JP2012094415A - リチウム空気二次電池用正極とその製造方法ならびにリチウム空気二次電池 - Google Patents

リチウム空気二次電池用正極とその製造方法ならびにリチウム空気二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充電電圧を低減し、良好な充放電サイクル特性を有するリチウム空気二次電池用正極を提供する。
【解決手段】正極3を構成するカーボン、バインダー(PTFE粉末)に混合する触媒として、FeイオンとNiイオンとを少なくとも含む混合酸化物を用いる。ここで、Feイオン、Niイオンのそれぞれのモル数をNFe、NNiと表現したとき、NFe:NNi=2:1または1:2のモル比とし、前記混合酸化物をスピネル型酸化物とする。また、前記混合酸化物が、FeイオンとNiイオンとにLaイオンの酸化物をまたはLaイオンとアルカリ土類金属イオン(Caイオン、Srイオン、Baイオンのいずれか)との複合酸化物をさらに混合してなる。このとき、Laイオン、アルカリ土類金属イオンそれぞれのモル数をNLa、NMと表現したとき、(NFe+NNi):(NLa+NM)=1:1のモル比とし、前記混合酸化物をペロブスカイト型酸化物とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム空気二次電池用正極とリチウム空気二次電池用正極製造方法ならびにリチウム空気二次電池に関し、特に、充電電圧が低く充放電サイクル特性に優れたリチウム空気二次電池に好適に適用可能なリチウム空気二次電池用正極とリチウム空気二次電池用正極製造方法ならびに該リチウム空気二次電池に関する。
金属空気電池は、リチウムイオン電池などのリチウム系電池を遥かに凌駕する理論エネルギー密度を有している。中でも、亜鉛空気一次電池は、300mAh/g程度の大きな放電容量を有していることから、主に、補聴器などに用いられている。しかしながら、亜鉛空気一次電池は、非水電解液を用いるリチウム系電池と比較すると、1V程度の電圧しか得られないため、広範な利用は難しいと考えられる。
近年、正極反応系として、亜鉛空気電池と同様、酸素の電気化学的な還元(放電)・発生(充電)を用いて、負極として亜鉛に代わって金属リチウムを組み合わせ、また、電解液として非水電解質を用いることによって、2〜3Vの高電圧を示すリチウム空気二次電池を作製する試みが行われており、初回の放電時では1000mAh/g以上のより大きな放電容量が得られる試作例が報告されている。
しかし、このようなリチウム空気二次電池においては、充電時の電圧が高く、電解液の分解が起こることや、放電生成物(酸化リチウム)の析出・分解の可逆性が不十分であることなどが原因で、充放電サイクルを繰り返すと、放電容量が著しく減少してくるといった問題を抱えている。
そこで、リチウム空気二次電池用正極へ触媒を添加することにより、電極の高活性化を行うことが試みられている。例えば、下記の非特許文献1においては、白金(Pt)や種々の金属酸化物を触媒として添加した正極を用いたリチウム空気二次電池を作製し、充放電試験を行っている。充放電試験の結果、金属酸化物触媒として、酸化ニッケル(NiO)を添加した場合、初回の充放電サイクル時の放電容量は1600mAh/gであり、10回目の充放電サイクル後であっても、放電容量は600mAh/gを示している。
また、三酸化鉄(Fe)を添加した場合には、初回の充放電サイクル時の放電容量は2700mAh/gであり、10回目の充放電サイクル後は75mAh/gである。また、四酸化三鉄(Fe)を添加した場合、初回の充放電サイクル時の放電容量は1200mAh/gであり、10回目の充放電サイクル後の放電容量は800mAh/gを示している。
しかし、該非特許文献1の充放電試験の結果においては、いずれも、充電電圧が高く、かつ、充放電サイクルによる放電容量の減少が著しく、二次電池としての実用化には、更なる充放電サイクル特性の改善が必要であることを示している。
「An 02 cathode for rechargeable lithiumbatteries:The effect of a catalyst」,A.Debart,J.Bao,G.Armstrong,P.G.Bruce,Journal of Power Sources,Vol.174,pp.1177−1182 (2007).
前述したように、前記非特許文献1に記載されているような従来のリチウム空気二次電池は、充電電圧が高く、良好な充放電サイクル特性を得ることが困難であるという課題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、充電電圧の低減を可能とし、良好な充放電サイクル特性を有するリチウム空気二次電池用正極とその製造方法ならびにリチウム空気二次電池を提供することを、その目的としている。
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
第1の技術手段は、リチウム空気二次電池に用いるリチウム空気二次電池用正極であって、カーボン、触媒およびバインダーからなり、該触媒が鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを少なくとも含む混合酸化物であることを特徴とする。
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンのそれぞれのモル数を、NFe、NNiと表現したとき、(NFe:NNi) = 2:1もしくは(NFe:NNi) = 1:2のモル比とすることにより、前記混合酸化物をスピネル型酸化物とすることを特徴とする。
第3の技術手段は、前記第1の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物は、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに、ランタン(La)イオンを含む酸化物を、もしくは、ランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオンとを含む複合酸化物を、さらに混合してなることを特徴とする。
第4の技術手段は、前記第3の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記アルカリ土類金属イオンが、カルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれかであることを特徴とする。
第5の技術手段は、前記第3または第4の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、前記アルカリ土類金属イオンそれぞれのモル数を、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき、(NFe+NNi):NLa = 1:1、もしくは、(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1のモル比とすることにより、前記混合酸化物をペロブスカイト型酸化物とすることを特徴とする。
第6の技術手段は、リチウム空気二次電池の正極を製造するリチウム空気二次電池用正極製造方法であって、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比があらかじめ定めたモル比となる重量比の硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)粉末と硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)粉末とをイオン交換水に溶解させた金属塩混合水溶液に、リンゴ酸とアンモニア水溶液とをさらに加えて、あらかじめ定めたpH(potential Hydrogen)の混合水溶液に調合する第1の工程と、あらかじめ定めたpHに調合された前記混合水溶液をあらかじめ定めた温度で加熱して蒸発乾固させて得られる前駆体を、あらかじめ定めた温度・時間の条件下で熱処理を行うことにより酸化物触媒として形成する第2の工程と、形成された前記酸化物触媒を、カーボンとバインダーとにあらかじめ定めた重量比で混合し、さらに、成形して、リチウム空気二次電池用正極として作製する第3の工程とを、少なくとも含むことを特徴とする。
第7の技術手段は、前記第6の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比を、2:1もしくは1:2とすることにより、前記酸化物触媒として、FeNiの組成式において、x:y = 2:1、もしくは、x:y = 1:2の関係になるスピネル型酸化物が得られることを特徴とする。
第8の技術手段は、前記第6の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、前記第1の工程として、前記金属塩混合水溶液に前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とを加える前に、前記金属塩混合水溶液に、あらかじめ定めたモル数分のランタン(La)イオンを含む重量の硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末を、もしくは、ランタン(La)イオンとカルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれかからなるアルカリ土類金属イオンとのモル比があらかじめ定めたモル比となる重量比の硝酸ランタン六水和物粉末と硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加える手順を追加し、しかる後、前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とをさらに加えて、あらかじめ定めたpHの混合水溶液に調合することを特徴とする。
第9の技術手段は、前記第8の技術手段に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する前記アルカリ土類金属イオンをMイオンと表現し、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、アルカリ土類金属イオン(Mイオン)それぞれのモル数を、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき、前記金属塩混合水溶液に前記硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末をさらに加えた場合には、(NFe+NNi):NLa = 1:1とし、もしくは、前記金属塩混合水溶液に前記硝酸ランタン六水和物粉末と前記硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加えた場合には、(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1のモル比とすることにより、前記酸化物触媒として、LaFeNiもしくはLaFeNiの組成式において、x = (z+u)、もしくは、(x+y) = (z+u)の関係になるペロブスカイト型酸化物が得られることを特徴とする。
第10の技術手段は、カーボン、触媒、バインダーからなる正極と、金属リチウムまたはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な物質からなる負極と、を具備し、前記正極の一方の面が空気に接し、前記正極の他方の面が非水電解液に接し、前記正極と前記負極との間に前記非水電解液を配置してなるリチウム空気電池において、前記正極が前記第1ないし第5の技術手段のいずれかに記載のリチウム空気二次電池用正極により構成されていることを特徴とする。
本発明のリチウム空気二次電池用正極材料とリチウム空気二次電池用正極材料製造方法ならびにリチウム空気二次電池によれば、リチウム空気二次電池の充電電圧の低減に重要であると考えられる正極に、高活性な触媒を添加して構成しているので、以下のごとき効果を奏することができる。
すなわち、リチウム空気二次電池用の正極に高活性な触媒を添加することにより、放電時に生成した析出物の分解が促進され、放電生成物の良好な可逆性が得られるので、充電電圧を低下させることができ、非常に良好な充放電サイクル特性を有するリチウム空気二次電池を作製することが可能になる。
本発明によるリチウム空気二次電池のセル構造の一例を示す断面図である。 本発明によるリチウム空気二次電池の初回充放電時の充放電曲線の一例を示す特性図である。 本発明によるリチウム空気二次電池の正極の触媒として用いたペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)のXRDパターンを示す特性図である。
以下に、本発明に係るリチウム空気二次電池用正極とリチウム空気二次電池用正極製造方法ならびにリチウム空気二次電池の好適な実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、リチウム空気二次電池用の正極とその製造方法ならびに該正極を用いたリチウム空気二次電池に関するものである。
本発明においては、リチウム空気二次電池の正極がカーボン、触媒、バインダーからなり、該触媒を、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを少なくとも含み、あらかじめ定めたモル比(例えば、8:2、2:1、6:4、4:6、1:2、2:8)の鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとからなる混合酸化物とすることを主要な特徴としている。
該触媒を含有するリチウム空気二次電池正極の製造方法は、例えば、次の通りである。まず、第1の工程として、あらかじめ定めたモル比(例えば、8:2、2:1、6:4、4:6、1:2、2:8)の鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとの金属塩混合水溶液に、リンゴ酸とアンモニア水溶液とを加えて、あらかじめ定めたpH(potential Hydrogen:水素イオン濃度指数)の水溶液例えばpHが2.5の水溶液に調合した後、第2の工程として、あらかじめ定めた温度(例えば170℃)で加熱して蒸発乾固して得られた前駆体をあらかじめ定めた温度および時間の条件下で熱処理(例えば600℃の場合5時間以上の熱処理)を行うことにより混合酸化物を形成する。
しかる後、第3の工程として、第2の工程で得られた該混合酸化物を酸化物触媒として用いて、カーボンとバインダーとにあらかじめ定めた重量比(例えば、酸化物触媒:カーボン:バインダー = 5:3:2の重量比)で混合して、さらに、成形して(例えば、シート状に成形した後、円形に切り抜いて)、リチウム空気二次電池用正極を作製する。
かくのごとき混合酸化物からなる触媒を含有したリチウム空気二次電池用正極を用いることにより、充電電圧が低下し、かつ、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム空気二次電池を実現することが可能となる。
ここで、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比を、2:1もしくは1:2とすることにより、前記酸化物触媒として、FeNiの組成式において、x:y = 2:1もしくはx:y = 1:2の関係からなるスピネル型酸化物を用いることにより、さらに良好な特性を有するリチウム空気二次電池を実現することができる。
また、前記第1の工程において、金属塩混合水溶液に前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とを加える前に、前記金属塩混合水溶液に、あらかじめ定めたモル数分のランタン(La)イオンを含む重量の硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末を、もしくは、ランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオン(例えばカルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれか)とのモル比があらかじめ定めたモル比となる重量比の硝酸ランタン六水和物粉末と硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加える手順を追加し、しかる後、前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とをさらに加えて、あらかじめ定めたpHの混合水溶液に調合するようにしても良い。
ランタン(La)イオンを含む酸化物もしくはランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオンとの双方を含む複合酸化物をさらに加えた場合においては、アルカリ土類金属イオンをMイオンと表現し、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、アルカリ土類金属イオン(Mイオン)それぞれのモル数を、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき、金属塩混合水溶液に硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末をさらに加えた場合には、(NFe+NNi):NLa = 1:1とし、もしくは、金属塩混合水溶液に硝酸ランタン六水和物粉末と硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加えた場合には、(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1のモル比とすることにより、酸化物触媒として、LaFeNiもしくはLaFeNiの組成式において、x = (z+u)もしくは(x+y) = (z+u)の関係からなるペロブスカイト型酸化物を用いることにより、さらに良好な特性を有するリチウム空気二次電池を実現することができる。
(実施形態)
次に、本発明に係わるリチウム空気二次電池の概要について、その一例を説明する。
正極活物質である酸素の電気化学的酸化還元反応が進行する正極は、カーボン、触媒、バインダーからなり、カーボン粉末および触媒粉末とポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)のようなバインダー粉末との混合物を、通気性のある金属メッシュ等の支持体上に圧着成形する、あるいは、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー(Slurry)状にしたものを、金属メッシュ上に塗布し乾燥する、等の手段を用いて作製される。
作製された正極の一方の面は大気に曝され、また、正極の他方の面は非水電解液と接するように配置する。なお、ここで、電極の強度を高め、電解液の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを行うことによって、より安定性に優れた正極を作製することも可能である。
正極上における放電反応は、次の式(1)、(2)のように表すことができる。
2Li+O+2e → Li …(1)
あるいは
2Li+(1/2)O+2e → LiO …(2)
前記式(1)、(2)中のリチウムイオン(Li)は、負極から電解液を介して正極表面まで移動してきたものである。また、酸素は、大気中から正極内部に取り込まれたものである。
かくのごとき放電反応により生成されたLiまたはLiOが、正極上に析出し、正極上の反応サイトを全て被覆した時点で、放電反応は終了する。充電時においては、放電反応とは逆の反応が起こり、放電時に生成された放電生成物がすべて分解されると、充電が終了する。
本発明によるリチウム空気二次電池の正極材料として用いるカーボンは、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンファイバーなどを用いることができるが、該カーボンとしては、結晶が成長しておらず、粒径が小さく、反応サイトが多く存在する高表面積の材料を用いることが望ましい。
また、本発明者らは、前述のような触媒として金属酸化物を添加した正極を用いて作製したリチウム空気二次電池の充放電特性について鋭意検討を行った。その検討結果として、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを少なくとも含む混合酸化物を触媒として正極に添加した場合に、充電電圧が低下し、かつ、充放電サイクル特性が大幅に向上することを見出した。
特に、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンのモル数を、それぞれ、NFe、NNiと表現したとき、触媒とする鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比を、
(NFe:NNi) = 2:1、もしくは、(NFe:NNi) = 1:2
として、スピネル(spinel)型酸化物(例えば、NiFe、FeNi)のみが得られる場合に、優れた充放電特性を有するリチウム空気二次電池を実現することができる。
また、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとを混合することにより、もしくは、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオンを混合することにより、得られる混合酸化物を触媒として正極に添加することにより、さらに良好な特性を示すことを見出した。ここで、アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、カルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれかのイオンを用いる。
特に、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、アルカリ土類金属イオン(例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)のいずれかのイオン)のモル数を、それぞれ、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき(ただし、触媒として、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンのみを用いる場合には、NM=0)、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオンとの各金属イオンのモル比を、
(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1
となるように混合することにより、ペロブスカイト(perovskite)型酸化物のみが得られる場合には、さらに充電電圧が低くなり、充放電サイクル特性がさらに向上することを見出した。中でも、アルカリ土類金属イオンとして、ストロンチウム(Sr)イオンを用いる場合、最も優れた特性を示すことを見出した。
なお、ここで、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)のいずれか1つのアルカリ土類金属をMとし、触媒とする前記ペロブスカイト型酸化物の組成式をLaFeNiと表現したとき、(x+y) = (z+u)とすることと、前述のようにモル比を(NLa+NM):(NFe+NNi) = 1:1とすることとは、同値である。アルカリ土類金属イオン(Mイオン)を含むことなく、ランタン(La)イオンのみを鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに混合する場合は、触媒とする前記ペロブスカイト型酸化物の組成式をLaFeNiと表現したとき、x = (z+u)とすることと、前述のように、NM=0として、モル比をNLa:(NFe+NNi) = 1:1とすることとは、同値である。
なお、触媒の合成法については、固相法や湿式法などの従来公知の方法を用いることができるが、表面積の大きい酸化物を合成することが可能である湿式法を用いることがより望ましい。
また、リチウム空気二次電池の正極材料として用いるバインダーについては、前述したようなPTFE粉末の他に、PTFE分散液や、もしくは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF:PolyVinylidene DiFluoride)の粉末やその分散液を用いることも可能である。
また、リチウム空気二次電池の負極については、金属リチウム、または、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な物質(例えば、カーボン、シリコン(Si)、錫(Sn)、Li2.6Ni0.4Nなど)からなる負極材料等を用いることができる。しかしながら、負極材料として、最初にリチウムを含んでいないカーボンなどの化合物を用いる場合については、リチウム空気二次電池の作製前に、あらかじめ、化学的もしくは電気化学的に、リチウムを含むリチウム化カーボン(CLi)などの化合物に化学変化させておくことが必要である。
また、リチウム空気二次電池の非水電解液としては、リチウムイオンの移動が可能な非水電解液であれば良く、有機電解液や、イオン液体を使用することができる。ここで、有機電解液については、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の金属塩をプロピレンカーボネート(PC:Propylene Carbonate)、エチレンカーボネート(EC:Ethylene Carbonate)、ジメチルカーボネート(DMC:Dimethyl Carbonate)等の有機溶媒、もしくは、これらの混合溶媒に溶解したものを使用することができる。
なお、リチウム空気二次電池のセパレータや電池ケース等の電池構成材料等についても、従来公知の各種材料を使用することができ、特に制限はない。
(実施例)
以下に、本発明に係るリチウム空気二次電池用正極とリチウム空気二次電池用正極製造方法ならびにリチウム空気二次電池についての実施例を、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例のみに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができることは言うまでもない。
(実施例1)
まず、実施例1として、リチウム空気二次電池用正極に添加する触媒を、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとによって形成する場合について説明する。
(1)リチウム空気二次電池用正極の製造方法
最初に、リチウム空気二次電池用正極の製造方法について説明する。
第1の工程において、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンのモル数をNFe、NNiと表現したとき、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比が
(NFe:NNi) = 8:2
になるように、400mlのイオン交換水に、0.016molの硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)粉末(純度:99.0%)と0.004molの硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)粉末(純度:99.0%)とを溶解させ、金属硝酸塩混合水溶液を得た。
しかる後、得られた金属硝酸塩混合水溶液に、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を8.1g加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、水溶液のpH(potential Hydrogen)があらかじめ定めた値すなわち本実施例1においては2.5になるようにした。
さらに、第2の工程において、pHが2.5の水溶液をあらかじめ定めた温度すなわち本実施例1においては170℃で撹拌しながら蒸発乾固させ、得られた前駆体をあらかじめ定めた温度・時間の条件下ですなわち本実施例1においては600℃以上、5時間の間熱処理を行うことにより、混合酸化物として酸化物触媒を得た。
次いで、第3の工程において、得られた酸化物触媒に、カーボンとバインダー(PTFE粉末:polytetrafluoroethylene粉末)とを、あらかじめ定めた重量比すなわち本実施例1においては、
酸化物触媒:カーボン:PTFE = 5:3:2
の重量比となるように、混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、リチウム空気二次電池用の正極を得た。
また、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)の場合のみならず、後述の表1に示すように、モル比(NFe:NNi)が(2:1)、(6:4)、(4:6)、(1:2)、(2:8)となる5種類の触媒をカーボンとバインダー(PTFE粉末)とに添加した正極についても、前述した製造方法と同様の手順で作製した。
すなわち、硝酸鉄九水和物(Fe(NO)・9HO)粉末(純度:99.0%)と硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO粉末(純度:99.0%)とを、(2:1)、(6:4)、(4:6)、(1:2)、(2:8)の各モル比(NFe:NNi)になるように、イオン交換水に溶解させ、得られた金属硝酸塩混合水溶液に、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、それぞれのモル比(NFe:NNi)の水溶液のpHが2.5になるようにした。
しかる後、それぞれのモル比(NFe:NNi)の水溶液についても170℃で撹拌しながら蒸発乾固させ、得られた前駆体を600℃以上、5時間熱処理を行うことにより、酸化物触媒を得た。
得られたそれぞれの酸化物触媒に、カーボンとバインダー(PTFE粉末)とを、
酸化物触媒:カーボン:PTFE = 5:3:2
の重量比となるように、混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、それぞれの正極を得た。
また、比較のために、表1に示すように、触媒を添加せずに、カーボン(ケッチェンブラックEC600JD)とバインダー(PTFE)とのみからなる正極についても、前述の製造方法と同様の方法によって作製した。なお、この場合のカーボンとバインダーとの重量比は6:4としている。
(2)リチウム空気二次電池の製造方法
次に、(1)項において説明した製造方法によって製造したそれぞれのリチウム空気二次電池用正極を用いたリチウム空気二次電池の製造方法について説明する。図1は、本発明によるリチウム空気二次電池のセル構造の一例を示す断面図であり、本実施例1において製造した円柱型のリチウム空気二次電池についてそのセル構造の概略を示している。
図1に示すリチウム空気二次電池は、正極接合具1、電極ケース2、正極3、セパレータ4、金属リチウム負極5、負極接合具6、負極支持体7、Oリング8、負極端子9から構成されており、正極接合具1、負極接合具6、負極支持体7は、いずれも、SUS(Special Use Stainless steel:特殊用途用ステンレス鋼)製である。また、正極3に空気を取り込むための円形の空気孔の直径は16mmである。
図1に示すリチウム空気二次電池を製造する工程は次の通りである。まず、表面をテフロン(登録商標)コーティングした電極ケース2(ただし、正極3との接触部はコーティングなし)の片側に、カーボン、触媒、バインダーからなる正極3を配置し、SUS製の正極接合具1を嵌め込むことによって正極3を固定した。ここで、正極3は、(1)項において説明したリチウム空気二次電池用正極であり、6種類のモル比(NFe:NNi)の触媒を添加した正極の場合と、比較のために作製した触媒なしのカーボン、バインダーのみからなる正極の場合との、合計7種類の正極3を有するリチウム空気二次電池を製造することになる。
次に、正極3を固定した電極ケース2の正極3とは反対側に、非水電解液を注入し、さらに、セパレータ4を挿入した後、円形に切り抜いて、負極接合具6に圧着させた金属リチウム負極5を、負極支持体7とともに、該セパレータ4を電極ケース2で挟み込むようにして、嵌め込む。この結果、正極3は、一方の面が空気に接し、他方の面が非水電解液に接する状態になる。
さらに、Oリング8を電極ケース2に取り付けた後、負極端子9を嵌め込むことによって、リチウム空気二次電池を作製した。
なお、非水電解液としては、有機電解液を用い、プロピレンカーボネート(PC)の溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/lの濃度で溶解した溶液を使用した。また、金属リチウム負極5については、前述したように、金属リチウムの代わりに、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な物質を用いて構成するようにしても良い。
(3)リチウム空気二次電池の特性評価試験
次に、(2)項において説明した製造方法によって製造した合計7種類のリチウム空気二次電池について、特性評価試験として充放電サイクル試験を行った結果について説明する。
7種類のリチウム空気二次電池それぞれについて、電流密度0.1mA/cm(大気に曝される正極3の面積で規格化した電流密度)で、放電終止電圧2.0V、充電終止電圧4.5Vの条件下で、充放電サイクル試験を行った。なお、測定結果を示す容量については、以後の比較のために、正極3に含まれるカーボン重量当たりの容量(mAh/g)を用いて記述することにする。
表1は、本実施例1において作製した合計7種類のリチウム空気二次電池の各サイクル(初回、第20回目、第50回目)における放電容量の測定結果を示すテーブルである。
Figure 2012094415
表1に示すように、本実施例1において作製したモル比(NFe:NNi)が(8:2)、(2:1)、(6:4)、(4:6)、(1:2)、(2:8)のそれぞれの酸化物触媒添加の正極3を用いる6種類すべての電池において、リチウム空気二次電池としての良好な作動を確認したが、正極3に触媒として添加した鉄(Fe)イオンとニッケル(Niイオン)との金属硝酸塩の混合比率すなわちモル比(NFe:NNi)の違いによって、放電特性に差異があることが分かった。
特に、正極3に触媒として添加した鉄(Fe)イオンとニッケル(Niイオン)とのモル比(NFe:NNi)が、(2:1)または(1:2)の場合に、極めて良好な放電特性を示している。
すなわち、FeNiスピネル型酸化物のみが得られる鉄(Fe)イオンとニッケル(Niイオン)とのモル比(NFe:NNi)が(2:1)のときには、初回放電容量が1720mAh/g、第20回目放電容量が1593mAh/g、第50回目放電容量が1233mAh/gと、7種類のリチウム空気二次電池の中では、最も大きな放電容量を示した。
また、NiFeスピネル型酸化物のみが得られる鉄(Fe)イオンとニッケル(Niイオン)とのモル比(NFe:NNi)が(1:2)のときにも、初回放電容量が1663mAh/g、第20回目放電容量が1501mAh/g、第50回目放電容量が1212mAh/gと、7種類のリチウム空気二次電池の中では、第2番目に大きな放電容量を示した。
なお、比較のために作製した、触媒を添加しないで、カーボン単独(つまりカーボンとバインダーのみ)の正極3の場合は、初回放電容量こそ2031mAh/gと大きいが、第20回目放電容量が7mAh/g、第50回目放電容量が0mAh/gと、充放電サイクルを繰り返すと、放電容量が激減することが分かった。
本実施例1のモル比(NFe:NNi)が(2:1)および(1:2)の触媒を添加した正極3を用いたリチウム空気二次電池、および、触媒なしでカーボン単独からなる正極3を用いたリチウム空気二次電池について、それぞれの初回の充放電時の充放電曲線を、図2に曲線(a)、(b)、(c)として示している。ここに、図2は、本発明によるリチウム空気二次電池の初回充放電時の充放電曲線の一例を示す特性図であり、本実施例1のみならず、後述する実施例2、比較例1および2についても示している。なお、図2の横軸は充放電容量(Capacity)であり、縦軸は電池電圧(Voltage)である。
図2において、本実施例1のモル比(NFe:NNi)が(2:1)の触媒を添加した正極を用いた場合、曲線(a)に示すように、放電時においては平均電圧が約2.75Vであり、放電容量は1720mAh/gを示した。また、充電時においては平均電圧が4.10Vであり、充電容量は1593mAh/gを示した。
また、本実施例1のモル比(NFe:NNi)が(1:2)の触媒を添加した正極を用いた場合、曲線(b)に示すように、放電時においては平均電圧が約2.70Vであり、放電容量は1663mAh/gを示した。また、充電時においては平均電圧が4.10Vであり、充電容量は1751mAh/gを示した。
これらに対して、触媒なしでカーボン単独の正極を用いた場合、曲線(c)に示すように、放電時においては平均電圧が約2.70Vであり、放電容量は2031mAh/gを示した。また、充電時においては平均電圧が4.30Vと高い電圧値であり、充電容量は451mAh/gと著しく低い値を示した。
本実施例1においては、表1および図2に示すように、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)、(2:1)、(6:4)、(4:6)、(1:2)、(2:8)それぞれの触媒を添加したすべての場合について、良好な充放電サイクル特性を示したが、モル比(NFe:NNi)が(8:2)、(6:4)、(4:6)、(2:8)の場合のように、複数の酸化物触媒が得られる場合に比べ、(2:1)、(1:2)の場合のスピネル型酸化物(NiFe、FeNi)のみの触媒が得られる場合には、特に、充電電圧が低く、かつ、充放電容量も大きく、最も良好な充放電サイクル特性を示した。
また、触媒なしでカーボン単独の正極と比較して、初回放電時においては、放電容量がやや低い値になっているが、触媒を添加することにより、充電電圧が低下し、充放電サイクル特性も大幅に向上した。これは、触媒を正極に添加することにより、正極のガス拡散性、導電性、濡れ性などが変化したため、初回の放電容量は減少するものの、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との混合酸化物が、酸素発生に対して高い活性を有しており、充電時における放電生成物の分解を促進することができるため、充電電圧が低下し、充放電サイクル特性が向上したものと考えることができる。
(実施例2)
次に、実施例2として、リチウム空気二次電池用正極に添加する触媒を、実施例1の場合の鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに、さらに、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとを追加した混合酸化物によって形成する場合について説明する。
(1)リチウム空気二次電池用正極の製造方法
最初に、本実施例2におけるリチウム空気二次電池用正極の製造方法について説明する。
まず、第1の工程において、実施例1の場合と同様に、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンのモル数をNFe、NNiと表現したとき、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比が
(NFe:NNi) = 8:2
になるように、400mlのイオン交換水に、0.016molの硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)粉末(純度:99.0%)と0.004molの硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)粉末(純度:99.0%)とを溶解させ、金属硝酸塩混合水溶液を得た。
さらに、本実施例2においては、ランタン(La)イオン、ストロンチウム(Sr)イオンのモル数をNLa、NSrと表現したとき、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比が
(NLa:NSr) = 6:4
になるように、前記金属硝酸塩混合水溶液に、0.03molの硝酸ランタン六水和物(La(NO・6HO)粉末(純度:99.99%)と0.02molの硝酸ストロンチウム(Sr(NO)粉末(純度:99.0%)とをさらに溶解させ、最終的に、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比の関係が
(NFe+NNi):(NLa+NSr) = 1:1
となる金属硝酸塩混合水溶液を得た。
しかる後、最終的に得られた金属硝酸塩混合水溶液に、実施例1の場合と同様、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を8.1g加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、水溶液のpH(potential Hydrogen)が実施例1の場合と同じ2.5になるようにした。
さらに、第2の工程において、実施例1の場合と同様、pHが2.5の前記水溶液を170℃で撹拌しながら蒸発乾固させ、得られた前駆体を600℃以上、5時間熱処理を行うことにより、混合酸化物として酸化物触媒を得た。
次いで、第3の工程において、得られた酸化物触媒に、実施例1の場合と同様、カーボンとバインダー(PTFE粉末)とを、
酸化物触媒:カーボン:PTFE = 5:3:2
の重量比となるように、混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、リチウム空気二次電池用の正極を得た。
また、本実施例2における第1の工程においては、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比(NLa:NSr)が(6:4)の場合のみならず、後述の表2に示すように、モル比(NLa:NSr)が(10:0)、(8:2)、(4:6)、(2:8)となる4種類についても調合し、モル比(NLa:NSr)が(10:0)、(8:2)、(6:4)、(4:6)、(2:8)となる合計5種類のそれぞれの場合において、モル比が(NFe:NNi)=(8:2)の鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに対して、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比の関係が、
(NFe+NNi):(NLa+NSr) = 1:2、1:1、2:1
との3種類の関係となるそれぞれの金属硝酸塩混合水溶液を調合した。
しかる後、調合した15種類それぞれの金属硝酸塩混合水溶液に、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、それぞれのモル比{(NLa:NSr)および(NFe+NNi):(NLa:NSr)}の水溶液のpHが実施例1の場合と同じ2.5になるようにした。
さらに、第2の工程において、それぞれのモル比{(NLa:NSr)および(NFe+NNi):(NLa:NSr)}の水溶液についても、実施例1の場合と同様、170℃で撹拌しながら蒸発乾固させ、得られた前駆体を600℃以上、5時間熱処理を行うことにより、酸化物触媒を得た。
次いで、第3の工程において、実施例1の場合と同様、得られたそれぞれの酸化物触媒に、カーボンとバインダー(PTFE粉末)とを、
酸化物触媒:カーボン:PTFE = 5:3:2
の重量比となるように、混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、それぞれの正極(リチウム空気二次電池用正極)を得た。
しかる後、実施例1と同様の製造方法によって、図1に示した断面構造を有するリチウム空気二次電池を、それぞれのリチウム空気二次電池用正極を用いて、作製した。
(2)リチウム空気二次電池の特性評価試験
次に、(1)項において説明した製造方法によって製造した合計15種類のリチウム空気二次電池について、特性評価試験として充放電サイクル試験を行った結果について説明する。
15種類のリチウム空気二次電池それぞれについては、実施例1の場合と同様の測定方法を用いて、すなわち、電流密度0.1mA/cm(大気に曝される正極3の面積で規格化した電流密度)で、放電終止電圧2.0V、充電終止電圧4.5Vの条件下で、充放電サイクル試験を行った。また、本実施例2の測定結果を示す容量についても、実施例1の場合と同様、正極3に含まれるカーボン重量当たりの容量(mAh/g)を用いて記述することにする。
なお、酸化物触媒について、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに対して、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比の関係が、{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が(1:1)の関係にあるときには、ペロブスカイト(perovskite)型酸化物のみが得られる。
例えば、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比(NLa:NSr)が(6:4)であった場合に、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンに対するランタン(La)イオン、ストロンチウム(Sr)イオンのモル比の関係{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が(1:1)の関係となるような金属硝酸塩混合水溶液に、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を8.1g加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、水溶液のpHが2.5になるようにし、しかる後、pHが2.5の水溶液を170℃で撹拌しながら蒸発乾固させて得られた前駆体を600℃以上、5時間熱処理を行うことによって、(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成からなるペロブスカイト型酸化物の触媒が得られる。
図3は、本発明によるリチウム空気二次電池の正極の触媒として用いたペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)のXRDパターンを示す特性図である。図3のXRDパターンに示すように、前述のような製造方法によって得られた酸化物を正極の触媒として添加したリチウム空気二次電池については、(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成からなるペロブスカイト型酸化物のみを正極に含有していることを示している。
表2は、本実施例2において作製した合計15種類のリチウム空気二次電池の各サイクル(初回、第20回目、第50回目)における放電容量の測定結果を示すテーブルである。
Figure 2012094415
表2に示すように、本実施例2において作製した、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)であり、かつ、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比(NLa:NSr)が(10:0)、(8:2)、(6:4)、(4:6)、(2:8)のそれぞれにおいて、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンに対するランタン(La)イオン、ストロンチウム(Sr)イオンのモル比の関係{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が、(1:2)、(1:1)、(2:1)のそれぞれの酸化物触媒添加の正極を用いた15種類すべての電池において、酸化物触媒がペロブスカイト型酸化物であるか否かによらず、リチウム空気二次電池としての良好な作動を確認することができた。
しかし、中でも、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)であり、かつ、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比(NLa:NSr)が(6:4)であり、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンに対するランタン(La)イオン、ストロンチウム(Sr)イオンのモル比の関係{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が(1:1)の関係になる場合には、すなわち、(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成のペロブスカイト型酸化物触媒のみが得られる場合には、最も良好な放電特性を示している。
ペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)触媒のみが得られる正極を用いたリチウム空気二次電池の初回充放電時における充放電曲線を、実施例1において前述した図2の曲線(d)として示している。
図2の曲線(d)に示すように、正極の触媒としてペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)のみを含有する場合、放電時においては平均電圧が約2.75Vであり、放電容量は2295mAh/gを示した。また、充電時においては平均電圧が3.85Vであり、充電容量は2647mAh/gを示した。
つまり、本実施例2においては、表2および図2に示すように、実施例1において良好な特性を示した鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比(NFe:NNi)が(8:2)の金属硝酸塩混合水溶液に、さらに、ランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンの金属硝酸塩を混合することによって得られる触媒を正極に用いることによって、リチウム空気二次電池のさらなる充電電圧の低下、充放電サイクル特性の改善が可能となることが確認された。
特に、金属硝酸塩混合水溶液におけるランタン(La)イオンとストロンチウム(Sr)イオンとのモル比(NLa:NSr)が(6:4)であり、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンに対するランタン(La)イオン、ストロンチウム(Sr)イオンのモル比の関係{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が(1:1)の場合には、(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成の酸化物触媒のみが得られる。かかる組成の酸化物触媒のみを含有する正極を用いることによって、平均の充電電圧が3.85Vと最も低くなり、さらに、第50回目の充放電サイクル試験後においても、表2に示すように、1000mAh/gを遥かに上回る1798mAh/gという放電容量を有するなど、非常に良好な特性を示している。
これは、正極に添加された(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成の酸化物触媒がペロブスカイト型構造を形成することにより、遷移金属の混合原子価状態や酸素欠陥が格子内に導入されて、触媒の活性化が向上し、而して、正極の特性が改善されたためと考えることができる。
よって、以上の特性評価結果により、正極に混合する触媒として、鉄(Fe)やニッケル(Ni)の混合物を用いることが好ましく、さらに、ランタン(La)やストロンチウム(Sr)を混合することにより、充放電サイクル特性をさらに向上させることができる。中でも、混合する金属イオンのモル比の関係{(NFe+NNi):(NLa+NSr)}が(1:1)となるようなペロブスカイト型酸化物を正極の触媒として用いることが好ましい。
(実施例3)
次に、実施例3として、実施例2のリチウム空気二次電池用正極に添加する触媒として最も良好な特性を示した、(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成のペロブスカイト型酸化物において、ストロンチウム(Sr)が属するアルカリ土類金属をMと表現すると、ストロンチウム(Sr)以外の同様のアルカリ土類金属(M)に属するカルシウム(Ca)とバリウム(Ba)とのそれぞれのイオン(Mイオン=カルシウム(Ca)イオン、バリウム(Ba)イオン)によって、ストロンチウム(Sr)イオンの置換を行った場合について説明する。
(1)リチウム空気二次電池用正極の製造方法
最初に、本実施例3におけるリチウム空気二次電池用正極の製造方法について説明する。
まず、第1の工程において、実施例2の場合と同様の方法を用いて、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、カルシウム(Ca)イオン、バリウム(Ba)イオンのモル数をそれぞれNFe、NNi、NLa、NSr、NBaと表現したとき、次の2種類の金属硝酸塩混合水溶液を調合した。
すなわち、まず、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比が
(NFe:NNi) = 8:2
になり、かつ、ランタン(La)イオンとカルシウム(Ca)イオンとのモル比が
(NLa:NCa) = 6:4
になり、かつ、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとカルシウム(Ca)イオンとのモル比の関係が
(NFe+NNi):(NLa+NCa) = 1:1
となる金属硝酸塩混合水溶液を調合した。
同様に、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比が
(NFe:NNi) = 8:2
になり、かつ、ランタン(La)イオンとバリウム(Ba)イオンとのモル比が
(NLa:NBa) = 6:4
になり、かつ、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとランタン(La)イオンとバリウム(Ba)イオンとのモル比の関係が
(NFe+NNi):(NLa+NBa) = 1:1
となる金属硝酸塩混合水溶液を調合した。
しかる後、得られた2種類の金属硝酸塩混合水溶液それぞれに、実施例1の場合と同様、リンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)を8.1g加え、撹拌しながらアンモニア水溶液をさらに加え、水溶液のpH(potential Hydrogen)が実施例1の場合と同じ2.5になるようにした。
さらに、第2の工程において、実施例1の場合と同様、pHが2.5のこれらの2種類の水溶液それぞれを170℃で撹拌しながら蒸発乾固させ、得られた前駆体を600℃以上、5時間熱処理を行うことにより、2種類の混合酸化物として、それぞれの酸化物触媒を得た。
次いで、第3の工程において、実施例1の場合と同様、得られた2種類の酸化物触媒それぞれに、カーボンとバインダー(PTFE粉末)とを、
酸化物触媒:カーボン:PTFE = 5:3:2
の重量比となるように、混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、2種類の正極(リチウム空気二次電池用正極)を得た。
しかる後、実施例1と同様の製造方法によって、図1に示した断面構造を有するリチウム空気二次電池を、それぞれのリチウム空気二次電池用正極を用いて、作製した。
(2)リチウム空気二次電池の特性評価試験
まず、(1)項において説明した製造方法によって製造した2種類のリチウム空気二次電池用の正極の触媒として用いた、前述のような2種類の混合酸化物(La0.6Ca0.4Fe0.8Ni0.2、La0.6Ba0.4Fe0.8Ni0.2)についてXRDパターン測定による結晶構造の測定を行った。測定したXRDパターンは、2種類の混合酸化物(La0.6Ca0.4Fe0.8Ni0.2、La0.6Ba0.4Fe0.8Ni0.2)のいずれも、図3に示した混合酸化物(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)のXRDパターンと類似のパターンを示し、ペロブスカイト型酸化物のみが得られる結晶構造を有していることが確認された。
次に、2種類のリチウム空気二次電池について、実施例1の場合と同様の測定方法を用いて、特性評価試験として充放電サイクル試験を行った結果について説明する。また、本実施例3の測定結果を示す容量についても、実施例1の場合と同様、正極3に含まれるカーボン重量当たりの容量(mAh/g)を用いて記述することにする。
表3は、本実施例3において作製した2種類のリチウム空気二次電池の各サイクル(初回、第20回目、第50回目)における放電容量の測定結果を、実施例2において最も良好な特性を示した(La0.6Sr0.4Fe0.8Ni0.2)という組成のペロブスカイト型酸化物を正極触媒としたリチウム空気二次電池の放電容量の測定結果(表2より転記したもの)とともに示したテーブルである。
Figure 2012094415
表3に示すように、実施例2のストロンチウム(Sr)イオンというアルカリ土類金属イオン(Mイオン)を用いる場合と同様、該ストロンチウム(Sr)イオンを、同じアルカリ土類金属イオン(Mイオン)であるカルシウム(Ca)イオンやバリウム(Ba)イオンに置換した本実施例3の場合においても、ペロブスカイト型酸化物(La0.6Ca0.4Fe0.8Ni0.2、La0.6Ba0.4Fe0.8Ni0.2)の結晶構造が得られるので、遷移金属の混合原子価状態や酸素欠陥が格子内に導入されて、触媒の活性化が向上し、而して、正極の特性が改善されることが確認された。
ただし、表3に示すように、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等の各アルカリ土類金属の置換種の中では、ストロンチウム(Sr)を用いる場合が、最も良好な特性を示すことが分かった。
よって、リチウム空気二次電池の正極の触媒とするペロブスカイト構造を有する酸化物におけるアルカリ土類金属の置換種としては、ストロンチウム(Sr)を用いることが最も好ましい。
なお、表3には示していないが、正極の酸化物触媒として、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに対する、ランタン(La)イオンとカルシウム(Ca)イオンやバリウム(Ba)イオン等のアルカリ土類金属イオン(Mイオン)とのモル比の関係が、(1:1)ではなく、(2:1)や(1:2)等の場合においても、つまり、ペロブスカイト型酸化物が得られない場合においても、アルカリ土類金属イオン(Mイオン)としてストロンチウム(Sr)イオンを用いた実施例2の場合と同様に、モル比の関係が(1:1)のペロブスカイト型酸化物ほどの改善効果は得られないものの、リチウム空気二次電池として良好な電池特性を有しており、リチウム空気二次電池用の正極に添加する酸化物触媒として有効であることが分かった。
また、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを含む混合酸化物にさらに混合させるイオンとして、ランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオン(カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)のいずれかのイオン)とを含む複合酸化物ではなく、ランタン(La)イオンを含む酸化物のみを混合させるようにしても良い。
すなわち、第1の工程においては、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを含む金属硝酸塩混合水溶液に、アルカリ土類金属イオンを含む硝酸塩水和物の粉末を加えることなく、ランタン(La)イオンをあらかじめ定めたモル数分だけ含む重量の硝酸ランタン六水和物(La(NO・6HO)粉末(純度:99.99%)をさらに加えた後、撹拌しながらアンモニア水溶液とリンゴ酸(C)粉末(純度:99.0%)とを加えて、水溶液のpHが実施例1の場合と同じ2.5になるように調合するようにし、しかる後、前述のような第2、第3の工程を経て、リチウム空気二次電池用の正極として作製したものを用いて、リチウム空気二次電池を作製しても、前述の場合と同様に、良好な電池特性を得ることができる。
ここで、ランタン(La)イオンのみをさらに加える場合には、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、それぞれのモル数を、NFe、NNi、NLaと表現したとき、(NFe+NNi):NLa = 1:1の関係とすることにより、酸化物触媒として、LaFeNiの組成式において、x = z+uの関係からなるペロブスカイト型酸化物が得られることになり、さらに良好な電池特性を得ることができる。
(比較例)
次に、本発明に係るリチウム空気二次電池用正極の酸化物触媒を添加した正極を用いたリチウム空気二次電池について、公知の触媒である三酸化鉄(Fe)や酸化ニッケル(NiO)を添加した場合の電池との充放電特性を比較した結果について説明する。
(1)比較対象のリチウム空気二次電池の製造方法
まず、公知の触媒である三酸化鉄(Fe)を添加した正極からなるリチウム空気電池を実施例1と類似の製造方法により作製した。
つまり、比較対象となる三酸化鉄(Fe)触媒の正極を用いたリチウム空気電池の製造方法については、触媒となる三酸化鉄(Fe)粉末、カーボン(ケッチェンブラックEC600JD)、バインダー(PTFE)を、
三酸化鉄触媒:カーボン:バインダー = 5:3:2
の重量比で混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、正極を得た。
しかる後、得られた正極を用いて、実施例1と同様の製造方法によって、図1に示した断面構造を有するリチウム空気二次電池を作製した。
次いで、三酸化鉄(Fe)の場合と同様に、公知の触媒である酸化ニッケル(NiO)を添加した正極からなるリチウム空気電池を作製した。
つまり、比較対象となる酸化ニッケル(NiO)触媒の正極を用いたリチウム空気電池の製造方法についても、同様に、触媒となる三酸化鉄(Fe)粉末、カーボン(ケッチェンブラックEC600JD)、バインダー(PTFE)を、
酸化ニッケル触媒:カーボン:バインダー = 5:3:2
の重量比で混合し、ロール成形し、厚さ0.5mmのシート状電極を作製し、直径23mmの円形に切り抜くことにより、正極を得た。
しかる後、得られた正極を用いて、実施例1と同様の製造方法によって、図1に示した断面構造を有するリチウム空気二次電池を作製した。
(2)比較対象のリチウム空気二次電池の特性評価試験
公知の三酸化鉄(Fe)触媒および酸化ニッケル(NiO)触媒をそれぞれ添加した正極を用いて作製した2種類のリチウム空気二次電池について、実施例1の場合と同様の測定方法を用いて、特性評価試験として充放電サイクル試験を行った。
三酸化鉄(Fe)触媒を添加した正極を用いたリチウム空気二次電池の初回充放電時における充放電曲線を、実施例1において前述した図2の曲線(e)として示している。
また、酸化ニッケル(NiO)触媒を添加した正極を用いたリチウム空気二次電池の初回充放電時における充放電曲線も、実施例1において前述した図2の曲線(f)として示している。
図2の曲線(e)として充放電特性を示す三酸化鉄(Fe)触媒を添加した正極を用いたリチウム空気二次電池は、図2の曲線(a)、(b)、(d)や表1〜表3に示す前述の実施例1〜実施例3の場合のリチウム空気二次電池のいずれよりも、充電電圧が高くなっている。また、図2の曲線(f)として充放電特性を示す酸化ニッケル(NiO)触媒を添加した正極を用いたリチウム空気二次電池は、図2の曲線(a)、(b)、(d)や表1〜表3に示す前述の実施例1〜実施例3の場合のリチウム空気二次電池のいずれよりも、充放電サイクル特性の低下が著しい。
公知の三酸化鉄(Fe)触媒および酸化ニッケル(NiO)触媒をそれぞれ添加した正極を用いて作製した2種類のリチウム空気二次電池のこのような特性の低下は、実施例1〜実施例3の場合のリチウム空気二次電池の正極よりも、活性化状態が低く、充電時において放電生成物の分解が不十分であり、反応サイト数が減少したため、充電電圧が高くなり、充放電サイクル特性が低下したものと考えることができる。
而して、従来の公知の正極触媒に比し、酸素発生に対して高活性な鉄(Fe)イオンやニッケル(Ni)イオンを含む酸化物を混合することにより、さらには、ランタン(La)イオンを含む酸化物や、もしくは、ランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオン特にストロンチウム(Sr)イオンとの双方を含む複合酸化物をさらに混合することにより、得られる混合酸化物触媒を正極に用いた場合には、正極に高活性な触媒を添加することになり、放電時に生成した析出物の分解が促進され、放電生成物の良好な可逆性が得られるので、充電電圧を低下させることができ、かつ、充放電サイクル特性を向上させることができることが確認された。特に、混合酸化物の金属イオンのモル比が
(NFe+NNi):(NLa+NSr) = 1:1
となるようなペロブスカイト型酸化物を触媒として正極に添加することにより、従来の公知の正極触媒を用いた電池よりも、極めて高い充放電サイクル特性を有するリチウム空気二次電池を作製することができる。
以上のように、本発明によれば、高性能なリチウム空気二次電池を作製することができるので、携帯電話やデジタルカメラ等の携帯電子機器をはじめ様々な電子機器の駆動源として使用することができる。
1…正極接合具、2…電極ケース、3…カーボン正極、4…セパレータ、5…金属リチウム負極、6…負極接合具、7…負極支持体、8…Oリング、9…負極端子。

Claims (10)

  1. リチウム空気二次電池に用いるリチウム空気二次電池用正極であって、カーボン、触媒およびバインダーからなり、該触媒が鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとを少なくとも含む混合酸化物であることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極。
  2. 請求項1に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオンのそれぞれのモル数を、NFe、NNiと表現したとき、(NFe:NNi) = 2:1もしくは(NFe:NNi) = 1:2のモル比とすることにより、前記混合酸化物をスピネル型酸化物とすることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極。
  3. 請求項1に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物は、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとに、ランタン(La)イオンを含む酸化物を、もしくは、ランタン(La)イオンとアルカリ土類金属イオンとを含む複合酸化物を、さらに混合してなることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極。
  4. 請求項3に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記アルカリ土類金属イオンが、カルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれかであることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極。
  5. 請求項3または4に記載のリチウム空気二次電池用正極において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、前記アルカリ土類金属イオンそれぞれのモル数を、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき、(NFe+NNi):NLa = 1:1、もしくは、(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1のモル比とすることにより、前記混合酸化物をペロブスカイト型酸化物とすることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極。
  6. リチウム空気二次電池の正極を製造するリチウム空気二次電池用正極製造方法であって、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比があらかじめ定めたモル比となる重量比の硝酸鉄九水和物(Fe(NO・9HO)粉末と硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)粉末とをイオン交換水に溶解させた金属塩混合水溶液に、リンゴ酸(C)とアンモニア水溶液とをさらに加えて、あらかじめ定めたpH(potential Hydrogen)の混合水溶液に調合する第1の工程と、あらかじめ定めたpHに調合された前記混合水溶液をあらかじめ定めた温度で加熱して蒸発乾固させて得られる前駆体を、あらかじめ定めた温度・時間の条件下で熱処理を行うことにより酸化物触媒として形成する第2の工程と、形成された前記酸化物触媒を、カーボンとバインダーとにあらかじめ定めた重量比で混合し、さらに、成形して、リチウム空気二次電池用正極として作製する第3の工程とを、少なくとも含むことを特徴とするリチウム空気二次電池用正極製造方法。
  7. 請求項6に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、鉄(Fe)イオンとニッケル(Ni)イオンとのモル比を、2:1もしくは1:2とすることにより、前記酸化物触媒として、FeNiの組成式において、x:y = 2:1もしくはx:y = 1:2の関係になるスピネル型酸化物が得られることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極製造方法。
  8. 請求項6に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、前記第1の工程として、前記金属塩混合水溶液に前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とを加える前に、前記金属塩混合水溶液に、あらかじめ定めたモル数分のランタン(La)イオンを含む重量の硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末を、もしくは、ランタン(La)イオンとカルシウム(Ca)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、バリウム(Ba)イオンのいずれかからなるアルカリ土類金属イオンとのモル比があらかじめ定めたモル比となる重量比の硝酸ランタン六水和物粉末と硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加える手順を追加し、しかる後、前記リンゴ酸と前記アンモニア水溶液とをさらに加えて、あらかじめ定めたpHの混合水溶液に調合することを特徴とするリチウム空気二次電池用正極製造方法。
  9. 請求項8に記載のリチウム空気二次電池用正極製造方法において、前記触媒とする前記混合酸化物を構成する前記アルカリ土類金属イオンをMイオンと表現し、鉄(Fe)イオン、ニッケル(Ni)イオン、ランタン(La)イオン、アルカリ土類金属イオン(Mイオン)それぞれのモル数を、NFe、NNi、NLa、NMと表現したとき、前記金属塩混合水溶液に前記硝酸ランタン六水和物(Ni(NO・6HO)粉末をさらに加えた場合には、(NFe+NNi):NLa = 1:1とし、もしくは、前記金属塩混合水溶液に前記硝酸ランタン六水和物粉末と前記硝酸系アルカリ土類金属粉末とをさらに加えた場合には、(NFe+NNi):(NLa+NM) = 1:1のモル比とすることにより、前記酸化物触媒として、LaFeNiもしくはLaFeNiの組成式において、x = (z+u)もしくは(x+y) = (z+u)の関係になるペロブスカイト型酸化物が得られることを特徴とするリチウム空気二次電池用正極製造方法。
  10. カーボン、触媒、バインダーからなる正極と、金属リチウムまたはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な物質からなる負極と、を具備し、前記正極の一方の面が空気に接し、前記正極の他方の面が非水電解液に接し、前記正極と前記負極との間に前記非水電解液を配置してなるリチウム空気電池において、前記正極が請求項1ないし5のいずれかに記載のリチウム空気二次電池用正極により構成されていることを特徴とするリチウム空気二次電池。
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