮影結果である撮影画像は、逐次、取得部730Bへ送られる。
上記の取得部730Bは、撮影部770から送られた撮影画像を受ける。そして、取得部730Bは、当該撮影画像を解析し、車両MVが走行している道路の車線数情報及び対向車線の有無情報を取得する。こうして取得された車線数情報及び対向車線の有無情報は、車線情報として、決定部740へ送られる。
<動作>
次に、上記のように構成された車両想起音発生装置700Dの動作について説明する。なお、撮影部770は、車両MVの周辺の撮影しており、撮影画像を、逐次、取得部730Bへ送っているものとする。
撮影部770から送られた撮影画像を受けた取得部730Bは、当該撮影画像を解析し、車両MVが走行している道路の車線数情報及び対向車線の有無情報を取得する。こうして取得された車線数情報及び対向車線の有無情報は、車線情報として、決定部740へ送られる。
以後、上述した第1実施形態の場合と同様に、決定部740による到達範囲の決定、制御部750による当該決定された到達範囲に基づく設定音量の算出が行われる。そして、音出力部760が、当該算出された設定音量に従って音量調整を行いつつ、車両想起音を、スピーカから車両MVの外部へ向けて出力する。
以上説明したように、本第2実施形態では、取得部730Bが、撮影部770から送られた車両MVの周辺の撮影画像を解析して、車両MVが走行中の道路の車線数情報を含む車線情報を取得する。引き続き、取得部730Bが、取得された車線情報を決定部740へ送る。そして、決定部740が、取得部730Bから送られた車線情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定する。引き続き、制御部750が、決定された到達範囲に基づいて、音出力部760の左右スピーカから出力する車両想起音の設定音量を算出する。この結果、音出力部760の左右スピーカから、設定音量に対応する音量の車両想起音が、車外へ向けて出力される。
したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、走行中の道路種別(車線数)に対応して変化する周囲における報知対象の存在の可能性を考慮した車両想起音の出力制御を行うことができる。
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、決定部740が、車線数が「1」である場合には、車両MVの走行方向に対して左右対称的な所定範囲を到達範囲に決定する。また、決定部740は、車線数が複数である場合には、車両MVの走行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性が高い側に対し、当該所定範囲の場合よりも広い範囲を車両想起音の到達範囲に決定する。さらに、決定部740は、対向車線が存在する場合には、車両MVの走行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在しないと推定される側の範囲が所定範囲の場合よりも狭い範囲を到達範囲に決定する。
このため、本第2実施形態によれば、報知対象の存在の可能性を考慮しつつ、合理的な出力音量で車両想起音の出力することができる。
本第2実施形態については、上述した第1実施形態に対する変形と同様の変形が可能である。すなわち、上述した車両想起音発生装置700Aに対する車両想起音発生装置700B又は700Cへの変形等と同様に、サーバ装置及び端末装置を備える構成としてもよい。この場合には、車両MVに搭載される端末装置が制御部750と撮影部770とを備えることは必須とし、取得部730B、及び決定部740のそれぞれについては、サーバ装置及び端末装置のいずれが備えるようにしてもよい。
また、第2実施形態では、撮影部を独自に備えるようにしたが、車両内に存在する撮影装置(例えば、車載フロントカメラ、撮影機能付き携帯電話等)による撮影結果を取得するようにしてもよい。
また、本第2実施形態も、第1実施形態の場合と同様に、「交差点までの距離を考慮した車両想起音の到達範囲の制御」と組み合わせることができる。
なお、上記の第1及び第2実施形態では、車線情報には車線数情報及び対向車線の有無情報が含まれることとしたが、車線情報に、車両MVがどの車線を走行しているかの走行車線情報が更に含まれるようにしてもよい。この場合には、複数車線であり、かつ、対向車線が存在しない道路を走行している際に、車両MVと、歩行者等の注意喚起対象者が存在する可能性が高い位置との距離に応じた車両想起音の到達範囲を決定し、当該決定された到達範囲に対応した車両想起音の出力を行うことができる。
また、上記の第1及び第2実施形態の車両想起音発生装置を、演算部としてのコンピュータを備えたコンピュータ装置として構成し、上述した取得部730A,730B、決定部740及び制御部750の機能を、プログラムを実行することにより実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM,DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにすることができる。
以下、車両想起音出力制御装置としての車両想起音発生装置の実施例を、図6〜図15を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施例]
まず、第1実施例を、図6〜図11を参照して説明する。
<構成>
図6には、第1実施例に係る車両想起音発生装置としての機能を有するナビゲーション装置100Aの概略的な構成が示されている。なお、ナビゲーション装置100Aは、上述した第1実施形態の車両想起音発生装置700A(図1参照)の一態様となっている。
ナビゲーション装置100Aは、電気モータを駆動機構とし、道路上を走行する車両CRに搭載される。この車両CRには、ナビゲーション装置100Aに接続される車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230が搭載されている。
ここで、車速センサ210は、車両CRの車輪又は車軸の回転を検出する。また、アクセル情報センサ220は、アクセル開度に相当するアクセル踏み込み量等を検出する。また、回転数情報センサ230は、電気モータの回転数を検出する。
ナビゲーション装置100Aは、図6に示されるように、制御ユニット110Aと、記憶部710としての記憶ユニット120と、音出力部760としての擬似エンジン音出力ユニット130とを備えている。また、ナビゲーション装置100Aは、音声出力ユニット140と、表示ユニット150と、操作入力ユニット160とを備えている。さらに、ナビゲーション装置100Aは、走行情報取得ユニット170Aと、位置検出部720の一部としてのGPS受信ユニット180とを備えている。
上記の制御ユニット110Aは、ナビゲーション装置100Aの全体を統括制御する。この制御ユニット110Aについては、後述する。
上記の記憶ユニット120は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶ユニット120は、ナビゲーション装置100Aで利用される道路ネットワークデータ、車線数情報データ、対向車線の有無情報等を含む地図情報データMPDをはじめとする様々なデータを記憶する。この記憶ユニット120には、制御ユニット110Aがアクセスできるようになっている。
上記の擬似エンジン音出力ユニット130は、制御ユニット110Aから送られたアクセル情報AR、回転数情報ER及び設定音量VLCL,VLCRを受ける。そして、擬似エンジン音出力ユニット130は、アクセル情報AR、回転数情報ER及び設定音量VLCL,VLCRに基づいて擬似エンジン音を生成し、車外へ向けて出力する。この擬似エンジン音出力ユニット130の構成の詳細については、後述する。
上記の音声出力ユニット140は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット110Aから受信した音声データに対応する音声を車室内へ出力する。この音声出力ユニット140は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、車両CRの走行方向、走行状況、交通状況、予定走行ルートの変更等の案内誘導のための音声を車室内へ出力する。
上記の表示ユニット150は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット110Aから受信した表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット150は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、地図情報、ルート情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。
上記の操作入力ユニット160は、ナビゲーション装置100Aの本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット150の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
この操作入力ユニット160を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100Aの動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、目的地の指定、探索された経路の中の走行ルート選択等の設定を、利用者が操作入力ユニット160を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データとして、操作入力ユニット160から制御ユニット110Aへ向けて送られる。
上記の走行情報取得ユニット170Aは、加速度センサ、角速度センサ等を備えて構成されており、車両CRに作用している加速度、角速度を検出する。また、走行情報取得ユニット170Aは、車両CRに搭載されている車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230から送られた検出結果を受ける。そして、これらのセンサから送られた検出結果を制御ユニット110Aで取扱可能な形態に変換する。こうして走行情報取得ユニット170Aにおける検出又は変換により得られた各データは、走行データとして制御ユニット110Aへ送られる。
上記のGPS受信ユニット180は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CRの現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット180は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置および現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット110Aへ送られる。
次に、上記の制御ユニット110Aについて説明する。この制御ユニット110Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110Aが様々なプログラムを実行することにより、上述した位置検出部720の一部、取得部730A、決定部740及び制御部750としての機能が実現されるようになっている。
制御ユニット110Aは、走行情報取得ユニット170Aから送られた走行データ、及び、GPS受信ユニット180から送られたGPSデータに基づいて、記憶ユニット120中のデータを適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット150の表示デバイスに表示するための地図表示、(b)車両CRが地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出し、表示ユニット150の表示デバイスに表示して利用者に提示するマップマッチング、(c)進行すべき方向等を的確にアドバイスするために行われる、表示ユニット150の表示デバイスへの案内誘導の表示のための制御、及び、音声出力ユニット140のスピーカから案内誘導を行う音声を出力するための制御等の処理が含まれる。
また、制御ユニット110Aは、マップマッチング結果及び地図情報データMPDに基づいて設定音量VLCL,VLCRを算出し、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。かかる算出処理については、後述する。
なお、制御ユニット110Aは、アクセル情報及び回転数情報の取得結果を、アクセル情報AR及び回転数情報ERとして、擬似エンジン音出力ユニット130へ送るようになっている。
次いで、上記の擬似エンジン音出力ユニット130の構成について、説明する。図7に示されるように、擬似エンジン音出力ユニット130は、擬似エンジン音信号生成部131と、DA変換部(Digital to Analogue)132とを備えている。また、擬似エンジン音出力ユニット130は、音量調整部133L,133Rと、パワー増幅部134L,134Rと、スピーカ135L,135Rとを備えている。
上記の擬似エンジン音信号生成部131は、アクセル情報と回転数情報の組み合わせに関連付けられた波形パターンが登録された波形テーブルを内部に有している。この制御ユニット110Aから送られたアクセル情報AR及び回転数情報ERを受ける。引き続き、擬似エンジン音信号生成部131は、当該アクセル情報ARと当該回転数情報ERとの組み合わせに関連付けて内部の波形テーブルに登録された波形パターンを読み取る。そして、擬似エンジン音信号生成部131は、読み取られた波形パターンに基づいて、デジタル信号である擬似エンジン音信号を生成する。こうして生成された擬似エンジン音信号は、DA変換部132へ送られる。
上記のDA変換部132は、DA変換器を備えて構成される。このDA変換部132は、擬似エンジン音信号生成部131から送られた擬似エンジン音信号を受ける。そして、DA変換部132は、擬似エンジン音信号をアナログ信号に変換する。DA変換部132による変換により得られたアナログ変換信号は、音量調整部133L,133Rへ送られる。
上記の音量調整部133L,133Rのそれぞれは、電子ボリューム素子等を備えて構成されている。これらの音量調整部133L,133Rは、制御ユニット110Aから送られた設定音量VLCL,VLCRに従って、DA変換部132から送られたアナログ変換信号に対して音量調整処理を施す。音量調整部133L,133Rのそれぞれによる調整結果である音量調整信号は、パワー増幅部134L,134Rへ送られる。
上記のパワー増幅部134L,134Rのそれぞれは、パワー増幅器を備えて構成される。これらのパワー増幅部134L,134Rは、音量調整部133L,133Rから送られ音量調整信号を受ける。そして、パワー増幅部134Lは、音量調整部133Lから送られた音量調整信号をパワー増幅する。また、パワー増幅部134Rは、音量調整部133Rから送られた音量調整信号をパワー増幅する。パワー増幅部134L,134Rのそれぞれによる増幅結果である出力音信号は、スピーカ135L,135Rへ送られる。
上記のスピーカ135Lは、車両CRの左前方が音出力方向となるように車両CRに設置される。このスピーカ135Lは、パワー増幅部134Lから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音を車両CRの左前方へ出力する。
上記のスピーカ135Rは、車両CRの右前方が音出力方向となるように車両CRに設置される。このスピーカ135Rは、パワー増幅部134Rから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音を車両CRの右前方へ出力する。
[動作]
以上のように構成されたナビゲーション装置100Aの動作について、擬似エンジン音発生に際しての制御ユニット110Aによる処理に主に着目して説明する。なお、車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230は、検出動作を行っており、検出結果をナビゲーション装置100Aへ送っているものとする。また、制御ユニット110Aは、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果を受けるたびに、直ちに、当該検出結果を反映したアクセル情報AR及び回転数情報ERを、擬似エンジン音出力ユニット130へ送っているものとする。
擬似エンジン音発生制御に際しては、図8に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット110Aが、マップマッチング結果に基づいて、車両CRの現在位置を特定する。引き続き、ステップS12において、制御ユニット110Aが、車両CRの現在位置に基づいて、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照し、当該走行方向における車両CRが走行している道路の車線数情報及び対向車線の有無情報を含む車線情報を取得する。
次に、ステップS13において、制御ユニット110Aが、車両CRが走行中の道路の車線数が「1」であるか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、制御ユニット110Aが、単一車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
かかる単一車線処理に際して、制御ユニット110Aは、まず、車両CRの走行方向に対して左右対称的な到達範囲BPA(図9参照)を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。引き続き、制御ユニット110Aが、到達範囲BPAに対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRを算出する。
なお、「到達範囲BPA」は、平均的な単一車線道路幅の道路における両側の歩行者や自転車に車両接近の注意喚起を行うとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
上記のステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、制御ユニット110Aが、走行中の道路に対向車線があるか否かを判定する。
ステップS15における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS15:Y)には、処理はステップS16へ進む。このステップS16では、制御ユニット110Aが、第1複数車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
かかる第1複数車線処理に際して、制御ユニット110Aは、まず、車両CRの走行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在する可能性が低い側の範囲が極小となるとともに、車両CRの走行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性が高い側に対して、到達範囲BPAの場合よりも広い範囲を到達範囲FPA(図10参照)に決定する。引き続き、制御ユニット110Aが、決定された到達範囲に対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRを算出する。
なお、本第1実施例では、第1複数車線処理では、対向車線側のスピーカからは擬似エンジン音が出力されないようになっている。
上記のステップS15における判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、処理はステップS17へ進む。このステップS17では、制御ユニット110Aが、第2複数車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
かかる第2複数車線処理に際して、制御ユニット110Aは、まず、車両CRの走行方向に対し歩行者側の範囲が到達範囲BPAの場合よりも広いとともに、歩行者側とは反対側の範囲が到達範囲BPAの場合と同様である範囲を到達範囲SPA(図11参照)に決定する。引き続き、制御ユニット110Aが、決定された到達範囲に対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRを算出する。
上記のステップS14,S16,S17のいずれかにおいて設定音量VLCL,VLCRが算出されると、制御ユニット110Aは、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。そして、処理はステップS11へ戻る。以後、ステップS11〜S17の処理が繰り返されて、順次、設定音量VLCL,VLCRが算出される。そして、算出された設定音量VLCL,VLCRが、擬似エンジン音出力ユニット130へ送られる。
擬似エンジン音出力ユニット130では、制御ユニット110Aから送られたアクセル情報AR及び回転数情報ERに基づいて、擬似エンジン音信号生成部131が、擬似エンジン音信号を生成する。引き続き、DA変換部132が、擬似エンジン音信号をアナログ変換信号に変換する。
次に、音量調整部133L,133Rが、制御ユニット110Aにより算出された設定音量VLCL,VLCRに従って、アナログ変換信号に対して音量調整処理を施す。そして、音量調整部133Lが、音量調整結果をパワー増幅部134Lへ送るとともに、音量調整部133Rが、音量調整結果をパワー増幅部134Rへ送る。引き続き、パワー増幅部134Lによりパワー増幅されて生成され出力音信号が、スピーカ135Lに送られるとともに、パワー増幅部134Rによりパワー増幅されて生成され出力音信号が、スピーカ135Rに送られる。
この結果、スピーカ135Lからは、パワー増幅部134Lから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音が車両CRの左前方へ出力される。また、スピーカ135Rからは、パワー増幅部134Rから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音が車両CRの右前方へ出力される。
以上説明したように、本第1実施例では、制御ユニット110Aが、車両CRの現在位置に基づいて、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照し、車両CRが走行中の道路の車線数情報及び対向車線の有無情報を含む車線情報を取得する。そして、制御ユニット110Aが、取得された車線情報に基づいて、車外に向けて出力する擬似エンジン音の到達範囲を決定し、決定された到達範囲に基づいて、擬似エンジン音出力ユニット130のスピーカ135L及びスピーカ135Rから出力する擬似エンジン音の設定音量VLCL,VLCRを算出する。この結果、擬似エンジン音出力ユニット130のスピーカ135L及びスピーカ135Rから、設定音量VLCL,VLCRに対応する音量の擬似エンジン音が、車外へ向けて出力される。
したがって、本第1実施例によれば、走行中の道路種別に対応して変化する周囲における報知対象の存在の可能性を考慮した擬似エンジン音の出力制御を適切に行うことができる。
また、本第1実施例では、制御ユニット110Aが、車線数が「1」である場合には、車両CRの走行方向に対して左右対称的な所定範囲BPAを到達範囲に決定する。また、制御ユニット110Aは、車線数が複数である場合には、車両CRの走行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性が高い側の範囲が当該所定範囲BPAの場合よりも広い範囲を車両想起音の到達範囲に決定する。さらに、制御ユニット110Aは、対向車線が存在する場合には、車両CRの走行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在する可能性が低い側の範囲が極小となる範囲を到達範囲に決定する。
このため、本第1実施例によれば、報知対象の存在の可能性を考慮しつつ、合理的な出力音量で擬似エンジン音を車外へ出力することができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例を、図12〜図15を参照して説明する。
<構成>
図12には、第2実施例に係る車両想起音発生装置としての擬似エンジン音発生装置100Bの概略的な構成が示されている。なお、擬似エンジン音発生装置100Bは、上述した第2実施形態の車両想起音発生装置700D(図5参照)の一態様となっている。
擬似エンジン音発生装置100Bは、上述したナビゲーション装置100Aと同様に、電気モータを駆動機構とし、道路上を走行する車両CRに搭載される。この車両CRには、ナビゲーション装置100Aに接続されるアクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230が搭載されている。
擬似エンジン音発生装置100Bは、図12に示されるように、制御ユニット110Bと、音出力部760としての擬似エンジン音出力ユニット130とを備えている。また、擬似エンジン音発生装置100Bは、走行情報取得ユニット170Bと、位置検出部720としてのGPS受信ユニット180と、撮影部770としての撮影ユニット190とを備えている。
上記の制御ユニット110Bは、擬似エンジン音発生装置100Bの全体を統括制御する。この制御ユニット110Bについては、後述する。
上記の走行情報取得ユニット170Bは、車両CRに搭載されているアクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230から送られた検出結果を受ける。そして、これらのセンサから送られた検出結果を制御ユニット110Bで取扱可能な形態に変換する。こうして走行情報取得ユニット170Bにおける変換により得られた各データは、走行データとして制御ユニット110Bへ送られる。
上記の撮影ユニット190は、車両CRの周囲を撮影するカメラデバイスを備えて構成されている。撮影ユニット190による撮影結果である撮影画像のデータは、逐次、制御ユニット110Bへ送られる。
次に、上記の制御ユニット110Bについて説明する。この制御ユニット110Bは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110Bが様々なプログラムを実行することにより、上述した取得部730B、決定部740及び制御部750としての機能が実現されるようになっている。
制御ユニット110Bは、撮影ユニット190から送られた撮影画像のデータを受ける。この制御ユニット110Bは、当該撮影画像を解析して、車両CRが走行中の道路の車線数情報及び対向車線の有無情報、並びに、走行中車線位置情報を含む車線情報を取得する。そして、制御ユニット110Bは、取得された車線情報に基づいて設定音量VLCL,VLCRを算出し、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。かかる算出処理については、後述する。
なお、制御ユニット110Bは、アクセル情報及び回転数情報の取得結果を、アクセル情報AR及び回転数情報ERとして、擬似エンジン音出力ユニット130へ送るようになっている。
<動作>
以上のように構成された擬似エンジン音発生装置100Bの動作について、擬似エンジン音発生に際しての制御ユニット110Bによる処理に主に着目して説明する。なお、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230は、検出動作を行っており、検出結果を擬似エンジン音発生装置100Bへ送っているものとする。また、撮影ユニット190は、車両CRの周囲の撮影を行っており、撮影結果を、逐次、制御ユニット110Bへ送っているものとする。また、制御ユニット110Bは、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果を受けるたびに、直ちに、当該検出結果を反映したアクセル情報AR及び回転数情報ERを、擬似エンジン音出力ユニット130へ送っているものとする。
擬似エンジン音発生制御に際しては、図13に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット110Bが、撮影ユニット190から新たに送られた撮影画像のデータを収集する。引き続き、ステップS22において、制御ユニット110Bが、新たな収集された撮影画像のデータを解析して、当該走行方向における車両CRが走行している道路の車線数情報及び対向車線の有無情報、並びに、走行中車線位置情報を含む車線情報を取得する。
次に、ステップS23において、制御ユニット110Bが、車両CRが走行中の道路の車線数が「1」であるか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS23:Y)には、処理はステップS24へ進む。このステップS24では、上述したステップS14と同様にして、制御ユニット110Bが、単一車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
上記のステップS23における判定の結果が否定的であった場合(ステップS23:N)には、処理はステップS25へ進む。このステップS25では、制御ユニット110Bが、走行中の道路に対向車線があるか否かを判定する。
ステップS25における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS25:Y)には、処理はステップS26へ進む。このステップS26では、制御ユニット110Bが、上述したステップS16における第1複数車線処理を変更した第1’複数車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
かかる第1’複数車線処理に際して、制御ユニット110Bは、まず、車両CRが走行している車線が最も歩行者側の車線であるか否か、すなわち、車両CRが走行している車線が最も外側の車線であるか否かの車線位置判定を行う。例えば、車両CRが走行方向へ走行するための車線が1つしかない場合には、車線位置判定の結果は肯定的となる。
当該車線位置判定の結果が肯定的であった場合には、制御ユニット110Bは、上述したステップS16の場合と同様の範囲を、擬似エンジン音の到達範囲に決定する。一方、車線位置判定の結果が否定的であった場合には、制御ユニット110Bは、擬似エンジン音の到達範囲を極小に決定する。引き続き、制御ユニット110Bが、決定された到達範囲に対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRとして算出する。
なお、本第2実施例では、第1’複数車線処理における車線位置判定の結果が否定的であった場合には、スピーカ135L及びスピーカ135Rのいずれからも、擬似エンジン音を車外へ出力させない音量設定を行うようになっている。
ステップS25における判定の結果が否定的であった場合(ステップS25:N)には、処理はステップS27へ進む。このステップS27では、制御ユニット110Bが、上述したステップS17における第2複数車線処理を変更した第2’複数車線処理を行って、設定音量VLCL,VLCRを算出する。
かかる第2’複数車線処理に際して、制御ユニット110Bは、まず、車両CRが走行している車線が最も外側の車線であるか否かの車線位置判定を行う。この車線位置判定の結果が肯定的であった場合には、制御ユニット110Bは、左右のいずれの側で最も外側となっているかを特定する。そして、制御ユニット110Bは、特定された側については到達範囲BPAの場合よりも広く、かつ、特定された側とは反対側については範囲が極小となる範囲を、擬似エンジン音の到達範囲に決定する。
こうして決定された到達範囲の例が、図14及び図15に示されている。ここで、図14には、当該特定された側が左側であった場合の到達範囲SPALの例が示され、図15には、当該特定された側が右側であった場合の到達範囲SPARの例が示されている。
一方、当該車線位置判定の結果が否定的であった場合には、制御ユニット110Bは、擬似エンジン音の到達範囲を極小に決定する。
こうして擬似エンジン音の到達範囲が決定されると、制御ユニット110Bが、決定された到達範囲に対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRとして算出する。
なお、本第2実施例では、第2’複数車線処理においては、上述した第1’複数車線処理の場合と同様に、車線位置判定の結果が否定的であった場合には、スピーカ135L及びスピーカ135Rのいずれからも、擬似エンジン音を車外へ出力させない音量設定を行うようになっている。
上記のステップS24,S26,S27のいずれかにおいて設定音量VLCL,VLCRが算出されると、制御ユニット110Bは、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。そして、処理はステップS21へ戻る。以後、ステップS21〜S27の処理が繰り返されて、順次、設定音量VLCL,VLCRが算出される。そして、算出された設定音量VLCL,VLCRが、擬似エンジン音出力ユニット130へ送られる。
設定音量VLCL,VLCRを受けた擬似エンジン音出力ユニット130は、上述した第1実施例の場合と同様の動作を実行する。この結果、スピーカ135L,スピーカ135Rから、設定音量VLCL,VLCRに従った音量の擬似エンジン音が出力される。
以上説明したように、本第2実施例では、制御ユニット110Bが、撮影ユニット190により撮影された周囲画像を解析して、車両CRが走行中の道路の車線数情報及び対向車線の有無情報を含む車線情報を取得する。そして、制御ユニット110Bが、取得された車線情報に基づいて、車外に向けて出力する擬似エンジン音の到達範囲を決定し、決定された到達範囲に基づいて、擬似エンジン音出力ユニット130のスピーカ135L及びスピーカ135Rから出力する擬似エンジン音の設定音量VLCL,VLCRを算出する。この結果、擬似エンジン音出力ユニット130のスピーカ135L及びスピーカ135Rから、設定音量VLCL,VLCRに対応する音量の擬似エンジン音が、車外へ向けて出力される。
したがって、本第2実施例によれば、第1実施例の場合と同様に、走行中の道路種別に対応して変化する周囲における報知対象の存在の可能性を考慮した擬似エンジン音の出力制御を適切に行うことができる。
また、本第2実施例では、制御ユニット110Bが、車線数が「1」である場合には、車両CRの走行方向に対して左右対称的な所定範囲BPAを到達範囲に決定する。また、制御ユニット110Bは、車線数が複数である場合には、車両CRの走行中の車線が最も外側の車線であるか否かに応じて、車両想起音の到達範囲に決定する。
このため、本第2実施例によれば、報知対象の存在の可能性をきめ細かく考慮しつつ、合理的な出力音量で擬似エンジン音を車外へ出力することができる。
[実施例の変形]
上記の第1及び第2実施例については、様々な変形が可能である。
例えば、上記の第1実施例では、車線数情報及び対向車線の有無情報を取得し、取得された情報に基づいて、擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにした。これに対し、第2実施形態の場合と同様に、走行車線位置情報を更に取得するようにし、取得された情報に基づいて、擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにしてもよい。
また、上記の第1実施例では、地図情報を記憶した記憶ユニットを備えるとともに、車両の現在位置の検出機能を備えるナビゲーション装置が車両想起音発生装置の機能を実現するようにしたが、車両想起音発生装置を、ナビゲーション装置等とは独立した装置として構成してもよい。この場合、車線情報を含む地図情報の記憶機能や車両の現在位置の検出機能については、これらの機能を他の装置が有しているときには、当該他の装置の機能を利用するようにすることができる。
また、上記の第1及び第2実施例では、複数車線の道路を走行中において、歩行者等の注意喚起対象が近くに存在する可能性が高いと推定される側の擬似エンジン音の到達範囲を、到達範囲BPAの場合よりも広くするようにした。これに対し、注意喚起対象が近くに存在する可能性があると推定される側の擬似エンジン音の到達範囲を、到達範囲BPAの場合と同様にするようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、複数車線の道路を走行中において、歩行者等の注意喚起対象が近くに存在する可能性が低いと推定される側については、擬似エンジン音の到達範囲を極小とし、当該推定された側へ擬似エンジン音を出力するためのスピーカからは、擬似エンジン音を出力しないようにした。これに対し、注意喚起対象が近くに存在する可能性が低いと推定される側に擬似エンジン音を出力するためのスピーカからも、小音量の擬似エンジン音を出力するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、擬似エンジン音出力ユニット130が、固定的な音出力を有するスピーカ135L及びスピーカ135Rの2個のスピーカを備えるようにしたが、例えば、回転を制御可能な部材に載置されたスピーカを少なくとも1個備えるようにして、到達範囲を決定するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、擬似エンジン音出力ユニット130が、アクセル情報AR及び回転数情報ERに基づいて定まる波形パターンの擬似エンジン音を生成するようにしたが、固定的な波形パターンの擬似エンジン音を生成するようにしてもよい。この場合には、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果の取得が不要となる。
また、上記の第1及び第2実施例では、擬似エンジン音の到達範囲の決定に際して車速を直接的には考慮しなかったが、車速が速いほど、擬似エンジン音の到達範囲を広くするようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、渋滞等の交通状況を考慮せずに擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにしたが、例えば、渋滞に巻き込まれている場合には、擬似エンジン音を車外へ出力しないようにする等、渋滞等の交通状況を考慮して擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、擬似エンジン音を車外へ出力するようにしたが、歩行者等に対して注意を喚起できる音であれば、擬似エンジン音以外の車両想起音を車外へ出力するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、擬似エンジン音の出力制御のために必要な要素の全てが車両CRに搭載されるようにした。これに対し、車両CRに搭載される端末装置に、当該必要な要素の一部を実装するとともに、車外に設置されるサーバ装置に残りの部分を実装するようにしてもよい。
この場合には、車両が走行している道路の道路幅情報を取得し、取得された道路幅情報に基づいて、車外に向けて出力する車両想起音の到達範囲を決定するようにすることもできる。
また、上記の第1及び第2実施例では、車両CRの位置検出を行うための資源を独自に備えるようにしたが、車両CR内に存在する位置検出機能付装置(例えば、GPS機能付携帯電話装置)による位置検出結果を取得するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例では、車両想起音発生装置としてスピーカを備える構成としたが、既存のスピーカを利用し、当該既存のスピーカからの車両想起音の出力を制御する構成とすることもできる。
また、上記の第1及び第2実施例は、駆動機構として電気モータを採用する電気自動車に搭載され、擬似エンジン音を発生する装置の例であるが、駆動機構として電気モータ及びガソリンエンジンを併用するいわゆるハイブリッド車に搭載される車両想起音発生装置について、上記の第1及び第2実施例の車両想起音発生装置と同様に構成するようにしてもよい。さらに、自動車以外の車両に搭載される車両想起音発生装置について、上記の第1及び第2実施例の車両想起音発生装置と同様に構成するようにしてもよい。
なお、上記の実施例では、コンピュータによるプログラムの実行により、車両想起音発生のための制御処理を行うようにしたが、当該車両想起音発生のための制御の全部又は一部を、専用のLSI(Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェアにより行うようにしてもよい。
《交差点までの距離を考慮した擬似エンジン音の到達範囲の制御》
次に、上述の第1及び第2実施例と実施形態における車線情報に基づく擬似エンジン音の到達範囲の制御と組み合わせることができる「交差点までの距離を考慮した擬似エンジン音の到達範囲の制御」について説明する。以下、第1実施例のナビゲーション装置100Aにおける制御ユニット110Aが、当該制御を行うものとして説明をする。
なお、車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230は、検出動作を行っており、検出結果をナビゲーション装置100Aへ送っているものとする。また、制御ユニット110Aは、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果を受けるたびに、直ちに、当該検出結果を反映したアクセル情報AR及び回転数情報ERを、擬似エンジン音出力ユニット130へ送っているものとする。
擬似エンジン発生制御に際しては、図16に示されるように、まず、ステップS31において、制御ユニット110Aが、マップマッチング結果に基づいて、車両CRの現在位置及び進行方向を特定する。また、制御ユニット110Aは、車速センサ210による検出結果に基づいて、車両CRの車速を特定する。
次に、ステップS32において、制御ユニット110Aが、車両CRの現在位置及び進行方向に基づいて、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照し、当該進行方向における車両CRが走行している道路と他の道路との次の交差位置までの走行距離(CPD)を特定する。引き続き、ステップS33において、制御ユニット110Aが、車速に基づいて、当該交差位置までの基準距離(TCD)を算出する。ここで、車速に対応する基準距離を算出するのは、擬似エンジン音による車両CRの接近の交差点付近への警告として有効するためである。
次いで、ステップS34において、制御ユニット110Aが、交差位置までの走行距離(CPD)が交差位置までの基準距離(TCD)以下であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS34:N)には、処理はステップS35へ進む。
ステップS35では、制御ユニット110Aが、定常出力処理を行う。この定常出力処理では、制御ユニット110Aが、車両CRの進行方向に対して左右対称的な到達範囲FPA(図17参照)を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。ここで、「到達範囲FPA」は、単一車線の道路における両側の歩行者や自転車に車両接近の注意喚起を行うとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
引き続き、制御ユニット110Aが、到達範囲FPAに対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRを算出する。そして、制御ユニット110Aは、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。
上記のステップS34における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS34:Y)には、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、制御ユニット110Aが、拡大範囲出力処理を行う。この拡大範囲出力処理では、制御ユニット110Aが、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照して、走行中の道路と交差する他の道路が、左側、右側及び左右両側のいずれへ延びているのかを判定する。そして、他の道路が左側へのみ延びる場合には、制御ユニット110Aは、車両CRの進行方向側及び左側が所定範囲の場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む到達範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する。
また、他の道路が右側へのみ延びる場合には、制御ユニット110Aは、車両CRの進行方向側及び右側が所定範囲の場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する。さらに、他の道路が左右両側へ延びる場合には、制御ユニット110Aは、車両CRの進行方向に対して対称的であり、かつ、到達範囲FPAよりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む到達範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する。
なお、本実施例では、制御ユニット110Aは、交差位置までの走行距離が短くなるほど到達範囲の広さを狭めていき、交差位置までの走行距離が0となった時点においては、到達範囲FPAとするようにしている(図17参照)。
引き続き、制御ユニット110が、決定された到達範囲に対応するスピーカ135L及びスピーカ135Rの設定音量VLCL,VLCRを算出する。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLCL,VLCRを擬似エンジン音出力ユニット130へ送る。
なお、図17には、単一車線の道路LD4を走行中の車両CRに対して、走行中の道路と交差する他の道路LDLが、左側にのみ延びる場合に、拡大範囲出力処理において決定される擬似エンジン音の到達範囲EPAの変化の例が示されている。
上述のステップS35又はステップS36の処理が終了すると、処理はステップS31へ戻る。以後、ステップS31〜S36の処理が繰り返されて、順次、設定音量VLCL,VLCRが算出される。そして、算出された設定音量VLCL,VLCRが、擬似エンジン音出力ユニット130へ送られる。
この結果、車両CRの現在位置から、車両CRの進行方向における他の道路との交差位置までの距離が、所定距離よりも短くなると、当該交差点付近に存在する歩行者等を考慮した車両想起音の出力制御を適切に行うことができる。